(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170653
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】美容用コンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
G02C7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021182935
(22)【出願日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】110115411
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】518076148
【氏名又は名称】ベンキュー マテリアルズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イー-イン チェン
(72)【発明者】
【氏名】リー-ピン リン
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】美容的パターンのデザインを限定せずに可視性を維持し、コンタクトレンズの装飾性がさらに改善され、装用者の視力に対する影響が最小化された美容用コンタクトレンズの提供。
【解決手段】レンズ本体100及びレンズ本体上に形成された美容的パターン110を含む美容用コンタクトレンズ10であって、レンズ本体が光学的領域100a及び光学的領域を取り囲む周辺領域100bを含み、光学的領域を覆う美容的パターンの部分が、直径が75μm以上200μm未満である複数の中空ドット112を有する中空ドットスクリーントーンパターン111の形態である、美容用コンタクトレンズ。美容的パターンは特定の中空ドットパターンを含み、それにより光学的領域の可視性を維持することに起因して美容的パターンのデザインの完全性を損なうことが避けられ、コンタクトレンズの装飾性がさらに改善され、装用者の視力に対する影響が最小化される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的領域及び前記光学的領域を取り囲む周辺領域を含むレンズ本体、並びに
前記レンズ本体上に形成された美容的パターン
を含む美容用コンタクトレンズであって、前記光学的領域を覆う前記美容的パターンの部分が、直径が75μm以上200μm未満である複数の中空ドットを有する中空ドットスクリーントーンパターンの形態である、美容用コンタクトレンズ。
【請求項2】
前記中空ドットの配列が規則的配列又は不規則的配列である、請求項1に記載の美容用コンタクトレンズ。
【請求項3】
前記中空ドットの規則的配列が、長方形配列、45度以下の傾き角を有する長方形配列、同心状配列、又はそれらの組み合わせである、請求項2に記載の美容用コンタクトレンズ。
【請求項4】
前記中空ドットのタイプが、大きさ変調、頻度変調、ハイブリッド変調、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の美容用コンタクトレンズ。
【請求項5】
前記中空ドットスクリーントーンパターンにおける隣接する中空ドットの間隔が、20μm超100μm未満である、請求項1に記載の美容用コンタクトレンズ。
【請求項6】
前記中空ドットスクリーントーンパターンにおける中空ドットの被覆が50%~90%である、請求項1に記載の美容用コンタクトレンズ。
【請求項7】
前記中空ドットの光透過率が92%~99%である、請求項1に記載の美容用コンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2021年4月28日に出願された台湾特許出願第110115411号の優先権を主張し、該出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、コンタクトレンズに関し、より詳細には美容用コンタクトレンズに関する。
【背景技術】
【0003】
視力を矯正するために角膜に直接装着される医療デバイスとして、コンタクトレンズはその優れた光学特性、薄さ、及び外観の利点のために広く市場で受け入れられている。
【0004】
近年では、装用者の眼の外観を美しくする又は変化させるのに使用できる美容用コンタクトレンズが多く検討されてきた。美容用コンタクトレンズの装用者数は、アジア諸国のコンタクトレンズ装用者数の大きな割合を占め、増大し続けている。
【0005】
美容用コンタクトレンズは美容的パターンをレンズ本体と組み合わせることにより形成され、美容的パターンはコンタクトレンズの可視性を維持する、瞳孔に対応するレンズの光学的領域を覆うことができない。先行技術において、光学的領域に分布する美容的パターンの面積は、装用者の視力に影響を与えることを避けるために最小限にするか又は取り除く必要があるが、そのためパターンデザインが限定され美容用コンタクトレンズの装飾性が低下することがある。さらに、カラードットの配列又はカラーラインの配列によって構成される美容的パターンを有するフルカラー美容用コンタクトレンズも提案されてきた。しかし、装飾効果を得るために、美容的パターンが依然として装用者の視力に大きな影響を与えるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この観点から、美容的パターンのデザインを限定せずに可視性を維持し、コンタクトレンズの装飾性がさらに改善され、装用者の視力に対する影響が最小化された美容用コンタクトレンズが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、中空ドットスクリーントーンパターンを含む美容的パターンを含む美容用コンタクトレンズを提供する。美容的パターンにおける中空ドットスクリーントーンパターンは、光学的領域の可視性を維持し、美容的パターンのデザインの完全性を損なわないことが可能である。そのため、美容用コンタクトレンズの装飾性が改善され、装用者の視力に対する影響が最小化される。
【0008】
本発明の美容用コンタクトレンズは、レンズ本体及びレンズ本体上に形成された美容的パターンを含み、レンズ本体は光学的領域及び光学的領域を取り囲む周辺領域を含み、光学的領域を覆う美容的パターンの部分は、直径が75μm以上200μm未満である複数の中空ドットを有する中空ドットスクリーントーンパターンの形態である。
【0009】
本発明の美容用コンタクトレンズの好ましい実施形態において、中空ドットの配列は規則的配列又は不規則的配列であってもよい。
【0010】
本発明の美容用コンタクトレンズの好ましい実施形態において、中空ドットの規則的配列は、長方形配列、45度以下の傾き角を有する長方形配列、同心状配列、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0011】
本発明の美容用コンタクトレンズの好ましい実施形態において、中空ドットのタイプは、大きさ変調、頻度変調、ハイブリッド変調、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0012】
本発明の美容用コンタクトレンズの好ましい実施形態において、中空ドットスクリーントーンパターンにおける隣接する中空ドットの間隔は20μm超100μm未満である。
【0013】
本発明の美容用コンタクトレンズの好ましい実施形態において、中空ドットスクリーントーンパターンにおける中空ドットの被覆は50%~90%である。
【0014】
本発明の美容用コンタクトレンズの好ましい実施形態において、中空ドットの光透過率は92%~99%である。
【0015】
本発明の美容用コンタクトレンズの好ましい実施形態において、光学的領域を覆う美容的パターンの部分は中空ドットスクリーントーンパターンの形態であり、その結果錯視によって美容的パターンの連続的外観を実現することができ、それにより光学的領域の可視性を維持することに起因して美容的パターンのデザインの完全性を損なうことが避けられ、コンタクトレンズの装飾性がさらに改善され、装用者にとっての優れた光透過率及び像コントラストの両方が実現される。
【0016】
本発明の上記の及び他の態様は、好ましいが非限定的である実施形態の以下の詳細な説明に関連して、さらに良く理解されることになる。本発明のこれらの及び他の態様は、現時点で好ましい実施形態の以下の説明から明らかとなる。詳細な説明は単に本発明の例示的なものであり、添付の特許請求の範囲及びその等価物により規定される本発明の範囲を限定しない。当業者にとって明らかであるように、開示の新規の概念の精神及び範囲から逸脱せずに本発明の多くの変形及び修正が行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による、光学的領域100a及び周辺領域100bを含む美容用コンタクトレンズ10の上面概略図及び美容的パターン110の部分拡大図である。
【
図2】本発明の実施形態による、眼球21に対応する美容用コンタクトレンズ10の光学的領域100a及び周辺領域100bの位置の概略図である。
【
図3】
図3A及び
図3Bはそれぞれ、本発明の他の実施形態による美容用コンタクトレンズ10の美容的パターン110'及び110''の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
説明の目的のための以下の詳細な説明において、開示される実施形態の十分な理解を実現するために多くの具体的な詳細が示される。しかし、これらの具体的な詳細を使用せずに1つ以上の実施形態を実施してもよいことが明らかであろう。
【0019】
説明され示される具体的な設計及び方法からの逸脱は、当業者が思いつくこと並びに本発明の精神及び範囲から逸脱することなく使用されてもよいことは明らかである。本発明は説明及び例証される特定の構造に制限されず、添付の特許請求の範囲に含まれ得るあらゆる修正形態と一貫性があるものとして解釈されるべきである。
【0020】
別途定義されない限り、本明細書において使用されるあらゆる技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書において使用される命名、及び実験室手順は良く知られており、当技術分野において一般的に採用される。当技術分野において及び様々な一般の参考文献に示されるものなど、従来の方法がこれらの手順において使用される。用語が単数で示される場合、発明者らはその用語の複数も意図する。本明細書において使用される命名、及び下記の実験室手順は良く知られており、当技術分野において一般的に採用されるものである。
【0021】
本明細書で使用される「中空ドットスクリーントーンパターンにおける中空ドットの被覆」という用語は、中空ドットスクリーントーンパターンの面積に対するすべての中空ドットの面積の割合を指す。
【0022】
以下の図は本発明の美容用コンタクトレンズを示す。まず、
図1及び
図2を参照されたい。
図1に示すように、本発明の美容用コンタクトレンズ10は、レンズ本体100及びレンズ本体100上に形成された美容的パターン110を含み、レンズ本体100は光学的領域100a及び光学的領域100aを取り囲む周辺領域100bを含む。さらに
図2に示すように、美容用コンタクトレンズ10が装用されると、光学的領域100aは眼球21の瞳孔211に対応し得る。錯視に起因した連続的外観を有する美容的パターン110を作るために、並びに装用者にとっての優れた光透過率及び像コントラストの両方を実現できるように、光学的領域100aを覆う美容的パターン110の部分はハーフトーンデザインの中空ドットスクリーントーンパターン111の形態であり、中空ドットスクリーントーンパターン111は、直径がR1又はR2である複数の中空ドット112を含み、中空ドットスクリーントーンパターン111における隣接する中空ドット112の間隔はS1又はS2である。
【0023】
本発明の美容用コンタクトレンズの好ましい実施形態において、中空ドット112の直径R1及びR2は75μm以上200μm未満である。直径R1又はR2が75μm未満である場合、中空ドットスクリーントーンパターン111は光学的領域100aにおいて十分な光透過率を実現することができず、直径R1又はR2が200μm超である場合、美容的パターン110は連続的外観を表すことができない。
【0024】
本発明の美容用コンタクトレンズの好ましい実施形態において、中空ドットスクリーントーンパターン111における中空ドット112の配列は、美容的パターン110のデザインにしたがって規則的配列又は不規則的配列であってもよく、規則的配列は長方形配列、45度以下の傾き角を有する長方形配列、同心状配列、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0025】
本発明の美容用コンタクトレンズの好ましい実施形態において、中空ドットスクリーントーンパターン111における中空ドット112のタイプは、美容的パターン110のデザインにしたがって大きさ変調、頻度変調、ハイブリッド変調又はそれらの組み合わせであってもよく、すなわち、直径R1及びR2は同じ又は同時に異なっていてもよい。
【0026】
本発明の美容用コンタクトレンズの好ましい実施形態において、中空ドットスクリーントーンパターン111における隣接する中空ドット112の間隔S1及びS2は、20μm超100μm未満、好ましくは35μm超75μm未満である。間隔S1又はS2が20μm未満である場合、美容的パターン110は連続的外観を表すことができず、間隔S1又はS2が200μm超である場合、中空ドットスクリーントーンパターン111は光学的領域100aにおいて十分な像コントラストを実現することができない。ここで、中空ドット112のタイプは美容的パターン110のデザインにしたがって大きさ変調、頻度変調、ハイブリッド変調又はそれらの組み合わせであってもよく、すなわち、間隔S1及びS2は同じ又は同時に異なっていてもよい。
【0027】
本発明の美容用コンタクトレンズの好ましい実施形態において、中空ドットスクリーントーンパターン111における中空ドット112の被覆は50%~90%である。
【0028】
本発明の美容用コンタクトレンズの好ましい実施形態において、中空ドット112の光透過率は92%~99%である。
【0029】
次に、
図3A及び
図3Bを参照されたい。美容用コンタクトレンズ10の美容的パターンの形状、色、及び分布は、あらかじめ設定された装飾要件、例えば限定はされないが、
図3A(色は図示せず)に示すような、光学的領域100a及び周辺領域100bを部分的に覆う2色の不連続パターン110'であって、光学的領域100aを覆う2色の不連続パターン110'の部分が頻度変調の複数の中空ドット112を有する中空ドットスクリーントーンパターン111の形態である2色の不連続パターン、又は
図3B(色は図示せず)に示すような勾配色パターン110''であって、光学的領域100aを覆う勾配色パターン110''の部分が大きさ変調の複数の中空ドット112を有する中空ドットスクリーントーンパターン111の形態である勾配色パターン、にしたがってデザインすることができる。本発明の他の実施形態において、美容用コンタクトレンズ10の美容的パターンは、
図3Aに示すような2色の不連続パターン110'及び
図3Bに示すような勾配色パターン110''の組み合わせ又は変形であってもよい。
【0030】
本発明の実施形態による美容用コンタクトレンズ10に適したレンズ本体100は、ヒドロゲル組成物又はシリコーンヒドロゲル組成物を硬化させることにより形成することができる。ヒドロゲル組成物は、例えば限定はされないが親水性モノマー、架橋剤及び開始剤を含む。シリコーンヒドロゲル組成物は、例えば限定はされないがポリシロキサンプレポリマー、親水性モノマー、架橋剤及び開始剤を含む。レンズ本体100を形成させるのに使用される上記の組成物は、一般に当業者に良く知られている。
【0031】
上記の硬化は、加熱、光照射、例えばUV照射など、電離放射線(例えば、ガンマ線又はX線)、又はマイクロ波照射によって誘発される硬化(例えば、架橋又は重合)を指す。
【0032】
本発明の実施形態による美容用コンタクトレンズ10の美容的パターン110に適した顔料組成物は、少なくとも1つの親水性モノマー、接着性樹脂、着色剤、開始剤及び架橋剤を含む。接着性樹脂は、例えば、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂又はフェノール樹脂であってもよい。着色剤は、関連する技術分野で一般的に使用されるもの、例えば、有機着色剤又は無機着色剤であってもよい。有機着色剤は、限定はされないが、C.I. Reactive Yellow 14、C.I. Reactive Orange 7、C.I. Reactive Red 23又はC.I. Reactive Blue 19であってもよい。無機着色剤は、限定はされないが、黒色酸化鉄、褐色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄又は二酸化チタンであってもよい。
【0033】
本発明の実施形態による美容用コンタクトレンズ10のレンズ本体100上に美容的パターン110を形成させるのに適した方法は、関連する技術分野で一般的に使用されるもの、例えば限定はされないがインクジェット印刷、レーザー印刷、パッド印刷又は転写印刷などであってもよい。
【0034】
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例0035】
調製例1:レンズ本体用のシリコーンヒドロゲル組成物の調製
4.44gのイソホロンジイソシアネート、触媒としての0.0025gのジブチルスズジラウレート、及び40mLの塩化メチレンをフラスコに加えて溶液を得て、溶液を窒素流下で撹拌した。次いで、20gのα-ブチル-ω-[3-(2,2-(ヒドロキシメチル)ブトキシ)プロピル]ポリジメチルシロキサンを正確に秤量し、約1時間にわたって溶液へ滴下して加えた。溶液を12時間反応させた後、得られる反応生成物を多量の水で洗浄し、次いで脱水及びろ過して原産物を得た。次いで、塩化メチレンを蒸発させて第1のポリジメチルシロキサンマクロマーを得た。
【0036】
8.88gのイソホロンジイソシアネート、触媒としての0.0025gのジブチルスズジラウレート、及び40mLの塩化メチレンをフラスコに加えて溶液を得て、溶液を窒素流下で撹拌した。次いで、20gのポリジメチルシロキサンを正確に秤量し、約1時間にわたって溶液へ滴下して加えた。溶液を室温で12時間反応させた後、さらに0.0025gのジブチルスズジラウレート及び14.4gのポリエチレングリコールモノメタクリレートを正確に秤量し、約1時間にわたって溶液へ滴下して加えた。溶液をさらに12時間反応させた後、得られる反応生成物を多量の水で洗浄し、次いで脱水及びろ過して原産物を得た。次いで、塩化メチレンを蒸発させて第2のポリジメチルシロキサンマクロマーを得た。
【0037】
39.8gの第1のポリジメチルシロキサンマクロマー、11.3gの第2のポリジメチルシロキサンマクロマー、0.5gのアゾビスイソヘプトニトリル(ADVN)、33.5gのN-ビニルピロリドン(NVP)、14.0gの2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、0.3gのヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(HFMA)、0.6gの2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート、及び2gのエタノールを混合し、約1時間撹拌してレンズ本体用のシリコーンヒドロゲル組成物を得た。
【0038】
調製例2:美容的パターン用の顔料組成物の調製
6.5gの2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、4.5gのN,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2.0gの2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(商品名 UV-1173、BASF(台湾)より購入)及び37.6gの黒色着色剤(商品名 Sicovit Black 85E172、BASF(ドイツ)より購入)をボールミル(RETSCHPM 400)により粉砕して顔料組成物を生成した。
【0039】
[実施例1]
調製例1より得られるシリコーンヒドロゲル組成物をPP型へ定量的に滴下し、80℃で5時間、次いで115℃で2時間硬化させた。重合が完了した後、型をアルコール中に1時間浸し、得られる成型レンズ本体を型から取り出した。次いで、調製例2により得られた顔料組成物を美容的パターンと同じパターンによりパッド印刷ゴムヘッドに付着させ、レンズ本体の外面上に押し付け、光重合させて美容的パターンを有する美容用コンタクトレンズを生成した。
【0040】
得られる美容用コンタクトレンズは、レンズ本体の中央に直径が3.0mmの光学的領域を有し、光学的領域を覆う美容的パターンの部分は長方形配列の複数の中空ドットを有する中空ドットスクリーントーンパターンの形態である。ここで、中空ドットの直径は75μmであり、隣接する中空ドットの間隔は35μmであり、中空ドットの光透過率は98%であり、中空ドットスクリーントーンパターンにおける中空ドットの被覆は50%である。
【0041】
得られる美容用コンタクトレンズを、裸眼視力が1.0以上の成人の装用者が両眼に装用し、臨床視覚試験を行い、美容用コンタクトレンズの視覚品質を以下の4つのレベルにしたがって評価した。試験結果を表1に記載した。
レベル1:装用者の視界が完全に不明瞭である
レベル2:装用者の視界がほとんど不明瞭である
レベル3:装用者の視界が影響を受けわずかにぼやけており、装用後の装用者の視力の低下が0.3以内である
レベル4:装用後の装用者の視力が1.0超である。
【0042】
[実施例2]
実施例2の美容用コンタクトレンズを調製する方法は実施例1と同じであった。得られる美容用コンタクトレンズは、レンズ本体の中央に直径が5.0mmの光学的領域を有し、光学的領域を覆う美容的パターンの部分は45度の傾き角を有する長方形配列の複数の中空ドットを有する中空ドットスクリーントーンパターンの形態である。ここで、中空ドットの直径は100μmであり、隣接する中空ドットの間隔は50μmであり、中空ドットの光透過率は98%であり、中空ドットスクリーントーンパターンにおける中空ドットの被覆は60%である。
【0043】
得られる美容用コンタクトレンズの視覚品質を実施例1と同様に試験し、試験結果を表1に記載した。
【0044】
[実施例3]
実施例3の美容用コンタクトレンズを調製する方法は実施例1と同じであった。得られる美容用コンタクトレンズは、レンズ本体の中央に直径が5.0mmの光学的領域を有し、光学的領域を覆う美容的パターンの部分は同心状配列の複数の中空ドットを有する中空ドットスクリーントーンパターンの形態である。ここで、中空ドットの直径は150μmであり、隣接する中空ドットの間隔は50μmであり、中空ドットの光透過率は95%であり、中空ドットスクリーントーンパターンにおける中空ドットの被覆は80%である。
【0045】
得られる美容用コンタクトレンズの視覚品質を実施例1と同様に試験し、試験結果を表1に記載した。
【0046】
[実施例4]
実施例4の美容用コンタクトレンズを調製する方法は実施例1と同じであった。得られる美容用コンタクトレンズは、レンズ本体の中央に直径が7.0mmの光学的領域を有し、光学的領域を覆う美容的パターンの部分は30度の傾き角を有する長方形配列の複数の中空ドットを有する中空ドットスクリーントーンパターンの形態である。ここで、中空ドットの直径は150μmであり、隣接する中空ドットの間隔は35μmであり、中空ドットの光透過率は97%であり、中空ドットスクリーントーンパターンにおける中空ドットの被覆は70%である。
【0047】
得られる美容用コンタクトレンズの視覚品質を実施例1と同様に試験し、試験結果を表1に記載した。
【0048】
【0049】
表1に示すように、実施例1~4で得られる美容用コンタクトレンズは優れた視覚品質を装用者に提供することができる。さらに、装用者の眼を周囲から観察したときに、美容的パターンは錯視に起因する連続的外観を有し、美容的パターンのデザインを完全に表現することができた。
【0050】
要約すると、本発明は、レンズ本体及び美容的パターンを含む美容用コンタクトレンズであって、レンズ本体が光学的領域及び光学的領域を取り囲む周辺領域を含み、光学的領域を覆う美容的パターンの部分が、直径が75μm以上200μm未満である複数の中空ドットを有する中空ドットスクリーントーンパターンの形態であり、それにより光学的領域の可視性を維持することに起因して美容的パターンのデザインの完全性を損なうことが避けられ、コンタクトレンズの装飾性がさらに改善され、装用者の視力に対する影響が最小化される、美容用コンタクトレンズを提供する。
【0051】
詳細な説明は単に本発明の例示的なものであり、添付の特許請求の範囲及びその等価物により規定される本発明の範囲を限定しない。当業者にとって明らかであるように、開示の新規の概念の精神及び範囲から逸脱せずに本発明の多くの変形及び修正が行われてもよい。