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特開2022-170853チタン成分の回収方法及び酸化チタンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170853
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】チタン成分の回収方法及び酸化チタンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/04 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
C01G23/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077096
(22)【出願日】2021-04-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】390007227
【氏名又は名称】東邦チタニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】堀川 松秀
【テーマコード(参考)】
4G047
【Fターム(参考)】
4G047CA02
4G047CB05
4G047CD07
(57)【要約】
【解決課題】チタン化合物を含む排液から、チタン成分を回収する方法又は酸化チタンを製造方法において、中和剤として、水酸化カルシウムを用いても、得られる回収チタン成分又は酸化チタン中のカルシウム含有量が少ないチタン成分の回収方法又は酸化チタンの製造方法を提供すること。
【解決手段】チタン化合物を含む排液からチタン成分を回収する方法であって、該チタン化合物を含む排液を水と接触させ、チタン化合物を加水分解処理する工程(1)と、加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが1.5以上2.5未満になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える一次中和処理を施し、次いで、該一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える二次中和処理を施し、水酸化チタンを得る工程(2)と、を有すること、を特徴とするチタン成分の回収方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン化合物を含む排液からチタン成分を回収する方法であって、
該チタン化合物を含む排液を水と接触させ、チタン化合物を加水分解処理する工程(1)と、
加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが1.5以上2.5未満になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える一次中和処理を施し、次いで、該一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える二次中和処理を施し、水酸化チタンを得る工程(2)と、
を有すること、
を特徴とするチタン成分の回収方法。
【請求項2】
前記水酸化チタンを、pH6.0以上9.0以下の洗浄水で洗浄する洗浄工程を有することを特徴とする請求項1記載のチタン成分の回収方法。
【請求項3】
チタン化合物を含む排液から酸化チタンを製造する方法であって、
該チタン化合物を含む排液を水と接触させ、該チタン化合物を加水分解処理する工程(1)と、
加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが1.5以上2.5未満になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える一次中和処理を施し、次いで、該一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える二次中和処理を施し、水酸化チタンを得る工程(2)と、
該水酸化チタンを酸化して、酸化チタンを得る酸化工程と、
を有すること、
を特徴とする酸化チタンの製造方法。
【請求項4】
前記水酸化チタンを、pH6.0以上9.0以下の洗浄水で洗浄する洗浄工程を有することを特徴とする請求項3記載の酸化チタンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタン成分の回収方法及び酸化チタンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロピレンなどのオレフィン類の重合が、マグネシウム、チタン、電子供与性化合物およびハロゲン等を含有するオレフィン類重合用固体触媒成分を用いて行われており、これ等固体触媒成分は、例えば、溶液状のマグネシウム化合物と溶液状のチタン化合物とを必要に応じ電子供与性化合物の存在下において接触させることで、作製されている。
【0003】
このようなオレフィン類重合用固体触媒成分を調製する際や、当該固体触媒成分からオレフィン類重合用触媒を調製する際に、固体触媒成分に担持されなかった余剰のチタン化合物や調製時の副反応等で生成したその他のチタン化合物を含有する排液が生じてしまう。
【0004】
従来は、減圧蒸留により廃溶液からチタン化合物を回収していたが、この方法では蒸留母液またはトレーに固形物が析出し、蒸留釜残液の排出が困難になり、塔内差圧の発生等により蒸留の継続が困難になるため、チタン化合物の回収を充分に行わないまま蒸留を停止し、蒸留釜残液を廃棄していた。
【0005】
しかしながら、資源の有効利用、廃棄物の削減等の観点から、回収しきれなかったチタン化合物が含まれる蒸留釜残液から、さらにチタン化合物を回収する方法、回収したチタン化合物を再利用する方法等が求められるようになっている。
【0006】
これらチタン化合物を含有する蒸留釜残液からチタン化合物を回収する方法としては、例えば、特許文献1において、ポリマー製造用触媒成分を調製する際に発生するチタン化合物を含む廃溶液からチタン化合物の一部をフラッシュ蒸留回収した後、回収残分と水とを接触させ、回収残分中のチタン化合物を加水分解し、水相を分離回収後に塩基で中和し、凝集剤等により固形物を凝集・沈降させ、該沈降物を回収後、含水量を減らしてプレスケーキとし、これらプレスケーキを焼成して粗酸化チタンを回収する方法が提案されている。
【0007】
上記分離回収後の水相を中和する際に用いる塩基として、通常は、安価かつ取り扱いの容易なアンモニア水や水酸化カルシウムが好適に用いられていた。
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の方法では回収した粗酸化チタン中に窒素やカルシウムが混入する等して純度の高いチタン化合物を回収し得ない。
【0009】
そこで、特許文献2の実施例では、オレフィン類重合用固体触媒成分を調製した際に発生した、四塩化チタン、ジエトキシマグネシウム、トルエン及びブタンを含む排液を、水と接触させて加水分解を施し、次いで、pHが2になるように水酸化ナトリウムを加えて一次中和処理を施し、次いで、pHが6.5になるように水酸化ナトリウムを加えて二次中和処理を施して、酸化チタンを凝集させることにより、酸化チタンを得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001-261340号公報
【特許文献2】特開2018-80086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2の方法では、アナターゼ型の酸化チタンに代えてルチル型の酸化チタンが生成し易くなり、高純度なチタン化合物が高収率で得られている。
【0012】
ここで、特許文献2の段落番号0035に「高純度な酸化チタンを得る上では、得られる酸化チタン中に窒素やカルシウム等の異物の混入を抑制するために、中和剤としてアンモニア水や水酸化カルシウム等を使用しないことが好ましい。」と記載されているように、特許文献2の実施例では、高純度なチタン化合物を得るために、中和剤として、水酸化ナトリウムを用いている。
【0013】
ところが、工業的に、排水処理コストを抑制するためには、中和剤には、水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを用いる必要がある。そこで、本発明者等が検討行ったところ、特許文献2の実施例の方法において、用いられている中和剤を、水酸化ナトリウムから、水酸化カルシウムに変更すると、得られる水酸化チタンの凝集物中に、低水溶性の水酸化カルシウム又は炭酸カルシウムが残存してしまい、その後の洗浄によっては、カルシウム成分を除去できないことが分かった。
【0014】
そして、回収酸化チタンの利用方法としては、チタン酸カリウムなどのチタン酸塩の製造原料として用いることが挙げられるが、回収酸化チタン中に混入されたカルシウム成分は、例えば、回収酸化チタンをチタン酸カリウム合成の原料として用いた場合に、不純物であるチタン酸カルシウムの発生源となるため、回収酸化チタンには、カルシウム分の含有量が低いことが望まれる。
【0015】
そこで、本発明の目的は、チタン化合物を含む排液、好ましくはオレフィン類重合用固体触媒成分又はオレフィン類重合用触媒を調製する際に発生するチタン化合物を含む排液から、チタン成分を回収する方法又は酸化チタンを製造方法において、中和剤として、水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを用いても、得られる回収チタン成分又は酸化チタン中のカルシウム含有量が少ないチタン成分の回収方法又は酸化チタンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記技術課題を解決すべく、本発明者等が鋭意検討を行ったところ、チタン化合物を含む排液を水と接触させチタン化合物を加水分解処理した後、水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを使用して中和するときに、先ず、加水分解処理を施した排液に、pHが1.5以上2.5未満になるように水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加えて一次中和処理を施し、次いで、一次中和処理を施した処理液に、pHが2.5以上5.9以下になるように水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える二次中和処理を施すことにより、カルシウム含有量が少ない水酸化チタンが得られることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0017】
すなわち、本発明は、
(1)チタン化合物を含む排液からチタン成分を回収する方法であって、
該チタン化合物を含む排液を水と接触させ、チタン化合物を加水分解処理する工程(1)と、
加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが1.5以上2.5未満になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える一次中和処理を施し、次いで、該一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える二次中和処理を施し、水酸化チタンを得る工程(2)と、
を有すること、
を特徴とするチタン成分の回収方法。
(2)前記水酸化チタンを、pH6.0以上9.0以下の洗浄水で洗浄する洗浄工程を有することを特徴とする(1)のチタン成分の回収方法。
(3)チタン化合物を含む排液から酸化チタンを製造する方法であって、
該チタン化合物を含む排液を水と接触させ、該チタン化合物を加水分解処理する工程(1)と、
加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが1.5以上2.5未満になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える一次中和処理を施し、次いで、該一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える二次中和処理を施し、水酸化チタンを得る工程(2)と、
該水酸化チタンを酸化して、酸化チタンを得る酸化工程と、
を有すること、
を特徴とする酸化チタンの製造方法。
(4)前記水酸化チタンを、pH6.0以上9.0以下の洗浄水で洗浄する洗浄工程を有することを特徴とする(3)の酸化チタンの製造方法。
を提供するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、チタン化合物を含む排液、好ましくはオレフィン類重合用固体触媒成分又はオレフィン類重合用触媒を調製する際に発生するチタン化合物を含む排液から、チタン成分を回収する方法又は酸化チタンを製造方法において、中和剤として、水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを用いても、得られる回収チタン成分又は酸化チタン中のカルシウム含有量が少ないチタン成分の回収方法又は酸化チタンの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のチタン成分の回収方法の形態例のフロー図である。
図2】本発明のチタン成分の回収方法の他の形態例のフロー図である。
図3】実施例1で得られた酸化チタンのX線回折図である。
図4】比較例1で得られた酸化チタンのX線回折図である。
図5】比較例2で得られた酸化チタンのX線回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
先ず、本発明のチタン成分の回収方法について説明する。
本発明のチタン成分の回収方法は、チタン化合物を含む排液からチタン成分を回収する方法であって、
該チタン化合物を含む排液を水と接触させ、該チタン化合物を加水分解処理する工程(1)と、
加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが1.5以上2.5未満になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える一次中和処理を施し、次いで、該一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える二次中和処理を施し、水酸化チタンを得る工程(2)と、
を有すること、を特徴とする。
【0021】
本発明のチタン成分の回収方法について、図1を参照して説明する。なお、ここでは中和剤として水酸化カルシウムを適用した形態を例に挙げて説明するが、本発明においては、中和剤として酸化カルシウムを適用しても、水酸化カルシウムを適用した場合と同様の効果が得られる。図1は、本発明のチタン成分の回収方法の形態例のフロー図である。図1中、受水槽1に、チタン化合物を含む排液10を移送し、受水槽1内に水11を供給して、チタン化合物を含む排液10と水11を混合し、加水分解処理を施す。次いで、加水分解処理された排液の処理液を、一次中和処理槽2に移送し、一次中和処理槽2に水酸化カルシウム懸濁液12を供給して、一次中和処理槽2内の排液のpHが1.5以上2.5未満になるように一次中和処理を施す。次いで、一次中和処理を施した処理液を、二次中和処理槽3に移送し、二次中和処理槽3に水酸化カルシウム懸濁液13を供給して、二次中和処理槽3内の排液のpHが2.5以上5.9以下になるように二次中和処理を施す。次いで、二次中和処理を施した処理液を、凝集槽4に移送して、凝集槽4に凝集剤を添加して、水酸化チタンを凝集させた後、沈殿槽5に移送し、沈殿槽5内に水酸化チタンの凝集物を沈降させる。次いで、沈降した水酸化チタンの凝集物を、沈殿物貯槽6に移送する。次いで、沈殿物を、フィルタープレス装置7を用いてろ過し、水酸化チタンの凝集物をろ別し、水酸化チタンの凝集物のプレスケーキ20を得る。なお、図1に示す形態例では、二次中和処理を施した後、処理液に凝集剤を添加して、水酸化チタンの凝集処理を行っているが、本発明においては、凝集処理は、必要に応じて行えばよく、二次中和処理後に、凝集処理を行ってもよいし、凝集処理を行わなくてもよく、適宜選択される。
【0022】
また、図2は、本発明のチタン成分の回収方法の他の形態例のフロー図である。なお、ここでも中和剤として水酸化カルシウムを適用した形態を例に挙げて説明するが、本発明においては、中和剤として酸化カルシウムを適用しても、水酸化カルシウムを適用した場合と同様の効果が得られる。図2に示す形態例は、水酸化チタンの凝集物に対し洗浄を施す形態例である。図2中、受水槽1に、チタン化合物を含む排液10を移送し、受水槽1内に水11を供給して、チタン化合物を含む排液10と水11を混合し、加水分解処理を施す。次いで、加水分解処理された排液の処理液を、一次中和処理槽2に移送し、一次中和処理槽2に水酸化カルシウム懸濁液12を供給して、一次中和処理槽2内の排液のpHが1.5以上2.5未満になるように一次中和処理を施す。次いで、一次中和処理を施した処理液を、二次中和処理槽3に移送し、二次中和処理槽3に水酸化カルシウム懸濁液13を供給して、二次中和処理槽3内の排液のpHが2.5以上5.9以下になるように二次中和処理を施す。次いで、二次中和処理を施した処理液を、凝集槽4に移送して、凝集槽4に凝集剤を添加して、水酸化チタンを凝集させた後、沈殿槽5に移送し、沈殿槽5内に水酸化チタンの凝集物を沈降させる。次いで、沈降した水酸化チタンの凝集物を、沈殿物貯槽6に移送する。次いで、沈降した水酸化チタンの凝集物を洗浄槽8に移送し、洗浄槽8内に洗浄水14を供給し、水酸化チタンの凝集物と洗浄水を混合して、水酸化チタンの凝集物の洗浄を行う。次いで、洗浄が施されたチタン化合物の凝集物を含む処理液を、フィルタープレス装置7を用いてろ過し、水酸化チタンの凝集物をろ別し、水酸化チタン化合物の凝集物のプレスケーキ21を得る。なお、図2に示す形態例では、二次中和処理を施した後、処理液に凝集剤を添加して、水酸化チタンの凝集処理を行っているが、本発明においては、凝集処理は、必要に応じて行えばよく、二次中和処理後に、凝集処理を行ってもよいし、凝集処理を行わなくてもよく、適宜選択される。
【0023】
本発明のチタン成分の回収方法において、チタン成分の回収方法が施される対象は、チタン化合物を含む排液であり、チタン化合物を含むものであれば、特に制限されない。チタン化合物を含む排液としては、オレフィン類重合用固体触媒成分又はオレフィン類重合用触媒を調製する際に発生する「チタンを含む排液」が好ましい。
【0024】
本発明のチタン成分の回収方法において、チタン化合物を含む排液が、オレフィン類重合用固体触媒成分又はオレフィン類重合用触媒を調製する際に発生するチタンを含む排液の場合、オレフィン類重合用固体触媒成分又はオレフィン類重合用触媒としては、オレフィン類の重合に供されるチタン成分を含む固体触媒成分又は触媒であれば特に制限されず、例えば、ポリオレフィン製造に用いられるチーグラーナッタ触媒、メタロセン触媒、ポストメタロセン、ポリエチレンテレフタレート製造用の固体状チタン触媒等の触媒や、これ等の触媒を構成する固体触媒成分から選ばれる1種以上が挙げられ、これらの中でも、ポリオレフィン製造に用いられるチーグラーナッタ触媒、メタロセン触媒及びポストメタロセン触媒やこれ等の触媒を構成する固体触媒成分から選ばれる1種以上が好ましく、チーグラーナッタ触媒またはチーグラーナッタ触媒を構成する固体触媒成分がより好ましい。
【0025】
チーグラーナッタ触媒又はチーグラーナッタ触媒を構成する固体触媒成分としては、上記のうち、マグネシウム化合物、チタン化合物及びハロゲン化合物、更に、必要に応じ電子供与性化合物を、接触させることにより調製されるオレフィン類重合用固体触媒成分が好適である。
【0026】
上記オレフィン類重合用固体触媒成分の調製に使用されるマグネシウム化合物としては、ハロゲンを含有するもの及びハロゲン含有化合物と接触反応させることによりハロゲン含有マグネシウム化合物に変化するものが好ましい。
このようなマグネシウム化合物としては、塩化マグネシウム等の二ハロゲン化マグネシウム、アルコキシマグネシウムハライドなどのジアルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライドおよびジエトキシマグネシウム等のジアルコキシマグネシウム等から選ばれる1種以上が挙げられ、塩化マグネシウム又はジエトキシマグネシウムが好ましい。
【0027】
本発明のチタン成分の回収方法に係るチタン化合物としては、例えば、下記一般式(1):
Ti(OR)4-N (1)
(式中、Rは、炭化水素基、Xはハロゲン原子を示し、Xが複数存在する場合、各Xは同一であっても異なっていてもよく、Nは、0~4の整数である。)で表されるチタン化合物が挙げられる。
【0028】
一般式(1)で表されるチタン化合物において、Rは、炭素数1~10の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~6の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1~4の炭化水素基であることがさらに好ましい。
【0029】
一般式(1)で表されるチタン化合物としては、具体的には、四塩化チタン、四フッ化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等の四ハロゲン化チタン、メトキシチタントリクロライド、エトキシチタントリクロライド、プロポキシチタントリクロライド、N-ブトキシチタントリクロライド等のアルコキシチタントリハライド、ジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、ジプロポキシチタンジクロライド、ジ-N-ブトキシチタンジクロライド等のジアルコキシチタンジハライド、トリメトキシチタンクロライド、トリエトキシチタンクロライド、トリプロポキシチタンクロライド、トリ-N-ブトキシチタンクロライド等のトリアルコキシチタンハライド等のアルコキシチタンハライド等のテトラアルコキシチタンから選ばれる1種以上が挙げられる。
【0030】
上記チタン化合物のうち、ハロゲン含有チタン化合物が好ましく、四塩化チタン、四フッ化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等から選ばれる四ハロゲン化チタンがより好ましく、四塩化チタンがさらに好ましい。
上記チタン化合物は、炭化水素化合物またはハロゲン化炭化水素化合物などにより希釈されていてもよい。
【0031】
オレフィン類重合用固体触媒成分の調製に使用される電子供与性化合物としては、特に限定されないが、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸、酸ハライド類、有機酸または無機酸のエステル類、エーテル類、酸アミド類、酸無水物、アンモニア、アミン類、ニトリル類、イソシアネート、含窒素環状化合物、含酸素環状化合物、有機ケイ素化合物等から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0032】
本発明のチタン成分の回収方法において、チタン化合物を含む排液は、オレフィン類重合用固体触媒成分の調製工程において、洗浄時、加熱接触時等に使用する有機溶媒成分、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、灯油、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2-ジエチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、デカリン、ミネラルオイル等の飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物、オルトジクロルベンゼン、塩化メチレン、1,2-ジクロロベンゼン、四塩化炭素、ジクロルエタン、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素化合物等、アルミ化合物、ケイ素化合物等から選ばれる1種以上の有機溶媒成分を含むものであってもよい。
【0033】
本発明のチタン成分の回収方法において、チタン化合物を含む排液としては、マグネシウム化合物として塩化マグネシウム又はジエトキシマグネシウムを含み、チタン化合物としてアルコキシチタンハロゲン化合物又はハロゲン化チタン化合物を含み、更に電子供与性化合物及び有機溶媒成分を含むものが好適である。
【0034】
本発明のチタン成分の回収方法において、チタン化合物を含む排液は、種々の反応等で生じた排液、例えば、オレフィン類重合用固体触媒成分やオレフィン類重合用触媒の調製時に生じる排液などであり、チタン化合物を含むものであれば特に限定されない。チタン化合物を含む排液としては、好ましくはオレフィン類重合用固体触媒成分やオレフィン類重合用触媒の調製時に生じる排液であり、このような排液は、固体触媒成分に担持されなかったチタン化合物やその調製工程における反応などで新たに生じたその他のチタン化合物を含む。本発明のチタン成分の回収方法において、チタン化合物を含む排液は、チタン化合物を、0.01~35.0質量%を含むものが好ましく、0.05~10.0質量%含むものがより好ましく、0.10~5.0質量%含むものがさらに好ましい。
【0035】
本発明に係るチタン成分の回収方法は、チタン化合物を含む排液を水と接触させ、チタン化合物を加水分解処理する工程(1)を有する。工程(1)において、加水分解方法としては、特に制限されず、排水を受水する受水槽中で別途注入した水と接触させる方法等が挙げられる。
【0036】
工程(1)において、チタン化合物がハロゲン化チタンである場合には、チタン化合物を含む排液を水と接触させることにより、チタン化合物が加水分解されて、ハロゲン化水素及び水酸化チタンを生成する。
【0037】
工程(1)に係る加水分解処理において、チタン化合物を含む排液と水との混合液のpHは、0.5以上2.0以下であることが好ましく、0.7以上1.5以下であることがより好ましく、1.0程度であることがさらに好ましい。チタン化合物を含む排液と水との混合液のpHが上記範囲にあることにより、混合液中で生成した水酸化チタンが析出し難くなり、その後の処理を円滑に行うことができる。
【0038】
工程(1)において、チタン化合物を含む排液と接触させる水の量は、チタン化合物を含む排液1mあたり、3~10mであることが好ましく、4~7mであることがより好ましく、5~6mであることがさらに好ましい。
【0039】
工程(1)において、加水分解処理時の温度は、特に制限されないが、10~90℃であることが好ましく、20~70℃であることがより好ましく、30~60℃であることがさらに好ましい。
【0040】
工程(1)において、チタン化合物を含む排液と水との接触時間は、30~60分間であることが好ましく、35~55分間であることがより好ましく、40~50分間であることがさらに好ましい。
【0041】
本発明のチタン成分の回収方法に係る工程(2)は、工程(1)において加水分解処理を施した排液に対し、一次中和処理を施し、次いで、二次中和処理を施し、水酸化チタンを得る工程である。
【0042】
工程(2)では、先ず、工程(1)において加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが1.5以上2.5未満になるように水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える一次中和処理を施す。
【0043】
一次中和処理では、工程(1)において加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが1.5以上2.5未満になるように、好ましくはpHが1.8以上2.3以下となるように、より好ましくはpHが1.8以上2.2以下となるように、さらに好ましくはpHが1.7以上2.2以下となるように、水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える。一次中和処理時におけるpHが、上記範囲にあることにより、凝集、沈降を生じ易くなって、チタン化合物含有排液からチタン成分を高純度で回収し易くなる。一方、一次中和処理時におけるpHが1.5未満であると、円滑な中和処理を行い難くなり、また、pHが2.5以上であると、ゲル状の水酸化チタンが生成し、沈降性やろ過性が低下する。
【0044】
一次中和処理に用いられる中和剤は、水酸化カルシウム又は酸化カルシウムである。一次中和処理において、中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを用いることにより、中和剤コストを抑制することができ、また、中和し得られるチタン化合物の沈降性やろ過性が向上するという利点を有する。一方、一次中和処理に用いる中和剤が、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムであると、中和剤コストが大きくなり、また、中和し得られるチタン化合物の沈降性やろ過性が悪くなり、工業的に不利となる。
【0045】
一次中和処理では、水酸化カルシウム又は酸化カルシウムが水に分散している懸濁液を、加水分解処理を施した排液の処理液と接触させる。懸濁液中の水酸化カルシウム又は酸化カルシウムの含有量は、一次中和処理での水相のpHの設定値に応じて適宜選択され、好ましくは10~300g/Lである。懸濁液中の水酸化カルシウム又は酸化カルシウムの含有量が、上記範囲にあることにより、加水分解処理を施した排液中のpHを、容易に所望範囲に制御し易い。一方、懸濁液中の水酸化カルシウムの含有量が、上記範囲を超えると加水分解処理を施した排液中のpHを制御し難くなり、また、上記範囲未満だと、円滑な中和処理を行い難くなる。
【0046】
一次中和処理時の温度は、特に制限されないが、10℃以上が好ましい。
【0047】
一次中和処理において、加水分解処理を施した排液の処理液と水酸化カルシウム又は酸化カルシウムとの接触時間は、特に制限されないが、通常、60~120分間程度である。
【0048】
工程(2)において、一次中和処理を行う方法としては、加水分解処理を施した排液の処理液に対して、中和槽(一次中和処理槽)中で水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを接触させて行うことが好ましく、一次中和処理槽は一槽であってもよいし、複数槽が連通したものであってもよい。
【0049】
工程(2)では、次いで、一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下になるように水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える二次中和処理を施す。
【0050】
工程(2)に係る二次中和処理時において、一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下になるように水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える。そして、工程(2)に係る二次中和処理時において、一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下となるように、好ましくはpHが3.0以上5.5以下となるように、より好ましくはpHが3.5以上5.5以下となるように、さらに好ましくは4.0以上5.0以下となるように、水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える。
【0051】
二次中和処理におけるpHが、上記範囲にあることにより、凝集処理を経て得られる水酸化チタンの凝集物中のカルシウム含有量が少なくなり、また、凝集、沈降を生じ易くなって、チタン化合物含有排液からチタン成分を高純度で回収し易くなる。一方、二次中和処理時におけるpHが、上記範囲未満だと、水酸化チタンが析出し難くなり、また、上記範囲を超えると、得られる水酸化チタン中のカルシウム含有量が多くなり過ぎる。
【0052】
二次中和処理に用いられる中和剤は、水酸化カルシウム又は酸化カルシウムである。二次中和処理において、中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを用いることにより、中和剤コストを抑制することができ、また、中和し得られるチタン化合物の沈降性やろ過性が向上するという利点を有する。一方、二次中和処理に用いる中和剤が、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムであると、中和剤コストが大きくなり、また、中和し得られるチタン化合物の沈降性やろ過性が悪くなり、工業的に不利となる。
【0053】
二次中和処理では、水酸化カルシウム又は酸化カルシウムが水に分散している懸濁液を、一次中和処理を施した処理液と接触させる。懸濁液中の水酸化カルシウム又は酸化カルシウムの含有量は、二次中和処理での水相のpHの設定値に応じて適宜選択され、好ましくは10~300g/Lである。懸濁液中の水酸化カルシウム又は酸化カルシウムの含有量が、上記範囲にあることにより、加水分解処理を施した排液中のpHを、容易に所望範囲に制御し易い。一方、懸濁液中の水酸化カルシウムの含有量が、上記範囲を超えると加水分解処理を施した排液中のpHを制御し難くなり、また、上記範囲未満だと、円滑な中和処理を行い難くなる。
【0054】
二次中和処理時の温度は、特に制限されないが、10℃以上が好ましい。
【0055】
二次中和処理において、一次中和処理を施した処理液と水酸化カルシウム又は酸化カルシウムとの接触時間は、特に制限されないが、通常、60~120分間程度である。
【0056】
工程(2)において、二次中和処理を行う方法としては、一次中和処理を施した処理液に対して、中和槽(二次中和処理槽)中で水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを接触させて行うことが好ましく、二次中和処理槽は一槽であってもよいし、複数槽が連通したものであってもよい。
【0057】
また、二次中和処理後の処理液中には、水酸化カルシウムが含有されていなことが好ましい。なお、二次中和処理後の処理液中の水酸化カルシウム含有量は、二次中和処理において添加する中和剤の量、二次中和処理でのpHの設定値等により、調節される。
【0058】
工程(2)においては、二次中和処理を施した後は、二次中和処理を施した処理液に、ろ過、遠心分離等の脱水処理を施して、水酸化チタンを得てもよいし、あるいは、二次中和処理を施した処理液中の水酸化チタンを凝集させる凝集処理を施して、水酸化チタンの凝集物として、水酸化チタンを得てもよい。凝集処理は、アニオン系高分子凝集剤などの凝集剤を用いて行うことが好ましい。
【0059】
工程(2)において、二次中和処理を施した後に、二次中和処理を施した処理液中の水酸化チタンを、凝集剤を用いて凝集させることなく、二次中和処理を施した処理液に対し、脱水処理を施す場合、二次中和処理を施した処理液に、フィルタープレス、遠心分離などのろ過等の脱水方法を用いて、脱水処理を施して、水酸化チタンを脱水することにより、水酸化チタンのプレスケーキを得る。本発明のチタン成分の回収方法では、工程(2)に係る一次中和処理及び二次中和処理を行うことにより、二次中和処理を施した後に、凝集処理を行わなくても、良好に水酸化チタンを得ることができる。
【0060】
工程(2)において、二次中和処理を施した後に、二次中和処理を施した処理液中の水酸化チタンを、凝集剤を用いて凝集させる場合、二次中和処理を施した処理液に、アニオン系高分子凝集剤などの凝集剤を添加して、水酸化チタンを凝集させることにより、水酸化チタンの凝集物の状態で、水酸化チタンを得る。水酸化チタンの凝集は、二次中和処理を施した処理液を凝集槽中に送入して同槽内で行うことが好ましい。そして、凝集処理を行うことにより、水酸化チタンの凝集物が生じる。本発明のチタン成分の回収方法では、工程(2)において、二次中和処理を施した後に、必要に応じて、二次中和処理を施した処理液に対して凝集処理を行うことができる。
【0061】
工程(2)において、凝集処理を行う場合、水酸化チタンを凝集させ、生じた水酸化チタンの凝集物を沈降させた後、得られた水酸化チタンの凝集物を液相と分離して、水酸化チタンの凝集物の脱水物を得る。水酸化チタンの凝集物の脱水には、フィルタープレス等を用いる脱水処理が、適宜選択される。例えば、水酸化チタンの凝集物を、フィルタープレスにより脱水することにより、水酸化チタンの凝集物のプレスケーキを得る。
【0062】
工程(2)において、水酸化チタンを分離した後に得られる水相については、酸性度を中性(pH6.5~7.5)に調整した上で、適宜、廃液処理することが好ましい。
【0063】
本発明のチタン成分の回収方法において生成する水酸化チタンは、Ti(OH)である。つまり、本発明のチタン成分の回収方法では、水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物の状態で、チタン化合物を含む排液からチタン成分が回収される。そして、回収された水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物は、乾燥及び酸化後、酸化チタンに変換されて、種々のチタン化合物の製造原料として用いられる。
【0064】
本発明のチタン成分の回収方法においては、チタン化合物を含む排水に対し、加水分解処理後、水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを中和剤として用いて、特定のpHで一次中和処理及び二次中和処理を順次施すことにより、得られる水酸化チタン中のカルシウム含有量を少なくすることができ、水酸化チタンを凝集又は析出させ易くなることから、カルシウム含有量が少ない水酸化チタンを回収することができる。本発明のチタン成分の回収方法では、二次中和処理のpHを、2.5以上5.9以下、好ましくは3.0以上5.5以下、より好ましくは3.5以上5.5以下、さらに好ましくは4.0以上5.0以下とすることにより、未反応の水酸化カルシウムが減少し、また、凝集性又は沈降性の良い水酸化チタンが形成されるので、水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物中のカルシウム含有量を少なくすることができ、水酸化チタンを容易に凝集又は析出させることができる。以上のことから、本発明のチタン成分の回収方法では、カルシウム含有量が少ない水酸化チタンを回収し得ると考えられる。
【0065】
本発明のチタン成分の回収方法は、工程(1)及び工程(2)に加え、工程(2)を行い得られる水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物を、pH6.0以上9.0以下の洗浄水で洗浄する洗浄工程を有することができる。洗浄工程では、工程(2)を行い得られる水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物に洗浄水を接触させることにより、洗浄を行うが、水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物と洗浄水の接触方法は、特に制限されず、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0066】
洗浄工程を行う方法としては、工程(2)を行い得られる水酸化チタンの脱水を行った後又は水酸化チタンの凝集物を沈降させた後、水酸化チタンの脱水物又は水酸化チタンの凝集物の沈降物を洗浄槽に移送し、洗浄槽に洗浄水を供給して、水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物と洗浄水を接触させることが挙げられる。水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物と洗浄水を接触させた後は、フィルタープレス装置等のろ過装置を用いて、水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物と洗浄水の混合物から、水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物をろ別して、水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物の脱水物を得る。
【0067】
また、洗浄工程を行う方法としては、工程(2)を行い得られる水酸化チタンの脱水を行った後又は水酸化チタンの凝集物を沈降させた後、フィルタープレス装置で、ろ過により、水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物を液相と分離し、更に、フィルタープレス装置内のろ過物に、0.05~0.5MPaに加圧した洗浄水を供給して、ろ過物に高圧で洗浄水を接触させる貫通洗浄により、洗浄を行う方法が挙げられる。
【0068】
また、洗浄工程を行う方法としては、工程(2)を行い得られる水酸化チタンの脱水を行った後又は水酸化チタンの凝集物を沈降させた後、フィルタープレス装置等のろ過装置を用いるろ過により、水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物を液相と分離し、プレスケーキ等のろ過物を得、次いで、プレスケーキ等のろ過物を、ろ過装置から取り出し、次いで、ろ過物に洗浄水を接触させることにより、洗浄を行う方法が挙げられる。水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物と洗浄水を接触させた後は、フィルタープレス装置等のろ過装置を用いて、水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物と洗浄水の混合物から、水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物をろ別して、水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物の脱水物を得る。
【0069】
洗浄工程において用いられる洗浄水のpHは、水酸化チタンを変質させずに洗浄できるpHであればよく、通常、6.0以上9.0以下である。また、水酸化チタンを変質させずに洗浄可能な洗浄水としては、特に限定されないが、例えば、イオン交換水、純水、超純水、工業用水、井戸水、水道水などを適用することができる。
【0070】
洗浄時の温度は、特に制限されないが、10~50℃であることが好ましく、15~45℃であることがより好ましく、20~40℃であることがさらに好ましい。
【0071】
本発明のチタン成分の回収方法において、チタン化合物を含む排液、好ましくはオレフィン類重合用固体触媒成分又はオレフィン類重合用触媒を調製する際に発生するチタン化合物を含む排液が、塩素を含有する場合、乾燥工程を行うことにより、水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物中の塩素含有量を少なくすることができる。
【0072】
このようにして、本発明に係るチタン成分の回収方法では、チタン化合物を含む排液中、好ましくはオレフィン類重合用固体触媒成分又はオレフィン類重合用触媒を調製する際に発生するチタン化合物を含む排液中のチタン化合物を、水酸化チタンとして回収することができ、且つ、カルシウム含有量が少ない水酸化チタンを、洗浄工程を行う場合は、カルシウム含有量が少なく且つ塩素含有量が少ない水酸化チタンを、簡便に回収することができる。
【0073】
次に、本発明の酸化チタンの製造方法について説明する。
本発明の酸化チタンの製造方法は、チタン化合物を含む排液、好ましくはオレフィン類重合用固体触媒成分又はオレフィン類重合用触媒を調製する際に発生するチタン化合物を含む排液から酸化チタンを製造する方法であって、
該チタン化合物を含む排液を水と接触させ、該チタン化合物を加水分解処理する工程(1)と、
加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが1.5以上2.5未満になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える一次中和処理を施し、次いで、該一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える二次中和処理を施し、水酸化チタンを得る工程(2)と、
該水酸化チタンを酸化して、酸化チタンを得る酸化工程と、
を有すること、
を特徴とする。また、本発明の酸化チタンの製造方法は、工程(2)を行い得られる水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物を、pH6.0以上9.0以下の洗浄水で洗浄する洗浄工程を有することができる。
【0074】
本発明の酸化チタンの製造方法は、水酸化チタンの凝集物を酸化して、酸化チタンを得る酸化工程を有すること以外は、工程(1)、工程(2)、乾燥工程、洗浄工程、用いる排水、処理及び処理方法等については、本発明のチタン化合物の回収方法と共通し、その詳細については、本発明のチタン成分の回収方法の説明で述べた通りである。
【0075】
本発明の酸化チタンの製造方法に係る酸化工程は、水酸化チタン又は水酸化チタンの凝集物を酸化することにより、酸化チタンを得る工程である。
【0076】
酸化工程における酸化条件としては、特に制限されず、水酸化チタンが酸化され酸化チタンに変換される条件であればよい。例えば、酸化工程における酸化反応温度は、好ましくは60~1000℃である。また、酸化反応時間は、適宜選択される。また、酸化反応雰囲気は、大気雰囲気下、酸素ガス雰囲気下等の酸化性雰囲気下である。また、酸化工程では、酸化を1回だけ行ってもよいし、あるいは、酸化を2回以上、同じ温度又は異なる温度で行ってもよい。
【0077】
本発明の酸化チタンの製造方法では、工程(1)及び工程(2)を行うので、チタン化合物を含む排液、好ましくはオレフィン類重合用固体触媒成分又はオレフィン類重合用触媒を調製する際に発生するチタン化合物を含む排液から、チタン成分を回収し、水酸化チタンを得る際に、中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを用いても、カルシウム含有量が少ない水酸化チタンを得ることができるので、カルシウム含有量が少ない酸化チタンを得ることができる。また、本発明の酸化チタンの製造方法では、更に、洗浄工程を行うことにより、チタン化合物を含む排液、好ましくはオレフィン類重合用固体触媒成分又はオレフィン類重合用触媒を調製する際に発生する、チタン化合物を含む排液が、塩素を含有する場合、酸化チタン中の塩素含有量を低くすることができる。
【0078】
このようにして、本発明の酸化チタンの製造方法では、チタン化合物を含む排液中、好ましくはオレフィン類重合用固体触媒成分又はオレフィン類重合用触媒を調製する際に発生するチタン化合物を含む排液中のチタン化合物を、酸化チタンとして回収することができ、且つ、カルシウム含有量が少ない酸化チタンを、洗浄工程を行う場合は、カルシウム含有量が少なく且つ塩素含有量が少ない酸化チタンを、簡便に回収することができる。
【0079】
次に、本発明のチタン酸アルカリ金属の製造方法について説明する。
本発明のチタン酸アルカリ金属の製造方法は、本発明のチタン成分の回収方法で回収された水酸化チタン、又は本発明の酸化チタンの製造方法を行い得られた酸化チタンを原料として用いることを特徴とするものである。
【0080】
本発明のチタン酸アルカリ金属の製造方法は、原料として、本発明のチタン成分の回収方法で回収された水酸化チタン、又は本発明の酸化チタンの製造方法を行い得られた酸化チタンを原料として用いることを除けば、公知の方法を採用することができる。
【0081】
例えば、チタン原料として、本発明のチタン成分の回収方法で回収された水酸化チタンを用いる場合は、適宜の方法で、水酸化チタンを酸化して、酸化チタンに変換した後、得られる酸化チタンを、チタン原料として用いるとともに、アルカリ原料として、カリウム化合物を用い、両者を含む原料混合物を焼成処理し、粉砕処理することにより、チタン酸アルカリ金属を製造することができる。また、チタン原料として、本発明の酸化チタンの製造方法を行い得られた酸化チタンを用いる場合は、本発明の酸化チタンの製造方法を行い得られた酸化チタンを、チタン原料として用いるとともに、アルカリ原料として、カリウム化合物を用い、両者を含む原料混合物を焼成処理し、粉砕処理することにより、チタン酸アルカリ金属を製造することができる。
【0082】
得られたチタン酸アルカリ金属は、例えば、自動車、鉄道車両、航空機および産業機械類等における制動装置を構成する、ブレーキライニング、ディスクパッド、クラッチフェージング等の摩擦摺動部材用の摩擦材として好適に用いられる。
【0083】
本発明のチタン酸アルカリ金属の製造方法によれば、チタン化合物を含む排液、好ましくはオレフィン類重合用固体触媒成分又はオレフィン類重合用触媒を調製する際に発生するチタン化合物含有排液から、得られたカルシウム含有量が少ない高純度なチタン化合物を原料に用いることから、高純度なチタン酸アルカリ金属を低コストで製造することができる。
【実施例0084】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の例により何ら制限されるものではない。
【0085】
(実施例1)
図1に示す処理フロー(凝集槽4及び沈殿槽5を設けない。)を用いて、チタン化合物を含む排液から酸化チタンを得た。
すなわち、疑似排水として四塩化チタンを含む液温25℃の排液(調整液)を処理対象とし、当該排液10を容量20Lの受水槽1に送入することで混合し、加水分解を施した。このとき、受水槽中の排液のpHが1になるように受水槽中に加水分解用の水11を送入した。
上記加水分解処理された処理液を、5L/hの速度で容量5Lの一次中和処理槽2に送入し、液温25℃の100g/L水酸化カルシウム水溶液12を用いて、一次中和処理槽2内に送入された排液のpHが2.0になるように一次中和処理を施した。なお、この処理においては、滞留時間を1.0時間とした。
次いで、上記一次中和処理を施した処理液を、5L/hの速度で容量5Lの二次中和処理槽3に送入し、液温25℃の100g/L水酸化カルシウム水溶液13を用いて、二次中和処理槽3内に送入された排液のpHが5.0になるように二次中和処理を施した。なお、この処理においては、滞留時間を1.0時間とした。
二次中和処理を施した液温25℃の処理液は、5L/hの速度で抜出し、吸引濾過後に得られたケーキを大気雰囲気で120℃16時間以上乾燥して乾燥物(水酸化チタン)を得た。得られた乾燥物(水酸化チタン)を一部採取し、残留するカルシウム(Ca)の濃度を、ICP発光分光分析法(Inductivity coupled plasma optical emission spectrometer;ICP-OES)により測定した。その結果を表1に示す。表1より、残留カルシウム濃度は0.3%であり、目標値(1.0%未満)を達成できた。
次いで、上記で得た乾燥物(水酸化チタン)を950℃で4時間焼成することで、目的とする酸化チタンを得た。得られた酸化チタンの結晶構造を、X’PERT-PRO-MPD多目的X線回析装置(PANalytical製)を用いて測定した。得られたX線回折図を図3に示す。図3より、検出されたのは酸化チタンのみで、カルシウム系の化合物は検出されなかった。
【0086】
(比較例1)
二次中和槽内の排液のpHを7.0とした以外は実施例1と同様の条件で水酸化チタン及び酸化チタンを得た。
実施例1と同様の方法で得られた水酸化チタンの残留Ca濃度を、ICP発光分光分析法により測定した。その結果を表1に示す。表1より、測定値は3.9%であり、目標値(1.0%未満)を達成できなかった。
実施例1と同様の方法で得られた酸化チタンの結晶構造を、X線解析装置を用いて測定した。得られたX線回折図を図4に示す。図4より、酸化チタンとカルシウム系化合物(チタン酸カルシウム)が検出された。
【0087】
(比較例2)
図1に示す処理フローを用いて、以下に示す手順で、チタン化合物を含む排液から酸化チタンを得た。
すなわち、チーグラーナッタ触媒の製造工場において、オレフィン類重合用固体触媒成分を調製した際に発生する、四塩化チタン、ジエトキシマグネシウム、トルエンおよびヘプタンを含む液温25℃の排液を処理対象とし、当該排液10を容量250mの受水槽1に送入することで混合し、加水分解を施した。このとき、受水槽中の排液のpHが1.0になるように受水槽中に加水分解用の水11を送入した。
上記加水分解処理された処理液を、10m/hの速度で容量8mの一次中和処理槽2に送入し、液温25℃の100g/L水酸化カルシウム水溶液12を用いて、一次中和処理槽2内に送入された排液のpHが2.0になるように一次中和処理を施した。なお、この処理においては、滞留時間を1.0時間とした。
次いで、上記一次中和処理を施した処理液を、10m/hの速度で容量8mの二次中和処理槽3に送入し、液温25℃の100g/L水酸化カルシウム水溶液13を用いて、二次中和処理槽3内に送入された排液のpHが7.0になるように二次中和処理を施した。なお、この処理においては、滞留時間を0.5時間とした。
二次中和処理を施した液温25℃の処理液は、10m/hの速度で容量10mの凝集槽4内に送入して、凝集剤(クリタ・ケミカル北陸(株)製クリファームPA-833)を用いて凝集させた後、シックナー5に送入してプレスケーキ化した沈殿物を抜き出し、該沈殿物を大気雰囲気で120℃16時間以上乾燥して乾燥物(水酸化チタン)を得た。得られた乾燥物から、採取場所を変えて10か所サンプリングし、実施例1と同様の方法で、サンプリングした各水酸化チタンの残留Ca濃度を、ICP発光分光分析法により測定した。その結果を表1に示す。10サンプルの残留Ca濃度の測定値は4.0~6.0%であり、平均値は5.0%であり、目標値(1.0%未満)を達成できなかった。
次いで、上記で得た乾燥物(水酸化チタン)を950℃で4時間焼成することで、目的とする酸化チタンを得た。実施例1と同様の方法で得られた酸化チタンの結晶構造を、X線解析装置を用いて測定した。得られたX線回折図を図5に示す。図5より、酸化チタンとカルシウム系化合物(チタン酸カルシウム)が検出された。
【0088】
【表1】
【0089】
実施例1においては、チタン化合物を含む排液を水と接触させ、チタン化合物を加水分解処理する加水分解処理を施した後、加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが1.5以上2.5未満になるように中和剤を加える一次中和処理を施し、次いで、一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下になるように中和剤として水酸化カルシウムを加える二次中和処理を施して水酸化チタンを得ていることから、アンモニア水や水酸化ナトリウム等の中和剤を用いなくても容易にチタン化合物が得られるとともに、チタン化合物として異物(特にカルシウム)の混入が抑制された高純度なものが得られることが分かる。
【0090】
一方、比較例1~2においては、加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが7.0になるように中和剤を加える二次中和処理を施して水酸化チタンを得ていることから、チタン化合物中へのカルシウムの混入量が多くなることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明によれば、チタン化合物含有排液、好ましくはオレフィン類重合用固体触媒成分又はオレフィン類重合用触媒を調製する際に発生するチタン化合物含有排液から、中和剤として水酸化カルシウムを用いても、チタン化合物を高純度で簡便に回収する方法を提供することができるとともに、チタン化合物含有排液、好ましくはオレフィン類重合用固体触媒成分又はオレフィン類重合用触媒を調製する際に発生するチタン化合物含有排液から、中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを用いても、チタン化合物を高純度で簡便に製造する方法を提供することができ、さらに、高純度なチタン酸アルカリ金属を低コストに製造する方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 受水槽
2 一次中和処理槽
3 二次中和処理槽
4 凝集槽
5 沈殿槽
6 沈殿物貯蔵槽
7 フィルタープレス装置
8 洗浄槽
10 チタン化合物を含む排液
11 水
12、13 水酸化カルシウム懸濁液
14 洗浄水
20、21 水酸化チタン化合物の凝集物のプレスケーキ
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン化合物を含む排液からチタン成分を回収する方法であって、
該チタン化合物を含む排液を水と接触させ、チタン化合物を加水分解処理する工程(1)と、
加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが1.5以上2.5未満になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える一次中和処理を施し、次いで、該一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える二次中和処理を施し、水酸化チタンを得る工程(2)と、
を有すること、
を特徴とするチタン成分の回収方法。
【請求項2】
前記水酸化チタンを、pH6.0以上9.0以下の洗浄水で洗浄する洗浄工程を有することを特徴とする請求項1記載のチタン成分の回収方法。
【請求項3】
チタン化合物を含む排液から酸化チタンを製造する方法であって、
該チタン化合物を含む排液を水と接触させ、該チタン化合物を加水分解処理する工程(1)と、
加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが1.5以上2.5未満になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える一次中和処理を施し、次いで、該一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える二次中和処理を施し、水酸化チタンを得る工程(2)と、
該水酸化チタンから酸化チタンを得る工程と、
を有すること、
を特徴とする酸化チタンの製造方法。
【請求項4】
前記水酸化チタンを、pH6.0以上9.0以下の洗浄水で洗浄する洗浄工程を有することを特徴とする請求項3記載の酸化チタンの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
すなわち、本発明は、
(1)チタン化合物を含む排液からチタン成分を回収する方法であって、
該チタン化合物を含む排液を水と接触させ、チタン化合物を加水分解処理する工程(1)と、
加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが1.5以上2.5未満になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える一次中和処理を施し、次いで、該一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える二次中和処理を施し、水酸化チタンを得る工程(2)と、
を有すること、
を特徴とするチタン成分の回収方法。
(2)前記水酸化チタンを、pH6.0以上9.0以下の洗浄水で洗浄する洗浄工程を有することを特徴とする(1)のチタン成分の回収方法。
(3)チタン化合物を含む排液から酸化チタンを製造する方法であって、
該チタン化合物を含む排液を水と接触させ、該チタン化合物を加水分解処理する工程(1)と、
加水分解処理を施した排液の処理液に対し、pHが1.5以上2.5未満になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える一次中和処理を施し、次いで、該一次中和処理を施した処理液に対し、pHが2.5以上5.9以下になるように中和剤として水酸化カルシウム又は酸化カルシウムを加える二次中和処理を施し、水酸化チタンを得る工程(2)と、
該水酸化チタンから酸化チタンを得る工程と、
を有すること、
を特徴とする酸化チタンの製造方法。
(4)前記水酸化チタンを、pH6.0以上9.0以下の洗浄水で洗浄する洗浄工程を有することを特徴とする(3)の酸化チタンの製造方法。
を提供するものである。