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特開2022-170774装着型トレーニング器具、装着型トレーニング器具の制御方法及びそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170774
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】装着型トレーニング器具、装着型トレーニング器具の制御方法及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/04 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
A63B23/04 A
A63B23/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076952
(22)【出願日】2021-04-29
(71)【出願人】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】清原 武彦
(72)【発明者】
【氏名】植田 勝
(72)【発明者】
【氏名】樋口 誠
(57)【要約】
【課題】適切な位置に装着されていることが確認可能な装着型トレーニング器具を提供すること。
【解決手段】装着者の腰部に腰装着部を、脚に脚装着部をそれぞれ装着し、歩行等を行うと、歩行等に伴ってアーム部の回動に伴い、脚装着部が装着者から離れる方向に移動すること又はカム回転軸から周面までの距離が異なるカムが回転することにより、装着者の脚に外側方向の負荷を与える。このとき、腰装着部の装着角度を測定する腰装着部角度測定センサを備えているため、腰装着部の装着角度を測定することで、腰装着部の装着角度を測定することができる装着型トレーニング器具を提供することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者が装着して使用する装着型トレーニング器具であって、
前記装着者の腰部に装着される腰装着部と、
前記装着者の脚部に装着される脚装着部と、
前記脚装着部と前記腰装着部とを回動可能に接続するアーム部と、
前記アーム部が回動する際、前記装着者の脚に負荷を発生させる負荷発生部と、
前記腰装着部の装着角度を測定し、前記装着角度を含む腰装着部角度情報を出力する腰装着部角度測定センサと、
を備えたことを特徴とする、
装着型トレーニング器具。
【請求項2】
前記腰装着部が正常に装着された際の正常装着角度範囲である正常装着角度情報を含む情報を記憶する正常装着角度情報記憶手段と、
前記腰装着部角度測定センサで測定した装着角度が前記正常装着角度範囲内であるか否かを判定する装着角度判定手段と、
を備えたことを特徴とする、
請求項1に記載の装着型トレーニング器具。
【請求項3】
前記装着角度判定手段は、前記装着者が停止状態である場合に、前記装着部測定センサで測定した装着角度が前記正常装着角度範囲内であるか否かを判定することを特徴とする、
請求項2に記載の装着型トレーニング器具。
【請求項4】
前記アーム部の回動角度を測定し、前記回動角度を含むアーム部角度情報を出力するアーム部角度測定センサと、
前記アーム部角度情報に基づいて前記負荷が最大となる前記回動角度を算出する負荷量最大角度算出手段と、
を備えたことを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の装着型トレーニング器具。
【請求項5】
前記負荷発生部の角度を測定し、前記負荷発生部の角度を含む負荷発生部角度情報を出力する負荷発生部角度測定センサと、
を備え、
前記負荷量最大角度算出手段は、前記負荷発生部角度情報及び前記アーム部角度情報に基づいて、前記負荷量が最大となる前記回動角度を算出することを特徴とする、
請求項4に記載の装着型トレーニング器具。
【請求項6】
装着者の腰部に装着される腰装着部と、前記装着者の脚部に装着される脚装着部と、前記腰装着部と前記脚装着部とを回動可能に接続するアーム部と、前記アーム部が回動する際、前記装着者の脚に負荷を発生させる負荷発生部と、前記腰装着部の装着角度を測定し、前記装着角度を含む腰装着部角度情報を出力する腰装着部角度測定センサと、前記腰装着部が正常に装着された際の正常装着角度範囲である正常角度情報を含む情報を記憶する正常角度情報記憶手段と、前記装着角度が前記正常装着角度範囲内であるか否かを判定する角度判定手段と、を備えた装着型トレーニング器具の制御方法であって、
前記装着角度が前記正常装着角度範囲内であるか否かを判定する角度判定ステップと、
を含むことを特徴とする、
装着型トレーニング器具の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の装着型トレーニング器具の制御方法を1又は2以上のコンピュータで実行するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着型トレーニング器具、装着型トレーニング器具の制御方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代において、慢性的な運動不足・歩行不足による筋力の低下と、それに伴う諸問題が提起されている。筋力を適切に維持するためには適度な負荷を日常的に筋肉に与える必要があるが、現代の標準的な生活では歩行に関わる筋肉に十分な負荷を与えられていない場合が多く、その結果、加齢とともに下肢筋力の低下が起こり、歩行機能の低下や様々な疾病発症の原因となっている。
【0003】
例えば、下肢筋群において、特に筋力低下が問題となるのは腸腰筋と内転筋群である。両者とも股関節の動作に関わる大きな筋肉であり、腸腰筋は股関節の屈曲に、内転筋群は股関節の内転にそれぞれ大きく寄与し、殿筋群と拮抗する筋肉であるが、日常生活の中で使用頻度が高い殿筋群と比べ、筋力が低下しやすい傾向がある。このうち、腸腰筋の筋力低下は歩幅の減少をもたらし、歩行機能の低下の主因となり、内転筋群の筋力低下は歩行中の股関節の外旋(いわゆる、「ガニ股」)誘発の原因となる。
【0004】
従来、腸腰筋に対して効果的に負荷を加えることができ、子供から高齢者に至るまで、さらにはアスリートに対しても効果的に腸腰筋を鍛えることができるトレーニング器具が知られている。例えば、特許文献1には、少なくとも大転子より上方に装着される第1装着部と、大腿部に固定される第2装着部と、前記第1装着部と前記第2装着部との間に配置される負荷発生手段と、を備え、前記負荷発生手段は、脚を前方に降り出す場合に負荷が加わることを特徴とするトレーニング器具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-81305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のトレーニング器具では、装着者が正しい位置に装着することで腸腰筋を効果的に鍛えることが可能であるが、装着者が適切な位置に装着できない場合や、使用中にトレーニング器具が適切な位置から移動してしまい、十分な効果が得られない場合があるという課題がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、適切な位置に装着されていることが確認可能な装着型トレーニング器具を提供することを主目的とする。また、適切な位置に装着されていることが確認可能な装着型トレーニング器具の制御方法及びプログラムを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採った。
【0009】
本発明の装着型トレーニング器具は、
装着者が装着して使用する装着型トレーニング器具であって、
前記装着者の腰部に装着される腰装着部と、
前記装着者の脚部に装着される脚装着部と、
前記腰装着部と前記脚装着部とを回動可能に接続するアーム部と、
前記アーム部が回動する際、前記装着者の脚に負荷を発生させる負荷発生部と、
前記腰装着部の装着角度を測定し、前記装着角度を含む腰装着部角度情報を出力する腰装着部角度測定センサと、
を備えたことを特徴とする、
ものである。
【0010】
この装着型トレーニング器具では、装着者の腰部に装着される腰装着部と、装着者の脚部に装着される脚装着部と、を備えており、腰装着部と脚装着部とはアーム部で回動可能に接続されているため、装着者が歩行・走行することでアーム部が回動する。このとき、アーム部の回動に伴って装着者の脚に負荷を発生させる負荷発生部が備えられているため、アーム部の回動に伴って装着者の脚に負荷が発生する。こうすることにより、内転筋群に選択的に負荷を与え、内転筋郡を選択的に鍛えることができる。
【0011】
加えて、この装着型トレーニング器具は、前記腰装着部の装着角度を測定し、前記装着角度を含む腰装着部角度情報を出力する腰装着部角度測定センサを備えているため、腰装着部の装着角度を測定することで、腰装着部の装着角度を測定することができる。このとき、腰装着部を仙骨と平行に装着すると最も効率的なトレーニングが可能なことがわかっているため、腰装着部の装着角度を測定することで、装着型トレーニング器具が適切に装着されているか否かを確認することができる。
【0012】
この装着型トレーニング器具の制御方法は、前記腰装着部が正常に装着された際の正常装着角度範囲である正常角度情報を含む情報を記憶する正常角度情報記憶手段と、前記装着角度が前記正常装着角度範囲内であるか否かを判定する装着角度判定手段と、を備えているため、予め記憶された正常装着角度範囲と比較することで、腰装着部が適切な位置に装着されているか否かを判定することができる。
【0013】
この態様を採用した本発明の装着型トレーニング器具において、前記装着角度判定手段は、前記装着者が停止状態である場合に、前記装着部測定センサで測定した装着角度が前記正常装着角度範囲内であるか否かを判定することを特徴としてもよい。こうすることにより、歩行等を行っていない状態の際に腰装着部の位置が初期位置から移動し得ているか否かを判定することで、腰装着部が移動した場合に、歩行等を行っていない安全な状態で、腰装着部を適切な位置に移動することを装着者に促すことができる。
【0014】
本発明の装着型トレーニング器具は、前記アーム部の回動角度を測定し、前記回動角度を含むアーム部角度情報を出力するアーム部角度測定センサと、前記アーム部角度情報に基づいて、前記負荷が最大となる前記回動角度を算出する負荷量最大角度算出手段と、を備えたことを特徴としてもよい。筋肉を効率よく鍛えるには、脚が所定の股関節角度に位置する際に負荷を与えると効果が高いことが知られているため、負荷が最大となる回転角度を算出することで、負荷量が最大となる股関節角度を算出することができる。このとき、股関節が最伸展となる状態に対応する股関節角度の際に負荷を最大とすることで、筋肉を効率よく鍛えることができる。なお、ここで股関節角度とは、脚部の付け根から鉛直方向に対して脚部の先端方向がなす角度を意味する。
【0015】
本発明の装着型トレーニング器具は、前記負荷発生部の角度を測定し、前記負荷発生部の角度を含む負荷発生部角度情報を出力する負荷発生部角度測定センサと、を備え、前記負荷量最大角度算出手段は、前記負荷発生部角度情報及び前記アーム部角度情報に基づいて、前記負荷量が最大となる前記回動角度を算出することを特徴としてもよい。こうすることにより、装着位置が何らかの理由で変化した場合であっても、負荷発生部の角度を測定することにより、装着位置の変化を測定することができるため、装着位置が変化した場合であっても、股関節が最伸展となる状態に対応する股関節角度の際に負荷量を最大とすることで、筋肉を効率よく鍛えることができる。
【0016】
本発明の装着型トレーニング器具の制御方法は、
装着者の腰部に装着される腰装着部と、前記装着者の脚部に装着される脚装着部と、前記腰装着部と前記脚装着部とを回動可能に接続するアーム部と、前記アーム部が回動する際、前記装着者の脚に負荷を発生させる負荷発生部と、前記腰装着部の装着角度を測定し、前記装着角度を含む腰装着部角度情報を出力する腰装着部角度測定センサと、を備えた装着型トレーニング器具の制御方法であって、
前記装着角度が前記正常装着角度範囲内であるか否かを判定する装着角度判定ステップと、
を含むことを特徴とする、
ものである。
【0017】
本発明のプログラムは、1又は複数のコンピュータに、装着型トレーニング器具の制御方法の各ステップを実行させるためのプログラムである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体(例えば、ハードディスク、ROM、CD、DVD、フラッシュメモリなど)に記録されていても良いし、伝送媒体(インターネットや有線/無線LANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ送信されても良いし、その他どのような形で授受されても良い。また、制御方法の各ステップを実行する装置で実行されるものであっても、プログラムが実行される装置と処理が行われる装置とが異なっていてもよい。いずれの場合であっても、このプログラムを1つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した制御方法と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、装着型トレーニング器具20の構成の概略を示す斜視図である。
図2図2は、装着型トレーニング器具20の電気的接続を示すブロック図である。
図3図3は、負荷発生部30の内部構造の概略を示す側面図である。
図4図4は、負荷発生部30の内部構造の概略を示す底面図である。
図5図5は、股関節角度を説明するための説明図である。
図6図6は、装着状況判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図7図7は、股関節角度の変化と進行方向の負荷の変化の関係を示すグラフである。
図8図8は、股関節角度の変化と側面方向の負荷の変化の関係を示すグラフである。
図9図9は、装着状況判定処理ルーチンの他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態の一例として、装着型トレーニング器具20ついて詳しく説明する。以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号を付す。
【0020】
本発明の実施の形態の一例である装着型トレーニング器具20は、図1に示すように、装着者の腰部に装着され、装着者の腰部に装着された際の装着角度を測定する腰装着部角度測定センサ23(図2参照)を有する腰装着部22と、装着者の右脚に装着される右脚装着部24a及び装着者の左脚に装着される左脚装着部24b(以下、「脚装着部24」とも言う。)と、腰装着部22と右脚装着部24aとを回動可能に接続する右アーム部26a及び腰装着部22と左脚装着部24bとを回動可能に接続する左アーム部26b(以下、「アーム部26」とも言う。)と、右アーム部26aの角度を測定する右アーム部角度測定センサ27a及び左アーム部26bの角度を測定する左アーム部角度測定センサ27b(図2参照,以下、「アーム部角度測定センサ27」とも言う。)と、鉛直方向に対する角度(負荷発生部角度)を測定する負荷発生部角度測定センサ34(図2参照)とを有する負荷発生部30と、腰装着部角度測定センサ23やアーム部角度測定センサ27、負荷発生部角度測定センサ34等の各種センサからの情報を受信し、各種制御信号を出力する制御ユニット50(図2参照)と、制御ユニット50から出力された制御信号に基づいて所定の音を放音するスピーカ60(図2参照)と、を備えている。この装着型トレーニング器具20は、装着者の腰部に腰装着部22を、装着者の脚部に脚装着部24を、それぞれ装着して使用する。このとき、腰装着部22の装着角度を測定する腰装着部角度測定センサ23を備えているため、装着型トレーニング器具20が装着者に装着された際、腰装着部22の装着角度を測定することで、腰装着部22が適切な位置に装着されているか測定することができる。
【0021】
腰装着部22は、装着者の腰部に装着型トレーニング器具20を取り付けるための部材である。腰装着部22が装着者の腰部に装着された際には、腰装着部22が装着者の仙骨と平行となる位置に位置決めされることにより、装着者の適切な位置に位置決めされ、腸腰筋や内転筋に効率よく負荷を与えることができる。なお、腰装着部22は、例えば、ベルト状の形状であっても良いし、スパッツ等のように衣類形状であってもよいし、衣類等に固定される固定具等であってもよい。いずれの形状であっても、装着者の腰部に装着可能な形状であれば、その形状を特に限定するものではない。
【0022】
また、腰装着部22には、図2に示すように、腰装着部22の角度を測定する腰装着部角度測定センサ23が取り付けられている。この腰装着部角度測定センサ23は、加速度センサを含む公知のセンサであり、角度を含む腰装着部角度情報を制御ユニット50に出力する。この腰装着部角度測定センサ23は、腰装着部22と平行となる位置に取り付けられているため、検知した重力加速度から腰装着部角度測定センサ23の角度を算出することで、腰装着部22の角度を測定することができる。
【0023】
脚装着部24は、図1に示すように、装着者の脚部に装着型トレーニング器具20を取り付けるための部材であり、腰装着部22とアーム部26で回動可能に連接されている。この脚装着部24としては、例えば、アーム部26の一端側に固定される脚部に巻きつけ可能なベルト形状の部材である。なお、脚装着部24は、装着者の脚部であって、大腿部の下方位置であって膝より上位置に装着されることがより好ましい。こうすることにより、腸腰筋や内転筋郡に効率よく負荷を与えることができる。
【0024】
アーム部26は、腰装着部22と脚装着部24とを回動可能に接続する部材であり、装着者が装着した際、腰装着部22と脚装着部24とを回動可能に接続する。このため、装着者の脚が装着者の歩行等によって移動すると、装着者の脚の移動に伴って脚装着部24が移動し、脚装着部24の移動に伴って、アーム部26が回動する。また、アーム部26は、例えば、平板状の金属や樹脂等、弾性を有する素材からなる帯状の部材である。こうすることにより、装着型トレーニング器具20をズボン等の衣類の内側に装着した際、アーム部26が衣類等の外側から視認しにくく、周囲の人に装着型トレーニング器具20を装着していることを視認されにくい。また、アーム部26は弾性を有する素材からなる帯状の部材であるため、装着者がバランスを崩す等によってアーム部26に強い力が加えられた場合や、負荷発生部の負荷が強すぎる場合等でも、アーム部26の弾性によって一部が吸収されるため、装着型トレーニング器具20の破損する可能性を未然に低減することができる。このとき、装着者と平行となる面が装着者と略垂直となる面よりも広い面積を有する平板形状とすることにより、装着者の進行方向側よりも装着者の側面方向側が強い剛性を有することになり、内転筋群に効率的に付加を加えることができる。
【0025】
また、図3及び図4に示すように、アーム部26が装着者に装着された際、装着者側の面であって、誘導部40に設けられた後述する突出部40aと対向する位置には、アーム部26の回動に伴って回転する回転体28が誘導部40の表面と当接する状態で設けられている。このため、アーム部26が回動する際、回転体28が誘導部40の表面に沿って滑らかに誘導することになり、突出部40aの突出に伴って突出方向(装着者に装着された際、装着者から離れる方向)にアーム部26が移動することになる。こうすることにより、装着者から離れる方向に負荷を与えることができ、内転筋群を選択的に鍛えることができる。
【0026】
また、右アーム部26aには、図2に示すように、右アーム部26aの角度を測定する右アーム部角度測定センサ27aが、左アーム部26bには、左アーム部26bの角度を測定する左アーム部角度測定センサ27bが、それぞれ設けられている。このアーム部角度測定センサ27は、加速度センサを含む公知のセンサであり、アーム部26の角度を含むアーム部角度情報を制御ユニット50に出力する。このアーム部角度測定センサ27は、アーム部26の角度を測定できる種々のセンサを用いることができ、例えば、アーム部26に取り付けられた加速度センサであってもよいし、腰装着部22に取り付けられ、アーム部26の動きを感知するモーションセンサ等であってもよい。
【0027】
負荷発生部30は、図1に示すように、腰装着部22の側面側に位置し、装着者の脚部に装着された脚装着部24が装着者の歩行等によって移動した際、アーム部26の回動に伴ってアーム部26に負荷を与える部材である。このとき、負荷発生部30は、脚の進行方向側と進行方向と反対側及び脚の側面方向側のそれぞれの方向に負荷を与える。こうすることにより、装着者の歩行等の状態に応じて脚部に負荷を加えることができ、腸腰筋や内転筋群を鍛えることができる。
【0028】
この負荷発生部30は、図3及び図4に示すように、アーム部26の回動に伴って回動するカム32と、負荷発生部30の角度を測定する負荷発生部角度測定センサ34と(図2参照)、装着者に装着された際、側方側に突出する突出部40aを有する誘導部40と、を備えている。この負荷発生部30は、装着者が歩行等する際、歩行等に伴って股関節角度が変化すると、脚装着部24の移動に伴ってアーム部26が回動し、アーム部26の回動に伴ってカム32が回動する。カム32は、カム回転軸32aからの距離が周面の位置によって異なる周面を有する円弧からなる外周面を有する板カムであり、弾性体34に押圧されているため、装着者の股関節角度に応じた負荷を進行方向側及び進行方向と反対側に与えることができ、腸腰筋を効率よく鍛えることができる。なお、ここで、「股関節角度」とは、図5に示すように、鉛直方向Aに対して脚部Bの角度(図5中α)を意味し、アーム部角度測定センサ27が測定したアーム部26の角度に負荷発生部角度測定センサ34が測定した負荷発生部角度を加算することで算出される角度である。この股関節角度は、脚部Bの角度が進行方向(正面側)に位置する場合が正、進行方向とは逆方向(背側)に位置する場合を負とする。
【0029】
ここで、負荷発生部角度測定センサ34は、加速度センサを含む公知のセンサであり、負荷発生部30の角度を含む負荷発生部角度情報を制御ユニット50に出力する。この負荷発生部角度測定センサ34は、負荷発生部30の下面に略垂直に取り付けられ、負荷発生部角度情報に含まれる重力加速度に基づいて負荷発生部角度測定センサ34の角度(鉛直方向に対する角度)を算出することで、負荷発生部30の鉛直方向に対する角度を算出することができる。このとき、負荷発生部角度測定センサ34は、負荷発生部30の角度(負荷発生部角度)を測定できる種々のセンサを用いることができ、例えば、加速度センサ等を用いることができる。
【0030】
ここで、カム32の形状について、詳しく説明する。カム32は、図3に示すように、カム回転軸32aからの距離が周面の位置によって異なる周面を有する円弧からなる外周面を有する板カムである。こうすることにより、カム32が回動する際、一定角度に対して中心から外周面との距離が長くなる変化率(mm/°)が大きくなる位置では負荷が大きくなり、一定角度変化に対して中心から外周面との距離が短くなる変化率(mm/°)が小さくなる位置では負荷が小さくなるため、アーム部26の回動に伴ってカム32が回動する際、カム32の回転角によって脚への負荷(装着者が装着した際、進行方向及び進行方向と反対方向への負荷)を股関節角度に応じて調節することができる。
【0031】
装着者への進行方向とは反対方向への負荷は、例えば、図7に示すように、装着者の股関節角度が0°から-30°の間で加えることが好ましく、-10°から-20°の間で加えることがより好ましい。すなわち、脚が身体より背側に位置する際、進行方向への負荷が最も大きくなる負荷を与えることが好ましい。こうすることにより、腸腰筋を効率よく鍛えることができる。なお、股関節角度が正の状態では、股関節屈曲方向に負荷がかかっているため、装着者の歩行に対して、負の負荷、すなわち、歩行をアシストする方向に力を受けることになる。また、ここで、図7は、負荷と股関節角度の関係を示すグラフである、縦軸が股関節屈曲方向を正とした前後方向の負荷(N)、横軸が股関節角度(°)をそれぞれ示す。
【0032】
ここで、負荷発生部30で発生する進行方向とは反対方向への負荷量の測定方法について説明する。負荷発生部30で進行方向と反対方向に発生する負荷は、カム回転軸32aからの距離が周面の位置によって異なる周面を有する縁故からなる外周面を有するカム32が、アーム部26が回動するに伴って回動することによって負荷が発生するため、アーム部26の回動角度と負荷発生部30で発生する進行方向と反対方向への負荷量は、アーム部26の回動角度によって一義的に決定する。このため、予めアーム部26の回動角度と負荷量の関係をROM52に記憶することにより、アーム部角度測定センサ27によってアーム部26の回動角度を測定することにより、負荷発生部30で発生する進行方向と反対方向への負荷量を算出することができる。
【0033】
誘導部40は、図3及び図4に示すように、装着者に装着された際、装着者の後方側となる位置(誘導部40の中央より装着者に装着された際後方側となる位置)がアーム部26側に湾曲して突出する突出部40aを有する板状の部材である。この突出部40aと対向する位置には、アーム部26の内側面(装着者側の面)に設けられた回転体28が位置する。こうすることにより、装着者の脚が後方側に位置する際、アーム部26の回動に伴って誘導部40の側面に沿って移動し、突出部40aの湾曲に沿って装着者から遠ざかる方向に導かれることになり、脚に外側方向の負荷を加えることができ、内転筋群を効率的に鍛えることができる。
【0034】
装着者への側面方向への負荷は、例えば、図8に示すように、装着者の股関節角度が-10°から-20°の間、すなわち、脚が身体より背側に位置する際、装着者から遠ざかる方向への負荷が最も大きくなる負荷を与えることが好ましい。こうすることにより、内転筋群を効率よく鍛えることができる。なお、ここで、図8は、負荷と股関節角度の関係を示すグラフである、縦軸が股関節屈曲方向を正とした前後方向の負荷(N)、横軸が股関節角度(°)をそれぞれ示す。
【0035】
ここで、負荷発生部30で発生する側面方向への負荷量の測定方法について説明する。負荷発生部30で側面方向(装着者から遠ざかる方向)に発生する負荷は、アーム部26が回動する際、突出部40aの突出に伴ってアーム部26が側面方向に移動することによって負荷が発生するため、アーム部26の回動角度と負荷発生部30で発生する側面方向への負荷量は、アーム部26の回動角度によって一義的に決定する。このため、予めアーム部26の回動角度と負荷量の関係をROM52に記憶することにより、アーム部角度測定センサ27によってアーム部26の回動角度を測定することにより、負荷発生部30で発生する側面方向への負荷量を算出することができる。
【0036】
制御ユニット50(本発明の装着角度判定手段及び負荷量最大角度算出手段に相当)は、図2に示すように、CPU51を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、腰装着部角度測定センサ23から出力された腰装着部角度情報やアーム部角度測定センサ27から出力されたアーム部角度情報、負荷発生部角度測定センサ34から出力された負荷発生部角度情報等に基づいて装着型トレーニング器具20の装着状況を判定する装着状況判定プログラム、各種情報等が記憶されたROM52(本発明の正常装着角度情報記憶手段に相当)と、腰装着部角度情報やアーム部角度情報、負荷発生部角度情報等を一時的に記憶するRAM53と、腰装着部角度測定センサ23やアーム部角度測定センサ27、負荷発生部角度測定センサ34、スピーカ60等との間の各種信号の送受信を行うインタフェース54(以下、「I/F54」と言う。)がそれぞれバス55を介して電気的に接続されている。この制御ユニット50は、腰装着部角度情報やアーム部角度情報等に基づいて装着状態を判定し、装着者に装着型トレーニング器具20の装着状態に関する情報を報知する。こうすることにより、装着者は、装着型トレーニング器具20の装着状態を把握することができるため、装着型トレーニング器具20のトレーニング効率を高く保つことができる。
【0037】
ここで、装着型トレーニング器具20の装着状況を判定する際の動作について、制御ユニット50によって実行される装着状況判定処理ルーチンを一例に説明する。図6に示すように、この装着状況判定処理ルーチンは、図示しない電源ボタンが押圧され、装着型トレーニング器具20に電力が供給された状態で装着者が歩行を開始すると、CPU51がROM52に記憶された装着状況判定処理ルーチンを読み出し、繰り返し実行される。なお、ここで、図6は、装着状況判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。なお、図示しない電源ボタンが押圧され、装着型トレーニング器具20に電力が供給されると、腰装着部角度測定センサ23及びアーム部角度測定センサ27に電力が供給され、腰装着部角度情報及びアーム部角度情報、負荷発生部角度情報が逐次、制御ユニット50にそれぞれ出力されるものとする。
【0038】
装着状況判定処理ルーチンが実行されると、CPU51は、腰装着部角度情報に基づいて腰装着部22の装着角度を算出する(ステップS110)。腰装着部角度情報が出力される腰装着部角度測定センサ23は、腰装着部22の装着面と平行となる位置関係となる位置に取り付けられているため、腰装着部角度情報に含まれる重力加速度に基づいて腰装着部角度測定センサ23の角度を算出することで、腰装着部22の装着角度を算出することができる。このとき、腰装着部の装着面は骨盤(仙骨)と略並行となる面であるため、腰装着部角度測定センサ23によって、骨盤(仙骨)の角度を測定できることになる。
【0039】
次に、CPU51は、腰装着部22が正しく装着された際の装着角度を含む正常装着角度情報をROM52より読み出し、正常装着角度情報に含まれる正しく装着された際の装着角度とステップS110で算出した腰装着部22の装着角度とを比較し(ステップS120)、同一角度範囲内でないと判定した場合には、不適合信号をスピーカ60に出力し(ステップS130)、腰装着部22が正しく装着されていないことを報知して、本ルーチンを終了する。こうすることにより、装着者は腰装着部22が正しく装着されていないことを知覚することができ、腰装着部22を正しい装着位置に装着することを促すことができる。なお、ここで、「同一角度範囲内」とは、とステップS110で算出した腰装着部22の装着角度が初期姿勢情報に含まれる正しく装着された際の装着角度と同一か又は所定の範囲(例えば、正しく装着された際の装着角度との差が5°以内等)であることを意味する。
【0040】
一方、ステップS120でCPU51が同一角度範囲内であると判定した場合には、最大トルク角度を算出する(ステップS140)。具体的には、例えば、アーム部角度測定センサ27から出力されたアーム部角度情報に含まれるアーム部26の角度毎にROM52に記憶された負荷量テーブルより、アーム部26の角度に相当する側面方向及び進行方向と反対方向の負荷量を読み出し、負荷量として一時的にRAM53に記憶する。続いて、この負荷量の値が最大であるアーム部26の角度に負荷発生部角度測定センサ34で測定した負荷発生部30の角度を加算した角度を最大トルク角度としてRAM53に一時的に記憶することで、最大トルク角度を算出する。こうすることにより、負荷量が最大となる時のアーム部26の角度を最大トルク角度として算出することができる。
【0041】
続いて、CPU51は、ステップS140で算出した最大トルク角度が、股関節最伸展時の角度であるか否かを判定し(ステップS150)、股関節最伸展時の角度で無いと判定した場合には、不適切信号をスピーカ60に出力し(ステップS130)、負荷状態が最適でないことを報知して、本ルーチンを終了する。こうすることにより、装着者は、何らかの理由でトレーニング効率が適切でないことを知覚することができ、修正する機会を得ることができる。このとき、アーム部26の角度に負荷発生部角度測定センサ34で測定した角度を加算した角度を用いることで、例えば、使用の際に装着型トレーニング器具20の位置ズレが生じた場合であっても、常に股関節角度を測定することができる。言い換えると、装着型トレーニング器具20の位置ズレが生じた場合であっても、股関節最伸展時の角度を算出することができる。
【0042】
一方、ステップS150において、最大トルク角度が股関節最伸展時の角度であるとCPU51が判定した場合には、腰装着部角度情報に基づいて腰装着部22の装着角度を算出し(ステップS160)、予め記憶された正常姿勢範囲情報をROM52より読み出して、ステップS160で算出した装着角度が正常姿勢範囲内に含まれるか否かを判定する(ステップS170)。具体的には、ステップS160で算出した装着角度が9°以上15°以下であるか否かを判定する。腰装着部22は、仙骨と平行となる位置に装着されるため、この装着角度は、仙骨の背面側の平面と仙骨から鉛直な平面とが為す角度に相当することになる。この角度が9°未満の場合には、後傾姿勢となるため好ましくなく、この角度が15°より大きい場合には、前傾姿勢となるため好ましくない。
【0043】
続いて、ステップS170で装着角度が正常姿勢範囲内に含まれないとCPU51が判定した場合には、不適合信号をスピーカ60に出力し(ステップS130)、前傾姿勢又は後傾姿勢であることを報知して、本ルーチンを終了する。こうすることにより、装着者は正しい歩行姿勢でないことを知覚することができ、歩行姿勢の改善を促すことができる。
【0044】
一方、ステップS170において、装着角度が正常姿勢範囲内に含まれるとCPU51が判定した場合には、装着者が立ち止まっているか否かを判定し(ステップS180)、立ち止まっていないと判定した場合には、再度ステップS150を実行する。こうすることにより、股関節最伸展時に最大トルクが得られなくなるまで、繰り返しステップS150からステップS170が繰り返し実行されることになる。
【0045】
ここで、装着者が立ち止まっているか否かを判定する判定ステップ(ステップS180)について、具体的に説明する。装着者が立ち止まっているか否かを判定する判定方法としては、例えば、アーム部角度情報に含まれるアーム部26の角度が0°であるか又は0°から所定の範囲(例えば、-5°から5°の間等)である場合に立ち止まっていると判定しても良いし、アーム部26の角度情報に含まれるアーム部角度又は腰装着部角度情報に含まれる腰角度が、予め定められた所定の時間(例えば、1秒間)変化しない場合に立ち止まっていると判定してもよい。いずれの方法であっても、装着者が立ち止まっている状態を判定することができる。
【0046】
一方、ステップS180でCPU51が立ち止まっていると判定した場合には、本ルーチンを終了する。このような場合は、歩行開始から立ち止まるまで腰装着部22が位置ズレすることなく、また、股関節最伸展時に聞きトルクが最大となっていることで最適なトレーニング効果が得られているため、装着者は装着型トレーニング器具20を適切に使用していることとなり、装着者に情報を報知する必要がない。
【0047】
続いて、制御ユニット50によって実行される装着状況判定処理ルーチンの他の一例を説明する。図9に示すように、この他の実施の形態の装着状況判定処理ルーチンは、図示しない電源ボタンが押圧され、装着型トレーニング器具20に電力が供給された状態で装着者が歩行を開始すると、CPU51がROM52に記憶された装着状況判定処理ルーチンを読み出し、繰り返し実行される。なお、ここで、図9は、装着状況判定処理ルーチンの他の一例を示すフローチャートである。なお、図示しない電源ボタンが押圧され、装着型トレーニング器具20に電力が供給されると、腰装着部角度測定センサ23及びアーム部角度測定センサ27に電力が供給され、腰装着部角度情報及びアーム部角度情報が逐次制御ユニット50にそれぞれ出力されるものとする。
【0048】
装着状況判定処理ルーチンが実行されると、CPU51は、腰装着部角度情報に基づいて腰装着部22の装着角度を算出する(ステップS210)。腰装着部角度情報が出力される腰装着部角度測定センサ23は、腰装着部22の装着面と平行となる位置関係となる位置に取り付けられているため、腰装着部角度情報に含まれる重力加速度に基づいて腰装着部角度測定センサ23の角度を算出することで、腰装着部22の装着角度を算出することができる。
【0049】
次に、CPU51は、腰装着部22が正しく装着された際の装着角度を含む正常装着角度情報をROM52より読み出し、正常装着角度情報に含まれる正しく装着された際の装着角度とステップS210で算出した腰装着部22の装着角度とを比較し(ステップS220)、同一角度範囲内でないと判定した場合には、不適合信号をスピーカ60に出力し(ステップS230)、腰装着部22が正しく装着されていないことを報知して、本ルーチンを終了する。こうすることにより、装着者は腰装着部22が正しく装着されていないことを知覚することができ、腰装着部22を正しい装着位置に装着することを促すことができる。なお、ここで、「同一角度範囲内」とは、とステップS210で算出した腰装着部22の装着角度が初期姿勢情報に含まれる正しく装着された際の装着角度と同一か又は所定の範囲(例えば、正しく装着された際の装着角度との差が5°以内等)であることを意味する。また、腰装着部22は、仙骨と平行となる位置に固定することが好ましく、仙骨の背面側の平面と仙骨から鉛直な平面とが為す角度が9°以上15°以下となる角度となる姿勢が好ましい。このため、正しく装着された際の装着角度は、9°以上15°以下となることが好ましい。
【0050】
一方、ステップS220でCPU51が同一角度範囲内であると判定した場合には、最大トルク角度を算出する(ステップS240)。具体的には、例えば、アーム部角度測定センサ27から出力されたアーム部角度情報に含まれるアーム部26の角度毎にROM52に記憶された負荷量テーブルより、アーム部26の角度に相当する側面方向及び進行方向と反対方向の負荷量を読み出し、負荷量として一時的にRAM53に記憶する。続いて、この負荷量の値が最大であるアーム部26の角度を最大トルク角度としてRAM53に一時的に記憶することで、最大トルク角度を算出する。こうすることにより、負荷量が最大となる時のアーム部の角度を最大トルク角度として算出することができる。
【0051】
続いて、CPU51は、ステップS240で算出した最大トルク角度が、股関節最伸展時の角度であるか否かを判定し(ステップS250)、股関節最伸展時の角度で無いと判定した場合には、不適切信号をスピーカ60に出力し(ステップS230)、負荷状態が最適でないことを報知して、本ルーチンを終了する。こうすることにより、装着者は、何らかの理由でトレーニング効率が適切でないことを知覚することができ、修正する機会を得ることができる。アーム部の角度は股関節角度に対応するため、アーム部の角度が最も小さい値の際、股関節が最伸展した状態となる。このため、アーム部の角度から股関節最伸展時の角度を導くことができる。
【0052】
一方、ステップS240において、最大トルク角度が股関節最伸展時の角度であるとCPU51が判定した場合には、装着者が立ち止まっているか否かを判定し(ステップS260)、立ち止まっていないと判定した場合には、再度ステップS240を実行する。こうすることにより、股関節最伸展時に最大トルクが得られなくなるまで、繰り返しステップS240が繰り返し実行されることになる。
【0053】
ここで、装着者が立ち止まっているか否かを判定する判定ステップ(ステップS260)について、具体的に説明する。装着者が立ち止まっているか否かを判定する判定方法としては、例えば、アーム部角度情報に含まれるアーム部26の角度が0°であるか又は0°から所定の範囲(例えば、-5°から5°の間等)である場合に立ち止まっていると判定しても良いし、アーム部角度情報に含まれるアーム部26の角度又は腰装着部角度情報に含まれる腰角度が、予め定められた所定の時間(例えば、1秒間)変化しない場合に立ち止まっていると判定してもよい。いずれの方法であっても、装着者が立ち止まっている状態を判定することができる。
【0054】
一方、ステップS260でCPU51が立ち止まっていると判定した場合には、CPU51は、腰装着部角度情報に基づいて腰装着部22の装着角度を算出し(ステップS270)、正常装着角度情報に含まれる正しく装着された際の装着角度とステップS210で算出した腰装着部22の装着角度とを比較し(ステップS280)、同一角度範囲内でないと判定した場合には、不適合信号をスピーカ60に出力し(ステップS230)、本ルーチンを終了する。こうすることにより、装着者が立ち止まっている際に、腰装着部22の位置ズレを報知することができ、装着者が立ち止まって安全な状態の際に位置ズレを報知することができる。言い換えると、装着者が歩行中に位置ズレを報知することで、装着者の歩行リズムを妨げる可能性を未然に低減することができる。
【0055】
一方、ステップS280でCPU51が同一角度範囲内であると判定した場合には、本ルーチンを終了する。このような場合は、歩行開始から歩行停止まで腰装着部22が位置ズレすることなく、また、股関節最伸展時に聞きトルクが最大となっていることで最適なトレーニング効果が得られているため、装着者は装着型トレーニング器具20を適切に使用していることとなり、装着者に情報を報知する必要がない。
【0056】
以上詳述した実施の形態の装着型トレーニング器具20によれば、装着者の腰部に腰装着部22を、脚に脚装着部24をそれぞれ装着し、歩行等を行うと、歩行等に伴ってアーム部26の回動に伴い、脚装着部24が装着者から離れる方向に移動すること又はカム回転軸32aから周面までの距離が異なるカム32が回転することにより、装着者の脚に外側方向の負荷を与える。このとき、腰装着部22の装着角度を測定する腰装着部角度測定センサ23を備えているため、腰装着部22の装着角度を測定することで、腰装着部22の装着角度を測定することができる。腰装着部22を仙骨と平行に装着すると最も効率的なトレーニングが可能なことがわかっているため、腰装着部22の装着角度を測定することで、装着型トレーニング器具が適切に装着されているか否かを確認することができる。
【0057】
また、ステップS120又はステップS220において、予め記憶された正常装着角度情報に含まれる正しく装着された際の装着角度とステップS110又はステップS210で算出した腰装着部22の装着角度とを比較することにより、腰装着部22が適切な位置に装着されているか否かを判定することができる。
【0058】
更に、ステップS280は、ステップS260で立ち止まっていると判定された際に実行されるため、歩行等を行っていない状態の際に腰装着部の位置が初期位置から移動し得ているか否かを判定することで、腰装着部が移動した場合に、歩行等を行っていない安全な状態で、腰装着部を適切な位置に移動することを装着者に促すことができる。
【0059】
更にまた、ステップS240において、アーム部角度測定センサ27から出力されたアーム部装着角度情報に基づいて最大トルク角度を算出し、ステップS250で最大トルク角度が股関節最伸展時であるか否かを判定することで、トレーニングに最適な位置で最大負荷を与えることができ、筋肉を効率よく鍛えることができる。
【0060】
そして、ステップS150において、負荷量の値が最大であるアーム部26の角度に負荷発生部角度測定センサ34で測定した角度を加算した角度に基づいて最大トルク角度を算出することにより、負荷発生部の角度を測定することによって装置の位置の変化を測定することができるため、股関節が最伸展となる状態に対応する股関節角度の際に負荷量を最大となる角度を位置変化に影響されることなく測定することができ、筋肉を効率よく鍛えることができる。
【0061】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0062】
例えば、上述した実施の形態では、誘導部40は、装着者の後方側となる位置がアーム部26側に湾曲して突出する突出部40aを有する板状の部材であり、アーム部26に設けられた回転体28が回転することで、アーム部26が誘導部40の側面の湾曲に沿って移動するものとしたが、誘導部40の形状は、アーム部26を外側方向に誘導できる構造であればこれに限定されるものではなく、例えば、湾曲する誘導部40の側面に溝やレール等の誘導構造を有するものであってもよいし、誘導部40に回転体を備え、アーム部26に誘導構造を有するものであってもよいし、回転体28をカム回転軸からの距離が周面の位置によって異なる周面を有する円弧からなる外周面を有するカムとしてもよい。いずれの場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0063】
上述した実施の形態では、ステップS130において、不適切信号をスピーカ60に出力するものとしたが、不適切信号の出力先は報知手段であればスピーカ60に限定されるものではなく、例えば、ディスプレイ等に出力して報知してもよいし、携帯通信端末に不適切信号を出力することで、携帯通信端末で報知してもよい。いずれの場合も、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0064】
上述した実施の形態では、腰装着部22は仙骨に略並行となる位置に装着されるものとしたが、バネ等の付勢部材を設け、腰装着部22を仙骨に付勢してもよい。こうすることにより、腰装着部22が仙骨に沿った位置に位置決めされることになるため、より適切な位置に位置決めされやすい。
【0065】
上述した実施の形態に置いて、負荷量は、アーム部角度測定センサ27から出力されたアーム部角度情報に含まれるアーム部26の角度毎にROM52に記憶された負荷量テーブルより、アーム部26の角度に相当する側面方向及び進行方向と反対方向の負荷量を読み出すことで算出するものとしたが、側面方向又は進行方向と反対方向のいずれか一方の負荷量のみ読み出すものとしてもよい。この場合も、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0066】
上述した実施の形態に置いて、負荷量は、アーム部角度測定センサ27から出力されたアーム部角度情報に含まれるアーム部26の角度毎にROM52に記憶された負荷量テーブルより、アーム部26の角度に相当する側面方向及び進行方向と反対方向の負荷量を読み出すことで算出するものとしたが、アーム部26の角度と負荷量との関係式をROM52に予め記憶し、この関係式とアーム部26の角度に基づいて負荷量を算出するものであってもよいし、負荷量を測定する負荷量測定センサを別途設けてもよい。いずれの場合も、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
上述した実施の形態で示すように、トレーニング分野、特に、腸腰筋及び内転筋群のトレーニング器具として利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
20…装着型トレーニング器具、22…腰装着部、23…腰装着部角度測定センサ、24…脚装着部、24a…右脚装着部、24b…左脚装着部、26…アーム部、26a…右アーム部、26b…左アーム部、27…アーム部角度測定センサ、27a…右アーム部角度測定センサ、27b…左アーム部角度測定センサ、28…回転体、30…負荷発生部、32…カム、32a…カム回転軸、34…負荷発生部角度測定センサ、40…誘導部、40a…突出部、50…制御ユニット、51…CPU、52…ROM、53…RAM、54…インタフェース、55…バス、60…スピーカ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9