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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170666
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】積層型電子部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
H01G4/30 311Z
H01G4/30 517
H01G4/30 513
H01G4/30 512
H01G4/30 201N
H01G4/30 201C
H01G4/30 311A
H01G4/30 201K
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008442
(22)【出願日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0055037
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ミュン チャン
(72)【発明者】
【氏名】リー、エウン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン テ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミン ウー
(72)【発明者】
【氏名】セオ、チャン ホ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、スン スー
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ミ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC03
5E001AH05
5E001AH06
5E001AJ02
5E001AJ03
5E082AB03
5E082BC32
5E082BC38
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG28
5E082LL03
5E082PP09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】サイドマージン部に隙間ができる不良、短絡の発生、耐湿信頼性の低下を改善した積層型電子部品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】方法は、複数個の内部電極パターン221、222が所定の間隔を置いて形成されたセラミックグリーンシート211を設ける段階と、セラミックグリーンシートを積層してセラミックグリーンシート積層体を形成する段階と、内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面を有するようにセラミックグリーンシート積層体を切断して積層本体210を得る段階と、積層本体の内部電極パターンの末端が露出した側面にベースフィルムBFに付着した粘着層ADを接着する粘着層接着段階と、粘着層を剥離することにより側面の異物を除去する粘着層剥離段階と、を含む。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の第1内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第1セラミックグリーンシート及び複数個の第2内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第2セラミックグリーンシートを設ける段階と、
前記第1内部電極パターンと前記第2内部電極パターンとが交差するように前記第1セラミックグリーンシートと前記第2セラミックグリーンシートとを積層してセラミックグリーンシート積層体を形成する段階と、
前記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面を有するように前記セラミックグリーンシート積層体を切断して積層本体を得る段階と、
前記積層本体の前記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が露出した側面に粘着層を接着する粘着層接着段階と、
前記粘着層を剥離することにより前記側面の異物を除去する粘着層剥離段階と、を含む積層型電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記粘着層剥離段階の後の前記側面における中心線平均粗さが前記粘着層剥離段階の前の側面における中心線平均粗さの1.5倍以上である、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記粘着層剥離段階で、前記側面のセラミックグリーンシート及び内部電極パターンの一部領域が除去され、前記一部領域は、前記側面から前記側面に垂直な方向に0nm超過250nm以下である、請求項1または2に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記粘着層は、紫外線照射時に硬化する物質を含み、
前記粘着層接着段階と前記粘着層剥離段階との間に前記粘着層に紫外線を照射する段階をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記粘着層の前記セラミックグリーンシート積層体との付着面と反対面はベースフィルムと接着されており、
前記粘着層の厚さに対する前記ベースフィルムの厚さの比は2.8%以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記粘着層接着段階は85℃以下で行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記積層本体は、第1方向に対向する第1及び第2面、第2方向に対向する第3及び第4面、第3方向に対向する第5及び第6面を含み、前記第1内部電極パターンが第1、第2及び第3面に露出し、前記第2内部電極パターンが前記第1、第2及び第4面に露出し、前記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面は前記第1及び第2面である、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記粘着層が除去された積層本体の側面にサイドマージン部用セラミックグリーンシートを付着してサイドマージン部を形成する段階をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記サイドマージン部用セラミックグリーンシートが付着された積層本体を焼成する段階をさらに含む、請求項8に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記焼成する段階の後、前記側面から前記積層本体の内部方向に3μm内に存在する空隙の数をNp、内部電極の数をNeとするとき、Np/Neは0.15以下である、請求項9に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項11】
前記積層本体に前記サイドマージン部の一部を覆うように外部電極用導電性ペーストを塗布する段階をさらに含む、請求項9または10に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記外部電極用導電性ペーストが塗布された積層本体を焼成して外部電極を形成する段階をさらに含む、請求項11に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記外部電極上にめっき層を形成する段階をさらに含む、請求項12に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記めっき層を形成する段階は、めっき層が2層以上に形成されるように行われる、請求項13に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記粘着層剥離段階の後の前記側面における中心線平均粗さが、前記粘着層剥離段階の前の側面における中心線平均粗さの1.5倍以上である、請求項1から14のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記粘着層剥離段階で、前記側面のセラミックグリーンシート及び内部電極パターンの一部領域が除去され、前記一部領域は、前記側面から前記側面に垂直な方向に0nm超過250nm以下である、請求項1から15のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項17】
前記粘着層の前記積層本体との付着面と反対面はベースフィルムと接着されており、
前記粘着層の厚さに対する前記ベースフィルムの厚さの比は2.8%以上である、請求項1から16のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項18】
前記粘着層接着段階は85℃以下で行われる、請求項1から17のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項19】
複数の誘電体層を含み、第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を有する本体と、
前記第1面及び第2面に配置されるサイドマージン部と、
前記第3面及び第4面に配置される外部電極と、
前記本体の内部に配置され、前記第3面または第4面において前記外部電極と連結され、前記第1及び第2面において前記サイドマージン部と連結される複数の内部電極と、を備え、
前記サイドマージン部から前記本体の内部方向に3μm内に存在する内部電極に含まれた空隙の数をNp、内部電極の数をNeとするとき、Np/Neは0.15以下である、積層型電子部品。
【請求項20】
前記Np及びNeは、前記本体を前記第2方向の中央部から前記第1及び第3方向に切断した断面において、前記第3方向の中央部に配置された20個の内部電極から測定したものである、請求項19に記載の積層型電子部品。
【請求項21】
前記外部電極は、前記サイドマージン部の一部を覆うように延長して配置される、請求項19または20に記載の積層型電子部品。
【請求項22】
前記複数の内部電極のうち、中央部に配置される内部電極の末端と接する前記サイドマージン部の領域の厚さに対して、最外郭に配置される内部電極の末端と接する前記サイドマージン部の領域の厚さの割合は0.9以上1.0以下である、請求項19から21のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項23】
前記複数の内部電極のうち、中央部に配置される内部電極の末端と接するサイドマージン部領域の厚さに対して、前記本体の角部と接する前記サイドマージン部領域の厚さの割合は0.9以上1.0以下である、請求項19から22のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項24】
前記複数の誘電体層の平均厚さは0.4μm以下である、請求項19から23のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項25】
前記内部電極の平均厚さは0.4μm以下である、請求項19から24のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項26】
前記複数の誘電体層及び内部電極の平均厚さは0.4μm以下である、請求項19から25のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話など、様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。コンピュータ、モバイル機器など、各種の電子機器の小型化、高出力化に伴って積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。
【0004】
また、最近、自動車用電装部品に対する業界の関心が高まり、積層セラミックキャパシタも自動車あるいはインフォテインメントシステムに使用されるために高信頼性及び高強度特性が求められている。
【0005】
積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化のためには、電極有効面積の極大化(容量実現に必要な有効体積分率を増加させること)が求められる。
【0006】
上記のように小型及び高容量の積層セラミックキャパシタを実現するために、積層セラミックキャパシタを製造するにあたり、内部電極を本体の幅方向に露出させることにより、マージンのない設計によって内部電極の幅方向の面積を極大化し、且つこのようなチップの作製後、焼成前の段階でチップの幅方向の電極露出面にサイドマージン部を別途に付着して完成する方法が適用されている。
【0007】
サイドマージン部を別途に付着する方法により、キャパシタの単位体積当たりの容量は向上させることができるが、サイドマージン部に隙間ができる不良、短絡の発生、耐湿信頼性の低下などの問題点が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明のいくつかの目的の一つは、サイドマージン部に隙間ができる不良、短絡の発生、耐湿信頼性の低下を改善した積層型電子部品及びその製造方法を提供することである。
【0009】
但し、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、複数個の第1内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第1セラミックグリーンシート及び複数個の第2内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第2セラミックグリーンシートを設ける段階と、上記第1内部電極パターンと上記第2内部電極パターンとが交差するように上記第1セラミックグリーンシートと上記第2セラミックグリーンシートとを積層してセラミックグリーンシート積層体を形成する段階と、上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面を有するように上記セラミックグリーンシート積層体を切断して積層本体を得る段階と、上記積層本体の上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が露出した側面にサイドマージン部用セラミックグリーンシートを付着する段階と、上記サイドマージン部用セラミックグリーンシートが付着された積層本体を焼成する段階と、上記焼成後に還元雰囲気で熱処理する段階と、上記還元雰囲気で熱処理された積層本体に外部電極を形成する段階と、を含み、上記サイドマージン部用セラミックグリーンシートは金属酸化物を含む。
【0011】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、複数の誘電体層を含み、第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記第1面及び第2面に配置されるサイドマージン部と、上記第3面及び第4面に配置される外部電極と、上記本体の内部に配置され、上記第3面または第4面において上記外部電極と連結され、上記第1面及び第2面において上記サイドマージン部と連結される複数の内部電極と、を含み、上記サイドマージン部から上記本体の内部方向に3μm内に存在する内部電極に含まれた空隙の数をNp、内部電極の数をNeとするとき、Np/Neは0.15以下である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のいくつかの効果の一つは、粘着層を用いて切断面の異物を除去することにより、短絡の発生を抑制したことである。
【0013】
また、本発明のいくつかの効果の一つは、サイドマージン部に隙間ができる不良を抑制し、耐湿信頼性の低下を改善したことである。
【0014】
但し、本発明の多様かつ有益な利点と効果は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
図2図1の積層型電子部品の外部電極を除いて示した斜視図である。
図3図1の積層型電子部品において外部電極及びサイドマージン部を除いて示した斜視図である。
図4図1のI-I'線に沿った断面図である。
図5図1のII-II'線に沿った断面図である。
図6】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図面である。
図7】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図面である。
図8】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図面である。
図9】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図面である。
図10】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図面である。
図11】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図面である。
図12】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図面である。
図13】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図面である。
図14】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図面である。
図15】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図面である。
図16】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図面である。
図17】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図面である。
図18】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図面である。
図19】発明例を長さ方向の中央から厚さ及び幅方向に切断した後、厚さ方向の中央部のサイドマージン部と本体の境界部を内部電極20個が見えるように走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして得たイメージである。
図20】比較例を長さ方向の中央から厚さ及び幅方向に切断した後、厚さ方向の中央部のサイドマージン部と本体の境界部を内部電極20個が見えるように走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして得たイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0017】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示されたものに限定されない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0018】
図面において、W方向は第1方向または幅方向、L方向は第2方向または長さ方向、T方向は第3方向または厚さ方向と定義することができる。
【0019】
[積層型電子部品の製造方法]
図6図18は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図面である。
【0020】
以下、図6図18を参照して、本発明の一実施形態である積層型電子部品の製造方法について詳細に説明する。
【0021】
本発明のさらに他の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、複数個の第1内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第1セラミックグリーンシート及び複数個の第2内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第2セラミックグリーンシートを設ける段階と、上記第1内部電極パターンと上記第2内部電極パターンとが交差するように上記第1セラミックグリーンシートと上記第2セラミックグリーンシートとを積層してセラミックグリーンシート積層体を形成する段階と、上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面を有するように上記セラミックグリーンシート積層体を切断して積層本体を得る段階と、上記積層本体の上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が露出した側面に粘着層を接着する粘着層接着段階と、上記粘着層を剥離することにより上記側面の異物を除去する粘着層剥離段階と、を含むことができる。
【0022】
図6に示されたように、セラミックグリーンシート211の上に所定の間隔を置いて複数個の第1内部電極パターン221を形成する。上記複数個の第1内部電極パターン221はストライプ状であってもよく、互いに平行に形成されてもよい。
【0023】
上記セラミックグリーンシート211は、セラミックパウダー、有機溶剤及び有機バインダーを含むセラミックペーストで形成されてもよい。
【0024】
上記セラミックパウダーは、これに制限されるものではないが、高い誘電率を有する物質として、チタン酸バリウム(BaTiO3)系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)系材料などを使用することができ、好ましくはチタン酸バリウム(BaTiO3)パウダーが使用されることができる。上記セラミックグリーンシート211が焼成されると、本体110を構成する誘電体層111となる。
【0025】
第1内部電極パターン221は、導電性金属を含む内部電極ペーストにより形成されてもよい。上記導電性金属は、これに制限されるものではないが、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上であってもよい。
【0026】
上記セラミックグリーンシート211上に第1内部電極パターン221を形成する方法は特に制限されないが、例えば、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法のような印刷法によって形成することができる。
【0027】
また、さらに別のセラミックグリーンシート211の上に所定の間隔を置いて複数個の第2内部電極パターン222を形成することができる。上記複数個の第2内部電極パターン221はストライプ状であってもよく、互いに平行に形成されてもよい。
【0028】
以下、第1内部電極パターン221が形成されたセラミックグリーンシートは第1セラミックグリーンシート221aと呼ばれることができ、第2内部電極パターン222が形成されたセラミックグリーンシートは第2セラミックグリーンシート221bと呼ばれることができる。
【0029】
次に、図7に示されたように、第1内部電極パターン221と第2内部電極パターン222とが交差積層されるように第1及び第2セラミックグリーンシート221a、221bを交互に積層することができる。
【0030】
その後、上記第1内部電極パターン221は第1内部電極121となり、第2内部電極パターン222は第2内部電極122となることができる。
【0031】
このとき、上記第1及び第2セラミックグリーンシートの厚さtd'は0.6μm以下であってもよい。これにより、誘電体層tdの厚さが0.4μm以下の薄膜を有する超小型高容量積層型電子部品を実現することができる。
【0032】
また、第1及び第2内部電極パターンの厚さte'は0.5μm以下であってもよい。これにより、内部電極teの厚さが0.4μm以下の薄膜を有する超小型高容量積層型電子部品を実現することができる。
【0033】
図8は、本発明の一実施形態に従って第1及び第2セラミックグリーンシートが積層されたセラミックグリーンシート積層体220を示す断面図であり、図9は、第1及び第2セラミックグリーンシートが積層されたセラミックグリーンシート積層体220を示す斜視図である。
【0034】
図8及び図9を参照すると、複数個の平行な第1内部電極パターン221が印刷された第1セラミックグリーンシート211aと複数個の平行な第2内部電極パターン222が印刷された第2セラミックグリーンシート211bとは互いに交互に積層されている。
【0035】
より具体的に、第1セラミックグリーンシート211aに印刷されたストライプ状の第1内部電極パターン221の中央部と第2セラミックグリーンシート211bに印刷されたストライプ状の第2内部電極パターン222との間の間隔が重なるように積層されてもよい。
【0036】
次に、図9に示されたように、上記セラミックグリーンシート積層体220は、複数個のストライプ状の第1内部電極パターン221及びストライプ状の第2内部電極パターン222を横切るように切断されてもよい。すなわち、上記セラミックグリーンシート積層体210は、互いに直交するC1-C1及びC2-C2切断線に沿って切断された積層本体210となることができる。
【0037】
より具体的に、ストライプ状の第1内部電極パターン221及びストライプ状の第2内部電極パターン222は、長さ方向に切断されて一定の幅を有する複数個の内部電極に分割されてもよい。このとき、積層されたセラミックグリーンシートも内部電極パターンと共に切断される。これにより、誘電体層は内部電極の幅と同じ幅を有するように形成されることができる。
【0038】
また、C2-C2切断線に沿って個別的な本体サイズに合わせて切断することができる。すなわち、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する前に、棒状の積層体をC2-C2切断線に沿って個別的な本体サイズに切断して複数個の積層本体210を形成することができる。
【0039】
すなわち、棒状の積層体を、重ねられた第1内部電極の中心部と第2内部電極との間に形成された所定の間隔が同一の切断線によって切断されるように切断することができる。これにより、第1内部電極及び第2内部電極の一端は切断面に交互に露出することができる。
【0040】
セラミックグリーンシート積層体220を切断するための方法は、特に限定する必要はない。例えば、ブレード(blade)を用いてギロチン方式で切断するか、又はダイシングブレード(dicing blade)を回転させて切断するダイシング方式を用いることができる。
【0041】
図10を参照すると、積層本体210は、第1方向に対向する第1及び第2面1、2、第2方向に対向する第3及び第4面3、4、第3方向に対向する第5及び第6面5、6を含み、上記第1内部電極パターン221が前記第1、第2及び第3面に露出し、上記第2内部電極パターン222が上記第1、第2及び第4面に露出することができる。第1内部電極パターン221と第2内部電極パターンの末端222が幅方向に露出した側面は、第1及び第2面1、2であってもよい。
【0042】
積層本体210の第1及び第2面に粘着層粘着段階及び粘着層剥離段階を行う場合、第1及び第2面のうちいずれか一面に粘着層粘着段階及び粘着層剥離段階を行った後、残りの一面に粘着層粘着段階及び粘着層剥離段階を行うことができる。
【0043】
その後、積層本体210の第1内部電極パターン221と第2内部電極パターン222の末端が露出した側面に粘着層ADを接着し、粘着層ADを剥離することにより側面の異物を除去することができる。
【0044】
セラミックグリーンシート積層体220の切断時に、セラミックグリーンシート積層体220を固定するための粘着物質がブレードまたはダイシングブレードに付くことがあり、ブレードまたはダイシングブレードに付いた粘着物質が積層本体210に遷移して粘着残渣30となる可能性がある。粘着残渣30によりサイドマージン部に隙間ができる不良が発生する可能性があり、耐湿信頼性が低下する恐れがある。
【0045】
また、図11のS1領域の拡大図である図12を参照すると、セラミックグリーンシート積層体220の切断時に、ブレードまたはダイシングブレードにより内部電極パターン221、222の金属粒子21が押し出されて積層本体210の側面のうちセラミックグリーンシート211の表面に異物として存在することがある。このとき、金属粒子21の一部は、表面に露出することにより酸化し、酸化金属粒子21'として存在することができる。セラミックグリーンシート211の表面に存在する金属粒子21及び酸化金属粒子21'は、焼成後、第1内部電極と第2内部電極とを電気的に連結させる通路となり、短絡(short)が発生する可能性がある。一方、図11図18に示した積層本体210は、第1及び第2内部電極パターンが共に見えるように、図10のIII-III'線に沿って切断した断面を示したものである。
【0046】
本発明の一実施形態に従って、積層本体210の第1内部電極パターン221と第2内部電極パターン222の末端が露出した側面に粘着層ADを接着し、粘着層ADを剥離することにより側面の異物を除去する場合、積層本体210の側面のうちセラミックグリーンシート211の表面に配置された金属粒子21及び酸化金属粒子21'による短絡(short)を抑制することができ、粘着残渣30によるサイドマージン部に隙間ができる不良及び耐湿信頼性の不良を抑制することができる。
【0047】
また、粘着層ADを用いて異物を除去することにより、研磨、切削、エッチング、レーザー研磨などを用いた異物除去に比べて、積層本体210の物理的、化学的変形を最小化し、生産性を高めて効率的に異物を除去することができる。
【0048】
図11及び図13に示されたように、粘着層ADが付着されたベースフィルムBFを準備した後、粘着層ADが積層本体210の第1内部電極パターン221と第2内部電極パターン222の末端が露出した側面に接着するように加圧することができる。
【0049】
次に、図15に示されたように、粘着層ADを剥離すると、粘着層ADに粘着残渣30、導電性金属21、酸化導電性金属21'等の異物を除去することができる。
【0050】
図16は、図15のS2領域を拡大した図である。異物が除去された積層本体210の側面の表面を拡大して示した図16を参照すると、金属粒子21の一部は表面に露出することにより酸化した酸化金属粒子21'が除去されたことを確認することができる。
【0051】
また、金属粒子21及び酸化導電性金属21'が除去されることにより、表面粗さが増加し、セラミックグリーンシート及び内部電極パターンの一部領域が除去されたことが確認できる。
【0052】
このとき、粘着層AD剥離後の積層本体210の側面1、2の中心線平均粗さが、粘着層AD剥離前の積層本体210の側面1、2の中心線平均粗さより1.5倍以上大きくてもよい。これにより、サイドマージン部と側面との接触面積を増加させることができ、サイドマージン部との接着力を向上させることができる。
【0053】
このとき、上記除去された一部領域は、積層本体210の側面から上記側面に垂直な方向への深さdが0nm超過250nm以下であってもよい。深さdが250nmを超える場合は、静電容量が低下する可能性があり、外観不良が発生する可能性がある。
【0054】
粘着層ADの種類は特に限定する必要はなく、天然系、合成ゴム系、シリコン系、ウレタン系、アクリル系などであってもよく、シリコン-アクリル-ウレタンなどが混合されたものであってもよい。天然系の例としては、ラテックス、でん粉、セルロース、タンパク質などがあり、合成ゴム系の例としては、IR(Isoprene Rubber)、NBR(Nitrile Butadiene Rubber)、SBR(Styrene Butadiene Rubber)、CR(Chloroprene Rubber)、Silicon Rubberなどがある。
【0055】
但し、本発明の一実施形態によると、図14に示されたように、粘着層ADは、紫外線照射時に硬化する物質を含み、粘着層ADを粘着してから剥離する前に、粘着層ADに紫外線UVを照射する段階をさらに含むことができる。
【0056】
粘着層ADが、紫外線照射時に硬化する物質を含む場合、粘着層ADが積層本体210の第1内部電極パターン221と第2内部電極パターン222の末端が露出した側面に接着するように加圧する際、異物は粘着層ADの内部に一部が埋め込まれた形態となる。その後、紫外線(UV、ultravioletrays)を照射すると、粘着層が硬化して粘着力が低下することにより、積層本体210の表面に大きな損傷なしに、異物を容易に除去することができる。
【0057】
一方、粘着層ADの厚さに対するベースフィルムBFの厚さの比を特に限定する必要はなく、ベースフィルムBFの厚さが非常に薄くて、粘着層の厚さ に対するベースフィルムの厚さの比が2.8%である場合であっても、安定的に異物を除去できることを実験によって確認することができた。
【0058】
したがって、上記粘着層の上記積層本体との付着面と反対面はベースフィルムと接着されており、上記粘着層の厚さに対する上記ベースフィルムの厚さの比は2.8%以上であってもよい。
【0059】
このとき、ベースフィルムの種類は特に限定する必要はなく、金属系、高分子系、紙系、綿系、ゴム系などであってもよい。金属系の例示としては、Cu箔(foil)、Al箔(foil)などがあり、フィルム系の例示としては、PET(Polyethylene terephthalate)、PI(Polyimid)、PU(Polyurethane)、PO(Polyolefin)、PP(Polypropylene)、PE(Polyethylene)、ナイロン(Nylon)、セロファン(Cellophane)、PEN(Polyethylene Naphtalate)、Teflon(登録商標)(Polytetrafluoroethylene)、PVC(Polyvinyl chloride)、PVDC(Polyvinylidene chloride)、PS(Polystyrene)などがある。
【0060】
一実施形態において、上記粘着層接着段階は85℃以下で行われることができる。85℃を超える温度では、粘着層が積層本体210に貼り付く可能性があり、むしろ粘着残渣が増加する恐れがあるため、サイドマージン部に隙間ができる不良及び耐湿信頼性の不良が増加する可能性がある。
【0061】
その後、上記積層本体210の第1及び第2面に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成することができる。
【0062】
図17に示されたように、上記積層本体210の上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が露出した側面にサイドマージン部用セラミックグリーンシート212を付着することができる。
【0063】
上記積層本体210の第1面にサイドマージン部用セラミックグリーンシート212を付着して第1サイドマージン部112を形成することができ、その後、上記積層本体220の第2面にサイドマージン部用セラミックグリーンシート212を付着して第2サイドマージン部113を形成することができる。
【0064】
具体的に、第1サイドマージン部112の形成方法は、サイドマージン部用セラミックグリーンシート212をラバー材質のパンチング弾性材300の上部に配置する。
【0065】
次に、上記積層本体210の第1側面が、前記サイドマージン部用セラミックグリーンシート212に相対するように上記積層本体210を90度回転させた後、上記積層本体210を上記サイドマージン部用セラミックグリーンシート212に加圧密着させる。
【0066】
上記積層本体210を上記サイドマージン部用セラミックグリーンシート212に加圧密着させ、サイドマージン部用セラミックグリーンシート212を上記積層本体210に転写する場合、上記ラバー材質のパンチング弾性材300により、上記サイドマージン部用セラミックグリーンシート212は上記積層本体210の側面の角部まで形成され、残りの部分は切断されてもよい。
【0067】
図18では、サイドマージン部用セラミックグリーンシート212が上記積層本体210の側面の角部まで形成されたことを示している。
【0068】
その後、上記積層本体210を180度回転させ、上述した工程を繰り返して積層本体210の第2側面に第2サイドマージン部113を形成することができる。
【0069】
次に、上記サイドマージン部用セラミックグリーンシートが付着された積層本体210を焼成(sintering)することができる。セラミックグリーンシート211は焼成後、誘電体層111となり、第1及び第2内部電極パターン221、222は焼成後、それぞれ第1及び第2内部電極121、122となることができる。したがって、積層本体210は、焼成後に誘電体層111、第1及び第2内部電極121、122を含む本体110となることができる。
【0070】
本発明では、粘着層により側面1、2の酸化金属粒子21'を除去したため、サイドマージン部用セラミックグリーンシート212の弱アルカリ性成分が内部電極パターン221、222の酸化していない金属粒子と出会い、焼成時に内部電極の収縮を抑制することができる。これにより、焼成後、側面1、2から積層本体の内部方向に3μm内に存在する空隙の数を減らすことができ、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0071】
一実施形態において、焼成後、積層本体210の側面1、2から積層本体210の内部方向に3μm内に存在する空隙の数をNp、内部電極の数をNeとするとき、Np/Neを0.15以下に確保することができる。より好ましくは、上記Np/Neは0.10以下であってもよく、よりさらに好ましくは0.05以下であってもよい。
【0072】
その後、第1内部電極121が露出した本体110の第3面と、上記第2内部電極122が露出した本体110の第4面にそれぞれ外部電極131、132を形成することができる。
【0073】
まず、積層本体210にサイドマージン部212の一部を覆うように外部電極用導電性ペーストを塗布することができる。
【0074】
その後、塗布された外部電極用導電性ペーストを焼成(firing)して外部電極を形成することができる。
【0075】
その後、上記外部電極上にめっき層を形成する段階を行うことができる。
【0076】
めっき層を形成する方法は特に限定する必要はなく、電解めっき法、無電解めっき法等を用いることができる。また、Ni、Sn、Pdなどを用いてめっき層を形成することができる。さらに、めっき層形成は、めっき層が2層以上に形成されるように行うことができる。
【0077】
めっき層に対するより具体的な例を挙げると、めっき層は、Niめっき層、Snめっき層またはPdめっき層であってもよく、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態、又はNiめっき層及びPdめっき層が順次形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であってもよい。また、めっき層は、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0078】
[積層型電子部品]
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものであり、
図2は、図1の積層型電子部品において外部電極を除いて示した斜視図であり、
図3は、図1の積層型電子部品において外部電極及びサイドマージン部を除いて示した斜視図であり、
図4は、図1のI-I'線に沿った断面図であり、
図5は、図1のII-II'線に沿った断面図であり、
図6は、図5のS領域を拡大した図である。
【0079】
以下では、図1図6を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100について説明する。
【0080】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、複数の誘電体層111を含み、第1方向(W方向)に対向する第1面1及び第2面2、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向(L方向)に対向する第3面3及び第4面4、上記第1面から第4面と連結され、第3方向(T方向)に対向する第5面5及び第6面6を含む本体110と、上記第1面1及び第2面2に配置されるサイドマージン部112、113と、上記第3面3及び第4面4に配置される外部電極131、132と、上記本体110の内部に配置され、上記第3面3または第4面4において上記外部電極131、132と連結され、上記第1及び第2面1、2においてサイドマージン部112、113と連結される複数の内部電極121、122と、を含み、上記サイドマージン部から上記本体の内部方向に3μm内に存在する内部電極に含まれた空隙の数をNp、内部電極の数をNeとするとき、Np/Neは0.15以下である。
【0081】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0082】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなってもよい。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0083】
本体110は、第1方向(W方向)に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向(L方向)に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、第3方向(Z方向)に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0084】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0085】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3またはBa(Ti1-yZry)O3等が挙げられる。
【0086】
また、本発明の目的に応じて、様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などを添加することができる。
【0087】
上記本体110の内部に配置された複数個の内部電極121、122は、本体の第3面3または第4面4に一端が露出する。
【0088】
上記内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する第1内部電極121及び第2内部電極122を一対とすることができる。
【0089】
第1内部電極121の一端は第3面3に露出し、第2内部電極122の一端は第4面4に露出することができる。第1内部電極121の他端は第4面4から離隔して配置され、第2内部電極122の他端は第3面3から離隔して配置されてもよい。
【0090】
本体の第3面3及び第4面4には、外部電極131、132が配置されて内部電極121、122と連結されてもよい。
【0091】
図3を参照すると、誘電体層111に第1内部電極121が形成されている。上記第1内部電極121は、誘電体層の長さ方向に対しては全体的に形成されていない。すなわち、第1内部電極121の一端は第3面3まで形成されて第3面3に露出し、第1内部電極121の他端は本体110の第4面4から所定の間隔を置いて形成されてもよい。
【0092】
本体110の第3面3に露出した第1内部電極の端部は、第1外部電極131と連結される。
第1内部電極とは逆に、第2内部電極122の一端は第4面4に露出して第2外部電極132と連結され、第2内部電極122の他端は第3面3から所定の間隔を置いて形成される。
上記内部電極は、高容量積層型電子部品の実装のために400層以上積層されてもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0093】
サイドマージン部112、113から本体110の内部方向に3μm内に存在する内部電極に含まれた空隙の数をNp、内部電極の数をNeとするとき、Np/Neは0.15以下であってもよい。より好ましくは、前記Np/Neは0.10以下であってもよく、よりさらに好ましくは0.05以下であってもよい。
【0094】
サイドマージン部に隣接した内部電極の末端における空隙の数が増加する場合、水分の浸透経路として作用して耐湿信頼性が低下する恐れがあるが、本発明の一実施形態に従ってNp/Neを0.15以下とする場合、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0095】
サイドマージン部に隣接した内部電極の末端における空隙の数を制御する方法は特に限定する必要はないが、上述したように、サイドマージン部を配置する前に粘着層によって本体の第1及び第2面1、2の酸化金属粒子21'を除去することにより、サイドマージン部用セラミックグリーンシート212の弱アルカリ性成分が内部電極パターン221、222の酸化していない金属粒子と出会い、焼成時に内部電極の収縮を抑制することができる。これにより、サイドマージン部に隣接した内部電極の末端に空隙の数を抑制することができる。
【0096】
Np/Neを0.15以下に制御する方法は特に限定されない。
【0097】
このとき、上記Np及びNeは、上記本体を上記第2方向の中央部から上記第1及び第3方向に切断した断面において、上記第3方向の中央部に配置された20個の内部電極から測定したものであってもよい。
【0098】
内部電極121、122を形成する材料は特に限定されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。
【0099】
上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを使用することができ、本発明はこれに限定されるものではない。
【0100】
本体110は、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Aと、上記容量形成部Aの第3方向(T方向)の両端面(end surface)に形成された保護層114、115を含むことができる。
【0101】
上記容量形成部Aは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返して第3方向(T方向)に積層して形成することができる。
【0102】
保護層114、115は、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部の第3方向(T方向)の両端面(end surface)にそれぞれ第3方向(T方向)に積層して形成することができ、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
保護層114、115は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。
【0103】
一実施形態において、誘電体層111の平均厚さは0.4μm以下であってもよい。誘電体層の厚さは内部電極の間隔と対応するため、誘電体層の厚さが薄いと、積層型電子部品の静電容量が向上することができる。
【0104】
一実施形態において、内部電極121、122の平均厚さは0.4μm以下であってもよい。本実施形態の積層型電子部品は、内部電極の端部においてキャパシタ本体の段差が改善できる。したがって、誘電体層と内部電極の厚さを上記のように薄くして多層薄膜化しても、積層型電子部品の信頼性に大きな問題は発生しないため、積層型電子部品の容量を増加させながら信頼性も確保することができる。また、上記のように、第1及び第2内部電極の平均厚さが薄くなると、焼成後の収縮率が減少するため、キャパシタ本体の端部及びマージン部におけるボイドの直径をさらに減少させることができる。したがって、積層型電子部品の信頼性をさらに向上させることができる。
【0105】
誘電体層及び内部電極層の平均厚さは、積層本体の長さ方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、1つの誘電体層及び内部電極層に対して長さ方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、容量形成部Aで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層及び内部電極に拡張して平均値を測定すると、誘電体層及び内部電極層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0106】
本体の第1面1及び第2面2にはサイドマージン部112、113が配置される。サイドマージン部112、113は、第1面1に配置される第1サイドマージン部112及び第2面2に配置される第2サイドマージン部113を含むことができる。
【0107】
複数の内部電極121、122の各側部は、上記本体110の幅方向の面である第1面1及び第2面2に露出し、露出した側部上に第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113が配置されることができる。
サイドマージン部112、113は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0108】
第1及び第2サイドマージン部112、113の第1方向の大きさは特に制限する必要はない。例えば、第1及び第2サイドマージン部112の第1方向の大きさは、それぞれ2μm以上10μm以下であってもよい。このとき、第1及び第2サイドマージン部112の第1方向の大きさは、複数の内部電極121、122のうち中央部に配置される内部電極の末端と接する第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1を意味することができる。
【0109】
第1及び第2サイドマージン部112、113の第1方向の大きさが2μm未満である場合は、側面に露出する内部電極121、122のショートを防止することが困難になる可能性がある。これは、10μmを超える場合、相対的に内部電極121、122の重なり面積が減少して、サイドマージン部の導入による高容量の確保効果が微弱になる可能性があるためである。
【0110】
図5を参照すると、複数の内部電極121、122のうち中央部に配置される内部電極の末端と接する第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対して、最外郭に配置される内部電極の末端と接する第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc2の割合は、1.0以下であってもよい。このとき、第1及び第2サイドマージン部領域の厚さは、第1及び第2サイドマージン部の第1方向の大きさを意味することができる。
【0111】
中央部に配置される内部電極の末端と接する第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対して、最外郭に配置される内部電極の末端と接する第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc2の割合の下限値は特に制限されるものではないが、0.9以上であることが好ましい。
【0112】
本発明の一実施形態によると、第1または第2サイドマージン部112、113は、従来とは異なり、サイドマージン部用セラミックグリーンシートを本体110の側面に付着して形成されるため、第1または第2サイドマージン部の位置別厚さが一定である。
【0113】
すなわち、従来は、セラミックスラリーを塗布あるいは印刷する方式でサイドマージン部を形成したため、サイドマージン部の位置別厚さのばらつきが激しかった。
【0114】
具体的に、従来の場合は、本体の中央部に配置される内部電極の末端と接する第1または第2サイドマージン部領域の厚さが、他の領域の厚さに比べて厚く形成されていた。
【0115】
例えば、従来の場合、中央部に配置される内部電極の末端と接する第1または第2サイドマージン部領域の厚さに対して、最外郭に配置される内部電極の末端と接する第1または第2サイドマージン部領域の厚さの割合は0.9未満程度であって、そのばらつきが大きい。
【0116】
このように、サイドマージン部の位置別厚さのばらつきが大きい従来の場合、同一サイズの積層型電子部品において、サイドマージン部が占める部分が大きいため、容量形成部のサイズを大きく確保することができず、高容量の確保に困難がある。
【0117】
これに対し、本発明の一実施形態は、複数の内部電極121、122のうち、中央部に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対して、最外郭に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc2の割合は0.9以上1.0以下であるため、第1及び第2サイドマージン部112、113の第1方向の長さを薄くすることができ、容量形成部のサイズを大きく確保することができる。
【0118】
本発明の一実施形態では、従来とは異なり、セラミックグリーンシートを本体の側面に付着して形成するため、第1または第2サイドマージン部の位置別厚さが一定である。これにより、高容量積層型電子部品の実現が可能である。
【0119】
一方、図5を参照すると、複数の内部電極121、122のうち、中央部に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対して、本体110の角部と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc3の割合は1.0以下であってもよい。
【0120】
中央部に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対して、上記本体110の角部と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc3の割合の下限値は0.9以上であることが好ましい。
【0121】
上記の特徴により、サイドマージン部の領域別厚さのばらつきが少なく、容量形成部のサイズを大きく確保することができる。これにより、高容量積層型電子部品の実現が可能である。
【0122】
上記tc1、tc2及びtc3は、上記本体を第2方向の中央部から上記第1及び第3方向に切断した断面で測定したものであってもよい。
【0123】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置される。図4に示された形態のように、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。
【0124】
本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変わることができる。
【0125】
また、図1を参照すると、外部電極131、132はサイドマージン部112、113の一部を覆う形態で配置されてもよい。
【0126】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる材料を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに多層構造を有してもよい。
【0127】
外部電極131、132の多層構造に対する例を挙げると、図4に示されたように、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a、上記電極層131a、132a上に配置された導電性樹脂層131b、132b及び上記導電性樹脂層131b、132b上に配置されためっき層131c、132cを含むことができる。
【0128】
但し、これに限定されるものではなく、外部電極は、電極層131a、132a及び上記電極層131a、132a上に配置されためっき層を含む2層構造を有することができる。
【0129】
電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であってもよい。また、電極層131a、132aは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されてもよい。また、第1及び第2電極層131a、132aは、原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)工法、分子層蒸着(Molecular Layer Deposition、MLD)工法、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)工法、スパッタリング工法などを用いて形成されてもよい。
【0130】
電極層131a、132aに使用される導電性金属は、静電容量形成のために上記内部電極と電気的に連結できる材質であれば特に制限されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された1つ以上を含むことができる。
【0131】
導電性樹脂層131b、132bは、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。
導電性樹脂層131b、132bに使用される導電性金属は、静電容量形成のために上記内部電極と電気的に連結できる材質であれば特に制限されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された1つ以上を含むことができる。
【0132】
めっき層131c、132cに対するより具体的な例を挙げると、めっき層は、Niめっき層、Snめっき層、またはPdめっき層であってもよく、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態、又はNiめっき層及びPdめっき層が順次形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であってもよい。また、めっき層は、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0133】
(実験例1)
セラミックグリーンシート積層体を切断して図10に示されたような積層本体を設けた後、発明例は、UVテープで側面1、2にUVテープを接着及び加圧した後、UVテープにUVを照射して硬化させてから、UVテープを剥離する異物除去工程を行った。一方、比較例は、別途の異物除去工程を実施しなかった。
【0134】
その後、発明例及び比較例の側面1、2の厚さ方向及び長さ方向に対する中心線平均粗さRaを測定した。
厚さ方向に対する中心線平均粗さは、長さ方向に均等な間隔を有する12本の線について測定した値及びこれらの平均値を下記表1に記載した。同様に、長さ方向に対する中心線平均粗さも厚さ方向に均等な間隔を有する12本の線について測定した値及びこれらの平均値を下記表1に記載した。
【0135】
算術平均粗度Raとは、粗度曲線において、その平均線の方向に基準長さlだけを抽出した後、この抽出部分の平均線方向にX軸を、縦倍率方向にY軸をとり、粗度曲線をy=f(x)で示して下記式1で求めた値をマイクロメーター単位で表したものである。
【0136】
[式1]
【0137】
算術平均粗度Raは、Keyence社のVK-X1000(Nanosurface 3D optical profiler)装置を用いてチップのLT面において長さ方向と厚さ方向にスキャンして測定した。
【0138】
【表1】
【0139】
比較例の厚さ方向に対する中心線平均粗さの平均値は0.431、発明例の厚さ方向に対する中心線平均粗さの平均値は0.717と測定され、厚さ方向に対する中心線平均粗さが1.5倍以上向上したことが確認できる。
【0140】
また、比較例の長さ方向に対する中心線平均粗さの平均値は0.324、発明例の長さ方向に対する中心線平均粗さの平均値は0.602と測定され、長さ方向に対する中心線平均粗さが1.5倍以上向上したことが確認できる。
【0141】
その後、第1及び第2面にサイドマージン部を形成した後、サイドマージン部の接着強度を測定した。サイドマージン部の接着強度は、比較例及び発明例のそれぞれ100個のサンプルについて、サイドマージン部を横方向に引っ張ってサイドマージン部が剥離する最大強度をDage 4000plus装置を使用して測定した。
【0142】
比較例のサイドマージン部の接着強度の平均値を100としたとき、発明例のサイドマージン部の接着強度の平均値は112程度であり、接着強度が12%向上したことを確認した。
【0143】
その後、焼成工程を経てから、内部電極の幅方向の先端の空隙を観察した。
【0144】
まず、発明例及び比較例のサンプルチップを幅方向(W方向)と厚さ方向(T方向)により規定される面(WT面)が露出するように研磨機によって、上記サンプルチップのWT側面を研磨した。このとき、サンプルチップの長さ方向(L方向)の1/2程度の深さまで研磨を行い、研磨面であるWT面(WT研磨断面)を露出させた。内部電極が積層されている領域をT方向に3等分に分割し、上部領域、中間領域、下部領域の3つの領域に分けた。そして、図19及び図20に示すように、上記中間領域において、上記サイドマージン部から上記本体の内部方向に3μm内に存在する内部電極に含まれた空隙の数をNpとして測定した。
【0145】
図19は発明例に対するイメージであり、図20は比較例に対するイメージである。図19図20とを比較してみると、サイドマージン部から本体の内部方向に3μm内に存在する内部電極に含まれた空隙の数をNp、内部電極の数をNeとするとき、発明例のNp/Neは0.15であり、比較例のNp/Neは0.35である。比較例に比べて、発明例の内部電極の先端における空隙数が著しく減少したことが確認できる。
【0146】
また、比較例及び発明例のそれぞれ100個のサンプルを作製してショート不良率を比較した。比較例のショート不良率を100としたとき、発明例のショート不良率は41.10と測定され、ショート不良率も著しく減少したことが確認できた。
【0147】
(実験例2)
粘着テープの仕様及び工程条件を下記表2の条件にして異物を除去した後、粘着残渣、サイドマージン部の不良及び耐湿信頼性を測定し、下記表3に記載した。
【0148】
粘着残渣は、イメージ分析プログラムを用いて粘着残渣とその他の部分を明確に区分した後、粘着残渣の面積を定量的に測定した。
【0149】
サイドマージン不良は、各試験番号当たり1200個のサンプルチップに対してWT方向にモールディングしてポリッシングした後、光学顕微鏡でサイドマージンに隙間ができているか否かをT方向の1/10部分、1/3部分、1/2部分について3回ずつ検査して確認し、サイドマージンに隙間ができているサンプルを不良と判断し、その個数を下記表3に記載した。
【0150】
耐湿信頼性の評価は、各試験番号当たり120個のサンプルチップについて評価した。各サンプルチップを120℃、相対湿度95%の雰囲気で5V/μmの電界を20時間印加した後、電界印加開始前と比較して絶縁抵抗値が1/10以下に低下したサンプルチップを不良と判断し、不良と判断されたサンプルチップの個数を下記表3に記載した。
【0151】
【表2】
【0152】
【表3】
【0153】
粘着層接着時の温度が100℃である試験番号15の場合、異物除去工程を行っていない試験番号16よりも粘着残渣が増加し、サイドマージンに隙間ができる不良も増加した。
【0154】
試験番号15を除いた試験番号1~14はいずれも、試験番号16に比べてサイドマージン部の不良率が著しく減少し、耐湿信頼性も向上したことが確認できる。
【0155】
特に、試験番号4の場合、ベースフィルムを非常に薄くして実験したものであって、粘着層の厚さに対するベースフィルムの厚さの比が2.8%である場合でも安定的に異物を除去できることを実験によって確認することができる。
【0156】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されず、添付の特許請求の範囲によって限定される。よって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当該技術分野における通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0157】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:サイドマージン部
121、122:内部電極
131、132:外部電極
図1
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