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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170734
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】ヘアコンディショニング組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20221102BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20221102BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20221102BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/41
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074130
(22)【出願日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2021076080
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592215011
【氏名又は名称】東洋ビューティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉尾 公男
(72)【発明者】
【氏名】久間 將義
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅大
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 潤
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC172
4C083AC342
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC852
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD442
4C083BB06
4C083BB53
4C083CC33
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE28
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】ヘアコンディショニング基剤組成物の配合量を自由度が高い状態で選択することができ、コンディショニング成分を効率よく毛髪に付与でき、消費者が満足する、より良いコンディショニング組成物とする。
【解決手段】炭素数16以上の直鎖高級アルコールと、カチオン性界面活性剤が2:1~5:1のモル比で配合された混合物(A)と、水性成分(B)が1:6~1:3の質量比率で配合されたヘアコンディショニング基剤組成物とし、混合物(A)の含有量が4~13質量%になるように、希釈成分が添加されたヘアコンディショニング組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数16以上の直鎖高級アルコールと、カチオン性界面活性剤が2:1~5:1のモル比で配合された混合物(A)と、水性成分(B)が1:6~1:3の質量比率で配合されたヘアコンディショニング基剤組成物。
【請求項2】
前記カチオン性界面活性剤が、長鎖アルキル型四級アンモニウム塩である請求項1に記載のヘアコンディショニング基剤組成物。
【請求項3】
前記混合物(A)と前記水性成分(B)を三軸遊星運動型撹拌機で攪拌及び混合する請求項1または2に記載のヘアコンディショニング基剤組成物の製造方法。
【請求項4】
前記混合物(A)の含有量が4~13質量%になるように、請求項1または2に記載のヘアコンディショニング基剤組成物に希釈成分が添加されたヘアコンディショニング組成物。
【請求項5】
前記ヘアコンディショニング組成物は、層状ラメラが六方晶に配列された結晶構造を有するゲル状組成物であり、X線小角散乱法により測定される前記層状ラメラの面間隔が25nm以上である請求項4に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項6】
前記ヘアコンディショニング組成物は、層状ラメラが六方晶に配列された結晶構造を有するゲル状組成物であり、X線小角散乱法により測定される前記層状ラメラの面間隔が30nm以上である請求項4に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項7】
前記混合物(A)と前記水性成分(B)を三軸遊星運動型撹拌機で攪拌及び混合して請求項1または2に記載のヘアコンディショニング基剤組成物を調製し、次いで前記混合物(A)の含有量が4~13質量%になるように希釈成分を添加するヘアコンディショニング組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、毛髪を健全な状態に整えるコンディショニング成分を含有するヘアコンディショニング基剤組成物とその製造方法、及び前記ヘアコンディショニング基剤組成物を中間製品とするヘアコンディショニング組成物とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ヘアコンディショナー、ヘアリンス、ヘアトリートメント等のヘアコンディショニング組成物は、シャンプーを用いた洗髪時や洗髪後のキシミ感の軽減または種々の要因による毛髪の損傷を補修するためにコンディショニング成分を含有するものであり、その多くは70質量%以上の水性成分に油性成分を分散かつ安定化させてゲル状の形態に調製されている。
【0003】
また、化粧品製剤分野ではゲル状のヘアコンディショニング組成物として、水を溶媒としてカチオン性界面活性剤と高級アルコールの配合割合とを攪拌混合し、ラメラ液晶のような固体の水和結晶に水分を含ませたゲルネットワークを形成したものが周知である。
【0004】
このようなラメラの分子構造は、六方晶の結晶状態を保ちながら界面活性剤が規則正しくラメラ液晶のように層状に並んでいる構造であり、「αゲル」と称されている。αゲルは、ラメラ構造の二分子膜間に多量の水を保持するので、水分含有量が比較的多くても粘度調整が可能である。
【0005】
そのため、αゲルのヘアコンディショニング組成物は、シャンプー後の濡れた髪に塗布されたときや、その後のすすぎによって水で希釈されても比較的粘度の低下速度は緩やかであり、毛髪に付着した有効成分が洗い流されにくく、有効成分と毛髪との接触時間を長くできるので、コンディショニング成分を毛髪に効率よく付与できる。
【0006】
特許文献1には、カチオン性界面活性剤と高級アルコールを攪拌しながら水に添加し、約80℃にて均一溶解した後、約55℃まで冷却し、シリコーン化合物、防腐剤、香料を攪拌しながら添加して均一化し、その後に室温まで冷却するという製法でヘアコンディショニング組成物を得る方法が記載されている。
【0007】
特許文献1に記載のヘアコンディショニング組成物は、所期した「つるつる感」が得られるように、せん断応力によって特徴づけられ、粘弾性パラメータの貯蔵弾性率G’は、2200Paから10000Pa(段落[0021])である。
【0008】
また特許文献2には、カチオン性界面活性剤と高級アルコールを含む油相と、水相とを別々に加熱し、均一に溶解したプレミックスを、インラインタイプの高せん断ホモジナイザーに同時に送り込んで混合し、ヘアコンディショナー等のパーソナルケア組成物を製造することが記載されている。
【0009】
消費者が使用時に水で薄めて使用する濃縮するタイプのヘアコンディショナーについては、含水率を低く抑える技術が報告されている。例えば特許文献3には、水の替わりにポリオールを用いて10倍濃縮された含水量の少ない固形状、粉末、顆粒またはペースト状の高濃度ヘアコンディショナーの製造法が記載されている。
【0010】
特許文献4には、ヘアケア組成物などの製品として、界面活性剤、高融点脂肪族化合物、水性キャリアを含む水性ベース組成物中に、有益な成分を含有する離散粒子を分散させたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010-195833号公報
【特許文献2】特表2012-511038号公報
【特許文献3】国際公開第2010/090219号
【特許文献4】特表2019-536777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1、2に記載されたヘアコンディショニング組成物は、カチオン性界面活性剤及び高級アルコールからなる骨格成分を一般的な製法で常用する濃度にしたものである。
【0013】
また、特許文献3に記載されたヘアコンディショニング組成物は、水に代えて多価アルコールやポリエチレングリコールを代用しているが、製剤形態はゲルではなく粉末や固体である。
【0014】
特許文献4に記載された離散粒子は、水性キャリアに分散する前の混合物が製品の基剤に対応するが、そのような非水混合物に液晶が形成されることはないので、製品の基剤にラメラゲルネットワークは構築されていない。
【0015】
このように上記した技術では、未だ満足できるようなコンディショニング組成物に至っていない。
そこで、この発明の課題は、消費者が満足する、より良いコンディショニング組成物を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記した課題を解決するために、特定の割合の特定の成分を含有するヘアコンディショニング基剤組成物を経て、より優れた最終製品のヘアコンディショニング組成物を得られるようにしたのである。特に本発明では、コンディショナー骨格成分であるカチオン性界面活性剤及び高級アルコールの合計量に対する水の重量を少なくすることで濃厚な基剤を調製し、最終製品のコンディショニング成分を効率よく毛髪に付与できる。
【0017】
すなわち、本願の発明者らは、炭素数16以上の直鎖高級アルコールと、カチオン性界面活性剤が2:1~5:1のモル比で配合された混合物(A)と水性成分(B)との比率が所定の割合からなる基剤組成物を調製し、さらにその基剤組成物を希釈して所期した最終組成物を得たのである。
【0018】
本発明のヘアコンディショニング基剤組成物は、混合物(A)の特性や製造工程上の調整によって、動的粘弾性の損失弾性率G’’が400~950Paになり、ゲルが緻密過ぎることはない程度に層状ラメラとその3次元ネットワーク構造を有している。そのため、混合物(A)が高濃度の状態でもある程度の水分を保持していて、比較的粘性が低く、逆に水分量の多い低濃度の状態でも、比較的粘性が高い状態を保てる。
【0019】
このような粘性を示すヘアコンディショニング基剤組成物は、ロータリーポンプで移送できる程度に低い粘性であり、これを水などで希釈して得られる最終製品のコンディショニング組成物も粘性が極端に低下することなく、コンディショニング成分を効率よく毛髪に付与できるものになる。
【0020】
このヘアコンディショニング基剤組成物は、炭素数16以上の直鎖高級アルコールと、カチオン性界面活性剤が2:1~5:1のモル比で配合された混合物(A)を採用する。
【0021】
このようなヘアコンディショニング基剤組成物は、混合物(A)と水性成分(B)の比率が1:6~1:3の割合で均一に溶解し、その後、冷却することにより層状ラメラが六方晶に配列された3次元ネットワークを形成できる。
【0022】
このような3次元ネットワークを備えることにより、層状ラメラ構造に水分を多く取り込むことができ、そのために水などで希釈された際に、極端に粘性を低下させることのないヘアコンディショニング組成物が出来る。
【0023】
上記製造法において、攪拌混合はローラーミキサー、真空乳化釜など特に限定されないが、高級アルコールとカチオン界面活性剤を加熱溶解した状態で効率よく均一に攪拌できるように、三軸遊星運動型撹拌機を用いて攪拌混合することが好ましい。
【0024】
また、ヘアコンディショニング基剤組成物を室温で保存し、その後、55℃以下で攪拌しながら水などで希釈することにより、粘性を極端に低下させることなく、コンディショニング成分を効率よく毛髪に付与できるヘアコンディショニング組成物を効率よく製造できる。
【0025】
ヘアコンディショニング組成物中の混合物(A)の含有量は、4~13質量%になるように希釈成分を配合することが好ましい。ヘアコンディショニング組成物は、層状ラメラが六方晶に配列された結晶構造を有するゲル状組成物であり、X線小角散乱法により測定される前記層状ラメラの面間隔が好ましくは25nm以上であり、より好ましくは30nm以上である。
因みに、X線小角散乱法(SAXS:Small Angle X-ray Scattering)は、X線を物質に照射して散乱したX線のうち、2θ<10°以下の低(小)角領域に現れるものを測定し、物質の構造を評価する周知の分析手法である。
【0026】
このようにしてヘアコンディショニング基剤組成物の配合量を自由度が高い状態で選択することができるので、ダメージケア用ヘアコンディショニング組成物から、ふんわりと柔らかく自然な仕上がりのライトコンディショニング組成物に至るまで広い用途のヘアコンディショニング組成物を製造できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、特定の割合の特定の成分を含有するヘアコンディショニング基剤組成物を経て、より優れた最終製品を調製することができる。
特にコンディショナー骨格成分であるカチオン性界面活性剤及び高級アルコールの合計量に対する水性成分の質量比率を1:6以下に少なくすることで、濃厚な基剤を調製し、最終製品のヘアコンディショニング組成物におけるコンディショニング成分を効率よく毛髪に付与できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の実施形態のヘアコンディショニング基剤組成物は、炭素数16以上の直鎖高級アルコールと、カチオン性界面活性剤が2:1~5:1のモル比で配合された混合物(A)と、水性成分(B)との比率が1:6~1:3の割合で配合された組成物である。
【0029】
このヘアコンディショニング基剤組成物を希釈し、すなわち希釈成分が添加されたヘアコンディショニング組成物は、αゲルと呼ばれるラメラ面間隔が好ましくは25~35nmの層状ラメラが六方晶に配列された3次元ネットワークを骨格構造であり、前記ラメラ面間隔は30~35nmであることがより好ましい。
【0030】
因みに、αゲルは六方晶の結晶状態を保ちながら界面活性剤が規則正しくラメラ液晶のように層状に並んでいる分子構造であり、二分子膜会合体である。広角X線回折ではαゲルの六方晶構造からくる特異的な鋭いピークが2θ=21°付近で観測される。
【0031】
この発明に用いる炭素数16以上の直鎖高級アルコールは、化粧品や医薬品等に使用される周知のものを用いることができ、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。好ましくはセチルアルコール、ステアリルアルコールである。尚、炭素数22を超える直鎖アルコールは融点が高いため、溶解性が乏しく本発明には適さない。
【0032】
この発明で使用するに適したカチオン性界面活性剤としては、通常の化粧品や医薬品等に使用されるものを用いることができ、例えば四級カチオン性界面活性剤や三級カチオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0033】
四級カチオン性界面活性剤としては、下記化1の一般式で表されるモノ長鎖アルキル型四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0034】
【化1】
(式中、R、R、R及びRのうちの1つは、炭素数8~30のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択されるものであり、それ以外のR、R、R及びRは、炭素数1~4個のアルキル基または炭素数最大4個のアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基もしくはアルキルアリール基から独立して選択されるものであり、Xはハロゲン原子を示す。)
【0035】
化1の式で示される第四級アンモニウム塩の代表例としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、メチルサルフェート又はエチルサルフェート、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルメチルサルフェート、ベヘニルトリメチルエチルサルフェート、などが挙げられる。
【0036】
また、化1の式中のR、R、R及びRのうち2つが、炭素数8~30のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、アリール基もしくはアルキルアリール基から選択されるジ長鎖アルキル型四級アンモニウム塩はモノ長鎖アルキル型四級アンモニウム塩との組み合わせで使用されてもよい。
【0037】
上記の長鎖アルキル型四級アンモニウム塩の代表例としては、ジアルキル(14~18)ジメチルアンモニウムクロリド、ジタローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジヒドロ添加タローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びジセチルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0038】
三級カチオン性界面活性剤としては、下記化2の一般式で表される長鎖アルキル型三級アミンが挙げられる。
【0039】
【化2】
(式中、R、R及びRのうちの1つは、炭素数8~30のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、アリール基、もしくはアルキルアリール基から選択され、それ以外のR、R、R及びRは、炭素数1~4個のアルキル基または炭素数最大4個のアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基もしくはアルキルアリール基から独立して選択されるものである。)
【0040】
化2の式で示される第三級アミンの代表例としては、セタラミドプロピルジメチルアミン、オレアミドプロピルジメチルアミン、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミンベヘニラミドプロピルジメチルアミン、エイコサミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン等の中和塩が挙げられる。
【0041】
これらの第三級アミンは、クエン酸、乳酸、Lグルタミン酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、酒石などの酸を加えることにより中和により四級化が起こりカチオン性界面活性剤として働く。アミンと酸のモル比は約1:0.8~約1:1.5、より好ましくは約1:1~約1:1.2である。
【0042】
本発明では、特に化1で表されるモノ長鎖アルキル型四級アンモニウム塩の1種または2種以上を用いることが好ましい。好ましくは、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びジセチルジメチルアンモニウムクロリドである。より好ましくは製剤の安定化に寄与するベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドである。
【0043】
上記した炭素数16以上の直鎖高級アルコールと、カチオン性界面活性剤の混合物(A)中のモル比は、2:1~5:1の範囲であり、好ましくは2:1~4:1、より好ましくは2:1~3:1である。これらの比率は、αゲルを含むラメラゲルネットワークを形成するのに最適もしくはそれに準ずる比率である。
【0044】
この発明に用いる水性成分(B)及びヘアコンディショニング基剤組成物に添加される希釈成分は、水及び水に溶解する成分であれば特に限定されないが、例えば水、エタノール、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール等が挙げられる。
水性成分のうち、主成分の水は、一部がラメラ液晶内部やラメラ液晶の二分子膜に取り込まれた形で安定化し、残った水は連続相として、でき上がったラメラ液晶の分散剤となる。
【0045】
本発明のヘアコンディショニング組成物には、上記した必須構成成分の他に必要に応じて、通常化粧品や医薬品等のヘアコンディショニング組成物に使用される成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合できる。
例えば、界面活性剤、油脂類、多価アルコール、低級アルコール、紫外線吸収剤、シリコーン油、増粘剤、抗菌・防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、有機酸、薬剤、天然エキス、pH調整剤、香料、色素、水等で構成される化粧料一般に適宜配合することができる。これらの構成成分の具体例を示すと次のとおりである。
【0046】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(以下、POE-と略記する。)オクチルドデシルアルコール、POE-2-デシルテトラデシルアルコール等のPOE-分岐アルキルエーテル、POE-オレイルアルコールエーテル、POE-セチルアルコールエーテル等のPOE-アルキルエーテル、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート等のソルビタンエステル、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノイソステアレート、POE-ソルビタンモノラウレート等のPOE-ソルビタンエステル、グリセリンモノオレエート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノミリステート等のグリセリン脂肪酸エステル、POE-グリセリンモノオレエート、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノミリステート等のPOE-グリセリン脂肪酸エステル、POE-ジヒドロコレステロールエステル、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油イソステアレート等のPOE-硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、POE-オクチルフェニルエーテル等のPOE-アルキルアリールエーテル、モノイソステアリルグリセリルエーテル、モノミリスチルグリセリルエーテル等のグリセリンアルキルエーテル、POE-モノステアリルグリセリルエーテル、POE-モノミリスチルグリセリルエーテル等のPOE-グリセリンアルキルエーテル、ジグリセリルモノステアレート、デカグリセリルデカステアレート、デカグリセリルデカイソステアレート、ジグリセリルジイソステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル等のノニオン界面活性剤、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸のカリウム、ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノ酸等の塩、エーテルカルボン酸の上記アルカリ塩、N-アシルアミノ酸塩、N-アシルサルコン酸塩、高級アルキルスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤、アルキルアミン塩、ポリアミン、アミノアルコール脂肪酸有機シリコーン樹脂、アルキル4級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤あるいはレシチン、ベタイン誘導体等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0047】
油脂類としては、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、椿油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、アボガド油、コメヌカ油、月見草油、大豆油、綿実油、ゴマ油、サフラワー油、パーム油、アマニ油、シソ油、シア油、サル油等の植物油脂類、ミンク油、卵黄油等の動物油脂類、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類、流動パラフィン、スクワレン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、オキシステアリン酸等の天然及び合成脂肪酸類、リノール酸エチルなどの極性オイル、セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルデカノール、ラウリルアルコール等の天然及び高級アルコール類、イソプロピルミリスチン酸、イソプロピルパルミチン酸、イソプロピルステアリン酸、オクチルドデシルミリスチン酸、オクチルドデシルオレイン酸、2-エチルヘキサン酸グリセロール、コレステロールオレート等のエステル類が挙げられる。
【0048】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトース、ショ糖、フルクトース、キシリトース、ソルビトール、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール等が挙げられる。低級アルコールやグリコールエーテル類としては、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリトリトールエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル等が挙げられる。
【0049】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、ブチルメトキシベンゾイルメタン、グリセリル-モノ-2-エチルヘキサノイル-ジ-パラメトキシベンゾフェノン、ジガロイルトリオレエート、2-2’-ジヒドキシ-4-メトキシベンゾフェノン、エチル-4-ビスヒドロキシプロピルアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、サリチル酸-2-エチルヘキシル、グリセリルパラアミノベンゾエート、サリチル酸ホモメチル、オルトアミノ安息香酸メチル、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、アミル-パラ-ジメチルアミノベンゾエート、2-フェニルベンゾイミダゾール-5-スルフォン酸、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルフォン酸等が挙げられる。
【0050】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、高重合ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ジメチコノール、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、環状シリコーン等が挙げられる。
【0051】
増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、硅酸アルミニウム、マルメロ種子抽出物、アラビアガム、トラガントガム、デンプン、コラーゲン、ヒアルロン酸ナトリウム等の天然高分子物質、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶性デンプン、カチオン化セルロース等の半合成高分子物質、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子物質等が挙げられる。
【0052】
抗菌・防腐剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、1,2-アルカンジオール、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、メチルクロロイソチオゾリンオン安息香酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’-トリクロロカルバニリド、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、レゾルシン、エタノール等が挙げられる
【0053】
酸化防止剤としては、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアヤレチン酸、没食子酸プロピル、フィチン等が挙げられる。
キレート剤としては、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0054】
有機酸としては、アシルサルコシン酸(例えばラウロイルメチルサルコシンナトリウム)、グルタチオン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。
【0055】
薬剤としては、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ-オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸およびその誘導体、ムシジン、ビサボロール、ユーカリプトール、チモールイノシトール、サポニン類(ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等)、パントテルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、セファランジン等が挙げられる。
【0056】
天然エキスとしては、ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリ草、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラ等の有機溶媒、アルコール、多価アルコール、水、水性アルコール等による抽出物等が挙げられる。
【0057】
その他にもトウモロコシやバレイショ等から得られるスターチ類、無水ケイ酸、タルク、カオリン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、アルギン酸カルシウム等の吸水性の粉末や色素多孔質等が挙げられる。
【0058】
なお、この発明のヘアコンディショニング組成物は、化粧料の他に、医薬品、医薬部外品等、外皮に適用されるものをすべて含み得る概念である。
【0059】
この発明のヘアコンディショニング基剤組成物は混合物(A)と水性成分(B)との比率が1:6~1:3の割合(質量比率)で配合される。なぜなら、混合物(A)に対し、水性成分(B)の配合割合が1:3より小さい場合は、水分量の少ない層状ラメラの疎水基の運動性も低下するので、粘性が大きくなると共に所期した程度以上にラメラ面間隔も狭くなって水分保持量も少なくなるからである。
【0060】
また混合物(A)に対し、水性成分(B)の配合割合が1:6の割合より大きい場合は、ヘアコンディショニング基剤組成物の粘度が低下し、これを希釈した製品であるヘアコンディショナー組成物のコンディショニング成分を効率よく毛髪に付与できなくなる。
【0061】
上記理由により、混合物(A)及び水性成分(B)の上記質量比率より好ましい配合割合は、1:6~1:3.5であり、さらに好ましくは1:4~1:3.5である。
このように配合することにより、ヘアコンディショニング基剤組成物を希釈する際に、その配合量を自由度が高い状態で選択することができ、極端に粘性を低下させることがなく、コンディショニング成分を効率よく毛髪に付与できるものになる。
1:3よりも水性成分(B)の少ない基剤組成物も製造可能ではあるが、ヘアコンディショニング基剤組成物を希釈して均一攪拌するにはテクスチャが固すぎるものになるので好ましくない。
【0062】
ヘアコンディショニング組成物中の混合物(A)の含有量は4~13質量%が好ましく、6~13質量%がより好ましく、さらに好ましくは、8~13質量%である。
【0063】
なお、中間製品として製造されるヘアコンディショニング基剤組成物は、引き続いて最終製品のヘアコンディショニング組成物に製造することもできるが、後日、最終製品化の工程を続行する場合は、室温まで冷却した後、得られた基剤組成物を保存することもできる。
【実施例0064】
実施例1~6、比較例1~3のヘアコンディショニング基剤組成物を、以下の表1に示す配合割合にて調製し、その粘性及び調製のし易さについて評価した。
【0065】
[実施例1~5、比較例1~3]
ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドとセチルアルコール及びステアリルアルコールがモル比で3:1の質量比に配合された混合物(A)を三軸遊星方式高せん断ミキサーに投入し、80℃に加熱して溶解すると共に攪拌して均一化した。調製に際しては、三軸遊星方式高せん断ミキサー(同社製のハイビスディスパーミックス(登録商標))を用いた。
この混合物(A)に水性成分(B)を添加して0.06~0.08MPaの減圧下で攪拌し、混合物の温度を55℃以下に冷却してヘアコンディショニング基剤組成物を製造した。
【0066】
[実施例6]
実施例4において「混合物(A)を三軸遊星方式高せん断ミキサーに投入し、80℃に加熱して溶解」する代わりに「混合物(A)を水性成分(B)と共に三軸遊星方式高せん断ミキサーに投入し、80℃に加熱して溶解」したこと以外は、実施例4と同様にしてヘアコンディショニング基剤組成物である実施例6を製造した。
【0067】
上記のようにして得られた実施例1~6及び比較例1~3のヘアコンディショニング基剤組成物は、TA Instruments製Discovery Hybridレオメーターを用いて粘性を測定した。また、これらのヘアコンディショニング基剤組成物を一定量の水などで希釈し、その際の最終組成物の毛髪への塗布のし易さを、以下のように3段階で評価し、その結果を表1中に記号で示した。
<評価基準>
◎:非常に塗布し易い
○:やや硬いが塗布出来た
×:非常に硬く塗布し難い
【0068】
【表1】
【0069】
表1に示された結果からも明らかなように、水性成分(B)の配合量の減少と共にレオロジー最大値が大きくなった。ヘアコンディショニング基剤組成物を水などで希釈した結果、混合物(A)と水性成分(B)の配合比率が「1:6~1:3」の範囲においては、ヘアコンディショニング組成物の毛髪への塗布のし易さが優れていた。
【0070】
実施例6では「混合物(A)と水性成分(B)を加熱溶解し、そのまま冷却する」という製法を採用したが、このような製法であってもヘアコンディショニング基剤組成物の調製は可能であった。
【0071】
次に、実施例4または実施例6のヘアコンディショニング基剤組成物をベースにして、防腐剤、香料及び水で希釈した実施例7、実施例8のヘアコンディショニング組成物を製造した。
【0072】
[実施例7]
55℃以下の実施例4のヘアコンディショニング基剤組成物に、表2に示すコンデショニング成分としてシリコーン(アモジメチコン)、防腐剤(フェノキシエタノール)と香料等の任意成分、及び消費者が使用可能な濃度に調整するために所要量の希釈成分を添加して、混合物(A)の処方配合量が8.6%となるように調製し、これを均一になるまで攪拌した。次いで、32℃以下まで冷却した後、ホモミキサーでせん断力を掛け、αゲルの形成が促進された実施例7のヘアコンディショニング組成物を製造した。
【0073】
[実施例8]
実施例7において、実施例4のヘアコンディショニング基剤組成物に代えて実施例6のヘアコンディショニング基剤組成物を用いたこと以外は、実施例7の製造方法と全く同様にして実施例8のヘアコンディショニング組成物を製造した。
【0074】
得られた実施例7及び実施例8について、レオメーターを用いてレオロジー最大値を測定し、また粘弾性率(tan delta=G”/G’)を算出した。また、X線広角散乱によるαゲル確認(2θ=21°のピーク)を測定すると共に、X線小角回折(ラメラ面間隔 nm)を測定し、これらの結果を表2中に併記した。
【0075】
【表2】
【0076】
表2に示された結果からも明らかなように、実施例7の損失係数tan delta=G”/G’が高い値を示した。その理由は、レオメーターによる粘弾性測定では、実施例7の損失弾性率(粘性)G”が実施例8よりも高い値となり、また貯蔵弾性率(弾性)G’は二製品(実施例7、実施例8)共に大きな差がなかったためであると考えられた。
【0077】
因みに損失係数は、損失弾性率(粘性)と貯蔵弾性率(弾性)の比を表し、数値が高ければ損失弾性率が高い粘性寄りの流体であり、逆に低ければ貯蔵弾性率の高い弾性寄りの流体であるということが言える。この事から実施例7のヘアコンディショニング組成物は、実施例8のヘアコンディショニング組成物よりも粘性寄りの流体となっていることが分かる。
【0078】
また、表1及び表2に示されるように、実施例4と実施例6のレオロジー最大値は、実施例4の方が低かったが、実施例4を希釈した実施例7と、実施例6を希釈した実施例8の比較においては、実施例7は実施例8よりレオロジー最大値が高く維持されていた。
【0079】
このことから、実施例7は、ヘアコンディショニング基剤組成物を用いて得られる最終製品のコンディショニング組成物の粘性を、実施例8より低下させることはないことが分かった。よって実施例7は、実施例8と比較してコンディショニング成分を効率よく毛髪に付与できる最終製品として振動耐性にも優れたものと考えられた。
【0080】
このような実施例7と実施例8の比較により、コンディショニング基剤組成物は、多様な方法で調製可能であるが、「混合物(A)を三軸遊星方式高せん断ミキサーに投入し、加熱して溶解した後、水性成分(B)を添加して得られる調製方法」が、より好ましいことが分かった。
【0081】
さらに、実施例7と実施例8の比較により以下のことが明らかになった。すなわち、αゲルを含むラメラ液晶は、二分子膜構造を持っており、その二分子膜間距離(ラメラ面間隔)は小角X線散乱法を用いることで測定が可能である。カチオン性界面活性剤-高級アルコール-水で構成される本発明のヘアコンディショニング基剤組成物では、二分子膜間には水が取り込まれる。つまり、二分子膜間距離が大きければそれだけ多くの水がゲル内に取り込まれることになる。
よって、ゲル内に水が取り込まれるほど外層の水が少なくなり、結果的にコンディショニング組成物全体の粘度は高くなるのである。
【0082】
また同じ組成のコンディショニング組成物であれば、粘度が高い方が物理的に毛髪への吸着量は高くなるため、それだけ効率的にコンディショニング成分を毛髪に付与することができる。
そのため、実施例8のように毛髪への効率的なコンディショニング組成物の塗布におけるαゲルのラメラ面間隔は25nm以上であることが好ましいが、実施例7のように30nm以上であればより好ましいことが分かった。
【0083】
上記した最終製品のヘアコンディショニング組成物において、最も実用性に優れる実施例7と、本願発明における基剤組成物の調製工程を経ずに調製された比較例4のヘアコンディショニング組成物について、以下の実使用試験を行なった。
【0084】
[比較例4]
基剤組成物の調製の工程を介さずに行うヘアコンディショニング組成物の調製法として、水性成分(B)と希釈成分を真空乳化釜に投入し、80℃まで加熱を行なった。
そこに混合物(A)を投入して攪拌溶解した後、0.06~0.08Mpaの減圧下で55℃以下に冷却し、αゲルを含んだラメラ液晶を形成した。以降は実施例7と同様にシリコーン、防腐剤、香料を添加して32℃まで冷却、ホモミキサーを掛けて最終製品とした。実施例7と比較例4は完全に同一の処方とした。
【0085】
[実使用試験]
成人女性9名のパネラーが入浴時のシャンプーの後に、実施例7及び比較例4を交互に2日間使用した場合の評価を調べた。実施例7及び比較例4を使用する順序は2グループに分けて調べた。また、使用するシャンプーは、コンディショニング組成物についての評価の影響を最小限にするために、ノンシリコンシャンプーを用いた。
【0086】
評価基準は、各項目について「極めて良好」を10点、「普通」を5点、「不良」を0点とし、0~10の整数を評価点として11段階に評価し、各項目別の平均値を表3中に記載した。
【0087】
【表3】
【0088】
表3に示される結果からも明らかなように、実施例7または比較例4を手に取った時のリッチ感、髪を乾かした後のコンディショニング効果を中心に、実施例7は比較例4に比べて統計的有意差(*付きの数値)があることをもって優れていた。また、すすぎ時の感触も有意差はなかったものの実施例7の方が比較例4を上回った。
以上の結果から、この発明のヘアコンディショニング組成物は、従来の製法で得られたものに比べて優れた製品特性(製品パフォーマンス)を有していることが分かった。
【0089】
以下の実施例9~11は、下記の表4~6に示す組成(処方)で上述の実施例1~5と同様の製造工程で調製されたヘアコンディショニング組成物であり、いずれも所期した程度に良好な使用感が得られるものであった。
【0090】
[実施例9]
表4に示される処方で、以下のA~Dの工程によりダメージケア用高ハイコンディショニングトリートメントを製造した。
A:成分1~3を三軸遊星運動型撹拌機にて82℃で溶解攪拌した。
B:A工程で調製した油相に成分9の一部を添加して、0.06~0.08Mpaの減圧下で攪拌し、混合物の温度を55℃以下に冷却した。
C:55℃まで冷却後、残りの添加成分を加えて均一攪拌した後、32℃まで冷却した。
D:ホモミキサーでせん断力を掛け、αゲルの形成を完了させてダメージケア用高コンディショニングトリートメントを得た。
【0091】
【表4】
【0092】
[実施例10]
表5に示される処方で、以下のA~Dの工程によりボリュームアップコンディショナーを製造した。
A:成分1~3を三軸遊星運動型撹拌機にて82℃で溶解攪拌した。
B:A工程で調製した油相に成分8の一部を添加して、0.06~0.08Mpaの減圧下で攪拌し、混合物の温度を55℃以下に冷却した。
C:55℃まで冷却後、残りの添加成分を加えて均一攪拌した後、32℃まで冷却した。
D:ホモミキサーでせん断力を掛け、αゲルの形成を完了させて軽い仕上がりのボリュームアップコンディショナーを得た。
【0093】
【表5】
【0094】
[実施例11]
表6に示される処方で、以下のA~Dの工程により紫外線ダメージ防止コンデショナーを製造した。
A:成分1~3を三軸遊星運動型撹拌機にて82℃で溶解攪拌した。
B:A工程で調製した油相に成分10の一部を添加して、0.06~0.08Mpaの減圧下で攪拌し、混合物の温度を55℃以下に冷却した。
C:55℃まで冷却後、残りの添加成分を加えて均一攪拌した後、32℃まで冷却した。
D:ホモミキサーでせん断力を掛け、αゲルの形成を完了させて紫外線ダメージ防止コンデショナーを得た。
【0095】
【表6】