(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170669
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】コイルセンタリング絶縁フィルムを含む、電気モータのステータ用の予備成形されたコイルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/34 20060101AFI20221102BHJP
H02K 15/04 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H02K3/34 C
H02K15/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022017052
(22)【出願日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】21170843
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】502149218
【氏名又は名称】エテル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ダニエーレ・ヴェロネーシ
(72)【発明者】
【氏名】ジョアン・プルシェ
【テーマコード(参考)】
5H604
5H615
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604CC01
5H604CC05
5H604DB26
5H604PB03
5H615AA01
5H615PP01
5H615PP13
5H615QQ03
5H615RR02
5H615SS11
(57)【要約】
【課題】製造について費用効果がある予備成形されたコイルアセンブリを提供する。
【解決手段】予備成形されたコイルアセンブリの端部に第1及び第2の巻線支持部30aを有し、歯が2つの反対側の側部14a,14bを含み、予備成形されたコイルアセンブリが、第1及び第2の絶縁フィルム27a,27bを含み、第1及び第2の絶縁フィルム27a,27bが、重なった絶縁フィルム部分を有する上下の折り返し部28a,28bを含み、側部14a,14bと絶縁フィルム27a,27bの対応する非折り返し部の間の第1及び第2の距離d1,d2を確保するために、重なったフィルム絶縁部の一方側が、絶縁フィルム27a,27bの対応する部分に当接し、重なったフィルム絶縁部の他方側が、巻線支持部30aの壁38a,38bに当接し、歯に対してセンタリングされるように、第1及び第2の距離d1,d2が等しい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータのステータ(10)用の予備成形されたコイルアセンブリ(20)であって、該予備成形されたコイルアセンブリ(20)のそれぞれ反対側の端部に位置する第1及び第2の巻線支持部(30a,30b)と、ステータ(10)の歯(12)の周囲に嵌合される細長い開口部(26)をその間に有する第1及び第2の細長い巻線部分(24a,24b)を形成するように第1及び第2の巻線支持部(30a,30b)の周囲に巻き付けられた巻線部分(22)とを有し、歯が、2つの反対側の側部(14a,14b)を含み、予備成形されたコイルアセンブリ(20)が、それぞれ前記第1及び第2の巻線部分(24a,24b)の周囲に配置された第1及び第2の絶縁フィルム(27a,27b)を更に含み、該第1及び第2の絶縁フィルム(27a,27b)のそれぞれが、それぞれ重なった絶縁フィルム部分を有する上側の折り返し部及び下側の折り返し部(28a,28b)を含み、歯(12)のそれぞれの反対側の側部(14a,14b)と第1及び第2の絶縁フィルム(27a,27b)の対応する非折り返し部(29)との間の第1及び第2の距離(d1,d2)を確保するために、それぞれ重なったフィルム絶縁部の一方側が、それぞれ第1及び第2の巻線部分(24a,24b)の内側で絶縁フィルム(27a,27b)の対応する部分に当接し、それぞれ重なったフィルム絶縁部の他方側が、それぞれの巻線支持部(30a,30b)のそれぞれの第1及び第2の反対側の壁(38a,38b)に当接し、予備成形されたコイルアセンブリ(20)が歯の周囲に取り付けられたときに歯に対してセンタリングされるように、前記第1及び第2の距離(d1,d2)が等しいことを特徴とする予備成形されたコイルアセンブリ。
【請求項2】
前記第1及び第2の距離(d1,d2)のそれぞれが0.2~0.4mmであることを特徴とする請求項1に記載の予備成形されたコイルアセンブリ(20)。
【請求項3】
前記第1及び第2の距離(d1,d2)のそれぞれが概ね0.3mmに等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載の予備成形されたコイルアセンブリ(20)。
【請求項4】
前記第1及び第2の絶縁フィルム(27a,27b)のそれぞれの厚さが、前記非折り返し部(29)において0.2~0.4mmの範囲にあるとともに好ましくは概ね0.3mmに等しく、フィルムの厚さが、前記上側及び下側の折り返し部(28a,28b)において0.4~0.8mmの範囲にあるとともに好ましくは概ね0.6mmに等しく、各重なったフィルム絶縁部分の厚さが、好ましくは0.3mmに等しいことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の予備成形されたコイルアセンブリ(20)。
【請求項5】
第1及び第2の巻線支持部(30a,30b)のそれぞれが、末端巻線部(32)と、第1及び第2の反対側の側壁(38a,38b)を含むベース部(36)とを含んでおり、末端巻線部(32)の下部が、第1及び第2の絶縁フィルム(27a,27b)の折り返し範囲(28c)が対応する突出部(34a,34b)に対して、好ましくは該突出部の平坦な面に対して位置するようにベース部(36)のそれぞれ第1及び第2の反対側の側壁(38a,38b)に対して垂直に末端部(25)へ延びる保護部(34a,34b)を有するベース部よりも幅広なベース部(36)に隣接していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の予備成形されたコイルアセンブリ(20)。
【請求項6】
前記反対側の側壁(38a,38b)のそれぞれと対応する突出部(34a,34b)の末端部(25)との間の距離(d3)が、対応する絶縁フィルム(27a,27b)の対応する折り返し部(28a,28b)の厚さに概ね等しいことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の予備成形されたコイルアセンブリ(20)。
【請求項7】
前記距離(d3)が概ね0.6mmに等しいことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の予備成形されたコイルアセンブリ(20)。
【請求項8】
第1及び第2の巻線支持部(30a,30b)それぞれの前記末端巻線部(32)が、絶縁フィルムによって覆われていない第1及び第2の細長い巻線部分(24a,24b)の対応する部分に当接する2つの反対側の側壁(33a,33b)を含んでいることを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の予備成形されたコイルアセンブリ(20)。
【請求項9】
複数の歯(12)と、該複数の歯の周囲に取り付けられた請求項1~8のいずれか1項に記載の複数の予備成形されたコイルアセンブリ(20)とを含む、電気モータ用のステータ(10)であって、各歯(12)のそれぞれ反対側の側部(14a,14b)と第1及び第2の絶縁フィルム(27a,27b)のそれぞれとの間の距離(d1,d2)が、絶縁樹脂で満たされた各歯(40a,40b)の両側における隙間(40a,40b)を形成していることを特徴とするステータ。
【請求項10】
請求項9に記載のステータ(10)を含む、電気モータ、特に回転型電気モータ。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の予備成形されたコイルアセンブリを製造する方法であって、以下のステップ:
-巻線支持部サポートの各端部に第1及び第2の巻線支持部(30a,30b)を取り付けるステップであって、各巻線支持部が、末端巻線部(32)と、2つの反対側の側壁(38a,38b)を含むベース部(36)とを含み、末端巻線部(32)の下部が、各反対側の側壁(38a,38b)に対して垂直に延びる第1及び第2の一連の保護部(34a,34b)を形成するベース部よりも幅広なベース部(36)に隣接する、前記ステップと、
-第1及び第2の絶縁フィルム(27a,27b)を設け、該第1及び第2の絶縁フィルムそれぞれの2つの反対側の部分を折り返すステップと、
-第1及び第2の巻線支持部(30a,30b)それぞれの各々の2つの反対側の側壁(38a,38b)に対して折り返された部分(28c)に対して当接させるステップであって、折り返し範囲(28c)が、対応する巻線支持部(30a,30b)のそれぞれの第1及び第2の一連の保護部(34a,34b)の平坦な面に対して位置する、前記ステップと、
-間に細長い開口部(26)を有する第1及び第2の細長い巻線部分(24a,24b)を形成するために、第1及び第2の巻線支持部(30a,30b)の周囲に巻き付けられた巻線部分(22)を得るように第1及び第2の巻線支持部(30a,30b)の周囲に巻線を巻回するステップと、
-それぞれ前記第1及び第2の細長い巻線部分(24a,24b)の周囲に前記第1及び第2の絶縁フィルム(27a,27b)を巻き付けるステップと
を含む前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータのステータ用の予備成形されたコイルアセンブリに関するものである。予備成形されたコイルアセンブリは、ステータが取り付けられたときにステータの歯に対してコイルアセンブリをセンタリングさせるコイルセンタリング絶縁フィルムを含んでいる。本発明は、予備成形されたコイルアセンブリを製造する方法と、ステータの各歯に取り付けられる予備成形されたコイルアセンブリを含む電気モータとに関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
電気モータのステータの対応する積層された歯における予備成形されたコイルアセンブリの正確な位置決めを達成することは困難である。一般的に、各予備成形されたコイルアセンブリは、モータの組立注に対応する歯に対して手動で位置決めされる。したがって、通常、予備成形されたコイルアセンブリは、センタリングされず、
図1に図示されているように歯の一方側又は他方側にもたれかかっている。
【0003】
誘電体絶縁の観点から、各予備成形されたコイルアセンブリは、理想的には対応する歯に対してセンタリングされるべきであり、
図2に図示されているように、歯の両側において小さな隙間を残すべきである。モータの誘電体絶縁は、予備成形されたコイルアセンブリとステータの対応する歯との間の物理的なインターフェースと密接に関連している。歯の両側における隙間の対称性により、モータの誘電体絶縁が劇的に改善されるとともに、当該隙間が真空注封プロセス中に絶縁液体化合物で満たされるため、高電圧を受けてもその寿命が劇的に改善される。逆に、各歯の両側における隙間の間の非対称性は、モータの絶縁及びその寿命に悪影響を有する。
【0004】
ステータの歯の反対側の間の隙間と、歯に取り付けられた対応する予備成形されたコイルアセンブリとは、
図3に図示されているように、予備成形されたコイルアセンブリの巻線支持部の2つの反対側の側壁の厚さによって規定されることができる。特許文献1には、このような巻線支持部の例が開示されている。
【0005】
図3の巻線支持部の問題は、反対側の側壁の厚さが隙間自体の厚さを規定しているという事実に起因している。誘電的な観点から、隙間は大きいべきであるものの、性能の観点からは、隙間は、銅充填ファクタ及び放熱を最大化するために隙間は小さい必要がある。最良の妥協は、それぞれ非常に小さな同一の厚さをもった反対側の側壁を有する巻線支持部を有することである。
【0006】
この厚さを達成するために、巻線支持部を製造するための方法は、射出技術に基づいたものである必要がある。この独創的な選択により、新たな巻線支持部を創造するための時間及びコストに関する労力はとても大きくなる。プロトタイプモータ及び少量生産には、新たな巻線支持部をリーズナブルなコストで製造することは考えられない。加えて、コイルのコアにおける巻線支持部の反対側の薄い側壁により、典型的にはガラス強化ポリマから成る側壁が過度の速度及び張力により破損することがあるため、オルソサイクリックコイルの巻付け中に巻付け速度及び銅線における張力に関して巻付けのプロセスが制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第102011081030号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点を回避し、又は少なくとも軽減するように構成された予備成形されたコイルアセンブリを提供することにある。
【0009】
特に、本発明の目的は、製造について費用効果がある予備成形されたコイルアセンブリを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、オルソサイクリックコイルの巻付け中に銅線によって加えられる張力に耐えるのに十分堅牢な巻線支持部を含む予備成形されたコイルアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これら目的は、予備成形されたコイルアセンブリのそれぞれ反対側の端部に位置する第1及び第2の巻線支持部と、ステータの歯の周囲に嵌合される細長い開口部をその間に有する第1及び第2の細長い巻線部分を形成するように第1及び第2の巻線支持部の周囲に巻き付けられた巻線部分とを有する、電気モータのステータ用の予備成形されたコイルアセンブリによって達成される。歯は、2つの反対側の側部を含んでいる。予備成形されたコイルアセンブリは、それぞれ前記第1及び第2の巻線部分の周囲に配置された第1及び第2の絶縁フィルムを更に含んでいる。第1及び第2の絶縁フィルムのそれぞれは、それぞれ重なった絶縁フィルム部分を有する上側の折り返し部及び下側の折り返し部を含んでいる。それぞれ重なったフィルム絶縁部の一方側は、それぞれ第1及び第2の巻線部分の内側で絶縁フィルムの対応する部分に当接する。歯のそれぞれの反対側の側部と第1及び第2の絶縁フィルムの対応する非折り返し部との間の第1及び第2の距離を確保するために、それぞれ重なったフィルム絶縁部の他方側が、それぞれの巻線支持部のそれぞれの第1及び第2の反対側の壁に当接する。予備成形されたコイルアセンブリが歯の周囲に取り付けられたときに歯に対してセンタリングされるように、第1及び第2の距離が等しい。
【0012】
一実施例では、第1及び第2の距離のそれぞれが0.2~0.4mmである。
【0013】
一実施例では、第1及び第2の距離のそれぞれが概ね0.3mmに等しい。
【0014】
一実施例では、第1及び第2の絶縁フィルムのそれぞれの厚さは、非折り返し部において0.2~0.4mmの範囲にあるとともに好ましくは概ね0.3mmに等しい。一実施例では、フィルムの厚さは、上側及び下側の折り返し部において0.4~0.8mmの範囲にあるとともに好ましくは概ね0.6mmに等しい。一実施例では、各重なったフィルム絶縁部分の厚さは、0.2~0.4mmの範囲であり、好ましくは0.3mmに等しい。
【0015】
一実施例では、第1及び第2の巻線支持部のそれぞれが、末端巻線部と、第1及び第2の反対側の側壁を含むベース部とを含んでいる。末端巻線部の下部は、第1及び第2の絶縁フィルムの折り返し範囲が対応する突出部に対して、好ましくは該突出部の平坦な面に対して位置するようにベース部のそれぞれ第1及び第2の反対側の側壁に対して垂直に末端部へ延びる保護部を有するベース部よりも幅広なベース部に隣接している。
【0016】
一実施例では、反対側の側壁のそれぞれと対応する突出部の末端部との間の距離は、対応する絶縁フィルムの対応する折り返し部の厚さに概ね等しい。
【0017】
一実施例では、距離は概ね0.6mmに等しい。
【0018】
一実施例では、第1及び第2の巻線支持部それぞれの末端巻線部は、絶縁フィルムによって覆われていない第1及び第2の細長い巻線部分の対応する部分に当接する2つの反対側の側壁を含んでいる。
【0019】
本発明の他の態様は、複数の歯と、該複数の歯の周囲に取り付けられた対応する複数の予備成形されたコイルアセンブリとを含む、電気モータ用、特に回転型電気モータ用のステータに関するものである。各歯のそれぞれ反対側の側部と第1及び第2の絶縁フィルムそれぞれの対応する非折り返し部の間の距離は、絶縁樹脂で満たされた各歯の両側における隙間を形成する。
【0020】
本発明の他の態様は、上記ステータを含む、電気モータ、特に回転型電気モータに関するものである。
【0021】
本発明の他の態様は、予備成形されたコイルアセンブリを製造する方法であって、以下のステップ:
-巻線支持部サポートの各端部に第1及び第2の巻線支持部を取り付けるステップであって、各巻線支持部が、末端巻線部と、2つの反対側の側壁を含むベース部とを含み、これにより、末端巻線部の下部が、各反対側の側壁に対して垂直に延びる第1及び第2の一連の保護部を形成するベース部よりも幅広なベース部に隣接する、前記ステップと、
-第1及び第2の絶縁フィルムを設け、該第1及び第2の絶縁フィルムそれぞれの2つの反対側の部分を折り返すステップと、
-第1及び第2の巻線支持部それぞれの各々の2つの反対側の側壁に対して折り返された部分に対して当接させるステップであって、折り返し範囲が、対応する巻線支持部のそれぞれの第1及び第2の一連の突出部の平坦な面に対して位置する、前記ステップと、
-間に細長い開口部を有する第1及び第2の細長い巻線部分を形成するために、第1及び第2の巻線支持部の周囲に巻き付けられた巻線部分を得るように第1及び第2の巻線支持部の周囲に巻線を巻回するステップと、
-それぞれ前記第1及び第2の細長い巻線部分の周囲に前記第1及び第2の絶縁フィルムを巻き付けるステップと
を含む前記方法である。
【0022】
例示され、図面に図示されたいくつかの実施例の説明により、本発明がより良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】歯に対して非対称に周囲に取り付けられた予備成形されたコイルアセンブリを有するステータの歯の断面図である。
【
図2】歯に対して対称に周囲に取り付けられた予備成形されたコイルアセンブリを有するステータの歯の断面図である。
【
図3】従来技術によるステータの歯に取り付けられた予備成形されたコイルアセンブリの上部の正面図である。
【
図4】本発明の一実施例による予備成形されたコイルアセンブリの上部の斜視図である。
【
図5】ステータの歯に取り付けられた
図4の予備成形されたコイルアセンブリの上部の正面図である。
【
図6】
図4に一部示された予備成形されたコイルアセンブリの斜視図である。
【
図7】
図6の予備成形されたコイルアセンブリの正面図である。
【
図8】折り返し部を図示する予備成形されたコイルアセンブリの2つの絶縁フィルムのうち1つの上部の斜視図である。
【
図9】
図7の予備成形されたコイルアセンブリの2つの巻線支持部のうち1つの斜視図である。
【
図10】他の角度から見た、
図9の巻線支持部の他の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、歯に対して非対称にステータの歯に取り付けられた予備成形されたコイルアセンブリが示されている一方、
図2には、モータの誘電体絶縁と、高電圧を受ける場合のモータの寿命とを劇的に改善するために、歯に対して対称に取り付けられた後述する予備成形されたコイルアセンブリが示されている。
【0025】
図4~
図7を参照すると、予備成形されたコイルアセンブリ20は、当該予備成形されたコイルアセンブリ20のそれぞれ反対側に位置する第1及び第2の巻線支持部30a,30bと、
図5に示されるようにステータ10の歯12の周囲に嵌合する細長い開口部26をその間に有する第1及び第2の細長い巻線部分24a,24bを形成するように第1及び第2の巻線支持部30a,30bの周囲に巻き付けられた巻線部分22とを含んでいる。
【0026】
予備成形されたコイルアセンブリ20は、
図4に示されているように、第1及び第2の絶縁フィルム27a,27bを更に含んでいる。1つの絶縁フィルム27aは1つの細長い巻線部分24aの周囲に巻き付けられており、他の絶縁フィルム27bは他の細長い巻線部分24bに巻き付けられている。各絶縁フィルム27a,27bは、上下の折り返し部28a,28bと、その間の非折り返し部29とを含んでいる。各折り返し部28a,28bは、重なった絶縁フィルム部を構成している。換言すれば、折り返し部28a,28bの厚さは、非折り返し部29の厚さの二倍である。
【0027】
図9及び
図10に示されているように、各巻線支持部30a,30bは、末端巻線部32と、ベース部36とを含んでいる。各巻線支持部30a,30bのベース部36は、
図6及び
図7に示されているように、それぞれステータ10の歯12の上側及び下側に係合するように適合された対向する2つの側壁38a,38b及び下側39を含んでいる。
【0028】
図5~
図7を参照すると、各上下の折り返し部の重なった絶縁フィルムの一方側は、各第1及び第2の巻線部分24a,24bの内側における絶縁フィルム27a,27bの対応する部分に当接する一方、対応する絶縁フィルム27a,27bのそれぞれ重なった絶縁フィルム部分の他方側は、対応する巻線支持部30a,30bのそれぞれ反対側の側壁38a,38bに当接する。
【0029】
図9及び
図10に示されているように、第1及び第2の巻線支持部30a,30bそれぞれの末端巻線部は、巻付けプロセス中に巻線を形成する電気伝導体の巻線方向をガイドするための隣接した溝34を備えている。そして、予備成形されたコイルアセンブリ20は、ステータ10(
図5)の対応する歯12において径方向へ押圧される。
【0030】
そして、ベース部36に隣接する末端巻線部32の下部はベース部36よりも幅広であり、当該ベース部は、それぞれ反対側の側壁38a,38bに対して垂直に延び、かつ、第1及び第2の絶縁フィルム27a,27bのそれぞれの折り返された範囲28cが対応する一連の保護部34a,34b(
図5)に対して、好ましくはその平坦な面に対して配置されるように任意の隣接する溝34の底部に対応する末端部35を有する、第1及び第2の一連の突出部34a,34bを形成している。
【0031】
より詳細には、
図9及び
図10において1つの側壁38b及び対応する末端部35から延びる距離d3は、
図5に示されているように、対応する絶縁フィルム27a,27bの対応する折り返し部28aの厚さに等しい。各絶縁フィルムの折り返し部28aは、歯12のそれぞれ2つの反対側14a,14bの間に同一の幅の第1及び第2の隙間40a,40bを形成し、それによって、各絶縁フィルムの非折り返し部29は、予備成形されたコイルアセンブリが歯12に対して対称に中心であることを保証する。
【0032】
0.2~0.4mmの範囲、好ましくは約0.3mmの同一の幅を有する第1及び第2の隙間を形成するために、非折り返し範囲29における第1及び第2の絶縁フィルム27a,27bの厚さは、0.2~0.4mmであり、好ましくは約0.3mmである。
【0033】
予備成形されたコイルアセンブリ20は、ステータの歯と同一の形状を有する長方形の金属製のサポート部の両端に第1及び第2の巻線支持部30a,30bを配置する巻付けプロセス(不図示)によって形成される。そして、巻線は、巻線機によって第1及び第2の巻線支持部30a,30bの周囲に層状に巻き付けられる。巻線は、例えば、次の層を線径の半分だけずらして配置することで、線を六角形の網目状に配置するように巻付けられることが可能である。
【0034】
ステータ10の対応する歯12との全ての予備成形されたコイルアセンブリ20の自己アラインメントの後、及び全ての電気的な接続がなされると、合成樹脂が(典型的には真空下で)注入される注封モールドにステータを配置する注封作業が行われ、合成樹脂は、硬化し、特に衝撃、振動、水湿潤及び湿気に対して永続的に保護する。
【0035】
合成樹脂は、各歯12と各予備成形されたコイルアセンブリのそれぞれ第1及び第2の絶縁フィルム27a,27bの非折り返し部29との間の第1及び第2の隙間40a,40bを埋め、これにより、モータの誘電体絶縁と、高電圧を受ける場合のモータの寿命とが劇的に改善される。
【符号の説明】
【0036】
10 ステータ
12 歯
14a,14b 2つの反対側の側部
20 予備成形されたコイルアセンブリ
22 巻線部分
24a,24b 第1及び第2の巻線部分
26 細長い開口部
27a,27b 第1及び第2の絶縁フィルム
28a,28b 折り返し部
28c 折り返し範囲
29 非折り返し部
30a,30b 第1及び第2の巻線支持部
32 末端巻線部
33a,33b 反対側の側壁
34 隣接した溝
34a,34b 第1及び第2の突出部
35 末端部
36 ベース部
38a,38b 反対側の側壁
39 前側
d1,d2 第1及び第2の距離
40a,40b 隙間
【外国語明細書】