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▶ 市岡 万幸の特許一覧

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  • 特開-ブラインエアコン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170746
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ブラインエアコン
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20221104BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
F24F5/00 101
F25B1/00 396E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076899
(22)【出願日】2021-04-29
(71)【出願人】
【識別番号】721002679
【氏名又は名称】市岡 万幸
(72)【発明者】
【氏名】市岡 万幸
(57)【要約】      (修正有)
【課題】地球温暖化対策からフロン系冷媒消費削減の国際的な規制が年々進行するものの、これに替わる冷媒開発の進展が停滞している。温暖化に影響しない冷媒として炭化水素系が知られているが、可燃性が強いため、室内に直接配管して使用するには万一の漏洩時に安全性に問題があるとされる。そこで、炭化水素系冷媒を安全に使用する方法として、ブラインエアコンを提供する。
【解決手段】小型エアコンの分野では、室外機と室内機が冷媒配管で接続された冷凍サイクルの室内機内の蒸発器にて冷媒が直接蒸発して室内を冷房しているが、ブラインエアコンは、1次側冷媒回路の蒸発器でブラインを熱交換し冷却、ブライン(冷水)配管で室内に送り、室内機ファンコイルで室内を冷房する。よって、冷凍サイクルを形成する冷媒回路は、屋外設置の室外機内に留めることにより、炭化水素系を冷媒として安全に使用するものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素系を冷媒とする冷凍サイクル(1次側冷媒回路)は、屋外設置の室外機内に閉じ込める。
【請求項2】
この発明は、分離した室内機と室外機が配管で接続され、炭化水素系冷媒を冷凍サイクルに用いた、家庭用ルームエアコン、及び圧縮機の電動機定格出力7.5kW未満の業務エアコンに関する。
【請求項3】
冷凍サイクル(1次側冷媒回路)の蒸発器でブラインを熱交換し冷却、ブライン(冷水)配管で室内に送り、室内機ファンコイルで室内を冷房する。
【請求項4】
図は冷房時ものであるが、暖房時は蒸発器と凝縮器の機能がそれぞれ逆転し、ブライン側回路には温水が送られる。ただし、ブラインは「冷温水」に限らない熱搬送媒体とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分離した室内機と室外機がブライン配管で接続され、炭化水素系冷媒を冷凍サイクルに用いた、家庭用ルームエアコン、及び圧縮機の電動機定格出力7.5kW未満の業務用エアコンに関する。
【背景技術】
【0002】
現状、小型エアコンの分野では、熱搬送性能の良さと取扱性や安全性の良いフロン系の冷媒が、CFCからHCFCへ、更にHCFCからHFCへと変遷し、長きに亘り用いられてきている。
オゾン層破壊には影響しないHFC冷媒への転換を果たすものの、フロン系HFC冷媒は、地球温暖化に大きく影響を及ぼすことが判明し、その対策が求められている。
フロン系に代わる冷媒を長年に亘り探求するものの、問題点を克服する新しい冷媒の出現には至っていない。
【0003】
現状、室外機と室内機は、冷媒配管を現地施工による接続にて冷凍サイクル(1次側冷媒回路)を形成しており、施工技量の程度差や、腐食、振動摩耗等の起因もあり、接続部に限らない冷媒回路からの冷媒漏洩が回避できず、冷媒の補充充填が致し方ない事情もあり、フロン系冷媒の使用削減も低調である。
【0004】
現状、小型エアコンの分野で主流のフロン系HFC冷媒は、より温暖化係数の低いものへの転換が図られてはいるものの、根本的な解決にはならない面があり、長期的な設備更新の動機を阻害しているとも考えられる。
なお、キガリ改正によれば、HFC消費量が2029年には2015年比で75%削減となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-301254号公報(A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自然物質であり温暖化に影響しない炭化水素系の物質を冷媒として使用する。
家庭用冷蔵庫や自動販売機、業務用フリーザーの冷凍サイクルでは既に実用化されており、これの応用として小型エアコンの分野に導入し展開するものである。
炭化水素系は、フロン系冷媒と特性が似ていて相応の熱搬送性能を容易に得ることができ、地球温暖化問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
炭化水素系は可燃性なので、万一にも室内に漏洩した場合、発火や火災の危険性を伴う。そこで本発明では、炭化水素系を冷媒とする冷凍サイクル(1次側冷媒回路)を室外機に閉じ込め、万一漏洩した場合でも屋外であるため空中拡散するので安全性が確保できる。
【発明の効果】
【0008】
ブラインエアコンでは、1次側冷媒回路(冷媒配管)の施工は、工場内製作により一定品質の確保が可能であるが、従来エアコンでは、室外機と室内機の冷媒配管接続は現地施工のため、作業者の技量により品質の開きもあり、冷媒漏洩のリスクの一因となっている。
【0009】
外観も、従来エアコンと同様な室外機と室内機という配置であり、受け入れられ易いと考える。室外機と室内機の接続配管は、冷媒ではなくブライン(冷温水)になるのが相違点であるが、設置や配管経路はそのまま利用できるものと考える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】冷凍サイクル(1次側冷媒回路)の蒸発器でブラインを熱交換し冷却、ブライン(冷水)配管で室内に送り、室内機ファンコイルで室内を冷房する。
【0011】
炭化水素系冷媒の主なものとしては、R290(プロパン)、R600(ブタン)、R600a(イソブタン)、R170(エタン)、R1150(エチレン)、R1270(プロピレン)などがある。
【0012】
図は冷房時ものであるが、暖房時は蒸発器と凝縮器の機能がそれぞれ逆転し、ブライン側回路には温水が送られる。ただし、ブラインは「冷温水」に限らない熱搬送媒体とする。
図1