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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170783
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】無線電力伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/50 20160101AFI20221104BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20221104BHJP
   H01Q 3/02 20060101ALI20221104BHJP
   H01Q 3/16 20060101ALI20221104BHJP
   H01Q 3/14 20060101ALI20221104BHJP
   H01Q 3/30 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
H02J50/50
H02J50/20
H01Q3/02
H01Q3/16
H01Q3/14
H01Q3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076977
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】皆川 俊介
(72)【発明者】
【氏名】中山 靖章
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA02
5J021AB05
5J021AB06
5J021AB07
5J021BA01
5J021BA03
5J021CA06
5J021DA02
5J021DA03
5J021DB03
5J021GA02
(57)【要約】
【課題】電磁波の伝送方向の変更が容易にできる無線電力伝送システムを提供する。
【解決手段】本発明による無線電力伝送システムは、送電装置100と中継装置300と受電装置200を備える。中継装置300は、送電装置100の送電アンテナ102から放射された電磁波を受信する第1の中継アンテナ301と、第1の中継アンテナ301に接続され、電磁波を伝送する伝送方向調整経路部302と、伝送方向調整経路部302に接続され、電磁波を放射する第2の中継アンテナ303と、伝送方向調整経路部302を駆動する方向調整機構306を備える。伝送方向調整経路部302は、第1の中継アンテナ301に接続された受電部302aと、第2の中継アンテナ303に接続された送電部302bを備え、送電部302bが方向調整機構306に駆動されて受電部302aに対して移動可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置と、中継装置と、受電装置とを備え、
前記送電装置は、電磁波を放射する送電アンテナを備え、
前記中継装置は、
前記送電アンテナから放射された前記電磁波を受信する第1の中継アンテナと、
前記第1の中継アンテナに接続され、前記電磁波を伝送する伝送方向調整経路部と、
前記伝送方向調整経路部に接続され、前記電磁波を放射する第2の中継アンテナと、
前記伝送方向調整経路部を駆動する方向調整機構と、
を備え、
前記受電装置は、前記第2の中継アンテナが放射した前記電磁波を受信する受電アンテナを備え、
前記伝送方向調整経路部は、
前記第1の中継アンテナに接続された受電部と、
前記第2の中継アンテナに接続された送電部と、
を備え、
前記送電部が前記方向調整機構に駆動されて前記受電部に対して移動可能である、
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項2】
前記伝送方向調整経路部は、
剛体で構成された導波路と、
移動可能なレンズと移動可能な反射鏡との少なくとも一方と、
を備える、
請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項3】
前記導波路は、2つの金属導波管であり、
前記伝送方向調整経路部は、2つの前記金属導波管の間に位置する空洞部を備え、
前記レンズと前記反射鏡との少なくとも一方を、前記空洞部に備える、
請求項2に記載の無線電力伝送システム。
【請求項4】
前記伝送方向調整経路部は、可撓性部材で構成された導波路を備える、
請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項5】
前記送電装置は、
複数の前記送電アンテナで構成された第1のフェーズドアレーアンテナと、
複数の前記送電アンテナが放射する前記電磁波の位相を制御する移相器と、
を備え、
前記中継装置は、
複数の前記第2の中継アンテナで構成された第2のフェーズドアレーアンテナと、
複数の前記第2の中継アンテナが放射する前記電磁波の位相を制御する移相器と、
を備える、
請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項6】
前記中継装置は、前記送電アンテナに対する前記第1の中継アンテナの位置を調整するアライメント調整器と、前記受電アンテナに対する前記第2の中継アンテナの位置を調整するアライメント調整器との少なくとも一方を備える、
請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項7】
前記中継装置は、前記第1のフェーズドアレーアンテナに対する前記第1の中継アンテナの位置を調整するアライメント調整器と、前記受電アンテナに対する前記第2のフェーズドアレーアンテナの位置を調整するアライメント調整器との少なくとも一方を備える、
請求項5に記載の無線電力伝送システム。
【請求項8】
前記アライメント調整器は、レーザ装置を備える、
請求項6または7に記載の無線電力伝送システム。
【請求項9】
前記アライメント調整器は、カメラを備える、
請求項6または7に記載の無線電力伝送システム。
【請求項10】
前記導波路は、同軸ケーブルである、
請求項4に記載の無線電力伝送システム。
【請求項11】
前記導波路は、誘電体導波管である、
請求項4に記載の無線電力伝送システム。
【請求項12】
前記伝送方向調整経路部は、
前記レンズと前記反射鏡を備え、
前記電磁波の伝送方向を変える角度に応じて前記レンズと前記反射鏡の一方を用いて、前記電磁波の伝送方向を変える、
請求項2に記載の無線電力伝送システム。
【請求項13】
前記伝送方向調整経路部は、
前記レンズと前記反射鏡を備え、
前記伝送方向調整経路部を伝搬する前記電磁波のビーム径に応じて前記レンズと前記反射鏡の一方を用いて、前記電磁波の伝送方向を変える、
請求項2に記載の無線電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線で電力を伝送する無線電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線電力伝送システムは、無線により電磁波(例えば、マイクロ波)で電力を伝送するためのシステムである。無線電力伝送システムの一種であるマイクロ波電力伝送システムは、送電アンテナと発振器を備える送電部と、受電アンテナと整流器を備える受電部で構成される。送受電アンテナ間は、マイクロ波で電力が伝送される。マイクロ波は、伝送距離の2乗に比例して電力密度が低下する特徴がある。この特徴から、送受電アンテナ間の伝送効率の低下を防ぐためには、アンテナ径を大きくするか、伝送距離を短くする必要がある。アンテナ径を大きくして伝送効率の低下を防ぐ方法には、コストとアンテナの重量の面で制約がある。このため、伝送距離を短くし、拡散するマイクロ波を受信して再放射する中継装置を用いることで、伝送効率の低下を防ぐ方法が注目されている。
【0003】
無線電力伝送での中継に関する従来技術の例は、特許文献1から3に記載されている。特許文献1には、地上又は宇宙の中継通信設備を含む通信機能を提供するパッチアンテナ(柔軟性材料の上に印刷されたマイクロ波パッチアンテナ)が開示されている。特許文献2には、送電機と受電機の間に中継器を加え、電力を中継させて伝送するマルチホップリレーを用いる無線電力伝送システムが開示されている。特許文献3には、マイクロ波ビームを方向付ける第一のビームディレクタを含むマイクロ送信機と、マイクロ送信機からのマイクロ波ビームを受信するためのリディレクタ衛星とを備え、リディレクタ衛星は、受信マイクロ波ビームを複数の出射マイクロ波ビームに変換する送信機と、出射ビームを所定の方向に向ける第二のビームディレクタとを有する、配電システムが開示されている。
【0004】
また、非特許文献1には、マイクロ波の伝送方向をレンズにより調整する技術が記載されている。非特許文献2には、フェーズドアレーアンテナにおいて移相器で調整する、複数の送電アンテナのマイクロ波の位相の調整量について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-191781号公報
【特許文献2】特開2020-162235号公報
【特許文献3】特表2008-507948号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Carlos A. Fernandes、Eduardo B. Lima、Jorge R. Costa、“Dielectric Lens Antennas”、Handbook of Antenna Technologies、pp 1001-1064
【非特許文献2】篠原真毅、小紫公也、“ワイヤレス給電技術”、設計技術シリーズ、科学情報出版、pp77-80、2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、無線電力伝送システムでは、中継装置を用いることで、電力を伝送する電磁波の伝送効率の低下を防ぐことができる。従来の技術では、電力の伝送方向を変更する場合には、複数の中継装置を用いて伝送方向を変更する必要があり、コストが増加する可能性がある。中継装置が伝送方向を変更することができる機能を持つと、必要な中継装置の数を減らすことができる。しかし、従来の無線電力伝送システムの中継装置では、例えば、障害物を回避するために伝送方向を任意の角度で変更したり、伝送方向の微調整をしたりするのが困難である。このため、従来の無線電力伝送システムでは、中継装置の数を減らすことが困難であり、電磁波の伝搬損失を十分に抑制できないという課題がある。
【0008】
本発明の目的は、電磁波の伝送方向の変更が容易にできる無線電力伝送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による無線電力伝送システムは、送電装置と中継装置と受電装置とを備える。前記送電装置は、電磁波を放射する送電アンテナを備える。前記中継装置は、前記送電アンテナから放射された前記電磁波を受信する第1の中継アンテナと、前記第1の中継アンテナに接続され、前記電磁波を伝送する伝送方向調整経路部と、前記伝送方向調整経路部に接続され、前記電磁波を放射する第2の中継アンテナと、前記伝送方向調整経路部を駆動する方向調整機構とを備える。前記受電装置は、前記第2の中継アンテナが放射した前記電磁波を受信する受電アンテナを備える。前記伝送方向調整経路部は、前記第1の中継アンテナに接続された受電部と、前記第2の中継アンテナに接続された送電部とを備え、前記送電部が前記方向調整機構に駆動されて前記受電部に対して移動可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、電磁波の伝送方向の変更が容易にできる無線電力伝送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1による無線電力伝送システムの構成図である。
図2】本発明の実施例2による無線電力伝送システムの構成図である。
図3】本発明の実施例3による無線電力伝送システムの構成図である。
図4】本発明の実施例4による無線電力伝送システムの構成図である。
図5】本発明の実施例5における伝送方向調整経路部の構成を示す上面図である。
図6】実施例5における伝送方向調整経路部の別の構成を示す上面図である。
図7】実施例5における伝送方向調整経路部の別の構成を示す上面図である。
図8】実施例5における伝送方向調整経路部の別の構成を示す上面図である。
図9】実施例5において、レンズを用いてマイクロ波の伝送方向を変える場合の好ましい条件を説明するための図である。
図10】実施例5において、反射鏡を用いてマイクロ波の伝送方向を変える場合の好ましい条件を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による無線電力伝送システムは、電力(例えば、マイクロ波、ミリ波、及び光などの電磁波の電力)を無線で伝送する方向を容易に変えることができ、広範囲に電力を伝送することができる。このため、本発明による無線電力伝送システムを用いると、電力の伝送方向に障害物があってもこの障害物を回避して電力を伝送することができ、電力を伝送する範囲を拡大することができる。
【0013】
以下、本発明の実施例による無線電力伝送システムを、図面を用いて説明する。本発明による無線電力伝送システムは、例えばマイクロ波、ミリ波、及び光などの電磁波で電力を伝送する。以下の実施例では、一例としてマイクロ波で電力を伝送する無線電力伝送システムについて説明する。なお、本明細書で用いる図面において、同一のまたは対応する構成要素には同一の符号を付け、これらの構成要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
【実施例0014】
図1を参照して、本発明の実施例1による無線電力伝送システムについて説明する。図1は、本発明の実施例1による無線電力伝送システムの構成図である。
【0015】
本実施例による無線電力伝送システムは、送電装置100、受電装置200、及び中継装置300を備える。
【0016】
送電装置100は、発振器101、送電アンテナ102、通信機103、及び位置情報取得部103aを備え、外部電源1から電力が供給される。
【0017】
発振器101は、外部電源1から供給された電力を用いて、マイクロ波を発振する。発振器101には、GaAsやGaN等が材料のガン・ダイオードを使ったガン発振器、YIG発振器、誘電体発振器、水晶発振器、及び電圧制御発振器を用いることができる。また、発振器101には、クライストロン、進行波管、後退波管、マグネトロン、及びジャイロトロンなどの発振用真空管を用いることもできる。発振器101は、マイクロ波ではなく、ミリ波や光などの電磁波を発振してもよい。
【0018】
送電アンテナ102は、発振器101に導波路で接続されており、送電装置100の外部空間にマイクロ波を放射する。この導波路は、導波管または同軸ケーブルで構成することができる。送電アンテナ102から放射されるマイクロ波は、指向性を持つ。
【0019】
通信機103と位置情報取得部103aについては後述する。
【0020】
受電装置200は、受電アンテナ201、整流器202、通信機203、及び位置情報取得部203aを備える。
【0021】
受電アンテナ201は、受電装置200の外部から入射したマイクロ波を受信し、受信したマイクロ波を導波路(導波管または同軸ケーブル)を通じて整流器202に入射させる。
【0022】
整流器202は、マイクロ波を直流電力に変換する。この電力は、外部負荷2で消費される。
【0023】
通信機203と位置情報取得部203aについては後述する。
【0024】
中継装置300は、中継受電アンテナ301、伝送方向調整経路部302、中継送電アンテナ303、方向調整機構306、通信機304、位置情報取得部311、及び制御部305を備える。
【0025】
中継受電アンテナ301は、送電装置100の送電アンテナ102から放射されたマイクロ波を受信し、受信したマイクロ波を伝送方向調整経路部302に入射させる。中継受電アンテナ301と伝送方向調整経路部302との間は、導波路(導波管または同軸ケーブル)で接続されている。
【0026】
伝送方向調整経路部302は、送電装置100から受電装置200までのマイクロ波の伝送方向を調整するための伝送路である。伝送方向調整経路部302は、マイクロ波を伝送方向を変えて伝送することができ、伝送したマイクロ波を中継送電アンテナ303に入射させる。伝送方向調整経路部302と中継送電アンテナ303との間は、導波路(導波管または同軸ケーブル)で接続されている。
【0027】
中継送電アンテナ303は、マイクロ波を中継装置300の外部に放射する。中継送電アンテナ303から放射されたマイクロ波は、受電装置200の受電アンテナ201に受信される。
【0028】
方向調整機構306は、制御部305からの指令値に従い、任意の動力によって伝送方向調整経路部302を駆動する。伝送方向調整経路部302は、方向調整機構306に駆動されて、伝送するマイクロ波の伝送方向を変える。方向調整機構306が伝送方向調整経路部302を駆動する動力には、例えば、油圧や電動モータなどの機械的駆動部の動力や、人力を用いることができる。
【0029】
通信機304と位置情報取得部311と制御部305については後述する。
【0030】
送電アンテナ102、受電アンテナ201、中継受電アンテナ301、及び中継送電アンテナ303は、ホーンアンテナ、リフレクタアンテナ、レンズアンテナ、スロットアンテナ、パッチアンテナ、パラボラアンテナ、及びカセグレアンテナで構成することができる。送電アンテナ102、受電アンテナ201、中継受電アンテナ301、及び中継送電アンテナ303は、レンズアンテナで構成されるのが好ましい。パラボラアンテナやカセグレアンテナでは、マイクロ波のビーム径を大きくすると、反射鏡が陰になってブロッキング損失が発生する。レンズアンテナでは、マイクロ波のビーム径を大きくしても、このブロッキング損失を抑制することができる。
【0031】
送電アンテナ102、受電アンテナ201、中継受電アンテナ301、及び中継送電アンテナ303は、誘電体レンズ、メタルレンズ、及びパスレングレンズで構成してもよい。メタルレンズとパスレングレンズでは、レンズが金属平板で構成される。このため、メタルレンズまたはパスレングレンズで構成された送電アンテナ102、受電アンテナ201、中継受電アンテナ301、及び中継送電アンテナ303は、アンテナに当たる風や水の荷重を軽減することができる。
【0032】
通信機103、203、304は、有線通信または無線通信により通信が可能な装置であり、通信機103、203、304の間で通信することができる。有線通信には、例えばLANケーブル、光ケーブル、及びUSBケーブルなどの任意の通信線を用いることができる。無線通信には、例えばWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、音波、電磁波、及び光などの任意の規格や媒体を用いることができる。
【0033】
位置情報取得部103a、203a、311は、GPSで構成することができる。GPSは、軌道衛星または基地局から自らの位置情報を取得する。位置情報取得部103aは、送電装置100の位置情報を取得し、取得した送電装置100の位置情報を通信機103から通信機304に送信する。位置情報取得部203aは、受電装置200の位置情報を取得し、取得した受電装置200の位置情報を通信機203から通信機304に送信する。位置情報取得部311は、中継装置300の位置情報を取得し、取得した中継装置300の位置情報を通信機304に送信する。
【0034】
制御部305は、送電装置100、受電装置200、及び中継装置300の位置情報(それぞれの装置の絶対位置または相対位置についての情報)を、通信機304から取得する。制御部305は、取得した位置情報を基に調整する位置の指令値を作成し、この指令値を方向調整機構306に送信する。調整する位置の指令値とは、伝送方向調整経路部302が、伝送するマイクロ波の伝送方向を変える(調整する)ための指令値である。
【0035】
制御部305は、調整する位置の指令値を、例えば以下のようにして作成することができる。制御部305は、受電アンテナ201と中継送電アンテナ303とのアライメントが合うように、すなわち受電アンテナ201のアンテナ開口面の中心の位置と中継送電アンテナ303のアンテナ開口面の中心の位置が一致するように、マイクロ波の伝送方向を決定し、中継送電アンテナ303の状態から得られた現在のマイクロ波の伝送方向と決定したマイクロ波の伝送方向とから、調整する位置の指令値を作成する。調整する位置の指令値は、例えば、中継送電アンテナ303の移動距離(回転角度)と移動方向(回転方向)を含むことができる。
【0036】
伝送方向調整経路部302は、中継受電アンテナ301に接続された部分と、中継送電アンテナ303に接続された部分を備え、中継受電アンテナ301に接続された部分と、中継送電アンテナ303に接続された部分が、それぞれ方向調整機構306に駆動されて互いに独立に移動可能である。従って、中継送電アンテナ303に接続された部分は、中継受電アンテナ301に接続された部分に対して相対的に移動可能である。伝送方向調整経路部302は、方向調整機構306に駆動されて、中継送電アンテナ303に接続された部分が、中継受電アンテナ301に接続された部分に対して相対的に移動することで、伝送するマイクロ波の伝送方向を変えることができる。また、中継受電アンテナ301に接続された部分と、中継送電アンテナ303に接続された部分が、互いに独立に移動することで、中継受電アンテナ301と中継送電アンテナ303の位置を個別に調整することができる。
【0037】
伝送方向調整経路部302は、剛体または可撓性部材(曲げることが可能な部材)で構成された導波路を備える。剛体で構成された導波路は、例えば、金属で構成された金属導波管である。可撓性部材で構成された導波路は、例えば、誘電体で構成された誘電体導波管や同軸ケーブルであり、柔軟で自由に曲げることができる。以下では、一例として、剛体で構成された導波路が金属導波管であるとして説明する。
【0038】
伝送方向調整経路部302が剛体で構成された導波路(金属導波管)を備える構成の場合には、伝送方向調整経路部302は、2つの金属導波管と、これらの金属導波管の間に位置する空洞部(空間部)を備える。伝送方向調整経路部302に入射したマイクロ波は、一方の金属導波管を通って空洞部に放射された後、他方の金属導波管を通って中継送電アンテナ303に入射する。伝送方向調整経路部302は、中継送電アンテナ303に接続された部分が中継受電アンテナ301に接続された部分に対して移動すると、この移動に伴い2つの金属導波管の向かい合う角度が変わり、伝送するマイクロ波の伝送方向を変えることができる。
【0039】
伝送方向調整経路部302が可撓性部材で構成された導波路(例えば、誘電体導波管または同軸ケーブル)を備える構成の場合には、中継受電アンテナ301から伝送方向調整経路部302に入射したマイクロ波は、伝送方向調整経路部302が備える可撓性の導波路を伝送し、中継送電アンテナ303に入射する。伝送方向調整経路部302は、中継送電アンテナ303に接続された部分が中継受電アンテナ301に接続された部分に対して移動すると、この移動に伴い可撓性の導波路が曲がり、伝送するマイクロ波の伝送方向を変えることができる。なお、伝送方向調整経路部302は、可撓性部材で構成された導波路を備える場合には、後述する剛体で構成された導波路を備える場合と異なり、レンズと反射鏡を備えなくてもよい。
【0040】
アンテナ間のマイクロ波の伝送効率は、互いのアライメントが合っていないと、すなわちアンテナ同士のアンテナ開口面の中心の位置が合っていないと、著しく低下する。このため、受電アンテナ201と中継送電アンテナ303とのアライメントを合わせるともに、送電アンテナ102と中継受電アンテナ301とのアライメントを合わせる必要がある。
【0041】
制御部305は、取得した送電装置100、受電装置200、及び中継装置300の位置情報を用いて、送電アンテナ102と中継受電アンテナ301とのアライメントが合い、受電アンテナ201と中継送電アンテナ303とのアライメントが合うように、中継受電アンテナ301と中継送電アンテナ303の水平方向と垂直方向の位置を調整することができる。制御部305は、例えば、伝送方向調整経路部302が方向調整機構306に駆動されてマイクロ波の伝送方向を変えた後で、中継受電アンテナ301と中継送電アンテナ303の位置を調整し、アンテナ同士のアライメントを合わせることができる。
【0042】
制御部305は、送電装置100、受電装置200、及び中継装置300の位置情報を取得し、送電アンテナ102と中継受電アンテナ301とのアライメントのズレ(アンテナ開口面の中心の位置の差異)と、受電アンテナ201と中継送電アンテナ303とのアライメントのズレを求め、このズレが小さくなるような指令値を作成し、この指令値を方向調整機構306に送信する。方向調整機構306は、伝送方向調整経路部302を駆動して、中継受電アンテナ301と中継送電アンテナ303の位置を調整する。
【0043】
本実施例による無線電力伝送システムは、送電装置100から受電装置200へのマイクロ波の伝送経路上に、複数の中継装置300を備えることができる。複数の中継装置300を備えると、送電装置100から受電装置200までの距離が長くても、伝送するマイクロ波の拡散を抑制することができる。
【0044】
本実施例による無線電力伝送システムは、中継装置300が伝送方向調整経路部302を備え、伝送方向調整経路部302が送電装置100から受電装置200までのマイクロ波の伝送方向を容易に変更することができ、マイクロ波の伝送方向を調整することができる。
【実施例0045】
図2を参照して、本発明の実施例2による無線電力伝送システムについて説明する。図2は、本発明の実施例2による無線電力伝送システムの構成図である。
【0046】
本実施例による無線電力伝送システムは、実施例1による無線電力伝送システム(図1)と同様の構成を備えるが、中継装置300がアライメント調整器312を備える点で、実施例1による無線電力伝送システムと構成が異なる。以下では、本実施例による無線電力伝送システムについて、実施例1による無線電力伝送システムと異なる点を主に説明する。
【0047】
実施例1で説明したように、アンテナ間のマイクロ波の伝送効率は、互いのアライメントが合っていないと(すなわち、アンテナ同士のアンテナ開口面の中心の位置が合っていないと)、著しく低下する。このため、送電アンテナ102と中継受電アンテナ301とのアライメントを合わせるともに、受電アンテナ201と中継送電アンテナ303とのアライメントを合わせる必要がある。実施例1のように、GPSで構成された位置情報取得部103a、203a、311が取得した、送電装置100と受電装置200と中継装置300の位置情報を用いてアライメントを合わせると、誤差が大きくなることがある。
【0048】
本実施例による無線電力伝送システムは、図2に示すように、中継装置300がアライメント調整器312(312a、312b)を備える。アライメント調整器312aは、送電アンテナ102に対する中継受電アンテナ301の位置を調整して、送電アンテナ102と中継受電アンテナ301とのアライメントを合わせることができる。アライメント調整器312bは、受電アンテナ201に対する中継送電アンテナ303の位置を調整して、受電アンテナ201と中継送電アンテナ303とのアライメントを合わせることができる。中継装置300は、アライメント調整器312aとアライメント調整器312bのうち、少なくとも一方を備えることができる。アライメント調整器312は、例えば、レーザ装置またはカメラなどを備えることができ、これらのアンテナ102、301、201、303のアンテナ開口面の中心の位置を取得することができる。
【0049】
アライメント調整器312がレーザ装置を備える場合には、アライメント調整器312は、水平方向と垂直方向の2種類のシートレーザを送電アンテナ102(または受電アンテナ201)に照射し、シートレーザの交点が送電アンテナ102(または受電アンテナ201)のアンテナ開口面の中心の位置に来るようにする。そして、アライメント調整器312は、中継受電アンテナ301(または中継送電アンテナ303)のアンテナ開口面の中心が2種類のシートレーザの交点に来るように、中継受電アンテナ301(または中継送電アンテナ303)の水平方向と垂直方向の位置を調整する。
【0050】
アライメント調整器312がカメラを備える場合には、アライメント調整器312は、撮影した画像の中心が送電アンテナ102(または受電アンテナ201)のアンテナ開口面の中心の位置に来るように、カメラで送電アンテナ102(または受電アンテナ201)を撮影する。そして、アライメント調整器312は、中継受電アンテナ301(または中継送電アンテナ303)のアンテナ開口面の中心が撮影した画像の中心に来るように、中継受電アンテナ301(または中継送電アンテナ303)の水平方向と垂直方向の位置を調整する。
【0051】
アライメント調整器312は、油圧やモータなどの機械的駆動部を用いて、中継受電アンテナ301と中継送電アンテナ303の位置を調整することができる。
【0052】
本実施例による無線電力伝送システムは、アライメント調整器312を用いてアンテナ間のアライメントを合わせることで、アンテナ間のマイクロ波の伝送効率の低下を抑制できる。
【実施例0053】
図3を参照して、本発明の実施例3による無線電力伝送システムについて説明する。図3は、本発明の実施例3による無線電力伝送システムの構成図である。
【0054】
本実施例による無線電力伝送システムは、実施例1による無線電力伝送システム(図1)と同様の構成を備えるが、送電装置100がフェーズドアレーアンテナ107を備え、中継装置300がフェーズドアレーアンテナ309を備える点で、実施例1による無線電力伝送システムと構成が異なる。以下では、本実施例による無線電力伝送システムについて、実施例1による無線電力伝送システムと異なる点を主に説明する。
【0055】
送電装置100は、実施例1での構成要素の他に、フェーズドアレーアンテナ107、電力分配器104、複数の移相器105、複数の増幅器106、及び制御部108を備える。
【0056】
フェーズドアレーアンテナ107は、複数の送電アンテナ102を備える。
【0057】
電力分配器104には、発振器101が発振したマイクロ波が、導波路(導波管または同軸ケーブル)を通って入射する。電力分配器104は、電力を複数に分配する機能を持っており、入射したマイクロ波の電力を複数の移相器105に分配する。
【0058】
複数の移相器105のそれぞれは、複数の増幅器106のそれぞれと対になっている。移相器105は、制御部108に制御され、対になっている増幅器106に入射するマイクロ波の位相を制御する。位相が制御されたマイクロ波は、移相器105から複数の増幅器106に導波路(導波管または同軸ケーブル)を通って入射する。
【0059】
複数の増幅器106のそれぞれは、複数の送電アンテナ102のそれぞれと対になっている。増幅器106は、外部電源1から電力を受け取り、入射したマイクロ波の電力を増幅する。増幅されたマイクロ波は、増幅器106から複数の送電アンテナ102に入射する。
【0060】
フェーズドアレーアンテナ107は、複数の送電アンテナ102で構成され、移相器105に位相が制御されたマイクロ波を放射する。複数の送電アンテナ102のそれぞれが放射したマイクロ波は、合成されてビームを形成する。フェーズドアレーアンテナ107から放射されるマイクロ波は、指向性を持ち、送電装置100の外部空間に放射される。
【0061】
位置情報取得部103aは、送電装置100の位置情報を取得し、取得した送電装置100の位置情報を通信機103と制御部108に出力する。
【0062】
通信機103は、中継装置300の通信機304と通信して中継装置300の位置情報を取得し、送電装置100と中継装置300の相対位置についての情報を取得する。
【0063】
制御部108は、送電装置100の位置情報を位置情報取得部103aから入力するとともに、送電装置100と中継装置300の相対位置についての情報を通信機103から入力し、これらの情報を基に各移相器105に対してマイクロ波の位相を調整する指令を出力する。制御部108は、この指令により、各移相器105のマイクロ波の位相を調整して、マイクロ波のビーム(合成波)の進む方向を変えることができる。
【0064】
電力分配器104は、マイクロ波の伝送が導波管で行われる場合には、E分岐導波管またはH分岐導波管で構成することができ、マイクロ波の伝送が同軸ケーブルで行われる場合には、T分岐を持つ同軸ケーブルで構成することができる。電力分配器104は、マイクロ波の伝送をマイクロストリップ線路で行うこともでき、この場合には、T分岐を持つマイクロストリップで構成することができる。
【0065】
移相器105は、誘電体の挿入量が変わることで透過的に誘電率を変化させ、マイクロ波の伝搬定数の位相定数βを変化させる。誘電体は、例えば、ポリスチロール、ポリテトラフルオロエチレン、及びマイカの中から選ぶことができる。
【0066】
増幅器106は、入射したマイクロ波を基準として、電力値を増加させる。増幅器106は、マイクロストリップ線路とトランジスタまたはダイオードにより構成される回路、例えばF級回路や逆F級回路で構成することができる。
【0067】
受電装置200は、実施例1での受電装置200と同様の構成と機能を備える。
【0068】
中継装置300は、実施例1での構成要素の他に、電力分配器307、移相器308、複数の中継送電アンテナ303を備えるフェーズドアレーアンテナ309、及び制御部310を備える。
【0069】
中継受電アンテナ301は、送電装置100のフェーズドアレーアンテナ107から放射されたマイクロ波を受信し、受信したマイクロ波を伝送方向調整経路部302に入射させる。
【0070】
伝送方向調整経路部302は、送電装置100から受電装置200までのマイクロ波の伝送方向を調整するための伝送路である。伝送方向調整経路部302は、実施例1での伝送方向調整経路部302と同様の構成を備え、実施例1で説明したようにマイクロ波の伝送方向を変えることができる。
【0071】
電力分配器307には、伝送方向調整経路部302により伝送方向が調整されたマイクロ波が、導波路(導波管または同軸ケーブル)を通って入射する。電力分配器104は、電力を複数に分配する機能を持っており、入射したマイクロ波の電力を複数の移相器308に分配する。
【0072】
複数の移相器308のそれぞれは、複数の中継送電アンテナ303のそれぞれと対になっている。移相器308は、制御部310に制御され、対になっている中継送電アンテナ303に入射するマイクロ波の位相を制御する。位相が制御されたマイクロ波は、移相器308から複数の中継送電アンテナ303に導波路(導波管または同軸ケーブル)を通って入射する。
【0073】
フェーズドアレーアンテナ309は、複数の中継送電アンテナ303で構成され、移相器308に位相が制御されたマイクロ波を放射する。複数の中継送電アンテナ303のそれぞれが放射したマイクロ波は、合成されてビームを形成する。フェーズドアレーアンテナ309から放射されるマイクロ波は、指向性を持ち、中継装置300の外部空間に放射される。フェーズドアレーアンテナ309から放射されたマイクロ波は、受電装置200の受電アンテナ201に受信される。
【0074】
制御部310は、中継装置300の位置情報と、中継装置300と受電装置200の相対位置についての情報を通信機304から入力し、これらの情報を基に各移相器308に対してマイクロ波の位相を調整する指令を出力する。制御部310は、この指令により、各移相器308のマイクロ波の位相を調整して、マイクロ波のビーム(合成波)の進む方向を変えることができる。
【0075】
制御部305は、実施例1での制御部305と同様の処理を実施する。すなわち、制御部305は、送電装置100、受電装置200、及び中継装置300の位置情報(それぞれの装置の絶対位置または相対位置についての情報)を、通信機304から取得する。制御部305は、取得した位置情報を基に調整する位置の指令値を作成し、この指令値を方向調整機構306に送信する。
【0076】
また、制御部305は、実施例1で説明したように、送電アンテナ102と中継受電アンテナ301とのアライメントが合い、受電アンテナ201と中継送電アンテナ303とのアライメントが合うように、中継受電アンテナ301と中継送電アンテナ303の水平方向と垂直方向の位置を調整することができる。
【0077】
なお、制御部108と制御部310は、それぞれ各移相器105と各移相器308のマイクロ波の位相を調整する指令(例えば、位相の調整量)を、例えば非特許文献2に記載されている理論を用いて作成することができる。
【実施例0078】
図4を参照して、本発明の実施例4による無線電力伝送システムについて説明する。図4は、本発明の実施例4による無線電力伝送システムの構成図である。
【0079】
本実施例による無線電力伝送システムは、実施例3による無線電力伝送システム(図3)と同様の構成を備えるが、中継装置300がアライメント調整器312を備える点で、実施例3による無線電力伝送システムと構成が異なる。以下では、本実施例による無線電力伝送システムについて、実施例3による無線電力伝送システムと異なる点を主に説明する。
【0080】
本実施例において、アライメント調整器312(312a、312b)は、実施例2でのアライメント調整器312(312a、312b)と同様の構成と機能を備える。
【0081】
本実施例による無線電力伝送システムでは、アライメント調整器312aは、フェーズドアレーアンテナ107に対する中継受電アンテナ301の位置を調整して、フェーズドアレーアンテナ107と中継受電アンテナ301とのアライメントを合わせることができる。アライメント調整器312bは、受電アンテナ201に対するフェーズドアレーアンテナ309の位置を調整して、受電アンテナ201とフェーズドアレーアンテナ309とのアライメントを合わせることができる。中継装置300は、アライメント調整器312aとアライメント調整器312bのうち、少なくとも一方を備えることができる。
【0082】
実施例1で説明したように、アンテナ間のマイクロ波の伝送効率は、互いのアライメントが合っていないと(すなわち、アンテナ同士の中心の位置が合っていないと)、著しく低下する。このため、フェーズドアレーアンテナ107と中継受電アンテナ301とのアライメントを合わせるともに、受電アンテナ201とフェーズドアレーアンテナ309とのアライメントを合わせる必要がある。
【0083】
本実施例による無線電力伝送システムは、図4に示すように、中継装置300が少なくとも1つのアライメント調整器312を備え、アライメント調整器312で、フェーズドアレーアンテナ107と中継受電アンテナ301とのアライメントと、受電アンテナ201とフェーズドアレーアンテナ309とのアライメントを合わせることができる。
【0084】
アライメント調整器312は、フェーズドアレーアンテナ107の中心の位置(複数の送電アンテナ102の中心の位置)と、中継受電アンテナ301のアンテナ開口面の中心の位置を取得し、中継受電アンテナ301のアンテナ開口面の中心がフェーズドアレーアンテナ107の中心と一致するように、中継受電アンテナ301の水平方向と垂直方向の位置を調整することができる。また、アライメント調整器312は、通信機304と通信機103と制御部108と移相器105を用いて送電アンテナ102に入射するマイクロ波の位相を調整し、フェーズドアレーアンテナ107が放射するマイクロ波のビーム(合成波)の中心が中継受電アンテナ301のアンテナ開口面の中心と一致するように、フェーズドアレーアンテナ107が放射するマイクロ波のビームの向きを調整してもよい。
【0085】
また、アライメント調整器312は、制御部310と移相器308を用いて中継送電アンテナ303に入射するマイクロ波の位相を調整し、フェーズドアレーアンテナ309が放射するマイクロ波のビーム(合成波)の中心が受電アンテナ201のアンテナ開口面の中心と一致するように、フェーズドアレーアンテナ309が放射するマイクロ波のビームの向きを調整することができる。また、アライメント調整器312は、フェーズドアレーアンテナ309の中心の位置(複数の中継送電アンテナ303の中心の位置)と、受電アンテナ201のアンテナ開口面の中心の位置を取得し、フェーズドアレーアンテナ309の中心が受電アンテナ201のアンテナ開口面の中心と一致するように、フェーズドアレーアンテナ309の水平方向と垂直方向の位置を調整することもできる。
【0086】
本実施例による無線電力伝送システムは、アライメント調整器312を用いてアンテナ間のアライメントを合わせることで、アンテナ間のマイクロ波の伝送効率の低下を抑制できる。本実施例による無線電力伝送システムでは、フェーズドアレーアンテナ107、309が放射するマイクロ波の位相を調整してビームの向きを調整することで、油圧やモータなどの機械的駆動部を備えなくても、アンテナ間のアライメントを合わせることができる。
【実施例0087】
図5から図10を参照して、本発明の実施例5による無線電力伝送システムについて説明する。本実施例による無線電力伝送システムでは、伝送方向調整経路部302は、剛体で構成された2つの導波路(例えば、金属導波管)と、これらの導波路の間に位置する空洞部(空間部)を備えるとともに、移動可能なレンズと移動可能な反射鏡の少なくとも一方を備える。
【0088】
図5は、本実施例における伝送方向調整経路部302の構成を示す上面図である。すなわち、図5は、水平面内における伝送方向調整経路部302を示している。伝送方向調整経路部302は、レンズ313を備え、レンズ313でマイクロ波の伝送方向を調整する。図5では、マイクロ波の進む方向を矢印Mで示している。
【0089】
伝送方向調整経路部302は、マイクロ波の伝送路であり、一端部に中継受電アンテナ301が接続されており、他端部に中継送電アンテナ303が接続されている。伝送方向調整経路部302は、中継受電アンテナ301に接続された受電部302aと、中継送電アンテナ303に接続された送電部302bを備え、方向調整機構306に駆動されて送電部302bが受電部302aに対して相対的に移動可能(回転可能)である。図5には、移動(回転)する前の送電部302bを破線で描き、移動した後の送電部302bを実線で描いている。
【0090】
伝送方向調整経路部302は、受電部302aに金属導波管320aを備え、送電部302bに金属導波管320bを備え、金属導波管320aと金属導波管320bの間に空洞部(空間部)320cを備える。中継受電アンテナ301から伝送方向調整経路部302に入射したマイクロ波は、金属導波管320a通って空洞部320cに放射される。空洞部320cは、金属導波管320aから放射されたマイクロ波が伝搬する空間であり、受電部302aと送電部302bに渡って位置する。空洞部320cに放射されたマイクロ波は、金属導波管320bを通って中継送電アンテナ303に入射する。
【0091】
伝送方向調整経路部302は、送電部302bの空洞部320cにレンズ313と反射鏡314を備える。レンズ313と反射鏡314は、それぞれレンズ面と鏡面が、水平面に対して垂直(図5の紙面に対して垂直)であり、かつ送電部302bでのマイクロ波の進む方向Mに対して平行であるように設置されている。なお、図5に示す構成では、伝送方向調整経路部302は、反射鏡314を備えなくてもよい。
【0092】
伝送方向調整経路部302は、レンズ313を移動(回転)させるためのレンズ駆動機構315を備える。レンズ駆動機構315は、制御部305からの指令により、例えば油圧や電動モータなどの機械的駆動部を用いてレンズ313を回転させて、レンズ313のレンズ面の向きを変えることができる。
【0093】
実施例1で説明したように、方向調整機構306は、制御部305からの指令値(調整する位置の指令値)に従い、伝送方向調整経路部302を駆動する。伝送方向調整経路部302は、方向調整機構306に駆動されて、伝送するマイクロ波の伝送方向を変える。
【0094】
伝送方向調整経路部302の送電部302bは、方向調整機構306に駆動されて、調整する位置の指令値に従って受電部302aに対して回転する(図5の矢印A5)。例えば、方向調整機構306は、図5に示すように伝送方向を水平面内(図5の紙面に平行な面内)で角度Θだけ変える場合には、送電部302bを水平面内で角度Θだけ受電部302aに対して回転させる。上述したように、図5には、回転する前の送電部302bを破線で描き、回転した後の送電部302bを実線で描いている。送電部302bのこの回転移動により、受電部302aと送電部302bの接続角度が変わり、金属導波管320aと金属導波管320bの向かい合う角度が変わる。
【0095】
この後、レンズ駆動機構315は、レンズ駆動機構315を中心としてレンズ313を回転させてレンズ面の向きを変える。レンズ駆動機構315は、レンズ313のレンズ面の向きを、送電部302bでマイクロ波の進むべき方向Mに対して垂直になるように変える(図5の矢印B5)。中継受電アンテナ301から伝送方向調整経路部302に入射したマイクロ波は、スネルの法則によりレンズ313で伝送方向が屈折する。
【0096】
以上説明したようにすると、図5において破線で描いた送電部302bとレンズ313が、実線で描いた送電部302bとレンズ313のように移動して、送電部302bの向きが変わり、レンズ313のレンズ面の向きが変わることで、伝送方向調整経路部302は、伝送するマイクロ波の伝送方向を変えることができる。
【0097】
図6は、本実施例における伝送方向調整経路部302の別の構成を示す上面図である。伝送方向調整経路部302は、反射鏡314を備え、反射鏡314でマイクロ波の伝送方向を調整する。以下では、図6に示した伝送方向調整経路部302について、図5に示した伝送方向調整経路部302の構成と異なる点を主に説明する。なお、図6に示す構成では、伝送方向調整経路部302は、レンズ313を備えなくてもよい。
【0098】
伝送方向調整経路部302は、反射鏡314を移動(回転)させるための反射鏡駆動機構316を備える。反射鏡駆動機構316は、制御部305からの指令により、例えば油圧や電動モータなどの機械的駆動部を用いて反射鏡314を回転させて、反射鏡314の鏡面の向きを変えることができる。
【0099】
伝送方向調整経路部302の送電部302bは、方向調整機構306に駆動されて、調整する位置の指令値に従って受電部302aに対して回転する(図6の矢印A6)。例えば、方向調整機構306は、図6に示すように伝送方向を水平面内(図6の紙面に平行な面内)で角度Θだけ変える場合には、送電部302bを水平面内で角度Θだけ受電部302aに対して回転させる。送電部302bのこの回転移動により、受電部302aと送電部302bの接続角度が変わり、金属導波管320aと金属導波管320bの向かい合う角度が変わる。
【0100】
この後、反射鏡駆動機構316は、反射鏡駆動機構316を中心として反射鏡314を角度αだけ回転させて鏡面の向きを変える(図6の矢印C6)。角度αは、角度Θを用いて、式(1)のように表される。
α=(π-Θ)/2 (1)
反射鏡314のこの回転により、中継受電アンテナ301から伝送方向調整経路部302に入射したマイクロ波は、反射鏡314で全反射して伝送方向が変化する。
【0101】
この後、レンズ駆動機構315は、制御部305からの指令により、レンズ313がマイクロ波の伝送を遮らないように、レンズ313を移動させる(図6の矢印B6)。
【0102】
以上説明したようにすると、図6において破線で描いた送電部302bと反射鏡314が、実線で描いた送電部302bと反射鏡314のように移動して、送電部302bの向きが変わり、反射鏡314の鏡面の向きが変わることで、伝送方向調整経路部302は、伝送するマイクロ波の伝送方向を変えることができる。図6に示した伝送方向調整経路部302は、マイクロ波の伝送方向を、例えば90度と大きく変えることができる。このため、図6に示した伝送方向調整経路部302は、送電装置100と受電装置200との間に障害物があった場合には、この障害物を避けてマイクロ波を伝送することが容易にできる。
【0103】
図7は、本実施例における伝送方向調整経路部302の別の構成を示す上面図である。伝送方向調整経路部302は、レンズ313を備え、レンズ313でマイクロ波の伝送方向を調整する。以下では、図7に示した伝送方向調整経路部302について、図5に示した伝送方向調整経路部302の構成と異なる点を主に説明する。なお、図7に示す構成では、伝送方向調整経路部302は、反射鏡314を備えなくてもよい。
【0104】
図7に示した伝送方向調整経路部302では、初期状態においては、レンズ313と反射鏡314は、破線で描かれたように、それぞれレンズ面と鏡面が水平面に平行であるように設置されている。
【0105】
伝送方向調整経路部302は、レンズ313を移動(回転)させるためのレンズ駆動機構317を備える。レンズ駆動機構317は、制御部305からの指令により、例えば油圧や電動モータなどの機械的駆動部を用いてレンズ313を回転させて、レンズ313のレンズ面の向きを変えることができる。
【0106】
伝送方向調整経路部302の送電部302bは、方向調整機構306に駆動されて、調整する位置の指令値に従って受電部302aに対して回転する(図7の矢印A7)。例えば、方向調整機構306は、図7に示すように伝送方向を水平面内(図7の紙面に平行な面内)で角度Θだけ変える場合には、送電部302bを水平面内で角度Θだけ受電部302aに対して回転させる。
【0107】
この後、レンズ駆動機構317は、レンズ駆動機構317を中心としてレンズ313を回転させてレンズ面の向きを変える。レンズ駆動機構317は、レンズ313のレンズ面の向きを、水平面に平行な向きから水平面に垂直な向きに変える(図7の矢印B7)。これにより、レンズ313のレンズ面の向きは、送電部302bでマイクロ波の進むべき方向Mに対して垂直になる。中継受電アンテナ301から伝送方向調整経路部302に入射したマイクロ波は、スネルの法則によりレンズ313で伝送方向が屈折する。
【0108】
以上説明したようにすると、図7において破線で描いた送電部302bとレンズ313が、実線で描いた送電部302bとレンズ313のように移動して、送電部302bの向きが変わり、レンズ313のレンズ面の向きが変わることで、伝送方向調整経路部302は、伝送するマイクロ波の伝送方向を変えることができる。
【0109】
図8は、本実施例における伝送方向調整経路部302の別の構成を示す上面図である。伝送方向調整経路部302は、反射鏡314を備え、反射鏡314でマイクロ波の伝送方向を調整する。以下では、図8に示した伝送方向調整経路部302について、図5に示した伝送方向調整経路部302の構成と異なる点を主に説明する。なお、図8に示す構成では、伝送方向調整経路部302は、レンズ313を備えなくてもよい。
【0110】
図8に示した伝送方向調整経路部302では、初期状態においては、レンズ313と反射鏡314は、破線で描かれたように、それぞれレンズ面と鏡面が水平面に平行であるように設置されている。
【0111】
伝送方向調整経路部302は、反射鏡314を移動(回転)させるための反射鏡駆動機構318を備える。反射鏡駆動機構318は、制御部305からの指令により、例えば油圧や電動モータなどの機械的駆動部を用いて反射鏡314を回転させて、反射鏡314の鏡面の向きを変えることができる。
【0112】
伝送方向調整経路部302の送電部302bは、方向調整機構306に駆動されて、調整する位置の指令値に従って受電部302aに対して回転する(図8の矢印A8)。例えば、方向調整機構306は、図8に示すように伝送方向を水平面内(図8の紙面に平行な面内)で角度Θだけ変える場合には、送電部302bを水平面内で角度Θだけ受電部302aに対して回転させる。
【0113】
この後、反射鏡駆動機構318は、反射鏡314を回転させて鏡面の向きを変える。初めに、反射鏡駆動機構318は、反射鏡314の鏡面の向きを、水平面に平行な向きから水平面に垂直な向きに変える。次に、反射鏡駆動機構318は、水平面に垂直な方向を軸として反射鏡314を角度αだけ回転させて鏡面の向きを変える(図8の矢印C8)。角度αは、式(1)で表される。反射鏡314のこの回転により、中継受電アンテナ301から伝送方向調整経路部302に入射したマイクロ波は、反射鏡314で全反射して伝送方向が変化する。
【0114】
以上説明したようにすると、図8において破線で描いた送電部302bと反射鏡314が、実線で描いた送電部302bと反射鏡314のように移動して、送電部302bの向きが変わり、反射鏡314の鏡面の向きが変わることで、伝送方向調整経路部302は、伝送するマイクロ波の伝送方向を変えることができる。図8に示した伝送方向調整経路部302は、図6に示した伝送方向調整経路部302と異なり、レンズ313を図6の矢印B6のように移動させるためのレンズ駆動機構315が不要であって、図6に示した伝送方向調整経路部302と同様の効果を得ることができる。
【0115】
図5から図8を用いて説明したように、伝送方向調整経路部302は、レンズ313または反射鏡314を用いて、伝送するマイクロ波の伝送方向を変えることができる。伝送方向調整経路部302がレンズ313と反射鏡314を備える場合には、伝送方向調整経路部302がレンズ313と反射鏡314のどちらを用いてマイクロ波の伝送方向を変えるかは、マイクロ波の伝送方向を変える角度(図5から図8のΘ)に応じて定めることができる。伝送方向調整経路部302は、制御部305からの指令により、レンズ313と反射鏡314の一方を用いて、マイクロ波の伝送方向を変えることができる。
【0116】
非特許文献1によると、レンズによりマイクロ波の伝送方向を変えるときの角度の限界は、25度である。このため、レンズ313を用いてマイクロ波の伝送方向を変えるのは、マイクロ波の伝送方向を変える角度(図5から図8のΘ)が25度以下の場合が好ましい。すなわち、マイクロ波の伝送方向を変える角度が25度を超える場合には、マイクロ波の伝送方向を変えるのに、反射鏡314を用いるのが好ましく、マイクロ波の伝送方向を変える角度が25度以下の場合には、マイクロ波の伝送方向を変えるのに、レンズ313を用いても反射鏡314を用いてもよい。このようにして、制御部305は、マイクロ波の伝送方向を変える角度に応じて、レンズ313と反射鏡314のどちらを用いてマイクロ波の伝送方向を変えるかを定めることができる。
【0117】
また、伝送方向調整経路部302がレンズ313と反射鏡314を備える場合には、伝送方向調整経路部302がレンズ313と反射鏡314のどちらを用いてマイクロ波の伝送方向を変えるかは、伝送方向調整経路部302を伝搬するマイクロ波のビーム径に応じて定めることができる。
【0118】
図9は、レンズ313を用いてマイクロ波の伝送方向を変える場合の好ましい条件を説明するための図である。図9には、レンズ313と、レンズ313に入射するマイクロ波のビーム3を模式的に示している。マイクロ波の進む方向は、Mで示している。レンズ313は、半径がrであり、初期状態では、図9に破線で描かれたように、レンズ面がマイクロ波の進む方向に対して垂直であるとする。伝送方向調整経路部302を伝搬するマイクロ波のビーム3は、半径がωであるとする。
【0119】
以下では、一例として、伝送方向調整経路部302を直進するマイクロ波の伝送方向を角度δだけ変える場合を説明する。マイクロ波の伝送方向を角度δだけ変える場合には、レンズ313は、角度δだけ回転する。図9には、角度δだけ回転したレンズ313を実線で描いている。
【0120】
角度δだけ回転したレンズ313の、伝送方向が変える前のマイクロ波の伝送方向に対する角度は、(π/2-δ)である。このレンズ313の、マイクロ波のビーム3の断面に写像した長さは、2rsin(π/2-δ)である。レンズ313の、マイクロ波のビーム3の断面に写像した長さが、マイクロ波のビーム3の幅(直径2ω)を下回ると、レンズ313を通らないマイクロ波のビーム3が存在し、電力損失となる。
【0121】
このため、レンズ313を用いてマイクロ波の伝送方向を変える場合には、式(2)に示す条件を満たすのが好ましい。
rsin(π/2-δ)≧ω (2)
式(2)に示す条件を満たすと、レンズ313を用いてマイクロ波の伝送方向を変える場合に、マイクロ波のビーム3の全てがレンズ313を通るようにすることができ、電力損失を防ぐことができ、マイクロ波の伝搬損失を抑制することができる。
【0122】
図10は、反射鏡314を用いてマイクロ波の伝送方向を変える場合の好ましい条件を説明するための図である。図10には、反射鏡314と、反射鏡314に入射するマイクロ波のビーム3を示している。マイクロ波の進む方向は、Mで示している。反射鏡314は、一片の半分の長さまたは直径の半分の長さがlであり、初期状態では、図10に破線で描かれたように、鏡面がマイクロ波の進む方向に対して45度傾いているとする。伝送方向調整経路部302を伝搬するマイクロ波のビーム3は、半径がωであるとする。
【0123】
以下では、一例として、伝送方向調整経路部302を直進するマイクロ波の伝送方向を角度γだけ変える場合を説明する。マイクロ波の伝送方向を角度γだけ変える場合には、反射鏡314は、角度(π/2-γ)だけ回転する。図10には、角度(π/2-γ)だけ回転した反射鏡314を実線で描いている。
【0124】
角度(π/2-γ)だけ回転した反射鏡314の、伝送方向が変える前のマイクロ波の伝送方向に対する角度は、(γ-π/4)である。この反射鏡314の、マイクロ波のビーム3の断面に写像した長さは、2lsin(γ-π/4)である。反射鏡314の、マイクロ波のビーム3の断面に写像した長さが、マイクロ波のビーム3の幅(直径2ω)を下回ると、反射鏡314で反射しないマイクロ波のビーム3が存在し、電力損失となる。
【0125】
このため、反射鏡314を用いてマイクロ波の伝送方向を変える場合には、式(3)に示す条件を満たすのが好ましい。
lsin(γ-π/4)≧ω (3)
式(3)に示す条件を満たすと、反射鏡314を用いてマイクロ波の伝送方向を変える場合に、マイクロ波のビーム3の全てを反射鏡314で反射させることができ、電力損失を防ぐことができ、マイクロ波の伝搬損失を抑制することができる。
【0126】
マイクロ波のビーム3の幅は、既存の任意の方法で求めることができる。例えば、マイクロ波のビーム3の電界強度がビーム3の径方向に変化する場合には、ビーム3の幅は、電界強度がビーム3の中心での値の95%の値になる位置の、中心からの距離とすることができる。また、ビーム3の幅は、電界強度がビーム3の中心での値の1/eの値や3dBの値になる位置の、中心からの距離としてもよい。
【0127】
以上説明したように、伝送方向調整経路部302は、式(2)に示す条件を満たす場合には、レンズ313を用いてマイクロ波の伝送方向を変えるのが好ましく、式(3)に示す条件を満たす場合には、反射鏡314を用いてマイクロ波の伝送方向を変えるのが好ましい。なお、式(2)に示す条件と式(3)に示す条件を同時に満たす場合には、伝送方向調整経路部302は、マイクロ波の伝送方向を変えるのに、レンズ313を用いても反射鏡314を用いてもよい。
【0128】
マイクロ波のビーム3の幅は、既存の任意の方法で計測することができる。例えば、伝送方向調整経路部302の内部に電波吸収体を設置し、マイクロ波のビーム3を電波吸収体に任意の時間だけ照射する。そして、電波吸収体の温度上昇を赤外線カメラで撮影し、電波吸収体の温度分布から電界分布を求めることで、ビーム3の幅を計測することができる。
【0129】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0130】
1…外部電源、2…外部負荷、3…ビーム、100…送電装置、101…発振器、102…送電アンテナ、103…通信機、103a…位置情報取得部、104…電力分配器、105…移相器、106…増幅器、107…フェーズドアレーアンテナ、108…制御部、200…受電装置、201…受電アンテナ、202…整流器、203…通信機、203a…位置情報取得部、300…中継装置、301…中継受電アンテナ、302…伝送方向調整経路部、302a…受電部、302b…送電部、303…中継送電アンテナ、304…通信機、305…制御部、306…方向調整機構、307…電力分配器、308…移相器、309…フェーズドアレーアンテナ、310…制御部、311…位置情報取得部、312、312a、312b…アライメント調整器、313…レンズ、314…反射鏡、315…レンズ駆動機構、316…反射鏡駆動機構、317…レンズ駆動機構、318…反射鏡駆動機構、320a、320b…金属導波管、320c…空洞部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10