(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170768
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20221104BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20221104BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20221104BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
H01L29/78 658G
H01L29/78 652T
H01L29/78 652J
H01L29/78 653C
H01L29/78 652M
H01L29/78 658J
H01L29/78 652P
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076937
(22)【出願日】2021-04-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 政人
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 洋平
(57)【要約】
【課題】層間絶縁膜にサブトレンチ形状が形成されることによるショートやリーク電流の発生を抑制する。
【解決手段】層間絶縁膜10にコンタクト部と対応する凹部10cを形成しておいてから、それよりも広い範囲で層間絶縁膜10をドライエッチングすることでコンタクトホール10aを形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレンチゲート構造の半導体素子を有する半導体装置の製造方法であって、
第1または第2導電型の半導体にて構成される基板(1)を用意することと、
前記基板の上に、第1導電型のドリフト層(2、3)を介して第2導電型のベース領域(4)が形成されると共に該ベース領域の表層部に第1導電型層(5)および前記ベース領域のコンタクト領域(6)が形成され、さらに前記第1導電型層および前記ベース領域を貫通して前記ドリフト層に達するトレンチ(7)内に、ゲート絶縁膜(8)を介してゲート電極(9)が配置されたトレンチゲート構造を有する半導体素子の素子部分を形成することと、
前記トレンチゲート構造と前記第1導電型層および前記コンタクト領域の上に、層間絶縁膜(10)を形成することと、
前記半導体素子が形成されるセル領域において、前記層間絶縁膜の上に、第1開口部(20a)が形成された第1マスク(20)を配置することと、
前記第1マスクを用いたエッチングを行うことで、前記層間絶縁膜を厚み方向の途中まで除去して凹部(10c)を形成することと、
前記第1マスクを除去したのち、少なくとも前記トレンチゲート構造の長手方向の両側において、前記第1開口部の開口端よりも前記セル領域の外側に開口端が位置する第2開口部(21a)が形成された第2マスク(21)を配置することと、
前記第2マスクを用いたドライエッチングによりコンタクトホール(10a)を形成することで、前記トレンチ内に前記層間絶縁膜を残しつつ前記コンタクトホールを通じて前記第1導電型層および前記コンタクト領域を露出させてコンタクト部を形成することと、
前記コンタクト部において、前記第1導電型層および前記コンタクト領域と接触させられる表面電極(11)を形成することと、
を含む、トレンチゲート構造の半導体素子を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2マスクを配置することでは、前記長手方向に直交する方向の両側においても、前記第1開口部の開口端よりも前記第2開口部の開口端が前記セル領域の外側に位置するように前記第2マスクを配置する、請求項1に記載のトレンチゲート構造の半導体素子を有する半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1マスクを配置することでは、前記第1マスクを構成するレジスト(20)を配置したのち、第1レチクルを用いた露光を行うと共に現像を行うことで前記第1開口部を形成し、
前記第2マスクを配置することでは、前記第2マスクを構成するレジスト(21)を配置したのち、前記第1レチクルと異なる第2レチクルを用いた露光を行うと共に現像を行うことで前記第1開口部を形成する、請求項1または2に記載のトレンチゲート構造の半導体素子を有する半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1マスクを配置すること、および、前記第2マスクを配置することでは、
前記長手方向と直交する方向に複数本並べられてストライプ状にされた前記トレンチゲート構造の前記複数本を跨いで前記第1開口部および前記第2開口部を形成する、請求項3に記載のトレンチゲート構造の半導体素子を有する半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記コンタクト部を形成することでは、前記第1導電型層および前記コンタクト領域の表面と前記トレンチ内に残る前記層間絶縁膜の表面とを同一平面とする、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のトレンチゲート構造の半導体素子を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレンチゲート構造の半導体素子を有する半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トレンチゲート構造の半導体素子を有する半導体装置を製造する場合、特許文献1のように、トレンチゲート構造を層間絶縁膜で覆ったのち、ドライエッチングによって層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程が行われる。例えば、半導体素子がトレンチゲート構造のMOSFETである場合、トレンチゲート構造を層間絶縁膜で覆った後、層間絶縁膜にソース領域などを露出させるコンタクトホールを形成する。このコンタクトホールを通じて、ソース領域などと層間絶縁膜の上に形成されるソース電極との電気的接続を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エッチングにより大面積のコンタクトホールを形成する場合、小面積の開口部を形成する場合と比較して、エッチングマスクとなるレジストから供給されるデポジション成分、つまりポリマーが相対的に少なくなる。このため、ポリマーによる保護膜が十分に形成されなくなる。したがって、ドライエッチング時に生成されるイオンがコンタクトホール側壁や底部から反射すると、コンタクトホールの開口端において局所的に異常なエッチングが進行し、サブトレンチ形状が形成される。これにより、層間絶縁膜の一部が除去されて例えば下方に位置するゲート電極が露出したり層間絶縁膜が薄くなったりすることにより、層間絶縁膜上の電極とゲート電極とがショートしたり、リーク電流の発生の原因となる。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、層間絶縁膜にサブトレンチ形状が形成されることによるショートやリーク電流の発生を抑制できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、トレンチゲート構造の半導体素子を有する半導体装置の製造方法であって、第1または第2導電型の半導体にて構成される基板(1)を用意することと、基板の上に、第1導電型のドリフト層(2、3)を介して第2導電型のベース領域(4)が形成されると共に該ベース領域の表層部に第1導電型層(5)およびベース領域のコンタクト領域(6)が形成され、さらに第1導電型層およびベース領域を貫通してドリフト層に達するトレンチ(7)内に、ゲート絶縁膜(8)を介してゲート電極(9)が配置されたトレンチゲート構造を有する半導体素子の素子部分を形成することと、トレンチゲート構造と第1導電型層およびコンタクト領域の上に、層間絶縁膜(10)を形成することと、半導体素子が形成されるセル領域において、層間絶縁膜の上に、第1開口部(20a)が形成された第1マスク(20)を配置することと、第1マスクを用いたエッチングを行うことで、層間絶縁膜を厚み方向の途中まで除去して凹部(10c)を形成することと、第1マスクを除去したのち、少なくともトレンチゲート構造の長手方向の両側において、第1開口部の開口端よりもセル領域の外側に開口端が位置する第2開口部(21a)が形成された第2マスク(21)を配置することと、第2マスクを用いたドライエッチングによりコンタクトホール(10a)を形成することで、トレンチ内に層間絶縁膜を残しつつコンタクトホールを通じて第1導電型層およびコンタクト領域を露出させてコンタクト部を形成することと、コンタクト部において、第1導電型層およびコンタクト領域と接触させられる表面電極(11)を形成することと、を含んでいる。
【0007】
このように、層間絶縁膜にコンタクト部と対応する凹部を形成してからそれよりも広い範囲で層間絶縁膜をドライエッチングしてコンタクトホールを形成することで、第1導電型層およびコンタクト領域を露出させてコンタクト部を形成している。これにより、コンタクトホールの開口端にサブトレンチ形状が形成されることを抑制することができ、ショートやリーク電流の発生を抑制することが可能となる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法により製造されるMOSFETを備えた半導体装置の断面図である。
【
図3A】
図1に示す半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図3B】
図3Aに続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図3C】
図3Bに続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図3D】
図3Cに続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図4】サブトレンチ形状が形成された半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0011】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。ここでは、トレンチゲート構造の半導体素子として、MOSFETを備えた半導体装置の製造方法について説明するが、それに先立ち、その製造方法により製造されるMOSFETの概略構成について、
図1を参照して説明する。なお、
図1は、トレンチゲート構造のMOSFETが形成されたセル領域の外縁近傍の断面を示しているが、ここで示したセル領域とセル領域を囲むように形成された図示しない外周耐圧構造とにより半導体装置が構成されている。
【0012】
図1に示すように、半導体装置は、シリコン(Si)や炭化珪素(SiC)などの半導体材料で構成された基板1を用いて形成されている。基板1は、n型とされ、n型不純物が高濃度でドープされている。基板1の上には、基板1よりも低不純物濃度とされたn
-型不純物層2が形成されている。また、n
-型不純物層2の表面上に、n型電流分散層3が形成され、さらにその上にp型ベース領域4が形成されている。n型電流分散層3は、n
-型不純物層2と共にドリフト層を構成するものであり、n
-型不純物層2よりも高濃度とされることで基板1の平面方向に電流を分散させる役割を果たす。p型ベース領域4は、縦型MOSFETのチャネルを構成する第2導電型層を構成するものであり、後述するトレンチゲート構造を構成するトレンチ7の両側において、トレンチ7の側面に接するように形成されている。
【0013】
p型ベース領域4の表層部のうちのトレンチゲート構造側には、トレンチゲート構造に接するように、n型不純物が高濃度にドープされた第1導電型層に相当するn+型ソース領域5が形成されている。また、p型ベース領域4の表層部のうちn+型ソース領域5を挟んでトレンチゲート構造の反対側の位置に、p型不純物が高濃度にドープされたp+型コンタクト領域6が形成されている。
【0014】
さらに、p型ベース領域4およびn+型ソース領域5などを貫通してn-型不純物層2に達するトレンチ7が形成されている。このトレンチ7の側面と接するようにp型ベース領域4およびn+型ソース領域5が配置されている。そして、トレンチ7の内壁面は酸化膜などによって構成されたゲート絶縁膜8で覆われており、ゲート絶縁膜8の表面にドープトPoly-Siにて構成されたゲート電極9が形成されている。このように、トレンチ7内にゲート絶縁膜8およびゲート電極9が配置されることで、トレンチゲート構造が構成されている。
【0015】
トレンチゲート構造は、
図2に示すように、例えば紙面上下方向、
図1で言えば紙面法線方向を長手方向とした短冊状とされている。複数本のトレンチゲート構造が紙面左右方向に等間隔にストライプ状に並べられることで複数セルが備えられたセル領域が構成されている。
【0016】
また、
図1に示すように、トレンチゲート構造のうちのセル領域の外縁部、つまり後述するコンタクト部よりも外側に位置しているものの間には、n
+型ソース領域5が形成されておらず、p型ベース領域4が表面まで残されている。このため、この部分はトレンチゲート構造が形成されているもののMOS動作が行われない領域になっている。そして、最もセル領域の外側に位置するゲート電極9がさらにセル領域の外方において、p型ベース領域4の上に残されることでゲートライナー8aが構成されている。なお、図示していないが、
図2の紙面上下方向の両端にも、各トレンチゲート構造と直交するようにゲートライナー8aが形成されている。このゲートライナー8aを介して各ゲート電極9が電気的に接続され、同一のゲート電圧が印加されるようになっている。
【0017】
また、p型ベース領域4やトレンチゲート構造などの上には層間絶縁膜10が形成されている。層間絶縁膜10には、n+型ソース領域5およびp+型コンタクト領域6と後述するソース電極11とのコンタクトが取れるように、コンタクトホール10aが形成されている。このコンタクトホール10aにて開口した底部がn+型ソース領域5およびp+型コンタクト領域6とソース電極11とのコンタクトが取られるコンタクト部となり、コンタクト部では、ゲート電極9を覆う部分のみに層間絶縁膜10が残されている。
【0018】
具体的には、コンタクト部では、層間絶縁膜10がトレンチ7内にのみ残されており、トレンチゲート構造および層間絶縁膜10によってトレンチ7内が埋め込まれている。このため、本実施形態の場合、コンタクト部においては、層間絶縁膜10の表面とn+型ソース領域5およびp+型コンタクト領域6の表面と同一平面とされている。そして、トレンチ7の外側では、層間絶縁膜10が除去されていてn+型ソース領域5およびp+型コンタクト領域6が露出した状態となっている。また、層間絶縁膜10は、コンタクト部の外周を囲むように、所定幅分、薄く残った状態となっている(以下、この部分を薄厚部10bという)。さらに、層間絶縁膜10は、薄厚部10bよりも外周側の位置では、p型ベース領域4の上に厚く残った状態とされていて、MOS動作しない部分のトレンチゲート構造などを覆っている。
【0019】
また、層間絶縁膜10やn+型ソース領域5およびp+型コンタクト領域6の上には、表面電極に相当するソース電極11が形成されている。ソース電極11は、n+型ソース領域5およびp+型コンタクト領域6とオーミック接触させられている。そして、上記したように、層間絶縁膜10がトレンチ7内に残されていることで、ソース電極11とゲート電極9とが絶縁された状態となっている。
【0020】
さらに、基板1の裏面側には、基板1と電気的に接続された裏面電極に相当するドレイン電極12が形成されている。このような構造により、nチャネルタイプの反転型のトレンチゲート構造の縦型MOSFETが構成されている。なお、上記したように、図示していないが、セル領域の外周には外周耐圧構造、例えばガードリングなどが構成されている。そして、セル領域と外周耐圧構造とにより半導体装置が構成されている。
【0021】
続いて、本実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。ただし、半導体装置の製造方法のうちのMOSFETを構成する素子部分の各部の製造工程については従来と同様であるため、ここでは主に素子部分を形成した後の製造工程について説明する。
【0022】
まず、基板1を用意し、この基板1の表面にn-型不純物層2とn型電流分散層3およびp型ベース領域4を順にエピタキシャル成長させる。次に、イオン注入により、p型ベース領域4の表層部に、n+型ソース領域5およびp+型コンタクト領域6を形成する。続いて、n+型ソース領域5やp型ベース領域4の表面からp型ベース領域4を貫通してn型電流分散層3に達するトレンチ7を形成したのち、酸化膜のデポジションなどによってゲート絶縁膜8を形成する。さらに、ゲート絶縁膜8の表面にドープトポリシリコンを成膜した後、エッチバックしてトレンチ7にゲート電極9を残す。これにより、トレンチゲート構造が構成される。このとき、セル領域の外縁部において、部分的にドープトポリシリコンをマスクしてエッチバックしている。これにより、ゲートライナー8aが残され、トレンチゲート構造の先端や最もセル領域の外側に位置するゲート電極9がゲートライナー8aと接続された状態になる。
【0023】
その後、
図3Aに示すように、n
+型ソース領域5およびp
+型コンタクト領域6に加えてトレンチゲート構造を覆いつつトレンチ7内を埋め込むように層間絶縁膜10を成膜する。層間絶縁膜10については、単一の種類の絶縁膜で構成された単層構造としても良いし、複数の絶縁膜で構成された積層構造としても良い。また、層間絶縁膜10を複数の絶縁膜で構成された積層構造とする場合、絶縁膜の種類を複数種類としても良いし、同種の膜を複数回積層しても良い。ここでは第1絶縁膜101と第2絶縁膜102の2種類の絶縁膜の積層構造によって層間絶縁膜10を構成した場合を示してある。
【0024】
そして、第1マスクとしてレジスト20を配置し、図示しないが第1レチクルを用いて露光を行ったのち、現像を行ってレジスト20をパターニングしてセル領域において第1開口部20aを形成する。このとき、第1レチクルとして、第1開口部20aがコンタクト部と対応した寸法となるものを用いている。
【0025】
続いて、
図3Bに示すように、レジスト20をマスクとして層間絶縁膜10を厚み方向の途中までエッチングする。例えば、エッチングにより層間絶縁膜10を所定厚さ除去すること、ここでは第2絶縁膜102を除去することで凹部10cを形成する。このときのエッチングについては、ドライエッチングとウェットエッチングのいずれでも良いが、ウェットエッチングを行うと、層間絶縁膜10のうちの凹部10cの角部が丸みを帯びた状態にできるため好ましい。
【0026】
その後、レジスト20を除去してから、
図3Cに示すように、第2マスクとして再びレジスト21を配置し、図示しない第2レチクルを用いて露光を行ったのち、現像を行ってレジスト21をパターニングして第2開口部21aを形成する。このとき、第1レチクルと異なる第2レチクルとして、第2開口部21aの開口面積が第1開口部20aの開口面積よりも大きくなるように、第2開口部21aがコンタクト部より1回り大きくなるものを用いている。つまり、第2レチクルを用いることで、トレンチゲート構造の長手方向の両側さらにはその直交方向の両側において、第2開口部21aの開口端が
図3Aの工程でレジスト20に形成した第1開口部20aよりも大きくなるようにしている。
【0027】
そして、
図3Dに示すように、レジスト21をマスクとして層間絶縁膜10をエッチングし、コンタクト部においてコンタクトホール10aを形成する。このとき、レジスト20を用いたドライエッチングにより、コンタクト部と対応する寸法の凹部10cを形成し、それよりも外側において層間絶縁膜10が厚く残った状態とした上で、次のレジスト21を用いたエッチングを行うことになる。このため、凹部10cが形成された位置においてエッチングが進んでn
+型ソース領域5およびp
+型コンタクト領域6が露出し、コンタクト部が形成される。このとき、n
+型ソース領域5およびp
+型コンタクト領域6の露出によってエッチングを終了すればよいことから、自己整合的にコンタクト部を規定してエッチングを終了できるセルフアラインコンタクトが行える。そして、凹部10cよりも外側においては、層間絶縁膜10が厚く残った状態でのエッチングになるため、コンタクト部が形成されたときにはまだ層間絶縁膜10が完全に除去されず、薄く残った薄厚部10bが形成される。また、レジスト21で覆われていた部分については、層間絶縁膜10が薄厚部10bよりも厚く残った状態となる。
【0028】
この後の工程については図示しないが、レジスト21を除去したのち、電極材料を成膜し、それをパターニングすることでn
+型ソース領域5およびp
+型コンタクト領域6と電気的に接続されるソース電極11などを形成する。さらに、基板1の裏面側にも電極材料を成膜することでドレイン電極12を形成する。このようにして、
図1に示す半導体装置が完成する。
【0029】
以上説明したように、本実施形態では、層間絶縁膜10にコンタクト部と対応する凹部10cを形成しておいてから、それよりも広い範囲で層間絶縁膜10をドライエッチングすることでコンタクトホール10aを形成している。このため、コンタクトホール10aの開口端にサブトレンチ形状が形成されることが抑制される。以下、このような効果が得られる理由について説明する。
【0030】
まず、従来では、
図4に示すように、レジスト30をマスクとした1度のドライエッチングによって層間絶縁膜10に対してコンタクトホール10aを形成している。エッチングにより大面積のコンタクトホール10aを形成する場合、小面積のコンタクトホールを形成する場合と比較して、レジスト30から供給されるデポジション成分、つまりポリマーが相対的に少なくなる。このため、ポリマーによる保護膜が十分に形成されなくなる。したがって、コンタクトホール10aの開口端において局所的に異常なエッチングが進行し、サブトレンチ形状が形成される。このように、層間絶縁膜10の一部が除去されることにより、層間絶縁膜10上のソース電極11とゲート電極9との間のショートやリーク電流の発生の原因となる。
【0031】
これに対して、本実施形態では、層間絶縁膜10にコンタクト部と対応する凹部10cを形成しておいてから、それよりも広い範囲で層間絶縁膜10をドライエッチングすることでコンタクトホール10aを形成している。この場合、コンタクト部の外周側において、内側よりも層間絶縁膜10が厚く残っている状態でドライエッチングが行われることになる。このため、コンタクトホール10aが大面積であるためにレジスト21から供給されるデポジション成分が少なくなって、コンタクトホール10aの開口端において局所的に異常なエッチングが進行しても、層間絶縁膜10が厚く残っている部分がエッチングされることになる。したがって、コンタクトホール10aの開口端にサブトレンチ形状が形成されることが抑制され、コンタクトホール10aの開口端において層間絶縁膜10が削れてしまわず残るようにできる。これにより、層間絶縁膜10上のソース電極11とゲート電極9とがショートしたり、リーク電流が発生したりすることを抑制することが可能となる。
【0032】
特に、第1マスクとなるレジスト20を用いて凹部10cを形成する際のエッチングをウェットエッチングで行うようにすれば、凹部10cの角部が丸みを帯びた状態になる。このため、丸みを帯びて残った部分により、凹部10cの角部において層間絶縁膜10をより厚く残すことが可能となり、この部分でサブトレンチ形状が形成されることをより抑制することが可能となる。
【0033】
また、本実施形態のように、層間絶縁膜10を複数種類の絶縁膜で構成する場合、そのうちの一部のみを第1マスクを用いてエッチングしたときに、残りの絶縁膜をエッチングストッパとしてエッチングの終点検出を行うことができる。
【0034】
(他の実施形態)
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0035】
例えば、上記実施形態では、層間絶縁膜10を第1絶縁膜101と第2絶縁膜102の複数の積層構造によって構成した場合を説明したが、1種類の単層構造であっても良い。その場合も、第1マスクによって層間絶縁膜10を厚み方向の途中までエッチングしたのち、それよりも開口面積が広い第2マスクによって層間絶縁膜10を除去することで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0036】
また、上記実施形態では、第1マスクによって層間絶縁膜10をエッチングする際の好ましい形態として、ウェットエッチングを例に挙げたが、ドライエッチングであっても良い。
【0037】
また、上記実施形態では、第1マスクとなるレジスト20の第1開口部20aの開口面積よりも第2マスクとなるレジスト21の第1開口部20aの開口面積の方が大きくなるようにした。例えば、第2開口部21aがコンタクト部より1回り大きくなるようにした。しかしながら、特に、サブトレンチ形状が形成されるのが
図2中に丸で囲んだようなトレンチゲート構造の長手方向の両端位置である。このため、少なくともトレンチゲート構造の長手方向の両側において、第2開口部21aの開口端が第1開口部20aの開口端よりもセル領域の外側に位置するようにしていれば良い。
【0038】
また、上記各実施形態では、第1導電型をn型、第2導電型をp型としたnチャネルタイプのトレンチゲート構造のMOSFETを半導体素子の一例として挙げた。しかしながら、これは一例を示したに過ぎず、他の構造の半導体素子、例えばnチャネルタイプに対して各構成要素の導電型を反転させたpチャネルタイプのトレンチゲート構造のMOSFETとしても良い。さらに、MOSFET以外に、同様の構造のIGBTに対しても本発明を適用することができる。IGBTの場合、基板1の導電型をn型からp型に変更する以外は、上記実施形態で説明した縦型MOSFETと同様である。
【符号の説明】
【0039】
1 基板
2 n-型不純物層
3 n型電流分散層
4 p型ベース領域
5 n+型ソース領域
6 p+型コンタクト領域
7 トレンチ
9 ゲート電極
10 層間絶縁膜
20、21 レジスト