(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170701
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】浴室床
(51)【国際特許分類】
E03C 1/20 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
E03C1/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065499
(22)【出願日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2021076678
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 里江
(72)【発明者】
【氏名】東 麻美子
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆直
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061CA02
2D061CB04
2D061CB10
2D061CC05
(57)【要約】
【課題】排水性とデザイン性とを両立できる浴室床を提供する。
【解決手段】柄層を有する樹脂層を備えた浴室床であって、樹脂層は、表面に凹凸が設けられ、凹凸は、凹部及び凸部を有し、柄層は、柄を有し、凹部及び凸部の上方または下方に配置され、凸部は、第1凸部、第2凸部、及び第3凸部の少なくともいずれかを有し、上面視において撮影領域に全体が含まれる凸部の面積の平均値に対する面積の標準偏差の比で表される面積の変動係数のN個の撮影領域における平均値が0.16以上であって、凹凸サイズが柄サイズ以上である第1凸部の数と、凹凸サイズが柄サイズ以上である第2凸部の数と、凹凸サイズが柄サイズ以上である第3凸部の数と、の合計値は、凸部の総数の半分以上であることを特徴とする浴室床。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄層を有する樹脂層を備えた浴室床であって、
前記樹脂層は表面に凹凸が設けられ、
前記凹凸は、凹部と、上面視において外周が前記凹部、浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた凸部と、を有し、
前記柄層は、柄を有し、前記凹部及び前記凸部の上方または下方に配置され、
前記凸部は、
前記外周の全部が前記凹部により囲まれた第1凸部と、
前記外周の一部が1つの前記凹部と、前記外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた第2凸部と、
前記外周の一部が複数の前記凹部と、前記外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた第3凸部と、
の少なくともいずれかを有し、
前記樹脂層の上面視において互いに重ならないように配置された200mm四方のN個(ただし、Nは9以上の整数)の撮影領域を1ピクセルが1mmとなる解像度で撮影して得られたN個の画像をグレースケール変換し、グレースケール変換した画像の画素の輝度値の標準偏差をそれぞれフィルター前標準偏差とし、前記N個の画像にガウシアンフィルターをかけたときの画素の輝度値の標準偏差をそれぞれフィルター後標準偏差とし、前記N個の画像のそれぞれにおいて前記フィルター後標準偏差が前記フィルター前標準偏差の90%となるときの前記ガウシアンフィルターのフィルター通過領域の大きさを求めた場合に、N個の前記フィルター通過領域の大きさの最小値を柄サイズとし、
上面視において、前記撮影領域に全体が含まれる前記凸部の面積の平均値に対する前記面積の標準偏差の比で表される前記面積の変動係数の前記N個の撮影領域における平均値が0.16以上であって、
上面視における凹凸サイズを、前記第1凸部の最大長さを長辺とし前記第1凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを第1凹凸サイズとし、前記第2凸部の最大長さを長辺とし前記第2凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを第2凹凸サイズとし、前記第3凸部を囲み向かい合う2つの前記凹部の間の最小距離を第3凹凸サイズとしたときに、
前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部の数と、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部の数と、前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部の数と、の合計値は、前記凸部の総数の半分以上であることを特徴とする浴室床。
【請求項2】
前記第1凹凸サイズ、前記第2凹凸サイズ、及び前記第3凹凸サイズの少なくともいずれかは、40mm以下であることを特徴とする請求項1記載の浴室床。
【請求項3】
前記N個の画像をグレースケール変換し、グレースケール変換した画像のうち前記凸部の領域の画素の輝度値において、輝度値を0から255の相対輝度に256等分し、前記相対輝度が0以上25以下の領域を第1領域、前記相対輝度が26以上230以下の領域を第2領域、前記相対輝度が231以上255以下の領域を第3領域とした場合に、前記第2領域の画素数は、前記第1領域の画素数、前記第2領域の画素数、及び前記第3領域の画素数の合計値の50%を超え、
前記N個それぞれの画像のうち前記凸部の領域の画素の輝度値から算出される標準偏差を一次標準偏差とし、N個の前記一次標準偏差の標準偏差を二次標準偏差とした場合に、前記二次標準偏差が1以下であることを特徴とする請求項1記載の浴室床。
【請求項4】
前記凹凸は、前記凸部を複数備え、任意の凸部と、上面視において前記任意の凸部に隣り合う隣接凸部と、を有し、
前記任意の凸部及び前記隣接凸部は、それぞれ、前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部、及び前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部のいずれかであり、
前記隣接凸部の上面視における形状は、前記任意の凸部の上面視における形状と異なることを特徴とする請求項1記載の浴室床。
【請求項5】
柄層を有する樹脂層を備えた浴室床であって、
前記樹脂層は表面に凹凸が設けられ、
前記凹凸は、凹部と、上面視において外周が前記凹部、浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた凸部と、を有し、
前記柄層は、柄を有し、前記凹部及び前記凸部の上方または下方に配置され、
前記凸部は、
前記外周の全部が前記凹部により囲まれた第1凸部と、
前記外周の一部が1つの前記凹部と、前記外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた第2凸部と、
前記外周の一部が複数の前記凹部と、前記外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた第3凸部と、
の少なくともいずれかを有し、
前記樹脂層の上面視において互いに重ならないように配置された200mm四方のN個(ただし、Nは9以上の整数)の撮影領域を1ピクセルが1mmとなる解像度で撮影して得られたN個の画像をグレースケール変換し、グレースケール変換した画像の画素の輝度値の標準偏差をそれぞれフィルター前標準偏差とし、前記N個の画像にガウシアンフィルターをかけたときの画素の輝度値の標準偏差をそれぞれフィルター後標準偏差とし、前記N個の画像のそれぞれにおいて前記フィルター後標準偏差が前記フィルター前標準偏差の90%となるときの前記ガウシアンフィルターのフィルター通過領域の大きさを求めた場合に、N個の前記フィルター通過領域の大きさの最小値を柄サイズとし、
上面視における凹凸サイズを、前記第1凸部の最大長さを長辺とし前記第1凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを第1凹凸サイズとし、前記第2凸部の最大長さを長辺とし前記第2凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを第2凹凸サイズとし、前記第3凸部を囲み向かい合う2つの前記凹部の間の最小距離を第3凹凸サイズとしたときに、
前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部の数と、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部の数と、前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部の数と、の合計値は、前記凸部の総数の半分以上であり、
前記凹凸は、前記凸部を複数備え、任意の凸部と、上面視において前記任意の凸部に隣り合う隣接凸部と、を有し、
前記任意の凸部及び前記隣接凸部は、それぞれ、前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部、及び前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部のいずれかであり、
前記隣接凸部の上面視における形状は、上下方向を軸に前記任意の凸部の上面視における形状を回転させたもの、または、前記任意の凸部の上面視における形状の鏡像であり、
前記隣接凸部の前記凹凸サイズは、前記任意の凸部の前記凹凸サイズと同じであることを特徴とする浴室床。
【請求項6】
前記凹凸は、前記凸部を複数備え、任意の凸部と、上面視において前記任意の凸部に隣り合う隣接凸部と、を有し、
前記任意の凸部及び前記隣接凸部は、それぞれ、前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部、及び前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部のいずれかであり、
前記隣接凸部の上面視における形状は、前記任意の凸部の上面視における形状と同じであり、
前記隣接凸部の前記凹凸サイズは、前記任意の凸部の前記凹凸サイズと異なることを特徴とする請求項1記載の浴室床。
【請求項7】
前記隣接凸部の上面視における形状は、上下方向を軸に前記任意の凸部の上面視における形状を回転させたもの、または、前記任意の凸部の上面視における形状の鏡像であることを特徴とする請求項6に記載の浴室床。
【請求項8】
前記凸部の少なくとも1つの上面視における形状は、曲線を含むことを特徴とする請求項4~7のいずれか1つに記載の浴室床。
【請求項9】
前記凸部と少なくともその一部を囲む前記凹部とにおいて、
前記凹部は、最下部に位置する底部と、前記底部と前記凸部との間に位置し、曲率半径の中心が前記凹部側に位置する第1湾曲部と、を有し、
前記凸部は、最上部に位置する頂部と、前記頂部と前記第1湾曲部との間に位置し、曲率半径の中心が前記凸部側に位置する第2湾曲部と、を有し、
前記第2湾曲部の曲率半径は、前記第1湾曲部の曲率半径以上であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の浴室床。
【請求項10】
前記樹脂層は、前記柄を分断する線を有することを特徴とする請求項3記載の浴室床。
【請求項11】
前記樹脂層の下に設けられ、弾性変形可能なクッション層をさらに備えたことを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の浴室床。
【請求項12】
前記樹脂層の上に設けられ、透明な微細粒子を含むコーティング層をさらに備えたことを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の浴室床。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、浴室床に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室床において、表面に排水のための規則的な凹凸を設けることが知られている(例えば、特許文献1)。一方で、近年、デザイン性を向上させるために、浴室床の表面に柄を設けることが検討されている。しかし、柄を設けた浴室床の表面に従来のような規則的な凹凸のみを設けると、柄のデザイン性が損なわれるおそれがある。特に、木目や石目などの自然テクスチャの柄を設けた浴室床の表面に規則的な凹凸のみを設けると、柄のリアリティが損なわれ、十分なデザイン性が得られないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、排水性とデザイン性とを両立できる浴室床を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、柄層を有する樹脂層を備えた浴室床であって、前記樹脂層は表面に凹凸が設けられ、前記凹凸は、凹部と、上面視において外周が前記凹部、浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた凸部と、を有し、前記柄層は、柄を有し、前記凹部及び前記凸部の上方または下方に配置され、前記凸部は、前記外周の全部が前記凹部により囲まれた第1凸部と、前記外周の一部が1つの前記凹部と、前記外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた第2凸部と、前記外周の一部が複数の前記凹部と、前記外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた第3凸部と、の少なくともいずれかを有し、前記樹脂層の上面視において互いに重ならないように配置された200mm四方のN個(ただし、Nは9以上の整数)の撮影領域を1ピクセルが1mmとなる解像度で撮影して得られたN個の画像をグレースケール変換し、グレースケール変換した画像の画素の輝度値の標準偏差をそれぞれフィルター前標準偏差とし、前記N個の画像にガウシアンフィルターをかけたときの画素の輝度値の標準偏差をそれぞれフィルター後標準偏差とし、前記N個の画像のそれぞれにおいて前記フィルター後標準偏差が前記フィルター前標準偏差の90%となるときの前記ガウシアンフィルターのフィルター通過領域の大きさを求めた場合に、N個の前記フィルター通過領域の大きさの最小値を柄サイズとし、上面視において、前記撮影領域に全体が含まれる前記凸部の面積の平均値に対する前記面積の標準偏差の比で表される前記面積の変動係数の前記N個の撮影領域における平均値が0.16以上であって、上面視における凹凸サイズを、前記第1凸部の最大長さを長辺とし前記第1凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを第1凹凸サイズとし、前記第2凸部の最大長さを長辺とし前記第2凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを第2凹凸サイズとし、前記第3凸部を囲み向かい合う2つの前記凹部の間の最小距離を第3凹凸サイズとしたときに、前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部の数と、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部の数と、前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部の数と、の合計値は、前記凸部の総数の半分以上であることを特徴とする浴室床である。
【0006】
柄サイズは、柄の中にある様々な模様の中で、最も使用者から視認されやすい模様の大きさを示す。凹凸サイズが柄サイズよりも小さい場合には、柄がない部分に凹凸の陰影が多く見えるため、凹凸が使用者から視認されやすくなる。これに対し、凹凸サイズが柄サイズと同じ場合には、凹凸が柄と重なり、凹凸が使用者から視認されにくくなる。また、凹凸サイズが柄サイズよりも大きい場合には、凹凸サイズが柄サイズと同じ場合と比較して、柄がない部分に凹凸が出現する割合が減るため、凹凸が使用者から視認されにくくなる。この浴室床によれば、凸部の総数の半分以上において、凹凸サイズを柄サイズ以上にすることで、凹凸による排水性を持たせながら、凹凸が使用者から視認されにくくなり、デザイン性を向上させることができる。つまり、浴室床において、排水性とデザイン性とを両立させることができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1凹凸サイズ、前記第2凹凸サイズ、及び前記第3凹凸サイズの少なくともいずれかは、40mm以下であることを特徴とする浴室床である。
【0008】
凹凸サイズが大きいほど、使用者の視界にある凸部の総数が少なくなり、使用者から凹凸が視認されにくくなる。一方で、凹凸サイズが大きいほど、凹部が減るため、排水性が低下するおそれがある。この浴室床によれば、第1凹凸サイズ、第2凹凸サイズ、及び第3凹凸サイズの少なくともいずれかを40mm以下とすることで、排水性を維持しつつ、樹脂層の全面で凹凸を目立ちにくくすることができる。
【0009】
第3の発明は、第1の発明において、前記N個の画像をグレースケール変換し、グレースケール変換した画像のうち前記凸部の領域の画素の輝度値において、輝度値を0から255の相対輝度に256等分し、前記相対輝度が0以上25以下の領域を第1領域、前記相対輝度が26以上230以下の領域を第2領域、前記相対輝度が231以上255以下の領域を第3領域とした場合に、前記第2領域の画素数は、前記第1領域の画素数、前記第2領域の画素数、及び前記第3領域の画素数の合計値の50%を超え、前記N個それぞれの画像のうち前記凸部の領域の画素の輝度値から算出される標準偏差を一次標準偏差とし、N個の前記一次標準偏差の標準偏差を二次標準偏差とした場合に、前記二次標準偏差が1以下であることを特徴とする浴室床である。
【0010】
凹凸によってできる陰影にはグラデーションがかかるため、凹凸の陰影の輝度値のヒストグラムでは、中間色の割合が高くなりやすい。この浴室床によれば、中間色の第2領域の画素数が全体の画素数(黒寄りの第1領域の画素数、中間色の第2領域の画素数、及び白寄りの第3領域の画素数の合計値)の50%を超えるような、中間色の割合が高い柄を採用することで、柄の濃淡の特徴を凹凸の陰影の濃淡の特徴に近づけることができる。これにより、凹凸の陰影を柄と見せかけることができ、凹凸を目立ちにくくすることができる。また、十分な排水性を得るためには、樹脂層の全面に偏りなく凹凸を形成することが好ましい。この浴室床によれば、N個の撮影領域に対応する輝度値の標準偏差(一次標準偏差)の標準偏差(二次標準偏差)を1以下とすることで、柄の濃淡を樹脂層の全面でより均一にすることができる。これにより、樹脂層の全面に偏りなく形成された凹凸に対して濃淡の偏りが抑制された柄を重ねることができ、凹凸による排水性を持たせながら、樹脂層の全面で凹凸を目立ちにくくすることができる。
【0011】
第4の発明は、第1の発明において、前記凹凸は、前記凸部を複数備え、任意の凸部と、上面視において前記任意の凸部に隣り合う隣接凸部と、を有し、前記任意の凸部及び前記隣接凸部は、それぞれ、前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部、及び前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部のいずれかであり、前記隣接凸部の上面視における形状は、前記任意の凸部の上面視における形状と異なることを特徴とする浴室床である。
【0012】
凹凸の陰影は凹凸の形状によって決まるため、凹凸の形状が規則的であれば、凹凸の陰影も規則的となる。一方で、浴室床の柄として人気の高い木目や石目などの自然テクスチャの柄は不規則的であるため、規則的な形状を有する凹凸を自然テクスチャの柄と重ねると、凹凸の陰影が目立ってしまう。この浴室床によれば、隣接凸部の上面視における形状を任意の凸部の上面視における形状と異ならせることで、凹凸の陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸による排水性を持たせながら、凹凸を自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸をより目立ちにくくすることができる。
【0013】
第5の発明は、柄層を有する樹脂層を備えた浴室床であって、前記樹脂層は表面に凹凸が設けられ、前記凹凸は、凹部と、上面視において外周が前記凹部、浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた凸部と、を有し、前記柄層は、柄を有し、前記凹部及び前記凸部の上方または下方に配置され、前記凸部は、前記外周の全部が前記凹部により囲まれた第1凸部と、前記外周の一部が1つの前記凹部と、前記外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた第2凸部と、前記外周の一部が複数の前記凹部と、前記外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた第3凸部と、の少なくともいずれかを有し、前記樹脂層の上面視において互いに重ならないように配置された200mm四方のN個(ただし、Nは9以上の整数)の撮影領域を1ピクセルが1mmとなる解像度で撮影して得られたN個の画像をグレースケール変換し、グレースケール変換した画像の画素の輝度値の標準偏差をそれぞれフィルター前標準偏差とし、前記N個の画像にガウシアンフィルターをかけたときの画素の輝度値の標準偏差をそれぞれフィルター後標準偏差とし、前記N個の画像のそれぞれにおいて前記フィルター後標準偏差が前記フィルター前標準偏差の90%となるときの前記ガウシアンフィルターのフィルター通過領域の大きさを求めた場合に、N個の前記フィルター通過領域の大きさの最小値を柄サイズとし、上面視における凹凸サイズを、前記第1凸部の最大長さを長辺とし前記第1凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを第1凹凸サイズとし、前記第2凸部の最大長さを長辺とし前記第2凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを第2凹凸サイズとし、前記第3凸部を囲み向かい合う2つの前記凹部の間の最小距離を第3凹凸サイズとしたときに、前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部の数と、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部の数と、前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部の数と、の合計値は、前記凸部の総数の半分以上であり、前記凹凸は、前記凸部を複数備え、任意の凸部と、上面視において前記任意の凸部に隣り合う隣接凸部と、を有し、前記任意の凸部及び前記隣接凸部は、それぞれ、前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部、及び前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部のいずれかであり、前記隣接凸部の上面視における形状は、上下方向を軸に前記任意の凸部の上面視における形状を回転させたもの、または、前記任意の凸部の上面視における形状の鏡像であり、前記隣接凸部の前記凹凸サイズは、前記任意の凸部の前記凹凸サイズと同じであることを特徴とする浴室床である。
【0014】
凹凸の陰影は凹凸の形状によって決まるため、凹凸の形状が規則的であれば、凹凸の陰影も規則的となる。一方で、浴室床の柄として人気の高い木目や石目などの自然テクスチャの柄は不規則的であるため、規則的な形状を有する凹凸を自然テクスチャの柄と重ねると、凹凸の陰影が目立ってしまう。この浴室床によれば、隣接凸部の上面視における形状を、上下方向を軸に任意の凸部の上面視における形状を回転させたものまたは任意の凸部の上面視における形状の鏡像とし、隣接凸部の凹凸サイズを任意の凸部の凹凸サイズと同じとすることで、凹凸の陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸による排水性を持たせながら、凹凸を自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸をより目立ちにくくすることができる。
【0015】
第6の発明は、第1の発明において、前記凹凸は、前記凸部を複数備え、任意の凸部と、上面視において前記任意の凸部に隣り合う隣接凸部と、を有し、前記任意の凸部及び前記隣接凸部は、それぞれ、前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部、及び前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部のいずれかであり、前記隣接凸部の上面視における形状は、前記任意の凸部の上面視における形状と同じであり、前記隣接凸部の前記凹凸サイズは、前記任意の凸部の前記凹凸サイズと異なることを特徴とする浴室床である。
【0016】
凹凸の陰影は凹凸の形状によって決まるため、凹凸の形状が規則的であれば、凹凸の陰影も規則的となる。一方で、浴室床の柄として人気の高い木目や石目などの自然テクスチャの柄は不規則的であるため、規則的な形状を有する凹凸を自然テクスチャの柄と重ねると、凹凸の陰影が目立ってしまう。この浴室床によれば、隣接凸部の上面視における形状を任意の凸部の上面視における形状と同じとし、隣接凸部の凹凸サイズを任意の凸部の凹凸サイズと異ならせることで、凹凸の陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸による排水性を持たせながら、凹凸を自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸をより目立ちにくくすることができる。
【0017】
第7の発明は、第6の発明において、前記隣接凸部の上面視における形状は、上下方向を軸に前記任意の凸部の上面視における形状を回転させたもの、または、前記任意の凸部の上面視における形状の鏡像であることを特徴とする浴室床である。
【0018】
この浴室床によれば、隣接凸部の凹凸サイズを任意の凸部の凹凸サイズと異ならせ、さらに、隣接凸部の上面視における形状を、上下方向を軸に任意の凸部の上面視における形状を回転させたものまたは任意の凸部の上面視における形状の鏡像とすることで、凹凸の陰影をさらに不規則的にすることができる。これにより、凹凸による排水性を持たせながら、凹凸を自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸をより目立ちにくくすることができる。
【0019】
第8の発明は、第4~第7のいずれか1つの発明において、前記凸部の少なくとも1つの上面視における形状は、曲線を含むことを特徴とする浴室床である。
【0020】
この浴室床によれば、凸部の少なくとも1つの上面視における形状が、曲線を含むことで、凹凸による排水性を持たせながら、直線模様の少ない自然テクスチャの柄に凹凸の様相を合わせることができ、より凹凸を目立ちにくくすることができる。
【0021】
第9の発明は、第1~第7のいずれか1つの発明において、前記凸部と少なくともその一部を囲む前記凹部とにおいて、前記凹部は、最下部に位置する底部と、前記底部と前記凸部の1つとの間に位置し、曲率半径の中心が前記凹部側に位置する第1湾曲部と、を有し、前記凸部は、最上部に位置する頂部と、前記頂部と前記第1湾曲部との間に位置し、曲率半径の中心が前記凸部側に位置する第2湾曲部と、を有し、前記第2湾曲部の曲率半径は、前記第1湾曲部の曲率半径以上であることを特徴とする浴室床である。
【0022】
凹凸に照明が当たることで第2湾曲部にはハイライトができ、凹凸のハイライトのグラデーション幅は、凸部の第2湾曲部の形状によって決まる。すなわち、第2湾曲部の曲率半径が小さい場合には、ハイライトのグラデーション幅は小さくなり、ハイライトがはっきりする。一方で、浴室床の柄として人気の高い木目や石目などの自然テクスチャの柄はマットな質感が多いため、ハイライトがはっきりした凹凸に自然テクスチャの柄を合わせた場合には、光沢感があるように見え、自然テクスチャの柄のリアリティが損なわれてしまうおそれがある。この浴室床によれば、第2湾曲部の曲率半径を第1湾曲部の曲率半径以上にすることで、凹凸による排水性を持たせながら、ハイライトのグラデーション幅をできるだけ大きくし、凹凸のハイライトを目立ちにくくすることで自然テクスチャの柄のリアリティを維持することができる。
【0023】
第10の発明は、第3の発明において、前記樹脂層は、前記柄を分断する線を有することを特徴とする浴室床である。
【0024】
この浴室床によれば、樹脂層に柄を分断する線を設けることで、凹凸による排水性を持たせながら、あたかも本物素材のタイル(例えば、石のタイル)が敷き詰められているかのように見せつつ、凹凸の陰影よりも目立つ線に使用者の視線を集めることができ、凹凸をより目立ちにくくすることができる。
【0025】
第11の発明は、第1~第7のいずれか1つの発明において、前記樹脂層の下に設けられ、弾性変形可能なクッション層をさらに備えたことを特徴とする浴室床である。
【0026】
この浴室床によれば、樹脂層の下に弾性変形可能なクッション層を設けることで、浴室床のクッション性を向上させることができる。これにより、浴室床に物品を落とした際に物品が破損することを抑制できる。
【0027】
第12の発明は、第1~第7のいずれか1つの発明において、前記樹脂層の上に設けられ、透明な微細粒子を含むコーティング層をさらに備えたことを特徴とする浴室床である。
【0028】
この浴室床によれば、樹脂層の上に透明な微細粒子を含むコーティング層を設けることで、柄の質感をマットにし、より柄のリアリティを高めることができる。さらに、排水性を持たせながら、使用者が浴室を使用する際の滑り止めの機能も持たせることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の態様によれば、排水性とデザイン性とを両立できる浴室床を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施形態に係る浴室床を備えた浴室ユニットを表す斜視図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、実施形態に係る浴室床の一部を表す平面図及び断面図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、実施形態に係る浴室床の一部を表す拡大断面図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、輝度値の測定条件を表す説明図である。
【
図5】
図5(a)~
図5(f)は、柄サイズを表す説明図である。
【
図7】
図7(a)~
図7(g)は、凹凸サイズを表す説明図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、実施形態に係る樹脂層の一例を表す平面図及びこの樹脂層における輝度値の分布を表すヒストグラムである。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、参考例に係る樹脂層の一例を表す平面図及びこの樹脂層における輝度値の分布を表すヒストグラムである。
【
図11】
図11(a)~
図11(c)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
【
図12】
図12(a)及び
図12(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
【
図13】
図13(a)及び
図13(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
【
図14】
図14(a)及び
図14(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
【
図15】
図15(a)及び
図15(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
【
図16】
図16(a)~
図16(c)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
【
図17】凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
【
図18】
図18(a)及び
図18(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
【
図19】実施形態の変形例に係る浴室床を表す平面図である。
【
図20】
図20(a)及び
図20(b)は、実施形態の変形例に係る浴室床の一部を表す平面図及び断面図である。
【
図21】
図21(a)及び
図21(b)は、実施形態の変形例に係る樹脂層の断面形状を模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る浴室床を備えた浴室ユニットを表す斜視図である。
図1に表したように、実施形態に係る浴室ユニット500は、浴室床100と、浴槽200と、壁パネル300a~300fと、照明装置400を備える。
【0032】
浴槽200は、設置面(例えば、建物の床)Sの上に、支持脚210を介して設置されている。支持脚210は、浴槽200の底部の裏面における四隅近傍に設けられている。支持脚210の先端側(下端側)にはボルト部が設けられ、そのボルト部を回転させることで支持脚210の高さが調整可能となっている。
【0033】
浴室床100は、設置面Sの上に、支持脚110を介して設置されている。浴室床100は、浴槽200の横に設置されている。支持脚110は、浴室床100の底部の裏面に設けられている。支持脚110の先端側(下端側)にはボルト部が設けられ、そのボルト部を回転させることで支持脚110の高さが調整可能となっている。
【0034】
浴室床100の表面100aは、浴室外部に水を漏出させない防水性を有する。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加温されたお湯も含むものとする。
【0035】
浴室床100の裏側(下方側)において、浴槽200との境界部近傍には排水配管220が設けられている。浴室床100において、浴槽200との境界部近傍には、排水配管220に連通する排水口100hが形成されている。排水口100hは、着脱自在の蓋で塞がれていてもよい。排水口100hが設けられた部分は下方に窪んでおり、浴室床100の表面100aには、排水口100hに向けて下向き傾斜した排水勾配が付けられている。また、浴槽200の底部に設けられた図示しない排水口も、排水配管220に接続されている。
【0036】
図1において2点鎖線で表すように、浴槽200のリムの上には壁パネル300a~300cが設置されている。また、浴室床100の周縁部の上には、壁パネル300d~300fが設置されている。また、壁パネル300fには図示しないドア取付枠を介して浴室ドアが取り付けられる。
【0037】
浴槽200と浴室床100との境界には、浴槽200における浴室床100側の側面を覆い隠すバスエプロン230が設けられている。なお、浴槽200の構造によっては、バスエプロン230を設けなくてよいものもある。
【0038】
また、バスエプロン230の長手方向の一端側と、壁パネル300dとの間には小パネル240が設けられている。また、バスエプロン230の長手方向の他端側と、壁パネル300fとの間には小パネル250が設けられている。小パネル240、250は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0039】
本願明細書では、壁パネル300fから壁パネル300dに向かう方向を「前方」、壁パネル300dから壁パネル300fに向かう方向を「後方」、壁パネル300eから壁パネル300bに向かう方向を「左側方」、壁パネル300bから壁パネル300eに向かう方向を「右側方」とする。
【0040】
図2(a)及び
図2(b)は、実施形態に係る浴室床の一部を表す平面図及び断面図である。
図3(a)及び
図3(b)は、実施形態に係る浴室床の一部を表す拡大断面図である。
図2(a)は、
図1に示した領域Aの拡大図である。
図2(b)は、
図2(a)に示したB1-B2線による断面図である。
図3(a)は、
図2(b)に示した領域Cを模式的に表した拡大図である。
図3(b)は、
図2(b)に示した領域Dの拡大図である。
図2(a)及び
図2(b)に表したように、実施形態に係る浴室床100は、樹脂層10と、クッション層20と、を備えている。
【0041】
樹脂層10の表面10aには、凹凸10bが設けられている。また、樹脂層10には、柄が設けられている。「柄」とは、2色以上の色で表される模様である。つまり、樹脂層10には、色の異なる複数の部分が存在する。柄は、例えば、非幾何学的な模様である。樹脂層10は、樹脂を含む。
【0042】
この例では、樹脂層10は、本体部11と、柄層12と、を有する。本体部11の表面11aには、凹凸11bが設けられている。柄層12は、本体部11の凹凸11bに沿って、本体部11の上に設けられている。つまり、柄層12の表面12aには、本体部11の凹凸11bに沿った凹凸12bが設けられている。この例では、柄層12の凹凸12bが、樹脂層10の凹凸10bに相当する。
【0043】
柄層12は、柄を有する。つまり、この例では、樹脂層10に凹凸10bを付与する本体部11と、樹脂層10に柄を付与する柄層12と、が別々に設けられている。柄層12は、本体部11に貼り付けられることで形成されてもよいし、本体部11にインクジェット印刷などにより印刷されることで形成されてもよい。柄層12は、単層の構造であってもよいし、複数の層が積層された構造であってもよい。複数の層が積層された構造の場合、各層の柄は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、複数の層が積層された構造の場合、各層の形成方法は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、フィルムを貼り付けることで形成された層と、インクジェット印刷により形成された層と、が積層されていてもよい。
【0044】
また、柄層12は、本体部11の上方または下方に設けられる。この例では、柄層12は、本体部11の上方に設けられている。本体部11が光透過性を有する場合には、柄層12は、本体部11の下方に設けられていてもよい。この場合、本体部11の表面11aが、樹脂層10の表面10aに相当する。
【0045】
樹脂層10の凹凸10bは、凹部50と、凸部60と、を有する。凹部50は、下方に窪んでおり、排水口100hに連通している。凹部50は、上下方向に直交する平面方向において分岐及び合流することで、凹部50以外の部分である凸部60を形成している。つまり、上面視において、凸部60の外周の少なくとも一部は、凹部50により囲まれている。言い換えれば、凹部50は、互いに隣り合う2つの凸部60の間に位置している。凸部60の外周は、それぞれ、凹部50、浴室の壁(300d~300f)、排水口100h、浴槽200、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれている。凹部50の幅は、例えば、0.5mm以上2.5mm以下である。凸部60の形状や配置などについては、後述する。柄層12は、凹部50及び凸部60の上方または下方に設けられている。
【0046】
クッション層20は、樹脂層10の下に設けられている。クッション層20は、弾性変形可能である。クッション層20は、浴室床100にクッション性を付与する。クッション層20は、例えば、発泡性樹脂を含む。
【0047】
クッション層20を設けることで、浴室床100のクッション性を向上させることができる。これにより、浴室床100に物品を落とした際に物品が破損することを抑制できる。クッション層20は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0048】
浴室床100は、クッション層20の下に設けられる基材層や、基材層の下に設けられる金属製のフレームなどをさらに備えていてもよい。
【0049】
図3(a)に表したように、凹部50は、基準面RPよりも下方に位置する部分である。凸部60は、基準面RPよりも上方に位置する部分である。凹部50は、例えば、底部51と、第1湾曲部52と、を有する。底部51は、凹部50の最下部に位置する。第1湾曲部52は、底部51と凸部60との間に位置する。第1湾曲部52は、底部51から凸部60に向かう湾曲した傾斜面を構成する。第1湾曲部52の曲率半径の中心C1は、凹部50側に位置する。すなわち、第1湾曲部52は、断面視において下に凸となるように湾曲している。凸部60は、例えば、頂部61と、第2湾曲部62と、を有する。頂部61は、凸部60の最上部に位置する。第2湾曲部62は、頂部61と第1湾曲部52との間に位置する。第2湾曲部62は、頂部61から第1湾曲部52(凹部50)に向かう湾曲した傾斜面を構成する。第2湾曲部62の曲率半径の中心C2は、凸部60側に位置する。すなわち、第2湾曲部62は、断面視において上に凸となるように湾曲している。基準面RPは、底部51と頂部61との間の上下方向の中央に位置する。つまり、底部51と基準面RPとの間の距離は、頂部61と基準面RPとの間の距離と等しい。
【0050】
第1湾曲部52は、断面視において、曲率半径r1で湾曲している。第2湾曲部62は、断面視において、曲率半径r2で湾曲している。曲率半径r2は、曲率半径r1以上であることが好ましい。曲率半径r2は、曲率半径r1よりも大きいことがより好ましい。曲率半径r1は、例えば、0.5mm以上15mm以下である。曲率半径r2は、例えば、10mm以上25mm以下である。傾斜角度θは、例えば、50度以下であり、好ましくは45度以下であり、より好ましくは30度以下であり、さらに好ましくは25度以下である。このような角度であれば、より凹凸の陰影を目立たなくさせることができる。
【0051】
凹凸10bに照明が当たることで第2湾曲部62にはハイライトができ、凹凸10bのハイライトのグラデーション幅は、凸部60の第2湾曲部62の形状によって決まる。すなわち、第2湾曲部62の曲率半径r2が小さい場合には、ハイライトのグラデーション幅は小さくなり、ハイライトがはっきりする。一方で、浴室床100の柄として人気の高い木目や石目などの自然テクスチャの柄はマットな質感が多いため、ハイライトがはっきりした凹凸10bに自然テクスチャの柄を合わせた場合には、光沢感があるように見え、自然テクスチャの柄のリアリティが損なわれてしまうおそれがある。そこで、第2湾曲部62の曲率半径r2を第1湾曲部52の曲率半径r1以上にすることで、凹凸10bによる排水性を持たせながら、ハイライトのグラデーション幅をできるだけ大きくし、凹凸10bのハイライトを目立ちにくくすることで自然テクスチャの柄のリアリティを維持することができる。
【0052】
この例では、第1湾曲部52と第2湾曲部62との間に、断面視において直線状に延びる傾斜面55が設けられている。傾斜面55は、必要に応じて設けられ、省略可能である。つまり、第1湾曲部52及び第2湾曲部62は、連続していてもよい。
【0053】
図3(b)に表したように、樹脂層10の上には、コーティング層30が設けられている。コーティング層30は、例えば、透明な微細粒子31と、親水層33と、を有する。透明な微細粒子31は、例えば、アクリル粒子である。透明な微細粒子31の粒子径は、例えば、5μm以上200μm以下である。親水層33は、柄層12の上に設けられている。親水層33は、例えば、スルホン酸を含む。透明な微細粒子31は、親水層33の内部に設けられている。透明な微細粒子31は、浴室床100の表面100aに微細な凹凸を付与する。
【0054】
透明な微細粒子31を含むコーティング層30を設けることで、柄の質感をマットにし、より柄のリアリティを高めることができる。さらに、排水性を持たせながら、使用者が浴室を使用する際の滑り止めの機能も持たせることができる。コーティング層30は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0055】
図4(a)及び
図4(b)は、輝度値の測定条件を表す説明図である。
目から取り込んだ情報は、脳内で二次元の情報として扱われる。人は、三次元の現実にある柄の様相や凹凸を、柄の濃淡、凹凸陰影の濃さや大きさが反映された画像の輝度値等で認識している。
図4(a)に表したように、上面視における樹脂層10の輝度値は、樹脂層10において複数の測定領域を撮影した画像から求められる。複数の測定領域は、上面視において互いに重ならないように配置された200mm四方のN個(ただし、Nは9以上17以下の整数)の測定領域を含む。以下では、17個の測定領域(第1~第17測定領域MR1~MR17)を撮影した画像から輝度値を求める場合について説明する。
【0056】
第1測定領域MR1は、樹脂層10の前後方向及び左右方向の中心を含む。第2測定領域MR2、第3測定領域MR3、第4測定領域MR4、第5測定領域MR5、第6測定領域MR6、第7測定領域MR7、第8測定領域MR8、及び第9測定領域MR9は、それぞれ、第1測定領域MR1の周りにおいて、第1測定領域MR1と隣り合うように配置されている。以下、第1~第9測定領域MR1~MR9を中心測定部CMとする。
【0057】
第10測定領域MR10は、樹脂層10の後端と中心測定部CMの後端との間の前後方向の中心を含み、前後方向において第1測定領域MR1と重なる位置に配置されている。第11測定領域MR11は、樹脂層10の前端と中心測定部CMの前端との間の前後方向の中心を含み、前後方向において第1測定領域MR1と重なる位置に配置されている。
【0058】
第12測定領域MR12は、樹脂層10の左側端と中心測定部CMの左側端との間の左右方向の中心を含み、左右方向において第1測定領域MR1と重なる位置に配置されている。第13測定領域MR13は、樹脂層10の右側端と中心測定部CMの右側端との間の左右方向の中心を含み、左右方向において第1測定領域MR1と重なる位置に配置されている。
【0059】
第14測定領域MR14は、左右方向において第10測定領域MR10と重なり、前後方向において第12測定領域MR12と重なる位置に配置されている。第15測定領域MR15は、左右方向において第11測定領域MR11と重なり、前後方向において第12測定領域MR12と重なる位置に配置されている。第16測定領域MR16は、左右方向において第10測定領域MR10と重なり、前後方向において第13測定領域MR13と重なる位置に配置されている。第17測定領域MR17は、左右方向において第11測定領域MR11と重なり、前後方向において第13測定領域MR13と重なる位置に配置されている。
【0060】
測定領域の数は、例えば、浴室床の大きさに応じて変更可能である。実施形態においては、少なくとも第1~第9測定領域MR1~MR9の9箇所の測定領域(中心測定部CM)を測定対象とすればよく、浴室床が小さく測定領域が確保できない場合には、第10~第17測定領域MR10~MR17は、省略してもよい。
【0061】
図4(b)に表したように、各測定領域では、樹脂層10の上に照明装置LDを載置し、照明装置LDの上に設けられたカメラCRで撮影した画像を取得する。撮影条件は、以下の通りである。
(照明装置LD)
ドーム型照明装置:CCS社製HPD2-400SW
照明強度:最大(Light intensity:255)
(カメラCR)
シャッタースピード:1/1000秒
F値:3.5
ISO:200
解像度:25.4dpi(1px=1mm)
ホワイトバランス:反射率18%グレーカードで調整
カメラ位置:照明装置LDの上端(高さ205mm)より照明装置LD内をのぞき込むようにして撮影
【0062】
また、撮影条件は、以下のようにしてもよい。
(照明装置LD)
ドーム型照明装置:CCS社製HPD2-400SW
照明強度:最大(Light intensity:255)
(カメラCR)
シャッタースピード:1/30秒
F値:18
ISO:200
解像度:254dpi(10px=1mm)
ホワイトバランス:反射率18%グレーカードで調整
カメラ位置:照明装置LDの上端(高さ205mm)より照明装置LD内をのぞき込
むようにして撮影
【0063】
図5(a)~
図5(f)は、柄サイズを表す説明図である。
図6は、フィルター通過領域を表す説明図である。
柄サイズは、柄の中にある様々な模様の中で、最も使用者から視認されやすい模様の大きさを示す。柄サイズは、以下のようにして求められる。
【0064】
樹脂層10の第1~第17測定領域MR1~MR17を上記の撮影条件で撮影して得られた17個の画像の画素の輝度値の標準偏差を、それぞれ、フィルター前標準偏差とする。17個の画像にフィルターサイズが61pxであるガウシアンフィルターをかけたときの画素の輝度値の標準偏差を、それぞれ、フィルター後標準偏差とする。17個の画像のそれぞれにおいて、フィルター後標準偏差がフィルター前標準偏差の90%となるときのガウシアンフィルターのフィルター通過領域の大きさを求めた場合に、17個のフィルター通過領域の大きさの最小値を柄サイズとする。フィルター通過領域の大きさは、
図6に表したように、ガウシアンフィルターの通過係数の最大値を100%とした場合に、通過係数が5%以上となる領域の直径の大きさとする。
【0065】
図5(a)~
図5(f)では、1つの測定領域に対応する画像にガウシアンフィルターをかけた場合の輝度値のヒストグラムの変化を表している。
図5(a)は、ガウシアンフィルターをかけていない状態の画像の輝度値のヒストグラムである。
図5(b)~
図5(f)は、それぞれ、ガウシアンフィルターをかけた状態の画像の輝度値のヒストグラムである。
【0066】
図5(a)~
図5(f)に表したように、ガウシアンフィルターのフィルター通過領域の大きさを大きくしていくと、フィルター後標準偏差は小さくなる。例えば、
図5(a)~
図5(f)の例では、フィルター通過領域の大きさを5mm、9mm、13mm、17mm、25mmと大きくしていくと、フィルター後標準偏差は、フィルター前標準偏差に対して99.4%、97.6%、94.5%、90.0%、82.4%と小さくなっている。このようにして、フィルター後標準偏差がフィルター前標準偏差の90%となるときのガウシアンフィルターのフィルター通過領域の大きさを求める。
図5(a)~
図5(f)の例では、フィルター後標準偏差がフィルター前標準偏差の90%となるときのガウシアンフィルターのフィルター通過領域の大きさは、17mmである。17個の画像のそれぞれにおいて、同様にしてフィルター通過領域の大きさを求め、17個のフィルター通過領域の大きさの最小値を柄サイズとする。
【0067】
柄サイズを算出する際には、上記のようにして取得した画像に対して凹凸10bの陰影の影響を除去するような処理を行い、処理後の画像から柄サイズを算出してもよい。凹凸10bの陰影の影響を除去するような処理は、例えば、画像と同じ場所を三次元測定機(例えばKEYENCE社製VL-500)で計測し、床の形状情報を取得する。そのうち、凹凸の高低差の半分より下の凹部、もしくは凹凸の高低差の半分と同じかそれより下の凹部を陰影がある部分として定義し、陰影と同じ位置にある画像の輝度値は非数として扱い、凹凸の高低差の半分と同じかそれより上にある部分、もしくは凹凸の高低差の半分より上にある部分と同じ位置にある画像の輝度値を用いてフィルターをかける。
【0068】
図7(a)~
図7(g)は、凹凸サイズを表す説明図である。
凸部60は、第1凸部81と、第2凸部82と、第3凸部83と、の少なくともいずれかを有する。凸部60は、例えば、第1凸部81と、第2凸部82と、を有する。凸部60は、例えば、第2凸部82と、第3凸部83と、を有する。
【0069】
図7(a)は、第1凸部81を表している。第1凸部81とは、外周の全部が凹部50により囲まれた凸部60である。
【0070】
図7(a)に表したように、第1凸部81の大きさを示す第1凹凸サイズは、上面視において第1凸部81の最大長さを長辺とし第1凸部81に外接する仮想長方形IRの短辺の長さL1で表される。
【0071】
図7(b)~
図7(d)は、第2凸部82を表している。第2凸部82とは、外周の一部が1つの凹部50と、外周のその他の部分が浴室の壁(壁パネル300d~300f)、排水口100h、浴槽200、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた凸部60である。
【0072】
図7(b)~
図7(d)に表したように、第2凸部82の大きさを示す第2凹凸サイズは、上面視において第2凸部82の最大長さを長辺とし第2凸部82に外接する仮想長方形IRの短辺の長さL2で表される。
【0073】
図7(e)~
図7(g)は、第3凸部83を表している。第3凸部83とは、外周の一部が複数の凹部50と、外周のその他の部分が浴室の壁(壁パネル300d~300f)、排水口100h、浴槽200、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた凸部60である。
【0074】
図7(e)~
図7(g)に表したように、第3凸部83の大きさを示す第3凹凸サイズは、上面視において第3凸部83を囲み向かい合う2つの凹部50の間の最小距離である長さL3で表される。
【0075】
第1凹凸サイズ(長さL1)が柄サイズ以上である第1凸部81の数N1と、第2凹凸サイズ(長さL2)が柄サイズ以上である第2凸部82の数N2と、第3凹凸サイズ(長さL3)が柄サイズ以上である第3凸部83の数N3と、の合計値NSは、複数の凸部60の総数NTの半分以上である(N1+N2+N3=NS、NS≧0.5×NT)。合計値NSは、総数NTの半分よりも大きいことが好ましい。本願明細書では、第1凹凸サイズ、第2凹凸サイズ、及び第3凹凸サイズをまとめて「凹凸サイズ」と称する。
【0076】
凹凸サイズが柄サイズよりも小さい場合には、柄がない部分に凹凸10bの陰影が多く見えるため、凹凸10bが使用者から視認されやすくなる。これに対し、凹凸サイズが柄サイズと同じ場合には、凹凸10bが柄と重なり、凹凸10bが使用者から視認されにくくなる。また、凹凸サイズが柄サイズよりも大きい場合には、凹凸サイズが柄サイズと同じ場合と比較して、柄がない部分に凹凸10bが出現する割合が減るため、凹凸10bが使用者から視認されにくくなる。そこで、凸部60の総数の半分以上において、凹凸サイズを柄サイズ以上にすることで、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸10bが使用者から視認されにくくなり、デザイン性を向上させることができる。つまり、浴室床100において、排水性とデザイン性とを両立させることができる。
【0077】
第1凹凸サイズ、第2凹凸サイズ、第3凹凸サイズの少なくともいずれかが40mm以下であることが好ましい。例えば、複数の凸部60が第1凸部81及び第2凸部82を有する場合には、第1凹凸サイズ及び第2凹凸サイズの両方が40mm以下であることが好ましい。例えば、複数の凸部60が第2凸部82及び第3凸部83を有する場合には、第2凹凸サイズ及び第3凹凸サイズの両方が40mm以下であることが好ましい。
【0078】
凹凸サイズが大きいほど、使用者の視界にある凸部60の総数が少なくなり、使用者から凹凸10bが視認されにくくなる。一方で、凹凸サイズが大きいほど、凹部50が減るため、排水性が低下するおそれがある。そこで、第1凹凸サイズ、第2凹凸サイズ、及び第3凹凸サイズの少なくともいずれかを40mm以下とすることで、排水性を維持しつつ、樹脂層10の全面で凹凸10bを目立ちにくくすることができる。
【0079】
図8(a)及び
図8(b)は、実施形態に係る樹脂層の一例を表す平面図及びこの樹脂層における輝度値の分布を表すヒストグラムである。
図9(a)及び
図9(b)は、参考例に係る樹脂層の一例を表す平面図及びこの樹脂層における輝度値の分布を表すヒストグラムである。
図8(b)は、
図8(a)に示した樹脂層10を上述の方法で撮影して得られた17個の画像のうち凸部60の領域の輝度値のヒストグラムを表している。
図9(b)は、
図9(a)に示した樹脂層10Xを上述の方法で撮影して得られた17個の画像のうち凸部60の領域の輝度値のヒストグラムを表している。
図8(b)及び
図9(b)のヒストグラムでは、輝度値を0から255の相対輝度に256等分したものを横軸にとり、画素数を縦軸にとっている。「相対輝度」は、デジタルデータの画像上で真っ黒(R:0、G:0、B:0)のものを「0」、真っ白(R:255、G:255、B:255)のものを「255」、とした輝度値の相対値である。
【0080】
図8(b)及び
図9(b)のヒストグラムにおいて、相対輝度が0以上25以下の領域を第1領域R1、相対輝度が26以上230以下の領域を第2領域R2、相対輝度が231以上255以下の領域を第3領域R3とする。第1領域R1は、黒寄りの(すなわち、相対輝度が小さい)領域である。第3領域R3は、白寄りの(すなわち、相対輝度が大きい)領域である。第2領域R2は、中間色の(すなわち、相対輝度が中程度の)領域である。
【0081】
図8(b)の例では、第2領域R2の画素数は、全体の画素数(すなわち、第1領域R1の画素数、第2領域R2の画素数、及び第3領域R3の画素数の合計値)の約97%である。
図9(b)の例では、第2領域R2の画素数は、全体の画素数(すなわち、第1領域R1の画素数、第2領域R2の画素数、及び第3領域R3の画素数の合計値)の約45%である。第2領域R2の画素数は、全体の画素数の50%を超えることが好ましい。
【0082】
凹凸10bによってできる陰影にはグラデーションがかかるため、凹凸10bの陰影の輝度値のヒストグラムでは、中間色の割合が高くなりやすい。中間色の第2領域R2の画素数が全体の画素数の50%を超えるような、中間色の割合が高い柄を採用することで、柄の濃淡の特徴を凹凸10bの陰影の濃淡の特徴に近づけることができる。これにより、凹凸10bの陰影を柄と見せかけることができ、凹凸10bを目立ちにくくすることができる。
【0083】
凹凸10bの陰影の輝度値は、凹部50及び凸部60を含む領域の陰影の輝度値であってもよいし、凹部50を含み凸部を含まない領域の陰影の輝度値であってもよい。凹部50及び凸部60を含む領域の陰影の輝度値は、例えば、凹部50及び凸部60を含む領域の画像から求めることができる。凹部50を含み凸部を含まない領域の陰影の輝度値は、例えば、凹部50及び凸部60を含む領域の画像から凹部50のみ(すなわち、凹部50を含み凸部60を含まない領域)を切り出した画像を作成し、この画像から求めることができる。
【0084】
また、各測定領域に対応する画像のうち凸部60の領域の画素の輝度値から算出される標準偏差を一次標準偏差SD1とする。一次標準偏差SD1としては、第1~第17測定領域MR1~MR17に対応する17個の標準偏差が求められる。これらの17個の一次標準偏差SD1の標準偏差を二次標準偏差SD2とした場合に、標準偏差SD2は、1以下であることが好ましい。
【0085】
十分な排水性を得るためには、樹脂層10の全面に偏りなく凹凸10bを形成することが好ましい。17個の撮影領域に対応する輝度値の標準偏差(一次標準偏差SD1)の標準偏差(二次標準偏差SD2)を1以下とすることで、柄の濃淡を樹脂層10の全面でより均一にすることができる。これにより、樹脂層10の全面に偏りなく形成された凹凸10bに対して濃淡の偏りが抑制された柄を重ねることができ、凹凸10bによる排水性を持たせながら、樹脂層10の全面で凹凸10bを目立ちにくくすることができる。
【0086】
図10(a)~
図10(c)は、実施形態に係る樹脂層の一例を表す平面図である。
図10(a)~
図10(c)に表したように、樹脂層10は、柄を分断する線18をさらに有することが好ましい。線18は、例えば、柄とは異なる輝度値または色で描かれた模様であり、柄が明るい場合は低い輝度値、柄が暗い場合は明るい輝度値で描かれることも好ましい。線18は、直線のみからなっていてもよいし、曲線のみからなっていてもよいし、直線と曲線との両方を含んでいてもよい。
【0087】
図10(a)の例では、前後方向に延びる第1直線18aと、左右方向に延びる第2直線18bと、が十字に直交するように配置されている。
図10(b)の例では、左右方向に延びる第2直線18bが、前後方向に延びる第1直線18aに直角に突き当たるように配置されている。
図10(c)の例では、前後方向に延びる第1直線18aが、左右方向に延びる曲線18cに突き当たるように配置されている。なお、前後方向と左右方向は逆であってもよい。また、線18は、幾何学模様を描くように配置されることが好ましい。
【0088】
樹脂層10に柄を分断する線18を設けることで、凹凸10bによる排水性を持たせながら、あたかも本物素材のタイル(例えば、石のタイル)が敷き詰められているかのように見せつつ、凹凸10bの陰影よりも目立つ線18に使用者の視線を集めることができ、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。線18は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0089】
以下、樹脂層10の凸部60の形状について、説明する。
図11(a)~
図11(c)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図11(a)及び
図11(b)に表したように、凸部60の上面視における形状は、例えば、曲線を含む。凸部60の上面視における形状は、
図11(a)に表したように、曲線のみからなっていてもよいし、
図11(b)に表したように、一部のみが曲線であってもよい。また、
図11(c)に表したように、凸部60の上面視における形状は、例えば、直線を含んでいてもよい。
図11(c)の例では、凸部60の上面視における形状は、直線のみからなっている。凸部60の少なくとも1つの上面視における形状は、曲線を含むことが好ましい。
【0090】
凸部60の少なくとも1つの上面視における形状が、曲線を含むことで、凹凸10bによる排水性を持たせながら、直線模様の少ない自然テクスチャの柄に凹凸10bの様相を合わせることができ、より凹凸10bを目立ちにくくすることができる。
【0091】
また、凸部60の上面視における形状は、不定形であることが好ましい。つまり、凸部60は、特定の形状を有する凸部60が連続して配置されたものではないことが好ましい。凸部60は、隣り合う凸部60同士で、形状が異なっていたり、同じ形状であっても向きや大きさが異なっていたりすることが好ましい。言い換えれば、凸部60は、使用者に幾何学的な形状や配置であるという印象を与えないものであることが好ましい。これは、凹凸陰影の画像を2次元フーリエ変換した際に特定の周波数に偏りがないという特徴を持つ。
【0092】
凹凸10bの陰影は凹凸10bの形状によって決まるため、凹凸10bの形状が規則的であれば、凹凸10bの陰影も規則的となる。一方で、浴室床100の柄として人気の高い木目や石目などの自然テクスチャの柄は不規則的であるため、規則的な形状を有する凹凸10bを自然テクスチャの柄と重ねると、凹凸10bの陰影が目立ってしまう。これに対し、複数の凸部60の上面視における形状を不定形とすることで、凹凸10bの陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸を自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。
【0093】
図12(a)及び
図12(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図12(a)及び
図12(b)の例では、凸部60の外周の全部が凹部50により囲まれている。
【0094】
図12(a)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60eが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60eにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60eのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60eの上面視における形状は、それぞれ、曲線を含んでいる。凸部60aの上面視における形状は、凸部60b~60eの上面視における形状と、それぞれ異なっている。
【0095】
図12(b)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60gが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60gにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60gのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60gの上面視における形状は、それぞれ、直線からなっている。凸部60aの上面視における形状は、凸部60b~60gの上面視における形状と、それぞれ異なっている。
【0096】
このように、任意の凸部66(凸部60a)と、任意の凸部66に隣り合う隣接凸部67(凸部60b)と、において、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状と異なる。つまり、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状に対して、合同でもなく、相似でもない。
【0097】
隣接凸部66の上面視における形状を任意の凸部66の上面視における形状と異ならせることで、凹凸10bの陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸10bを自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。
【0098】
任意の凸部66及び隣接凸部67は、それぞれ、第1凹凸サイズが柄サイズ以上である第1凸部81、第2凹凸サイズが柄サイズ以上である第2凸部82、及び第3凹凸サイズが柄サイズ以上である第3凸部83のいずれかである。
【0099】
図13(a)及び
図13(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図13(a)及び
図13(b)の例では、凸部60の外周の全部が凹部50により囲まれている。
【0100】
図13(a)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60gが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60gにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60gのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60gの上面視における形状は、それぞれ、曲線を含んでいる。凸部60b~60gの上面視における形状は、それぞれ、上下方向を軸に凸部60aの上面視における形状を回転させたもの、または鏡像のものである。凸部60b~60gの凹凸サイズは、それぞれ、凸部60aの凹凸サイズと同じである。
【0101】
なお、本願明細書において、「凹凸サイズが同じ」とは、一方の凹凸サイズが他方の凹凸サイズの±10%の範囲内であることを意味する。すなわち、本願明細書において、「凹凸サイズが異なる」とは、一方の凹凸サイズが他方の凹凸サイズの±10%の範囲を超えることを意味する。
【0102】
図13(b)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60hが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60hにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60hのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60hの上面視における形状は、それぞれ、直線からなっている。凸部60b~60hの上面視における形状は、それぞれ、上下方向を軸に凸部60aの上面視における形状を回転させたもの、または鏡像のものである。凸部60b~60hの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさと同じである。
【0103】
このように、任意の凸部66(凸部60a)と、任意の凸部66に隣り合う隣接凸部67(凸部60b)と、において、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、上下方向を軸に任意の凸部66の上面視における形状を回転させたもの、または、任意の凸部66の上面視における形状の鏡像である。隣接凸部67の上面視における大きさは、例えば、任意の凸部66の上面視における大きさと同じである。つまり、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状に対して、合同であり、上下方向を軸に回転させたもの、または鏡像のものである。
【0104】
隣接凸部67の上面視における形状を、上下方向を軸に任意の凸部66の上面視における形状を回転させたものまたは任意の凸部66の上面視における形状の鏡像とし、隣接凸部67の上面視における大きさを任意の凸部66の上面視における大きさと同じとすることで、凹凸10bの陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸10bを自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。
【0105】
なお、任意の凸部66に隣り合う凸部60のうち、隣接凸部67以外の1つの上面視における形状は、任意の凸部66の上面視における形状と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、任意の凸部66に隣り合う凸部60のうち、隣接凸部67以外の1つの上面視における大きさは、任意の凸部66の上面視における大きさと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0106】
任意の凸部66及び隣接凸部67は、それぞれ、第1凹凸サイズが柄サイズ以上である第1凸部81、第2凹凸サイズが柄サイズ以上である第2凸部82、及び第3凹凸サイズが柄サイズ以上である第3凸部83のいずれかである。
【0107】
図14(a)及び
図14(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図14(a)及び
図14(b)の例では、凸部60の外周の全部が凹部50により囲まれている。
【0108】
図14(a)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60jが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60jにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60jのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60jの上面視における形状は、それぞれ、曲線を含んでいる。凸部60b~60jの上面視における形状は、それぞれ、凸部60aの上面視における形状と同じである。凸部60b~60dの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさよりも小さい。凸部60e~60jの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさと同じである。
【0109】
図14(b)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60eが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60eにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60eのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60eの上面視における形状は、それぞれ、直線からなっている。凸部60b~60eの上面視における形状は、それぞれ、凸部60aの上面視における形状と同じである。凸部60b~60eの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさよりも大きい。
【0110】
このように、任意の凸部66(凸部60a)と、任意の凸部66に隣り合う隣接凸部67(凸部60b)と、において、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状と同じである。隣接凸部67の上面視における大きさは、例えば、任意の凸部66の上面視における大きさと異なる。つまり、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状に対して、相似である。
【0111】
隣接凸部67の上面視における形状を任意の凸部66の上面視における形状と同じとし、隣接凸部67の上面視における大きさを任意の凸部66の上面視における大きさと異ならせることで、凹凸10bの陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸10bを自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。
【0112】
なお、任意の凸部66に隣り合う凸部60のうち、隣接凸部67以外の1つの上面視における形状は、任意の凸部66の上面視における形状と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、任意の凸部66に隣り合う凸部60のうち、隣接凸部67以外の1つの上面視における大きさは、任意の凸部66の上面視における大きさと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0113】
任意の凸部66及び隣接凸部67は、それぞれ、第1凹凸サイズが柄サイズ以上である第1凸部81、第2凹凸サイズが柄サイズ以上である第2凸部82、及び第3凹凸サイズが柄サイズ以上である第3凸部83のいずれかである。
【0114】
図15(a)及び
図15(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図15(a)及び
図15(b)の例では、凸部60の外周の全部が凹部50により囲まれている。
【0115】
図15(a)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60eが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60eにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60eのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60eの上面視における形状は、それぞれ、曲線を含んでいる。凸部60b~60eの上面視における形状は、それぞれ、上下方向を軸に凸部60aの上面視における形状を回転させたもの、または鏡像のものである。凸部60b~60eの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさよりも大きい。
【0116】
図15(b)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60eが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60eにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60eのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60eの上面視における形状は、それぞれ、直線からなっている。凸部60b~60eの上面視における形状は、それぞれ、上下方向を軸に凸部60aの上面視における形状を回転させたもの、または鏡像のものである。凸部60b~60eの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさよりも大きい。
【0117】
このように、任意の凸部66(凸部60a)と、任意の凸部66に隣り合う隣接凸部67(凸部60b)と、において、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、上下方向を軸に任意の凸部66の上面視における形状を回転させたもの、または、任意の凸部66の上面視における形状の鏡像である。隣接凸部67の上面視における大きさは、例えば、任意の凸部66の上面視における大きさと異なる。つまり、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状に対して、相似であり、上下方向を軸に回転させたもの、または鏡像のものである。
【0118】
隣接凸部67の上面視における大きさを任意の凸部66の上面視における大きさと異ならせ、さらに、隣接凸部67の上面視における形状を、上下方向を軸に任意の凸部66の上面視における形状を回転させたものまたは任意の凸部66の上面視における形状の鏡像とすることで、凹凸10bの陰影をより不規則的にすることができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸10bを自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。
【0119】
なお、任意の凸部66に隣り合う凸部60のうち、隣接凸部67以外の1つの上面視における形状は、任意の凸部66の上面視における形状と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、任意の凸部66に隣り合う凸部60のうち、隣接凸部67以外の1つの上面視における大きさは、任意の凸部66の上面視における大きさと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0120】
任意の凸部66及び隣接凸部67は、それぞれ、第1凹凸サイズが柄サイズ以上である第1凸部81、第2凹凸サイズが柄サイズ以上である第2凸部82、及び第3凹凸サイズが柄サイズ以上である第3凸部83のいずれかである。
【0121】
また、例えば、所定範囲に含まれる凸部60の上面視における大きさのばらつきは、大きい方が好ましい。より具体的には、例えば、上面視において互いに重ならないように配置された200mm四方のN個(ただし、Nは9以上の整数)の撮影領域のそれぞれに対して、撮影領域に全体が含まれる凸部60の面積の平均値をAとし、上面視において撮影領域に全体が含まれる凸部60の面積の標準偏差をBとしたときの、平均値Aに対する標準偏差Bの比B/Aで表される面積の変動係数を求める。そして、N個の撮影領域のそれぞれの面積の変動係数から、N個の撮影領域における面積の変動係数の平均値を求める。面積の変動係数の平均値は、0.16以上であることが好ましい。面積の変動係数の平均値が小さいほど、N個の撮影領域に含まれる凸部60の上面視における大きさのばらつきが小さく、面積の変動係数の平均値が大きいほど、N個の撮影領域に含まれる凸部60の上面視における大きさのばらつきが大きい。
【0122】
なお、「撮影領域に全体が含まれる凸部60」とは、撮影領域の範囲内で欠けていない凸部60のことである。例えば、
図12(a)の例で示される範囲が1つの撮影領域だとすると、凸部60a、60e、60dは、「撮影領域に全体が含まれる凸部60」に相当する。一方、凸部60b、60cは、「撮影領域に全体が含まれる凸部60」に相当しない。
【0123】
図12(a)の例では、面積の変動係数は、0.20である。
図12(b)の例では、面積の変動係数は、0.53である。
図13(a)の例では、面積の変動係数は、0.01以下である。
図13(b)の例では、面積の変動係数は、0.0である。
図14(a)の例では、面積の変動係数は、1.5である。
図14(b)の例では、面積の変動係数は、0.74である。
図15(a)の例では、面積の変動係数は、0.85である。
図15(b)の例では、面積の変動係数は、0.85である。
【0124】
図16(a)~
図16(c)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図16(a)及び
図16(b)の例では、凸部60は、前後方向に並んで配置されている。
図16(c)の例では、凸部60は、排水口100hを中心とした同心円状に配置されている。
図16(a)~
図16(c)の例では、複数の凸部60の外周の一部は、凹部50により囲まれており、凸部60の外周のその他の部分は、浴室の壁(壁パネル300d~300f)、排水口100h、浴槽200、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれている。
【0125】
図16(a)の例では、凸部60aは、凸部60bと凸部60cとの間に設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b及び凸部60cにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b及び凸部60cのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60cの上面視における形状は、それぞれ、直線と曲線とを含んでいる。凸部60aの上面視における形状は、凸部60b及び凸部60cの上面視における形状と、それぞれ異なっている。凸部60b及び凸部60cの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさと同じである。
【0126】
図16(b)の例では、凸部60aは、凸部60bと凸部60cとの間に設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b及び凸部60cにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b及び凸部60cのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60cの上面視における形状は、それぞれ、曲線からなっている。凸部60aの上面視における形状は、凸部60b及び凸部60cの上面視における形状と、それぞれ異なっている。凸部60b及び凸部60cの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさと異なっている。
【0127】
図16(c)の例では、凸部60aは、凸部60bと凸部60cとの間に設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b及び凸部60cにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b及び凸部60cのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60cの上面視における形状は、それぞれ、曲線からなっている。凸部60aの上面視における形状は、凸部60b及び凸部60cの上面視における形状と、それぞれ異なっている。凸部60b及び凸部60cの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさと同じである。
【0128】
このように、任意の凸部66(凸部60a)と、任意の凸部66に隣り合う隣接凸部67(凸部60b)と、において、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状と異なる。つまり、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状に対して、合同でもなく、相似でもない。
【0129】
凸部60の1つの上面視における形状をこの1つに隣り合う全ての凸部60の上面視における形状と異ならせることで、凹凸10bの陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸10bを自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。
【0130】
任意の凸部66及び隣接凸部67は、それぞれ、第1凹凸サイズが柄サイズ以上である第1凸部81、第2凹凸サイズが柄サイズ以上である第2凸部82、及び第3凹凸サイズが柄サイズ以上である第3凸部83のいずれかである。
【0131】
図17は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図17の例では、凸部60は、前後方向及び左右方向に並んで配置されている。
図17の例では、凸部60の外周の一部は、凹部50により囲まれており、凸部60の外周のその他の部分は、浴室の壁(壁パネル300d~300f)、排水口100h、浴槽200、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれている。
【0132】
図17の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60dが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60dにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60dのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60dの上面視における形状は、それぞれ、直線からなっている。凸部60bの上面視における形状は、上下方向を軸に凸部60aの上面視における形状を回転させたものである。凸部60bの上面視における大きさは、凸部60aの上面視における大きさと同じである。
【0133】
このように、任意の凸部66(凸部60a)と、任意の凸部66に隣り合う隣接凸部67(凸部60b)と、において、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、上下方向を軸に任意の凸部66の上面視における形状を回転させたもの、または、任意の凸部66の上面視における形状の鏡像である。隣接凸部67の上面視における大きさは、例えば、任意の凸部66の上面視における大きさと同じである。つまり、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状に対して、合同であり、上下方向を軸に回転させたもの、または鏡像のものである。
【0134】
隣接凸部67の上面視における形状を、上下方向を軸に任意の凸部66の上面視における形状を回転させたものまたは任意の凸部66の上面視における形状の鏡像とし、隣接凸部67の上面視における大きさを任意の凸部66の上面視における大きさと同じとすることで、凹凸10bの陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸10bを自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。
【0135】
任意の凸部66及び隣接凸部67は、それぞれ、第1凹凸サイズが柄サイズ以上である第1凸部81、第2凹凸サイズが柄サイズ以上である第2凸部82、及び第3凹凸サイズが柄サイズ以上である第3凸部83のいずれかである。
【0136】
図18(a)及び
図18(b)は、凸部の上面視における形状の一例を表す平面図である。
図18(a)の例では、凸部60は、前後方向及び左右方向に並んで配置されている。
図18(b)の例では、凸部60は、前後方向及び左右方向に並んで配置されている。
図18(a)及び
図18(b)の例では、凸部60の外周の一部は、凹部50により囲まれており、凸部60の外周のその他の部分は、浴室の壁(壁パネル300d~300f)、排水口100h、浴槽200、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれている。
【0137】
図18(a)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60dが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60dにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60dのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60dの上面視における形状は、それぞれ、直線からなっている。凸部60b~60dの上面視における形状は、それぞれ、凸部60aの上面視における形状と同じである。凸部60b~60dの上面視における大きさは、それぞれ、凸部60aの上面視における大きさよりも小さい。
【0138】
図18(b)の例では、凸部60aの周りに、凸部60b~60eが設けられている。つまり、凸部60aは、凸部60b~60eにより囲まれている。凸部60aは、凸部60b~60eのそれぞれと隣り合っている。凸部60a~60eの上面視における形状は、それぞれ、直線からなっている。凸部60bの上面視における形状は、上下方向を軸に凸部60aの上面視における形状を回転させたものである。凸部60bの上面視における大きさは、凸部60aの上面視における大きさよりも小さい。
【0139】
このように、任意の凸部66(凸部60a)と、任意の凸部66に隣り合う隣接凸部67(凸部60b)と、において、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状と同じである。隣接凸部67の上面視における大きさは、例えば、任意の凸部66の上面視における大きさと異なる。つまり、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状に対して、相似である。また、隣接凸部67の上面視における形状は、例えば、任意の凸部66の上面視における形状に対して、相似であり、上下方向を軸に回転させたもの、または鏡像のものである。
【0140】
隣接凸部67の上面視における形状を任意の凸部66の上面視における形状と同じとし、隣接凸部67の上面視における大きさを任意の凸部66の上面視における大きさと異ならせることで、凹凸10bの陰影を不規則的にすることができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸10bを自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。
【0141】
また、隣接凸部67の上面視における大きさを任意の凸部66の上面視における大きさと異ならせ、さらに、隣接凸部67の上面視における形状を、上下方向を軸に任意の凸部66の上面視における形状を回転させたものまたは任意の凸部66の上面視における形状の鏡像とすることで、凹凸10bの陰影をより不規則的にすることができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、凹凸10bを自然テクスチャの柄と重ね合わせた際に、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。
【0142】
任意の凸部66及び隣接凸部67は、それぞれ、第1凹凸サイズが柄サイズ以上である第1凸部81、第2凹凸サイズが柄サイズ以上である第2凸部82、及び第3凹凸サイズが柄サイズ以上である第3凸部83のいずれかである。
【0143】
図19は、実施形態の変形例に係る浴室床を表す平面図である。
図20(a)及び
図20(b)は、実施形態の変形例に係る浴室床の一部を表す平面図及び断面図である。
図20(a)は、
図19に示した領域Eの拡大図である。
図20(b)は、
図20(a)に示したF1-F2線による断面図である。
図19、
図20(a)、及び
図20(b)に表したように、実施形態の変形例に係る浴室床100Aの樹脂層10の表面10aには、凹部50とは異なる線状の溝15が設けられている。それ以外の構造は、上述した浴室床100と同じであるため、説明を省略する。
【0144】
溝15は、下方に窪んでおり、樹脂層10の表面10aを複数の表面領域16に区分けするように設けられている。溝15は、上面視において、直線状に延びていてもよいし、曲線状に延びていていもよいし、直線状に延びる部分と曲線状に延びる部分との両方を含んでいてもよい。この例では、左右方向に直線状に延びる第2溝15bが、前後方向に直線状に延びる第1溝15aに直角に突き当たるように配置されている。溝15により囲まれた1つの領域が表面領域16である。
【0145】
複数の表面領域16は、第1表面領域16aと、上面視において第1表面領域16aに隣り合う第2表面領域16bと、を有する。第2表面領域16bの上面視における形状は、第1表面領域16aの上面視における形状に対して合同または相似であることが好ましい。この例では、第2表面領域16bの上面視における形状は、第1表面領域16aの上面視における形状に対して合同である。
【0146】
第2表面領域16bの上面視における形状を、第1表面領域16aの上面視における形状に対して合同または相似にすることで、溝15を規則的に配置することができる。これにより、凹凸10bによる排水性を持たせながら、不規則的に配置された凹部50よりも規則的に配置された溝15に使用者の視線を集めることができ、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。溝15は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0147】
図21(a)及び
図21(b)は、実施形態の変形例に係る樹脂層の断面形状を模式的に表す断面図である。
図21(a)及び
図21(b)に表したように、凹凸10bの上端に位置する頂部61と溝15の下端に位置する溝底部15cとの間の上下方向の長さD2は、例えば、凹凸10bの上端に位置する頂部61と凹凸10bの下端に位置する底部51との間の上下方向の長さD1と、異なる。長さD2は、
図21(a)に表したように、長さD1よりも大きくてもよいし、
図21(b)に表したように、長さD1よりも小さくてもよい。
【0148】
長さD1は、例えば、0.5mm以上2.0mm以下である。長さD2は、例えば、0.5mm以上2.0mm以下である。長さD1及び長さD2は、樹脂層10の全面で略一定であることが好ましい。長さD1及び長さD2が位置によって異なる場合、いずれかの位置の溝15における長さD2と、この溝15に隣り合う凹凸10bにおける長さD1と、を比較する。この場合、例えば、いずれかの位置の溝底部15cとこの溝底部15cに最も近い頂部61との間の上下方向の長さを長さD2とみなし、この頂部61とこの頂部61に最も近い底部51との間の上下方向の長さを長さD1とみなす。
【0149】
長さD2を長さD1よりも大きくすることで、溝15の陰影を凹凸10bの陰影よりも濃くすることができる。これにより、あたかも本物素材のタイル(例えば、石のタイル)が敷き詰められているかのように見せつつ、凹凸10bの陰影よりも目立つ溝15の陰影に使用者の視線を集めることができ、凹凸10bをより目立ちにくくすることができる。さらに、溝15にも排水機能を持たせることができるため、排水性をより向上させることができる。
【0150】
一方、長さD2を長さD1よりも小さくすることで、溝15の清掃性を向上させることができる。なお、凹凸10bにより排水性は確保されているため、溝15に排水機能がなくても、十分な排水性を得ることができる。
【0151】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
(構成1)
柄層を有する樹脂層を備えた浴室床であって、
前記樹脂層は表面に凹凸が設けられ、
前記凹凸は、凹部と、上面視において外周が前記凹部、浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた凸部と、を有し、
前記柄層は、柄を有し、前記凹部及び前記凸部の上方または下方に配置され、
前記凸部は、
前記外周の全部が前記凹部により囲まれた第1凸部と、
前記外周の一部が1つの前記凹部と、前記外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた第2凸部と、
前記外周の一部が複数の前記凹部と、前記外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた第3凸部と、
の少なくともいずれかを有し、
前記樹脂層の上面視において互いに重ならないように配置された200mm四方のN個(ただし、Nは9以上の整数)の撮影領域を1ピクセルが1mmとなる解像度で撮影して得られたN個の画像をグレースケール変換し、グレースケール変換した画像の画素の輝度値の標準偏差をそれぞれフィルター前標準偏差とし、前記N個の画像にガウシアンフィルターをかけたときの画素の輝度値の標準偏差をそれぞれフィルター後標準偏差とし、前記N個の画像のそれぞれにおいて前記フィルター後標準偏差が前記フィルター前標準偏差の90%となるときの前記ガウシアンフィルターのフィルター通過領域の大きさを求めた場合に、N個の前記フィルター通過領域の大きさの最小値を柄サイズとし、
上面視において、前記撮影領域に全体が含まれる前記凸部の面積の平均値に対する前記面積の標準偏差の比で表される前記面積の変動係数の前記N個の撮影領域における平均値が0.16以上であって、
上面視における凹凸サイズを、前記第1凸部の最大長さを長辺とし前記第1凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを第1凹凸サイズとし、前記第2凸部の最大長さを長辺とし前記第2凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを第2凹凸サイズとし、前記第3凸部を囲み向かい合う2つの前記凹部の間の最小距離を第3凹凸サイズとしたときに、
前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部の数と、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部の数と、前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部の数と、の合計値は、前記凸部の総数の半分以上であることを特徴とする浴室床。
【0152】
(構成2)
前記第1凹凸サイズ、前記第2凹凸サイズ、及び前記第3凹凸サイズの少なくともいずれかは、40mm以下であることを特徴とする構成1記載の浴室床。
【0153】
(構成3)
前記N個の画像をグレースケール変換し、グレースケール変換した画像のうち前記凸部の領域の画素の輝度値において、輝度値を0から255の相対輝度に256等分し、前記相対輝度が0以上25以下の領域を第1領域、前記相対輝度が26以上230以下の領域を第2領域、前記相対輝度が231以上255以下の領域を第3領域とした場合に、前記第2領域の画素数は、前記第1領域の画素数、前記第2領域の画素数、及び前記第3領域の画素数の合計値の50%を超え、
前記N個それぞれの画像のうち前記凸部の領域の画素の輝度値から算出される標準偏差を一次標準偏差とし、N個の前記一次標準偏差の標準偏差を二次標準偏差とした場合に、前記二次標準偏差が1以下であることを特徴とする構成1または2に記載の浴室床。
【0154】
(構成4)
前記凹凸は、前記凸部を複数備え、任意の凸部と、上面視において前記任意の凸部に隣り合う隣接凸部と、を有し、
前記任意の凸部及び前記隣接凸部は、それぞれ、前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部、及び前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部のいずれかであり、
前記隣接凸部の上面視における形状は、前記任意の凸部の上面視における形状と異なることを特徴とする構成1~3のいずれか1つに記載の浴室床。
【0155】
(構成5)
柄層を有する樹脂層を備えた浴室床であって、
前記樹脂層は表面に凹凸が設けられ、
前記凹凸は、凹部と、上面視において外周が前記凹部、浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた凸部と、を有し、
前記柄層は、柄を有し、前記凹部及び前記凸部の上方または下方に配置され、
前記凸部は、
前記外周の全部が前記凹部により囲まれた第1凸部と、
前記外周の一部が1つの前記凹部と、前記外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた第2凸部と、
前記外周の一部が複数の前記凹部と、前記外周のその他の部分が浴室の壁、排水口、浴槽、及び浴室ドアの少なくともいずれかにより囲まれた第3凸部と、
の少なくともいずれかを有し、
前記樹脂層の上面視において互いに重ならないように配置された200mm四方のN個(ただし、Nは9以上の整数)の撮影領域を1ピクセルが1mmとなる解像度で撮影して得られたN個の画像をグレースケール変換し、グレースケール変換した画像の画素の輝度値の標準偏差をそれぞれフィルター前標準偏差とし、前記N個の画像にガウシアンフィルターをかけたときの画素の輝度値の標準偏差をそれぞれフィルター後標準偏差とし、前記N個の画像のそれぞれにおいて前記フィルター後標準偏差が前記フィルター前標準偏差の90%となるときの前記ガウシアンフィルターのフィルター通過領域の大きさを求めた場合に、N個の前記フィルター通過領域の大きさの最小値を柄サイズとし、
上面視における凹凸サイズを、前記第1凸部の最大長さを長辺とし前記第1凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを第1凹凸サイズとし、前記第2凸部の最大長さを長辺とし前記第2凸部に外接する仮想長方形の短辺の長さを第2凹凸サイズとし、前記第3凸部を囲み向かい合う2つの前記凹部の間の最小距離を第3凹凸サイズとしたときに、
前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部の数と、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部の数と、前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部の数と、の合計値は、前記凸部の総数の半分以上であり、
前記凹凸は、前記凸部を複数備え、任意の凸部と、上面視において前記任意の凸部に隣り合う隣接凸部と、を有し、
前記任意の凸部及び前記隣接凸部は、それぞれ、前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部、及び前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部のいずれかであり、
前記隣接凸部の上面視における形状は、上下方向を軸に前記任意の凸部の上面視における形状を回転させたもの、または、前記任意の凸部の上面視における形状の鏡像であり、
前記隣接凸部の前記凹凸サイズは、前記任意の凸部の前記凹凸サイズと同じであることを特徴とする浴室床。
【0156】
(構成6)
前記凹凸は、前記凸部を複数備え、任意の凸部と、上面視において前記任意の凸部に隣り合う隣接凸部と、を有し、
前記任意の凸部及び前記隣接凸部は、それぞれ、前記第1凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第1凸部、前記第2凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第2凸部、及び前記第3凹凸サイズが前記柄サイズ以上である前記第3凸部のいずれかであり、
前記隣接凸部の上面視における形状は、前記任意の凸部の上面視における形状と同じであり、
前記隣接凸部の前記凹凸サイズは、前記任意の凸部の前記凹凸サイズと異なることを特徴とする構成1~3のいずれか1つに記載の浴室床。
【0157】
(構成7)
前記隣接凸部の上面視における形状は、上下方向を軸に前記任意の凸部の上面視における形状を回転させたもの、または、前記任意の凸部の上面視における形状の鏡像であることを特徴とする構成6に記載の浴室床。
【0158】
(構成8)
前記凸部の少なくとも1つの上面視における形状は、曲線を含むことを特徴とする構成4~7のいずれか1つに記載の浴室床。
【0159】
(構成9)
前記凸部と少なくともその一部を囲む前記凹部とにおいて、
前記凹部は、最下部に位置する底部と、前記底部と前記凸部との間に位置し、曲率半径の中心が前記凹部側に位置する第1湾曲部と、を有し、
前記凸部は、最上部に位置する頂部と、前記頂部と前記第1湾曲部との間に位置し、曲率半径の中心が前記凸部側に位置する第2湾曲部と、を有し、
前記第2湾曲部の曲率半径は、前記第1湾曲部の曲率半径以上であることを特徴とする構成1~8のいずれか1つに記載の浴室床。
【0160】
(構成10)
前記樹脂層は、前記柄を分断する線を有することを特徴とする構成3記載の浴室床。
【0161】
(構成11)
前記樹脂層の下に設けられ、弾性変形可能なクッション層をさらに備えたことを特徴とする構成1~10のいずれか1つに記載の浴室床。
【0162】
(構成12)
前記樹脂層の上に設けられ、透明な微細粒子を含むコーティング層をさらに備えたことを特徴とする構成1~11のいずれか1つに記載の浴室床。
【0163】
以上のように、実施形態によれば、排水性とデザイン性とを両立できる浴室床が提供される。
【0164】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室床などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0165】
10、10X 樹脂層、 10a 表面、 10b 凹凸、 11 本体部、 11a 表面、 11b 凹凸、 12 柄層、 12a 表面、 12b 凹凸、 15 溝、 15a 第1溝、 15b 第2溝、 15c 溝底部、 16 表面領域、 16a、16b 第1、第2表面領域、 18 線、 18a 第1直線、 18b 第2直線、 18c 曲線、 20 クッション層、 30 コーティング層、 31 微細粒子、 33親水層、 50 凹部、 51 底部、 52 第1湾曲部、 55 傾斜面、 60、60a~60j 凸部、 61 頂部、 62 第2湾曲部、 66 任意の凸部、 67 隣接凸部、 81第1凸部、 82 第2凸部、 83 第3凸部、 100、100A 浴室床、 100a 表面、 100h 排水口、 110 支持脚、 200 浴槽、 210 支持脚、 220 排水配管、 230 バスエプロン、 240、250 小パネル、 300a~300f 壁パネル、 400 照明装置、 500 浴室ユニット、 CM 中心測定部、 CR カメラ、 D1、D2 長さ、 IR 仮想長方形、 L1~L3 長さ、 LD 照明装置、 MR1~MR17 第1~第17測定領域、 R1~R3 第1~第3領域、 r1、r2 曲率半径、 RP 基準面、 S 設置面