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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170806
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】切削インサート
(51)【国際特許分類】
   B23B 27/22 20060101AFI20221104BHJP
   B23B 27/14 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
B23B27/22
B23B27/14 C
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077020
(22)【出願日】2021-04-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000221144
【氏名又は名称】株式会社タンガロイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】井田 雄大
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046AA02
3C046CC06
3C046JJ02
3C046JJ04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低領域(微小仕上げ)~中領域(中切削)まで幅広い領域をひとつのインサートでもってカバーすることができるようにする。
【解決手段】切削インサート10は、上面と、下面と、周側面15と、主切れ刃21およびコーナ切れ刃25を有する切れ刃20と、コーナ部36と、コーナ部36から中心軸に向かって形成された、第一突起41および第二突起42を有する突起部40と、すくい部50と、切れ刃20に設けられた傾斜部と、を備える。傾斜部は、コーナ切れ刃25の途中からはじまる第1傾斜部S1を有していて、すくい部50は、コーナ部36から離れるにしたがい徐々にすくい角の角度が大きくなる形状である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端面たる上面と、
前記上面と反対側の面であって切削工具のボデーへの取付面を有する第2端面たる下面と、
前記上面と前記下面とを連ねるように形成された周側面と、
前記上面と前記周側面との交差稜線に形成された主切れ刃およびコーナ切れ刃を有する切れ刃と、
該コーナ切れ刃を含むコーナ部と、
該コーナ部から、前記上面の中心を通り前記下面と垂直な方向へ延びる中心軸に向かって形成された、前記コーナ部から前記中心軸に向かうにつれて低くなる頂面をもつ第一突起、および、該第一突起に連なり前記第一突起から前記中心軸に向かうにつれて高くなる頂面をもつ第二突起を有する突起部と、
該突起部と前記切れ刃との間に形成されたすくい部と、
前記コーナ切れ刃から離れるにつれ切れ刃高さが漸次低くなるように前記コーナ切れ刃の途中から前記切れ刃に設けられた傾斜部と、
を備え、
該傾斜部は、前記コーナ切れ刃の途中からはじまる第1傾斜部を有していて、
前記すくい部は、前記コーナ部から離れるにしたがい徐々にすくい角の角度が大きくなる形状であることを特徴とする切削インサート。
【請求項2】
前記傾斜部は、前記第1傾斜部に連なり該第1傾斜部よりも勾配が大きい第2傾斜部をさらに有している、請求項1に記載の切削インサート。
【請求項3】
前記コーナ部の近傍における前記すくい部は略平滑な面を形成している、請求項1または2に記載の切削インサート。
【請求項4】
前記コーナ部の近傍における前記すくい部は、すくい角が前記第1傾斜部の勾配に合わせて形成された形状である、請求項3に記載の切削インサート。
【請求項5】
前記すくい部は、前記コーナ部から離れるにしたがいすくい角の角度が漸次大きくなるように形成されている、請求項4に記載の切削インサート。
【請求項6】
前記第一突起のピーク点は前記コーナ切れ刃の刃先より高い、請求項1から5のいずれか一項に記載の切削インサート。
【請求項7】
前記第一突起は前記ピーク点から前記中心軸に向かうにつれて徐々に低くなる、請求項6に記載の切削インサート。
【請求項8】
前記第二突起に、前記第一突起から前記中心軸に向かうにつれて高くなるように傾斜する部分を有する頂面が形成されている、請求項1から7のいずれかに記載の切削インサート。
【請求項9】
前記第二突起の側部は多段形状に形成されている、請求項8に切削インサート。
【請求項10】
前記第二突起の、前記頂面と前記すくい部との間の部分に壁面が形成されている、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項11】
前記壁面は、前記すくい部から立ち上がる1段目壁面と、該1段目壁面および前記頂面の間に設けられる2段目壁面と、を有する、請求項10に記載の切削インサート。
【請求項12】
前記1段目壁面は、切りくずを流すために当該1段目壁面と前記すくい部との間に形成されるスペースの大きさが前記コーナ部から離れるにしたがって徐々に縮小するように形成されている、請求項11に記載の切削インサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削インサートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、旋削加工用の工具として種々の構造の切削インサートが利用されており、また、そのような切削インサートの一つとして、たとえば、コーナ部の近傍まで延びるブレーカ突起(突起部)と、側面視での切れ刃の傾斜(インクリネーション)とが設けられたものが開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1に開示されている切削インサートは、ブレーカ突起を有することで仕上げ加工時の切りくず処理性を確保するようにしたもので、同時に、高切込みにも対応させるためブレーカ突起の高さがいったん上昇したあと下がるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2015/046558A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のごとき従来の切削インサートに対しては、低領域(微小仕上げ)~中領域(中切削)まで幅広い領域をひとつのインサートでもってカバー(対応)できるようにしてほしいという要請があるのが実情である。そのような実情に照らすと、例えば仕上げ加工(低切込み低送り加工)に適した構造の切削インサートについては、そのような特性を維持しつつ、なおかつ高切込みとした場合にも良質な切削が実現されるようにいわば適用範囲を広げた構造とすることが上記のごとき要請に沿うものと考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、低領域(微小仕上げ)~中領域(中切削)まで幅広い領域をひとつのインサートでもってカバーすることができるようにした切削インサートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
第1端面たる上面と、
上面と反対側の面であって切削工具のボデーへの取付面を有する第2端面たる下面と、
上面と下面とを連ねるように形成された周側面と、
上面と周側面との交差稜線に形成された主切れ刃およびコーナ切れ刃を有する切れ刃と、
該コーナ切れ刃を含むコーナ部と、
該コーナ部から、上面の中心を通り下面と垂直な方向へ延びる中心軸に向かって形成された、コーナ部から中心軸に向かうにつれて低くなる頂面をもつ第一突起、および、該第一突起に連なり第一突起から中心軸に向かうにつれて高くなる頂面をもつ第二突起を有する突起部と、
該突起部と切れ刃との間に形成されたすくい部と、
コーナ切れ刃から離れるにつれ切れ刃高さが漸次低くなるようにコーナ切れ刃の途中から切れ刃に設けられた傾斜部と、
を備え、
該傾斜部は、コーナ切れ刃の途中からはじまる第1傾斜部を有していて、
すくい部は、コーナ部から離れるにしたがい徐々にすくい角の角度が大きくなる形状であることを特徴とする切削インサートである。
【0007】
上記のごとき態様によれば、とくに仕上げ加工(低切込み低送り加工といった低領域加工)に適しなおかつ高切込み側にも適用範囲を広げることができるという切削インサート、別言すれば、低切込み条件を主としつつも高切込み、低送り条件といった中領域加工にも対応できるような改善がなされた切削インサートを提供することができる。すなわち、
・上面のうちコーナ部寄りの位置に形成された先端突起たる第一突起が、とくに低領域における切りくずの改善に寄与する
・コーナ切れ刃の近傍(途中)からはじまるように切れ刃に設けられた傾斜部(インクリネーション)が、より早く切りくずを流すように作用する
・中領域加工のときのほうが低領域加工のときよりもすくい角が大きくなるように形成されたすくい部が、中領域加工のときのバリ/ビビリを抑制するように作用する。
・コーナ部から離れるにしたがい徐々にすくい角が大きくなる形状のすくい部が、切りくずを丸めながら当該すくい部に沿って流すように送る
・切りくず排出路(切りくずポケット)がありすぎるとそのことに起因して問題が生じうるが、この点に関しては、第二突起が切りくずをガイドする程度の好適な形状に設けられていることでこのような問題を抑え込む
といった各種作用を奏する構成とすることにより、とくに仕上げ加工(低切込み低送り加工)に適した構造でありながら、なおかつ高切込みとした場合にも良質な切削が実現されるようにいわば適用範囲を広げた構造を実現している。
【0008】
上記のごとき切削インサートにおいて、傾斜部は、第1傾斜部に連なり該第1傾斜部よりも勾配が大きい第2傾斜部をさらに有していてもよい。
【0009】
上記のごとき切削インサートにおいて、コーナ部の近傍におけるすくい部は略平滑な面を形成していてもよい。
【0010】
上記のごとき切削インサートにおいて、コーナ部の近傍におけるすくい部は、すくい角が第1傾斜部の勾配に合わせて形成された形状であってもよい。
【0011】
上記のごとき切削インサートにおけるすくい部は、コーナ部から離れるにしたがいすくい角の角度が漸次大きくなるように形成されていてもよい。
【0012】
上記のごとき切削インサートにおいて、第一突起のピーク点はコーナ切れ刃の刃先より高くてもよい。
【0013】
上記のごとき切削インサートにおいて、第一突起はピーク点から中心軸に向かうにつれて徐々に低くなるものであってもよい。
【0014】
上記のごとき切削インサートにおいて、第二突起に、第一突起から中心軸に向かうにつれて高くなるように傾斜する部分を有する頂面が形成されていてもよい。
【0015】
上記のごとき第二突起の側部は多段形状に形成されていてもよい。
【0016】
上記のごとき切削インサートにおける第二突起の、頂面とすくい部との間の部分に壁面が形成されていてもよい。
【0017】
上記のごとき壁面は、すくい部から立ち上がる1段目壁面と、該1段目壁面および頂面の間に設けられる2段目壁面と、を有していてもよい。
【0018】
上記のごとき1段目壁面は、切りくずを流すために当該1段目壁面とすくい部との間に形成されるスペースの大きさがコーナ部から離れるにしたがって徐々に縮小するように形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一態様である切削インサートの一例を示す斜視図である。
図2図1中の一部(丸く囲んだ部分)を拡大して示す図である。
図3】切削インサートの一例を示す平面図である。
図4】切削インサートを長手方向に沿って見た正面図である。
図5】切削インサートの短手方向に沿って見た側面図である。
図6】第一突起と第二突起の部分を拡大して示す切削インサートの部分平面図である。
図7】切削インサートの第一突起と第二突起を含む部分の側視図である。
図8】第一突起の部分を拡大して示す切削インサートの部分平面図である。
図9】切削インサートの第一突起を含む部分の側視図である。
図10】切削インサートの低領域(低切込み)時の加工イメージを表す図である。
図11図10に示した切削インサートの第一突起を含む部分を拡大して示す図である。
図12】切削インサートの中領域(中程度の切込み)時の加工イメージを表す図である。
図13図12に示した切削インサートの第一突起と第二突起を含む部分を拡大して示す図である。
図14】(A)図12図13に示した中領域切込み時の切りくずの一例を示す画像と、(B)従来の切削インサートによる切込み時の切りくずの一例を示す参考画像である。
図15】切削インサートの長手方向に沿って見た、第一突起と第二突起を含む部分を拡大して示す斜視図である。
図16】切削インサートの長手方向に沿って見た、第一突起を含む部分を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る切削インサートの好適な実施形態について詳細に説明する(図1等参照)。以下においては、まず、ワーク(被削材)100の切削に用いられる切削インサート10の概要を説明し、その後、本発明に係る切削インサート10の特徴的な部分について説明する(図1等参照)。なお、以下の説明においては、便宜的に「低領域」「中領域」という用語を使うこととする。「低領域」は、切込み量が比較的小さい状態での切削ないしはこのような切削に用いられる切れ刃やブレーカ突起の範囲のことをいい、「中領域」は、これよりも切込み量が大きい状態での切削ないしはこのような切削に用いられる切れ刃やブレーカ突起の範囲のことをいう。
【0021】
≪切削インサートの概要≫
図1等に示す切削インサート10は、上面17の中心を通り下面19に垂直な中心軸AX1を中心に180°回転させて切削工具のボデー(図示省略)に取り付けることにより一対の切れ刃20のいずれをも使用することができるインサートとして構成されている(図1図3等参照)。切削インサート10の中央部には、取付用ねじ(図示省略)を通すためのねじ穴18が上面17および下面19を貫通するように形成されている(図2図3等参照)。切削インサート10をボデーに取り付ける際には下面19が当該ボデーに接する取付面として機能する。
【0022】
本実施形態の切削インサート10は、中心軸AX1に沿って図1中の上方を向いた第1端面たる上面17と、それとは反対の下方を向いた第2端面たる下面19と、上面17と下面19を接続する第1周側面部11、第2周側面部12、第3周側面部13、第4周側面部14からなる周側面15を備える。上面17よりも下面19の面積が狭くなるように、これら第1周側面部11、第2周側面部12、第3周側面部13、第4周側面部14は、いずれもオーバーハング状に傾斜しており(図4参照)、切れ刃20の逃げ面となるように形成されている(図4図5等参照)。なお、上記したごとく本実施形態の切削インサート10は中心軸AX1を中心に180°回転させて用いることができる対称形状であるため、特に断りをいれない限り、以下で説明するコーナ部36や切れ刃20などの形状ないし構造は、対称形状をなす対の部材のいずれにも当てはまる。
【0023】
上面視において(図3参照)、上面17の形状は一組の略平行な辺稜部からなる斜方形(ひし形)となっている。斜方形の2本の対角線のうち長いほうの延長方向(本明細書では「長手方向」という)の一方を便宜的に第1方向D1、他方を第3方向D3とし、対角線のうち短いほうの延長方向(本明細書では「短手方向」という)の一方を便宜的に第2方向D2、他方を第4方向D4とする(図1図3等参照)。切削インサート10の第1方向D1と第3方向D3にはそれぞれコーナ部36が形成されている(図2等参照)。なお、本実施形態で説明するがごとき切削インサート10を側方から見た場合の形状や構造を示すには、短手方向に沿って見た場合の図(つまり第2方向D2または第4方向D4から見た図)よりも、切れ刃20(の長手方向)に垂直な方向(便宜的に、そのような方向の一例を符号D5で示す。図3等参照)から見た場合の図のほうがよりわかいやすいと考えられた。本明細書では、このように方向D5に沿って見た図を便宜的に側視図と呼び、図面の一部においてそのような側視図を表すこととする(図7図9参照)。
【0024】
周側面15と上面17との間の交差稜線(辺稜部)16には、主切れ刃21およびコーナ切れ刃25からなる切れ刃20が形成されている(図1等参照)。コーナ切れ刃25は、上述のコーナ部36に形成されている。主切れ刃21は、コーナ切れ刃25に連なるように形成されている(図2等参照)。
【0025】
上面17には、コーナ部36から中心軸AX1に向かって、第一ブレーカ突起(第一突起)41および第二ブレーカ突起(第二突起)42を有する突起部40が形成されている(図15図16等参照)。
【0026】
第一ブレーカ突起41は、コーナ部36に近接した位置に、長手方向に沿って細長く伸びる形状に形成されている(図6図16等参照)。第一ブレーカ突起41は、その高さが、長手方向に沿ってコーナ部36から中心軸AX1のほうへと向かうにつれて高くなり(図7中、右上がりの矢印で示す部分参照)、緩やかに傾斜しながらピーク点41pに達し、その後、ピーク点41pから中心軸AX1のほうに向かうにつれて徐々に低くなる頂面41uを有するように形成されている(図7参照)。また、第一ブレーカ突起41は、そのピーク点41pがコーナ切れ刃25の刃先25tよりも高くなるように形成されている(図7参照)。このような形状の第一ブレーカ突起41は、切れ刃20との間に、切りくず(図14において符号101で示す)を流すためのスペース(いわばポケットのような空間)を確保すること、さらには過拘束を抑制することに寄与する。低領域であれ中領域であれ、切りくず101の生成はどの条件であってもコーナ切れ刃25の最近接部であるこの第一ブレーカ突起41を起点にして行われる。
【0027】
上記についてより詳細な説明をしておく(図7等参照)。一般に、すくい角を大きくしすぎると、当該すくい部50におけるそのすくい面に従い、より深くまで切りくず101が潜っていくようになる。そのような状態で切りくず101が第一ブレーカ突起41に当たることを本明細書では「過拘束」と呼んでいる。拘束力が上がるということは切りくず101を細かく切断する点では有利であるが、一方で、自然な切りくず101の流出に対して無理やり切りくず101を変形させ、ワーク(被削材)100から引きはがす形態であるということもできるため、加工面に傷やバリなどが生じやすくなるという面もある。切りくず切断を求めて突起型のブレーカを設ける以上、ある程度は仕方ないともいえるが、実際、コーナ部36のすくい角が強い製品においては切りくず101の詰まり/過拘束が発生して面が荒れていることがある。本実施形態では、このような実情を鑑み、問題を解決するべく、第1インクリネーションS1の勾配(角度)θ1とすくい部50のすくい角との角度差を抑えることとしたため、当該部分がより平坦であるということができる。また、第一ブレーカ突起41をピーク後(ピーク点41pを超えた後)に低くしたのも、同様に、切れ刃断面から見て突起高さが高くなればなるほど、切りくず101の拘束が強くなりすぎてしまうためであるといえる。なお、第1インクリネーションS1が設けられている部分に最適なすくい角を設定すれば当該部分を平坦化することができる。
【0028】
第二ブレーカ突起42は、第一ブレーカ突起41に連なるように形成されている。本実施形態の第二ブレーカ突起42は、第一ブレーカ突起41から中心軸AX1のほうに向かうにつれて高くなるように傾斜する頂面42uをもち、さらに、1段目壁面42a、2段目壁面42bをもつ(図2図15等参照)。頂面42uは、なだらかに高くなる流線形のような部分を含んでいてもよいし、多段壁面で構成されていてもよい。1段目壁面42aは、切りくず101を拘束するガイドとして主に使用され、2段目壁面42bは、切削性能に直接大きく寄与するものではないが切りくず101を流すためのポケットを確保するように形成される。また、1段目壁面42aと2段目壁面42bは、基本的には、らせん状に生成される切りくず101をガイドするため、広すぎないスペースを形成するように2段構造に構成されている。本実施形態では、主に1段目壁面42aをガイドとして作用させるように構成し、かつ、2段目壁面42bは適度に逃がした(空間を広げた)構成としている。
【0029】
1段目壁面42aは中領域での切削の際にとくに機能する壁面として形成されている。この1段目壁面42aは多段壁面で構成されていてもよいが、なだらかに変化する流線形のように構成されていればなおよい。本実施形態における1段目壁面42aは、すくい部50から頂面42uに向かって立ち上がるように形成された壁面からなり、とくに、中領域での切削の際に主切れ刃21で切削されて生じる切りくず101を拘束するガイドとして機能するように形成されている(図1等参照)。本実施形態の1段目壁面42aは、すくい部50との間で、切りくず101が後方(コーナ部36から離れる方向)に向けてスムーズに流れるような適度な大きさと形状のスペース(切りくずポケット)が形づくられるように、たとえばコーナ部36から離れるにしたがって当該スペースが徐々に縮小するように形成されている。このような1段目壁面42aは、とくに中領域での切削の際、切りくず101がスムーズに流れるようにするためガイド(補助)をし、さらには、切りくず101の振り回しによる切りくず絡みの抑制効果なども奏しうる(図14等参照)。
【0030】
2段目壁面42bは、1段目壁面42aを乗り越えるような切りくず101をガイドしてスムーズに流すように機能する壁面として形成されている。仮に、極端に長い切りくずポケットが中領域側に残っていると、長い螺旋形の切りくず101が生成されるような場合にこのような切りくず101を処理しきれず、振り回されて絡みつく原因になり得ることから、本実施形態ではそのような場合を想定し、1段目壁面42aを乗り越えるような切りくず101はこの2段目壁面42bで処理できるようにしている。
【0031】
突起部40と切れ刃20との間には、すくい部50が形成されている(図2図6等参照)。すくい部50は、切削時において切れ刃20のすくい面として機能する部分であり(図10図12参照)、所定のすくい角となるように形成されている。とくに図示してはいないが、すくい部50のすくい角は、切れ刃20に垂直な断面における、水平面(上面17や下面19に平行な面)に対する当該すくい部50角度として規定することができる。本実施形態では、すくい部50を、コーナ部36から離れるにしたがいすくい角の角度が漸次(徐々にかつ連続的に)大きくなるように(別言すれば、すくい面にごく僅かながら捻(ひね)りが加わるように)形成している。また、本実施形態の切削インサート10におけるすくい部50は、コーナ部36から離れるにしたがいすくい角の角度が増加し、切れ刃20の最深部20d(図5参照)に到達してからは増加しない形状となっている。
【0032】
また、すくい部50は、コーナ部36の近傍においては平滑な面となるよう形成されている。ここでいう平滑とは真平ということではなく、切削時における切りくず101の流出をよりスムーズにしうる程度に平らかであることを意味する。要は、とくにコーナ部36の近傍にすくい角が設けられていたり第一ブレーカ突起41が形成されていたりすれば少なくとも凹凸が形成されるので厳密な意味で真っ平になるということはないのであるが、ここでは、コーナ部36の近傍の面が平滑に近ければ近いほど切りくず101をスムーズに流出させやすくなる点に着目し、これが少なくとも実現される程度に平滑にしていることに留意されたい(図8等参照)。別言すれば、すくい部50を構成するすくい面は、インクリネーションSの勾配(θ1,θ2)とすくい角とがなす合成面であるということである。本実施形態の切削インサート10では、コーナ部36にすくい角はついており、第1インクリネーションS1の範囲だけで見ても、すくい角が微小ながらも連続的に変動する構造であるため、厳密な真平ではないものの、平滑となるように形成されている。さらに別言するならば、切りくず101を細かく切断しようとするのであれば拘束したいのですくい角を少し強くしたいが、やりすぎると過拘束になるのでこの観点からのバランスも重要である。
【0033】
切れ刃20には、コーナ切れ刃25から離れるにつれ切れ刃高さ(下面19に平行な面から切れ刃20までの距離のことをいい、図中では符号Hで示す)が漸次低くなるように、インクリネーション(傾斜部)Sが設けられている(図7図9等参照)。本実施形態の切削インサート10におけるインクリネーションSは、コーナ切れ刃25の途中からはじまる第1インクリネーションS1と、第1インクリネーションS1に連なり該第1インクリネーションS1の勾配θ1よりも大きい勾配θ2である第2インクリネーションS2とで構成されている(図9等参照)。コーナ切れ刃25の途中からはじまる第1インクリネーションS1は、とくに低領域(低切込み)の際の切りくず101を早い段階で第一ブレーカ突起41のほうへ引き込むように作用する。このようなインクリネーションSによって切れ刃20は傾斜勾配しており、この切れ刃20に沿って延在したすくい面に沿って切りくず101が流出する。このとき、切りくず101は、図11中に示す矢印に沿うようにカールすること(上向きカール)が促進された上で最近接した第一ブレーカ突起41に接触するようになる。このような本実施形態の切削インサート10では、切りくず101に対して極力余計な湾曲をさせる要素は与えず、切りくず101を切断よりは安定的な螺旋状態で流出させることを優先し、スムーズな切りくず101の排出を実現する。
【0034】
上記のようにインクリネーションSが設けられた切削インサート10においては、コーナ部36の近傍におけるすくい部50を、そのすくい角が第1インクリネーションS1の勾配に合わせて形成されたものとしてもよい。具体的な数値がとくに限定されることはないが、例を挙げれば、第1インクリネーションS1の勾配θ1を5°とし、コーナ部36の近傍におけるすくい部50のすくい角をこれと同じ5°とすることを挙げることができる。たとえば、すくい角を付けすぎるとインクリネーションSによる上向きの湾曲とすくい角による横向きの湾曲が足されて切りくず101がスムーズに流れにくくなることがあり、そうした場合は切りくず101が詰まりやすく、無理やり引きちぎるような形状の切りくず101が発生しやすい。そうすると、結果的にむしれ面・白濁面といった形で加工面の品位が劣化することがある。この点、上記のごとき構造の本実施形態の切削インサート10によれば、(コーナ部36の近傍の)すくい部50ではなるべく強い湾曲をさせず、一定方向にスムーズでかつ第一ブレーカ突起41に向けて切りくず101を早い段階で流すようにする。要は、切りくず101を極端に湾曲させすぎることはよろしくないのであって、この点、本実施形態の切削インサート10はすくい面上で切りくず101をスムーズに流すことに着目した構造であるということができる。
【0035】
≪切削インサートの特徴の概略≫
上記のごとく構成された本実施形態の切削インサート10の特徴の概略を、本発明者が当該特徴に想到するまでの経緯や考慮した事項などとともに説明すれば以下のとおりである。
【0036】
切削インサート10を用いて切削するにあたっては、自動盤における外径旋削・低領域(微小切込み)の切りくず101に関する改善要求があることから、まずはこの点をふまえ、突起(第1突起)を可能な限りコーナ切れ刃に近接させる形状を検討した。しかし、そうするとブレーカ幅が狭くなりすぎることや強い(大きい)すくい角で切りくず101を湾曲させることなどが影響し、とくにすくい角が比較的に大きくなる中領域においていわゆる過拘束の状況となり加工面に影響を及ぼしてしまうことがわかった。別言すると、切りくず101が詰まるような状況下では、ワーク(被削材)100から加工領域で発生した切りくず101を無理やり湾曲させ切断する傾向が強く発生し、いわば強引に引きちぎるイメージに相当する結果、面荒れ/面白濁が生じ、加工面の品位劣化という現象が生じやすくなると考えられた。これらを考慮し、本実施形態では、低領域においては切りくず101の排出性能を優先した設計とする。具体的には、(i)上向きカール促進(切れ刃20に設けられたインクリネーションSによって、コーナ部36から離れるにつれて切れ刃高さH、すくい面がともに下がっていくので、図10中であれば紙面上向きの方向に切りくず101が向かい、図14(A)に示すような螺旋状に長い円筒型のような切りくず101となるように作用すること)のため切れ刃20にインクリネーション(傾斜部)Sをつけ、(ii)カールを促進させる(すなわち、切りくずを第一ブレーカ突起41のほうへ引き込む)ために、インクリネーションSの開始位置はコーナ部36内とする。また、種々の比較テストの結果から、すくい部50のすくい角とインクリネーションSの勾配とを近づけた方が低領域での切りくず101の流出性能がよりスムーズになるとの知見が得られたことから、インクリネーションSの勾配とすくい角とがほぼ同値となる構造とすることにより、極端に湾曲する形状とはならないようにしつつ、切りくず101がスムーズにコーナ部36のすくい面から第一ブレーカ突起41に流れるようにしている。ただし、この第一ブレーカ突起41の高さは極端に高くすることはせず、可能な限り先端だけで(切削インサート10のうち第一ブレーカ突起41が形成された部分で)切りくず101を抑える形とする。第一ブレーカ突起41はその断面も緩やかな形状であることがよい。第一ブレーカ突起41の高さは当該切削インサート10のインクリネーションSに従って徐々に下がる形状であり、切りくず101が流出する際の空間(切りくずポケット)が形成される形とした。
【0037】
また、切削インサート10に対するその他の要求として、ステンレスの中仕上げ加工においてバリ/ビビリが多く発生する問題への対処というものがある。この点に関しては、上記のとおり低領域においては切りくず101の排出性能を優先した設計としつつ、中領域でも加工できるように有効切れ刃(本実施形態の切削インサート10において、有効切れ刃は、側面図(図5参照)あるいは側視図(図9参照)にて主切れ刃20が最深部(図5において符号20dで示す)に到達するまでの範囲となる)を伸ばしている。この際、中領域での切削時における切削抵抗を低抵抗化するため、低領域よりも中領域のほうですくい角が大きくなるようなすくい部50を構成し、バリ/ビビリが抑えられるようにしている。また、インクリネーションについても、第1インクリネーション(低領域の一段目のインクリネーション)S1よりも深くなる(傾斜が大きくなる)第2インクリネーションS2を形成する。このような第2インクリ―ネーションS2は、図13中に示す矢印に沿うようにカールすること(上向きカール)をより促進させる。また、第2インクリネーションS2の勾配θ2を(当該箇所におけるすくい部50の)すくい角もより大きくすることで切削性能を向上させ、ひいては耐ビビリ性能の向上、バリ発生の抑制・切削抵抗が低減する構造とすることができる。
【0038】
また、とくに中領域用として、断面が二段形状となる第二ブレーカ突起42が形成されている。この第二ブレーカ突起42に関していえば、第一ブレーカ突起41と同様にインクリネーションSに沿って下がっていく構造とすることも考えられるが、そうした場合には、切りくずポケットが広すぎて高切込み/低送り条件などで幅がある切りくず101が振り回されながら排出され、不安定な切りくず流出/生成が起こるという従来の切削インサートと同様の問題が生じうる。この点を考慮し、本実施形態では、低領域とは異なり中領域では切りくずポケットを比較的に狭める構造とすることを考慮しつつ第二ブレーカ突起42を形成する。第二ブレーカ突起42は多段であり、1段目壁面42aを主に利用してらせん状に生成される切りくず101のガイドとなるように広すぎないスペースを形成し、かつ、2段目壁面42bは適度に空間を広げる形状とし、切りくず101の排出性能を実現しつつ切りくずポケットが確保される構成とする。これらの作用より、長めの安定的な螺旋状の切りくず101が排出されるようになる(図14(A)参照)。一方で、このような作用が実現されていない従前の切削インサートの場合には、切りくず101の出始めは螺旋部で問題ないにしても、切りくずポケットが広く自由度が高い場合、加工中に振り回されるなどして伸び絡み傾向が強くなる(図14(B)参照)。とくに、自動盤用途だと汎用旋盤よりも切込み量に対する送りの割合が極端に低いからこのような事象になりがちである(汎用旋盤の場合、送り量の割合が大きく切りくず101が厚くなる。この状況では切りくずポケットが狭く詰まりやすくなり、欠損などにつながる)。そこで、このような問題点を考慮し、本実施形態では、中領域ではある程度切りくずポケットを制限することとし、第二ブレーカ突起42の1段目壁面42aをガイドとして流すような構造とする。
【0039】
上記のごとき特徴がある本実施形態の切削インサート10は、低領域(微小仕上げ)~中領域(中切削)まで幅広い領域をひとつのインサートでもってカバーすることを実現する。別言すれば、とくに仕上げ加工(低切込み低送り加工)に適した構造でありながら、なおかつ高切込みとした場合にも良質な切削が実現されるようにいわば適用範囲を広げた構造を実現している。これは、とくに、上記のごとく切りくず101を流すためのスペースを確保しつつ過拘束を抑制する構造の第一ブレーカ突起41を設け、さらに、切りくず101をガイドすることを重視した2段構造の第二ブレーカ突起42を設け、また側面視での切れ刃20の傾斜(インクリネーション)を調整する(つまり、第一ブレーカ突起41用と第二ブレーカ突起42用とで勾配を変える)ことで、高切込み側にさらに適用範囲を拡大したことによる。また、すくい部50のすくい角を徐々に変化させることで、切削抵抗を下げて適用範囲をさらに広げられるようにしたことにもよる。このように、いわば最適化された突起部40(第一ブレーカ突起41および第二ブレーカ突起42)の作用も相まって、過拘束せずにスムーズな切りくず生成/排出を実現する。
【0040】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、切削加工用(主として旋削用)の切削インサートに適用して好適である。
【符号の説明】
【0042】
10…切削インサート
11…第1周側面部
12…第2周側面部
13…第3周側面部
14…第4周側面部
15…周側面
16…上面と周側面との交差稜線
17…上面(第1端面)
18…ねじ穴
19…下面(第2端面)
20…切れ刃
20d…切れ刃の最深部
21…主切れ刃
25…コーナ切れ刃
25t…コーナ切れ刃の刃先
36…コーナ部
40…突起部
41…第一ブレーカ突起(第一突起)
41p…第一突起のピーク点
41u…第一突起の頂面
42…第二ブレーカ突起(第二突起)
42a…第二ブレーカ突起の1段目壁面(第二突起の側部の一部)
42b…第二ブレーカ突起の2段目壁面(第二突起の側部の一部)
42u…第二ブレーカ突起の頂面
50…すくい部
100…ワーク(被削材)
101…切りくず
AX1…中心軸
D1…第1方向
D2…第2方向
D3…第3方向
D4…第4方向、
D5…切れ刃に垂直な方向(のうちの一つ)
H…切れ刃高さ
S…インクリネーション(傾斜部)
S1…第1インクリネーション(第1傾斜部)
S2…第2インクリネーション(第2傾斜部)
θ1…第1インクリネーション(第1傾斜部)の勾配
θ2…第2インクリネーション(第2傾斜部)の勾配
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2021-09-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端面たる上面と、
前記上面と反対側の面であって切削工具のボデーへの取付面を有する第2端面たる下面と、
前記上面と前記下面とを連ねるように形成された周側面と、
前記上面と前記周側面との交差稜線に形成された主切れ刃およびコーナ切れ刃を有する切れ刃と、
該コーナ切れ刃を含むコーナ部と、
該コーナ部から、前記上面の中心を通り前記下面と垂直な方向へ延びる中心軸に向かって形成された、前記コーナ部から前記中心軸に向かうにつれて低くなるように傾斜する頂面をもつ第一突起、および、該第一突起に連なり前記第一突起から前記中心軸に向かうにつれて高くなるように傾斜する頂面をもつ第二突起を有する突起部と、
該突起部と前記切れ刃との間に形成されたすくい部と、
前記コーナ切れ刃から離れるにつれ切れ刃高さが漸次低くなるように前記コーナ切れ刃の途中から前記切れ刃に設けられた傾斜部と、
を備え、
該傾斜部は、前記コーナ切れ刃の途中からはじまる第1傾斜部を有していて、
前記すくい部は、前記コーナ部から離れるにしたがい徐々にすくい角の角度が大きくなる形状であることを特徴とする切削インサート。
【請求項2】
前記傾斜部は、前記第1傾斜部に連なり該第1傾斜部よりも勾配が大きい第2傾斜部をさらに有している、請求項1に記載の切削インサート。
【請求項3】
前記コーナ部の近傍における前記すくい部は略平滑な面を形成している、請求項1または2に記載の切削インサート。
【請求項4】
前記コーナ部の近傍における前記すくい部は、すくい角が前記第1傾斜部の勾配と同程度の大きさに形成された形状である、請求項3に記載の切削インサート。
【請求項5】
前記すくい部は、前記コーナ部から離れるにしたがいすくい角の角度が漸次大きくなるように形成されている、請求項4に記載の切削インサート。
【請求項6】
前記第一突起のピーク点は前記コーナ切れ刃の刃先より高い、請求項1から5のいずれか一項に記載の切削インサート。
【請求項7】
前記第一突起は前記ピーク点から前記中心軸に向かうにつれて徐々に低くなる、請求項6に記載の切削インサート。
【請求項8】
前記第二突起に、前記第一突起から前記中心軸に向かうにつれて高くなるように傾斜する部分を有する頂面が形成されている、請求項1から7のいずれかに記載の切削インサート。
【請求項9】
前記第二突起の側部は多段形状に形成されている、請求項8に記載の切削インサート。
【請求項10】
前記第二突起の、前記頂面と前記すくい部との間の部分に壁面が形成されている、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項11】
前記壁面は、前記すくい部から立ち上がる1段目壁面と、該1段目壁面および前記頂面の間に設けられる2段目壁面と、を有する、請求項10に記載の切削インサート。
【請求項12】
前記1段目壁面は、切りくずを流すために当該1段目壁面と前記すくい部との間に形成されるスペースの大きさが前記コーナ部から離れるにしたがって徐々に縮小するように形成されている、請求項11に記載の切削インサート。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端面たる上面と、
前記上面と反対側の面であって切削工具のボデーへの取付面を有する第2端面たる下面と、
前記上面と前記下面とを連ねるように形成された周側面と、
前記上面と前記周側面との交差稜線に形成された主切れ刃およびコーナ切れ刃を有する切れ刃と、
該コーナ切れ刃を含むコーナ部と、
該コーナ部から、前記上面の中心を通り前記下面と垂直な方向へ延びる中心軸に向かって細長く伸びる形状に形成された、前記コーナ部から前記中心軸に向かうにつれて低くなるように傾斜する頂面をもつ第一突起、および、該第一突起に連なり前記第一突起から前記中心軸に向かうにつれて高くなるように傾斜する頂面をもつ第二突起を有する突起部と、
該突起部と前記切れ刃との間に形成されたすくい部と、
前記コーナ切れ刃から離れるにつれ切れ刃高さが漸次低くなるように前記コーナ切れ刃の途中から前記切れ刃に設けられた傾斜部と、
を備え、
該傾斜部は、前記コーナ切れ刃の途中からはじまる第1傾斜部と、前記第一突起の側方において前記第1傾斜部に連なり当該第1傾斜部よりも勾配が大きい第2傾斜部と、を有していて、
前記すくい部は、前記コーナ部から離れるにしたがい徐々にすくい角の角度が大きくなる形状であることを特徴とする切削インサート。
【請求項2】
前記コーナ部の近傍における前記すくい部は略平滑な面を形成している、請求項1に記載の切削インサート。
【請求項3】
前記コーナ部の近傍における前記すくい部は、すくい角が前記第1傾斜部の勾配と同程度の大きさに形成された形状である、請求項に記載の切削インサート。
【請求項4】
前記すくい部は、前記コーナ部から離れるにしたがいすくい角の角度が漸次大きくなるように形成されている、請求項に記載の切削インサート。
【請求項5】
前記第一突起のピーク点は前記コーナ切れ刃の刃先より高い、請求項1からのいずれか一項に記載の切削インサート。
【請求項6】
前記第一突起は前記ピーク点から前記中心軸に向かうにつれて徐々に低くなる、請求項に記載の切削インサート。
【請求項7】
前記第二突起に、前記第一突起から前記中心軸に向かうにつれて高くなるように傾斜する部分を有する頂面が形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の切削インサート。
【請求項8】
前記第二突起の側部は多段形状に形成されている、請求項に記載の切削インサート。
【請求項9】
前記第二突起の、前記頂面と前記すくい部との間の部分に壁面が形成されている、請求項に記載の切削インサート。
【請求項10】
前記壁面は、前記すくい部から立ち上がる1段目壁面と、該1段目壁面および前記頂面の間に設けられる2段目壁面と、を有する、請求項に記載の切削インサート。
【請求項11】
前記1段目壁面は、切りくずを流すために当該1段目壁面と前記すくい部との間に形成されるスペースの大きさが前記コーナ部から離れるにしたがって徐々に縮小するように形成されている、請求項10に記載の切削インサート。