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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170749
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】バルブタイミング変更装置
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/356 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
F01L1/356 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076904
(22)【出願日】2021-04-29
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】村坂 力
【テーマコード(参考)】
3G018
【Fターム(参考)】
3G018BA09
3G018BA33
3G018CA18
3G018DA20
3G018DA25
3G018DA72
3G018DA73
3G018DA84
3G018FA01
3G018FA07
3G018GA17
3G018GA18
(57)【要約】
【課題】バルブタイミング変更装置の部品の共用化、低コスト化を図る。
【解決手段】カムシャフトにより駆動される吸気バルブ又は排気バルブの開閉タイミングを変更するバブルタイミング変更装置M1,M2において、カムシャフトの軸線S回りに回転可能な第1ロータ20又は120と、第1ロータに対して所定角度範囲を相対的に回転可能でカムシャフトと一体的に回転する第2ロータ10又は110,30と、第1ロータに対して第2ロータを軸線回りに回転付勢するべく第1ロータに一端部51が係止されかつ第2ロータに他端部52が係止される回転付勢バネ50を備え、第2ロータ30は、回転付勢バネの他端部を選択的に係止する複数の係止部34a,34bを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カムシャフトにより駆動される吸気バルブ又は排気バルブの開閉タイミングを変更するバブルタイミング変更装置であって、
前記カムシャフトの軸線回りに回転可能な第1ロータと、
前記第1ロータに対して所定角度範囲を相対的に回転可能で前記カムシャフトと一体的に回転する第2ロータと、
前記第1ロータに対して前記第2ロータを前記軸線回りに回転付勢するべく前記第1ロータに一端部が係止されかつ前記第2ロータに他端部が係止される回転付勢バネを備え、
前記第1ロータ又は前記第2ロータは、前記回転付勢バネの一端部又は他端部がいずれかに選択的に係止される複数の係止部を含む、
ことを特徴とするバルブタイミング変更装置。
【請求項2】
前記複数の係止部は、前記回転付勢バネが前記軸線回りの一方向に回転付勢力を及ぼす第1仕様に対応する第1係止部と、前記回転付勢バネが前記軸線回りの他方向に回転付勢力を及ぼす第2仕様に対応する第2係止部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング変装置。
【請求項3】
前記第1ロータは、前記回転付勢バネの一端部を係止する一端係止部を含み、
前記第2ロータは、前記第1係止部として前記回転付勢バネの他端部を係止する第1他端係止部と、前記第2係止部として前記回転付勢バネの他端部を係止する第2他端係止部を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のバルブタイミング変更装置。
【請求項4】
前記第1ロータは、収容室を画定するハウジングロータであり、
前記第2ロータは、前記収容室に収容されるベーンロータと、前記ベーンロータに対して前記軸線の方向に接合されかつ前記軸線回りに位置決めされる有底円筒状の環状スペーサを含み、
前記一端係止部は、前記ハウジングロータに設けられ、
前記第1他端係止部及び前記第2他端係止部は、前記環状スペーサに設けられている、
ことを特徴とする請求項3に記載のバルブタイミング変更装置。
【請求項5】
前記環状スペーサは、前記回転付勢バネが前記軸線回りの一方向に回転付勢力を及ぼす第1仕様に対応して前記ベーンロータに対して前記軸線回りに位置決めされる第1位置決め部と、前記回転付勢バネが前記軸線回りの他方向に回転付勢力を及ぼす第2仕様に対応して前記ベーンロータに対して前記軸線回りに位置決めされる第2位置決め部を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載のバルブタイミング変更装置。
【請求項6】
前記環状スペーサは、円筒部に形成された切欠き部を含み、
前記切欠き部は、一方側縁において前記第1他端係止部を画定し、他方側縁において前記第2他端係止部を画定する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のバルブタイミング変更装置。
【請求項7】
前記ハウジングロータは、前記環状スペーサを前記軸線の方向において突出させる開口部と、前記開口部を画定する外壁を含み、
前記回転付勢バネは、前記外壁に沿うように配置されて、前記外壁に設けられた前記一端係止部に一端部が係止され、前記環状スペーサの前記第1他端係止部又は前記第2他端係止部に他端部が係止される渦巻きバネである、
ことを特徴とする請求項4ないし6いずれか一つに記載のバルブタイミング変更装置。
【請求項8】
前記第1ロータは、前記第1係止部として前記回転付勢バネの一端部を係止する第1一端係止部と、前記第2係止部として前記回転付勢バネの一端部を係止する第2一端係止部を含み、
前記第2ロータは、前記回転付勢バネの他端部を係止する他端係止部を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のバルブタイミング変更装置。
【請求項9】
前記第1ロータは、収容室を画定するハウジングロータであり、
前記第2ロータは、前記収容室に収容されるベーンロータと、前記ベーンロータに対して前記軸線の方向に接合されかつ前記軸線回りに位置決めされる有底円筒状の環状スペーサを含み、
前記第1一端係止部及び前記第2一端係止部は、前記ハウジングロータに設けられ、
前記他端係止部は、前記環状スペーサに設けられている、
ことを特徴とする請求項8に記載のバルブタイミング変更装置。
【請求項10】
前記ハウジングロータは、前記環状スペーサを前記軸線の方向において突出させる開口部と、前記開口部を画定する外壁を含み、
前記回転付勢バネは、前記外壁に沿うように配置されて、前記外壁に設けられた前記第1一端係止部又は前記第2一端係止部に一端部が係止され、前記環状スペーサの前記他端係止部に他端部が係止される渦巻きバネである、
ことを特徴とする請求項9に記載のバルブタイミング変更装置。
【請求項11】
前記回転付勢バネは、前記第1仕様及び前記第2仕様において、同一の回転付勢力を及ぼすセット荷重にて組み付けられる、
ことを特徴とする請求項2ないし10いずれか一つに記載のバルブタイミング変更装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃エンジンの吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期(バルブタイミング)を運転状況に応じて変更するバルブタイミング変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバルブタイミング変更装置としては、カムシャフトの軸線上においてクランクシャフトと同期して回転するハウジングロータ、カムシャフトと一体的に回転すると共にハウジングロータに対して所定の角度範囲を相対的に回転し得るベーンロータ、カムシャフトの軸線回りに回転付勢力を及ぼす捩りコイルスプリング等を備え、捩りコイルスプリングは、一端部がハウジングロータのピンに係止され、他端部がベーンロータの固定用溝に係止され、ハウジングロータに対してベーンロータを進角側に付勢するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、他のバルブタイミング変更装置としては、カムシャフトの軸線上においてクランクシャフトと同期して回転するハウジングロータ、カムシャフトと一体的に回転すると共にハウジングロータに対して所定の角度範囲を相対的に回転し得るベーンロータ、ベーンロータの前面に隣接して配置されてボルトによりカムシャフトに固定される座金、座金とベーンロータの軸線回りの相対回転を規制するストッパピン、カムシャフトの軸線回りに回転付勢力を及ぼす渦巻きバネ等を備え、渦巻きバネは、外周端がハウジングロータの凸部に係止され、内周端が座金の係止溝に係止され、ハウジングロータに対してベーンロータを進角側に付勢するものが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
上記のバルブタイミング変更装置においては、回転付勢バネとして、装置ごとに専用の捩りコイルスプリングや渦巻きバネが設定され、ハウジングロータ及びベーンロータには専用の係止部が設けられている。すなわち、回転付勢バネは、カムシャフトの回転方向又はセット荷重に対応して、内燃エンジンの仕様ごとに設定されるものである。
したがって、内燃エンジンの仕様に応じて、カムシャフトの回転方向が異なる場合又は回転付勢バネのセット荷重が異なる場合、それぞれの仕様に対応する複数の回転付勢バネを設定する必要があり、部品点数の増加により、管理工数の増加、コストの増加を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-325758号公報
【特許文献2】特許第6015604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて達成されたものであり、部品の共用化、低コスト化等を図れる、バルブタイミング変更装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のバルブタイミング変更装置は、カムシャフトにより駆動される吸気バルブ又は排気バルブの開閉タイミングを変更するバブルタイミング変更装置であって、カムシャフトの軸線回りに回転可能な第1ロータと、第1ロータに対して所定角度範囲を相対的に回転可能でカムシャフトと一体的に回転する第2ロータと、第1ロータに対して第2ロータを軸線回りに回転付勢するべく第1ロータに一端部が係止されかつ第2ロータに他端部が係止される回転付勢バネを備え、第1ロータ又は第2ロータは、回転付勢バネの一端部又は他端部がいずれかに選択的に係止される複数の係止部を含む、構成となっている。
【0008】
上記バルブタイミング変更装置において、複数の係止部は、回転付勢バネが軸線回りの一方向に回転付勢力を及ぼす第1仕様に対応する第1係止部と、回転付勢バネが軸線回りの他方向に回転付勢力を及ぼす第2仕様に対応する第2係止部を含む、構成を採用してもよい。
【0009】
上記バルブタイミング変装置において、第1ロータは、回転付勢バネの一端部を係止する一端係止部を含み、第2ロータは、上記第1係止部として回転付勢バネの他端部を係止する第1他端係止部と、上記第2係止部として回転付勢バネの他端部を係止する第2他端係止部を含む、構成を採用してもよい。
【0010】
上記バルブタイミング変更装置において、第1ロータは、収容室を画定するハウジングロータであり、第2ロータは、収容室に収容されるベーンロータと、ベーンロータに対して軸線の方向に接合されかつ軸線回りに位置決めされる有底円筒状の環状スペーサを含み、一端係止部は、ハウジングロータに設けられ、第1他端係止部及び第2他端係止部は、環状スペーサに設けられている、構成を採用してもよい。
【0011】
上記バルブタイミング変更装置において、環状スペーサは、回転付勢バネが軸線回りの一方向に回転付勢力を及ぼす第1仕様に対応してベーンロータに対して軸線回りに位置決めされる第1位置決め部と、回転付勢バネが軸線回りの他方向に回転付勢力を及ぼす第2仕様に対応してベーンロータに対して軸線回りに位置決めされる第2位置決め部を含む、構成を採用してもよい。
【0012】
上記バルブタイミング変更装置において、環状スペーサは、円筒部に形成された切欠き部を含み、切欠き部は、一方側縁において第1他端係止部を画定し、他方側縁において第2他端係止部を画定する、構成を採用してもよい。
【0013】
上記バルブタイミング変更装置において、ハウジングロータは、環状スペーサを軸線の方向において突出させる開口部と、開口部を画定する外壁を含み、回転付勢バネは、外壁に沿うように配置されて、外壁に設けられた一端係止部に一端部が係止され、環状スペーサの第1他端係止部又は第2他端係止部に他端部が係止される渦巻きバネである、構成を採用してもよい。
【0014】
上記バルブタイミング変更装置において、第1ロータは、上記第1係止部として回転付勢バネの一端部を係止する第1一端係止部と、上記第2係止部として回転付勢バネの一端部を係止する第2一端係止部を含み、第2ロータは、回転付勢バネの他端部を係止する他端係止部を含む、構成を採用してもよい。
【0015】
上記バルブタイミング変更装置において、第1ロータは、収容室を画定するハウジングロータであり、第2ロータは、収容室に収容されるベーンロータと、ベーンロータに対して軸線の方向に接合されかつ軸線回りに位置決めされる有底円筒状の環状スペーサを含み、第1一端係止部及び第2一端係止部は、ハウジングロータに設けられ、他端係止部は、環状スペーサに設けられている、構成を採用してもよい。
【0016】
上記バルブタイミング変更装置において、ハウジングロータは、環状スペーサを軸線の方向において突出させる開口部と、開口部を画定する外壁を含み、回転付勢バネは、外壁に沿うように配置されて、外壁に設けられた第1一端係止部又は第2一端係止部に一端部が係止され、環状スペーサの他端係止部に他端部が係止される渦巻きバネである、構成を採用してもよい。
【0017】
上記バルブタイミング変更装置において、回転付勢バネは、第1仕様及び第2仕様において、同一の回転付勢力を及ぼすセット荷重にて組み付けられる、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0018】
上記構成をなすバルブタイミング変更装置によれば、部品の共用化を達成することができ、それ故に、装置の低コスト化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置において、回転付勢バネが一方向(CW方向)に回転付勢力を及ぼす第1仕様で組み付けられた状態を示す外観斜視図である。
図2】第1仕様で組み付けられた状態において、第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置の正面図である。
図3】第1仕様で組み付けられる第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置を分解して前方斜めから視た分解斜視図である。
図4】第1仕様で組み付けられる第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置を分解して後方斜めから視た分解斜視図である。
図5】第1仕様で組み付けられた第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置をカムシャフトの軸線を通る面で切断した断面図である。
図6】第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置に含まれる環状スペーサを示すものであり、前方斜めから視た斜視図である。
図7】第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置に含まれる環状スペーサを示すものであり、後方斜めから視た斜視図である。
図8】第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置に含まれる環状スペーサの正面図である。
図9】第1仕様で組み付けられた第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置において、ハウジングロータの一端係止部、環状スペーサの切欠き部により画定される第1他端係止部及び第1位置決め部、回転付勢バネを示す正面図である。
図10】第1仕様で組み付けられた第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置において、ベーンロータが最遅角位置にある状態を示す断面図である。
図11】第1仕様で組み付けられた第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置において、ベーンロータが最進角位置にある状態を示す断面図である。
図12】本発明の第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置において、回転付勢バネが他方向(CCW方向)に回転付勢力を及ぼす第2仕様で組み付けられた状態を示す外観斜視図である。
図13】第2仕様で組み付けられた状態において、第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置の正面図である。
図14】第2仕様で組み付けられる第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置を分解して前方斜めから視た分解斜視図である。
図15】第2仕様で組み付けられる第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置を分解して後方斜めから視た分解斜視図である。
図16】第2仕様で組み付けられた第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置において、ハウジングロータの一端係止部、環状スペーサの切欠き部により画定される第2他端係止部及び第2位置決め部、回転付勢バネを示す正面図である。
図17】本発明の第2実施形態に係るバルブタイミング変更装置を示すものであり、回転付勢バネが一方向(CW方向)に回転付勢力を及ぼす第1仕様で組み付けられた状態において、回転付勢バネ、ハウジングロータ(前側ハウジング)の一端係止部、環状スペーサの第1他端係止部の関係を示す正面図である。
図18】本発明の第2実施形態に係るバルブタイミング変更装置を示すものであり、回転付勢バネが他方向(CCW方向)に回転付勢力を及ぼす第2仕様で組み付けられた状態において、回転付勢バネ、ハウジングロータの一端係止部、環状スペーサの第2他端係止部の関係を示す正面図である。
図19】本発明の第3実施形態に係るバルブタイミング変更装置を示すものであり、回転付勢バネが一方向(CW方向)に回転付勢力を及ぼす第1仕様で組み付けられた状態において、回転付勢バネ、ハウジングロータの第1一端係止部、環状スペーサの他端係止部の関係を示す正面図である。
図20】本発明の第3実施形態に係るバルブタイミング変更装置を示すものであり、回転付勢バネが他方向(CCW方向)に回転付勢力を及ぼす第2仕様で組み付けられた状態において、回転付勢バネ、ハウジングロータの第2一端係止部、環状スペーサの他端係止部の関係を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本発明の第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置としては、カムシャフト1が一方向(CW方向)に回転する第1仕様に対応するバルブタイミング変更装置M1と、カムシャフト1が他方向(CCW方向)に回転する第2仕様に対応するバルブタイミング変更装置M2とが示される。
【0021】
第1仕様に係るバルブタイミング変更装置M1は、図1に示すように、内燃エンジンのカムシャフト1に装着されるものであり、図2ないし図4に示すように、ベーンロータ10、ハウジングロータ20、環状スペーサ30、ベーンロータ10をハウジングロータ20に対してロックするロック機構40、回転付勢バネ50を備えている。
【0022】
ここで、ハウジングロータ20は、カムシャフト1の軸線S回りに回転可能な第1ロータに相当し、ベーンロータ10及び環状スペーサ30は、第1ロータに対して所定角度範囲を相対的に回転可能でカムシャフト1と一体的に回転する第2ロータに相当する。
また、回転付勢バネ50は、ハウジングロータ20に対してベーンロータ10を軸線S回りに回転付勢するものであり、図1に示す第1仕様においては、軸線S回りの一方向(CW方向)に回転付勢力を及ぼすように組み付けられる。
【0023】
カムシャフト1は、内燃エンジンのシリンダヘッドに形成された軸受により軸線S回りにおいて回転可能に支持され、吸気バルブ又は排気バルブをカム作用により開閉駆動する。また、カムシャフト1は、図1に示すように、ハウジングロータ20を回動自在に支持する円形状の軸部1a、作動油の供給及び排出を行う通路1b,1c、ボルトBを捩じ込む雌ネジ穴1d、位置決めピンP1を嵌合する嵌合穴1eを備えている。
【0024】
そして、バルブタイミング変更装置M1は、ベーンロータ10及び環状スペーサ30がボルトBを用いてカムシャフト1に固定された状態で、ハウジングロータ20がチェーン又は歯車等の連動部材を介してクランクシャフトの回転に連動し、ベーンロータ10を介してクランクシャフトの回転駆動力をカムシャフト1に伝達する。また、作動油の流れを制御する油圧制御系2に接続されることにより、内燃エンジンにおいてバルブタイミングを変更する機能を果たす。
油圧制御系2は、図1に示すように、ポンプから吐出される作動油の流れを制御する油圧制御弁2a、油圧制御弁2aと通路1bとを接続する通路2b、油圧制御弁2aと通路1cとを接続する通路2c、油圧制御弁2aの駆動を制御する制御手段(不図示)により構成されている。
ここでは、バルブタイミング変更装置M1において、ボルトBを挿入する側を「前側」と称し、カムシャフト1を連結する側を「後側」と称する。
【0025】
ベーンロータ10は、アルミニウム材料等を用いて形成され、図3及び図4に示すように、前面10a及び後面10b、四つのベーン部11、円柱状のハブ部12、貫通孔13、凹部13a、位置決めピンP2を嵌合する嵌合孔13b、ロック機構40を取り付ける取付け穴14、通路15,16、カムシャフト1を嵌合する嵌合凹部17、ベーン部11の先端に形成された四つのシール18、カムシャフト1の位置決めピンP1を嵌合する位置決め穴19を備えている。
【0026】
四つのベーン部11は、ハブ部12に対して略等間隔で配置されている。一つのベーン部11には、ロック機構40を取り付ける取付け穴14が形成されている。
貫通孔13は、ボルトBのネジ部及び首下部を非接触にて通して首下部の周りに作動油の通路を画定するべく、軸線Sを中心とし前面10aから後面10bまで貫通する。
凹部13aは、環状スペーサ30が圧入により接合されるべく、軸線Sを中心として前面10aから軸線S方向に凹む円筒状に形成されている。
嵌合孔13bは、位置決めピンP2を嵌合させるべく、凹部13aの底面において軸線S方向に伸長するように形成されている。
【0027】
取付け穴14は、図4及び図5に示すように、後面10bに開口し、ロック機構40の円筒ホルダ41を嵌め込むように形成されている。また、取付け穴14には、圧力を調整する通路14a,14bが連通するように形成されている。通路14aは、開口部21dを通して外部に連通するべく前面10aに形成された長溝14aに連通する。通路14bは、一つのベーン部11の側面に開口して第1作動油室C1に連通し、ロックピン42を埋没させる向きに作用する第1作動油室C1内の作動油を供給する。
【0028】
通路15は、図3図4図10に示すように、嵌合凹部17の底面に形成されカムシャフト1の通路1cに連通する溝状の二つの通路15a、ハブ部12の外周面に開口する四つの通路15bにより形成されている。そして、通路15は、貫通孔13内でボルトBの首下部の周りに画定される通路を介して、第1作動油室C1に作動油を供給し又第1作動油室C1から作動油を排出する。
通路16は、図3図4図11に示すように、カムシャフト1の通路1bに連通するべく嵌合凹部17の底面に開口して軸線Sの方向に伸長する四つの通路16a、ハブ部12の外周面に開口する四つの通路16bにより形成されている。そして、通路16は、第2作動油室C2に作動油を供給し又第2作動油室C2から作動油を排出する。
嵌合凹部17は、ベーンロータ10の後面10b側において、カムシャフト1の軸部1aの前端部を嵌合させるべく、円筒状の凹部として形成されている。
【0029】
そして、ベーンロータ10は、ハウジングロータ20の収容室Cに、所定角度範囲において、すなわち、図10に示す最遅角位置と図11に示す最進角位置との間の角度Δθの範囲において相対的に回転可能に収容され、収容室Cを第1作動油室C1及び第2作動油室C2に領域分けすると共に、環状スペーサ30を介してボルトBによりカムシャフト1に固定され、カムシャフト1と一体的に回転する。
【0030】
ハウジングロータ20は、図3ないし図5に示すように、有底円筒状の前側ハウジング21と、前側ハウジング21にネジbにより結合される円板状の後側ハウジング22とからなる二分割構造をなす。
そして、ハウジングロータ20は、ベーンロータ10を所定角度範囲(Δθ)において相対的に回転可能に収容する。
【0031】
前側ハウジング21は、アルミニウム材料を用いて、収容室Cを画定する有底円筒状に形成されている。
前側ハウジング21は、外壁としての前壁21a、前壁21aに設けられた一端係止部21b、円筒壁21c、開口部21d、ネジbを捩じ込む四つのネジ穴21e、四つのシュー部21fを備えている。
【0032】
一端係止部21bは、鍔付き円柱状をなすピンが一つのシュー部21fに対応する領域の前壁21aに形成された嵌合孔に嵌合されたものであり、回転付勢バネ50の一端部51を係止するものである。
一端係止部21bは、回転付勢バネ50が軸線S回りの一方向(CW方向)に回転付勢力を及ぼす第1仕様において一端部51を係止する役割と、回転付勢バネ50が軸線S回りの他方向(CCW方向)に回転付勢力を及ぼす第2仕様において一端部51を係止する役割とを兼ねる。
【0033】
開口部21dは、隙間をおいて環状スペーサ30を通すべく、軸線Sを中心とする円形状に形成されている。
四つのシュー部21fは、円筒壁から中心(軸線S)に向かって突出すると共に周方向において等間隔に配置して形成されている。
【0034】
後側ハウジング22は、鉄系の金属材料を用いた焼結体として円板状に形成され、歯列22a、嵌合内周面22b、ネジbを通す四つの円孔22c、内壁面22d、溝状の通路22e、嵌合穴22fを備えている。
【0035】
歯列22aは、クランクシャフトの回転に連動する連動部材が噛み合うように形成されている。嵌合内周面22bは、カムシャフト1の軸部1aに回動自在に嵌合される。内壁面22dは、軸線Sに垂直な平面をなし、軸線Sの方向においてベーンロータ10の後面10bが摺動自在に接触する。
通路22eは、嵌合穴22fに対する作動油の供給及び排出を行うべく、内壁面22dにおいて溝状にかつ通路16(通路16b)に連通するように形成されている。
嵌合穴22fは、内壁面22dにおいて、ロック機構40に含まれるロックピン42が嵌合し得るように形成されている。
【0036】
環状スペーサ30は、鉄系材料の焼結体として形成され、図5ないし図8に示すように、軸線Sを中心とする円筒部31、底壁部32、ボルトBを通す円孔33、円筒部31に形成された一つの切欠き部34、底壁部32に形成された位置決め部35を備えている。
【0037】
円筒部31は、前側ハウジング21の開口部21dと隙間をおいて通されると共にベーンロータ10の凹部13aに圧入される。
底壁部32は、ベーンロータ10の凹部13aの底面に接合されて、外側からボルトBの頭部が当接するように形成されている。
円孔33は、ボルトBが通される内径寸法に形成されている。
【0038】
切欠き部34は、円筒部31の一部を軸線S方向に切り欠いて形成されている。そして、切欠き部34は、回転付勢バネ50の他端部52を選択的に係止する複数の係止部として、周方向における切欠き部34の一方側縁において第1他端係止部34aを画定し、周方向における切欠き部34の他方側縁において第2他端係止部34bを画定する。
第1他端係止部34aは、回転付勢バネ50が軸線S回りの一方向(CW方向)に回転付勢力を及ぼす第1仕様において他端部52を係止する第1係止部である。
第2他端係止部34bは、回転付勢バネ50が軸線S回りの他方向(CCW方向)に回転付勢力を及ぼす第2仕様において他端部52を係止する第2係止部である。
ここでは、第1他端係止部34aが、第1仕様において、回転付勢バネ50の他端部52を係止するために使用される。
【0039】
位置決め部35は、ベーンロータ10に対して環状スペーサ30を軸線S回りに位置決めするものであり、ベーンロータ10に嵌合された位置決めピンP2を嵌合させるべく径方向に僅かに長い長孔として形成されている。
そして、位置決め部35は、軸線S回りに所定の角度αだけ離れた位置において、位置決めピンP2が選択的に嵌合される第1位置決め部35a及び第2位置決め部35bを含む。角度αは、角度Δθと切欠き部34の幅寸法(軸線Sを中心として切欠き部34の一方側縁と他方側縁に挟まれる挟角)とを考慮して設定される。
第1位置決め部35aには、回転付勢バネ50が軸線S回りの一方向(CW方向)に回転付勢力を及ぼす第1仕様において、位置決めピンP2が嵌合される。
第2位置決め部35bには、回転付勢バネ50が軸線S回りの他方向(CCW方向)に回転付勢力を及ぼす第2仕様において、位置決めピンP2が嵌合される。
ここでは、第1位置決め部35aが、第1仕様において、ベーンロータ10に対する環状スペーサ30の位置決めのために使用される。
【0040】
ロック機構40は、図5に示すように、円筒ホルダ41、ロックピン42、コイルバネ43を備えている。
円筒ホルダ41は、コイルバネ43により付勢されたロックピン42を往復動自在に保持するべく、ベーンロータ10の取付け穴14に嵌め込まれる。
ロックピン42は、軸線Sの方向に往復動自在であり、コイルバネ43の付勢力によりベーンロータ10の後面10bから突出して後側ハウジング22の嵌合穴22fに嵌合し、又、嵌合穴22fに導かれた作動油の油圧を受けて又は通路14bを通して導かれた作動油の油圧を受けてベーンロータ10内に埋没するように形成されている。
コイルバネ43は、ベーンロータ10の後面10bからロックピン42を突出させる向きに付勢力を及ぼす。
【0041】
上記構成をなすロック機構40においては、通路16及び通路22eを経て供給される作動油の油圧が低下しかつ通路14bを経て供給される作動油の油圧が低下すると、ロックピン42がコイルバネ43の付勢力によりハウジングロータ20の嵌合穴22fに嵌合し、ベーンロータ10がハウジングロータ20に対して最遅角位置にロックされる。
一方、通路16及び通路22eを経て導かれる作動油の油圧がコイルバネ43の付勢力よりも大きくなると、ロックピン42がベーンロータ10の後面10bから没入して、ベーンロータ10のロックが解除される。また、通路14bを経て供給される作動油の油圧がコイルバネ43の付勢力よりも大きくなると、ロックの解除状態が維持される。
【0042】
回転付勢バネ50は、平板状をなすバネ鋼等の材料を用いて予め渦巻き状に成形されたものであり、図1ないし図4に示すように、外周端に位置する一端部51、内周端に他端部52を有する渦巻きバネである。
そして、回転付勢バネ50は、第1仕様において、前壁21aに沿うように配置されて、一端部51が外壁としての前壁21aに設けられた一端係止部21bに係止され、他端部52が環状スペーサ30の第1他端係止部34aに係止される。
すなわち、回転付勢バネ50は、ハウジングロータ20に対してベーンロータ10を軸線S回りの一方向(CW方向)に、すなわち、進角方向に回転付勢する所定の回転付勢力を及ぼすセット荷重にて組み付けられる。
【0043】
このように、進角方向に付勢する回転付勢バネ50を採用することにより、ベーンロータ10のガタツキを防止できると共に、進角させる際の必要油圧を低減でき、又、応答性を向上させることができる。
また、作動トルクと負荷トルクとの差が、進角時と遅角時とで略同等となるように回転付勢バネ50のセット荷重を設定することにより、制御性を向上させることができる。
特に、回転付勢バネ50が渦巻きバネであるため、軸線S方向の寸法は線径の厚み寸法だけであり、それ故に軸線S方向における装置の薄型化、小型化を達成できる。
【0044】
次に、上記バルブタイミング変更装置M1の組み付け方法について説明する。
予め、ベーンロータ10、位置決めピンP2、四つのシール18、前側ハウジング21、後側ハウジング22、環状スペーサ30、ロック機構40、回転付勢バネ50、四つのネジbを準備する。
先ず、ベーンロータ10の嵌合孔13bに位置決めピンP2を嵌合して固定する。
続いて、第1位置決め部35aに位置決めピンP2を嵌合させつつ、円筒部31を凹部13aに圧入して、環状スペーサ30をベーンロータ10に固定する。
続いて、ベーンロータ10の取付け穴14にロック機構40を取り付ける。
【0045】
続いて、環状スペーサ30の前端領域が開口部21dから突出するようにして、ベーンロータ10を前側ハウジング21の収容室Cに挿入する。また、四つのシール18をベーンロータ10のシール溝に挿入する。
続いて、ベーンロータ10の後面10bを覆うように、前側ハウジング21に後側ハウジング22を対向させて接合し、ロックピン42を嵌合孔22fに嵌合させ、四つのネジbを円孔22cに通してネジ穴21eに捩じ込み、後側ハウジング22を前側ハウジング21に結合する。
【0046】
続いて、回転付勢バネ50をハウジングロータ20の前壁21aに沿うように配置し、一端部51を前壁21aに設けられた一端係止部21bに係止し、他端部52を開口部21dから突出する環状スペーサ30の第1他端係止部34aに係止する。
このとき、回転付勢バネ50は、図9に示すように、一端部51と他端部52とのなす角度がθsとなり、所定の回転付勢力を及ぼすセット荷重にて組み付けられる。
この組み付け状態において、回転付勢バネ50は、第1ロータ(ハウジングロータ20)に対して第2ロータ(ベーンロータ10及び環状スペーサ30)を軸線S回りの一方向(CW方向)にすなわち進角方向に回転付勢する。
以上により、バルブタイミング変更装置M1の組立が完了する。尚、組立手順としては、上記の手順に限るものではなく、その他の手順で行ってもよい。
【0047】
このように、有底円筒状の前側ハウジング21にベーンロータ10及び環状スペーサ30を挿入して、後側ハウジング22で覆い、ネジbで前側ハウジング21と後側ハウジング22とを結合し、ハウジングロータ20の外側から回転付勢バネ50を配置して取り付けるという簡単な段取りにより、バルブタイミング変更装置M1を容易に組み立てることができる。
【0048】
次に、バルブタイミング変更装置M1の動作について、図10及び図11を参照しつつ説明する。
内燃エンジンが停止した状態においては、第1作動油室C1及び第2作動油室C2内の作動油が排出されて、図10に示すように、ベーンロータ10は最遅角位置に位置付けられる。また、ロック機構40のロックピン42が嵌合穴22fに嵌合して、ベーンロータ10がハウジングロータ20に対してロックされた状態にある。
これにより、内燃エンジンの始動時には、ベーンロータ10のバタツキ等を防止しつつ、円滑に始動させることができる。
【0049】
続いて、内燃エンジンの始動により、通路16及び通路22eを通して、作動油がロックピン42の先端に供給されると、ロックピン42が押圧されて嵌合穴22fから外れてロック状態が解除される。そして、内燃エンジンの始動後は、油圧制御弁2aが適宜切り替えられて、ベーンロータ10及びカムシャフト1が進角側へ又は遅角側へあるいは所定の角度位置に保持されるように位相制御が行われる。
【0050】
例えば、進角モードの場合は、通路15及び通路2cを経て、第1作動油室C1内の作動油が排出されると共に、通路2b及び通路16を経て、第2作動油室C2内に作動油が供給される。そして、ベーンロータ10は、第2作動油室C2内の作動油の油圧により、ハウジングロータ20に対して時計回りに、すなわち、進角側に回転し、図11に示す最進角位置まで回転し得る。
【0051】
一方、遅角モードの場合には、通路16及び通路2bを経て、第2作動油室C2内の作動油が排出されると共に、通路2c及び通路15を経て、第1作動油室C1内に作動油が供給される。そして、ベーンロータ10は、第1作動油室C1内の作動油の油圧により、ハウジングロータ20に対して反時計回りに、すなわち、遅角側に回転する。
尚、図10に示すように、ベーンロータ10が最遅角位置に移動した場合、ロックピン42は嵌合穴22fに対向するが、第1作動油室C1内の作動油が通路14bを通してロックピン42を埋没させる方向に作用しているため、ロックピン42は嵌合穴22fに嵌合することなくロックの解除状態が維持される。
【0052】
また、ベーンロータ10を最進角位置と最遅角位置との間の中間位置に保持する保持モードの場合には、油圧制御弁2aが切り替えられて、第1作動油室C1及び第2作動油室C2に作動油が供給され、第1作動油室C1及び第2作動油室C2内の作動油の油圧により、ベーンロータ10は所定の中間位置に保持される。
上記のように、第1仕様においては、第1作動油室C1がベーンロータ10をハウジングロータ20に対して遅角側に回転させる油圧を生じる遅角室として機能し、第2作動油室C2がベーンロータ10をハウジングロータ20に対して進角側に回転させる油圧を生じる進角室として機能する。
【0053】
第2仕様に係るバルブタイミング変更装置M2は、図12に示すように、内燃エンジンのカムシャフト1に装着されるものであり、図13ないし図15に示すように、ベーンロータ110、前側ハウジング21及び後側ハウジング122からなるハウジングロータ120、環状スペーサ30、ベーンロータ110をハウジングロータ120に対してロックするロック機構40、回転付勢バネ50を備えている。
【0054】
尚、バルブタイミング変更装置M2は、バルブタイミング変更装置M1に対して、カムシャフト1の回転方向がCW方向からCCW方向になり、回転付勢バネ50はハウジングロータ120に対してベーンロータ110を他方向(CCW方向)に回転付勢するように組み付けられる。また、当該装置M1の最遅角位置が当該装置M2の最進角位置に相当し、当該装置M1の最進角位置が当該装置M2の最遅角位置に相当し、ベーンロータ110がハウジングロータ120に対して相対的に回転可能な角度は同一の角度Δθである。
ここで、ハウジングロータ120は、カムシャフト1の軸線S回りに回転可能な第1ロータに相当し、ベーンロータ110及び環状スペーサ30は、第1ロータに対して所定角度範囲(Δθ)を相対的に回転可能でカムシャフト1と一体的に回転する第2ロータに相当する。
【0055】
ベーンロータ110は、前述のベーンロータ10の通路14bが通路114bに変更された以外はベーンロータ10と同一の構成をなすため、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
通路114bは、一つのベーン部11の側面に開口して第2作動油室C2に連通し、ロックピン42を埋没させる向きに作用する第2作動油室C2内の作動油を供給する。
【0056】
ハウジングロータ120の後側ハウジング122は、ハウジングロータ20の後側ハウジング22における通路22e及び嵌合穴22fが通路122e及び嵌合穴122fに変更された以外は後側ハウジング22と同一の構成をなすため、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
通路122eは、嵌合穴122fに対する作動油の供給及び排出を行うべく、内壁面22dにおいて溝状にかつ通路15(通路15b)に連通するように形成されている。
嵌合穴122fは、内壁面22dにおいて、ロック機構40に含まれるロックピン42が嵌合し得るように形成されている。
【0057】
次に、上記バルブタイミング変更装置M2の組み付け方法について説明する。
予め、ベーンロータ110、位置決めピンP2、四つのシール18、前側ハウジング21、後側ハウジング122、環状スペーサ30、ロック機構40、回転付勢バネ50、四つのネジbを準備する。
先ず、ベーンロータ110の嵌合孔13bに位置決めピンP2を嵌合して固定する。
続いて、第2位置決め部35bに位置決めピンP2を嵌合させつつ、円筒部31を凹部13aに圧入して、環状スペーサ30をベーンロータ10に固定する。
続いて、ベーンロータ10の取付け穴14にロック機構40を取り付ける。
【0058】
続いて、環状スペーサ30の前端領域が開口部21dから突出するようにして、ベーンロータ110を前側ハウジング21の収容室Cに挿入する。また、四つのシール18をベーンロータ110のシール溝に挿入する。
続いて、ベーンロータ110の後面10bを覆うように、前側ハウジング21に後側ハウジング122を対向させて接合し、ロックピン42を嵌合孔122fに嵌合させ、四つのネジbを円孔22cに通してネジ穴21eに捩じ込み、後側ハウジング122を前側ハウジング21に結合する。
【0059】
続いて、回転付勢バネ50を、第1仕様の場合とは逆向きにすなわち表裏を反転させてハウジングロータ20の前壁21aに沿うように配置し、一端部51を前壁21aに設けられた一端係止部21bに係止し、他端部52を開口部21dから突出する環状スペーサ30の第2他端係止部34bに係止する。
このとき、回転付勢バネ50は、図16に示すように、一端部51と他端部52とのなす角度θsが、第1仕様における角度θsと同一となる、すなわち、同一の回転付勢力を及ぼすセット荷重にて組み付けられる。
この組み付け状態において、回転付勢バネ50は、第1ロータ(ハウジングロータ20)に対して第2ロータ(ベーンロータ10及び環状スペーサ30)を軸線S回りの他方向(CCW方向)にすなわち進角方向に回転付勢する。
以上により、バルブタイミング変更装置M2の組立が完了する。尚、組立手順としては、上記の手順に限るものではなく、その他の手順で行ってもよい。
【0060】
このように、有底円筒状の前側ハウジング21にベーンロータ110及び環状スペーサ30を挿入して、後側ハウジング122で覆い、ネジbで前側ハウジング21と後側ハウジング122とを結合し、ハウジングロータ120の外側から回転付勢バネ50を配置して取り付けるという簡単な段取りにより、バルブタイミング変更装置M2を容易に組み立てることができる。
【0061】
尚、バルブタイミング変更装置M2においては、第1作動油室C1が進角室として機能し、第2作動油室C2が遅角室として機能し、通路15と通路16の役割が入れ替わる。すなわち、バルブタイミング変更装置M2は、通路15と通路16及び第1作動油室C1と第2作動油室C2とが遅角動作及び進角動作のために入れ替わる以外は、前述のバルブタイミング変更装置M1と同様の動作をなすため、ここでの説明は省略する。
【0062】
上記のように、カムシャフト1の回転方向が異なるバルブタイミング変更装置M1,M2において、第2ロータを構成する環状スペーサ30に対して回転付勢バネ50の他端部52を選択的に係止する複数の係止部(第1係止部及び第2係止部)としての第1他端係止部34a及び第2他端係止部34bを設けたことにより、同一仕様の回転付勢バネ50を当該装置M1,M2に組み付けることができる。
このように、異なる仕様の当該装置M1,M2に対して同一の回転付勢バネ50を組み付けることができるため、回転付勢バネ50は勿論のこと、その他の殆どの部品も共用して使用することができる。それ故に、部品の共用化を達成でき、装置の低コスト化を達成できる。
【0063】
特に、環状スペーサ30は、選択的に使用される複数の係止部としての第1他端係止部34a及び第2他端係止部34bの他に、選択的に使用される第1位置決め部35a及び第2位置決め部35bを備えている。
したがって、回転付勢バネ50が第1仕様及び第2仕様において同一のセット荷重となるように、すなわち、図9及び図16に示すように、一端部51と他端部52とがなす係止角度θsが同じになるように組み付けられる場合に、第1位置決め部35a又は第2位置決め部35bを選択的に使用して調整代を負担させることで、一つの切欠き部34の幅寸法を大きくすることなく、すなわち、機械的強度を低下させることなく、複数の係止部(第1係止部及び第2係止部)を設けることができ、堅固な環状スペーサ30を提供することができる。
【0064】
図17及び図18は、本発明の第2実施形態を示すものであり、第1実施形態の環状スペーサ30に替えて環状スペーサ130を採用した以外は第1実施形態と同一であり、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態において、環状スペーサ130は、鉄系材料の焼結体として形成され、軸線Sを中心とする円筒部31、底壁部32、ボルトBを通す円孔33、円筒部31に形成された第1他端係止部134a及び第2他端係止部134b、底壁部32に形成された位置決め部135を備えている。
【0065】
第1他端係止部134a及び第2他端係止部134bは、円筒部31を軸線S方向にそれぞれ切り欠いて形成され、回転付勢バネ50の他端部52を選択的に係止する複数の係止部として機能する。
第1他端係止部134aは、回転付勢バネ50が軸線S回りの一方向(CW方向)に回転付勢力を及ぼす第1仕様において他端部52を係止する第1係止部である。
第2他端係止部134bは、回転付勢バネ50が軸線S回りの他方向(CCW方向)に回転付勢力を及ぼす第2仕様において他端部52を係止する第2係止部である。
位置決め部135は、ベーンロータ10,110に対して環状スペーサ30を軸線S回りに位置決めするものであり、ベーンロータ10,110に嵌合された位置決めピンP2を嵌合させるべく径方向に僅かに長い長孔として形成されている。
【0066】
第2実施形態においては、環状スペーサ130は、位置決め部135に位置決めピンP2が嵌合され、円筒部31が凹部13aに圧入されて、ベーンロータ10,110に固定されている。
そして、第1仕様においては、図17に示すように、回転付勢バネ50は、ハウジングロータ20の前壁21aに沿うように配置されて、一端部51が前壁21aに設けられた一端係止部21bに係止され、他端部52が開口部21dから突出する環状スペーサ130の第1他端係止部134aに係止される。
このとき、回転付勢バネ50は、図9に示す状態と同様に、一端部51と他端部52とのなす角度がθsとなり、所定の回転付勢力を及ぼすセット荷重にて組み付けられる。
この組み付け状態において、回転付勢バネ50は、第1ロータ(ハウジングロータ20)に対して第2ロータ(ベーンロータ10及び環状スペーサ130)を軸線S回りの一方向(CW方向)にすなわち進角方向に回転付勢する。
【0067】
一方、第2仕様においては、図18に示すように、回転付勢バネ50は、図17に示す形態に対して表裏逆向きでハウジングロータ120の前壁21aに沿うように配置されて、一端部51が前壁21aに設けられた一端係止部21bに係止され、他端部52が開口部21dから突出する環状スペーサ130の第2他端係止部134bに係止される。
このとき、回転付勢バネ50は、図16に示す状態と同様に、一端部51と他端部52とのなす角度がθsとなり、所定の回転付勢力を及ぼすセット荷重にて組み付けられる。
この組み付け状態において、回転付勢バネ50は、第1ロータ(ハウジングロータ120)に対して第2ロータ(ベーンロータ110及び環状スペーサ130)を軸線S回りの他方向(CCW方向)にすなわち進角方向に回転付勢する。
【0068】
上記第2実施形態においても、前述同様に、カムシャフト1の回転方向が異なるバルブタイミング変更装置M1,M2において、第2ロータを構成する環状スペーサ130に対して回転付勢バネ50の他端部52を選択的に係止する複数の係止部(第1係止部及び第2係止部)としての第1他端係止部134a及び第2他端係止部134bを設けたことにより、同一仕様の回転付勢バネ50を当該装置M1,M2に組み付けることができる。
このように、異なる仕様の当該装置M1,M2に対して同一の回転付勢バネ50を組み付けることができるため、回転付勢バネ50は勿論のこと、その他の殆どの部品も共用して使用することができる。それ故に、部品の共用化を達成でき、装置の低コスト化を達成できる。
【0069】
図19及び図20は、本発明の第3実施形態を示すものであり、第1実施形態の環状スペーサ30と前側ハウジング21に替えて環状スペーサ230と前側ハウジング221を含むハウジングロータ220,320を採用した以外は第1実施形態と同一であり、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第3実施形態において、ハウジングロータ220は、前側ハウジング221と後側ハウジング22を備え、第1仕様において適用される。ハウジングロータ320は、前側ハウジング221と後側ハウジング122を備え、第2仕様において適用される。
【0070】
前側ハウジング221は、アルミニウム材料を用いて収容室Cを画定する有底円筒状に形成され、外壁としての前壁21a、前壁21aに一体的に形成された第1一端係止部221a及び第2一端係止部221b、円筒壁21c、開口部21d、ネジbを捩じ込む四つのネジ穴21e、四つのシュー部21fを備えている。
【0071】
第1一端係止部221a及び第2一端係止部221bは、それぞれ、前壁21aから軸線S方向に突出する凸部として形成され、回転付勢バネ50の一端部51を選択的に係止するものである。
第1一端係止部221aは、回転付勢バネ50が軸線S回りの一方向(CW方向)に回転付勢力を及ぼす第1仕様において一端部51を係止する第1係止部である。
第2一端係止部221bは、回転付勢バネ50が軸線S回りの他方向(CCW方向)に回転付勢力を及ぼす第2仕様において一端部51を係止する第2係止部である。
【0072】
環状スペーサ230は、鉄系材料の焼結体として形成され、軸線Sを中心とする円筒部31、底壁部32、ボルトBを通す円孔33、円筒部31に形成された他端係止部234、底壁部32に形成された位置決め部235を備えている。
他端係止部234は、円筒部31において軸線S方向に切り欠かれて形成され、回転付勢バネ50の他端部52を係止するものである。
他端係止部234は、回転付勢バネ50が軸線S回りの一方向(CW方向)に回転付勢力を及ぼす第1仕様において他端部52を係止する役割と、回転付勢バネ50が軸線S回りの他方向(CCW方向)に回転付勢力を及ぼす第2仕様において他端部52を係止する役割とを兼ねる。
位置決め部235は、ベーンロータ10,110に対して環状スペーサ230を軸線S回りに位置決めするものであり、ベーンロータ10,110に嵌合された位置決めピンP2を嵌合させるべく径方向に僅かに長い長孔として形成されている。
【0073】
第3実施形態においては、環状スペーサ230は、位置決め部235に位置決めピンP2が嵌合され、円筒部31が凹部13aに圧入されて、ベーンロータ10,110に固定されている。
そして、第1仕様においては、図19に示すように、回転付勢バネ50は、ハウジングロータ220の前壁21aに沿うように配置されて、一端部51が前壁21aに設けられた第1一端係止部221aに係止され、他端部52が開口部21dから突出する環状スペーサ230の他端係止部234に係止される。
このとき、回転付勢バネ50は、図9に示す状態と同様に、一端部51と他端部52とのなす角度がθsとなり、所定の回転付勢力を及ぼすセット荷重にて組み付けられる。
この組み付け状態において、回転付勢バネ50は、第1ロータ(ハウジングロータ220)に対して第2ロータ(ベーンロータ10及び環状スペーサ230)を軸線S回りの一方向(CW方向)にすなわち進角方向に回転付勢する。
【0074】
一方、第2仕様においては、図20に示すように、回転付勢バネ50は、図19に示す形態に対して表裏逆向きでハウジングロータ320の前壁21aに沿うように配置されて、一端部51が前壁21aに設けられた第2一端係止部221bに係止され、他端部52が開口部21dから突出する環状スペーサ230の他端係止部234に係止される。
このとき、回転付勢バネ50は、図16に示す状態と同様に、一端部51と他端部52とのなす角度がθsとなり、所定の回転付勢力を及ぼすセット荷重にて組み付けられる。
この組み付け状態において、回転付勢バネ50は、第1ロータ(ハウジングロータ320)に対して第2ロータ(ベーンロータ110及び環状スペーサ230)を軸線S回りの他方向(CCW方向)にすなわち進角方向に回転付勢する。
【0075】
上記第3実施形態においても、前述同様に、カムシャフト1の回転方向が異なるバルブタイミング変更装置M1,M2において、第1ロータを構成するハウジングロータ220,320に対して回転付勢バネ50の一端部51を選択的に係止する複数の係止部(第1係止部及び第2係止部)としての第1一端係止部221a及び第2一端係止部221bを設けたことにより、同一仕様の回転付勢バネ50を当該装置M1,M2に組み付けることができる。
このように、異なる仕様の当該装置M1,M2に対して同一の回転付勢バネ50を組み付けることができるため、回転付勢バネ50は勿論のこと、その他の殆どの部品も共用して使用することができる。それ故に、部品の共用化を達成でき、装置の低コスト化を達成できる。
【0076】
上記実施形態においては、回転付勢バネとして、渦巻きバネの形態をなす回転付勢バネ50を示したが、これに限定されるものではなく、回転付勢バネとして捩りコイルバネを採用してもよい。
また、上記実施形態においては、第1ロータ又は第2ロータに設けた回転付勢バネの一端部又は他端部を選択的に係止する複数の係止部として、同一のセット荷重を生じるように回転付勢バネ50を係止する形態を示したが、これに限定されるものではなく、セット荷重が内燃エンジンの仕様に応じて異なる場合において、係止角度を変更しても機能的に許容されれば、同一の回転付勢バネの係止角度を変更して係止できる二つ又は三つ以上の複数の係止部を採用してもよい。
【0077】
上記実施形態においては、第2ロータとして、ベーンロータ10,110及び環状スペーサ30,130,230を含む構成を採用し、一端係止部21bがハウジングロータ20,120に設けられ、第1他端係止部34a,134a及び第2他端係止部34b,134bが環状スペーサ30,130に設けられる構成を示したが、これに限定されるものではなく、第2ロータがベーンロータだけからなる構成において,本発明を採用してもよい。
この場合、第1ロータは収容室を画定するハウジングロータであり、第2ロータは収容室に収容されるベーンロータであり、一端係止部はハウジングロータに設けられ、第1他端係止部及び第2他端係止部はベーンロータに設けられる構成としてもよい。
また、第1ロータは収容室を画定するハウジングロータであり、第2ロータは収容室に収容されるベーンロータであり、第1一端係止部及び前記第2一端係止部はハウジングロータに設けられ、他端係止部はベーンロータに設けられる構成としてもよい。
【0078】
上記実施形態においては、ハウジングロータとして、前側ハウジング及び後側ハウジングからなる二分割構造をなすハウジングロータ20,120,220,320を示したが、これに限定されるものではない。例えば、平板状の前側ハウジング、円筒状の外周ハウジング、平板状の後側ハウジングからなる三分割構造、あるいはその他の形態をなすハウジングロータを備えた構成において、本発明を採用してもよい。
【0079】
上記実施形態においては、ロック機構として、円筒ホルダ41、ロックピン42、コイルバネ43を含むと共に最遅角位置にロックするロック機構40を示したが、これに限定されるものではない。例えば、ベーンロータ10,110をハウジングロータ20,120,20,320に対してロックし得る構成であれば、その他のロック機構を採用してもよく、又、ロック位置としては、最遅角位置に限らず、最進角位置あるいは必要に応じてその他の位置であってもよい。
【0080】
以上述べたように、本発明のバルブタイミング変更装置は、部品の共用化を達成することができ、それ故に、装置の低コスト化を達成することができるため、自動車等に搭載された内燃エンジンに適用できるのは勿論のこと、二輪車等に搭載された小型の内燃エンジン、その他の車両又は船舶等に搭載の内燃エンジンにおいても有用である。
【符号の説明】
【0081】
1 カムシャフト
S 軸線
CW 一方向
CCW 他方向
M1 第1仕様に係るバルブタイミング変更装置
M2 第2仕様に係るバルブタイミング変更装置
10,110 ベーンロータ(第2ロータ)
20,120 ハウジングロータ(第1ロータ)
C 収容室
21a 前壁(外壁)
21b 一端係止部
21c 開口部
30 環状スペーサ(第2ロータ)
31 円筒部
34 切欠き部
34a 第1他端係止部(第1係止部)
34b 第2他端係止部(第2係止部)
35a 第1位置決め部
35b 第2位置決め部
50 回転付勢バネ(渦巻きバネ)
51 一端部
52 他端部
130 環状スペーサ(第2ロータ)
134a 第1他端係止部(第1係止部)
134b 第2他端係止部(第2係止部)
220,320 ハウジングロータ(第1ロータ)
221a 第1一端係止部(第1係止部)
222b 第2一端係止部(第2係止部)
230 環状スペーサ(第2ロータ)
234 他端係止部
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