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特開2022-170830車両用カップホルダの底部品及び車両用カップホルダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170830
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】車両用カップホルダの底部品及び車両用カップホルダ
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
B60N3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077064
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 亮
(72)【発明者】
【氏名】清田 紀行
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088LA02
3B088LB01
(57)【要約】
【課題】底部品を薄く形成することで、光源を配設した状態でのカップホルダの底部分の上下方向の長さを短く抑え、かつ、カップホルダ内の水滴や飲料が底部品の下方に流れ込まない車両用カップホルダの底部品及び車両用カップホルダを提供することを目的とする。
【解決手段】
車両用カップホルダ1の底部に敷設される底部品3は、透光部材により形成された透光体21と、遮光部材により形成された遮光体22と、を有し、遮光体22は透光体21の上面部23に取り付けられることで透光体21の一部を被覆し、透光体21は、遮光体22により被覆されない非被覆部を有し、透光体21の側面部32には可撓性部材により形成された延出部26が側面部32の全周に突設されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用カップホルダの底部に敷設される底部品であって、
透光部材により形成された透光体と、
遮光部材により形成された遮光体と、を有し、
前記遮光体は前記透光体の上面部に取り付けられることで前記透光体の一部を被覆し、
前記透光体は、前記遮光体により被覆されない非被覆部を有し、
前記透光体の側面部には可撓性部材により形成された延出部が前記側面部の全周に突設されていることを特徴とする車両用カップホルダの底部品。
【請求項2】
前記延出部が前記側面部の上端部から水平方向に突設されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用カップホルダの底部品。
【請求項3】
前記透光体の下面部の中央に凹状の入光部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用カップホルダの底部品。
【請求項4】
側壁部と底壁部を有し、上部が開口した車両用カップホルダであって、
前記底壁部に請求項1~4の何れか1項に記載の車両用カップホルダの底部品が敷設され、
前記延出部が弾性変形して前記側壁部に当接することを特徴とする車両用カップホルダ。
【請求項5】
前記底壁部に発光装置が取り付けられ、
前記光源装置は光源ユニットを有し、
前記透光体の下面部に中央に凹状の入光部が形成され、
前記入光部に囲まれた空間に前記光源ユニットが配設されることを特徴とする請求項4に記載の車両用カップホルダ。
【請求項6】
前記発光装置を前記底壁部に取り付ける固定手段を有し、
前記固定手段により前記発光装置の上下方向の位置を調節可能であることを特徴とする請求項5に記載の車両用カップホルダ。
【請求項7】
前記光源ユニットが前記底壁部の中央部に位置し、
前記固定手段を取り付ける固定部が前記光源ユニットに隣接して形成されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用カップホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車室内に設けられるカップホルダの底部分に敷設される車両用カップホルダの底部品及び当該底部品を敷設した車両用カップホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両内部には、カップやペットボトル等の飲料容器を収容可能なカップホルダが設けられている。また、ユーザの意思で車室内に後付け可能なカップホルダが設けられることもある。このようなカップホルダは、座席に着座した乗員が飲料容器を容易に収容したり取り出したりすることができるように各座席の近傍に設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2に記載のカップホルダ(1)は、運転席と助手席を隔てるセンターコンソール(2)に設けられており、ホルダ本体(10)と底板(20)を備えている。そして、この底板(20)は、ホルダ本体(10)の周壁(11)の下部に設置され、飲料容器(3)を支持する底部として機能するものである。
【0004】
特許文献1及び特許文献2の底板(20)の外周縁と周壁(11)との間には、全周にわたって隙間(4)が形成されている。この隙間(4)は、カップホルダ(1)の排液経路をなすものである。
【0005】
特許文献3及び特許文献4に記載のカップホルダ(1)も、運転席と助手席との間に設置されるセンターコンソール等に設けられるものである。このカップホルダ(1)は、導光体(11)と遮光部材(19)からなる二色成形体(51)/一体化部材(51)が底部に配置されている。また、二色成形体(51)/一体化部材(51)の下方に光源(12)が配置され、光源(12)からの光(13)が導光体(11)の上面に設けられた反射部(15)で反射され、出射部(17)から外部に出射される構成を有している。反射部(15)は、中心に向かって下り勾配となる円錐状のテーパ面となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-114702号公報
【特許文献2】特開2020-163972号公報
【特許文献3】特許第6286744号公報
【特許文献4】特開第6443682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載されたカップホルダ(1)は、飲料容器(3)の外面に結露した水滴や飲料がカップホルダ(1)内にこぼれた場合、隙間(4)からカップホルダ(1)の下方に排出されるものであるが、排出された水滴等は、センターコンソール(2)の内部に流れ込み、ユーザが拭き取ることができないという問題があった。
【0008】
また、特許文献3及び特許文献4に記載のカップホルダ(1)は、光源(12)からの光(13)を反射する反射部(15)が中心に向かって下り勾配となる円錐状のテーパ面となっていることから、導光体(11)を一定程度厚く形成する必要があり、二色成形体(51)/一体化部材(51)が厚くなってしまうという問題があった。また、二色成形体(51)/一体化部材(51)の下方には光源(12)が配置されるため、カップホルダ(1)の底部分が全体として上下方向に長くなってしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は以上の問題点を解決し、底部品を薄く形成することで、光源を配設した状態でのカップホルダの底部分の上下方向の長さを短く抑え、かつ、カップホルダ内の水滴や飲料が底部品の下方に流れ込まない車両用カップホルダの底部品及び車両用カップホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る車両用カップホルダの底部品は、車両用カップホルダの底部に敷設される底部品であって、透光部材により形成された透光体と、遮光部材により形成された遮光体と、を有し、前記遮光体は前記透光体の上面部に取り付けられることで前記透光体の一部を被覆し、前記透光体は、前記遮光体により被覆されない非被覆部を有し、前記透光体の側面部には可撓性部材により形成された延出部が前記側面部の全周に突設されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る車両用カップホルダの底部品は、前記延出部が前記側面部の上端部から水平方向に突設されている場合がある。
【0012】
また、本発明に係る車両用カップホルダの底部品は、前記透光体の下面部の中央に凹状の入光部が形成されている場合がある。
【0013】
本発明に係る車両用カップホルダは、側壁部と底壁部を有し、上部が開口した車両用カップホルダであって、前記底壁部に請求項1~4の何れか1項に記載の車両用カップホルダの底部品が敷設され、前記延出部が弾性変形して前記側壁部に当接することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る車両用カップホルダは、前記底壁部に発光装置が取り付けられ、前記光源装置は光源ユニットを有し、前記透光体の下面部の中央に凹状の入光部が形成され、前記入光部に囲まれた空間に前記光源ユニットが配設される場合がある。
【0015】
また、本発明に係る車両用カップホルダは、前記発光装置を前記底壁部に取り付ける固定手段を有し、前記固定手段により前記発光装置の上下方向の位置を調節可能である場合がある。
【0016】
また、本発明に係る車両用カップホルダは、前記光源ユニットが前記底壁部の中央部に位置し、前記固定手段を取り付ける固定部が前記光源ユニットに隣接して形成されている場合がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、カップホルダの底部分の上下方向の長さを短くすることができる。また、カップホルダと底部品との隙間からカップホルダの下方に水滴等が流れ落ちることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1のセンターコンソールの斜視図である。
図2】実施形態1のカップホルダの縦断面図である。
図3】実施形態1のカップホルダの縦断面図である。
図4】実施形態1の車両用カップホルダの底部品の斜視図である。
図5】実施形態1の車両用カップホルダの底部品の正面図である。
図6】実施形態1の透光体の縦断面図である。
図7】実施形態1の車両用カップホルダの底部品の底面図である。
図8】実施形態1の車両用カップホルダの底部品の一部分の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、添付の図1図8を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0020】
図1は、本実施形態の車両用カップホルダ1を示している。本実施形態の車両用カップホルダ1は、車両(図示せず)の内装部材であるセンターコンソール2に設けられている。車両用カップホルダ1の底部に車両用カップホルダの底部品3(以下、「底部品3」という。)が敷設される。
【0021】
図1図3に示すように、車両用カップホルダ1は、上部に円形の開口部11を有し、側壁部12と、底壁部13とが一体に形成されている。底壁部13の中央部には、後述する光源ユニットを配設する貫通孔である光源配設孔14が形成されている。また、底壁部13には、光源配設孔14の近傍に発光装置4を底壁部13に取り付けて固定する固定手段が配設される貫通孔である固定具配設孔15が形成されている。
【0022】
底壁部13の内面部16は、平坦に形成された平坦面部17と、平坦面部17の外周側に形成され、平坦面部17よりも僅かに高く形成された外周段部18と、を有する。外周段部18は、側壁部12の内面部19に連続しており、内面部16と内面部19の接続部分には、縦断面視において円弧状の内面湾曲部20が形成されている。
【0023】
図4図5及び図7は、底部品3を示している。底部品3は、透光体21と、遮光体22と、を有する。底部品3は全体として略円板状に形成されている。底部品3(透光体21)の外径R1は、車両用カップホルダ1の内径R2(図1参照)よりも僅かに大きく形成されている。
【0024】
透光体21は、透光性を有し、シリコーンゴム等の可撓性を有する合成樹脂材により形成されている。本実施形態では、JIS K 6253準拠のタイプAデュロメータで87の硬度を有するシリコーンゴムを使用している。また、透光体21の表面全体にはシボ加工が施されている。これにより、透光体21内の光が透光体21の表面部で乱反射されるため、透光体21の導光性が向上する。
【0025】
図6に示すように、透光体21の上面部23は、平坦に形成された遮光体配設部24と、遮光体配設部24の外周側に形成された外周上面部25と、を有する。遮光体配設部24は平面視において円形に形成され、外周上面部25は平面視において円環状に形成されている。遮光体配設部24は、外周上面部25よりも僅かに低く形成されており、図6に示すように、上面部23は、縦断面視において凹状に形成されている。なお、外周上面部25の上面も平坦に形成されている。
【0026】
外周上面部25の外周端部(後述する側面部32の上端部)には、延出部26が外側方向に略水平に突出して形成されている。延出部26の上面は、外周上面部25の上面と面一となっている。図8に示すように、延出部26の先端は縦断面視において円弧状に形成されている。延出部26の厚さD1は、遮光体配設部24と外周上面部25との高さの差H1よりも僅かに短く、約0.5mmである。また、延出部26の突出長さLは、約1.0mmである。なお、延出部26の厚さD1と長さLは、透光体21の材質や製造時の寸法精度等を考慮し決定される。
【0027】
図7に示すように、透光体21の下面部27は、平坦に形成された受光部28と、底面視において受光部28の外周側に形成された支持部29と、支持部29の外周側に形成された最外周部30と、を有する。受光部28は底面視において円形に形成され、支持部29と最外周部30は底面視において円環状に形成されている。
【0028】
図6に示すように、受光部28と支持部29は、受光部28及び支持部29と略直角をなす垂直面部31により接続されている。垂直面部31も下面部27の一部であり、受光部28と垂直面部31に囲まれた凹状の空間Sに光源ユニットが配設される。
【0029】
支持部29は、受光部28と最外周部30よりも下方に位置し、受光部28と支持部29との高さの差H2は、支持部29と最外周部30との高さの差H3よりも大きい。また、高さの差H1(図8参照)は、高さの差H2よりも小さく、高さの差H3よりも大きい。支持部29の下面は平坦に形成されている。支持部29の外径R3は、遮光体配設部24の外径R4と略同一の長さに形成されている。
【0030】
最外周部30は、透光体21の側面部32に連続しており、最外周部30と側面部32の接続部分には、縦断面視において円弧状の外面湾曲部33が形成されている。外面湾曲部33の曲率は、内面湾曲部20(図2及び図3参照)の曲率と略同一に形成されている。
【0031】
図2図4に示すように、遮光体22は平面視において円形であり、薄板状に形成されている。遮光体22の厚さD2(図8参照)は、高さの差H1(図8参照)よりも長い。また、遮光体22は、光を透過させない可撓性を有する合成樹脂材で形成されている。本実施形態の遮光体22は、黒色のシリコーンゴムにより形成されている。本実施形態の遮光体22の上面34は、滑り止めのためのシボ加工が施されているが、他の表面加工を施してもよく、表面加工を施すことなく平坦面としてもよい。なお、遮光体22の下面35は、両面テープ36の貼り付け効果を阻害しないよう、シボ加工は施されていない。
【0032】
遮光体22は、透光体21の遮光体配設部24に無色・透明な両面テープ36により貼り付けられる。本実施形態では、厚さ0.14mmの両面テープ36を使用しているが、無色・透明な接着剤により接着固定してもよい。透光体21に遮光体22を貼り付けることにより、平面視において、透光体21の一部(遮光体配設部24)が遮光体22により被覆され、外周上面部25及び延出部26が遮光体22により被覆されない非被覆部となる。
【0033】
図2及び図3に示すように、発光装置4は、光源部であるLED(Light Emitting Diode)41と、LED41を覆う透光性を有するカバー体42と、後述する固定手段を取り付ける固定部43と、を有する。LED41とカバー体42により光源ユニットを構成する。発光装置4は、リード線44により図示しない車両の電源装置や制御装置に接続されている。固定部43は、光源ユニットに隣接して形成されている。
【0034】
カバー体42の上端面45は、平坦に形成されている。カバー体42は、光源配設孔14に下側から挿通され、上端面45が車両用カップホルダ1の内側に突出している。カバー体42を底壁部13の中央部に形成された光源配設孔14に挿通することで、LED41が車両用カップホルダ1の底部中央に配置される。LED41の発する光は、カバー体42を透過して透光体21の受光部28及び垂直面部31から透光体21内に進入する。そのため、受光部28と垂直面部31が入光部として機能する。
【0035】
固定部43は、固定手段を構成する雄螺子51を挿通する貫通孔である挿通孔46と、雄螺子51の頭部52を配設する略凹状に形成された頭部配設部47と、固定手段を構成する固定用ガーニッシュ53を配設する略凹状に形成されたガーニッシュ配設部48と、を有する。
【0036】
固定用ガーニッシュ53は、固定具配設孔15内に配設される中間部54と、中間部54の上側に設けられ中間部54よりも大径の係止部55と、中間部54の下側に設けられ下側に向かって先細り形状のテーパ部56と、が一体に形成されている。固定用ガーニッシュ53の中央部分には上下方向に貫通する螺子孔57が形成されており、螺子孔57の内面には雌螺子部58が形成されている。
【0037】
固定用ガーニッシュ53は、固定具配設孔15に上側(車両用カップホルダ1の内側)から挿通され、係止部55が車両用カップホルダ1の底壁部13の平坦面部17に係止する。また、テーパ部56は、車両用カップホルダ1の外側(下側)に突出し、ガーニッシュ配設部48内に配設される。ガーニッシュ配設部48には、回転規制部49が形成されており、テーパ部56がガーニッシュ配設部48内に配設され、回転規制部49に係止することで、固定用ガーニッシュ53が回転しないようになっている。この状態で、雄螺子51を下側から挿通孔46と螺子孔57に挿通し、固定用ガーニッシュ53に螺合することで、発光装置4が車両用カップホルダ1の底壁部13に取り付けられ固定される。雄螺子51を回転させて固定用ガーニッシュ53に螺合させていくと発光装置4が上方に移動し、雄螺子51を逆に回転させると発光装置4が下方に移動する。そのため、雄螺子51を回転させてガーニッシュ配設部48との螺合位置を調節することにより、発光装置4の上下方向の位置を変更し、カバー体42の車両用カップホルダ1の内側への突出量、すなわち、カバー体42の上端面45の上下方向の位置を調節することができる。
【0038】
次に、透光体21の車両用カップホルダ1への敷設方法について説明する。まず、車両用カップホルダ1の底壁部13に発光装置4を取り付ける。次に、開口部11から底部品3を車両用カップホルダ1内に圧入し、支持部29を平坦面部17に当接させる。このとき、延出部26が上側に屈曲した状態で側壁部12に当接する。図2に示すように、透光体21が製造時の寸法許容公差内でわずかに小さく成形され、側壁部12と側面部32の間に隙間Pが生じた場合であっても、延出部26が側壁部12に当接するため、底部品3と側壁部12との間から水滴等が隙間P内に流れ込むことがない。また、図3に示すように、透光体21が寸法通りに形成された場合には、内面部19と側面部32が当接し、外周段部18と最外周部30が当接し、内面湾曲部20と外面湾曲部33が当接した状態で、延出部26が上側に屈曲した状態で側壁部12に当接するため、底部品3がより安定して車両用カップホルダ1の内面に密着する。このように、延出部26を有することにより、透光体21の製造時の寸法誤差が生じた場合であっても、車両用カップホルダ1と底部品3との間に水滴等の浸入を防止することができる。
【0039】
次に、雄螺子51を回転させてカバー体42の上端面45の位置を調節し、上端面45を受光部28に当接させる。カバー体42の上端面45を受光部28に当接させることで、車両用カップホルダ1に収容された飲料容器等(図示せず)の重量により、底部品3の中央部が下向きに押圧されて変形することを防止することができる。
【0040】
この状態で、LED41を点灯させると、LED41から発せられた光は、透光体21内に進入し、非被覆部である外周上面部25から放射される。そのため、車両用カップホルダ1内を開口部11から見ると、底部が円環状(リング状)に発光しているように見える。なお、遮光体22及び遮光体配設部24の形状を変えることで、非被覆部の形状を他の形状とすることができ、車両用カップホルダ1の底部の発光して見える部分の形状を変えることができる。
【0041】
以上のように、本実施形態の車両用カップホルダの底部品3は、車両用カップホルダ1の底部に敷設される底部品3であって、透光部材により形成された透光体21と、遮光部材により形成された遮光体22と、を有し、遮光体22は透光体21の上面部23に取り付けられることで透光体21の一部を被覆し、透光体21は、遮光体22により被覆されない非被覆部を有し、透光体21の側面部32には可撓性部材により形成された延出部26が側面部32の全周に突設されていることにより、透光体21内に光を進入させることで、非被覆部が発光しているように見えるという視覚効果を創出することができる。また、延出部26を車両用カップホルダ1の側壁部12に当接させた状態で、車両用カップホルダの底部品3を車両用カップホルダ1の底壁部13に敷設することができる。そのため、車両用カップホルダ1と車両用カップホルダの底部品3との間から車両用カップホルダ1の下方に水滴等が流れ落ちることを防止することができる。
【0042】
また、本実施形態の車両用カップホルダの底部品3は、延出部26が側面部32の上端部から水平方向に突設されていることにより、車両用カップホルダの底部品3を車両用カップホルダ1の底壁部13に敷設する際、延出部26が上側に弾性変形した状態で車両用カップホルダ1の側壁部12に当接させることができる。
【0043】
また、本実施形態の車両用カップホルダの底部品3は、透光体21の下面部27の中央に凹状の入光部(受光部28及び垂直面部31)が形成されていることにより、透光体21に対して下側中央からLED41の光を進入させることができる。そのため、透光体21が均等に光って見えるという視覚効果を創出することができる。
【0044】
また、本実施形態の車両用カップホルダ1は、側壁部12と底壁部13を有し、上部が開口した車両用カップホルダ1であって、底壁部13に車両用カップホルダの底部品3が敷設され、延出部26が弾性変形して側壁部12に当接することにより、延出部26が側壁部12に密着し、車両用カップホルダの底部品3と車両用カップホルダ1の側壁部12とが水密となり、車両用カップホルダの底部品3と車両用カップホルダ1の側壁部12の間から車両用カップホルダの底部品3の下側に水滴等が流れ込むことを防止することができる。その結果として、発光装置4に液体が付着して故障の原因となることを防止することができる。
【0045】
また、本実施形態の車両用カップホルダ1は、底壁部13に発光装置4が取り付けられ、光源装置4は光源ユニット(LED41及びカバー体42)を有し、透光体21の下面部27の中央に凹状の入光部(受光部28及び垂直面部31)が形成され、入光部(受光部28及び垂直面部31)に囲まれた空間Sに光源ユニット(LED41及びカバー体42)が配設されることにより、発光装置4の上側部分である光源ユニットが空間Sに配設され、発光装置4が底壁部13から下側に突出する量を短くすることができる。そのため、車両用カップホルダ1の底部分の上下方向の長さを短くし、コンパクトにすることができる。
【0046】
また、本実施形態の車両用カップホルダ1は、発光装置4を底壁部13に取り付ける固定手段(雄螺子51及び固定用ガーニッシュ53)を有し、固定手段(雄螺子51及び固定用ガーニッシュ53)により発光装置4の上下方向の位置を調節可能であることにより、カバー体42の上端面45を透光体21に確実に当接させ、LED41から出射された光を透光体21に効率よく進入させることができる。
【0047】
また、本実施形態の車両用カップホルダ1は、光源ユニット(LED41及びカバー体42)が底壁部13の中央部に位置し、固定手段(雄螺子51及び固定用ガーニッシュ53)を取り付ける固定部43が光源ユニット(LED41及びカバー体42)に隣接して形成されていることにより、雄螺子51を固定用ガーニッシュ53に螺合させる量により発光装置4の上下方向の位置を調節する際、カバー体42の上端面45の位置調節の精度を高めることができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば、車両用カップホルダはセンターコンソールに設けられたものに限らず、ダッシュボードや、エアコンの吹き出し口のフィンや、ドアの内側収納部等の他の車両内装部品に設けられるものであってもよい。また、カップホルダは、スマートフォン等の飲料容器以外の物を収容する小物入れとして使用されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 車両用カップホルダ
3 車両用カップホルダの底部品
4 発光装置
12 側壁部
13 底壁部
21 透光体
22 遮光体
23 上面部
26 延出部
27 下面部
28 受光部(入光部)
31 垂直面部(入光部)
32 側面部
41 LED(光源ユニット)
42 カバー体(光源ユニット)
43 固定部
51 雄螺子(固定手段)
53 固定用ガーニッシュ(固定手段)
S 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8