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特開2022-170833濾布管理装置、燃焼プラントおよび濾布管理方法
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  • 特開-濾布管理装置、燃焼プラントおよび濾布管理方法 図1
  • 特開-濾布管理装置、燃焼プラントおよび濾布管理方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170833
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】濾布管理装置、燃焼プラントおよび濾布管理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/02 20060101AFI20221104BHJP
   B01D 46/42 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
B01D46/02 Z
B01D46/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077068
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川畑 秀駿
(72)【発明者】
【氏名】平山 敦
(72)【発明者】
【氏名】神谷 徹
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA04
4D058JB24
4D058KB05
4D058SA04
4D058UA16
(57)【要約】
【課題】破損した濾布を個別に特定するとともに、破損した濾布のみを交換または閉止して集塵運転を行うことが可能な濾布管理装置、燃焼プラントおよび濾布管理方法を提供すること。
【解決手段】濾布管理装置は、集塵機内に取り込まれた排ガスに含まれる煤塵を捕集し濾過する複数の濾布の状態を管理する濾布管理装置であって、濾布から流出する煤塵の量および位置に関する情報を用いて、煤塵が流出している濾布を特定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵機内に取り込まれた排ガスに含まれる煤塵を捕集し濾過する複数の濾布の状態を管理する濾布管理装置であって、
前記濾布から流出する煤塵の量および位置に関する情報を用いて、前記煤塵が流出している濾布を特定する濾布管理装置。
【請求項2】
前記濾布によって濾過された前記排ガスが、前記集塵機のクリーンルームに流入する位置にレーザ光を照射する光照射手段と、
前記排ガスに含まれる煤塵に照射されて反射した前記レーザ光の反射光を検出する反射光検出手段と、
前記反射光検出手段によって検出された前記反射光を、前記煤塵までの位置に関する情報を含む三次元画像に変換する画像変換手段と、
前記画像変換手段によって変換された前記三次元画像に基づいて、前記煤塵の位置および前記煤塵の量を算出することにより、前記煤塵が流出している濾布を特定する濾布特定手段と、
を備える請求項1に記載の濾布管理装置。
【請求項3】
前記濾布によって濾過された前記排ガスが、前記集塵機のクリーンルームに流入する位置を含む画像を撮像する撮像手段と、
前記複数の濾布のうち、前記濾布に付着した煤塵を払い落とすための圧縮空気が噴射される濾布の位置に関する情報を取得する噴射位置取得手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像と、前記噴射位置取得手段によって取得された噴射位置とに基づいて、前記煤塵の位置および前記煤塵の量を算出することにより、前記煤塵が流出している濾布を特定する濾布特定手段と、
を備える請求項1に記載の濾布管理装置。
【請求項4】
前記集塵機の出口側に設置された煤塵計を備え、
前記濾布特定手段は、前記煤塵の位置および前記煤塵の量と、前記煤塵計によって計測された前記煤塵の量とに基づいて、前記煤塵が流出している濾布を特定する、
請求項2または請求項3に記載の濾布管理装置。
【請求項5】
前記複数の濾布のうち、前記濾布に付着した煤塵を払い落とすための圧縮空気が噴射される濾布の位置に関する情報を取得する噴射位置取得手段を更に備え、
前記濾布特定手段は、前記画像変換手段によって変換された前記三次元画像と、前記噴射位置取得手段によって取得された噴射位置とに基づいて、前記煤塵の位置および前記煤塵の量を算出することにより、前記煤塵が流出している濾布を特定する、
請求項2に記載の濾布管理装置。
【請求項6】
前記濾布特定手段は、前記画像変換手段によって変換された前記三次元画像と、予め用意された正常時の三次元画像であって、前記濾布から前記煤塵が流出していない場合の三次元画像とを比較することにより、前記煤塵が流出している濾布を特定する、
請求項2に記載の濾布管理装置。
【請求項7】
前記濾布特定手段は、前記画像変換手段によって変換された前記三次元画像と、当該三次元画像よりも前に取得された三次元画像とを比較することにより、前記煤塵が流出している濾布を特定する、
請求項2に記載の濾布管理装置。
【請求項8】
前記濾布特定手段は、
前記集塵機を稼働させてから所定期間は、前記画像変換手段によって変換された前記三次元画像と、予め用意された正常時の三次元画像であって、前記濾布から前記煤塵が流出していない場合の三次元画像とを比較することにより、前記煤塵が流出している濾布を特定し、
前記所定期間の経過後は、前記画像変換手段によって変換された前記三次元画像と、当該三次元画像よりも前に取得された三次元画像とを比較することにより、前記煤塵が流出している濾布を特定する、
請求項2に記載の濾布管理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の濾布管理装置を備える燃焼プラント。
【請求項10】
集塵機内に取り込まれた排ガスに含まれる煤塵を捕集し濾過する複数の濾布の状態を管理する濾布管理方法であって、
前記濾布から流出する煤塵の量および位置に関する情報を用いて、前記煤塵が流出している濾布を特定する濾布管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾布管理装置、燃焼プラントおよび濾布管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排ガスに含まれる煤塵を除去して清浄するための集塵機が種々提案されている。その中でも特に、排ガスを濾布の内面または外面から濾過するバグフィルタ式集塵機は、微細な煤塵を捕集するのに好適であることから、一般産業界では広く採用されている。
【0003】
ところで、このようなバグフィルタ式集塵機に使用される濾布が破損(破孔)した場合には、濾布で捕集された煤塵の一部が漏出して濾過後の排ガス(以下、「清浄排ガス」という)を汚染することになるので、破損した濾布を早期に検出して交換する必要がある。特許文献1~5には、このような課題を解決するための解決手段が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、上部ケーシングの一方の側壁から濾過後の清浄排ガスが吹き出す出口孔に向けてビーム光を照射し、その反射光を観測することにより破損した濾布の位置を特定する技術が開示されている。また、特許文献2には、濾布によって濾過された清浄排ガス中の固形分量をリアルタイムで監視し、その変化に基づいて濾布の破損を精度よく検出する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、ガス集合排出流路に煤塵測定用センサを設置し、この煤塵測定用センサの測定値が所定の濾布破損レベルに達した場合に、濾布が破損していると判定する技術が開示されている。また、特許文献4には、クリーニング用の圧縮空気(逆洗パルス空気)の吹き付け直後の煤塵の濃度の値に基づいて、濾布の損傷を列単位で検知する技術が開示されている。また、特許文献5には、濾布の捕集部側に、紫外光または可視光線の照射によって視認できる粉体顔料を投入し、この粉体顔料の発色を視認することにより、破損(破孔)が発生した濾布を特定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4-104038号公報
【特許文献2】特開平4-126510号公報
【特許文献3】特開2002-219322号公報
【特許文献4】特開2007-130566号公報
【特許文献5】特開2007-139641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1~5で開示された技術では、どの濾布が破損しているのかを特定しにくいという問題がある。そのため、従来は、集塵機の出口側における煤塵の濃度が一定期間またはある程度高くなった時点で、全ての濾布を一斉に交換しており、濾布の交換コストが高かった。また、特許文献5で開示された技術では、濾布の破損の検知に粉体顔料を使用するため、更に余計なコストがかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、破損した濾布を個別に特定するとともに、破損した濾布のみを交換または閉止して集塵運転を行うことが可能な濾布管理装置、燃焼プラントおよび濾布管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る濾布管理装置は、集塵機内に取り込まれた排ガスに含まれる煤塵を捕集し濾過する複数の濾布の状態を管理する濾布管理装置であって、前記濾布から流出する煤塵の量および位置に関する情報を用いて、前記煤塵が流出している濾布を特定する。
【0010】
また、本発明に係る濾布管理装置は、上記発明において、前記濾布によって濾過された前記排ガスが、前記集塵機のクリーンルームに流入する位置にレーザ光を照射する光照射手段と、前記排ガスに含まれる煤塵に照射されて反射した前記レーザ光の反射光を検出する反射光検出手段と、前記反射光検出手段によって検出された前記反射光を、前記煤塵までの位置に関する情報を含む三次元画像に変換する画像変換手段と、前記画像変換手段によって変換された前記三次元画像に基づいて、前記煤塵の位置および前記煤塵の量を算出することにより、前記煤塵が流出している濾布を特定する濾布特定手段と、を備える。
【0011】
また、本発明に係る濾布管理装置は、上記発明において、前記濾布によって濾過された前記排ガスが、前記集塵機のクリーンルームに流入する位置を含む画像を撮像する撮像手段と、前記複数の濾布のうち、前記濾布に付着した煤塵を払い落とすための圧縮空気が噴射される濾布の位置に関する情報を取得する噴射位置取得手段と、前記撮像手段によって撮像された画像と、前記噴射位置取得手段によって取得された噴射位置とに基づいて、前記煤塵の位置および前記煤塵の量を算出することにより、前記煤塵が流出している濾布を特定する濾布特定手段と、を備える。
【0012】
また、本発明に係る濾布管理装置は、上記発明において、前記集塵機の出口側に設置された煤塵計を備え、前記濾布特定手段が、前記煤塵の位置および前記煤塵の量と、前記煤塵計によって計測された前記煤塵の量とに基づいて、前記煤塵が流出している濾布を特定する。
【0013】
また、本発明に係る濾布管理装置は、上記発明において、前記複数の濾布のうち、前記濾布に付着した煤塵を払い落とすための圧縮空気が噴射される濾布の位置に関する情報を取得する噴射位置取得手段を更に備え、前記濾布特定手段が、前記画像変換手段によって変換された前記三次元画像と、前記噴射位置取得手段によって取得された噴射位置とに基づいて、前記煤塵の位置および前記煤塵の量を算出することにより、前記煤塵が流出している濾布を特定する。
【0014】
また、本発明に係る濾布管理装置は、上記発明において、前記濾布特定手段が、前記画像変換手段によって変換された前記三次元画像と、予め用意された正常時の三次元画像であって、前記濾布から前記煤塵が流出していない場合の三次元画像とを比較することにより、前記煤塵が流出している濾布を特定する。
【0015】
また、本発明に係る濾布管理装置は、上記発明において、前記濾布特定手段が、前記画像変換手段によって変換された前記三次元画像と、当該三次元画像よりも前に取得された三次元画像とを比較することにより、前記煤塵が流出している濾布を特定する。
【0016】
また、本発明に係る濾布管理装置は、上記発明において、前記濾布特定手段が、前記集塵機を稼働させてから所定期間は、前記画像変換手段によって変換された前記三次元画像と、予め用意された正常時の三次元画像であって、前記濾布から前記煤塵が流出していない場合の三次元画像とを比較することにより、前記煤塵が流出している濾布を特定し、前記所定期間の経過後は、前記画像変換手段によって変換された前記三次元画像と、当該三次元画像よりも前に取得された三次元画像とを比較することにより、前記煤塵が流出している濾布を特定する。
【0017】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る燃焼プラントは、上記の濾布管理装置を備える。
【0018】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る濾布管理方法は、集塵機内に取り込まれた排ガスに含まれる煤塵を捕集し濾過する複数の濾布の状態を管理する濾布管理方法であって、前記濾布から流出する煤塵の量および位置に関する情報を用いて、前記煤塵が流出している濾布を特定する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る濾布管理装置、燃焼プラントおよび濾布管理方法によれば、破損した濾布を個別に特定するとともに、破損した濾布のみを交換または閉止して集塵運転を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施形態に係る濾布管理装置が適用される集塵機の構成を模式的に示す図である。
図2図2は、図1に示した集塵機を上から見た状態を模式的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態に係る濾布管理装置、燃焼プラントおよび濾布管理方法について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態で参照する図面では、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は、以下の実施形態によって限定されるものではない。
【0022】
本発明の実施形態に係る濾布管理装置は、集塵機内に取り込まれた排ガスに含まれる煤塵を捕集および濾過して、煤塵、粉塵等の固形物を捕集および除去する複数の濾布の状態を管理するための装置である。この濾布管理装置では、後記するように、濾布からクリーンルームに流出(漏出)する煤塵の量および位置に関する情報を用いて、煤塵が流出している濾布、すなわち破損(破孔)している濾布を特定する。なお、濾布の破損の原因は様々であるが、例えば濾布のクリーニングのために圧縮空気(逆洗パルス空気)を噴射した際に、濾布とその周囲の筒状部材とが接触することにより破損が発生することが多い。
【0023】
(集塵機)
濾布管理装置が適用される集塵機について、図1および図2を参照しながら説明する。集塵機1は、煤塵が含まれている排ガス(含塵排ガス)を複数の濾布によって濾過するバグフィルタ式集塵機であり、例えば汚泥焼却炉、廃棄物処理施設、バイオマス発電所等の燃焼プラントで用いられる。
【0024】
集塵機1は、図1に示すように、筐体11と、ロータリーバルブ17と、複数の筒状部材19と、複数の濾布20と、複数の圧縮空気供給管21と、煤塵計23と、煤塵検出部24と、制御部25と、を備えている。
【0025】
筐体11の内部は、区画壁12によって、下部の含塵排ガス導入室13と上部のクリーンルーム(清浄排ガス室)14とに区画されている。含塵排ガス導入室13の側部には、外部から含塵排ガスが導入される含塵排ガス入口15が設けられている。また、含塵排ガス導入室13の下部には、ロータリーバルブ17と、煤塵を外部に排出するための煤塵出口18と、が設けられている。
【0026】
クリーンルーム14には、濾布20によって濾過された清浄排ガスを外部に排出するための清浄排ガス出口16が設けられている。この清浄排ガス出口16には、図示しない誘引通風機が接続されている。この誘引通風機の誘引により、含塵排ガス入口15から含塵排ガス導入室13へと含塵排ガスが導入され、含塵排ガスが濾布20の外部から内部に流入して濾過され、濾過された清浄排ガスがクリーンルーム14へと導入される。なお、区画壁12には、筒状部材19および濾布20を挿入するための孔部が形成されており、濾布20の外部から内部に流入して濾過された清浄排ガスは、濾布20の基端部側の前記孔部からクリーンルーム14へと導入される。そして、クリーンルーム14に導入された清浄排ガスは、清浄排ガス出口16から外部へと排出される。
【0027】
濾布20は、集塵機1内において、含塵排ガス入口15から導入された含塵排ガスを濾過し、煤塵、粉塵等の固形物を捕集および除去する。複数の濾布20は、それぞれ金属製の筒状部材19に挿入され、当該筒状部材19とともに区画壁12に垂下されている。すなわち、複数の濾布20は、複数の筒状部材19とともに、区画壁12に形成された孔部にそれぞれ挿入されている。
【0028】
濾布20は、図2に示すように上面視すると、列方向(紙面横方向)および行方向(紙面縦方向)に複数配置されている。なお、本実施形態では、濾布20が列方向および行方向にそれぞれ3個ずつ、合計9個の濾布20を備える集塵機1を例示しているが、濾布20の数は、図2の例には限定されず、例えば必要な集塵能力等に応じて適宜決定される。
【0029】
圧縮空気供給管21は、クリーンルーム14内であって、濾布20の上部に配置されている。この圧縮空気供給管21の基端部側(紙面左側)には、濾布20に付着した煤塵を払い落とすための圧縮空気の供給源(図示省略)が接続されている。また、圧縮空気供給管21は、図2に示すように上面視すると、行方向に複数配置されている。また、圧縮空気供給管21は、それぞれ列方向に並んだ複数の濾布20の直上にわたって配置されている。
【0030】
圧縮空気供給管21の下部には、濾布20に対して圧縮空気を噴射するための複数の噴射ノズル22(図1参照)が設けられている。この噴射ノズル22は、それぞれ濾布20の直上、すなわち濾布20の基端部と対向する位置に配置されている。
【0031】
集塵機1では、例えば濾布20に煤塵が蓄積し、当該濾布20の濾過圧が所定値を超えた場合に、噴射ノズル22から圧縮空気を噴射し、濾布20に付着した煤塵を含塵排ガス導入室13の下部、すなわち煤塵出口18に向けて払い落とす。
【0032】
クリーニング(煤塵払い落とし)の際の圧縮空気は、圧縮空気供給管21ごとに噴射される。例えば図2に示すように、列方向の3個の濾布20に対して1本の圧縮空気供給管21が配置されている場合、3個の濾布20ごとに同じタイミングで、噴射ノズル22から圧縮空気が噴射される。言い換えると、クリーニングの際の圧縮空気は、集塵機1に設けられた複数の濾布20のうち、特定の濾布20ごとに噴射される。
【0033】
煤塵計23(図1参照)は、清浄排ガス出口16から排出された清浄排ガスに含まれる煤塵の量(濃度)を計測するためのものである。この煤塵計23は、集塵機1の出口側、すなわち清浄排ガス出口16の後段に配置されている。
【0034】
煤塵検出部24(図1参照)は、クリーンルーム14内に配置されている。この煤塵検出部24は、具体的には、煤塵の量および煤塵の位置を検出可能なLiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)センサにより構成される。煤塵検出部24がLiDARセンサにより構成される場合、LiDARセンサが配置されるクリーンルーム14内にレーザ光が通る経路を確保するとともに、LiDARセンサの冷却機構等を別途設けることが好ましい。
【0035】
LiDARセンサとしての煤塵検出部24は、光照射手段および反射光検出手段を備えている。光照射手段は、濾布20によって濾過された清浄排ガスが、クリーンルーム14に流入する位置にレーザ光を照射する。なお、「清浄排ガスがクリーンルーム14に流入する位置」とは、各濾布20の基端部の近傍の位置であり、より具体的には、筒状部材19および濾布20が挿入されている区画壁12の複数の孔部の近傍の位置のことを示している。また、反射光検出手段は、清浄排ガスに含まれる煤塵に照射されて反射したレーザ光の反射光を検出する。
【0036】
制御部25(図1参照)は、具体的には、ハードウェアを有するCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の主記憶部(いずれも図示せず)と、を備えている。
【0037】
煤塵検出部24がLiDARセンサにより構成される場合、制御部25は、画像変換手段および濾布特定手段として機能する。画像変換手段は、反射光検出手段によって検出された反射光を三次元画像に変換する。この三次元画像には、煤塵の粒子の画像に加えて、LiDARセンサから煤塵の各粒子までの距離に関する情報が含まれている。すなわち、三次元画像には、煤塵の粒子群の三次元分布が反映されており、当該三次元画像を解析することにより、煤塵の分布を三次元的に把握することが可能となる。
【0038】
濾布特定手段は、画像変換手段によって変換された三次元画像に基づいて、煤塵の位置および煤塵の量を算出する。濾布特定手段は、例えば三次元画像に含まれるLiDARセンサから煤塵の各粒子までの距離に関する情報に基づいて、煤塵の位置を算出する。なお、「煤塵の位置」とは、言い換えると、煤塵が流出している濾布20の位置のことを示している。また、濾布特定手段は、三次元画像に含まれる煤塵の粒子の画像に基づいて、煤塵の量を算出する。そして、濾布特定手段は、算出した煤塵の位置および煤塵の量に基づいて、複数の濾布20のうち、煤塵が流出している濾布20(すなわち破損(破孔)している濾布20)を特定する。
【0039】
濾布特定手段は、例えば、算出した煤塵の位置に基づいて、複数の濾布20のうち、煤塵が流出している濾布20を特定した後、特定した濾布20から流出した煤塵の量が予め設定した基準値を超えている場合に、当該濾布20が破損していると判定する。このように、濾布20から流出する煤塵の量に着目することにより、濾布20の破損を簡便かつ早期に判定することができる。
【0040】
ここで、濾布特定手段は、当該濾布特定手段によって算出した煤塵の位置および煤塵の量に加えて、集塵機1の後段に配置された煤塵計23の計測値を考慮して煤塵が流出している濾布20を特定してもよい。この場合、濾布特定手段は、三次元画像に基づいて算出した煤塵の位置および煤塵の量と、煤塵計23によって計測された前記煤塵の量とに基づいて、煤塵が流出している濾布20を特定する。
【0041】
濾布特定手段は、例えば、算出した煤塵の位置に基づいて、複数の濾布20のうち、煤塵が流出している濾布20を特定した後、特定した濾布20から流出した煤塵の量が予め設定した値を超えており、かつ煤塵計23で計測した煤塵の量が予め設定した基準値を超えている場合に、当該濾布20が破損していると判定する。このように、濾布20から流出する煤塵の量に加えて、煤塵計23の計測値に着目することにより、濾布20の破損をより精度よく判定することができる。
【0042】
また、濾布特定手段は、クリーニングの際に圧縮空気が噴射される濾布20の位置を考慮して煤塵が流出している濾布20を特定してもよい。この場合、制御部25は、画像変換手段および濾布特定手段に加えて、噴射位置取得手段としても機能する。
【0043】
噴射位置取得手段は、複数の濾布20のうち、圧縮空気が噴射される濾布20の位置に関する情報(以下、「噴射位置情報」)を取得する。この「噴射位置情報」には、例えば圧縮空気の噴射タイミングと噴射位置とに関する情報が含まれる。また、噴射位置情報は、例えば圧縮空気の供給源を制御する図示しない制御部等から取得すればよい。
【0044】
濾布特定手段は、画像変換手段によって変換された三次元画像と、噴射位置取得手段によって取得された噴射位置情報とに基づいて、煤塵の位置および煤塵の量を算出する。濾布特定手段は、例えば三次元画像に含まれるLiDARセンサから煤塵の各粒子までの距離に関する情報と、噴射位置情報に含まれる圧縮空気の噴射位置に対応する濾布20の位置とに基づいて、煤塵の位置を算出する。また、濾布特定手段は、三次元画像に含まれる煤塵の粒子の画像に基づいて、煤塵の量を算出する。そして、濾布特定手段は、算出した煤塵の位置および煤塵の量に基づいて、複数の濾布20のうち、煤塵が流出している濾布20を特定する。
【0045】
ここで、濾布20が破損している場合、クリーニング時、すなわち濾布20に圧縮空気が噴射された際に、払い落としの衝撃により煤塵の流出量が増加し、煤塵を検出しやすくなる。従って、上記のように、圧縮空気が噴射される濾布20の位置を考慮することにより、濾布20の破損をより精度よく判定することができる。また、濾布20からの煤塵の流出を常時監視することなく、濾布20の破損を効率よく判定することができる。
【0046】
また、濾布特定手段は、予め用意した正常データとの比較により煤塵が流出している濾布20を特定してもよい。この場合、濾布特定手段は、画像変換手段によって変換された三次元画像(検出データ)と、予め用意された正常時の三次元画像であって、濾布20から煤塵が流出していない場合の三次元画像(正常データ)とを比較する。そして、濾布特定手段は、両者の比較結果に基づいて、複数の濾布20のうち、煤塵が流出している濾布20を特定する。
【0047】
濾布特定手段は、例えば、検出データに含まれる濾布20ごとの煤塵の量と、正常データに含まれる濾布20ごとの煤塵の量とをそれぞれ比較し、煤塵の量の差分が予め設定した値を超えている濾布20が破損していると判定する。このように、予め用意した正常データと比較することにより、濾布20の破損を簡便かつ早期に判定することができる。
【0048】
また、濾布特定手段は、前回取得したデータとの比較により煤塵が流出している濾布20を特定してもよい。この場合、濾布特定手段は、画像変換手段によって変換された三次元画像(今回データ)と、当該三次元画像よりも前に取得された三次元画像(前回データ)とを比較する。なお、前回データの取得方法は特に限定されないが、例えば制御部25と接続された図示しない記憶手段等に、日々取得した三次元画像を蓄積しておき、前回取得した三次元画像を前回データとして用いてもよい。そして、濾布特定手段は、両者の比較結果に基づいて、複数の濾布20のうち、煤塵が流出している濾布20を特定する。
【0049】
濾布特定手段は、例えば、今回データに含まれる濾布20ごとの煤塵の量と、前回データに含まれる濾布20ごとの煤塵の量とをそれぞれ比較し、煤塵の量の差分が予め設定した値を超えている濾布20について、微小な破損や破損の兆候があると判定する。このように、前回取得したデータと今回取得したデータとを比較することにより、濾布20の微小な破損を検出することができる。また、濾布20の破損の進み具合を観察することができるため、破損の兆候を精度よく検出することができる。
【0050】
また、濾布特定手段は、正常データの比較と前回データの比較とを組み合わせて煤塵が流出している濾布20を特定してもよい。この場合、濾布特定手段は、集塵機1を稼働させてから所定期間が経過するまでは、画像変換手段によって変換された三次元画像(検出データ)と、予め用意された正常時の三次元画像であって、濾布20から煤塵が流出していない場合の三次元画像(正常データ)とを比較する。そして、濾布特定手段は、両者の比較結果に基づいて、複数の濾布20のうち、煤塵が流出している濾布20を特定する。
【0051】
そして、濾布特定手段は、所定期間の経過後は、画像変換手段によって変換された三次元画像(今回データ)と、当該三次元画像よりも前に取得された三次元画像(前回データ)とを比較する。そして、濾布特定手段は、両者の比較結果に基づいて、複数の濾布20のうち、煤塵が流出している濾布20を特定する。このように、正常データの比較と前回データの比較とを組み合わせることにより、集塵機1の初期稼働時は濾布20の破損を簡便かつ早期に判定することができ、稼働後所定期間が経過した後は、濾布20の微小な破損や破損の予兆等を精度よく検出することができる。
【0052】
ここで、煤塵検出部24は、LiDARセンサに代えて、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵する撮像手段(カメラ)により構成されてもよい。煤塵検出部24が撮像手段により構成される場合、撮像手段が配置されるクリーンルーム14内に、内部を照らす光源を別途設けることが好ましい。
【0053】
この場合、撮像手段としての煤塵検出部24は、濾布20によって濾過された清浄排ガスが、クリーンルーム14に流入する位置を含む画像を撮像する。なお、「清浄排ガスがクリーンルーム14に流入する位置」とは、前記したように、各濾布20の基端部の近傍の位置であり、より具体的には、筒状部材19および濾布20が挿入されている区画壁12の複数の孔部の近傍の位置のことを示している。
【0054】
煤塵検出部24が撮像手段により構成される場合、制御部25は、噴射位置取得手段および濾布特定手段として機能する。噴射位置取得手段は、例えば圧縮空気の供給源を制御する図示しない制御部等から、噴射位置情報を取得する。
【0055】
濾布特定手段は、撮像手段によって撮像された画像(撮像画像)と、噴射位置取得手段によって取得された噴射位置情報とに基づいて、煤塵の位置および煤塵の量を算出する。濾布特定手段は、例えば噴射位置情報に含まれる圧縮空気の噴射位置に対応する濾布20の位置に基づいて、煤塵の位置を算出する。また、濾布特定手段は、撮像画像に含まれる煤塵の粒子の画像に基づいて、煤塵の量を算出する。そして、濾布特定手段は、算出した煤塵の位置および煤塵の量に基づいて、複数の濾布20のうち、煤塵が流出している濾布20を特定する。
【0056】
濾布特定手段は、例えば、算出した煤塵の位置に基づいて、複数の濾布20のうち、煤塵が流出している濾布20を特定した後、特定した濾布20から流出した煤塵の量が予め設定した基準値を超えている場合に、当該濾布20が破損していると判定する。このように、LiDARセンサに代えて、より安価なカメラ等の撮像手段を用いた場合においても、噴射位置情報を併せて用いることにより、濾布20の破損を精度よく判定することができる。
【0057】
ここで、濾布特定手段は、当該濾布特定手段によって算出した煤塵の位置および煤塵の量に加えて、集塵機1の後段に配置された煤塵計23の計測値を考慮して煤塵が流出している濾布20を特定してもよい。この場合、濾布特定手段は、撮像画像および噴射位置情報に基づいて算出した煤塵の位置および煤塵の量と、煤塵計23によって計測された前記煤塵の量とに基づいて、煤塵が流出している濾布20を特定する。
【0058】
濾布特定手段は、例えば、算出した煤塵の位置に基づいて、複数の濾布20のうち、煤塵が流出している濾布20を特定した後、特定した濾布20から流出した煤塵の量が予め設定した値を超えており、かつ煤塵計23で計測した煤塵の量が予め設定した基準値を超えている場合に、当該濾布20が破損していると判定する。このように、濾布20から流出する煤塵の量に加えて、煤塵計23の計測値に着目することにより、濾布20の破損をより精度よく判定することができる。
【0059】
なお、煤塵検出部24が撮像手段である場合においても、煤塵検出部24がLiDARセンサである場合と同様に、「圧縮空気が噴射される濾布20の位置を考慮して濾布20の破損を特定する方法」、「正常データとの比較により濾布20の破損を特定する方法」、「前回データとの比較により濾布20の破損を特定する方法」、「正常データとの比較および前回データとの比較を併用して濾布20の破損を特定する方法」のいずれも利用することが可能であり、煤塵検出部24がLiDARセンサである場合と同様の効果を奏する。
【0060】
以上説明した実施形態に係る濾布管理装置、燃焼プラントおよび濾布管理方法によれば、破損した濾布20を個別に特定するとともに、破損した濾布20のみを交換または閉止して集塵運転を行うことが可能となる。また、破損した濾布20のみを交換または閉止することができるため、これまで寿命前に交換していた濾布20を、破損するまで使用することができ、メンテナンスコストを減らすことができる。更に、濾布20の破損状況を連続的に把握することができ、濾布20の交換方法を推定することができるため、濾布20のメンテナンス計画の精度を向上させることができ、重大な破損の発生を未然に防ぐことができる。
【0061】
更なる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 集塵機
11 筐体
12 区画壁
13 含塵排ガス導入室
14 クリーンルーム
15 含塵排ガス入口
16 清浄排ガス出口
17 ロータリーバルブ
18 煤塵出口
19 筒状部材
20 濾布
21 圧縮空気供給管
22 噴射ノズル
23 煤塵計
24 煤塵検出部
25 制御部
図1
図2