(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170747
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】コイルモジュール及びワイヤレス電力伝送デバイス
(51)【国際特許分類】
H01F 37/00 20060101AFI20221104BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20221104BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20221104BHJP
【FI】
H01F37/00 Z
H01F38/14
H01F37/00 T
H02J50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076902
(22)【出願日】2021-04-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】千代 憲隆
(72)【発明者】
【氏名】得居 通久
(72)【発明者】
【氏名】吉田 拓也
(57)【要約】
【課題】ホルダー及びコイルを備える改良されたコイルモジュールを提供する。
【解決手段】コイルモジュール1は、対象機器を載置するための平板部10と、平板部10の辺11に沿ってy方向に延在するサイドストッパー15と、平板部10の辺12に沿ってx方向に延在する下部ストッパー16とを有するホルダー2と、ホルダー2の平板部10に設けられたコイル3とを備える。コイル3は、コイル軸方向から見て、y方向に対して所定の傾きを有するA方向における外形サイズがB方向における外形サイズよりも大きい。これにより、サイズの異なる種々の対象機器を充電することが可能となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象機器を載置するための平板部と、前記平板部の第1の辺に沿って第1の方向に延在する第1ストッパーと、前記平板部の第2の辺に沿って前記第1の方向と直交する第2の方向に延在する第2ストッパーとを有するホルダーと、
前記ホルダーの前記平板部に設けられたコイルと、を備え、
前記コイルは、コイル軸方向から見て、前記第1の方向に対して所定の傾きを有する第3の方向における外形サイズが前記第3の方向と直交する第4の方向における外形サイズよりも大きい、コイルモジュール。
【請求項2】
前記コイル軸方向から見た前記コイルの平面形状が楕円形である、請求項1に記載のコイルモジュール。
【請求項3】
前記平板部上において前記コイル軸を通り、前記第3の方向に延在する仮想線は、前記平板部の前記第1及び第2の辺によって構成される第1の角部と交差しない、請求項1又は2に記載のコイルモジュール。
【請求項4】
前記平板部は、前記第1の角部の対角に位置する第2の角部を有し、
前記仮想線と前記平板部の前記第2の辺が成す角度は、前記第1及び第2の角部を結ぶ対角線と前記平板部の前記第2の辺が成す角度よりも大きい、請求項3に記載のコイルモジュール。
【請求項5】
前記コイル軸が前記平板部の中心位置と一致しない、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコイルモジュール。
【請求項6】
前記コイル軸と前記平板部の前記第2の辺の前記第1の方向における距離は、前記コイル軸と前記平板部の前記第1の辺の前記第2の方向における距離よりも大きい、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のコイルモジュール。
【請求項7】
前記コイルは、基材の一方の表面に設けられた第1のコイルパターンと、前記基材の他方の表面に設けられた第2のコイルパターンと、前記基材を貫通して設けられ、前記第1のコイルパターンの内周端と前記第2のコイルパターンの内周端を接続するスルーホール導体とを含み、
前記第1及び第2のコイルパターンを構成する各ターンは、並列な複数のラインに分割されており、
前記スルーホール導体は、前記複数のラインにそれぞれ割り当てられ、且つ、前記第4の方向に配列されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のコイルモジュール。
【請求項8】
前記ホルダーは、前記平板部の前記第1の辺とは反対側に位置する第3の辺に沿って前記第1の方向に延在し、前記第2の方向における位置が可変な可動ストッパーをさらに有する請求項1乃至7のいずれか一項に記載のコイルモジュール。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のコイルモジュールと、
前記コイルに接続される送電回路と、を備えるワイヤレス電力伝送デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はコイルモジュール及びワイヤレス電力伝送デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどの対象機器を載置するホルダーは、特許文献1に記載されているように、対象機器を非接触で充電するためのコイルを備えていることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたホルダーは、あらかじめ定められたサイズの対象機器しか載置することができない。このため、サイズの異なる種々の対象機器を充電することはできなかった。
【0005】
したがって、本開示は、ホルダー及びコイルを備える改良されたコイルモジュール及びワイヤレス電力伝送デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施態様によるコイルモジュールは、対象機器を載置するための平板部と、平板部の第1の辺に沿って第1の方向に延在する第1ストッパーと、平板部の第2の辺に沿って第1の方向と直交する第2の方向に延在する第2ストッパーとを有するホルダーと、ホルダーの平板部に設けられたコイルとを備え、コイルは、コイル軸方向から見て、第1の方向に対して所定の傾きを有する第3の方向における外形サイズが第3の方向と直交する第4の方向における外形サイズよりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、サイズの異なる種々の対象機器を充電することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態によるコイルモジュール1の外観を示す略斜視図である。
【
図2】
図2は、コイル3の形状及び平板部10における位置を説明するための第1の模式図である。
【
図3】
図3は、コイル3cの平板部10における位置を説明するための第2の模式図である。
【
図4】
図4は、コイル3cの平板部10における位置を説明するための第3の模式図である。
【
図5】
図5は、コイル3の平板部10における位置を説明するための第4の模式図である。
【
図6】
図6は、コイル3の構成を示す略断面図である。
【
図7】
図7は、第1のコイルパターン100のパターン形状を説明するための平面図であり、基材20の一方の表面21側から見た状態を示している。
【
図8】
図8は、第1及び第2のコイルパターン100,200のパターン形状を説明するための平面図であり、基材20の一方の表面21側から見た状態を示している。
【
図10】
図10は、コイルモジュール1を用いたワイヤレス電力伝送デバイス40のブロック図である。
【
図11】
図11は、変形例によるコイルモジュール1Aの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、一実施形態によるコイルモジュール1の外観を示す略斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態によるコイルモジュール1は、スマートフォンなどの対象機器を載置するホルダー2と、ホルダー2に内蔵された充電用のコイル3とを備えている。ホルダー2は、対象機器を載置するための平板部10を有している。平板部10の表面はxy平面を有し、第1の方向であるy方向に延在する辺11,13と、第2の方向であるx方向に延在する辺12,14とを有している。辺11は第1の辺であり、辺13は辺11とは反対側に位置する。辺12は第2の辺であり、辺14は辺12とは反対側に位置する。平板部10の形状は、x方向における幅よりもy方向における高さが大きい縦長形状である。
【0012】
ホルダー2は、平板部10の辺11に沿ってy方向に延在するサイドストッパー15と、平板部10の辺12に沿ってx方向に延在する下部ストッパー16をさらに有する。サイドストッパー15はz方向に突出しており、これにより平板部10に載置された対象機器をx方向に位置決めする役割を果たす第1ストッパーの一例である。下部ストッパー16はz方向に突出しており、これにより平板部10に載置された対象機器をy方向に位置決めする役割を果たす第2ストッパーの一例である。サイドストッパー15は、平板部10の辺11の全体に亘って設けられていても構わないし、辺11の一部にのみ設けられていても構わない。同様に、下部ストッパー16は、平板部10の辺12の全体に亘って設けられていても構わないし、辺12の一部にのみ設けられていても構わない。
【0013】
コイル3は、ホルダー2の平板部10に設けられる。コイル3のコイル軸はz方向である。コイル3は、ワイヤレス電力伝送に用いる送電用コイルであり、スマートフォンなどの対象機器をホルダー2に載置すると、ワイヤレス電力伝送によって対象機器を充電することができる。ホルダー2は、自立するためのスタンドを有していても構わないし、このようなスタンドを排除することによって、充電しながらスマートフォンなどの対象機器を操作しやすい構造であっても構わない。ホルダー2に載置可能な対象機器のサイズは固定されておらず、ある程度サイズの異なる種々の対象機器を載置することができる。対象機器には、ワイヤレス電力伝送に用いる受電用コイルが設けられており、送電用コイルであるコイル3と受電用コイルを重ねた状態でコイル3に電流を流すことにより、対象機器が非接触で充電される。
【0014】
図2は、コイル3の形状及び平板部10における位置を説明するための模式図である。
【0015】
図2において、符号3aはコイル3を構成するスパイラル状のコイルパターンが配置される配線領域であり、符号3bは配線領域3aに囲まれた開口領域である。そして、
図2に示すように、z方向から見たコイル3の平面形状は真円形ではなく、且つ、その長軸がy方向に対して所定の傾きを有する楕円形である。より具体的に説明すると、コイル3のコイル軸をC0とした場合、コイル軸C0を通る第3の方向の一例であるA方向における外形サイズD1は、コイル軸C0を通る第4の方向の一例であるB方向における外形サイズD2よりも大きい。ここで、A方向とB方向は互いに直交し、且つ、x方向及びy方向に対して所定の傾きを有している。A方向及びB方向は、いずれもz方向に対して直交している。コイル軸C0は、平板部10の中心と一致しておらず、x方向及びy方向にオフセットしている。また、コイル軸C0と平板部10の辺12のy方向における距離W1は、コイル軸C0と平板部10の辺11のx方向における距離W2よりも大きい。
【0016】
上述の通り、ホルダー2の平板部10には、スマートフォンなどの対象機器が載置される。対象機器に設けられる受電用コイルの位置は、特にスマートフォンである場合、対象機器のx方向における中央部であって、y方向における中央部であることが多い。このため、ホルダー2に比較的小型の対象機器S1を載置した場合であっても、ホルダー2に比較的大型の対象機器S2を載置した場合であっても、対象機器S1又はS2に設けられた受電用コイルの全て又は一部がコイル3と重なる。図示しないが、対象機器S1よりも大きく対象機器S2よりも小さい対象機器をホルダー2に載置した場合も同様である。一例として、ホルダー2に比較的小型の対象機器S1を載置した場合、対象機器S1に設けられた受電用コイルの中心位置C1は、コイル3の開口領域3bの右下部分と重なる一方、ホルダー2に比較的大型の対象機器S2を載置した場合、対象機器S2に設けられた受電用コイルの中心位置C2は、コイル3の開口領域3bの左上部分と重なる。
【0017】
このように、サイズの異なる対象機器S1,S2のいずれをホルダー2に載置した場合であっても、対象機器S1,S2に設けられた受電用コイルの全て又は一部がコイル3と重なり、好ましくは、コイル3の開口領域3bと対象機器S1,S2に内蔵された受電用コイルの中心位置C1,C2がz方向に重なる。これにより、コイル3から発生する磁束が対象機器S1,S2に内蔵された受電用コイルと効率よく鎖交するため、高い電力伝送効率を得ることが可能となる。
【0018】
図2に示すように、平板部10上においてコイル軸C0を通り、A方向に延在する仮想線L1を想定した場合、仮想線L1は、平板部10の辺11,13と交差することなく、平板部10の辺12,14と交差する。また、仮想線L1は、平板部10の辺11,12によって構成される角部17や、角部17の対角に位置し、平板部10の辺13,14によって構成される角部18とも交差しない。そして、仮想線L1と平板部10の辺12が成す角度をθ1とし、角部17,18を結ぶ対角線L2と平板部10の辺12が成す角度をθ2とした場合、θ1>θ2である。上述の通り、平板部10は縦長形状を有していることから角度θ2は45°超であるが、角度θ1はそれよりも大きいことになる。
【0019】
このような形状としているのは、仮想線L1と対角線L2が重なるようθ1=θ2に設計すると、
図3に示すように、上述したコイル3よりも配線領域3aの面積が小さいコイル3cを用いる必要があり、インダクタンスが低減するからである。特に、
図4に示すように、仮想線L1が角部17を通過し、且つ、θ1<θ2となるよう設計すると、縦長形状である対象機器S1,S2の受電用コイルの中心位置C1,C2とコイル3cの開口領域3bが重ならなくなり、電力伝送効率が大幅に低下してしまう。これに対し、
図2に示すように、θ1>θ2となるよう設計することにより、コイル3の配線領域3aの面積を十分に確保しつつ、高い電力伝送効率を得ることが可能となる。
【0020】
また、θ1>θ2であっても、仮想線L1が角部17を通過するよう設計すると、
図5に示すように、平板部10のx方向における幅が小型な対象機器S1よりも大きくなってしまい、対象機器S1をホルダー2に載置した状態で把持しにくくなる。これに対し、
図2に示すように、仮想線L1が辺12と交差するよう設計することにより、比較的小型な対象機器S1が辺13からはみ出すことから、対象機器S1をホルダー2に載置した状態で把持しやすくなる。
【0021】
【0022】
図6に示すように、コイル3は、基材20の一方の表面21に形成された第1のコイルパターン100と、基材20の他方の表面22に形成された第2のコイルパターン200とを備えている。第1のコイルパターン100の内周端と第2のコイルパターン200の内周端は、基材20を貫通して設けられた複数のスルーホール導体(
図6に示す断面にはスルーホール導体305のみが現れている)を介して互いに接続されている。そして、コイル3は、基材20の一方の表面21が平板部10の載置面側を向くよう、ホルダー2に埋め込まれる。基材20の他方の表面22側には、フェライトなどの磁性体からなる磁性シート30を配置することが好ましい。
【0023】
基材20の材料については特に限定されないが、PET樹脂などの透明又は半透明なフレキシブル絶縁材料を用いることができる。また、基材20は、ガラスクロスにエポキシ系樹脂が含浸されたフレキシブル基板であっても構わない。
【0024】
図7は、第1のコイルパターン100のパターン形状を説明するための平面図であり、基材20の一方の表面21側から見た状態を示している。
【0025】
第1のコイルパターン100は、ターン110,120,130,140,150,160からなる6ターン構成であり、ターン110が最外周に位置し、ターン160が最内周に位置する。ターン110,120,130,140,150,160は、スパイラル状の7本のスリットによって径方向に8分割されている。つまり、ターン110は並列なライン111~118に8分割され、ターン120は並列なライン121~128に8分割され、ターン130は並列なライン131~138に8分割され、ターン140は並列なライン141~148に8分割され、ターン150は並列なライン151~158に8分割され、ターン160は並列なライン161~168に8分割される。
【0026】
そして、ライン111,121,131,141,151,161はスパイラル状に6ターン周回された連続的なラインを構成し、ライン112,122,132,142,152,162はスパイラル状に6ターン周回した連続的なラインを構成し、ライン113,123,133,143,153,163はスパイラル状に6ターン周回した連続的なラインを構成し、ライン114,124,134,144,154,164はスパイラル状に6ターン周回した連続的なラインを構成し、ライン115,125,135,145,155,165はスパイラル状に6ターン周回した連続的なラインを構成し、ライン116,126,136,146,156,166はスパイラル状に6ターン周回した連続的なラインを構成し、ライン117,127,137,147,157,167はスパイラル状に6ターン周回した連続的なラインを構成し、ライン118,128,138,148,158,168はスパイラル状に6ターン周回した連続的なラインを構成する。このうち、ライン111,121,131,141,151,161は最外周に位置するラインであり、ライン118,128,138,148,158,168は最内周に位置するラインである。
【0027】
ライン111~118の外周端は、端子電極パターン101に共通に接続される。一方、ライン161~168の内周端は、基材20を貫通して設けられたスルーホール導体301~308にそれぞれ接続される。スルーホール導体301~308は、B方向に配列されている。
【0028】
基材20の他方の表面22側から見た第2のコイルパターン200のパターン形状は、基材20の一方の表面21側から見た第1のコイルパターン100のパターン形状と同じである。そして、第2のコイルパターン200の最内周ターンを構成する8つのラインは、それぞれスルーホール導体301~308を介して、第1のコイルパターン100の最内周ターンを構成する8つのラインに接続される。第1のコイルパターン100と第2のコイルパターン200は、コイル軸が一致するよう、基材20の表裏に形成される。これにより、
図8に示すように、第1のコイルパターン100を構成する各ラインと、第2のコイルパターン200を構成する各ラインは、z方向に互いに重なる。第2のコイルパターン200の最外周ターンを構成する8つのラインは、端子電極パターン102に共通に接続される。
【0029】
かかる構成により、第1の端子電極パターン101と第2の端子電極パターン102の間には、
図9に示すように、第1のコイルパターン100と第2のコイルパターン200が直列に接続されることになる。そして、第1及び第2のコイルパターン100,200はいずれも6ターン構成であることから、合計で12ターン構成のコイルが形成されることになる。しかも、第1のコイルパターン100において最外周に位置するラインが第2のコイルパターン200において最内周に位置するラインに接続され、第1のコイルパターン100において最内周に位置するラインが第2のコイルパターン200において最外周に位置するラインに接続されることから、内外周差も相殺される。
【0030】
図10は、本実施形態によるコイルモジュール1を用いたワイヤレス電力伝送デバイス40のブロック図である。
【0031】
図10に示すワイヤレス電力伝送デバイス40は、コイルモジュール1に含まれるコイル3と、コイル3に接続された送電回路41と、送電回路41に接続された制御回路42とを備えている。これにより、電源43によって供給される電力は、ワイヤレス電力伝送用のコイル3を介してスマートフォンなどの対象機器S1,S2にワイヤレスで送電することができる。
【0032】
図11は、変形例によるコイルモジュール1Aの模式図である。
【0033】
図11に示すように、変形例によるコイルモジュール1Aは、平板部10の辺13に沿ってy方向に延在する可動ストッパー19をさらに備えている。その他の基本的な構成は、上述したコイルモジュール1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0034】
可動ストッパー19は、x方向における位置が可変である。このため、平板部10に小型の対象機器S1を載置する場合には、可動ストッパー19のx方向における位置をP1とし、平板部10に大型の対象機器S2を載置する場合には、可動ストッパー19のx方向における位置をP2とすることにより、対象機器S1,S2をホルダー2に載置した状態で把持した場合に、対象機器S1,S2がホルダー2から脱落しにくくなる。
【0035】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、上記の実施形態に限定されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本開示の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0036】
本開示に係る技術には、以下の構成例が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0037】
本開示の一実施態様によるコイルモジュールは、対象機器を載置するための平板部と、平板部の第1の辺に沿って第1の方向に延在する第1ストッパーと、平板部の第2の辺に沿って第1の方向と直交する第2の方向に延在する第2ストッパーとを有するホルダーと、ホルダーの平板部に設けられたコイルとを備え、コイルは、コイル軸方向から見て、第1の方向に対して所定の傾きを有する第3の方向における外形サイズが第3の方向と直交する第4の方向における外形サイズよりも大きい。
【0038】
これによれば、サイズの異なる種々の対象機器に対して、非接触で充電することが可能となる。
【0039】
また、コイル軸方向から見たコイルの平面形状は、楕円形であっても構わない。これによれば、サイズの異なる種々の対象機器を効率よく充電することができる。
【0040】
また、平板部上においてコイル軸を通り、第3の方向に延在する仮想線は、平板部の第1及び第2の辺によって構成される第1の角部と交差しなくても構わない。これによれば、対象機器をホルダーに載置した状態で把持しやすくなる。この場合、平板部は第1の角部の対角に位置する第2の角部を有し、仮想線と平板部の第2の辺が成す角度は、第1及び第2の角部を結ぶ対角線と平板部の第2の辺が成す角度よりも大きくても構わない。これによれば、コイルの配線領域の面積を十分に確保することが可能となる。
【0041】
また、コイル軸は、平板部の中心位置と一致しなくても構わない。これによれば、サイズの異なる種々の対象機器を効率よく充電することができる。
【0042】
また、コイル軸と平板部の第2の辺の第1の方向における距離は、コイル軸と平板部の第1の辺の第2の方向における距離よりも大きくても構わない。これによれば、縦長形状を有する対象機器に対する電力伝送効率を高めることができる。
【0043】
また、コイルは、基材の一方の表面に設けられた第1のコイルパターンと、基材の他方の表面に設けられた第2のコイルパターンと、基材を貫通して設けられ、第1のコイルパターンの内周端と第2のコイルパターンの内周端を接続するスルーホール導体とを含み、第1及び第2のコイルパターンを構成する各ターンは、並列な複数のラインに分割されており、スルーホール導体は、複数のラインにそれぞれ割り当てられ、且つ、第4の方向に配列されていても構わない。これによれば、内外周差が相殺されるとともに、コイルの開口領域の第4の方向における幅を十分に確保することが可能となる。
【0044】
また、ホルダーは、平板部の第1の辺とは反対側に位置する第3の辺に沿って第1の方向に延在し、第2の方向における位置が可変な可動ストッパーをさらに有していても構わない。これによれば、対象機器をホルダーに載置した状態で把持した場合に、対象機器がホルダーから脱落しにくくなる。
【0045】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスは、上記コイルモジュールと、コイルに接続される送電回路とを備える。これによれば、サイズの異なる種々の対象機器に対して、非接触で充電することが可能なワイヤレス電力伝送デバイスを提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1,1A コイルモジュール
2 ホルダー
3,3c コイル
3a 配線領域
3b 開口領域
10 平板部
11 第1の辺
12 第2の辺
13 第3の辺
14 第4の辺
15 サイドストッパー
16 下部ストッパー
17,18 角部
19 可動ストッパー
20 基材
21 一方の表面
22 他方の表面
30 磁性シート
40 ワイヤレス電力伝送デバイス
41 送電回路
42 制御回路
43 電源
100 第1のコイルパターン
101,102 端子電極パターン
110,120,130,140,150,160 ターン
111~118,121~128,131~138,141~148,151~158,161~168 ライン
301~308 スルーホール導体
C0 コイル軸
C1,C2 受電用コイルの中心位置
D1,D2 コイルの外形サイズ
L1 仮想線
L2 対角線
S1,S2 対象機器
W1,W2 距離
θ1,θ2 角度