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特開2022-170750マイクロプリズムパウダー及びマイクロプリズムパウダーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170750
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】マイクロプリズムパウダー及びマイクロプリズムパウダーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/124 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
G02B5/124
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076907
(22)【出願日】2021-04-29
(71)【出願人】
【識別番号】511294073
【氏名又は名称】株式会社発明ラボックス
(71)【出願人】
【識別番号】504330568
【氏名又は名称】有限会社アイドウ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 幸博
(72)【発明者】
【氏名】松本 奈緒美
【テーマコード(参考)】
2H042
【Fターム(参考)】
2H042EA04
2H042EA05
2H042EA14
2H042EA15
2H042EA16
2H042EA19
2H042EA20
(57)【要約】
【課題】被着体の保護はもとより照射光の照射により再帰性反射及び乱反射による危険予知ができるとともに、光を当てなくても蒸着色がキラキラ乱反射して光学意匠を創出することができるマイクロプリズムパウダー及びマイクロプリズムパウダー製造方法を提供する。
【解決手段】透光性合成樹脂素材からなるマイクロプリズムパウダーであって、マイクロプリズムパウダーの形状が正三角錐若しくは二等辺三角錐であり、そのうちの1面以外の面に少なくとも1つ以上の色を蒸着させた。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性合成樹脂素材からなるマイクロプリズムパウダーであって、
前記マイクロプリズムパウダーの形状が正三角錐若しくは二等辺三角錐であり、そのうちの1面以外の面に少なくとも1つ以上の色を蒸着させたことを特徴とするマイクロプリズムパウダー。
【請求項2】
前記マイクロプリズムパウダーは、前記透光性合成樹脂素材(レジン)を金型に注入し、前記透光性合成樹脂素材が注入された側から前記金型にシート材を貼り、UV照射をして前記透光性合成樹脂素材を固めた後、固まった前記透光性合成樹脂素材が付いた前記シート材を前記金型から剥がし、前記シート材に付いた前記透光性合成樹脂素材の表面に前記色を蒸着させ、蒸着させた前記透光性合成樹脂素材を前記シート材から脱離させたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロプリズムパウダー。
【請求項3】
前記1面は前記シート材に付いていた面であることを特徴とする請求項2に記載のマイクロプリズムパウダー。
【請求項4】
前記UV照射は前記シート材側から行われることを特徴とする請求項2又は3に記載のマイクロプリズムパウダー。
【請求項5】
透光性合成樹脂素材からなるマイクロプリズムパウダーを製造するマイクロプリズムパウダー製造方法であって、
複数の正三角錐若しくは二等辺三角錐の型からなる金型に前記透光性合成樹脂素材を注入するステップと、
前記透光性合成樹脂素材が注入された側から前記金型にシート材を貼るステップと、
前記シート材が貼られた前記金型にUV照射をして前記透光性合成樹脂素材を固めるステップと、
固まった前記透光性合成樹脂素材が付いた前記シート材を前記金型から剥がすステップと、
前記シート材に付いた前記透光性合成樹脂素材の表面に少なくとも1つ以上の色を蒸着させるステップと、
色を蒸着させた前記透光性合成樹脂素材を前記シート材から脱離させるステップとを、
から構成されることを特徴とするマイクロプリズムパウダー製造方法。
【請求項6】
前記UV照射は前記シート材側から行われることを特徴とする請求項5に記載のマイクロプリズムパウダー製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動若しくは固定被着体に塗着させることにより、光再帰並びに乱反射による危険予知、及び光照射により被着体に特有の光学意匠を創出しえるマイクロプリズムパウダー及びマイクロプリズムパウダー製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
我が国では都市化に伴う極度の人口集中と自動車社会化とにより、都市部では慢性的交通渋滞に見舞われ、これを回避するため裏道や路地に至るまで頻繁な車輛の往来がなされている。加えて高齢化社会とともに思考や行動に不自由な多くの高齢者の該裏道や路地での歩行も増大し、更には核家族化や少子化とともに子供達の夜間の塾通いやスポーツクラブ通いも増大化している。
【0003】
これら裏道や路地では道路照明等も不完備であるから、専ら車輛運転者の安全確認に委ねられているものの、危険確認も至難なため悲惨な交通事故が再々に渡って発生している。加えて近年では健康指向の高まりから自転車の利用も急増しつつあるが、主要路においては過密な車輛に独占されているため歩道通行が尋常化し、これにより歩行者との事故発生は激増の一途にある。
【0004】
このため車輛運転者の僅かなヘッドライトの照射光でも拡散させずに再帰反射をさせて危険認識を高めるうえから、合成樹脂板材やガラス板材面にピラミッド型の突起を形成させた光再帰反射材が路側視線誘導標識(デニリータ)や車輛の後部反射板として採用されるに至っている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-60627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、交通事故における悲惨な事故は、車輛運転者と歩行との間における場合が多い。そのため、車輛運転者の安全確認とともに歩行者、とりわけ道路作業者や交通整理関係者等からも危険の存在を積極的に知らしめることが、交通事故防止のうえで大きく寄与することが提唱されるに至っている。
【0007】
このため発明者は、合成樹脂フィルムの一側面に三角錐形状の微細かつ膨大数の光再帰性加工を施した光再帰性反射シート材を、道路作業者や交通整理関係者の作業衣に縫着若しくは貼着使用させ、車輛運転者に早期の危険予知をなさしめ交通事故の低減に大きな結果を挙げるに至っている。加えて近年に至っては、該光再帰性反射シート材を児童のランドセルや帽子、靴等の一部に縫着若しくは貼着或いは接着させ、交通事故防止の軽減化が著しく向上するに至っている 。
【0008】
交通事故は、道路作業者や交通整理関係者のみならず国民全体に係わるものであって、国民の交通手段としては徒歩及び交通機関の利用をはじめ、自家用車やバイク、自転車等が使用され、かつ歩行行動に際してもバッグやカバン、ポーチェ、アタッシュケース、携帯電話、ラップトップパソコン或いはカート等も携行される。従って、交通事故防止のうえからは、これら自家用車、バイク、自転車はもとより携行品に対しても光再帰性反射シート材を使用し危険予知を高めることも提案されるに至っている。
【0009】
然るに、今日の如く生活水準の向上による高級化指向や個性化指向の高まりの中においては、自動車やバイク、自転車等の選択にもデザインや色調等の外観へのこだわりは極めて強く、かつ携行品においてはそのデザインや色調に加えてファッション性も強く求められるものであるから、仮令危険予知が可能であるにせよ光再帰性反射シート材の縫着や貼着若しくは接着は、デザインや色調ばかりかファッション性を根底から滅失させ、到底採用できない問題を抱えている。
【0010】
本発明は、上記従来の問題を解消するためのものであって、被着体の保護はもとより照射光の照射により再帰性反射及び乱反射による危険予知ができるとともに、光を当てなくても蒸着色がキラキラ乱反射して光学意匠を創出することができるマイクロプリズムパウダー及びマイクロプリズムパウダー製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明にあっては、透光性合成樹脂素材からなるマイクロプリズムパウダーであって、前記マイクロプリズムパウダーの形状が正三角錐若しくは二等辺三角錐であり、そのうちの1面以外の面に少なくとも1つ以上の色を蒸着させたことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明にあっては、前記マイクロプリズムパウダーが、前記透光性合成樹脂素材(レジン)を金型に注入し、前記透光性合成樹脂素材が注入された側から前記金型にシート材を貼り、UV照射をして前記透光性合成樹脂素材を固めた後、固まった前記透光性合成樹脂素材が付いた前記シート材を前記金型から剥がし、前記シート材に付いた前記透光性合成樹脂素材の表面に前記色を蒸着させ、蒸着させた前記透光性合成樹脂素材を前記シート材から脱離させたことは好ましい態様である。
【0013】
請求項3記載の発明にあっては、前記1面が前記シート材に付いていた面であることは好ましい態様である。
【0014】
請求項4記載の発明にあっては、前記UV照射が前記シート材側から行われることは好ましい態様である。
【0015】
請求項5記載の発明にあっては、透光性合成樹脂素材からなるマイクロプリズムパウダーを製造するマイクロプリズムパウダー製造方法であって、複数の正三角錐若しくは二等辺三角錐の型からなる金型に前記透光性合成樹脂素材を注入するステップと、前記透光性合成樹脂素材が注入された側から前記金型にシート材を貼るステップと、前記シート材が貼られた前記金型にUV照射をして前記透光性合成樹脂素材を固めるステップと、固まった前記透光性合成樹脂素材が付いた前記シート材を前記金型から剥がすステップと、前記シート材に付いた前記透光性合成樹脂素材の表面に少なくとも1つ以上の色を蒸着させるステップと、色を蒸着させた前記透光性合成樹脂素材を前記シート材から脱離させるステップとを、から構成されることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明にあっては、前記UV照射が前記シート材側から行われることは好ましい態様である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載のマイクロプリズムパウダーにあっては、透光性合成樹脂素材からなるマイクロプリズムパウダーであって、前記マイクロプリズムパウダーの形状が正三角錐若しくは二等辺三角錐であり、そのうちの1面以外の面に少なくとも1つ以上の色を蒸着させたことにより、被着体の保護はもとより照射光の照射により再帰性反射及び乱反射による危険予知ができるとともに、光を当てなくても蒸着色がキラキラ乱反射して光学意匠を創出することができる。
【0018】
請求項2記載のマイクロプリズムパウダーにあっては、前記マイクロプリズムパウダーが、前記透光性合成樹脂素材(レジン)を金型に注入し、前記透光性合成樹脂素材が注入された側から前記金型にシート材を貼り、UV照射をして前記透光性合成樹脂素材を固めた後、固まった前記透光性合成樹脂素材が付いた前記シート材を前記金型から剥がし、前記シート材に付いた前記透光性合成樹脂素材の表面に前記色を蒸着させ、蒸着させた前記透光性合成樹脂素材を前記シート材から脱離させたことにより、シート材に付いていた面は透明で色がついていないため光を入れることができ、それにより色を蒸着させた他の面が光ることで色付きの反射材を作ることができる。
【0019】
請求項3記載のマイクロプリズムパウダーにあっては、前記1面が前記シート材に付いていた面であることにより、マイクロプリズムパウダー内に光を入れることができる。
【0020】
請求項4記載のマイクロプリズムパウダーにあっては、前記UV照射が前記シート材側から行われることにより、シート材に透光性合成樹脂素材を付けることができる。
【0021】
請求項5記載のマイクロプリズムパウダー製造方法にあっては、透光性合成樹脂素材からなるマイクロプリズムパウダーを製造するマイクロプリズムパウダー製造方法であって、複数の正三角錐若しくは二等辺三角錐の型からなる金型に前記透光性合成樹脂素材を注入するステップと、前記透光性合成樹脂素材が注入された側から前記金型にシート材を貼るステップと、前記シート材が貼られた前記金型にUV照射をして前記透光性合成樹脂素材を固めるステップと、固まった前記透光性合成樹脂素材が付いた前記シート材を前記金型から剥がすステップと、前記シート材に付いた前記透光性合成樹脂素材の表面に少なくとも1つ以上の色を蒸着させるステップと、色を蒸着させた前記透光性合成樹脂素材を前記シート材から脱離させるステップとを、から構成されることにより、被着体の保護はもとより照射光の照射により再帰性反射及び乱反射による危険予知ができるとともに、光を当てなくても蒸着色がキラキラ乱反射して光学意匠を創出することができる。また、シート材に付いていた面は透明で色がついていないため光を入れることができ、それにより色を蒸着させた他の面が光ることで色付きの反射材を作ることができる。
【0022】
請求項6記載のマイクロプリズムパウダー製造方法にあっては、前記UV照射が前記シート材側から行われることにより、シート材に透光性合成樹脂素材を付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るマイクロプリズムパウダーを製造するための金型の一例を示す図である。
図2】本発明に係るマイクロプリズムパウダーを製造するための金型の一例を側面から見た図である。
図3】本発明に係るマイクロプリズムパウダーを製造するための金型の一例を斜め上から見た斜視図である。
図4】本発明に係るマイクロプリズムパウダーを製造するための金型にレンジを注入した状態を示す図である。
図5】本発明に係るマイクロプリズムパウダーを製造するための金型にシート素材を貼り付ける際の図である。
図6】本発明に係るマイクロプリズムパウダーを製造するための金型に貼られたシート材にUV照射している状態の図である。
図7】本発明に係るマイクロプリズムパウダーを製造するための金型からシート材を取り外した状態の図である。
図8】本発明に係るマイクロプリズムパウダーに色を蒸着した状態の図である。
図9】本発明に係るマイクロプリズムパウダーに色を蒸着した後にシート材を脱離している状態の図である。
図10】本発明に係るマイクロプリズムパウダーを示す図である。
図11】本発明に係るマイクロプリズムパウダーを正面から見た図である。
図12】本発明に係るマイクロプリズムパウダーを背面から見た図である。
図13】本発明に係るマイクロプリズムパウダーを右側面から見た図である。
図14】本発明に係るマイクロプリズムパウダーを左側面から見た図である。
図15】本発明に係るマイクロプリズムパウダーを上方から見た図である。
図16】本発明に係るマイクロプリズムパウダーを底面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るマイクロプリズムパウダー及びマイクロプリズムパウダー製造方法を、一実施形態に基づき、図面を参照して説明する。
【0025】
まず、一実施形態のマイクロプリズムパウダーの製造方法及びマイクロプリズムパウダーについて図1図16を用いて説明する。
【0026】
この一実施形態のマイクロプリズムパウダー(以下、単にプリズムとも言う)10は、プリズム型の反射材としてカラーバリエーションがある反射ペンキ(塗装材)の商品などで利用可能である。以下ではプリズム10の製造方法について説明する。
【0027】
プリズム10を製造するために図1に示す金型11が用いられる。金型11は複数の三角錐12の型から構成されており、それぞれの三角錐12は図2に示すように連結されている。なお、三角錐12はこの形状に限定されるものではなく、正三角錐若しくは二等辺三角錐であってもよい。また、三角錐ではなく、四角錐や五角錐などの多角錐であってもよい。
【0028】
また、金型11の素材は金属製のみではなく、後述するUV(UltraViolet)照射、すなわち紫外線照射に耐えられる素材であればよく、プラスチック製などであってもよい。また、金型11の三角錐12の大きさは1つの大きさに限定されるものではなく、用途によって変更可能である。例えば、塗着形成される塗膜厚さが100μm以下に形成される場合には、三角錐12の大きさとしては底辺13から頂部14までの長さは30μm以下、望ましくは10から20μmである。一方、塗膜厚さなどに制限がない場合には30μmより長くてもよい。
【0029】
具体的には、道路施設(道路線など)や建造物はもとより車輛、バイク、自転車、乳母車、セートの他、携帯電話、CDプレイヤー、携帯パソコン、バッグ、ポーチェ、ペン、ネイル等の携行品に至る広範囲に亘る物に塗着可能な塗装材に用いることが可能である。
【0030】
金型11を図3に示すように置き、金型11の上方からレジン15を注入する。注入した状態が図4に示されている。レジン15は、例えば透光性合成樹脂素材などである。透光性合成樹脂素材を用いることにより、プリズム10の底面より直交入射する照射光線に対しては、プリズム10のプリズム屈折角度と反射角度とにより光再帰性反射がなされる。更にプリズム10に適宜入射角度で入射する照射光線においては、その入射角度に対するプリズム10の屈折角度により多方向に一次反射され、この一次反射光線の一部が隣接するプリズム10に適宜角度で入射されたうえ、その屈折角度で多方向へと二次乱反射される。これにより、夜間における車輛運転者には再帰性反射と乱反射とにより高い視認性をもって危険予知がなされる。
【0031】
レジン15が注入された後、図5に示すようにシート材16を金型11の上方から貼り
付ける。シート材16の素材は特に限定されるものではなく、後述するUV照射によりレジン15が固まってシート材16に付着する素材であればよい。
【0032】
シート材16が金型11に貼り付けられた後、図6に示すようにシート材16側からUVを照射させる。UV照射をすることにより、金型11内のレジン15が固まるとともにシート材16に付着する。
【0033】
レジン15がシート材16に付着すると、図7に示すようにレジン15を金型11からシート材16とともに取り外す。取り外したシート材16を下にし、固まったレジン15を上にした状態でレジン15の表面17に色を蒸着させる(図8を参照)。このとき、蒸着させる色は一色に限定されるものではなく、複数の色をそれぞれの表面17に蒸着させるようにしてもよい。これにより、色が蒸着した3面が光ることで色付きの反射材を構成することができる。
【0034】
レジン15、すなわちプリズム10に色をつけられることで、これまでにできなかったカラー反射塗料とすることが可能となる。例えば、赤や黄色などこれまでになかった反射ペンキ等とすることができる。考えられる商品の例としては、反射ペンや反射塗料といった新しい塗料材である。現在の反射塗料では、ガラスビーズパウダー(球体)のためカラー蒸着ができず、カラーの反射塗料はできなかった。ガラスビーズパウダーが主に使用されている用途は、道路の白線塗料や消費材としてスプレー缶塗料に混入されて、光る塗料として活用されているが、再帰性反射シートのような販売はできていない。プリズム10(マイクロプリズムパウダー)は、ガラスビーズパウダーと大きく異なる点は材料の違いと反射輝度と色物が生産できることである。ガラスビーズパウダーは、材料はガラス(比重 2.2から2.5)であり重量がある。一方、プリズム10は、材料がプラスチック(エポキシ樹脂比重 1.1から1.4)である。そのため、ガラスビーズパウダーと同等のkgでは数量が倍以上の密度になるため、少ないグラムでガラスビーズと同等以上の効果が得られる。
【0035】
具体的には、 シート材16に付着した面の色にプラスして、メタリックゴールド、レッド、ブルー、グリーンなど蒸着色を増やすことにより、 光を当てた時の反射色が蒸着した色で再帰し、また光を当てなくても蒸着色がキラキラ乱反射してファッションとしても利用することができる。
【0036】
色を蒸着させた後、図9に示すようにシート材16をレジン15から脱離させる。シート材16を脱離させた後、連結したレジン15を個々に分離させる。分離させた状態が図10に示される。図10に示されるそれぞれのレジン15がプリズム10となる。プリズム10の表面17は色が蒸着された面とシート材16に付着していた面とがある。ここではシート材16に付着していた面を底面とする。
【0037】
図11はプリズム10の蒸着した面が2面見える方向から見た正面図を示している。それぞれの面は色が蒸着されているが、同じ色が蒸着されていても異なる色が蒸着されていてもよい。
【0038】
図12図11に示すプリズム10を背面から見た背面図を示している。図12に示すプリズム10の表面17は図11に示すプリズム10の表面17とは異なる面であって、図11のプリズム10の表面17に蒸着された色と同じであっても異なっていてもよい。
【0039】
図13図11に示すプリズム10を右方向から見た右側面図を示しており、図14図11に示すプリズム10を左方向から見た左側面図を示している。図13図14に示すようにそれぞれの表面17には色が蒸着されている。
【0040】
図15図11に示すプリズム10を上方から見た図を示している。図15に示すようにプリズム10の3つの表面17が示されている。
【0041】
図16図11に示すプリズム10の底面を示している。図16に示すようにプリズム10の底面はレジン15となっており、色は蒸着されていない。色が蒸着されていないため、底面から入射した光がプリズム10内で反射して色が蒸着されたそれぞれの面で反射色が再帰する。
【0042】
なお、プリズム10を輸送する場合には、予めポリエチレン及びポリエステルワックス等を混入してプリズム10を固めて輸送する。このように固めることにより、カラー反射材にするためにペンキと混ぜる時に飛散防止になり、安全にペンキに混ぜやすくなる。具体的には、使用するとき固形になったプリズム10を塗料やインキに入れると、ワックスが溶けてプリズムパウダーとして蘇ります。このように、プリズム10を固めるので円型や四角形とすることができる。また、粉末ではないため調合時に飛散を抑止できます。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係るマイクロプリズムパウダー製造方法及びマイクロプリズムパウダー製造方法は、被着体の保護はもとより照射光の照射により再帰性反射及び乱反射による危険予知ができるとともに、光を当てなくても蒸着色がキラキラ乱反射して光学意匠を創出することができるため、産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0044】
10 プリズム
11 金型
12 三角錐
13 底辺
14 頂部
15 レジン
16 シート材
17 表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16