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  • 特開-車両用シート 図1
  • 特開-車両用シート 図2
  • 特開-車両用シート 図3
  • 特開-車両用シート 図4
  • 特開-車両用シート 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170775
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/72 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
B60N2/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076953
(22)【出願日】2021-04-29
(71)【出願人】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】中村 隆
(72)【発明者】
【氏名】森田 嘉明
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BD13
(57)【要約】
【課題】車両がカーブする際の乗員の傾きを低減することで、快適な車両用シートを提供すること。
【解決手段】
車両用シートは、駆動手段34の駆動によって軸部材32を回動することにより、連結部材30が軸部材32の回動に伴って回動し、支持弾性部材28を上方又は下方に押圧する。このため、車両がカーブする方向と反対方向に軸部材32を回動することにより、乗員のカーブする方向への傾きを低減することができ、車両の走行に伴う揺動を低減し、乗員の快適さを向上する車両用シートを提供することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座するシートクッションを有する車両用シートであって、
前記シートクッションの前方下側に位置し、前記シートクッションを支持する前方支持部材と、
前記シートクッションの後方下側に位置し、前記シートクッションを支持する後方支持部材と、
前記前方支持部材と前記後方支持部材との間に設けられた一対の支持弾性部材と、
前記一対の支持弾性部材を連結する連結部材と、
前記連結部材と連接し、前記連結部材を回動する軸部材と、
車両の走行に関する情報に基づいて駆動することで、前記軸部材を回動する駆動手段と、
を備えたことを特徴とする、
車両用シート。
【請求項2】
前記連結部材は、前方側と後方側にそれぞれ1つずつ設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記軸部材は、前方側の端部で前記駆動手段と連接され、前記後方支持部材と連接しないことを特徴とする、
請求項1又は2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記駆動手段は、車両が左方向に旋回する際には前記連結部材の左側が上方向に移動する向きに前記軸部材を回動させ、車両が右方向に旋回する際には、前記連結部材の右側が上方向に移動する向きに前記軸部剤を回動させることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記車両の走行に関する情報は、前記車両に備えられた車輪の舵角に関する情報であることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着座乗員の車両左右方向の揺動を抑制することができる車両用シートが知られている。例えば、特許文献1では、右板材及び左板材と、左板材、右板材を支持する支持部材と、支持部材を連動させる連接部材とを有するスタビライザーを備えたシートクッションが記載されている。このシートクッションは、右板材と左板材とを連動させるスタビライザーをシートクッションに備えるため、着座乗員の車両左右方向の揺動を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-29181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用シートでは、弾性体の弾性力の範囲内でしか揺動を抑制することができず、揺動の抑制が十分ではないという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、車両の走行状況に即して、車両用シートの揺動を低減することで、乗員の快適さを向上することができる車両用シートを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の車両用シートは、
乗員が着座するシートクッションを有する車両用シートであって、
前記シートクッションの前方下側に位置し、前記シートクッションを支持する前方支持部材と、
前記シートクッションの後方下側に位置し、前記シートクッションを支持する後方支持部材と、
前記前方支持部材と前記後方支持部材との間に設けられた一対の支持弾性部材と、
前記一対の支持弾性部材を連結する連結部材と、
前記連結部材と連接し、前記連結部材を回動する軸部材と、
車両の走行に関する情報に基づいて駆動することで、前記軸部材を回動する駆動手段と、
を備えたことを特徴とする、
ものである。
【0008】
この車両用シートは、乗員が着座するシートクッションの前方下側から支持する前方支持部材と、後方下側から支持する後方支持部材とを備え、前方側支持部材と後方側支持部材との間には、一対の支持弾性部材を備えることで、着座した乗員を支持する。このとき、支持弾性部材は、連結部材によって連結されており、この連結部材は、車両の走行に関する情報に基づいて駆動する駆動手段が駆動することによって回動する軸部材と連接しているため、駆動手段の駆動により軸部材が右方向又は左方向回動するに伴い、連結部材が右方向又は左方向に揺動する。このように、連結部材を積極的に揺動させることで、シートクッションを揺動し、車両の走行に伴う揺動を低減し、乗員の快適さを向上させることができる。なお、以下の説明に置いて、前後左右とは、車両の進行方向側を「前」としてそれぞれの相対的な方向を示すものであり、絶対的な方向を意味するものではない。また、上下方向についても同様のものとする。
【0009】
本発明の車両用シートにおいて、前記連結部材は、前方側と後方側にそれぞれ1つずつ設けられていることを特徴としてもよい。こうすることにより、乗員がシートクッションに着座した際、乗員の尾底骨が前方側に設けられた連結部材と後方側の連結部材との間に位置することになり、連結部材が乗員の尾底骨の下方側に位置しない。こうすることにより、乗員が着座した際、乗員の骨が硬い連結部材と接触することによる不快感を低減し、乗員の快適さを向上させることができる。
【0010】
本発明の車両用シートに置いて、前記軸部材は、前方側の端部で前記駆動手段と連接され、前記後方支持部材と連接しないことを特徴としてもよい。こうすることにより、駆動手段によってシートクッションを左右方向に揺動させることに加え、乗員の自重や車両の走行状態により、シートクッションの後方側が弾性支持部材の弾性の範囲内で上下方向に移動することができ、乗員の快適さを向上することができる。
【0011】
本発明の車両用シートにおいて、前記駆動手段は、車両が左方向に旋回する際には前記連結部材の左側が上方向に移動する向きに前記軸部材を回動させ、車両が右方向に旋回する際には、前記連結部材の右側が上方向に移動する向きに前記軸部材を回動させることを特徴としてもよい。車両が左方向に旋回する際には、乗員が左方向に傾く方向に力が発生するが、連結部材の左側が上方に移動する方向に軸部材を回動することにより、乗員の左方向への傾きを低減し、乗員の快適さを向上させることができる。一方、車両が右方向に旋回する際には、乗員が右方向に傾く方向に力が発生するが、連結部材の右側が上方に移動する方向に軸部材を回動することにより、乗員の右方向への傾きを低減し、乗員の快適さを向上することができる。
【0012】
本発明の車両用シートにおいて、前記車両の走行に関する情報は、前記車両に備えられた車輪の舵角に関する情報であることを特徴としてもよい。車輪の舵角に関する情報を用いることで、車両が旋回することで加速度が発生する前に発生する加速度を予測することができるため、車輪の舵角情報を用いることにより、加速度により乗員が揺動する前に揺動を打ち消す方向に軸部材を回動させることができ、乗員の揺動を低減し、乗員の快適さを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、車両用シート20の構成の概略を示す斜視図である。
図2図2は、車両用シート20の内部構造の概略を示す斜視図である。
図3図3は、連結部材30及び支持弾性部材28の構成の概略を示す斜視図であり、(A)は上面視を、(B)は下面視を、それぞれ示す。
図4図4は、連結部材30が左右方向に揺動した状態を説明するための斜視図である。
図5図5は、連結部材30の後方側が下方に傾斜した状態を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態の一例として、車両用シート20について詳しく説明する。以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号を付す。また、車両用シート20の動きの一例を示すことで、本発明の車両用シートの使用態様の一例も明らかにする。
【0015】
本発明の実施の形態の一例である車両用シート20は、図1及び図2に示すように、乗員が着座するシートクッション22と、シートクッションの前方側を下方から支持する前方支持部材24と、シートクッションの後方側を下方から支持する後方支持部材26と、前方支持部材24と後方支持部材26との間に設けられた一対の支持弾性部材28a及び28b(図3参照,以下、「支持弾性部材28」とも言う。)と、支持弾性部材を連結する連結部材30a及び30b(以下、「連結部材30」とも言う。)と、連結部材30と連接し、回動に伴って連結部材30を揺動する軸部材32(図3参照)と、軸部材32を回動可能に連接する駆動手段34(図3参照)と、を備えている。この車両用シート20は、車両の走行に関する情報に基づいて駆動手段34を駆動すると、駆動手段34の駆動に伴って軸部材32が回動し、連結部材30を揺動する。そして、連結部材30の揺動に伴って支持弾性部材28が揺動することでシートクッション22を揺動させることができるため、車両の走行に関する情報に基づいてシートクッション22を揺動させることで、車両の走行に伴う乗員の揺動を低減し、快適さを向上することができる。このとき、連結部材30の一端側が支持弾性部材28aに連結され、他端側が支持弾性部材28bに連結されることで、連結部材30がスタビライザーとしての役割を果たすため、カーブを走行する際、座面の安定性を高め、乗員の快適さを向上することができる。
【0016】
シートクッション22は、図示しない一対のスライドレール上に車両の前後方向に移動可能に取り付けられており、上面後方側には、シートバック21が取り付けられた公知のシートクッションである。このシートクッション22は、図示しない一対のスライドレール上の設けられたシートフレーム23によって支持される
【0017】
前方支持部材24は、図2に示すように、シートフレーム23の前方であって左右側にそれぞれ両端が取り付けられた金属製の部材であり、シートクッション22の前方側を下方向から支持する部材である。
【0018】
後方支持部材26は、シートフレーム23の後方であって左右側にそれぞれ両端が取り付けられた金属製の部材であり、シートクッション22の後方側を下方向から支持する部材である。
【0019】
支持弾性部材28は、図2及び図3に示すように、一方端側が前方支持部材24に、他方端側が後方支持部材26に、それぞれ固定され、左方向及び右方向に交互に連続して湾曲する略S字形状の弾性部材であり、シートクッション22を下方から支持する。この支持弾性部材28は、シートフレーム23の中央部を挟み、右側方向に支持弾性部材28aが、左側方向に支持弾性部材28bが、それぞれ設けられている。こうすることにより、シートクッション22を左右両側から支持することができる。なお、ここで弾性体しては、例えば、公知のSバネ(S字バネ)を用いることができる。
【0020】
連結部材30aは、連結部材30bよりも前方側に設けられ、前方側が上方向に傾斜する形状に形成された金属製の板状部材である。こうすることにより、乗員が着座した際、臀部を低い位置で、膝に近い位置を高い位置で支えることができるため、乗員が着座した際のシートクッションとの密着性を高め、快適性を高めることができる。また、この連結部材30aは、一方端側が支持弾性部材28aの上面に、他方端側が支持弾性部材28bの上面に、それぞれ固定されており、連続して湾曲する支持弾性部材28の互いの間隔が短い位置(支持弾性部材28の互いの位置が近い位置)に固定されている。こうすることにより、連結部材30aのスタビライザーとしての役割を高めることができる。また、連結部材30aの裏面側中央部には、軸部材32が貫通する貫通孔31aが設けられており、軸部材32が貫通孔31aに固定されている。こうすることにより、駆動手段34の駆動に伴って軸部材32が右方向又は左方向に回動した際には、軸部材32の回動に伴って、連結部材30aも回動する。例えば、軸部材32が反時計回りに回動した際には、図4に示すように、連結部材30aも反時計回り方向(左側が上方に移動する方向)に回動することになり、支持弾性部材28aが上方向に、支持弾性部材28bが下方向にそれぞれ押圧することができる。
【0021】
連結部材30bは、連結部材30aよりも後方側に設けられた金属製の板状部材である。この連結部材30bは、一方端側が支持弾性部材28aの上面に、他方端側が支持弾性部材28bの上面に、それぞれ固定されており、連続して湾曲する支持弾性部材28の互いの間隔が短い位置(支持弾性部材28の互いの位置が近い位置)に固定されている。こうすることにより、連結部材30aのスタビライザーとしての役割を高めることができる。また、連結部材30aの裏面側中央部には、軸部材32が挿入可能な挿入穴31bが設けられており、軸部材32が挿入穴31bに固定されている。こうすることにより、駆動手段34の駆動に伴って軸部材32が右方向又は左方向に回動した際には、軸部材32の回動に伴って、連結部材30ab回動する。例えば、軸部材32が反時計回りに回動した際には、図4に示すように、連結部材30bも反時計回り方向(左側が上方に移動する方向)に回動することになり、支持弾性部材28aが上方向に、支持弾性部材28bが下方向にそれぞれ押圧することができる。
【0022】
このように、連結部材30は、支持弾性部材28の中央より前方側に連結部材30aが、後方側に連結部材30bがそれぞれ固定されることにより、シートクッション22に乗員が着座した際、乗員の臀部の前方側に連結部材30aが、後方側に連結部材30bがそれぞれ位置することになり、乗員の骨が連結部材30と当接する可能性を未然に低減することができる。乗員の骨が硬質の連結部材30と当接すると、乗員の快適性を損ねる原因となる場合があるため、連結部材30を支持弾性部材28の前方側と後方側にそれぞれ位置することにより、乗員の快適さを向上させることができる。
【0023】
軸部材32は、金属製の棒状部材であり、前方側で駆動手段34と連接された状態で、支持弾性部材28aと支持弾性部材28bとの間の位置に設けられており、連結部材30とそれぞれ連接されている。こうすることにより、車両の走行に関する情報に基づいて駆動手段34が駆動すると、駆動手段34の駆動に伴って軸部材32が回動し、軸部材32の回動に伴って連結部材30が揺動し、連結部材30の揺動に伴って、支持弾性部材28が上下に移動する。例えば、車両が左方向にカーブした走行路を走行する際には、図4に示すように、軸部材32を反時計回り方向に回動することにより、連結部材30の左側が上方向に移動し、乗員の左方向への傾きを軽減し、乗員の快適さを向上することができる。
【0024】
また、軸部材32の後方側は、連結部材30bの挿入穴31bに挿入されており、後方支持部材26に固定されていない。このため、シートクッション22に乗員が着座した際、乗員の自重により、支持弾性部材28の弾性力の範囲内で、下方向に傾くことになる(図5参照)。このように、軸部材32の後方側を後方支持部材26と連結しないことで、シートクッション22の後方側が上下方向に移動することが可能となり、乗員の快適さを向上することができる。
【0025】
駆動手段34は、例えば、公知の電動モータであり、軸部材32の表面と嵌合した状態又は軸部材32に固定されたギアに嵌合した状態で軸部材32と連接する。こうすることにより、駆動手段34を駆動させることで軸部材32を回動させることができ、駆動手段34の駆動方向を制御することで、軸部材32の回動方向を制御することができる。このとき、駆動手段34は、車両の走行に関する情報に基づいて駆動の有無及び駆動方向が制御される。具体的には、車両が左方向にカーブして走行する際には、軸部材32が連結部材30の左側を上方向に回動する方向(前方から見て反時計回りの方向)に回動する方向に駆動手段34の駆動が制御される。こうすることにより、車両が左方向にカーブして走行する際には、駆動手段34によって軸部材32が連結部材30の左側を上方向に回動する方向に回動し、支持弾性部材28aが上方向に移動することで、乗員の姿勢が左方向に傾くことを未然に防止し、乗員の快適さを向上させることができる。なお、ここで、車両の走行に関する情報とは、例えば、車両に備えられた車輪の舵角に関する情報を用いることができる。車輪の舵角に関する情報を車両の走行に関する情報として用いることで、近い未来の車両の旋回方向に関する上方が得られるため、旋回に伴って生じる力によって乗員が左右いずれの方向に傾く前に、乗員の傾きを打ち消す方向に連結部材30を回動させることができるため、乗員の傾きを未然に低減し、快適さを向上させることができる。また、左方向に湾曲する際の動きを説明したが、右方向に湾曲する際の動きも同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0026】
以上詳述した実施の形態の車両用シート20によれば、駆動手段34の駆動によって軸部材32を回動することにより、連結部材30が軸部材32の回動に伴って回動し、支持弾性部材28を上方又は下方に押圧する。このため、車両がカーブする方向と反対方向に軸部材32を回動することにより、乗員のカーブする方向への傾きを低減することができ、車両の走行に伴う揺動を低減し、乗員の快適さを向上することができる。
【0027】
また、連結部材30は、シートクッション22の中央より前方側と後方側にそれぞれ1つずつ設けられているため、乗員がシートクッション22に着座した際、乗員の尾底骨が連結部材30aと連結部材30bとの間に位置することになり、連結部材30が乗員の尾底骨の下方側に位置することがなく、乗員の骨が連結部材30と当接する可能性を未然に低減し、乗員が不快を感じる可能性を未然に低減することができる。
【0028】
更に、軸部材32は、前方側の端部で駆動手段34と連接され、後方支持部材26と連接しないため、駆動手段34によってシートクッション22を左右方向に揺動させることに加え、乗員の自重や車両の走行状態により、シートクッション22の後方側が支持弾性部材28の弾性の範囲内で上下方向に移動することができ、乗員の快適さを向上することができる。
【0029】
更にまた、駆動手段34は、車両が左方向に旋回する際には連結部材30の左側が上方向に移動する向きに軸部材32を回動させ、車両が右方向に旋回する際には、連結部材30の右側が上方向に移動する向きに軸部材32を回動させる。車両が左方向にカーブして走行する際には、駆動手段34によって軸部材32が連結部材30の左側を上方向に回動する方向に回動し、支持弾性部材28aが上方向に移動することで、乗員の姿勢が左方向に傾くことを未然に防止し、乗員の快適さを向上させることができる。なお、右方向にカーブして走行する場合も、同様である。
【0030】
そして、車両の走行に関する情報として、車両に備えられた車輪の舵角に関する情報を用いることで、車両が旋回することで加速度が発生する前に発生する加速度を予測することができるため、加速度により乗員が揺動する前に揺動を打ち消す方向に軸部材32を回動させることができ、乗員の揺動を低減し、乗員の快適さを向上することができる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0032】
例えば、上述した実施の形態では、車両の走行に関する情報とは、車両に備えられた車輪の舵角に関する情報としたが、車両の走行に関する情報であればこれに限定されるものではなく、例えば、車両に備えられた撮影手段によって撮影された撮影情報や車両の位置情報に基づいて導かれる車両の走行ルートに関する情報であってもよい。いずれの場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
上述した実施の形態で示すように、車両用シート分野、特に、左右方向に揺動可能な車両用シートとして利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
20…車両用シート、21…シートバック、22…シートクッション、23…シートフレーム、24…前方支持部材、26…後方支持部材、28…支持弾性部材、28a…支持弾性部材、28b…支持弾性部材、30…連結部材、30a…連結部材、30b…連結部材、31a…貫通孔、31b…挿入穴、32…軸部材、34…駆動手段。
図1
図2
図3
図4
図5