(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170717
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】水系二層型化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/03 20060101AFI20221102BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20221102BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20221102BHJP
A61K 8/898 20060101ALI20221102BHJP
A61K 8/91 20060101ALI20221102BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20221102BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20221102BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20221102BHJP
A61Q 1/08 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
A61K8/03
A61K8/29
A61K8/73
A61K8/898
A61K8/91
A61K8/19
A61Q1/02
A61Q17/04
A61Q1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071890
(22)【出願日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2021075924
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】井出 美紀
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA032
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB432
4C083AC022
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC342
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC542
4C083AC852
4C083AC902
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD242
4C083AD262
4C083AD412
4C083AD432
4C083AD532
4C083AD572
4C083AD632
4C083BB25
4C083CC12
4C083DD05
4C083DD27
4C083DD33
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
4C083FF01
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】 本発明の水系二層型化粧料は、塗布中の色変化がなく、化粧膜の均一性が高く、付着性が良く、化粧持続性が高く、さらにマスクへの化粧料の付着性が少なく、振とう後の再分散性に優れるものである。
【解決手段】 本発明は、特定の疎水化処理粉体、特定の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体、数平均繊維径2~150nmのセルロース繊維を含有する水系二層型化粧料に関するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(C);
(A)疎水化処理粉体
(B)下記(a)、(b)、(c)及び(d)のラジカル重合性モノマーを反応させて得られ、(a)、(b)、(c)及び(d)のラジカル重合性モノマー全体に対して、(a)=20~50質量%、(b)=0.5~4質量%、(c)+(d)=46~79.5質量%である、(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体
(C)数平均繊維径2~150nmのセルロース繊維
を含有する水系二層型化粧料。
成分(B):
(a)下記一般式(I)
【化1】
(式中、Meはメチル基、R1は水素原子又はメチル基、R2は1又は2個のエーテル結合を含んでいてもよい、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~10の2価の飽和炭化水素基、R3は炭素数1~10の飽和炭化水素基、mは5~100の整数を表す。)で表される化合物
(b)下記一般式(II)
【化2】
(式中、R4は水素原子又はメチル基、R5、R6、R7は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基、Xは-O-、-NH-、-O-CH
2-又は-O-CH
2CH(OH)-、Yは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~4の2価の飽和炭化水素基、Z-は対アニオンを表す。)で表される化合物、及び、式(III)
【化3】
(式中、R8、R9は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基、R10、R11は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~18のアルキル基、Z-は対アニオンを表す。)で表されるカチオン性化合物から選ばれる少なくとも1種(c)下記一般式(IV)
【化4】
(式中、R12は水素原子又はメチル基、R13は水素原子又は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~3のアルキル基を表す。)で表される化合物
(d)下記一般式(V)
【化5】
(式中、R14は水素原子又はメチル基、R15は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表す。)で表される化合物。
【請求項2】
前記成分(A)が、酸化ポリエチレン処理、金属石鹸処理、リン脂質処理、セラミド処理、アシル化アミノ酸処理、高級脂肪酸処理、高級アルコール処理、脂肪酸エステル処理、ワックス処理、およびロウ処理から選ばれる1種または2種以上で処理されている粉体である請求項1に記載の水系二層型化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)が、炭素数14~24の脂肪基を有する表面処理剤で処理されている粉体である請求項1に記載の水系二層型化粧料。
【請求項4】
前記成分(A)と成分(B)と成分(C)の含有質量割合が、(A)/〔(B)+(C)〕=1~80である請求項1に記載の水系二層型化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系二層型化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水系二層型化粧料、中でも粉体を含有した水系二層型化粧料は、外相が水であることにより化粧水のようなみずみずしさと、清涼感が得られる等の利点があり需要が高い。このような水系二層型化粧料は、静置時には粉体層または乳化層が沈降し、振とう時には沈降した層が速やか且つ均一に分散するものである。しかし、静置した時に、粉体の凝集・ケーキング(粉体層が固く沈降し分散しづらくなること)が起こり、振とう時に容易に再分散出来ない、塗布中の色変わりがある、化粧持続性に欠けるといった問題が生じる場合があった。
また一方、近年マスクを常用する場合が多く、マスクを着用した際の、マスク内の呼吸による湿度変化や、会話や表情の変化による物理的摩擦により、化粧塗膜がマスクに付着するといった現象が見られ、マスクへの付着性が少ない化粧料がさらに望まれている。
したがって、化粧水のようなみずみずしさ、清涼感に加えて、振とう後の再分散性、塗布中の色変わりがなく、化粧持続性、マスクへの付着性が少ない効果を合わせ持つ水系二層型化粧料の開発が望まれていた。
【0003】
これらの問題を解決するために、例えば特許文献1においては、親水性煙霧状無水ケイ酸、セルロース系水溶性高分子、被膜形成剤、水溶性塩及び疎水化処理板状粉体を含有した非乳化型水系二層メーキャップ化粧料において、静置時には粉体がケーキングを起こすことなく速やかに二層に分離し、振とう時には粉体が速やか且つ均一に分散し、発色の良い密着性の高い化粧膜を形成し、また、きしみやべたつきがなく、なめらかでみずみずしい使用感を有する技術が提案されている。
また、例えば特許文献2においては、疎水化処理粉体、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルを含有し、安定性が高く、容易に再分散可能で、外観が美しく、さらに保湿効果のある水系二層型メーキャップ化粧料を得る技術があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-119410号公報
【特許文献2】特許第6067162号公報
【0005】
いずれの技術にしても、静置時には速やかに二層に分離し、振とう後は速やかに再分散し、きしみやべたつきのない、なめらかな使用感を有するものの、塗布中の色変わりや、化粧持続性、また、マスクへの付着性のなさの点において技術的思想がなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の課題は、化粧水のようなみずみずしさと清涼感を持ち、振とう後の再分散性が良く、塗布中の色変わりがなく、肌付着性が良く、均一な化粧膜を形成し、化粧持続性、さらにはマスク着用時においてもマスクへの付着性のなさに優れた化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情に鑑み、本発明者は、鋭意検討した結果、疎水化処理粉体、特定の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体、数平均繊維径2~150nmのセルロース繊維を含有することで、振とう後の再分散性が良く、化粧水のようなみずみずしさと清涼感を持ち、塗布中の色変わりがなく、肌付着性が良く、化粧持続性、さらにはマスク着用時においても化粧持続性の高い化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
〔1〕
次の成分(A)~(C);
(A)疎水化処理粉体
(B)(a)、(b)、(c)及び(d)のラジカル重合性モノマーを反応させて得られ、(a)、(b)、(c)及び(d)のラジカル重合性モノマー全体に対して、(a)=20~50質量%、(b)=0.5~4質量%、(c)+(d)=46~79.5質量%である、(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体
(C)数平均繊維径2~150nmのセルロース繊維
を含有する水系二層型化粧料を提供するものである。
(a)~(d)の化学式は、発明を実施するための形態において詳細に記載する。
〔2〕前記成分(A)が、酸化ポリエチレン処理、金属石鹸処理、リン脂質処理、セラミド処理、アシル化アミノ酸処理、高級脂肪酸処理、高級アルコール処理、脂肪酸エステル処理、ワックス処理、およびロウ処理から選ばれる1種または2種以上で処理されている粉体である〔1〕に記載の水系二層型化粧料を提供するものである。
〔3〕前記成分(A)が、炭素数14~24の脂肪基を有する表面処理剤で処理されている粉体である〔1〕に記載の水系二層型化粧料を提供するものである。
〔4〕前記成分(A)と成分(B)と成分(C)の含有質量割合が、(A)/〔(B)+(C)〕=1~80である〔1〕に記載の水系二層型化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水系二層型化粧料は、塗布中の色変化がなく、化粧膜の均一性が高く、付着性が良く、化粧持続性が高く、さらにマスクへの化粧料の付着性が少なく、振とう後の再分散性に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。なお、本明細書において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
本発明における粉体の「平均粒子径」とは、画像解析法を用いて評価したD50である。粉体の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM-7800prime)を用いて、表面状態を観察し、画像解析装置(ルーゼックスAP、ニレコ社製)による測定により求めた値(D50)を用いる。
【0011】
本発明に用いられる成分(A)疎水化処理粉体は粉体を公知の技術により、疎水化処理したものであり、粉体は化粧料分野で一般的に用いられているものであれば、球状、板状、針状、不定形等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄処理雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂等の合成樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N-アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、黒色401号、褐色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色203号、青色205号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、黄色4号、黄色5号、黄色202号(1)、黄色202号(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号(1)、黄色406号、黄色407号、橙色205号、橙色402号、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号(1)、赤色105号(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号(1)、赤色231号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられ、これら粉体はその1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
本発明に用いられる成分(A)の疎水化処理を行うために用いる処理剤としては、粉体に疎水性を与えるものであれば特に制限されない。この疎水化処理により得られる疎水化処理粉体全体の疎水化度は特に限定しないが、トリグリセライド油剤と粉体を混合した液相に成分(A)を添加した際に、油剤相と水相の界面に分散しやすいもの、または、油剤相に分散しやすいものが多いものが好ましい。
このような疎水化処理としては、例えば、酸化ポリエチレン処理、金属石鹸処理、リン脂質処理、セラミド処理、アシル化アミノ酸処理、シリコーン化合物処理、フッ素処理、炭化水素処理、高級脂肪酸処理、高級アルコール処理、脂肪酸エステル処理、ワックス処理、ロウ処理などが挙げられ、これらは、一種を単独または二種以上を併用してもよい。これらの中でも、例えば、酸化ポリエチレン処理、金属石鹸処理、リン脂質処理、セラミド処理、アシル化アミノ酸処理(例えば、ラウロイルリジン処理、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa処理、ステアロイルグルタミン酸2Na処理、ラウロイルアスパラギン酸Na処理)、高級脂肪酸処理、高級アルコール処理、脂肪酸エステル処理、ワックス処理、ロウ処理等が好ましい。さらに、特に酸化ポリエチレン処理、金属石鹸処理、リン脂質処理、セラミド処理、アシル化アミノ酸処理がより好ましく、酸化ポリエチレン処理がさらに好ましい。これらの処理剤で処理されると、静置時に粉体層が沈降してもケーキングが起こりにくいなどの点で好ましい。なお、炭素数14以上の脂肪基を有する処理剤で処理された粉体が好ましく、炭素数14~24の脂肪基を有する処理剤で処理された粉体がより好ましい。
【0013】
上記成分(A)疎水化処理方法は、常法に従って、混合や加熱、焼き付け、気相重合法などにより行うことができ、湿式、乾式いずれの方法でも良い。また、粉体に対する疎水化処理剤の処理量としては、特に制限はないが、一般には0.05~15%が好ましく、0.1~10%がより好ましく、0.2~5%がさらに好ましい。
【0014】
本発明における成分(A)の含有量は特に限定されないが、下限としては、5質量%(以下、%と略す)以上が好ましく、8%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。下限としては、35%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、25%以下がさらに好ましい。範囲としては、5~35質量%が好ましく、8~30%がより好ましく、10~25%がさらに好ましい。この範囲であると、塗布中の色変化がなく、化粧膜の均一性に優れ、また、静置時に明瞭に二層に分離する点でより好ましい。
【0015】
本発明に用いられる成分(B)の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体は、少なくとも、下記(a)、(b)、(c)及び(d)のラジカル重合性モノマーを反応させて得られる重合体であり、その他、(a)~(d)以外の共重合可能なモノマーを加えて反応させて得られる重合体を包含する。
本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタアクリルを包含することを意味する。
各モノマーの仕込割合は、(a)~(d)のモノマーの全体に対して、(a)=20~50質量%、(b)=0.5~4質量%、(c)+(d)=46~79.5質量%であり、(a)~(d)以外の共重合可能なモノマーを使用する場合は、(a)~(d)のモノマーの合計は、全体の66.5質量%以上であることが好ましい。特に、(a)=30~45質量%、(b)=1~4質量%であることが好ましい。
なお、本発明において、モノマーの仕込割合とは共重合体中のそれらの組成割合と略同義である。
本発明の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体は、共重合体を20質量%となるように99.5%エタノールに溶解させたときのエタノール溶液の、25℃においてB型回転粘度計を用いて測定した粘度(単位mPa・s=CS)は、好ましくは50~250、より好ましくは、70~150である。
さらに、本発明の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等の種々の形態を包含する。
【0016】
以下に、共重合体の原料であるモノマーについて説明する。
(a)一般式(I)で表されるラジカル重合性モノマー
【0017】
【0018】
式中、Meはメチル基、R1は水素原子又はメチル基を表す。
R2は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~10の2価の飽和炭化水素基を表し、1又は2個のエーテル結合を含んでいてもよい。具体的には、-CH2-,-(CH2)2,-(CH2)5-,-(CH2)10-、-CH2-CH(CH3)-CH2-,-CH2CH2OCH2CH2CH2-,-CH2CH2OCH2(CH3)CH2-,-CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2CH2-などが例示される。
R3は炭素数1~10の飽和炭化水素基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基等の炭素数1~10のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基等の炭素数1~10のシクロアルキル基;シクロプロピルメチル基、2-シクロプロピルエチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、3-シクロペンチルプロピル基、シクロへキシルメチル基、2-シクロヘキシルエチル基、シクロヘプチルメチル基、シクロオクチルメチル基等の炭素数1~10のシクロアルキルアルキル基が挙げられる。 mは5~100の整数を表す。
【0019】
式(I)で表されるモノマーとしては、具体例には以下のものが挙げられる。なお以下の式中、Meはメチル基を、n-Buはn-ブチル基を示す。
【0020】
【0021】
(b)式(II)又は式(III)で表されるラジカル重合性モノマー
(b)成分は、下記式(II)および式(III)で表されるカチオン性化合物から選ばれる少なくとも1種または2種以上である。
【0022】
【0023】
【0024】
式(II)中、R4は水素原子又はメチル基を表す。
R5、R6、R7は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基が例示される。この中でも特に、メチル基が好ましい。
Xは-O-、-NH-、-O-CH2-又は-O-CH2CH(OH)-を表す。特に、-NHが好ましい。
Yは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~4の2価の飽和炭化水素基を表し、-CH2-,-(CH2)2,-(CH2)3-,-(CH2)4-,-CH2-CH(CH3)-CH2-等が例示される。特に、-(CH2)2が好ましい。
Z-は対アニオンであり、例えば、塩素イオン、臭素イオン、硫酸水素イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、四フッ化ホウ素イオン、六フッ化リンイオン等が例示される。
【0025】
式(III)中、R8、R9は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、炭素数1~4のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基が例示される。
R10、R11は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を表し、炭素数1~18のアルキル基としては、 メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、n-ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が例示される。
【0026】
(c)式(IV)で表されるラジカル重合性モノマー
【0027】
【0028】
式中、R12は水素原子又はメチル基を表す。
R13は水素原子又は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~3のアルキル基を表し、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基が例示される。特にエチル基が好ましい。
【0029】
(d)式(V)で表されるラジカル重合性モノマー
【0030】
【0031】
式中、R14は水素原子又はメチル基を表す。
R15は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表し、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシ-n-プロピル基、4-ヒドロキシ-n-ブチル基等が例示される。特に、2-ヒドロキシエチル基が好ましい。
【0032】
本発明における成分(B)は、一種又は二種以上組み合わせて用いることができ、その含有量は、特に限定されないが、0.01~5%が好ましく、0.05~3%がより好ましく、0.05~1%が特に好ましい。成分(B)をこの範囲で含有すると、肌への付着性や化粧持続性、マスクへの付着性のなさに優れる点でより好ましい。
【0033】
本発明に用いられる成分(C)数平均繊維径2~150nmのセルロース繊維は、原料である天然セルロースを微細化したものであり、その方法としては特に限定されず、高圧ホモジナイザーやボールミルを使用する機械的解砕による方法や2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TEMPO)等のN-オキシル化合物を用いてセルロースを酸化して微細化する化学的解砕による方法、セルラーゼ等の酵素を使用する生物的解砕による方法等が挙げられる。中でも、酸化反応の際にセルロースの水酸基が酸化されて生成したカルボキシル基が耐衝撃性の向上に寄与することから、化学的解砕による方法が好ましい。天然セルロースの由来としては特に限定されず、植物、動物、微生物の産生によって生合成されるもの等が挙げられる。また、本発明における成分(C)の数平均繊維径は、2~150nmであり、2~100nmがより好ましく、2~50nmがさらに好ましい。この範囲であると、ケーキング防止、再分散性の観点から好ましい。
なお、本発明の成分(C)は、表面にカルボキシル基、リン酸基、硫酸基等のアニオン性を有するものでも良い。
【0034】
本発明において成分(C)の数平均繊維径及び粒子径の測定方法は、電子顕微鏡を用いて、表面状態を観察し、任意の視野の繊維及び粒子20個について、繊維径の長径を観察した結果から算出する。
【0035】
本発明の成分(C)は解砕された粉末状で含有させても良く、水中に分散された状態で含有させてもよい。中でも、水分散物で含有させると、化粧料中でのセルロース繊維の分散状態が良好であり、粉体のケーキング防止効果と再分散性向上効果の観点から好ましい。水分散物として用いる場合、水分散物中のセルロース繊維の含有量は、好ましくは0.1~10%、より好ましくは0.5~5%が好適である。
【0036】
水に分散しているものの市販品としては、ビンフィスBMa-10002(数平均繊維径35nm)(スギノマシン社製)、ACCナノセルロースCNF-1(数平均繊維径20nm)(中越パルプ工業社製)、レオクリスタC-2SP(数平均繊維径10nm)(第一工業製薬社製)、セリッシュFD-100S(数平均繊維径15nm)(ダイセルファインケム社製)等が挙げられる。一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。
【0037】
本発明における成分(C)の含有量は、特に限定されないが、粉体のケーキング防止による再分散性向上、マスクへの付着性のなさの観点から、化粧料全量中に0.001~1%が好ましく、さらに0.01~0.5%がより好ましい。
【0038】
なお、本発明における成分(B)と(C)の含有質量割合比、(B)/(C)は、特に限定しないが、下限として、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、2.0以上がさらに好ましい。上限として、20.0以下が好ましく、10.0以下がより好ましく、8以下がさらに好ましい。この範囲であると、化粧膜の均一性や、化粧持続性、マスクへの付着性のなさにおいてより好ましい。
また、本発明における成分(A)と成分(B)と成分(C)の含有質量割合比、(A)/〔(B)+(C)〕は、下限として、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。上限として、80以下が好ましく、70以下がより好ましく、50以下がさらに好ましい。この範囲であると、付着性、マスクへの付着性のなさにおいて、より好ましい。
【0039】
本発明の水系二層型化粧料は、上記成分に加え、さらに好ましい成分を追加することができる。
【0040】
本発明の水系二層型化粧料は、上記成分に加え、さらに成分(D)親水性煙霧状無水ケイ酸を含有させることが望ましい。成分(D)親水性煙霧状無水ケイ酸は、疎水化処理粉体のケーキングを防止する目的で含有され、化粧料に一般に用いられる親水性煙霧状無水ケイ酸であれば形状や平均粒子径は、特に限定されないが、平均粒子径は5nm~5μmが好ましい。市販品としては、例えばAEROSIL 380S(日本アエロジル社製、平均粒子径:5~7nm)、AEROSIL 200(日本アエロジル社製、平均粒子径:10~15nm)、AEROSIL 300(日本アエロジル社製、平均粒子径:5~10nm)、ニップシール E-220(日本シリカ工業社製、平均粒子径:1~2.5μm)などの市販品が挙げられ、これらを必要に応じて一種または二種以上用いることができる。
【0041】
成分(D)の含有量は、特に限定されないが、0.01~0.5%が好ましい。この範囲であると、粉体のケーキング防止による再分散性向上、マスクへの付着性のなさの観点から好ましい。
【0042】
本発明の水系二層型化粧料は、上記成分に加え、(E)水溶性塩を含有させることが望ましい。成分(E)水溶性塩は、成分(A)の疎水化処理粉体の軟凝集剤として働き、成分(A)の速やかな沈降に寄与することができる。成分(E)は、化粧料に一般に用いられる水溶性塩であれば特に制限はなく、いずれのものも使用することができる。具体的には、例えば、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、エデト酸二ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム四水塩、DL-リンゴ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、エデト酸四ナトリウム二水塩、エデト酸三ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどが挙げられ、これらを必要に応じて一種または二種以上用いることができ、この中でも、皮膚に対する刺激が低く、また化粧料に対する汎用性が高い点において、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどが好ましい。
【0043】
成分(E)の含有量は、特に限定されないが、0.001~5%が好ましく、0.01~1%がより好ましい。この範囲であると、粉体のケーキング防止による再分散性向上、二層分離の沈降のしやすさの観点から好ましい。
【0044】
さらに、成分(F)として低級アルコール及び/または多価アルコールを含有することにより、化粧膜の均一性、付着性、粉体の分散性をより高め、多価アルコールの場合、特に使用感においてもしっとりとした保湿感を高めることができる。
【0045】
成分(F)の低級アルコールとしては、特に限定されないが、エチルアルコール、ブチルアルコールなどが挙げられる。
【0046】
成分(F)の多価アルコールとしては、水に可溶なものであれば、飽和または不飽和の直鎖状あるいは分岐鎖を有する多価アルコールのいずれのものも用いることができ、具体的には、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールなどのグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセロール類などが挙げられ、これらを一種または二種以上を用いることができる。これらの中でも粉体の分散性をより高めるためには、エチルアルコール、保湿感向上のためには、1,3-ブチレングリコール、グリセリンが好ましい。
【0047】
成分(F)の含有量は特に限定されないが、0.1~30%が好ましい。この範囲で有れば、化粧膜の均一性や、粉体の分散性がより向上し、多価アルコール含有の場合、さらに保湿感に優れたものを得ることができて好ましい。
【0048】
本発明の水系二層型化粧料には、本発明の効果を妨げない範囲であれば、上記成分(A)~(F)の他に、化粧料に通常使用される成分として、例えば、成分(F)以外の水性成分、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、糖類、防腐剤、香料等を含有することができる。
また、本発明の水系二層型化粧料は、界面活性剤及び油剤の量を低減して極微量でも水系分散が良好である。これによって、化粧料の化粧持続性をより向上させることも可能である。
【0049】
水性成分としては、水に可溶、または分散可能な成分であれば何れでもよく、例えば、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられ、水溶性高分子としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類、アルギン酸ソーダ、カラギーナン、クインスシードガム、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子類、ポリビニルアルコール、カルボシキビニルポリマー、アルキル付加カルボシキビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル、ポリビニルピロリドン等の合成高分子類等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0050】
油剤としては、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、等の液体油、パラフィンワックス,セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の固体油、オリーブ油,ヒマシ油,ホホバ油,ミンク油,マカデミアンナッツ油等の油脂類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ロジン酸ペンタエリスリットエステル、コレステロール脂肪酸エステル,N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン、フェニル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン等のシリコーン油等が挙げられる。
【0051】
界面活性剤としては、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機または有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α-スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N-メチル-N-アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩等の陰イオン性界面活性剤類、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノイルアミン脂肪酸誘導体、アルキルアンモニウム塩、脂環式アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類、リン脂質、N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いることができる。
【0052】
紫外線吸収剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、ベンゾフェノン系としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウム、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウム、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリアニリノ-パラ-(カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[{4-(2-エチルヘキシロキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジン、2-2’-メチレン-ビス-{6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール}等が挙げられ、PABA系としては、p-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸エチル、p-アミノ安息香酸グリセリル、p-ジメチルアミノ安息香酸アミル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、p-ジヒドロキシプロピル安息香酸エチル、2-{4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル}安息香酸ヘキシル等が挙げられ、ケイ皮酸系としては、p-メトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル、4-メトキシケイ皮酸-2-エトキシエチル等が挙げられ、サリチル酸系としてはサリチル酸-2-エチルヘキシル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル等、ジベンゾイルメタン系としては、4-tert-4’-メトキシジベンゾイルメタン等、また、2-2’-メチレン-ビス-{6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール}等が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いることができる。
【0053】
保湿剤としては、例えば、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、ヘパリン類似物質等、酸化防止剤としては、例えば、α-トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えば、ビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えば、クロルフェネシン、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0054】
本発明の水系二層型化粧料は、メイクアップ化粧料、スキンケア化粧料などに応用することができ、剤型としては、液状、ジェル状などの剤型とすることができ、製品形態としては、ファンデーション、化粧下地、頬紅、白粉、アイシャドウ、日焼け止め、制汗剤、などが挙げられる。
なお、水系二層型とは、外層が水であり、水層と粉が二層以上に分離するものである。油剤を含んでいてもよく、油剤と粉が混合状態で分離していても、油剤が水層中に分散していてもよいものであり、油剤が乳化状態、または粉に吸着していてもよく、油剤の位置は特に限定しないため、水層の透明性は特に限定はしない。二層分離の界面の状態も特に限定しないが、一定の時間で静置した際に、粉の層が分離するものであり、振とうの仕方によって、または容器の性質によって、水層の上層と下層に粉が分離しても構わない。きれいに界面が二層に分離すると、みずみずしさを想起させる外観審美性上より好ましい。
【0055】
本発明の水系二層型化粧料は、以下の発明も含まれうるものである。
[5]前記成分(A)と成分(B)と成分(C)の含有質量割合が、(A)/〔(B)+(C)〕=1~80である請求項1~3の何れか一項に記載の水系二層型化粧料である。
【実施例0056】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0057】
(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体の製造例を以下に示すが、特に限定しない。
【0058】
[製造例1]
3つ口フラスコ内、窒素雰囲気下で、イソプロパノール(IPA)(注1)100gを攪拌下、70~80℃にて、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(V-601)(注2)4g、片末端メタクリレート置換ジメチルポリシロキサン(X-24-8201)(注3)40g、エチルアクリレート(EA)(注4)31g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(注5)27g、3-トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロライド(MAPTAC)(注6)4g、イソプロパノール(注1)50gを3~4時間かけて添加した。次いで、イソプロパノールに溶解したジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(注2)1gを添加し、70~80℃の温度範囲内で5時間反応させ、粘稠な溶液を得た。この溶液を精製水に注ぎ込み、グラフトポリマーを沈殿析出させた後、沈殿物を濾別し、80℃にて減圧乾燥させて透明ゴム状物を87g得た。
赤外吸収スペクトルにて、得られたゴム状物が目的とする(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体であることを確認した(この生成物は、赤外吸収スペクトルによりジメチルポリシロキサン、アミド結合、エステル結合、アルキル基、水酸基を有するポリマーであることが確認された)。
モノマーの仕込割合は以下のとおりである。
MAPTAC:EA:HEMA:X-24-8201=2:31:27:40
(注1)IPA 関東化学株式会社製
(注2)V-601 和光純薬工業株式会社製
(注3)X-24-8201 信越化学工業社製
(注4)EA 関東化学株式会社社製
(注5)HEMA 関東化学株式会社社製
(注6)MAPTAC エボニック・デグサ・ジャパン株式会社製,50%水溶液
【0059】
[製造例2]
3つ口フラスコ内、窒素雰囲気下で、イソプロパノール(注1)50gを攪拌下、70~80℃にて、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(注2)4g、片末端メタクリレート置換ジメチルポリシロキサン(X-22-174DX)(注7)40g、エチルアクリレート(注4)31g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(注5)27g、3-トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロライド(注6)4g、イソプロパノール(注1)170gを3~4時間かけて添加した。次いで、イソプロパノールに溶解したジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(注2)1gを添加し、70~80℃の温度範囲内で5時間反応させ、粘稠な溶液を得た。この溶液を精製水に注ぎ込み、グラフトポリマーを沈殿析出させた後、沈殿物を濾別し、80℃にて減圧乾燥させて透明ゴム状物を90g得た。
赤外吸収スペクトルにて、得られたゴム状物が目的とする(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体であることを確認した。
モノマーの仕込割合は以下のとおりである。
MAPTAC:EA:HEMA:X-22-174DX=2:31:27:40
(注7)X-22-174DX 信越化学工業社製
【0060】
[製造例3]
3つ口フラスコ内、窒素雰囲気下で、イソプロパノール(注1)100gを攪拌下、70~80℃にて、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(注2)4g、片末端メタクリレート置換ジメチルポリシロキサン(X-22-174ASX)(注8)40g、エチルアクリレート(注4)31g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(注5)27g、3-トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロライド(注6)4g、イソプロパノール(注1)50gを3~4時間かけて添加した。次いで、イソプロパノールに溶解したジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(注2)1gを添加し、70~80℃の温度範囲内で5時間反応させ、粘稠な溶液を得た。この溶液を精製水に注ぎ込み、グラフトポリマーを沈殿析出させた後、沈殿物を濾別し、80℃にて減圧乾燥させて透明ゴム状物を83g得た。
赤外吸収スペクトルにて、得られたゴム状物が目的とする(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体であることを確認した。
モノマーの仕込割合は以下のとおりである。
MAPTAC:EA:HEMA:X-22-174ASX=2:31:27:40
(注8)X-22-174ASX 信越化学工業社製
【0061】
実施例1~18および比較例1~6:ファンデーション
下記表1に示す水系二層型ファンデーションを下記製造方法により調整し、(イ)使用時の色変化のなさ、(ロ)化粧膜の均一性、(ハ)付着性、(二)化粧持続性、(ホ)マスクへの付着性のなさ、(ヘ)再分散性、の各項目について下記の評価方法にて評価した。その結果も併せて表1及び2に示す。
【0062】
【表1】
※1:KP-561P(信越化学工業株式会社製)
※4:ゴッドボールE-90C(鈴木油脂工業社製)
※5:AEROSIL 200(日本アエロジル株式会社製)
※6:レオクリスタ C-2SP(第一工業社製)
※7:ビンフィスBMa-10002(スギノマシン社製)
※10:PI-TR-8(三好化成社製)
※11:PI-TA-46R((三好化成社製)
※12:PI-R-216P-8(三好化成社製)
※13:PI-YHP-8(三好化成社製)
※14:PI-BHP-8(三好化成社製)
【0063】
【表2】
※2:KP-578(信越化学工業株式会社製)
※3:MERQUAT 3331PR(日本ルーブリゾール社製)
※8:ゼオラス PH-F20JP(旭化成ケミカルズ社製)
※9:NATROSOL250 HHR(ASHLAND SPECIALTY INGREDIENTS社製)
【0064】
(製造方法)(表1、2)
A:成分(1)~(23)の各成分を表1、2に記載の通り含有して、三本ロールミルにて処理する。
B:成分(24)~(34)の各成分を表1、2に記載の通り含有して、均一に混合溶解する。
C:AをBに加え、ディスパーにて均一分散し、水系二層型ファンデーションを得た。
【0065】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
イ) 使用時の色変化のなさ
ロ) 化粧膜の均一性
ハ) 付着性
ニ) 化粧持続性
ホ) マスクへの付着性のなさ
ヘ) 再分散性
各試料について、化粧品評価専門パネル20名による使用テストを行い、其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し評点を付し、各試料ごとに全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
イ.使用時の色変化のなさについては、各試料を塗布し、塗布中において試料の色の色相や明度、彩度が変化しないかどうかを評価した。
ロ.化粧膜の均一性については、各試料を塗布し、塗布面において試料の付きムラがなく、化粧膜が均一かどうかを評価した。
ハ、付着性については、各試料を塗布し、塗布面において試料が、最初から一定の速度で均一に肌に付着していくかどうかを評価した。
ニ.化粧持続性については、各試料を塗布6時間後に化粧直後の状態が維持されているかどうかを評価した。
ホ.マスクへの付着性のなさについては、各試料を塗布し、パネルにマスクをして通常の生活をしてもらい、6時間後のマスクへのファンデーションの付着状態を評価した。
へ.再分散性については、各試料を口内径約3cm×高さ約8cmの8号規格ガラス瓶容器に充填し、室温にて一週間静置した後、20回ずつ振とうし、粉体の容器内での分散状態を下記5段階判定基準にて判定した。
【0066】
(評価基準)
(評点):(評価)
5 :非常に良い
4 :良い
3 :普通
2 :悪い
1 :非常に悪い
(判定基準)
(判定):(評点の平均点)
◎ :4.0以上
○ :3.5点以上4.0点未満
△ :2.0点以上3.5点未満
× :2.0点未満
【0067】
表1及び2の結果から明らかなように、本発明の実施例1~18の水系二層型ファンデーションは、使用時の色変化のなさ、化粧膜の均一性、付着性、化粧持続性、マスクへの付着性のなさ、再分散性の全ての項目において優れたものであった。
これに対して、成分(A)を含有しない比較例1では使用時に色変化があり、化粧膜の均一性に欠けるものであった。成分(B)を含有しない比較例2、3、4では、付着性に欠けるものであり、特に比較例3においては、化粧持続性やマスクへの付着性のなさにおいて劣るものであった。比較例4では、化粧膜の均一性が大きく劣っていた。数平均繊維径の大きな結晶セルロースを用いた比較例5では、マスクへの付着性のなさや、再分散性に劣るものであった。また、成分(C)の代わりにヒドロキシエチルセルロースを用いた比較例6では、付着性、マスクへの付着性のなさ、再分散性が劣っていた。
【0068】
実施例19 化粧下地
(成分) (%)
1.酸化ポリエチレン処理(3.0%)酸化チタン※10 0.5
2.酸化ポリエチレン処理(3.0%)赤酸化鉄※12 0.05
3.酸化ポリエチレン処理(3.0%)黄酸化鉄※13 0.05
4.レシチン処理(0.5%)タルク 3.0
5.ラウリン酸亜鉛処理マイカ 5.0
6.セスキオレイン酸ソルビタン 0.3
7.製造例2の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体 0.2
8.1,3-ブチレングリコール 10.0
9.球状セルロース末 ※15 3.0
10.グリセリン 3.0
11.エタノール 5.0
12.セルロースナノファイバー(数平均繊維径10nm)※6 の固形分0.2
13.塩化カルシウム 0.2
14.エチルヘキシルグリセリン 0.1
15.香料 0.1
16.精製水 残量
※15:CELLULOBEADS D-30(大東化成工業社製)
【0069】
(製造方法)
A:成分(1)~(8)の各成分を混合し、三本ロールミルにて処理する。
B:成分(9)~(16)の各成分を、均一に混合溶解する。
C:AをBに加え、ディスパーにて均一分散し、PS容器に充填し、水系二層型化粧下地を得た。
【0070】
実施例19の水系二層型化粧下地は、使用時の色変化がなく、化粧膜の均一性に優れ、付着性もよく、化粧持続性があり、マスクへの付着性が少なく、振とう時には粉体層が速やかにかつ均一に分散する再分散性に優れた水系二層型化粧下地であった。
【0071】
実施例20 頬紅
(成分) (%)
1.ラウリン酸亜鉛6%処理セリサイト 5.0
2.酸化ポリエチレン処理(3.0%)赤酸化鉄※12 0.5
3.酸化ポリエチレン処理(3.0%)黄酸化鉄※13 0.5
4.赤 226号 0.5
5.ベンガラ被覆雲母チタン ※16 5.0
6.ポリオキシエチレン(40E.O.)
硬化ひまし油(HLB12.5) 0.3
7.製造例2の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体 0.2
8.1,3-ブチレングリコール 15.0
9.デンプン末(※17) 3.0
11.グリセリン 3.0
12.親水性煙霧状無水ケイ酸 ※5 0.3
13.セルロースナノファイバー(数平均繊維径10nm)※6の固形分 0.1
14.塩化カルシウム 0.2
15.1,2-オクタンジオール 0.1
16.香料 0.2
17.精製水 残量
※16:CLOISONNE CERISE FLAMBE 550Z(BASF社製,ベンガラ48%含有雲母)
※17:DRY-FLO-PC(ヌーリオン・ジャパン社製)
【0072】
(製造方法)
A:成分(1)~(8)の各成分を混合し、三本ロールミルにて処理する。
B:成分(9)~(17)の各成分を、均一に混合溶解する。
C:AをBに加え、ディスパーにて均一分散し、PP容器に充填し、水系二層型頬紅を得た。
【0073】
実施例20の水系二層型化頬紅は、使用時の色変化がなく、化粧膜の均一性に優れ、付着性もよく、化粧持続性があり、マスクへの付着性が少なく、振とう時には粉体層が速やかにかつ均一に分散する再分散性に優れた水系二層型頬紅であった。
【0074】
実施例21 日焼け止め
(成分) (%)
1.酸化ポリエチレン処理(3.0%)酸化チタン※10 5.0
2.ミリスチン酸マグネシウム処理硫酸バリウム 0.5
3.ステアリン酸処理5%微粒子亜鉛(平均粒子径35nm) 5.0
4.メチルフェニルポリシロキサン ※18 2.0
5.イソステアリン酸PEG-20グリセリル 0.3
6.製造例2の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体 0.2
7.1,3-ブチレングリコール 15.0
8.フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 ※19 3.0
9.トリエタノールアミン 3.0
10.エタノール 5.0
11.セルロース繊維(数平均繊維径100nm)5%水分散物 10.0
12.塩化カルシウム 0.2
13.フェノキシエタノール 0.1
14.香料 0.1
15.精製水 残量
※18:KF-56(信越化学工業社製)
※19:EUSOLEX 232(メルク社製)
【0075】
(製造方法)
A:成分(1)~(7)の各成分を混合し、三本ロールミルにて処理する。
B:成分(8)~(15)の各成分を、均一に混合溶解する。
C:AをBに加え、ディスパーにて均一分散し、ガラス容器に充填し、水系二層型日焼け止めを得た。
【0076】
実施例21の水系二層型日焼け止めは、使用時の色変化がなく、化粧膜の均一性に優れ、付着性もよく、化粧持続性があり、マスクへの付着性が少なく、振とう時には粉体層が速やかにかつ均一に分散する再分散性に優れた水系二層型日焼け止めであった。
【0077】
実施例22 水中油型二層型ファンデーション
(成分) (%)
1.酸化ポリエチレン処理(3.0%)酸化チタン※10 10.0
2.酸化ポリエチレン処理(3.0%)赤酸化鉄※12 0.2
3.酸化ポリエチレン処理(3.0%)黄酸化鉄※13 1.5
4.ジメチコン処理5%微粒子酸化チタン(平均粒子径35nm) 5.0
5.トリセテアレスー4リン酸 0.05
6.レシチン 0.05
7.ジプロピレングリコール 5.0
8.水添レシチン 0.5
9.フィトステロール 0.1
10.1,3-ブチレングリコール 8.0
11.グリセリン 3.0
12.メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 2.0
13.セスキオレイン酸ソルビタン 0.1
14.ポリソルベート85 0.1
15.製造例2の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体 0.2
16.フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 ※19 3.0
17.トリエタノールアミン 2.0
18.エタノール 5.0
19.セルロース繊維(数平均繊維径100nm)5%水分散物 10.0
20.多孔質シリカ(平均粒子径10μm、吸油量100ml/100g) 1.0
21.塩化カルシウム 0.2
22.フェノキシエタノール 0.05
23.香料 0.1
24.水溶性コラーゲン 0.01
25.グリチルリチン酸2K 0.3
26.ビタミンB3 3.0
27.コメ発酵液 10.0
28.ヘパリン類似物質 0.2
29.精製水 残量
【0078】
(製造方法)
A:成分(1)~(7)の各成分を混合し、三本ロールミルにて処理する。
B:成分(8)~(14)の各成分を、均一に混合溶解し,70℃に加熱する。
C:成分(15)~(17)と成分(29)の一部を70℃に加熱しBに加え、ディスパーにて乳化する。
D:成分(18)~(28)と残りの(29)をAと分散し、Cに50℃以下で添加混合後、ガラス容器に充填し、水中油型二層型ファンデーションを得た。
【0079】
実施例22の水中油型二層型ファンデーションは、使用時の色変化がなく、化粧膜の均一性に優れ、付着性もよく、化粧持続性があり、マスクへの付着性が少なく、振とう時には粉体層が速やかにかつ均一に分散する再分散性に優れた水系二層型日焼け止めであった。