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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170779
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20221104BHJP
   F24F 3/147 20060101ALI20221104BHJP
   F24F 3/153 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
B01D53/26 220
F24F3/147
F24F3/153
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076967
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】390020215
【氏名又は名称】株式会社西部技研
(72)【発明者】
【氏名】金 偉力
【テーマコード(参考)】
3L053
4D052
【Fターム(参考)】
3L053BC09
4D052CB00
4D052DA03
4D052DA06
4D052DB01
4D052DB04
4D052FA05
4D052GA04
4D052GB01
4D052HA03
4D052HA21
4D052HA36
4D052HA49
(57)【要約】
【課題】再生ゾーンに投入するエネルギーが少なくても、十分に脱着を行う事ができ、消費エネルギーの少ないガス処理装置を提供する。
【解決手段】吸着ロータ1をその回転方向に対して順番に、少なくとも吸着ゾーン2、予熱ゾーン5、再生ゾーン4、冷却ゾーン3に分割し、吸着ゾーン2と冷却ゾーン3に同じ流れ方向に処理ガスを通し、吸着ゾーン2を通過したガスを供給ガスとして供給先へ供給し、冷却ゾーン3を通過したガスを予熱ゾーン5に処理ガスと同じ流れ方向に通過させ、予熱ゾーン5を通過したガスを外気と混合して再生ヒータ8へ通過させ、再生ガスとして処理ガスの流れ方向と反対方向に再生ゾーン4に通過させるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤の担持された吸着ロータを有し、前記吸着ロータの回転方向に対し少なくとも吸着ゾーン、予熱ゾーン、再生ゾーン、冷却ゾーンに分割し、前記吸着ゾーンと前記冷却ゾーンに処理ガスを通し、前記吸着ゾーンを通過したガスを供給ガスとして供給先へ供給し、前記冷却ゾーンを通過したガスを前記予熱ゾーンに通過させ、前記予熱ゾーンを通過したガスを外気と混合して再生ヒータへ通過させ、再生ガスとして前記再生ゾーンに通し、前記吸着ロータに吸着した吸着対象物を脱着させるようにしたことを特徴とするガス処理装置。
【請求項2】
前記ガス処理装置において、前記吸着ゾーンと前記冷却ゾーンに前記処理ガスを同じ流れ方向に通過させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のガス処理装置。
【請求項3】
前記ガス処理装置において、前記予熱ゾーンに前記冷却ゾーンを通過したガスを前記処理ガスと同じ流れ方向に通過させるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載のガス処理装置。
【請求項4】
前記ガス処理装置において、前記再生ゾーンに前記再生ガスを前記処理ガスと反対方向に通過させるようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のガス処理装置。
【請求項5】
前記ガス処理装置において、前記冷却ゾーン及び前記予熱ゾーンを通過するガスの流れ方向を共に前記再生ガスの流れ方向と反対にするようにしたことを特徴とする請求項1に記載のガス処理装置。
【請求項6】
前記冷却ゾーンを通過するガスの量を前記再生ゾーンを通過するガスの量の3分の2以下にしたことを特徴とする請求項1に記載のガス処理装置。
【請求項7】
前記ガス処理装置において、前記再生ゾーンを通過したガスを外部に放出する再生ファンと、前記処理ガスを前記吸着ゾーンおよび前記冷却ゾーンへ送る処理ファンを有するようにしたことを特徴とする請求項1から6いずれか一項に記載のガス処理装置。
【請求項8】
前記ガス処理装置において、前記吸着ゾーンが陽圧になるように前記処理ファンを前記吸着ロータの前記吸着ゾーン入口側に設置し、前記再生ゾーンが陰圧になるように前記再生ファンを前記吸着ロータの前記再生ゾーン出口側に設置したことを特徴とする請求項7に記載のガス処理装置。
【請求項9】
前記ガス処理装置において、顕熱交換器を設けて、前記再生ゾーンの出口排気と、前記再生ゾーンへ導入する外気、及び/又は前記予熱ゾーンを出て外気と混合される前のガス、及び/又は前記予熱ゾーンを出て外気と混合した後に前記再生ファンへ流れるガスとの間で熱交換するようにしたことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費エネルギーの少ないガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス処理装置の一つとして、吸着式除湿装置は冷凍式除湿装置と比較して露点の低い空気の供給ができるため、特に低露点の空気を必要とする製薬やリチウム電池などのプラントで普及している。この普及とともに、消費エネルギーの削減の要請も強くなり、種々の改良がなされている。
【0003】
消費エネルギーの削減手段の一つに、再生ゾーンの後にパージゾーンを設け、余剰の脱着エネルギーを回収する手段がある。特許文献1及び特許文献2に記載のものは、パージゾーン(第1パージ領域)に加えて予熱ゾーン(第2パージ領域)を設けている(吸着ロータの各ゾーンの呼称は色々あるため、吸着処理を行うゾーンについては「吸着ゾーン」に、再生或いは脱着を行うゾーンについては「再生ゾーン」と統一する)。
【0004】
特許文献1に記載のものは、予熱ゾーン(第2パージ領域)を出た空気とパージゾーン(第1パージ領域)を出た空気とを交互に通過するように空気を循環させ、除湿されて湿分が低くなっている処理済空気の一部を再生用空気として使用するようにしており、再生用空気を加熱するための所要エネルギーや、処理空気を除湿処理前に冷却しておくための所要エネルギー等を少なくして、システム全体の消費エネルギーを低く抑えている。除湿がなされた後の処理済空気の一部を前記再生用空気として吸着剤ロータに送る再生用空気流路が設けられた除湿がなされた後の処理済空気の一部を前記再生用空気として吸着剤ロータに送る再生用空気流路が設けられた
【0005】
特許文献2に記載のものは、パージゾーンを通過することによって温度の上昇した空気によって除湿ロータを予熱するため、再生ゾーンに投入するエネルギーが少なくても、十分に脱着を行う事ができ、省エネルギー効果が高い。
【0006】
以上のように各特許文献には、再生ゾーンの前後に設けたゾーンによって、省エネルギーを実現し、効率を向上させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6839235号公報
【特許文献2】特許第5805978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のものは、第1パージ領域と第2パージ領域とを交互に空気を循環させるため、循環用ファン(パージファン)が必要である。また、第2パージ領域に空気を入れる前に予熱ヒータを設けているため、第2パージ領域に対する予熱効果が高められるが、第1パージ領域への冷却効果が犠牲になり、システム全体の除湿性能向上効果が期待できない。
【0009】
特許文献2に記載のものは、パージゾーン、予熱ゾーン、再生ゾーンをそれぞれ通過する空気の風量が同じであるため、再生に必要最適な風量と、パージに必要最適な風量とが異なる場合には何れかを犠牲にしなければならず、最大の除湿性能が発揮できない場合がある。
【0010】
このような実情に鑑み、本発明の解決しようとする課題は、上記の文献に開示された技術以上に、より省エネルギーの効果が求められており、それを実現しようとする点である。なお、本願ではガス中の湿分を吸着する吸着剤を用いた除湿を主に説明するが、これに限定されるものでは無く、吸着剤を揮発性有機化合物(VOC)を吸着するゼオライトや活性炭などにすることにより、VOCを吸着対象物にすることができる。また、吸着剤をアミン担持固体吸収剤や銅触媒などにすることにより、二酸化炭素や酸素を吸着対象物にすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、 吸着剤の担持された吸着ロータを有し、前記吸着ロータの回転方向に対し少なくとも吸着ゾーン、予熱ゾーン、再生ゾーン、冷却ゾーンに分割し、前記吸着ゾーンと前記冷却ゾーンに同じ流れ方向に処理ガスを通し、前記吸着ゾーンを通過したガスを供給ガスとして供給先へ供給し、前記冷却ゾーンを通過したガスを前記予熱ゾーンに前記処理ガスと同じ流れ方向に通過させ、前記予熱ゾーンを通過したガスを外気と混合して再生ヒータへ通過させ、再生ガスとして前記処理ガスの流れ方向と反対方向に前記再生ゾーンに通過させ、前記吸着ロータに吸着した吸着対象物を脱着させ前記再生ガスを再生ファンによって外部に放出し、前記処理ガスを前記吸着ロータの前記吸着ゾーンおよび前記冷却ゾーンへ送る処理ファンを有するようにしたことを特徴とする
【発明の効果】
【0012】
本発明のガス処理装置は、冷却ゾーンを通過することによって温度の上昇したガスによって吸着ロータを予熱するため、再生ゾーンに投入するエネルギーが少なくても、十分に再生を行うことができ、省エネルギーに貢献するという利点がある。
【0013】
本発明の構成であると、吸着ゾーンに流れるガスを送る処理ファンと、冷却ゾーンを通過したガスを予熱ゾーンに通過させ、予熱ゾーンを通過したガスを再生ゾーンに通すためのガスを送る再生ファンとの2つのファンで良いため、コストの上昇も少なくて済む。
【0014】
最も吸着対象物濃度の高いガスが通るゾーンである再生ゾーンを挟むように、予熱ゾーンと冷却ゾーンとが設けられているため、再生ゾーンからガスの漏れが生じても、漏れたガスが吸着ゾーンに入ることがない。これによって、万一再生ゾーンからの漏れが生じても、吸着ゾーンを出たガスの清浄度は低く維持される。
【0015】
さらに、再生ゾーンを通過した吸着ロータは温度が高く、そのまま吸着ゾーンに入ると、吸着を妨害する。そこで、再生ゾーンの後、吸着ゾーンの前に冷却ゾーンを設けることで温度や吸着対象物濃度の高い部分のガスがパージされる。一方、吸着ゾーンの終わり部分は吸着飽和に近づくため、吸着対象物濃度が徐々に高くなる。従って、吸着ゾーンの後、再生ゾーンの前に予熱ゾーンを設けて、吸着対象物濃度の高いガスを吸着出口ガスからカットして再生ガスとして使用することができる。
【0016】
さらに吸着ゾーンを陽圧、再生ゾーンを陰圧になるようにファンを設置すれば、各ゾーンに漏れが生じても、再生ゾーンを出たガスが吸着ゾーンに入ることは無く、吸着ゾーンを出て低減された吸着対象物のガス濃度が、漏れによって上昇することがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の実施例1に係るガス処理装置のガスの流れを示したフロー図である。
図2図2は処理ガスの流れ方向から見た吸着ゾーン入口側の吸着ロータのゾーン分割を示す図である。
図3図3は処理ガスの流れ方向から見た吸着ゾーン出口側の吸着ロータのゾーン分割を示す図である。
図4図4は本発明のガス処理装置の別の例を示したフロー図である。
図5図5は本発明のガス処理装置の別の例を示したフロー図である。
図6図6は本発明のガス処理装置の別の例を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、吸着ロータをその回転方向に対して順番に、少なくとも吸着ゾーン、予熱ゾーン、再生ゾーン、冷却ゾーンに分割し、吸着ゾーンと冷却ゾーンに同じ流れ方向に処理ガスを通し、吸着ゾーンを通過したガスを供給ガスとして供給先へ供給し、冷却ゾーンを通過したガスを予熱ゾーンに処理ガスと同じ流れ方向に通過させ、予熱ゾーンを通過したガスを外気と混合して再生ヒータへ通過させ、再生ガスとして処理ガスの流れ方向と反対方向に再生ゾーンに通過させるようにしたため、省エネルギーという目的を、最小の部品点数で実現した。
【実施例0019】
図1は本発明のガス処理装置のガスの流れを示したフロー図である。1は吸着ロータで、これは既に多くの公知資料があるものである。この吸着ロータ1は、吸着ゾーン2、冷却ゾーン3、再生ゾーン4、予熱ゾーン5に分割されている。
【0020】
図2に示すように、各ゾーンは例えば、吸着ゾーン2:冷却ゾーン3:再生ゾーン4:予熱ゾーン5=6:1:2:1のように分割されている。図3に示すように、吸着ロータ1は矢印方向に回転する。
【0021】
処理ファン6は、吸い込み側が外気OA及び/又は供給先からの還気RAに連通し、吐き出し側が吸着側管路Cおよび管路Dを介して吸着ロータ1の吸着ゾーン2に接続されている。吸着ゾーン2は供給側管路Eを介して、ドライルームなどの供給先に接続され、これによって供給ガスSAは供給先に送られる。
【0022】
Fは冷却管路であり、吸着側管路Cから分岐され、冷却ゾーン3に連通している。冷却ゾーン3の出口には戻り管路Gが接続され、戻り管路Gの出口は予熱ゾーン5の入口に連通している。
【0023】
予熱ゾーン5の出口にはヒータ管路Hが接続される。ヒータ管路Hは外気混合管路Iと接続し、外気混合管路Iは再生ヒータ8に接続する。再生側管路Jは再生ゾーン4に連通する。再生ゾーン4の出口は再生ファン7の吸い込み側と連通し(管路K)、再生ファン7の吐き出し側から出るガスは排気EAとして大気放出される。
【0024】
本発明の実施例1のものは、以上のように構成され、以下のとおり動作する。つまり、処理ファン6によって処理ガスが吸着ゾーン2を通過する時に、処理ガス中の吸着対象物が吸着ロータ1に吸着され、清浄ガスとなる。この清浄ガスは、供給側管路Eを介して供給ガスSAとして、ドライルームなどの供給先に供給される。
【0025】
処理ガスの一部は分岐されて、冷却管路Fに流される。冷却ゾーン3は、再生ゾーン4の直後であり、温度が高い。このため、冷却管路Fに流される処理ガスの一部によって、冷却ゾーン3は冷却される。吸着ロータ1は冷却ゾーン3で冷却されて、吸着ゾーン2に移行するため、吸着効果が高くなる。
【0026】
冷却ゾーン3を通過したガスは逆に温度が上昇しており、このガスは戻り管路Gを通過して、処理ガスと同じ流れ方向に予熱ゾーン5に入る。予熱ゾーン5は、吸着ゾーン2の直後であり、吸着熱以外の熱供給がないため、それほど温度が高くない。よって吸着ロータ1は、予熱ゾーン5で冷却ゾーン3を通過したガスによって加熱され予熱された状態となる。
【0027】
予熱ゾーン5を通過したガスは、外気OA(供給先からの還気RAや吸着ゾーン2を通過した供給ガスSAの一部、再生ゾーン4を出た再生ガスの一部も含む)と混合され、再生ガスとして再生ヒータ8によって加熱される。再生ガスは処理ガスの流れ方向と反対方向に再生ゾーン4に入り、この部分を加熱して、吸着ロータ1に吸着された吸着対象物を脱着する。この脱着によって温度が下がるとともに、吸着対象物で濃度の高まったガスは再生ファン7によって排気EAとして大気放出される。
【0028】
上記の説明で、予熱ゾーン5に入ったガスが失う熱エネルギーの分だけ、再生ヒータ8で余計に加熱する必要がある。このため、一見すると、エネルギーの節約になっていないように見える。しかしながら、吸着ロータ1に吸着された吸着対象物を十分に脱着するためには、吸着ロータ1の温度を十分に上げる必要がある。
【0029】
温度の高いガスの持つ熱エネルギーによって固体が加熱される場合、熱移動のための時間が必要である。この点において、本発明のものは、吸着ロータ1は予熱ゾーン5を通過するガスで先ず熱交換を行い、再生ゾーン4を通過するガスで、再度の熱交換を行う。これによって、吸着ロータ1の加熱時間、即ち熱交換の時間が長くなる。つまり、予熱ゾーン5がない場合に、予熱ゾーン5があるものと同じ温度まで吸着ロータ1の温度を上げるには、再生ヒータ8を出るガスの温度を、より高くする必要がある。
【0030】
即ち、予熱ゾーン5がないと、再生ゾーン4に入るガスの温度を高くする必要があり、さらに再生ゾーン4を出るガスの温度も高くなる。このため、脱着に必要とするエネルギーが高くなるとともに、無駄にエネルギーが放出される。
【0031】
再生ゾーン4を出るガスの温度が高いと、再生ファン7として耐熱性の高いものを用いる必要があり、さらに再生ファン7を駆動するモータのベアリングの潤滑油が消耗するなど、初期費用だけでなく、維持のための費用も大きくなる。
【0032】
本発明では、再生ガスとして予熱ゾーンを通過したガスを外気OAと混合するため、再生に必要最適な風量と、冷却(予熱)に必要最適な風量とが異なる場合でも再生に最適な風量を調整することができる。例えば、冷却ゾーンを通過するガスの量を再生ゾーンを通過する再生ガスの量の3分の2以下とするようにしてもよい。
【0033】
そもそも、予熱ゾーンの無い、公知技術である吸着ゾーン、パージゾーン、再生ゾーンのみからなる吸着ロータに比べて、本発明では予熱ゾーンにおいて再生前の吸着ロータの余熱が行われるため、より少ない再生ガス風量で再生を行うことができる。しかしながら、再生に必要最適な風量と、冷却(予熱)に必要最適な風量とは基本的に異なるし、特に夏期や冬期では外気負荷も異なり、再生ガス風量の最適化を図ることは難しい。そこで、再生ガスとして予熱ゾーンを通過したガスを外気OAと混合することで、冷却(予熱)風量と外気OA導入量を機微に調整できる意義は大きい。なお、冷却(予熱)最適風量と再生最適風量が等しい場合は、外気OA導入量をゼロとしてもよい。
【0034】
吸着ロータは回転に伴い、吸着ゾーン出口側では、吸着熱によって温度が高まった状態で予熱ゾーンに回転移行するが、吸着ゾーン入口側では、温度の低いまま予熱ゾーンに入る。そこで、冷却ゾーンを出たガス、即ち冷却ゾーンを通過する際の吸着熱および冷却ゾーンに残留していた再生時の熱によって温度が高まったガスを、処理ガスと同じ流れ方向で予熱ゾーンを予熱すれば、予熱ゾーン入口側(=再生ゾーン出口側)における予熱効果が一層高まる。冷却ゾーンを通過して温度の高まったガスを予熱ゾーンに供給することで、予熱用のガスの温度も高くすることができる。これにより、吸着ロータ自体の温度が高まり、再生ゾーンおける脱着量の増加が見込まれ、再生ヒータの消費エネルギーも低減できる。
【0035】
冷却ゾーンでは、処理ガスをそのまま処理ガスと同じ流れ方向に通すので、吸着ゾーンを通過したガスを冷却ゾーンに用いる場合に比べて、温度の低いガスで吸着ロータを冷却でき、冷却効果が一層高まる。処理ガスと同じ流れ方向に(吸着ゾーン入口側から)冷却ゾーンにガスを流すことにより、処理ガスが吸着ロータ端面に当たり、ロータのフルート内の流れが乱流になり、吸着剤と吸着対象物の接触の機会が増え、吸着剤の冷却効果による吸着量の増大効果も期待できる。
【0036】
吸着ロータは再生ゾーンから冷却ゾーンに回転移行する際、冷却ゾーン出口側(=再生ゾーン入口側)の温度は高く、冷却ゾーン入口側(=再生ゾーン出口側)の温度は低い。冷却ゾーンに温度の低い処理ガスを処理ガスと同じ流れ方向に通すことで、この吸着ロータの幅方向の温度勾配を保ったまま、吸着ロータ全体の温度を下げることができる。予熱ゾーンにおいても、処理ガスと同じ流れ方向にガスを通せば、吸着ロータの幅方向の温度勾配を保ったまま吸着ロータを予熱することができる。
【0037】
吸着ゾーン、予熱ゾーン、冷却ゾーンいずれも同じ流れ方向にガスを通すことで、再生ゾーンを出た吸着対象物濃度の高いガスが吸着ゾーンに入ることは無く、吸着ゾーンを出た清浄ガスへの漏れによる影響は一層低減される。
【0038】
なお、吸着ゾーン2に通す処理ガスの一部を分岐して冷却ゾーン3に入れるが、吸着ゾーン2および冷却ゾーン3の入口側ではゾーン間を分割するための仕切り板を設けずともよく、コスト削減になる。
【0039】
さらに、顕熱交換器9を設けて、再生ゾーン出口排気EAと再生ゾーンへ導入する外気OAを熱交換することで、更なる省エネルギーを図ることができる(図4)。なお、顕熱交換は再生ゾーン出口排気EAと予熱ゾーンを出て外気OAと混合される前のガスとの間で行ってもよいし(図5)、あるいは予熱ゾーンを出て外気OAと混合した後に再生ファンへ流れるガスとの間でも行ってもよく(図6)、任意にこれらを組み合わせてもよい。
【0040】
実施例1に係る空気中の水を吸着除湿する場合の運転条件の一例を表1に示す。
【表1】
【0041】
以上のように、吸着ロータ1をその回転方向に対して順番に、少なくとも吸着ゾーン2、予熱ゾーン5、再生ゾーン4、冷却ゾーン3に分割し、吸着ゾーン2と冷却ゾーン3に同じ流れ方向に処理ガスを通し、吸着ゾーン2を通過したガスを供給ガスとして供給先へ供給し、冷却ゾーン3を通過したガスを予熱ゾーン5に処理ガスと同じ流れ方向に通過させ、予熱ゾーン5を通過したガスを外気と混合して再生ヒータ8へ通過させ、再生ガスとして処理ガスの流れ方向と反対方向に再生ゾーン4に通過させるようにしたため、再生ゾーン4を通過したガスの温度を低くしても、十分に除去性能を発揮する事ができ、省エネルギー効果が高い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
吸着ロータを用いるガス処理装置において、吸着対象物除去能力を損なうことなく消費エネルギーを少なくする事ができる。
【符号の説明】
【0043】
1 吸着ロータ
2 吸着ゾーン
3 冷却ゾーン
4 再生ゾーン
5 予熱ゾーン
6 処理ファン
7 再生ファン
8 再生ヒータ
9 顕熱交換器
図1
図2
図3
図4
図5
図6