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特開2022-170862間仕切りにおける縦支柱の支持構造および支持方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170862
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】間仕切りにおける縦支柱の支持構造および支持方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
E04B2/74 531P
E04B2/74 531M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077123
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】清水 佳苗
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正史
(57)【要約】
【課題】床レール部2に、中空筒状の縦支柱4の下端縁部を、該縦支柱4に上側片部8aが内嵌された支持部材8を介して支持するに際し、縦支柱4を起立状に持ち上げたときに支持部材8が下動してしまうことを防止する。
【解決手段】 支持部材8の上側片部8aの幅Wを、縦支柱見付け面部4cの対向間の幅Vよりも幅広(W>V)になるよう傾斜状に拡開形成し、該拡開形成された上側片部8aを縦支柱見付け面部4cに無理嵌め状に内嵌することで支持部材8の縦支柱4に対する下動に制動を与えて支持部材8が不用意に下動しないようにする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面、天井面の少なくとも一方に取り付けられるレール部と、
該レール部に端縁部が支持される中空筒状の縦支柱と、
隣接する縦支柱に左右両端縁部が支持されるパネル体とを備えて構成される間仕切りにおいて、
前記縦支柱の端縁部を、該端縁部に上下動自在に内嵌する内嵌片部を備えた支持部材を介してレール部に支持するにあたり、
前記内嵌片部に、縦支柱の内側面に弾圧状に当接して支持部材の上下動に制動を与える制動手段が設けられていることを特徴とする間仕切りにおける縦支柱の支持構造。
【請求項2】
内嵌片部は互いに対向する二片からなり、制動手段は、該対向する内嵌片部を、先端縁側部位の対向間を縦支柱内側面の対向間よりも幅広にして縦支柱の内側面に弾圧状に当接するよう拡開形成することで構成されることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける縦支柱の支持構造。
【請求項3】
縦支柱は、互いに対向する脚片部を有した凵字形の床レール部に支持部材を介して下端縁部が支持されるものであって、
前記床レール部には、上側面部に調整具を上下調整自在に設けた調整部材が床レール部の脚片部間に内嵌することで組み込まれ、
支持部材は、前記内嵌片部である上側片部と、前記調整具に当接する中間片部と、前記床レール部の脚片部間に内嵌する状態で調整部材に外嵌する下側片部とを備え、
前記制動手段は、上側片部を上端側ほど拡開した傾斜状にすることで形成されていることを特徴とする請求項2記載の間仕切りにおける縦支柱の支持構造。
【請求項4】
床面に取り付けられる床レール部と、
該床レール部に下端縁部が支持される中空筒状の縦支柱と、
隣接する縦支柱に左右両端縁部が支持されるパネル体とを備えて構成される間仕切りにおいて、
縦支柱の下端縁部を支持部材を介して床レール部に支持するにあたり、
床レール部は互いに対向する脚片部を有した凵字形をし、該脚片部間に、上下調整自在な調整具が上側面部に設けられた調整部材が内嵌され、
支持部材は、互いに対向する二片から構成され、前記縦支柱の下端縁部に上下方向移動自在に内嵌する上側片部と、調整具に当接する中間片部と、床レール部の脚片部間に内嵌する状態で調整部材に外嵌する下側片部とを備えて構成され、
縦支柱を、下端縁部に支持部材が組み込まれた状態で床レール部に支持するための方法であって、該方法には、
・上側片部を、縦支柱内側面の対向間よりも広くして縦支柱の内側面に弾圧状に当接するよう拡開形成する工程、
・拡開形成された上側片部の対向間を縮小する状態で該上側片部を縦支柱の下端縁部に内嵌する工程、
・該内嵌した上側片部を、弾性復元力により縦支柱の内側面に弾圧状に当接せしめて支持部材の下動に制動を与える工程、
・支持部材が下動に制動が与えられた状態で組み込まれた縦支柱を、起立状に持ち上げて下側片部が床レール部の脚片部間に内嵌する状態で調整部材に外嵌する工程、
の工程があることを特徴とする間仕切りにおける縦支柱の支持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の室内空間を仕切る間仕切りにおける縦支柱の支持構造および支持方法の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビル等の建物の室内空間を仕切るため間仕切りを設けることがあるが、このような間仕切りのなかには、縦支柱を床面と天井面とのあいだに立設し、該立設した隣接縦支柱間にパネル体の左右両端縁部を支持するようにして構成するものがあり、このような間仕切りとして、例えば縦支柱の下端縁部を、床面に設けた床レール部に支持するようにして設けたものが提唱されている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-165105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで前記従来のものは、凵字形をした床レール部に縦支柱の下端縁部を支持するにあたり、中空筒状とした縦支柱の下端縁部に、支持部材に形成される一対の上側片部が内嵌した状態で、該支持部材を介して床レール部に支持するようにしているが、このものにおいて、予め支持部材を床レール部側に組み込んだ状態で、該組み込んだ支持部材の上側片部に、起立状に持上げた縦支柱の下端縁部を外嵌組み込みするようにした場合、縦支柱が長いこともあって該縦支柱を、支持部材に対して垂直状の芯合わせ状態にして組み込むことが事実上難しく、芯ずれした抉り状態になってしまうことが多々あって作業性に劣るという問題がある。
そこで逆に、支持部材の上側片部を嵌入組み込みした状態の縦支柱を床レール部側に組み込むようにすることも試みられるが、この様にした場合、支持部材は、上側片部が縦支柱に単純に抜き差し自在に内嵌する構造になっていたため、縦支柱を床レール部に組み込むべく持上げたとき、支持部材が縦支柱から抜け出てしまうことになり、これを回避するには支持部材を、縦支柱から抜け出ないよう手で押さえる等しながら縦支柱を持上げた状態で床レール部に組み込むという面倒かつ煩雑な作業が強いられることになって作業性に劣る等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、床面、天井面の少なくとも一方に取り付けられるレール部と、該レール部に端縁部が支持される中空筒状の縦支柱と、隣接する縦支柱に左右両端縁部が支持されるパネル体とを備えて構成される間仕切りにおいて、前記縦支柱の端縁部を、該端縁部に上下動自在に内嵌する内嵌片部を備えた支持部材を介してレール部に支持するにあたり、前記内嵌片部に、縦支柱の内側面に弾圧状に当接して支持部材の上下動に制動を与える制動手段が設けられていることを特徴とする間仕切りにおける縦支柱の支持構造である。
請求項2の発明は、内嵌片部は互いに対向する二片からなり、制動手段は、該対向する内嵌片部を、先端縁側部位の対向間を縦支柱内側面の対向間よりも幅広にして縦支柱の内側面に弾圧状に当接するよう拡開形成することで構成されることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける縦支柱の支持構造である。
請求項3の発明は、縦支柱は、互いに対向する脚片部を有した凵字形の床レール部に支持部材を介して下端縁部が支持されるものであって、前記床レール部には、上側面部に調整具を上下調整自在に設けた調整部材が床レール部の脚片部間に内嵌することで組み込まれ、支持部材は、前記内嵌片部である上側片部と、前記調整具に当接する中間片部と、前記床レール部の脚片部間に内嵌する状態で調整部材に外嵌する下側片部とを備え、前記制動手段は、上側片部を上端側ほど拡開した傾斜状にすることで形成されていることを特徴とする請求項2記載の間仕切りにおける縦支柱の支持構造である。
請求項4の発明は、床面に取り付けられる床レール部と、該床レール部に下端縁部が支持される中空筒状の縦支柱と、隣接する縦支柱に左右両端縁部が支持されるパネル体とを備えて構成される間仕切りにおいて、縦支柱の下端縁部を支持部材を介して床レール部に支持するにあたり、床レール部は互いに対向する脚片部を有した凵字形をし、該脚片部間に、上下調整自在な調整具が上側面部に設けられた調整部材が内嵌され、支持部材は、互いに対向する二片から構成され、前記縦支柱の下端縁部に上下方向移動自在に内嵌する上側片部と、調整具に当接する中間片部と、床レール部の脚片部間に内嵌する状態で調整部材に外嵌する下側片部とを備えて構成され、縦支柱を、下端縁部に支持部材が組み込まれた状態で床レール部に支持するための方法であって、該方法には、上側片部を、縦支柱内側面の対向間よりも広くして縦支柱の内側面に弾圧状に当接するよう拡開形成する工程、拡開形成された上側片部の対向間を縮小する状態で該上側片部を縦支柱の下端縁部に内嵌する工程、該内嵌した上側片部を、弾性復元力により縦支柱の内側面に弾圧状に当接せしめて支持部材の下動に制動を与える工程、支持部材が下動に制動が与えられた状態で組み込まれた縦支柱を、起立状に持ち上げて下側片部が床レール部の脚片部間に内嵌する状態で調整部材に外嵌する工程、の工程があることを特徴とする間仕切りにおける縦支柱の支持方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、縦支柱を、支持部材を介してレール部に支持する際に起立状に持ち上げたとき、支持部材は、制動手段による制動を受けて不用意に上下動することが回避されることになる結果、支持部材を移動しないよう操作しながらの縦支柱のレール部への組み込み作業をすることが回避され、作業性が向上する。
請求項2の発明とすることにより、内嵌片部は互いに対向する二片からなったものにおいて、制動手段が、該対向する内嵌片部を、先端縁側部位の対向間を縦支柱内側面の対向間よりも幅広にして縦支柱の内側面に弾圧状に当接するよう拡開形成するだけで簡単に形成することができ、作業性が損なわれることながない。
請求項3の発明とすることにより、支持部材の内嵌片部である上側片部を、先端縁側部位の対向間が縦支柱内側面の対向間よりも幅広にすることが、仮りに作業現場においても簡単にできることになる。
請求項4の発明とすることにより、縦支柱を、床レール部に支持部材を介して取り付け支持するに際し、該支持部材に形成される二片の上側片部を、縦支柱内側面の対向間よりも幅広になるよう形成した状態で縦支柱の下端縁部に挿入することで、上側片部が、縦支柱を起立状に持ち上げたとしても制動負荷を受けることになって不用意に下動することがなく挿入状態が維持されることになり、この結果、支持部材を介しての縦支柱の床レール部に対する組み込み支持の作業が、いちいち支持部材が脱落しないよう把持しながら行う必要が無くなって作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(A)(B)は間仕切りの正面図、側面図である。
図2】縦支柱下端部部位の要部の正面図である。
図3】縦支柱下端部部位の要部の側面図である。
図4】(A)(B)は縦支柱上端部部位の要部の正面図、側面図である。
図5】縦支柱の組み込み状態を示す分解斜視図である。
図6】(A)(B)(C)は支持部材の正面図、側面図、平面図である。
図7】(A)(B)(C)(D)は連結部材の側面図、平面図、正面図、突出部部位の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はビル等の建物の室内空間を仕切るため建て付けられる間仕切りであって、該間仕切り1は、床面Fに設けられる床レール部2、天井面Hに設けられる天井レール部3に上下端縁部が支持される状態で縦支柱4が建て付けられ、左右に隣接する縦支柱4にパネル体5の左右両端縁部が取り付け支持されることで構成されていること等は何れも従来通りである。
【0009】
前記床レール部2は、底片部2aと、前後両脚片部2bとを備え、上面側が開口した側面視で凵字形をしたものであって、底片部2aが図示しない締結具(例えばアンカーボルトやビス)を介して床面Fに固定されている。そして床レール部2には、縦支柱4の取り付け位置に対応して該縦支柱4の高さ調整をするための調整部材(アジャスター)6が配設されるが、該調整部材6は、上側面部6aと、該上側面部6aの前後両端縁部から垂下する前後脚片部6bとを備えた側面視で冂字形をしたものであって、脚片部6bの下端縁が床レール部底片部2aに当接し、かつ脚片部6bの外側面が床レール部脚片部2bの内側面に当接(摺接)または近接対向する状態で内嵌することにより床レール部2に組み込まれる。そして調整部材6の上側面部6aにはビス6cが上下方向調整操作自在に設けられているが、該ビス6cは、ビス頭6dの上下位置を調整することで、後述するように縦支柱4の上下位置(高さ)調整をするための調整具を構成している。
【0010】
一方、縦支柱4は、平面視で中空となった四角筒形状をし、左右の見込み面部4aのうちの一方の面部に前後方向中間部位に上下端に至る状態で切り欠き4bが形成されることで、所謂C型鋼形状に構成されており、前後の見付け面部4cには左右一対の係止孔4dが上下方向に間隔を存して形成され、該係止孔4dに係止金具7が係脱自在に取り付けられている。
またパネル体5は、表面板5aと、該表面板5aの裏面に設けられる内装材(石膏ボードやハニカムボード等)5bとを備えて構成されるが、表面板5aの左右両端縁部は、上下両端縁部部位と同じようにして裏面側に向けて裏面側片部5cがコ字形に折曲形成され、裏面側片部5cに形成された係止孔5dに前記係止金具7を係脱自在に係止することでパネル体5を縦支柱4の前後両面に組み付けることができるようになっている。
【0011】
8は縦支柱4の下端縁部を床レール部2に支持するために用いられる支持部材であって、該支持部材8は、縦支柱4の下端縁部に内嵌する上側片部8aと、前記調整部材6に設けたビス6cに上側から当接する中間片部8bと、床レール部脚片部2bに内嵌する状態で調整部材6に外嵌する下側片部8cとを備えて構成されている。
さらに具体的には、前記中間片部8bは、縦支柱4の水平断面形状に対応するよう四角形状をし、上側片部8aは、中間片部8bの前後両端縁部8dを折曲コーナー部として前後に互いに対向する状態で上方に延設された二片から構成されるが、該上側片部8aは、折曲コーナー部となる前後両端縁部8dを含めて縦支柱4の前後の見付け面部4cの内側面よりも内側に位置するよう構成されている。
これに対し下側片部8cは、中間片部8bの左右両端縁部8eを折曲コーナー部として左右に互いに対向する状態で下方に延設された左右二片から構成されるものであって、床レール部2の脚片部2b間に内嵌する状態で調整部材6の左右端縁部に外嵌組み込みされることになるが、前記左右両端縁部8e部位の上面には、縦支柱見込み面部4aの下端縁が当接支持される構成になっている。
尚、中間片部8bには、調整部材6に設けたビス6cのビス頭6dを臨むべく該ビス頭6dよりは小径の調整用孔8fが穿設されている。
【0012】
そして前述したように調整部材6は、床レール部脚片部2b間に嵌入する脚片部6bの下端縁が床レール部底片部2aに当接することで該床レール部2に組み込み支持され、支持部材8は、下側片部8cが床レール部脚片部2b間に内嵌する状態で調整部材左右端縁部6eに外嵌し、そして調整部材上側面部6aに設けたビス6cに中間片部8bが当接することで調整部材6に組み込み支持される。
このように組み込み支持された支持部材8の上側片部8aに縦支柱4が外嵌した状態で、該縦支柱4の見込み面部4aの下端縁が支持部材中間片部8bの左右両端縁部8eに上側から当接することで縦支柱4が支持部材8に組み込み支持されることになり、この場合に、縦支柱見付け面部4cの下端縁部4fは、縦支柱見込み面部4aの支持部材中間片部8bの左右両端縁部8eに当接支持される下端縁よりも下方に延出されていて、支持部材下側片部8cに外嵌する構成になっている。そしてこれらの支持構造によって、縦支柱4は、支持部材8を介して床レール部2に取り付け支持される構成になっている。
そして該床レール部2に支持された縦支柱4の上下位置調整が、縦支柱4に形成の切り欠き4bから挿入したドライバー等の適宜工具(図示せず)を、調整用孔8fから挿入してビス6cのビス頭6dに係止した状態で該ビス6cを回し調整してビス6cを上下調整することでできるように構成されている。
因みに、本実施の形態のものは、縦支柱4の下端縁部の床レール部2に対する取り付け支持構造で強度的に充分であるが、例えば縦支柱4を開き戸の吊元側支柱として用いる場合の様に強度が必要な場合には、前述した特許文献1のように補強する構成とすることもできる。
【0013】
次に、縦支柱4の下端縁部を、支持部材8を介して床レール部2に取り付け支持する具体的手法について説明する。
前記支持部材8は、前述したように上側片部8a、中間片部8b、そして下側片部8cを備えて構成されるが、上側片部8aは、縦支柱4の前後の見付け面部4cの内側面に対向するよう中間片部8bの前後両端縁部8dから上方に延出した互いに対向する二片により構成されるが、該互いに対向する上側片部8aは、下端縁となる前後両端縁部8dが縦支柱4の前後の見付け面部4cに間隙を存して対向する遊嵌状態に設定され、そして上端側ほど拡開した傾斜状(逆八字状)に形成されることで、先端縁側部位8gの外側面の対向間隔Wが縦支柱見付け面部4cの内側面の対向間Vよりも幅広(W>V)になるよう設定されており、これによって上側片部8bを縦支柱見付け面部4c間に付勢力に抗して無理嵌め状に内嵌することになり、このようにした場合に、上側片部8bは縦支柱見付け面部4cの内側面に弾圧状に当接することになって支持部材8の縦支柱4に対する上下動(摺動)に制動(制動抵抗)が働くことになって仮保持状の保持ができるように構成されており、このようにして本発明の制動手段が実施されている。
因みに上側片部8aの拡開は、工場において支持部材8の加工過程で形成されることになるが、仮に拡開形成がなされていないものが存在し、これが現場搬入された場合には、現場において作業者が必要において拡開形成することもできる。
また拡開形状としては、図6に示す本実施の形態のもののように上端まで直線状に傾斜したものに限定されず、途中でく字形になったもの、湾曲状になったもの等、支持部材8の上下動に制動を与えるものであれば前記形状に限定されないものであることは言うまでもない。
【0014】
そしてこのように制動手段が設けられた支持部材8を介して縦支柱4を床レール部2に支持するには、縦支柱4の下端縁部に、前記拡開形成された支持部材上側片部8aの対向間を弾性力に抗して縮小して無理嵌め状に内嵌し、縦支柱見込み面部4aの下端縁が支持部材中間片部8bの左右端縁部8eに当接するよう上側片部8aを深く挿入する。この場合に、拡開された上側片部8aの先端縁側部位8gは、弾性変形された状態で縦支柱見付け面部4cに当接して摺動することになる。ところで前記制動抵抗は、支持部材8の自由な上下動に制動を与えて縦支柱4を垂直状に起立(立設)した状態で支持部材8が自然降下することを規制できる程度のものであれば充分であるため小さく、このため上側片部8aを挿入する際の摺動抵抗も小さいものとなって挿入作業に支障を来すようなことはない。
そしてこのように上側片部8aを縦支柱4に内嵌組み込みすることで、上側片部8aは弾性復元力によって縦支柱見付け面部4cの内側面に弾圧状に当接することになって支持部材8の上下動に制動が与えられた状態になり、該支持部材8が、制動を与えられた状態で組み込まれた縦支柱4を、起立状に持ち上げ、下側片部8cを床レール部2の脚片部2b間に内嵌する状態で調整部材6に外嵌して中間片部8bをビス頭6dに当接することで、支持部材8を介して縦支柱4を床レール部2に組み込み支持することができるように構成される。
【0015】
次に、縦支柱4の上端縁部の天井面H側への組み込み支持の構造について説明する。
前記天井レール部3は、天井面Hに図示しない締結具を介して固定される上片部3aと、該上片部3aの前後両端縁から垂下する一対の脚片部3bとを備えた断面冂字形をしている。そして該天井レール部3に、縦支柱4の上端縁部が連結部材9を介して取り付け支持される。
前記連結部材9は、見込み片となる左右方向一方の跨片部9aと、該跨片部9aの前後端縁部から左右方向一側方に延出する前後一対の互いに対向する脚片部9bとを備えたコ字形をしているが、跨片部9aの上端縁部には、脚片部9bよりも上方に延出したものが脚片部9bとは逆側に折曲形成された連結片部9cが形成されている。
【0016】
そして連結部材9は、下側部位が縦支柱4の上端縁部に内嵌し、上側部位が天井レール部3に内嵌し、さらに連結片部9cが天井レール部上片部3aに当接するように組み付けられ、そして該連結片部9cが、天井レール部上片部3aを貫通するビス9eを介して天井面H側に固定されるようになっている。
このようにして縦支柱4の上端縁部は、連結部材9を介して天井面H側に取り付け支持されることになるが、連結片部9は、脚片部9bが先端側ほど拡開するよう傾斜状になっていて先端縁部の間隔Uが前記縦支柱見付け面部4cの内側面間の対向間隔Vよりも幅広(V<U)になっており、これによって縦支柱4に連結部材9を内嵌した場合に、支持部材8の上側片部8aと同様、脚片部9bが縦支柱見付け面部4cの内側面に弾圧状に当接(摺接)して不用意な下動に対する制動が働く構成になっていて本発明が実施されている。
【0017】
さらに本実施の形態においては、上端縁部に連結部材9を内嵌した状態の縦支柱4を天井レール部3に組み込むことになるが、この場合に連結部材9は、縦支柱4に対し、天井レール部3への組み込み状態よりも下側に位置した状態で組み込んでおき、この状態で縦支柱4を連結部材9と共に起立状に持ち上げ、そして連結部材9を縦支柱4に対して上動して連結片部9cを天井レール部3の上片部3aに当接し、ビス9eを介して天井レール3に固定することになるが、該ビス9eにより固定する以前の段階では、天井レール部3に内嵌する連結部材9と共に縦支柱4が左右に振れてしまうことがあり、これを回避するため、連結部材脚片部9bの天井レール部3に内嵌する上側部位に、前後方向外側に向けて突出した突出部9dを設け、該突出部9dが天井レール部3の脚片部3bに押圧状に当接することになって縦支柱4が左右方向に振れてしまうことの制動を与えることになって、縦支柱4の上端縁部を、ビス9eによる天井レール部3に対して固定する以前の段階で仮保持状に保持できるように構成されている。尚、連結部材跨片部9aには電気コード等の天井敷設物を貫通するための貫通孔9fが穿設されている。
因みに突出部9dは、天井レール部3に弾圧状に当接して制動を与え、連結部材9の天井レール部3からの不用意な脱落を防止するため設けられたものであって、脚片部9bが先端側ほど拡開するよう傾斜形成されたものでなく、直角状に折曲されたものにおいて設けたものであっても良いことは勿論である。
【0018】
また本実施の形態において、パネル体5は縦支柱4に取り付けられることになるが、この場合に、パネル体5の下端縁を受け止め支持するための受け金具10が設けられたものとなっている。
前記受け金具10は、縦支柱4の左右の見込み面部4aに当接する基片部10aと、該基片部10aの前後両端縁部から左右方向外方(縦支柱4から離間する方向)に延出する延出片部10bと、該延出片部10bの下端縁部から前後方向に折曲形成されてパネル体5の下端縁部を受け止め支持する受け止め片部10cと、前記基片部10aから左右方向内方に向けて突出して、縦支柱見込み面部4aに形成の係止孔4gに嵌入する係止片部10dとを備えて構成され、該係止片部10dを係止孔4gに嵌入係止する状態で縦支柱4に組み付けられるものであり、この様に組み込むことにより受け金具10は、受け止め片部10cが床レール部2の脚片部2bの前後外側部位において、前述したように縦支柱4に係止金具7を介して取り付けられたパネル体5の下端縁部を受け止め支持するようになっている。
尚、11は左右縦支柱4の上下中間部位間に設けられる横桟である。
【0019】
叙述の如く構成された本実施の形態において、間仕切り1は、上下の天井レール部3、床レール部2と、該上下のレール部2、3に端縁部が支持される中空筒状の縦支柱4と、隣接する縦支柱4に左右両端縁部が支持されるパネル体5とを備えて構成される。そしてこの場合に、前記縦支柱4の下端縁部を、該下端縁部に上下動自在に内嵌する上側片部(内嵌片部)8aを備えた支持部材8を介して床レール部2に支持する構成としているが、このものにおいて、前記上側片部8aを、互いに対向する状態で先端縁(上端縁)側部位が縦支柱見付け面部4cの内側面の対向間よりも幅広に形成されたものとなっていて該縦支柱見付け面部4c無理嵌め状に内嵌し、これによって上側片部8aが縦支柱見付け面部4cの内側面に弾圧状に当接して支持部材8の下動に制動が付与された状態になっている結果、支持部材8が組み込まれた状態の縦支柱4を起立状に持ち上げて床レール部2に組み込む際に、支持部材8が不用意に下動してしまうことが解消され、このため支持部材8を下動しない(滑り落ちない)ようを把持操作しながらの縦支柱4の床レール部2への組み込み作業をする必要がなく作業性が向上する。
【0020】
しかもこの支持部材8の下動に制動を与えるための制動手段として、対向する上側片部8aを、単純に上端側ほど拡開した傾斜状に形成されたものとすることで良い結果、支持部材8の下動に制動を与えるための制動手段としての構成が簡単なものになる。
【0021】
このように支持部材8に対し、縦支柱4からの下動に制限を与えるための制限手段として、本実施の形態においては上側片部8aを拡開形成したものとしているが、このような支持部材8を用いて縦支柱4の下端縁部を床レール部2に組み込むための方法として、前記拡開形成する工程も含めて、
・支持部材8の上側片部8aを、縦支柱見付け面部4cの内側面の対向間よりも幅広くして縦支柱見付け面部4cの内側面に弾圧状に当接するよう拡開形成する工程、
・該拡開形成された上側片部8aの対向間を縮小操作する状態で該上側片部8aを縦支柱見付け面部4cの下端縁部に内嵌する工程、
・該内嵌した上側片部8aの縮小操作を解くことで、上側片部8aが弾性復元力により縦支柱見付け面部4cの内側面に弾圧状に当接して支持部材8の下動に制動を与える工程、
・支持部材8の下動に制動が与えられた状態で該支持部材8が組み込まれた縦支柱4を、起立状に持ち上げて下側片部8cを床レール部2の脚片部2b間に内嵌する状態で、縦支柱見込み面部4aの下端縁部が調整部材上側面部6aに当接するまで外嵌する工程、
の工程がある結果、支持部材8を介しての縦支柱4の床レール部2に対する組み込み支持の作業が、いちいち支持部材8が脱落しないよう把持しながら作業する必要が無く容易になって作業性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、建物の室内空間を仕切る間仕切りにおける縦支柱の支持構造および支持方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 間仕切り
2 床レール部
2b 脚片部
4 縦支柱
4a 見込み面部
4c 見付け面部
5 パネル体
6 調整部材
6a 上側面部
6b 脚片部
6c ビス(調整具)
8 支持部材
8a 上側片部
8b 中間片部
8c 下側片部
F 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7