(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170627
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】ペーパーロール包装体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 77/00 20060101AFI20221102BHJP
B65D 77/24 20060101ALI20221102BHJP
B65D 85/671 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
B65D77/00 B
B65D77/24
B65D85/671
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096815
(22)【出願日】2021-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2021076322
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】596134172
【氏名又は名称】丸富製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】佐野 武男
(72)【発明者】
【氏名】八木 英一
(72)【発明者】
【氏名】関口 千穂
(72)【発明者】
【氏名】武内 ゆみ
【テーマコード(参考)】
3E037
3E067
【Fターム(参考)】
3E037AA03
3E037BA09
3E037BB08
3E037BB12
3E037BC01
3E037CA06
3E067AA16
3E067AB76
3E067AC03
3E067AC12
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BC06A
3E067EA01
3E067EA23
3E067EE13
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】紙基材で構成され、素材の特徴を生かして使い勝手の良い持ち手を設けることを可能としたペーパーロール包装体の提供。
【解決手段】ペーパーロール包装体1の包装袋5は紙基材を包装材として角底袋に製袋化し、トイレットペーパーロール3、3……が収納された後、底側と同様に天側が封止されており、底側に持ち手21が固着されており、商品としては天地逆転して持ち手21が上側にくる。包装袋5はトイレットペーパーロール3、3……を収納し易いようゆとりを持たせたサイズになっているので、持ち手21の中間部が持ち上げ方向に引っ張られると、持ち手21側が上方に向かって凸状になり、角底部9側は下方に向かって凹むので、手を差し入れて、持ち手21を掴むことが可能な隙間Sが形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材で構成された角底袋に上下方向を軸方向として同じ平面上にペーパーロールが縦2個以上、横1個以上並べた状態で収納され、底側と同様に天側が封止されて一対の封止面部が形成されたペーパーロール包装体であって、
前記包装材が紙基材で構成され、且つ、
持ち手が前記紙基材と同じ素材で帯状に形成され、皺の少ない方の封止面部の外面にそれぞれの長手方向が揃うように重ね合わされ、両端部が固着されていることを特徴とするペーパーロール包装体。
【請求項2】
請求項1に記載したペーパーロール包装体において、
包装材の封止面部は対向する2つの短辺縁側の折込み部が内側に折り込まれた後に、対向する2つの長辺縁側の折込み片が内側に折り込まれており、前記2つの短辺縁側の折込み部に持ち手の両端部がそれぞれ固着されていることを特徴とするペーパーロール包装体。
【請求項3】
請求項2に記載したペーパーロール包装体において、
持ち手の長手方向と直交する方向が破り易くなっていることを特徴とするペーパーロール包装体。
【請求項4】
請求項2または3に記載したペーパーロール包装体において、
2つの長辺縁側の折込み片どうしは、角縁側に未固着部を残して固着されていることを特徴とするペーパーロール包装体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載したペーパーロール包装体において、
封止面部の外面には、持ち手が破られ、次に外側の折込み片が剥がされ、その次に内側の折込み片が剥がされることで開封される開封手順がイラスト及び/または数字文字で表示されており、前の手順が済んでも、次にやるべき手順のイラスト及び/または数字文字の表示が残されていることを特徴とするペーパーロール包装体。
【請求項6】
請求項5に記載したペーパーロール包装体において、
外側の折込み片が剥がされる手順と内側の折込み片が剥がされる手順の両方または一方のイラスト及び/または数字文字の表示面が、前の手順が済むと露出することを特徴とするペーパーロール包装体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載したペーパーロール包装体において、
封止面部は上方が開口した角底袋状に戻されると、その開口縁が内側に折り返されて容器として二次利用可能になることを特徴とするペーパーロール包装体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載したペーパーロール包装体において、
ペーパーロールがトイレットペーパーロールであることを特徴とするペーパーロール包装体。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載したペーパーロール包装体の製造方法において、
有底角筒状に製袋化され、底側の封止面部の外面に持ち手が固着された状態の袋体に複数のペーパーロールを収納し、天側を封止して、
商品としては天地逆転して前記底側の封止面部を上側として扱うことを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパーロール等のペーパーロールを包装した包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパー、キッチンペーパー等を巻いて筒状にしたペーパーロールは、複数個まとめてポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂フィルムで包装されている。
これらの樹脂フィルムは、軟らかく、円筒形のペーパーロールにフィットし易く、且つ、熱融着が容易であったことから、ペーパーロールの包装に非常に適している。
【0003】
通常、ガゼット包装、ピロー包装、キャラメル包装等の各種包装方式で包装した状態で販売されているが、 特許文献1に記載のように、ガゼット包装方式では、余剰代に接着代を形成し、その余剰接着代に孔を形成するだけで、フィルム包装体と一体になった強固な持ち手を形成することができる。包装個数が多くなると、買い物袋に入らず、直に手で持つことになるので、このような持ち手が形成されることは極めて有用になっている。また、包装済みの商品は店頭では棚に積み上げられた状態で陳列され、上段から取り出されて購入されるため、商品の上面に持ち手が設けられることで、取り出し易くもなっている。そのため、トイレットペーパーロールでは、ガゼット包装方式で包装されたものが主流となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、プラスチック(合成樹脂)ごみが環境に悪影響を及ぼしているとして、その使用を極力控えることが求められるようになっている。
それに応えて、包装体の素材となっている樹脂フィルムに代わる素材について、紙基材を使用することが提案されている。耐水性等を考慮して樹脂分を含ませるにしても、全体としての樹脂の使用量はかなり低減されることになる。
しかしながら、素材が変わるため、上記のような方法で持ち手を同様な位置に形成することはできない。
素材が変わることで使い勝手が悪くなることは、例え素材の「エコ」を謳っても商品価値を著しく下げることになり、許容できない。
更に、素材を変えることで製造方法が複雑化または工程が増えるとコスト増を招くので、この点も素材を変える際の考慮すべき課題となる。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、紙基材で構成され、素材の特徴を生かして使い勝手の良い持ち手を設けることを可能としたペーパーロール包装体を提供することを、その目的とする。
また、本発明は上記のペーパーロール包装体を簡易に製造できる製造方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、[1]の発明は、包装材で構成された角底袋に上下方向を軸方向として同じ平面上にペーパーロールが縦2個以上、横1個以上並べた状態で収納され、底側と同様に天側が封止されて一対の封止面部が形成されたペーパーロール包装体であって、前記包装材が紙基材で構成され、且つ、持ち手が前記紙基材と同じ素材で帯状に形成され、皺の少ない方の封止面部の外面にそれぞれの長手方向が揃うように重ね合わされ、両端部が固着されていることを特徴とするペーパーロール包装体である。
【0008】
[2]の発明は、[1]に記載したペーパーロール包装体において、包装材の封止面部は対向する2つの短辺縁側の折込み部が内側に折り込まれた後に、対向する2つの長辺縁側の折込み片が内側に折り込まれており、前記2つの短辺縁側の折込み部に持ち手の両端部がそれぞれ固着されていることを特徴とするペーパーロール包装体である。
【0009】
[3]の発明は、[2]に記載したペーパーロール包装体において、持ち手の長手方向と直交する方向が破り易くなっていることを特徴とするペーパーロール包装体である。
【0010】
[4]の発明は、[2]または[3]に記載したペーパーロール包装体において、2つの長辺縁側の折込み片どうしは、角縁側に未固着部を残して固着されていることを特徴とするペーパーロール包装体である。
【0011】
[5]の発明は、[1]から[4]のいずれかに記載したペーパーロール包装体において、封止面部の外面には、持ち手が破られ、次に外側の折込み片が剥がされ、その次に内側の折込み片が剥がされることで開封される開封手順がイラスト及び/または数字文字で表示されており、前の手順が済んでも、次にやるべき手順のイラスト及び/または数字文字の表示が残されていることを特徴とするペーパーロール包装体である。
[6]の発明は、[5]に記載したペーパーロール包装体において、外側の折込み片が剥がされる手順と内側の折込み片が剥がされる手順の両方または一方のイラスト及び/または数字文字で表示されており、前の手順が済むと露出することを特徴とするペーパーロール包装体である。
【0012】
[7]の発明は、[1]から[6]のいずれかに記載したペーパーロール包装体において、封止面部は上方が開口した角底袋状に戻されると、その開口縁が内側に折り返されて容器として二次利用可能になることを特徴とするペーパーロール包装体である。
【0013】
[8]の発明は、[1]から[7]のいずれかに記載したペーパーロール包装体において、ペーパーロールがトイレットペーパーロールであることを特徴とするペーパーロール包装体である。
【0014】
[9]の発明は、[1]から[8]のいずれかに記載したペーパーロール包装体の製造方法において、有底角筒状に製袋化され、底側の封止面部の外面に持ち手が固着された状態の袋体に複数のペーパーロールを収納し、天側を封止して、商品としては天地逆転して前記底側の封止面部を上側として扱うことを特徴とする製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のペーパーロール包装体は、紙基材で構成され、「エコ」の要請に応えるだけでなく、その素材の特徴を生かして使い勝手の良い持ち手が設けられており、素材を変えたことによる不便はない。
また、本発明のペーパーロール包装体の製造方法では、持ち手の形状や固定位置に着目して工夫を凝らすことで、簡易に上記のペーパーロール包装体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係るペーパーロール包装体の斜視図である。
【
図2】
図1のペーパーロール包装体の製造方法の持ち手取付け工程の説明図である。
【
図3】
図2に続く、持ち手取付け工程の説明図である。
【
図4】
図3に続く、トイレットペーパーロールの収納工程の説明図である。
【
図6】
図1のペーパーロール包装体の持ち運び状態を示す斜視図である。
【
図7】
図6の包装袋からトイレットペーパーロールを全て取り出した後のゴミ箱としての使用の仕方の説明図である。
【
図11】
図8とは別の包装袋の開封手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態に係るペーパーロール包装体1とその製造方法を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、このペーパーロール包装体1には、トイレットペーパーロール3が合計4個収納されている。2個のトイレットペーパーロール3、3がそれぞれの周面が横方向で接するように並べられ、更に端面方向に2段積み重ねた状態で収納されている。従って、トイレットペーパーロール3、3、……は同じ(縦×横)平面上に、縦2個×横1個並べられた状態になっている。
トイレットペーパーロール3は芯無しの長尺タイプになっており、比較的重量があるが、これに耐え得て破れないよう、包装袋5や持ち手21は十分な耐荷重強度を有している。
【0018】
包装袋5の素材をなす包装材は紙基材で構成されている。紙基材は紙の重量比が50%を超えており、紙製容器包装の識別マークである紙マークを表示できるものとなっている。樹脂が含侵され、熱シール剤が施されており、収納されたトイレットペーパーロール3の存在を外側から視認できる程度の透明性と、製袋化適性、強度、耐水性、シール性、印刷適性を備えている。
包装袋5は、角胴部7と角底部9を有する角底袋を底側と天側で封止したものにより構成されている。包装袋5は紙基材で構成されており、樹脂フィルムで構成された場合に比べて剛性仕様になっているので、トイレットぺーパーロール3、3、……を収納し易いように、トイレットペーパーロール3、3、……の理想的な収納状態のサイズよりもやや大きめに設計されている。
この包装袋5に持ち手21が設けられている。この持ち手21は包装袋5側と同じ紙基材で構成されている。
【0019】
以下、ペーパーロール包装体1の製造方法に絡めて、ペーパーロール包装体1の構成を詳述する。
図1に示すように、角胴部7は、一枚の矩形の包装材の対向する一方の辺縁部に他方の辺縁部が重ね合わされ糊着により固着されて筒状に一体化されたものになっている。従って、固着領域(図示省略)では紙基材が重なり合ってその他の部分よりも僅かではあるが厚みが増している。
上下方向に延びる4つの折線7A、7A、……が外側から見て山折りになるように折り曲げられており、折線7A、7A、……の配置バランスから一対の対向する狭面部7B、7Bと、一対の対向する広面部7C、7Cで構成された長方形の角筒状になっている。この折線7A、7A、……は、折り曲げ易いように、上記の固着領域を避けた位置に設けられている。
【0020】
この狭面部7B、7Bと広面部7C、7Cを跨いで一方の胴縁寄りにその胴縁に平行に1つの折線9Aが形成されており、この折線9Aに沿って外側から見て山折りになるように折り畳まれることによって、すなわち内側に折り込まれることによって、長方形の角底部9が形成されている。
図1では、角底部9が上側になった状態で示されている。
【0021】
図2では角底部9に持ち手21が設けられる前の状態が示されており、この
図2に示すように、狭面部7B側では折線9Aで折り曲げられながら、対向する折線7A、7Aも折り返されており、四角形状に折り畳まれて折込み部11が形成されている。それぞれの狭面部7B、7B側で同様に折込み部11が形成されている。
一対の四角形の折込み部11、11が形成される際に、広面部7C、7C側では台形の折込み片13、13が形成される。この折込み片13、13も折線9Aに沿って折り畳まれ、折込み部11、11と折込み片13、13は一部が重なりあった状態で長方形の角底部9が形成されている。一対の折込み片13、13は台形の頂辺縁13a、13a側で重なり合っており、角底部9に穴は無い。
【0022】
折込み片13、13のそれぞれの台形の両側辺縁及び頂辺縁13a、13aに沿って連続して線状に糊着されており、形成された固着領域15は両端が二股に分かれたY形になっている。
但し、台形の角縁部13b、13bは糊着されておらず、指で挟んで掴むことが可能になっている。
【0023】
図1に示すように、包装袋5では、角胴部7の狭面部7B、7Bがマチ面部になっており、トイレットぺーパーロール3、3、……の収納前には、折線19Aを外側から見て谷状に折り曲げることで一対の広面部7C、7Cの間に折り畳まれた状態になると共に、角底部9が一方の広面部7C側に重なるように折線19Bで折り返されることで、
図2に示すように、全体が平面状に折り畳まれて、表面に角底部9の外面9Bが表出した状態にできる。
この状態にして、持ち手21を取り付ける。
【0024】
持ち手21は帯状になっており、その両端は垂直な縁21a、21aになっている。持ち手21の幅寸法は、手で掴んだときに掴み易いように設定されており、長さ寸法は角底部9の長手方向の寸法よりもやや小さくなるように設定されている。
図2に示すように、持ち手21はその長手方向中心線が角底部9の外面9Bの長手方向中心線に揃うように位置決めし、
図3に示すように重ね合わせる。その状態では、帯端縁21a、21aは折込み部11の露出した三角部分11a、11a内に入り込み、折線9A、9Aの近傍に到達している。
【0025】
帯端縁21aに沿った両端部が固着領域23になっており、そこを糊着して固着する。従って、固着領域23は折込み部11内に留まっており、折込み片13には被さっていない。
作業台の上に包装袋5の全体が平面状に折り畳まれた状態で載せて作業することができるので、手作業でも、持ち手21は簡単に正確な位置に固着できる。
折込み片13、13のそれぞれの頂辺縁13a、13aは紙基材の裁断縁になっており、外側にくる折込み片13の頂辺縁13aは角底部9の外面9Bとして露出するが、持ち手21により隠されている。
【0026】
持ち手21を固着したことで、包装袋5側の前処理は終了する。
包装袋5の角胴部7の一方は角底部9で封止されているが、他方は開口縁5Aになって開口している。
この後は、既存の半自動包装機を利用して、包装袋5へのトイレットぺーパーロール3、3、……の収納と、天側の封止を実施する。従来は、既存の半自動包装機を使用して、樹脂フィルム製の包装袋に対してガゼット包装方式でトイレットぺーパーロールの収納と、天側の封止を実施していたが、同じガゼット包装方式で実施する。
この半自動包装機によれば、
図4に示すように、包装袋5が立体状に展開されて、白矢印に示すように、角底部9の長手方向がトイレットペーパーロール3、3の縦方向に一致するように収納されていく。
【0027】
収納作業が終了すると、開口縁5A側が折り畳まれ、合掌された固着代24aが熱シールされて封止される。この封止により角天部24が形成されて包装が完了する。
図5に示すように、トイレットぺーパーロール3、3、……が収納された状態で折り畳まれるので、折線9Aで正確に折り曲げるのは難しく、外側の輪郭が長方形から崩れるだけでなく、紙の特性上、特に、固着代24aにどうしても皺Tが入って波状になってしまうので、角天部24の見栄えは悪い。
【0028】
しかしながら、天地逆転して、角底部9を天側にしたものを、包装済みの商品、すなわち
図1のペーパーロール包装体1にしており、包装済みの商品は店頭では棚に積み上げられた状態で陳列され、上段から取り出されて購入されるため、底側は見えないことから、見栄えの悪さの問題は解消されている。
また、トイレットパーパーロール3、3、……の収納及び角天部24の形成は、既存の半自動包装機を使用して自動的に実施できるので、樹脂フィルムから紙基材に素材を変更したことによる製造工程上の負担は特に増えない。
【0029】
ペーパーロール包装体1は持ち手21を手で掴んで持ち運ぶことになる。
包装袋5を構成する紙基材は柔軟性が無いので、トイレットペーパーロール3、3、……が収納し易いようゆとりを持たせたサイズになっているので、持ち手21の中間部が持ち上げ方向に引っ張られると、縦に並んだトイレットペーパーロール3、3どうしが周方向で押し合いつつ、固着領域23、23を介して折込み部11、11とそれぞれに連なった狭面部7B、7Bが緊張して上方に引っ張られる。
それに伴い、持ち手21側が上方に向かって凸状になった状態で引っ張られ、角底部9側は下方に向かって凹むので、手を差し入れて、持ち手21を掴むことが可能な隙間Sが形成される。
【0030】
従って、
図6に示すように、持ち手21を手で掴んで、ペーパーロール包装体1を持ち運ぶことができる。また、持ち手21から手を離した後は、持ち手21は角底部9の外面9Bと重なり合う状態に戻るので、上下に積み重ねて保管するのにも邪魔にならない。
【0031】
包装袋5は紙基材の剛性により保形性があるので、持ち手21側から開封してトイレットペーパーロール3、3、……を全て取り出した後には、自立した容器、例えば使い捨てのゴミ箱25としての二次利用も可能となっている。
図7に示すように、角底部9の固着領域15を剥がして、角底部9を構成していた部位27を角胴部7に連なる角筒状に戻し、折線9Aで折り曲げて角胴部7の内面に重ね合わせるように内側に折り返すことで、折曲げ部が開口縁25Aになり、閉じ難くすることができる。
【0032】
また、角底部9を破らずに、綺麗に開封できるように、
図8~
図10に示すように、角底部9の外面9Bに、開封の手順をイラストで示すことが提案される。
図8に示すように、先ず、持ち手21を破る。持ち手21は強い固着強度で固着されており、剥がすのは難しいが、紙基材の易破断方向が持ち手21の幅方向に合わされているため、持ち手21を破ることが容易となっている。その破り方と破る部位が、
図8(a)の斜線部分に「イラスト(1)」として印刷表示されている。
図8(b)がこの「イラスト(1)」の拡大図になっている。
【0033】
図9に示すように、持ち手21を破った後は、一対の折込み片13、13のうち頂辺縁13aが露出した外側の折込み片13Aを固着領域15から剥がす。台形の角縁部13bは固着されておらず、そこを指で挟んで引っ張り上げると剥がれることが、
図9(a)の斜線部分に「イラスト(2)」として印刷表示されている。
図9(b)がこの「イラスト(2)」の拡大図になっている。「イラスト(2)」は持ち手21で隠れていた部位に表示されているので、持ち手21が破られることでくっきりとなり、容易に視認可能になる。しかも、指で挟んで欲しい部位に表示されている。
【0034】
図10に示すように、外側の折込み片13Aを剥がした後は、内側の折込み片13Bを固着領域15から剥がす。台形の角縁部13bは固着されておらず、そこを指で挟んで引っ張り上げると剥がれることが、
図10(a)の斜線部分に「イラスト(3)」として印刷表示されている。
図10(b)がこの「イラスト(3)」の拡大図になっている。「イラスト(3)」は外側の折込み片13Aで隠れていた部位に表示されているので、折込み片13Aが剥がされることでくっきりとなり、容易に視認可能になる。しかも、指で挟んで欲しい部位に表示されている。
【0035】
図11、
図12では、角底部9を破らずに、綺麗に開封できるように、角底部9の外面9Bに、開封の手順を文字と数字で示すことが提案される。
手順が「1」、「2」、「3」と数字表示されており、持ち手21の下側に位置する外側の折込み片13Aに、持ち手21を指し示す矢印と共に、「1」の数字と「持ち手を破いてください。」の文字が示されている。
また、持ち手21に隠れていた外側の折込み片13Aに、「2」の数字と「はがして開けてください。」の文字が示されている。
更に、持ち手21の上側に位置する内側の折込み片13Bに、「3」の数字と「はがして開けてください。」の文字が表示されている。
これらの表示は、全て横書きになっている。
【0036】
「1」の数字と「持ち手を破いてください。」の文字に従って、先ず、持ち手21を破ると、
図12に示すように、「2」の数字と「はがして開けてください。」の文字が視認できるので、それに従って外側の折込み片13Aを剥がす。その後に、「3」の数字と「はがして開けてください。」の文字に従って、内側の折込み片13Bを剥がすと、綺麗に開封できる。
なお、「2」の数字と「はがして開けてください。」の文字は、持ち手21を破く前にも透けて見えるが、露出してはおらず、露出することでくっきりとなる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、紙基材は紙の重量比が50%を超えて、紙製容器包装の識別マークである紙マークを表示できるものであれば、その他の混入成分については特に限定されない。
また、角底部9は角胴部7を折り畳み、糊で固着して成形したものであり、その際に形成される折込み片13は、実施の形態で示した台形だけでなく、台形の頂辺にフラップが連設されたような形状や、三角形など、種々のものがある。
また、包装袋5に製袋化する際や持ち手21を取り付ける際に利用する固着材は、固着を達成できるものであれば、限定されず、糊等の接着剤だけでなく、特に持ち手21については両面テープ等の利用も考えられる。
また、角底部9の開封の仕方を説明する表示形態は、矢印等のイラストだけでなく、イラストに文字や数字を添えても、また、文字や数字だけでもよい。
複数の表示が元から露出して共に容易に視認可能になっている場合でも、数字等で順番を分からせれば順序が明確になるので、複数の表示を元から露出させておくことも可能である。
一方、前の手順が済むと、次の手順の表示が露出する態様でもよい。その場合には、順序は自ずと分からせることができる。
図8~
図10は、後者の例になっており、
図11~
図12は、前者と後者をミックスした例になっている。
更に、持ち手21に切り取り線を表示して、破る箇所を特定することも考えられる。
【符号の説明】
【0038】
1…ペーパーロール包装体 3…トイレットペーパーロール 5…包装袋
5A…開口縁 7…角胴部 7A…折線 7B…狭面部 7C…広面部
9…角底部 9A…折線 9B…外面 11…折込み部 11a…三角部分
13…折込み片 13a…頂辺縁 13b…角縁部 15…固着領域 19A…折線
19B…折線 21…持ち手 21a…帯端縁 23…固着領域 24…角天部
24a…固着代 25…ゴミ箱 25A…開口縁
27…(角底部を構成していた)部位
T…皺 S…隙間