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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170755
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
G06F3/01 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076914
(22)【出願日】2021-04-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】太田 幸秀
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和輝
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC30
5E555CA01
5E555CB20
5E555DA24
5E555FA30
(57)【要約】
【課題】押圧操作体に伝達される振動強度の押圧位置による相違をより少なくすることができる操作装置を提供する。
【解決手段】操作者に押圧操作される押圧操作部材と、振動を発生させるアクチュエータと、押圧操作部材の変位を検出する複数の変位センサと、変位センサが検出した変位に基づいて、押圧操作部材の傾きを検出する傾き検出部91と、傾き検出部91が検出した傾きに応じてアクチュエータに発生させる振動の強度を制御する振動制御部93とを備える。押圧操作部材の傾きは、押圧位置に関連して変動する値である。よって、振動制御部93が、傾き検出部91が検出した傾きに応じてアクチュエータに発生させる振動の強度を制御することで、押圧操作体に伝達される振動強度の押圧位置による相違を少なくできる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者に押圧操作される押圧操作部材(11)と、
振動を発生させるアクチュエータ(31)と、
前記押圧操作部材の変位を示す変位関連量を検出する複数の変位センサ(71)と、
前記変位センサが検出した前記変位関連量に基づいて、前記押圧操作部材の傾きを検出する傾き検出部(91)と、
前記傾き検出部が検出した傾きに応じて前記アクチュエータに発生させる振動の強度を制御する振動制御部(93)と、を備えた操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作装置であって、
複数部位において前記押圧操作部材と結合され、前記アクチュエータが発生させた振動を前記押圧操作部材へと伝達する伝達部材(41、241、341)を備える、操作装置。
【請求項3】
請求項2に記載の操作装置であって、
前記変位センサは、前記伝達部材の複数箇所において前記変位関連量を検出し、
前記傾き検出部は、前記伝達部材の傾きを、前記押圧操作部材の傾きとして検出する、操作装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の操作装置であって、
前記アクチュエータを、前記押圧操作部材の押圧操作エリア(TA)の中心付近に対向する位置に1つ備え、
前記振動制御部は、前記傾きが大きいほど前記アクチュエータに発生させる振動強度を強くする操作装置。
【請求項5】
請求項4に記載の操作装置であって、
前記押圧操作エリアに形成された押圧操作箇所(16)が一列になっており、
前記変位センサは、前記押圧操作箇所の配列方向に沿った方向において、前記押圧操作エリアを2等分する線を挟む複数の位置に配置されている、操作装置。
【請求項6】
請求項4に記載の操作装置であって、
前記押圧操作エリアに形成された押圧操作箇所が複数列になっており、
前記変位センサは、前記押圧操作箇所の配列方向に沿う変位センサ列が、複数、平行に形成されるように配置されており、
前記傾き検出部は、前記変位センサ列の方向における前記押圧操作部材の傾きと、前記変位センサ列に直交する方向における前記押圧操作部材の傾きとを検出し、
前記振動制御部は、前記押圧操作箇所の配列方向における前記押圧操作部材の傾きが大きいほど前記アクチュエータに発生させる振動を大きくするとともに、前記押圧操作箇所の列に直交する方向における前記押圧操作部材の傾きが大きいほど前記アクチュエータに発生させる振動強度を強くする操作装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の操作装置であって、
前記傾き検出部は、複数の前記変位センサがそれぞれ検出した前記変位関連量の変位差(m、mH、mV)を前記傾きとして検出し、
前記振動制御部は、前記変位差の絶対値と事前に調整された調整係数(p、ph、pv)との積に基づいて、前記押圧操作エリアの中央が押圧操作された場合に前記アクチュエータに発生させる振動に対して、実際に前記アクチュエータに発生させる振動強度を増加させる増加割合を決定する、操作装置。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載の操作装置であって、
前記アクチュエータを、前記押圧操作部材の押圧操作エリアを2等分する線(CL)を挟む位置に複数備え、
前記振動制御部は、前記傾きに応じて、複数の前記アクチュエータに発生させる振動強度の配分を補正する、操作装置。
【請求項9】
請求項8に記載の操作装置であって、
前記振動制御部は、前記傾きに基づいて、押圧位置に対して相対的に遠い前記アクチュエータに発生させる振動強度の配分を、押圧位置に対して相対的に近い前記アクチュエータに発生させる振動強度の配分より大きくする、操作装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の操作装置であって、
前記押圧操作エリアに形成された押圧操作箇所が一列になっており、
前記変位センサは、前記押圧操作箇所に沿った方向において、前記押圧操作エリアを2等分する線を挟む複数の位置に配置されている、操作装置。
【請求項11】
請求項8または9に記載の操作装置であって、
前記押圧操作エリアに形成された押圧操作箇所が複数列になっており、
前記変位センサは、前記押圧操作箇所の配列方向に沿う変位センサ列が、複数、平行に形成されるように配置されており、
前記傾き検出部は、前記変位センサ列の方向における前記押圧操作部材の傾きと、前記変位センサ列に直交する方向における前記押圧操作部材の傾きとを検出する、操作装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の操作装置であって、
前記傾き検出部は、複数の前記変位センサがそれぞれ検出した前記変位関連量の変位差(m、mH、mV)を前記傾きとして検出し、
前記振動制御部は、前記変位差と事前に調整された調整係数(p、ph、pv)との積に基づいて、前記押圧操作エリアの中央が押圧操作された場合に複数の前記アクチュエータに発生させる振動に対して、実際に複数の前記アクチュエータに発生させる振動の配分を補正する補正割合を決定する、操作装置。
【請求項13】
前記変位センサは光学式の距離センサである、請求項1~12のいずれか1項に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
操作装置に関し、特に、押圧操作をする操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タッチセンサのタッチ面に押圧荷重を検出すると、タッチ面を振動させる装置が開示されている。タッチ面を振動させる理由は、タッチ面をタッチした指等の押圧操作体に振動を伝えることにより、押圧操作が検出されたことを操作者に認識させるためである。
【0003】
特許文献1に開示された装置は、タッチ面を押圧している押圧操作体に対して押圧位置に依存しない一定振幅の振動による触感を呈示するようしている。具体的には、タッチ面上の位置に応じたサイズのエリア毎に設定された調整情報に基づき、触感呈示部の駆動を押圧位置に応じて制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5784283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
押圧位置によらず一定の振動を与えるために、アクチュエータが発生させた振動を押圧操作体が押圧操作する押圧操作部材へ伝達する伝達部材を設けるなど、構造を工夫することが考えられる。伝達部材と押圧操作部材との結合箇所を複数箇所に分散配置することで、アクチュエータの振動が複数箇所から押圧操作部材へ伝達される。これにより、押圧操作体に伝達される振動の大きさの押圧位置による違いが少なくなる。
【0006】
上記伝達部材を備えるなどの工夫をしても、押圧位置によらず押圧操作体に伝達される振動の大きさを完全には均一にすることはできない。そこで、アクチュエータに発生させる振動の大きさを制御することが考えられる。
【0007】
ただし、押圧操作体に伝達される振動の大きさの押圧位置による違いが少ない操作装置においては、特許文献1のように、タッチ面上の位置すなわち押圧位置に応じたサイズのエリア毎に調整情報を設定する必要はない。そこで、押圧位置による振動の大きさの違いが少ない操作装置に適した構成により、押圧操作体に伝達される振動強度の押圧位置による相違をより少なくできる操作装置が望まれる。
【0008】
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、押圧操作体に伝達される振動強度の押圧位置による相違をより少なくできる操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的態様との対応関係を示すものであって、開示した技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
上記目的を達成するための1つの開示は、
操作者に押圧操作される押圧操作部材(11)と、
振動を発生させるアクチュエータ(31)と、
押圧操作部材の変位を示す変位関連量を検出する複数の変位センサ(71)と、
変位センサが検出した変位関連量に基づいて押圧操作部材の傾きを検出する傾き検出部(91)と、
傾き検出部が検出した傾きに応じてアクチュエータに発生させる振動の強度を制御する振動制御部(93)と、を備えた操作装置である。
【0011】
アクチュエータから押圧操作部材の押圧位置まで伝達される振動の強さは、押圧位置に応じて変化する。したがって、アクチュエータに発生させる振動の強度を、押圧位置に応じて制御すれば、押圧操作体に伝達される振動の大きさの押圧位置による違いを少なくできる。
【0012】
押圧操作体に伝達される振動の大きさの押圧位置による違いが少ない構成であるほど、押圧操作部材は、押圧による撓みが少なくなる。つまり、押圧操作体に伝達される振動の大きさの押圧位置による違いが少ない構成であるほど、押圧操作部材に押圧力が加えられることによる変位は、撓みよりも、主として平行移動および傾きとして現れる。そこで、この操作装置は、押圧操作部材の傾きを検出する傾き検出部を備える。押圧操作部材の中央が押圧されると、押圧操作部材は全体が平行移動する。これに対して、押圧位置が押圧操作部材の端に近いほど押圧操作部材の傾きが大きくなる。つまり、押圧操作部材の傾きは、押圧位置に関連して変動する値である。
【0013】
振動制御部は、傾き検出部が検出した傾きに応じてアクチュエータに発生させる振動の強度を制御する。これにより、押圧操作体に伝達される振動強度の押圧位置による相違を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】操作装置10の分解斜視図。
図2図3のII-II線断面図。
図3】操作装置10を露出面12の正面から見た図。
図4図3のIV矢視図。
図5】操作装置10の電気的構成を示すブロック図。
図6】フェイスプレート11が傾いている状態を示す図。
図7】操作装置10が実行する処理の流れを示す図。
図8図7のS240の詳細処理を示す図。
図9】第2実施形態の操作装置210を示す図。
図10図9のX-X線断面図。
図11】第3実施形態の操作装置310を示す図。
図12】第4実施形態の操作装置410を示す図。
図13】第5実施形態の操作装置510を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0016】
<第1実施形態>
第1実施形態の操作装置10の分解斜視図を図1に示す。操作装置10は、車両に搭載されており、操作者が、車室内の空調に関する設定操作をする装置である。
【0017】
操作装置10は、フェイスプレート11、リアパネル21、アクチュエータ31および伝達部材41等を含む構成である。フェイスプレート11は、合成樹脂製とすることができる。フェイスプレート11の形状は、矩形板状である。フェイスプレート11は、装置外部に露出する露出面12を備えている。この露出面12は、操作者の指等の押圧操作体が押圧操作をする面である。露出面12を備えているフェイスプレート11は、押圧操作部材に相当する。
【0018】
フェイスプレート11には、複数の突出部14、15が結合されている。複数の突出部14のうちの4つは、フェイスプレート11の4つの隅部からリアパネル21へ向かい、フェイスプレート11に対して垂直方向に突出している。残りの1つの突出部14は、フェイスプレート11の上辺の中央部付近に結合しており、他の突出部14と同方向に突出している。
【0019】
複数の突出部15は、伝達部材41の周縁部に対向する位置においてフェイスプレート11に一端が結合され、伝達部材41に向かって、フェイスプレート11に対して垂直方向に突出している。突出部14は、フェイスプレート11とリアパネル21を結合させる部材である。突出部15は、フェイスプレート11と伝達部材41を結合させる部材である。リアパネル21は伝達部材41よりもフェイスプレート11から離れているので、突出部14の長さは突出部15よりも長い。
【0020】
各突出部14、15は、フェイスプレート11と一体的に形成することができる。また、各突出部14、15は、フェイスプレート11とは別部品として形成され、フェイスプレート11に対して圧入等により結合されていてもよい。
【0021】
リアパネル21は、フェイスプレート11の背後の空間に配置されている。フェイスプレート11の背後は、露出面12から背面13に向かう方向にフェイスプレート11から離れている方向である。リアパネル21は、アクチュエータ31の本体部32に固定されている。アクチュエータ31の可動ヨーク35はリアパネル21とは接触しない位置に配置され、かつ、伝達部材41に結合されている。
【0022】
リアパネル21は、合成樹脂により形成されている。リアパネル21の形状は、矩形板状である。ただし、リアパネル21には、切り欠きと複数の締結穴23が形成されている。リアパネル21は、フェイスプレート11とは間隔を空けて、フェイスプレート11と略平行に配置されている。リアパネル21は、たとえばネジによる締結やクリップ勘合等により車両に結合されている。
【0023】
複数の締結穴23は、リアパネル21において複数箇所に分散配置されている。具体的には、各締結穴23は、フェイスプレート11の各突出部14の先端部と対向する位置に配置されている。各締結穴23はネジを通す穴である。
【0024】
アクチュエータ31は、後述する押圧判断部92が押圧操作されたと判断した場合に振動を発生させる。アクチュエータ31は、フェイスプレート11の背後の空間において、リアパネル21と並ぶように配置されている。アクチュエータ31は、本体部32、振動源33、連結板34および可動ヨーク35を含む構成である。なお、アクチュエータ31は連結板34を備えない構成であってもよい。
【0025】
図2は、図3のII-II線断面図である。図2に示すように、互いに対をなす突出部14と締結穴23とがネジ61によって結合されている。本体部32は、ブラケット51を介してリアパネル21の縁部に固定されている。リアパネル21とブラケット51との間はネジ61によって結合されている。ブラケット51と本体部32との間も、ネジによる締結等にて結合されている。
【0026】
振動源33は、ソレノイドを主体とした構成であり、本体部32に保持されている。振動源33は、連結板34を本体部32に対して相対的に変位させるように、所定の周波数もしくは単パルス、もしくは駆動用の単パルスとブレーキ用のパルスの組み合わせにて振動する。
【0027】
連結板34は、金属によりL字状に曲げられた薄い板状に形成されている。振動源33と対向している可動ヨーク35が振動源33と共に振動する。可動ヨーク35は、伝達部材41に結合している。この構成により、アクチュエータ31は、伝達部材41を振動させる。連結板34は、伝達部材41の外縁部(たとえば下縁部41b)と対向する部分が当該外縁部に結合されている。連結板34は伝達部材41が振動する際にバネの役割をする。
【0028】
説明を図1に戻す。伝達部材41は、フェイスプレート11の背後の空間において、フェイスプレート11とリアパネル21との間に配置されている。伝達部材41は、フェイスプレート11のうち押圧操作エリアTA(図3参照)と重なる位置に配置されている。伝達部材41は、合成樹脂により形成されている。伝達部材41は、押圧操作エリアTAの大きさよりも大きい板状に形成されている。伝達部材41の平面形状は、後述する締結穴42の配置に合わせて、上縁部41aが下縁部41bよりも幅広となっている。
【0029】
伝達部材41の長手方向は、フェイスプレート11の長手方向と同一方向である。伝達部材41の配置は、フェイスプレート11と略平行になる配置である。伝達部材41は、アクチュエータ31から振動を受けて、当該振動をフェイスプレート11へと伝達する。伝達部材41は、複数の締結穴42および振動活性部43を有している。
【0030】
複数の締結穴42は、伝達部材41において複数箇所に分散配置されている。具体的には、各締結穴42は、フェイスプレート11の各突出部15の先端部と対向する位置に配置されている。各締結穴42および各突出部15は、押圧操作エリアTAの外部であって、各突出部14よりも押圧操作エリアTAに近い箇所に配置されている。
【0031】
互いに対をなす突出部15と締結穴42とが、それぞれネジによる締結等によって結合されている。ここで本実施形態では、フェイスプレート11における背面13と、伝達部材41において当該背面13と対向する対向面45とは、振動の有無に関わらず、離れた状態を保っている。すなわち、伝達部材41は、フェイスプレート11と間隔を空けて配置され、複数の突出部15のみを通じてフェイスプレート11と結合されている。
【0032】
振動活性部43は、複数の締結穴42に囲まれる伝達部材41の中央部に設けられている。振動活性部43は、伝達部材41の剛性を低下させることで、アクチュエータ31からフェイスプレート11へと伝達される振動を活性化する。本実施形態の振動活性部43は、2つ(すなわち複数)の開口44によって構成されている。
【0033】
複数の突出部15は、押圧操作エリアTAを囲むように設けられている。押圧操作エリアTAから各突出部15までの距離は、押圧操作エリアTAから各突出部14までの各距離よりも小さい。フェイスプレート11は、分散配置された複数の突出部15から振動を提供されるので、押圧操作エリアTAの各箇所での振動の強弱むらは低減される。突出部14はリアパネル21に固定されることにより、フェイスプレート11が振動するときの固定端となる。
【0034】
図3は、操作装置10を露出面12の正面から見た図である。図3に示すように、露出面12には、押圧操作エリアTAが形成されている。押圧操作エリアTAには、複数のスイッチ領域16が形成されている。スイッチ領域16は、操作者が選択する機能を示す文字あるいは図形が表示されている領域である。押圧操作エリアTAに形成されるスイッチ領域16の数は4つ以上であるが、図3には押圧操作エリアTAの両端と中央に形成されているスイッチ領域16を代表して示している。各スイッチ領域16は、互いに間隔を開けて配置されている。各スイッチ領域16は、押圧操作体によるタッチ操作に続く押圧操作がされる箇所を示している、すなわち、各スイッチ領域16は押圧操作箇所に相当する。
【0035】
なお、押圧操作エリアTAに形成されるスイッチ領域16の数は4つ以上である必要はない。押圧操作エリアTAに形成されるスイッチ領域16の数は3つでも、2つでもよい。スイッチ領域16は、1つ以上の列に配列されている。押圧操作エリアTAは、スイッチ領域16の配列の一方の端から他方の端までを意味する。
【0036】
本実施形態では、押圧操作エリアTAが1列のスイッチ領域16により形成されている。押圧操作エリアTAの位置は、上下方向および左右方向とも露出面12の中央である。伝達部材41は、押圧操作エリアTAが上下方向および左右方向の中央に位置するように配置されている。伝達部材41は、押圧操作エリアTAと対向している部分の左右方向の長さは、押圧操作エリアTAよりもわずかに長くなっている。
【0037】
アクチュエータ31の位置は、図3に示すように、左右方向中心が、押圧操作エリアTAの左右方向中心と一致する。アクチュエータ31の上下方向は、押圧操作エリアTAよりもやや下に位置する。アクチュエータ31の位置は、図3に示す例に限られないが、押圧操作エリアTAの中心付近に対向する位置に配置されていることが好ましい。アクチュエータ31が、押圧操作エリアTAの中心付近に配置されていると、アクチュエータ31が振動を発生させた場合に、押圧操作エリアTAに生じる振動は、押圧操作エリアTAの中心が最も大きくなる。伝達部材41があることにより、アクチュエータ31が押圧操作エリアTAの中心に対向する位置から少しずれていても、押圧操作エリアTAの中心の振動が最も大きくなる。換言すれば、アクチュエータ31が発生させた振動により押圧操作エリアTAの中心が最も大きく振動するようなアクチュエータ31の位置が、押圧操作エリアTAの中心付近に対向する位置である。
【0038】
図4は、図3のIV矢視図である。フェイスプレート11の裏面には、静電センサ17が配置されている。なお、図1、2では静電センサ17は省略している。静電センサ17は、操作者によって押圧操作される操作位置を検出するセンサである。
【0039】
静電センサ17は、フィルム部材に、網目状に配置された電極が接合されて形成されている。静電センサ17は、押圧操作エリアTAに対向する位置を含むように、形状と大きさが設定されている。
【0040】
リアパネル21のフェイスプレート11側の面には、基板70が配置されている。基板70は、長手方向の長さは押圧操作エリアTAよりもやや短いが、幅方向の長さは押圧操作エリアTAと同程度である矩形形状である。基板70は押圧操作エリアTAと対向する位置に配置されている。
【0041】
基板70の両端には、変位センサの一例である光学式の距離センサ71L、71Rが配置されている。距離センサ71Lは基板70の左端に配置されている。距離センサ71Rは基板70の右端に配置されている。左右は、露出面12が見える方向から操作装置10を見た場合の左右を意味する。この位置に配置された距離センサ71Lと距離センサ71Rは、スイッチ領域16の配列方向に沿った方向において、押圧操作エリアTAを長手方向に2等分する線を挟む位置に配置されていることになる。図3におけるII-II線は、押圧操作エリアTAを長手方向に2等分する線でもある。
【0042】
距離センサ71Lと距離センサ71Rは同じ型式のセンサである。距離センサ71Lと距離センサ71Rを区別しないときは距離センサ71と記載する。なお、図1、2では、基板70と距離センサ71は省略している。
【0043】
距離センサ71と伝達部材41との間には隙間がある。距離センサ71は、この隙間の距離を検出する。距離センサ71が検出する距離は、伝達部材41の距離センサ71に対向する部位の変位を表している。伝達部材41とフェイスプレート11は一体化されているので、距離センサ71が検出する距離は、フェイスプレート11の距離センサ71に対向する部位の変位を表しているとも言える。距離センサ71が検出する距離は変位関連量の一例である。
【0044】
図5は、操作装置10の電気的構成を示すブロック図である。操作装置10は、静電検出部80と、制御部90とを備えている。これら静電検出部80と制御部90は、いずれも、少なくとも1つのプロセッサを備えた構成により実現できる。たとえば、静電検出部80および制御部90は、プロセッサ、不揮発性メモリ、RAM等を備えたコンピュータにより実現できる。なお、制御部90が静電検出部80の機能を備えてもよい。
【0045】
静電検出部80は、静電センサ17が検出した電荷をもとに、操作者の指等の押圧操作体が押圧操作エリアTAに触れているか否か、および、押圧操作体が押圧操作エリアTAのどこに触れているかを検出する。静電検出部80は、検出結果を制御部90に提供する。
【0046】
制御部90は、制御部90が備える不揮発性メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することで、傾き検出部91、押圧判断部92、振動制御部93として作動する。傾き検出部91は、2つの距離センサ71が検出した距離に基づいて、伝達部材41の傾きを示している変位差mを検出する。伝達部材41とフェイスプレート11は一体化されているので、変位差mは、フェイスプレート11の傾きを示しているとも言える。変位差mは式1により示される。
【0047】
(式1) m=abs(kL×dL-kR×dR)
absは絶対値を意味する。kLは距離センサ71Lの感度を補正する補正係数である。kRは距離センサ71Rの感度を補正する補正係数である。kL、kRは、事前に求めておき、制御部90が備える不揮発性メモリなどに記憶しておく。dLは、距離センサ71Lが検出する距離である。dRは距離センサ71Rが検出する距離である。式1から算出できる変位差mは、伝達部材41の傾きを意味する。
【0048】
伝達部材41はフェイスプレート11の背面に結合されている。フェイスプレート11において伝達部材41が結合されている部分は、伝達部材41が結合されていることにより撓みにくくなっている。その結果、図6に示すように、フェイスプレート11に押圧力が加えられることによる変位は、撓みよりも、主として伝達部材41とフェイスプレート11が結合されている部分の傾きとして現れる。式1から算出される変位差mは、この傾きを示していることになる。
【0049】
押圧判断部92は、静電検出部80が提供する情報に基づいて、押圧操作体がいずれかのスイッチ領域16に触れていると判断できる場合に、押圧操作体によるスイッチ領域16の押圧操作を確定できるかを判断する。この判断のために、押圧判断部92は、式2により、押圧操作体が露出面12を押圧している押圧力を算出する。
【0050】
(式2)sum=kL×dL+kR×dR+k×m
式2においてkはバネ補正係数である。操作装置10の構造は、前述したように、押圧操作体がフェイスプレート11を押しても撓みにくい構造である。しかし、厳密にいえば、全く撓まないということはない。つまり、操作装置10の構造は、多少は弾性体として振る舞う。kは、操作装置10の弾性体としての振る舞いを算出するための係数であり、事前に求めておき、制御部90が備える不揮発性メモリなどに記憶しておく。式2から分かるように、本実施形態では、押圧力も変位差mを用いて算出する。前述したように、押圧力が主として平行移動および傾きとして現れるからである。
【0051】
押圧判断部92は、式2により求めた押圧力が、予め設定してある押圧力閾値よりも大きい場合に、スイッチ領域16が押圧操作されたと判断する。
【0052】
振動制御部93は、押圧判断部92が、スイッチ領域16が押圧操作されたと判断した場合に、押圧操作体を振動させて、押圧操作を検出したことを操作者に認識させるために、アクチュエータ31に振動を発生させる。
【0053】
押圧操作体が押圧操作したスイッチ領域16の位置により押圧操作体に伝達される振動の強さが異なると、操作者に違和感を与えてしまう。そこで、振動制御部93は、スイッチ領域16の位置によらず、押圧操作体に同じ振動強度を伝達できるようにするために、傾き検出部91が検出した変位差mに応じてアクチュエータ31に発生させる振動の強度を制御する。
【0054】
具体的には、振動制御部93は、式3を用いてアクチュエータ31に発生させる振動強度を決定する。
【0055】
(式3) G2=G1×(1+m×p)
G2は、アクチュエータ31に流す電流値のduty比である。G2が大きいほど、アクチュエータ31が発生させる振動は大きくなる。G1は、標準duty比である。G1は、押圧操作エリアTAの中央が押圧操作された場合にアクチュエータ31に適正な振動を発生させるduty比であり、事前に、実験等により決定しておく値である。式3において、m×pは、押圧操作エリアTAの中央が押圧操作された場合にアクチュエータ31に発生させる振動に対して、実際にアクチュエータ31に発生させる振動を増加させる増加割合を意味している。pは調整係数である。調整係数pは、機種毎やロット毎あるいは個体毎などに決定しておく値である。p、G1は不揮発性メモリに記憶されている。
【0056】
式3は、変位差mが大きいほど、アクチュエータ31に発生させる振動の強度を強くすることを意味している。変位差mは、押圧操作エリアTAの中央が押圧操作された場合にほぼ0になる。変位差mは、押圧操作されている位置が、押圧操作エリアTAの中央から離れている程度を示す値になる。したがって、振動制御部93は、押圧操作されている位置が、押圧操作エリアTAの中央から離れているほど、アクチュエータ31に大きな振動を発生させることになる。
【0057】
フェイスプレート11は、長手方向の両端がリアパネル21に固定されており、中央部分が伝達部材41と複数箇所にて結合されている。この構造によると、アクチュエータ31が振動を発生させた場合、フェイスプレート11は、リアパネル21に固定されている部分を固定端として振動するので、中央部分の振動が最も大きくなる。換言すれば、アクチュエータ31が同じ振動を発生させても、フェイスプレート11の中央から離れるほど、フェイスプレート11に生じる振動の強度は低下する。そこで、式3による補正をするのである。
【0058】
〔操作装置10が実行する処理の流れ〕
図7に、操作装置10が車両に搭載された状態で実行する処理を示している。図7において、ステップS200(以下、ステップは省略する)は、静電検出部80と制御部90がともに実行する。S200において、静電検出部80と制御部90は、制御にかかる初期化を実施する。S210では、静電検出部80が、静電センサ17が検出する電荷を示すデータのスキャンを開始する。S220では、静電検出部80が、上記のスキャンが完了したか否かを判断する。S220の判断結果がNOであれば、静電検出部80はS220の判断を繰り返し、S220の判断結果がYESであればS230に進む。
【0059】
S230では、静電検出部80が、スキャンしたデータのAD変換を行い、かつ、このAD変換が完了したか否かを判断する。静電検出部80は、S230の判断結果がYESになると、AD変換したデータを制御部90に提供する。続いて、処理はS240に進む。
【0060】
S240の処理は図8に示す。S241では、静電検出部80が、スイッチ領域16が1つでもタッチされているかを判断する。S241の判断結果がNOであればS242に進む。
【0061】
S242では、傾き検出部91がベースライン更新処理を行う。ベースラインは、スイッチ領域16がタッチ操作されていない状態で、距離センサ71が出力する信号レベルを意味する。ベースラインは経時変化する。ベースラインの経時変化は、温度等の影響があり、かつ、個体差もある。そこで、逐次、ベースラインを更新する。予め設定された過去一定時間分の信号レベルの移動平均等により、更新後のベースラインを算出する。S242を実行した場合、および、S241の判断結果がYESであった場合にはS243に進む。
【0062】
S243では、押圧判断部92が、Diff値を演算するDiff値は、具体的には、前述したdL、dRである。dLは、距離センサ71Lが検出した検出値SLから、距離センサ71Lのベースラインを引いた値である。dRは、距離センサ71Rが検出した検出値SRから距離センサ71Rのベースラインを引いた値である。
【0063】
S244では、押圧判断部92が、押圧操作体がスイッチ領域16から離れたかを、静電検出部80から提供される検出結果をもとに判断する。S244の判断結果がYESであればS245に進む。S245では、押圧判断部92が、押し込み解除を確定とする。S244の判断結果がYESであればS246に進む。
【0064】
S246では、傾き検出部91が変位差mを算出し、かつ、押圧判断部92が、その変位差mをもとに押圧操作を確定できるか否かを判断する。詳しくは、傾き検出部91は、式1を用いて変位差mを算出する。押圧判断部92は、式2を用いて、押圧操作体が露出面12を押圧している押圧力を算出する。そして、算出した押圧力が押圧力閾値よりも大きい場合に、押圧操作ありと判断する。S246の判断結果がYESであればS247に進む。S247では、押圧判断部92が、押し込み操作を確定させる。
【0065】
S248では、振動制御部93が、式3を用いて定まる振動強度で、アクチュエータ31に、一定時間、振動を発生させる。S245またはS248を実行した場合、または、S46の判断結果がNOであった場合には、図8の処理を終了する。
【0066】
〔第1実施形態のまとめ〕
以上、説明した第1実施形態の操作装置10は、アクチュエータ31が発生させた振動をフェイスプレート11へ伝達する伝達部材41を備えている。この構造により、フェイスプレート11に押圧力が加えられることによる変位は主として平行移動および傾きとして現れる。そこで、操作装置10は、伝達部材41の変位差mを検出する。フェイスプレート11の中央が押圧されると、フェイスプレート11および伝達部材41は、全体が平行移動し、変位差mはほぼゼロである。これに対して、押圧位置がフェイスプレート11の端に近い位置であるほど、伝達部材41の傾きが大きくなる。よって、伝達部材41の変位差mは、押圧位置に関連して変動する値である。
【0067】
そこで、振動制御部93は、変位差mに応じて、アクチュエータ31に発生させる振動の強度を制御する。具体的には、振動制御部93は、式3によりアクチュエータ31に発生させる振動強度を決定することにより、変位差mが大きいほどアクチュエータ31に発生させる振動を大きくする。これにより、押圧操作体に伝達される振動強度の押圧位置による相違を少なくできる。
【0068】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
【0069】
図9に第2実施形態の操作装置210を示す。図9は、フェイスプレート11の正面方向から操作装置210を見た図である。リアパネル221は、第1実施形態のリアパネル21と同様、長方形状である。突出部14は、リアパネル221の長手方向両端部に結合している。リアパネル221がフェイスプレート11よりも小さいため、突出部14がフェイスプレート11に結合している位置は、操作装置10とは相違する。
【0070】
また、伝達部材241の形状も長方形状である。このように、伝達部材241の形状は、種々の形状が可能である。突出部15は、伝達部材241の四隅に結合されている。
【0071】
図10は、図9のX-X線断面図である。なお、図10では、一部の構成を省略している。アクチュエータ31が発生させた振動により伝達部材241が振動する。伝達部材241の振動は、図10に示すように、突出部15からフェイスプレート11に伝達される。露出面12に生じる振動は、フェイスプレート11において突出部14が結合されている部分が固定端になっていることにより、中央部分が最大になる。このことは第1実施形態と同じである。したがって、第1実施形態と同様に、式3を用いてアクチュエータ31に発生させる振動強度を決定することにより、押圧操作体に伝達される振動強度の押圧位置による相違を少なくできる。
【0072】
<第3実施形態>
図11に第3実施形態の操作装置310を示す。操作装置310では、押圧操作エリアTAが複数列、具体的には2列、形成されている。伝達部材341は、全部の押圧操作エリアTAに対向する大きさに形成されている。2列の押圧操作エリアTAは、フェイスプレート11の中心Cを挟んで対称位置に配置されている。各押圧操作エリアTAの長さは、第1実施形態の押圧操作エリアTAと同じである。
【0073】
伝達部材341は、その中心が、フェイスプレート11の中心と対向する位置にて、フェイスプレート11と平行に配置されている。押圧操作エリアTAが2列形成されているので、フェイスプレート11は、中心から見て左右のみではなく上下にずれた方向が押圧されることになる。したがって、フェイスプレート11と結合している伝達部材341は、上下および左右に傾く。そこで、操作装置310は、4つの距離センサ71を備えている。
【0074】
距離センサ71L1は、下側の押圧操作エリアTAよりも下側であって、伝達部材341の中心よりも左側に対向する位置に配置されている。距離センサ71L2は、上側の押圧操作エリアTAよりも上側であって、伝達部材341の中心よりも左側に対向する位置に配置されている。距離センサ71R1は、下側の押圧操作エリアTAよりも下側であって、伝達部材341の中心よりも右側に対向する位置に配置されている。距離センサ71R2は、上側の押圧操作エリアTAよりも上側であって、伝達部材341の中心よりも右側に対向する位置に配置されている。
【0075】
距離センサ71L2と距離センサ71R2とを含む距離センサ列(すなわち変位センサ列)、および、距離センサ71L1と距離センサ71R1とを含む距離センサ列(すなわち変位センサ列)は、押圧操作エリアTAに沿った方向に配置されている。また、2つの距離センサ列は、互いに平行である。
【0076】
操作装置310は、操作装置10と同じ位置に1つのアクチュエータ31を備える。操作装置310において、傾き検出部91は、伝達部材341の左右方向の傾きと上下方向の傾きを検出する。伝達部材341の左右方向の傾きは、距離センサ列の方向の傾きと言うこともできる。伝達部材341の上下方向の傾きは、距離センサ列に直交する方向の傾きと言うこともできる。
【0077】
伝達部材341の左右方向の傾きは式4を用いて算出する。伝達部材341の上下方向の傾きは式5を用いて算出する。式4は、伝達部材341の左右方向の傾きを表す値として、伝達部材341の左右におけるフェイスプレート11に直交する方向(換言すれば装置奥行き方向)の変位差mHを算出している。式5は、伝達部材341の上下方向の傾きを表す値として、伝達部材341の上下におけるフェイスプレート11に直交する方向の変位差mVを算出している。
【0078】
(式4) mH=abs(kL2×dL2-kR2×dR2)+abs(kL1×dL1-kR1×dR1)
(式5) mV=abs(kL2×dL2-kL1×dL1)+abs(kR2×dR2-kR1×dR1)
kL1、kL2、kR1、kR2は、それぞれ、距離センサ71L1、71L2、71R1、71R2の感度を補正する補正係数である。dL1、dL2、dR1、dR2は、それぞれ、距離センサ71L1、71L2、71R1、71R2が検出する距離である。dL1、dL2、dR1、dR2は、各距離センサ71L1、71L2、71R1、71R2の検出値からベースラインを引いた値である。
【0079】
操作装置310において、振動制御部93は、式6を用いてアクチュエータ31に発生させる振動強度を決定する。
【0080】
(式6) G2=G1×(1+(mH×ph+mV×pv))
ph、pvは調整係数であり、第1実施形態の調整係数pと同じ意味である。式6において、mH×ph+mV×pvは、押圧操作エリアTAの中央が押圧操作された場合にアクチュエータ31に発生させる振動に対して、実際にアクチュエータ31に発生させる振動を増加させる増加割合を意味している。
【0081】
式6を用いてアクチュエータ31に発生させる振動強度を決定することにより、左右および上下の2方向に伝達部材341が傾く操作装置310においても、押圧操作体に伝達される振動強度の押圧位置による相違を少なくできる。
【0082】
<第4実施形態>
図12に第4実施形態の操作装置410を示す。操作装置410は、2つのアクチュエータ31a、31bを備える。2つのアクチュエータ31a、31bは、いずれも、リアパネル21の背面に配置され、伝達部材41を介して振動をフェイスプレート11に伝達する。
【0083】
2つのアクチュエータ31a、31bは、押圧操作エリアTAを2等分する線CLを挟む位置に配置されている。また、2つのアクチュエータ31a、31bは、いずれも、押圧操作エリアTAに対向する位置に配置されている。
【0084】
操作装置410において、振動制御部93は、2つのアクチュエータ31a、31bの振動強度を別々に制御できる。2つのアクチュエータ31a、31bの振動強度を別々に制御する場合は、振動強度の配分によっては、露出面12の中央ではない位置を最も強く振動させることができる。そこで、振動制御部93は、式7を用いてアクチュエータ31aに発生させる振動強度を決定し、式8を用いてアクチュエータ31bに発生させる振動強度を決定する。G2aはアクチュエータ31aに流す電流値のduty比であり、G2bはアクチュエータ31bに流す電流値のduty比である。G1は、押圧操作エリアTAの中央が押圧操作された場合にアクチュエータ31a、31bに適正な振動を発生させるduty比である。式7、式8におけるG1は、式3におけるG1と同じ意味であるが、アクチュエータ31の数が異なるので、式3におけるG1と式7、式8におけるG1は、具体的な値は同じとは限らない。
【0085】
(式7) G2a=G1×(1+mH×ph)
(式8) G2b=G1×(1-mH×ph)
式7、式8においてmHは式9を用いて算出する。式9は、絶対値としない点を除き、式1と同じである。アクチュエータ31を2つ備える操作装置410では、正負の違いも含めて変位差mHを算出する。
【0086】
(式9) mH=kL×dL-kR×dR
図6に示すように、押圧操作エリアTAの右端が押された場合には、右側の距離センサ71Rが検出する距離のほうが、左側の距離センサ71Lが検出する距離よりも短い。したがって、押圧操作エリアTAの右端が押された場合、式9を用いて算出する変位差mHは正の値になる。
【0087】
式7、式8を用いると、一方のアクチュエータ31の振動強度をG1よりも強くする場合、他方のアクチュエータ31の振動強度はG1よりも弱くすることになる。つまり、本実施形態では伝達部材41の傾きを示す変位差mHに応じて、2つのアクチュエータ31a、31bに発生させる振動の大きさの配分を補正することになる。式7、式8において、mH×phは、配分を補正する補正割合を示していることになる。
【0088】
式7、式8を用いて決定する振動強度は、たとえば、押圧操作エリアTAの右端が押圧操作された場合、左側のアクチュエータ31aに発生させる振動を、右側のアクチュエータ31bに発生させる振動よりも強くすることになる。つまり、押圧位置に対して相対的に遠いアクチュエータ31に発生させる振動強度の配分を、押圧位置に対して相対的に近いアクチュエータ31に発生させる振動強度の配分よりも大きくする。アクチュエータ31から押圧位置までの距離が短いほど、アクチュエータ31が発生させた振動が減衰せずに押圧位置まで伝達される。よって、このようにすることで、押圧操作体に、それぞれのアクチュエータ31から伝達される振動強度の押圧位置による相違を少なくできる。
【0089】
加えて、次の効果も得られる。式7と式8の右辺を加算すると2G1になる。つまり、2つのアクチュエータ31に発生させる振動強度は押圧位置によらず一定である。第1実施形態とは異なり、押圧位置に応じてアクチュエータ31に発生させる振動強度を強くしてはいないので、アクチュエータ31が振動を発生させることにより生じる作動音の平均値を低減できる。
【0090】
<第5実施形態>
図13に第5実施形態の操作装置510を示す。操作装置510は、第3実施形態の操作装置310に類似する。操作装置510は、操作装置310のフェイスプレート11と同じ位置に、2列の押圧操作エリアTAを備える。また、操作装置510は、操作装置310と同じ伝達部材341を備える。
【0091】
操作装置510が操作装置310と相違する点として、アクチュエータ31の数と位置がある。操作装置510では、4つのアクチュエータ31a、31b、31c、31dを備える。これら4つのアクチュエータ31は、いずれも、リアパネル21の背面に配置され、伝達部材341を介して振動をフェイスプレート11に伝達する。
【0092】
操作装置510においてアクチュエータ31aが設置されている位置は、上側の押圧操作エリアTAの左端の直上部分に対向する位置である。アクチュエータ31bが設置されている位置は、下側の押圧操作エリアTAの左端の直下部分に対向する位置である。アクチュエータ31cが設置されている位置は、上側の押圧操作エリアTAの右端の直上部分に対向する位置である。アクチュエータ31dが設置されている位置は、下側の押圧操作エリアTAの右端の直下部分に対向する位置である。
【0093】
これらの位置に4つのアクチュエータ31が設置されていると、4つのアクチュエータ31は、押圧操作エリアTAを2等分する線CLを挟む位置に複数備えられていることになる。
【0094】
操作装置510において、傾き検出部91は、第3実施形態と同様、伝達部材341の左右方向の傾きと上下方向の傾きを検出する。伝達部材341の左右方向の傾きは式10を用いて算出する。伝達部材341の上下方向の傾きは式11を用いて算出する。
(式10)mH=kL2×dL2-kR2×dR2+kL1×dL1-kR1×dR1
(式11)mV=kL2×dL2-kL1×dL1+kR2×dR2-kR1×dR1
式10は、絶対値としない点を除き式4と同じである。式11は、絶対値としない点を除き式5と同じである。
【0095】
操作装置510において、振動制御部93は、式12を用いてアクチュエータ31aに発生させる振動強度を決定し、式13を用いてアクチュエータ31bに発生させる振動強度を決定し、式14を用いてアクチュエータ31cに発生させる振動強度を決定し、式15を用いてアクチュエータ31dに発生させる振動強度を決定する。G2aはアクチュエータ31aに流す電流値のduty比であり、G2bはアクチュエータ31bに流す電流値のduty比であり、G2cはアクチュエータ31cに流す電流値のduty比であり、G2dはアクチュエータ31dに流す電流値のduty比である。
【0096】
(式12) G2a=G1×(1+mH×ph+mV×pv)
(式13) G2b=G1×(1+mH×ph-mV×pv)
(式14) G2c=G1×(1-mH×ph+mV×pv)
(式15) G2d=G1×(1-mH×ph-mV×pv)
式12~式15により4つのアクチュエータ31の振動強度を決定する場合、変位差mH、mVに応じて、4つのアクチュエータ31a、31b、31c、31dに発生させる振動の大きさの配分を補正することになる。式12~式15において、mH×phとmV×pvは、配分を補正する補正割合を示していることになる。
【0097】
たとえば、下側の押圧操作エリアTAの右端が押圧操作された場合を考える。この場合、mH、mVはともに正の値になる。したがって、G2a、G2b、G2c、G2dのうち、G2aが最も大きく、G2dが最も小さい。第5実施形態でも、押圧位置に対して相対的に遠いアクチュエータ31に発生させる振動強度の配分を、押圧位置に対して相対的に近いアクチュエータ31に発生させる振動強度の配分よりも大きくすることになる。このようにすることで、押圧操作体に、それぞれのアクチュエータ31から伝達される振動強度の押圧位置による相違を少なくできる。
【0098】
また、第5実施形態においても、第4実施形態と同様、アクチュエータ31が振動を発生させることにより生じる作動音の平均値を低減できる。
【0099】
以上、実施形態を説明したが、開示した技術は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も開示した範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【0100】
<変形例1>
1つの距離センサ列に含まれる距離センサ71の数は、3つ以上でもよい。
【0101】
<変形例2>
光学式の距離センサ71に代えて、インダクティブセンサあるいは磁気センサにより、距離を検出してもよい。また、変位関連量には距離の他、圧力も含まれる。圧力を検出する圧力センサを変位センサとして用いてもよい。
【0102】
<変形例3>
複数のアクチュエータ31を備える構成においては、第3、第4実施形態とは異なり、押圧位置に近いアクチュエータ31に発生させる振動強度を、押圧位置から遠いアクチュエータ31に発生させる振動強度よりも強くするようにしてもよい。押圧操作体への振動伝達を、押圧位置に近いアクチュエータ31により主として行う設計の場合には、このようにすればよい。なお、押圧位置に応じて、mHまたはmH+mVが変化するので、押圧位置を推定する値として、mHまたはmH+mVに所定の係数を乗じたものを用いる。
【0103】
<変形例4>
第4、第5実施形態において、全部のアクチュエータ31に発生させる合計の振動強度を、押圧位置に応じて補正してもよい。
【0104】
<変形例5>
実施形態では、距離センサ71は、伝達部材41の距離センサ71に対向する部位の距離を検出していた。しかし、伝達部材41において、距離センサ71に対向する部分に貫通穴を設けることで、距離センサ71が、フェイスプレート11の71に対向する部位の距離を検出するようにしてもよい。この場合、傾き検出部91が検出する変位差mは、フェイスプレート11の傾きを直接的に示している。この構成によれば、フェイスプレート11の変位および変位差mを直接検出するので、精度よく変位差mを検出できる。その結果、発生させるべき振動強度の精度も向上する。
【0105】
<変形例6>
伝達部材41を備えない操作装置としてもよい。フェイスプレート11を、伝達部材41がなくても強度が確保できる構成としておけばよい。
【符号の説明】
【0106】
10:操作装置 11:フェイスプレート(押圧操作部材) 12:露出面 13:背面 14:突出部 15:突出部 16:スイッチ領域(押圧操作箇所) 17:静電センサ 21:リアパネル 23:締結穴 31:アクチュエータ 34:連結板 41:伝達部材 42:締結穴 43:振動活性部 44:開口 45:対向面 51:ブラケット 61:ネジ 70:基板 71:距離センサ(変位センサ) 80:静電検出部 90:制御部 91:傾き検出部 92:押圧判断部 93:振動制御部 210:操作装置 221:リアパネル 241:伝達部材 310:操作装置 341:伝達部材 410:操作装置 510:操作装置 CL 線、 TA 押圧操作エリア、 m、mH、mV 変位差、 p、ph、pv 調整係数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13