(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170827
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】計測装置、及びラジアルキーの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01B 5/14 20060101AFI20221104BHJP
G21C 13/02 20060101ALI20221104BHJP
G21C 17/08 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
G01B5/14
G21C13/02 200
G21C17/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077061
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】多田 昂平
(72)【発明者】
【氏名】河西 賢一
(72)【発明者】
【氏名】山丈 政之
(72)【発明者】
【氏名】小林 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】南山 彰男
【テーマコード(参考)】
2F062
2G075
【Fターム(参考)】
2F062AA36
2F062BB04
2F062BB10
2F062BC35
2F062EE01
2F062EE63
2F062FF03
2F062FF25
2F062GG17
2F062HH05
2F062HH13
2F062HH32
2F062JJ04
2G075AA01
2G075BA16
2G075CA07
2G075DA15
2G075EA03
(57)【要約】
【課題】狭隘な溝部の寸法を高い精度のもとで計測することが可能な計測装置、及びラジアルキーの製造方法を提供する。
【解決手段】計測装置は、計測対象物の溝部内に設けられて、溝部の延在方向に進行可能な基部と、基部に設けられて、基部から溝部の一方の内側面に突出可能な第一計測端子と、基部における第一計測端子よりも基部の進行方向前方側に離間した位置に設けられて、基部から溝部の他方の内側面に突出可能な第二計測端子と、基部から突出した第二計測端子を基部に引き込む引き込み機構と、を有する第一計測部を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象物の溝部内に設けられて、前記溝部の延在方向に進行可能な基部と、
前記基部に設けられて、前記基部から前記溝部の一方の内側面に突出可能な第一計測端子と、
前記基部における前記第一計測端子よりも前記基部の進行方向前方側に離間した位置に設けられて、前記基部から前記溝部の他方の内側面に突出可能な第二計測端子と、
前記基部から突出した前記第二計測端子を前記基部に引き込む引き込み機構と、
を有する第一計測部を備える計測装置。
【請求項2】
前記引き込み機構によって引き込まれた前記第二計測端子を、前記引き込まれた状態で前記基部に固定可能なストッパ部をさらに備える請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記計測対象物の前記溝部の側方の前面に対向する位置に設けられて、前記基部から前記前面に向かって付勢された状態で突出可能な前面計測端子を有する第二計測部をさらに備える請求項1又は2に記載の計測装置。
【請求項4】
計測対象物の溝部内に設けられて、前記溝部の延在方向に進行可能な基部と、
前記溝部の側方の前面に対向する位置に設けられて、前記基部から前記前面に向かって付勢された状態で突出可能な前面計測端子を有する第二計測部を備える計測装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の計測装置を用いたラジアルキーの製造方法であって、
前記基部を前記進行方向前方側に進行させることで、前記第一計測端子、及び前記第二計測端子によって、予め定められた基準点と前記溝部の前記一方の内側面との間、及び前記基準点と前記溝部の前記他方の内側面との間の距離を計測する工程と、
前記基準点と前記他方の内側面との間の距離を計測が完了した後に、前記第二計測端子を引き込む工程と、
前記第二計測端子が引き込まれた状態で、前記基部を前記進行方向前方側にさらに進行させて、前記第一計測端子によって、前記進行方向における前記第一計測端子と前記第二計測端子の離間距離の分だけ、前記基準点と前記一方の内側面との間の距離を計測することで、前記溝部の幅を取得する工程と、
前記第二計測部によって前記基準点と前記前面との間の離間距離を計測する工程と、
前記溝部の幅、及び前記離間距離に基づいてラジアルキーの寸法を決定する工程と、
を含むラジアルキーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計測装置、及びラジアルキーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉の炉内構造物は、上部炉心構造物と、下部炉心構造物とによって構成されている。下部炉心構造物は、原子炉容器内に上方から挿入された状態で支持されている(例えば下記特許文献1)。原子炉容器の内周面にはクレビスインサートと呼ばれる溝部が複数形成されている。このクレビスインサートに対して、下部炉心構造物の外周面に周方向に間隔をあけて配置されたラジアルキーがそれぞれ挿入される。これにより、下部炉心構造物が原子炉容器に対して固定・支持される。ラジアルキーは、予め形成されているクレビスインサートの寸法に合わせて製造する必要がある。このため、クレビスインサートの寸法を計測するための装置が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、クレビスインサートは、幅100mm程度の狭隘な溝部であり、さらにラジアルキーに許容される寸法精度も相当程度に高い。したがって、狭隘な溝部の寸法を高い精度のもとで計測することが可能な計測装置に対する要請が高まっていた。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、狭隘な溝部の寸法を高い精度のもとで計測することが可能な計測装置、及びラジアルキーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る計測装置は、計測対象物の溝部内に設けられて、前記溝部の延在方向に進行可能な基部と、前記基部に設けられて、前記基部から前記溝部の一方の内側面に突出可能な第一計測端子と、前記基部における前記第一計測端子よりも前記基部の進行方向前方側に離間した位置に設けられて、前記基部から前記溝部の他方の内側面に突出可能な第二計測端子と、前記基部から突出した前記第二計測端子を前記基部に引き込む引き込み機構と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、狭隘な溝部の寸法を高い精度のもとで計測することが可能な計測装置、及びラジアルキーの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】下部炉心構造物と原子炉容器の概略構成を示す断面図である。
【
図2】クレビスインサートの構成を示す正面図である。
【
図3】クレビスインサートの構成を示す上面図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る計測装置の構成を示す正面図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る計測装置の動作中の状態を示す説明図である。
【
図6】
図5の状態から計測装置を進行させた状態を示す説明図である。
【
図7】
図6の状態からさらに計測装置を進行させた状態を示す説明図である。
【
図8】本開示の実施形態に係るラジアルキーの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(原子炉の概略構成)
以下、原子炉90の概略構成について、
図1から
図3を参照して説明する。
図1に示すように、原子炉90は、下部炉心構造物91と、ラジアルキー91aと、原子炉容器92と、クレビスインサート92a(計測対象物)と、を主に備えている。
【0010】
下部炉心構造物91は、軸線Oを中心とする円形の断面形状を有している。下部炉心構造物91の上方には不図示の上部炉心構造物が一体に設けられている。下部炉心構造物91の外周面には、軸線Oに対する周方向に間隔をあけて配列された複数のラジアルキー91aが設けられている。それぞれのラジアルキー91aは、下部炉心構造物91の外周面から軸線Oに対する径方向外側に向かって突出している。
【0011】
下部炉心構造物91は、原子炉容器92の内部に上方から挿入された状態で支持されている。原子炉容器92は、軸線Oを中心とする円形の内周面を有している。当該内周面には、軸線Oに対する周方向に間隔をあけて複数のクレビスインサート92aが設けられている。周方向におけるクレビスインサート92aの位置は、上述したラジアルキー91aの周方向の位置と対応している。ラジアルキー91aがクレビスインサート92aに嵌合することで、下部炉心構造物91が原子炉容器92内で回動不能に支持・固定されている。
【0012】
図2、又は
図3に示すように、クレビスインサート92aは、上記のラジアルキー91aが挿入される溝部93と、この溝部93の側方にそれぞれ設けられた一対の前面94と、を有している。溝部93における互いに対向する一対の面は、それぞれ第一内側面93a、第二内側面93bとされている。
【0013】
(計測装置の構成)
次に、本開示の実施形態に係る計測装置100、及びラジアルキー91aの製造方法について、
図3から
図8を参照して説明する。
図3に示すように、ラジアルキー91aを製造するに当たっては、溝部93における第一内側面93aと第二内側面93bの間の寸法d1(幅)と、下部炉心構造物91の外周面とクレビスインサート92aの前面94との間の離間距離d2とを計測する必要がある。本実施形態に係る計測装置100は、これら寸法d1、及び離間距離d2を計測するために用いられる。
【0014】
図4に示すように、計測装置100は、第一計測部70と、第二計測部80と、を備えている。第一計測部70は、上記の寸法d1を計測するための装置である。第一計測部70は、基部1と、第一計測端子21と、第二計測端子22と、引き込み機構3と、ストッパ部4と、を有している。
【0015】
基部1は、溝部93内に配置された状態で、当該溝部93の延在方向に移動することが可能とされている。以下の説明では、この基部1の移動方向を単に「進行方向D」と呼ぶことがある。
【0016】
第一計測端子21は、基部1の側面から溝部93の第一内側面93aに向かって突出可能とされている。具体的には、第一計測端子21は基部1に内蔵されたばねの弾性力によって第一内側面93aに対して押圧された状態で当接することが可能とされている。この状態で基部1を進行方向Dの前方側に進行させることで、基部1の内部に設定された仮想基準点と第一内側面93aとの間の距離が計測される。
【0017】
第二計測端子22は、基部1における第一計測端子21が設けられた側面とは反対側の他方の側面に配置されている。第二計測端子22は、第一計測端子21と同様に、基部1に内蔵されたばねの弾性力によって第二内側面93bに対して押圧された状態で当接することが可能とされている。この状態で基部1を進行方向Dの前方側に進行させることで、基部1の側面側に設定された仮想基準面と第二内側面93bとの間の距離が計測される。上述した第一内側面93aと仮想基準面との間の距離から、当該第二内側面93bと仮想基準面との間の距離を減算することで溝部93の幅(つまり、上記の寸法d1)が取得される。なお、この寸法d1を求めるに当たっては、仮想基準点を原点とする直線座標系を溝部93の幅方向に設定し、第一内側面93aの位置座標から第二内側面93bの位置座標を減算する方法を採ることが可能である。
【0018】
ここで、上述したばね機構や第一計測端子21、及び第二計測端子22の寸法上の制約によって、第一計測端子21と第二計測端子22とを進行方向Dにおける同一の位置に設けることが難しい。このため、第二計測端子22は、第一計測端子21から進行方向Dの前方側に離間した位置に設けられている。つまり、第一計測端子21と第二計測端子22は、進行方向Dにおいて互いにずれた位置に設けられている。
【0019】
さらに、第二計測端子22は、基部1の内部に設けられた引き込み機構3によって、当該基部1の内部に引き込んで収容することが可能とされている。詳しくは図示しないが、引き込み機構3としてはエアシリンダが好適に用いられる。さらに、引き込み機構3によって引き込まれた状態で、第二計測端子22はストッパ部4によって固定されることが可能である。ストッパ部4は、第二計測端子22の不用意な突出を防ぐために設けられている。ストッパ部4も、引き込み機構3と同様にエアシリンダによって動作することが望ましい。
【0020】
第二計測部80は、複数(一例として4つ)の前面計測端子5を有している。前面計測端子5は、基部1から進行方向Dに交差する方向である側方に向かって突出する突出支持部5aに2つずつ設けられている。前面計測端子5は、突出支持部5aを基準として、不図示のばねによって前面94に向かう方向に付勢されている。前面計測端子5は、上述した第一計測端子21、及び第二計測端子22と同様に、前面94に対してばねの弾性力によって押圧された状態で、上記の隙間d2の値を計測することが可能とされている。具体的には、前面計測端子5は、基部1の内部に設定された仮想基準点と前面94との相対位置(離間距離d2)を計測する。
【0021】
(作用効果)
続いて、
図5から
図8を参照して計測装置100の動作、及びラジアルキー91aの製造方法について説明する。
図5に示すように、計測装置100による計測を行うに当たっては、まず計測装置100を溝部93内における上端に配置する。この状態から基部1を進行方向Dの前方側(つまり、溝部93の下側)に向かって進行させる。その中途で、上述した寸法d1が連続的に取得される。
【0022】
ここで、
図6に示すように、第二計測端子22が第二内側面93bの下端に到達した時点では、第一計測端子21は第一内側面93aの中途位置に留まっている。これは、上述したように、第一計測端子21と第二計測端子22が進行方向Dにおいて互いにずれて配置されているためである。このため、第一内側面93a上では、計測が未了の領域Xが残される。
【0023】
この領域Xの計測を継続して行うため、
図7に示すように、引き込み機構3によって第二計測端子22を基部1に引き込んだ状態とする。さらに、ストッパ部4によって第二計測端子22が収容された状態で固定される。これにより、ばねの弾性力によって第二計測端子22が基部1から脱離する可能性が抑制される。その後、さらに基部1を進行方向Dの前方側に向かって進行させる。これにより、上述した領域Xの計測が完了する。
【0024】
なお、上記の計測を行うに際しては、外部又は基部1に設けられたカメラ等の光学機器によって基部1の進行状態を監視することが望ましい。
【0025】
図8に示すように、ラジアルキー91aの製造方法は、第一計測工程S1と、引き込み工程S2と、第二計測工程S3と、離間距離計測工程S4と、寸法決定工程S5と、を含む。
【0026】
第一計測工程S1では、
図6に基づいて上述したように、第二計測端子22が第二内側面93bの下端に到達するまで計測を行う。次いで、引き込み工程S2では第二計測端子22を基部1に引き込む。その後、第二計測工程S3では、
図7に基づいて上述したように、第一計測端子21によって領域Xの計測を行う。さらに続いて、離間距離計測工程S4を実行することで、上述した第二計測部80によって離間距離d2を計測する。なお、この離間距離計測工程S4は、第一計測工程S1から第二計測工程S3までの間に並行して実行されてもよいし、別個に実行されてもよい。これらの工程を経て、上述した寸法d1、及び離間距離d2が取得される。最後の寸法決定工程S5では、これら寸法d1、及び離間距離d2に公差等を加えた値に基づいてラジアルキー91aの寸法が決定される。その後、この寸法に基づいてラジアルキー91aを形成する。以上により、ラジアルキー91aの製造方法に係る全工程が完了する。
【0027】
以上、説明したように、上記構成によれば、はじめに第一計測端子21、及び第二計測端子22によって溝部93の一方の内側面(第一内側面93a)、及び他方の内側面(第二内側面93b)の計測が行われる。ここで、上述したばね機構や第一計測端子21、及び第二計測端子22の寸法上の制約によって、第一計測端子21と第二計測端子22とを進行方向Dにおける同一の位置に設けることが難しい。したがって、第二計測端子22は第一計測端子21よりも進行方向Dの前方側に離間して配置されている。そのため、第二計測端子22による計測が完了した時点では、第一計測端子21は進行方向Dの後方側に位置している。つまり、一方の内側面には計測が未了の領域Xが残されている。そこで、第二計測端子22を引き込み機構3によって引き込んだ上で、第一計測端子21によって当該計測が未了の領域Xを計測する。これにより、溝部93の一方の内側面、及び他方の内側面の相対位置が、基部1を一回のみ進行させることで計測され、当該相対位置に基づいて溝部93の幅(寸法d1)を取得することが可能となる。
【0028】
さらに、上記構成によれば、第二計測端子22が基部1に引き込まれた状態でストッパ部4によって固定される。これにより、当該第二計測端子22が不用意に基部1から突出してしまう可能性を低減することができる。その結果、より安定的かつ安全に計測を行うことが可能となる。
【0029】
また、上記構成によれば、第二計測部80の前面計測端子5によって溝部の前面94と基部1(又は下部炉心構造物91の外周面)との間の離間距離d2(隙間)を計測することができる。しかも、第一計測部70による溝部93の幅(寸法d1)の計測と同時にこの離間距離d2の計測を行うことができる。したがって、より迅速かつ効率的に計測を行うことが可能となる。
【0030】
また、上記のラジアルキー91aの製造方法によれば、計測装置100にとって得られた正確な実測値に基づいて、ラジアルキー91aの実際の寸法を決定することができる。これにより、ラジアルキー91aとクレビスインサート92aとが精緻に嵌合した状態となり、原子炉90の耐震性や安全性をさらに向上させることが可能となる。
【0031】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記実施形態では、クレビスインサート92aの溝部93、及び前面94の計測に計測装置100を用いた例について説明した。しかしながら、計測装置100の適用対象は上記に限定されず、狭隘な溝や凹部を有する構造物であればいかなるものにも計測装置100を適用することが可能である。
【0032】
<付記>
各実施形態に記載の計測装置100、及びラジアルキー91aの製造方法は、例えば以下のように把握される。
【0033】
(1)第1の態様に係る計測装置100は、計測対象物の溝部93内に設けられて、前記溝部93の延在方向に進行可能な基部1と、前記基部1に設けられて、前記基部1から前記溝部93の一方の内側面に突出可能な第一計測端子21と、前記基部1における前記第一計測端子21よりも前記基部1の進行方向Dの前方側に離間した位置に設けられて、前記基部1から前記溝部93の他方の内側面に突出可能な第二計測端子22と、前記基部1から突出した前記第二計測端子22を前記基部1に引き込む引き込み機構3と、を有する。
【0034】
上記構成によれば、はじめに第一計測端子21、及び第二計測端子22によって溝部93の一方の内側面、及び他方の内側面の計測が行われる。ここで、第二計測端子22は第一計測端子21よりも進行方向Dの前方側に離間して配置されている。そのため、第二計測端子22による計測が完了した時点では、第一計測端子21は進行方向Dの後方側に位置している。つまり、一方の内側面には計測が未了の領域Xが残されている。そこで、第二計測端子22を引き込み機構3によって引き込んだ上で、第一計測端子21によって当該計測が未了の領域Xを計測する。これにより、溝部93の一方の内側面、及び他方の内側面の相対位置が、基部1を一回のみ進行させることで計測され、当該相対位置に基づいて溝部93の幅を取得することが可能となる。
【0035】
(2)第2の態様に係る計測装置100は、前記引き込み機構3によって引き込まれた前記第二計測端子22を、前記引き込まれた状態で前記基部1に固定可能なストッパ部4をさらに備える。
【0036】
上記構成によれば、第二計測端子22が基部1に引き込まれた状態でストッパ部4によって固定される。これにより、当該第二計測端子22が不用意に基部1から突出してしまう可能性を低減することができる。その結果、より安定的かつ安全に計測を行うことが可能となる。
【0037】
(3)第3の態様に係る計測装置100は、前記計測対象物の前記溝部93の側方の前面94に対向する位置に設けられて、前記基部1から前記前面94に向かって付勢された状態で突出可能な前面計測端子5を有する第二計測部80をさらに備える。
【0038】
上記構成によれば、前面計測端子5によって溝部93の前面94と基部1との間の離間距離d2(隙間)を計測することができる。しかも、第一計測部70による溝部93の幅の計測と同時にこの離間距離d2の計測を行うことができる。したがって、より迅速かつ効率的に計測を行うことが可能となる。
【0039】
(4)第4の態様に係る計測装置100は、計測対象物の溝部93内に設けられて、前記溝部93の延在方向に進行可能な基部1と、前記溝部93の側方の前面94に対向する位置に設けられて、前記基部1から前記前面94に向かって付勢された状態で突出可能な前面計測端子5を有する第二計測部80を備える。
【0040】
上記構成によれば、前面計測端子5によって溝部93の前面94と基部1との間の離間距離d2(隙間)を計測することができる。
【0041】
(5)第5の態様に係るラジアルキー91aの製造方法は、上記の計測装置100を用いたラジアルキー91aの製造方法であって、前記基部1を前記進行方向Dの前方側に進行させることで、前記第一計測端子21、及び前記第二計測端子22によって、予め定められた基準点と前記溝部93の前記一方の内側面との間、及び前記基準点と前記溝部93の前記他方の内側面との間の距離を計測する工程(第一計測工程S1)と、前記基準点と前記他方の内側面との間の距離を計測が完了した後に、前記第二計測端子22を引き込む工程(引き込み工程S2)と、前記第二計測端子22が引き込まれた状態で、前記基部1を前記進行方向Dの前方側にさらに進行させて、前記第一計測端子21によって、前記進行方向Dにおける前記第一計測端子21と前記第二計測端子22の離間距離の分だけ、前記基準点と前記一方の内側面との間の距離を計測することで、前記溝部93の幅(寸法d1)を取得する工程(第二計測工程S3)と、前記第二計測部80によって前記基準点と前記前面94との間の離間距離d2を計測する工程(離間距離計測工程S4)と、前記溝部93の幅、及び前記離間距離d2に基づいてラジアルキー91aの寸法を決定する工程(寸法決定工程S5)と、を含む。
【0042】
上記方法によれば、はじめに第一計測端子21、及び第二計測端子22によって溝部93の一方の内側面、及び他方の内側面の計測が行われる。ここで、第二計測端子22は第一計測端子21よりも進行方向Dの前方側に離間して配置されている。そのため、第二計測端子22による計測が完了した時点では、第一計測端子21は進行方向Dの後方側に位置している。つまり、一方の内側面には計測が未了の領域Xが残されている。そこで、第二計測端子22を引き込み機構3によって引き込んだ上で、第一計測端子21によって当該計測が未了の領域Xを計測する。これにより、溝部93の一方の内側面、及び他方の内側面の相対位置が、基部1を一回のみ進行させることで計測され、当該相対位置に基づいて溝部93の幅を取得することが可能となる。さらに、前面計測端子5によって溝部93の前面94と基部1との間の離間距離d2(隙間)を計測することができる。しかも、第一計測部70による溝部93の幅の計測と同時にこの離間距離d2の計測を行うことができる。したがって、より迅速かつ効率的に計測を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
100 計測装置
70 第一計測部
80 第二計測部
1 基部
3 引き込み機構
4 ストッパ部
5 前面計測端子
21 第一計測端子
22 第二計測端子
90 原子炉
91 下部炉心構造物
91a ラジアルキー
92 原子炉容器
92a クレビスインサート
93 溝部
93a 第一内側面
93b 第二内側面
94 前面