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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170868
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ケーブル案内装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
H02G1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077136
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】507351850
【氏名又は名称】育良精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 清
(72)【発明者】
【氏名】曽根 栄二
(72)【発明者】
【氏名】大槻 芳朗
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352CA02
5G352CA05
5G352CA07
5G352CC03
5G352CH08
5G352CJ04
5G352CK08
(57)【要約】
【課題】 上層階にケーブルドラムを置き、低層階にケーブルを落とし込む作業において、円滑にケーブルを案内することができる一方で、ケーブル落とし込み作業を中断する必要が生じた時に即時にケーブルを保持できる装置を提供すること。
【解決手段】 一対の移動体が、一対の傾斜面上を同時に同方向に同速度で移動可能であるように、同期リンクを介して接続されている。一対の移動体の少なくとも一方には、回動ピンを介して回動する係止部材が設けられている。一対の傾斜面を提供する左右部の少なくとも一方の上方部に、係止部材が係止可能な被係止部が設けられている。係止部材が被係止部に係止されている状態において、当該係止部材の当該被係止部に対する係止状態を所望のタイミングで即時に解除可能な係止解除機構が更に設けられている。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方側の離間距離が小さくなるよう互いに対向配置された一対の傾斜面を提供する左部及び右部と、
前記左部及び前記右部が固定された背面部と、
前記一対の傾斜面上をそれぞれ移動可能に対向配置された一対の移動体と、
前記一対の移動体の対向面上に互いに対向配置された一対の弾性体と、
を備え、
前記一対の移動体は、前記一対の傾斜面上を同時に同方向に同速度で移動可能であるように、同期リンクを介して接続されており、
前記一対の移動体の少なくとも一方には、回動ピンを介して回動する係止部材が設けられており、
前記左部及び前記右部の少なくとも一方の上方部には、前記係止部材が係止可能な被係止部が設けられており、
前記係止部材が前記被係止部に係止されている状態において、当該係止部材の当該被係止部に対する係止状態を所望のタイミングで即時に解除可能な係止解除機構
を更に備えたことを特徴とするケーブル案内装置。
【請求項2】
前記係止部材は、回動ピンを介して回動するようになっていて、フック部を有しており、
前記被係止部は、前記フック部が引っ掛けられることで当該フック部を係止できる棚部を有しており、
前記係止解除機構は、前記フック部が前記棚部上に係止されている状態において、当該フック部を当該棚部上から押し出すことによって当該フック部の当該棚部に対する係止状態を所望のタイミングで即時に解除可能となっている
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブル案内装置。
【請求項3】
前記係止解除機構は、
前記左部または前記右部において一方向に移動可能に設けられたスライダ部材と、
前記スライダ部材上に設けられ、当該スライダ部材の前記一方向への移動によって前記フック部を前記棚部上から押し出すように作用可能な押出片と、
前記スライダ部材に接続され、当該スライダ部材を前記一方向へ移動させるように作用可能なワイヤと、
を有している
ことを特徴とする請求項2に記載のケーブル案内装置。
【請求項4】
前記係止解除機構は、
前記左部または前記右部において往復移動可能に設けられたスライダ部材と、
前記スライダ部材上に設けられ、当該スライダ部材の一方向への移動によって前記フック部を前記棚部上から押し出すように作用可能な押出片と、
前記スライダ部材に接続され、当該スライダ部材を前記一方向へ移動させるように作用可能なワイヤと、
前記スライダ部材に接続され、前記ワイヤによる作用が解除された時に当該スライダ部材を逆方向に移動させて元の位置に復帰させるように作用可能な復帰バネと、
有している
ことを特徴とする請求項2に記載のケーブル案内装置。
【請求項5】
前記同期リンクは、枢支ピンを介して互いの一端部が回動可能に接続された2本のリンクバーを有しており、
前記枢支ピンは、弾性バネを介して、前記背面部に接続されており、
前記弾性バネは、前記同期リンクを介して、前記一対の傾斜面上の前記一対の移動体を、前記一対の弾性体の間隔を狭める方向に付勢している
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のケーブル案内装置。
【請求項6】
前記背面部の更に背面側に、複数の自在キャスターが設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載のケーブル案内装置。
【請求項7】
下方側の離間距離が小さくなるよう互いに対向配置された一対の傾斜面を提供する左部及び右部と、
前記左部及び前記右部が固定された背面部と、
前記一対の傾斜面上をそれぞれ移動可能に対向配置された一対の移動体と、
前記一対の移動体の対向面上に互いに対向配置された一対の弾性体と、
を備え、
前記一対の移動体は、前記一対の傾斜面上を同時に同方向に同速度で移動可能であるように、同期リンクを介して接続されており、
前記同期リンクは、枢支ピンを介して互いの一端部が回動可能に接続された2本のリンクバーを有しており、
前記枢支ピンは、弾性バネを介して、前記背面部に接続されており、
前記弾性バネは、前記同期リンクを介して、前記一対の傾斜面上の前記一対の移動体を、前記一対の弾性体の間隔を狭める方向に付勢している
ことを特徴とするケーブル案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電力用ケーブルのような重量の大きいケーブルを案内するケーブル案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、ケーブル保持装置の特許を取得している(特許文献1)。
【0003】
当該ケーブル保持装置は、下方側の離間距離が小さくなるよう互いに対向配置された一対の傾斜面を提供する左部及び右部と、前記左部及び前記右部が固定された背面部と、前記一対の傾斜面上をそれぞれ移動可能に対向配置された一対の移動体と、前記一対の移動体の対向面上に互いに対向配置された一対の弾性体と、を備え、前記一対の移動体は、前記一対の傾斜面上を同時に同方向に同速度で移動可能であるように、同期リンクを介して接続されていることを特徴とするケーブル保持装置である。
【0004】
当該ケーブル保持装置によれば、一対の傾斜面上をそれぞれ移動可能な一対の移動体の対向面上に互いに対向配置された一対の弾性体によって、ケーブルを確実に把持することができる。特に、同期リンクによって、ケーブルを把持する一対の弾性体が同時に同方向に同速度で移動するため、ケーブルの落下防止作用をより安定的に機能させることができる。
【0005】
そして、当該ケーブル保持装置に保持されていたケーブルが、事故等の発生によって、当該ケーブル保持装置よりも上方部位において切断された場合、ケーブルは重力によって落下しようとするが、この時、当該ケーブルを把持していた一対の弾性体も、当該ケーブルとの間で作用していた摩擦力のため、当該ケーブルと一緒になって落下しようとする。この作用に応じて、一対の弾性体を保持する一対の移動体が、一対の傾斜面上をそれぞれ下方側へ移動しようとする。そして、この移動動作は、一対の弾性体の間隔を狭めるように作用するため、結果として一対の弾性体がケーブルを保持する力が瞬時に増大し、ケーブルの落下が効果的に防止される。
【0006】
この落下防止のためのケーブル保持力は、ケーブルの落下前の把持状態(例えば弾性体の対向面間の距離、すなわち、弾性体とケーブルとの当接面間の距離)によって大きく影響されることがない。従って、ケーブルの太さの如何に拘わらず、落下防止のためのケーブル保持力を十分なものとして保証することができ、結果として広範囲なケーブル太さに対応することができる(ケーブル太さの上限は、一対の傾斜面の間の離間距離によって規定される)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6762567号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のケーブル保持装置は、低層階にケーブルドラムを置き、上層階からウインチ等でケーブルを引き上げる作業において、使用されることが想定されている。具体的には、前述のケーブル保持装置は、上下方向(鉛直方向)に延びるケーブルに対して、当該ケーブルの近傍に吊下げられ、当該ケーブルが一対の弾性体の間に配置されるように位置調整されて使用される。
【0009】
しかしながら、最近、上層階にケーブルドラムを置き、低層階にケーブルを落とし込む作業が増えてきている。このような場合に、前述のケーブル保持装置によって上下方向(鉛直方向)に延びるケーブルを保持すると、ケーブルを落とし込んでいく方向にケーブルが移動する時に、一対の弾性体の間隔が狭まるように作用してしまうため、ケーブルを円滑に落とし込むことができない。
【0010】
本件発明者は、上層階にケーブルドラムを置き、低層階にケーブルを落とし込む作業の際には、前述のケーブル保持装置によって上下方向(鉛直方向)に延びるケーブルを保持することを止め、一対の弾性体の間隔が広げられた状態で(当該状態を維持するべく係止部材が被係止部に係止された状態で)ケーブルを案内することに留め、ケーブル落とし込み作業を中断する必要が生じた時に即時にケーブルを保持できる装置の開発に取り組んできた。
【0011】
本発明は、以上の背景の下で創案されたものである。本発明の目的は、上層階にケーブルドラムを置き、低層階にケーブルを落とし込む作業において、円滑にケーブルを案内することができる一方で、ケーブル落とし込み作業を中断する必要が生じた時に即時にケーブルを保持できる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、下方側の離間距離が小さくなるよう互いに対向配置された一対の傾斜面を提供する左部及び右部と、前記左部及び前記右部が固定された背面部と、前記一対の傾斜面上をそれぞれ移動可能に対向配置された一対の移動体と、前記一対の移動体の対向面上に互いに対向配置された一対の弾性体と、を備え、前記一対の移動体は、前記一対の傾斜面上を同時に同方向に同速度で移動可能であるように、同期リンクを介して接続されており、前記一対の移動体の少なくとも一方には、回動ピンを介して回動する係止部材が設けられており、前記左部及び前記右部の少なくとも一方の上方部には、前記係止部材が係止可能な被係止部が設けられており、前記係止部材が前記被係止部に係止されている状態において、当該係止部材の当該被係止部に対する係止状態を所望のタイミングで即時に解除可能な係止解除機構を更に備えたことを特徴とするケーブル案内装置である。
【0013】
本発明によれば、上層階にケーブルドラムを置き、低層階にケーブルを落とし込む作業において、係止部材が被係止部に係止されている状態で当該ケーブル案内装置を使用することにより、ケーブルを円滑に案内することができる一方で、ケーブル落とし込み作業を中断する必要が生じた時には、係止解除機構によって係止部材の被係止部に対する係止状態が即時に解除され得て、一対の傾斜面上をそれぞれ移動可能な一対の移動体が重力によって下方へと移動し得て、当該一対の移動体の対向面上に互いに対向配置された一対の弾性体によってケーブルを即時に確実に把持することができる。
【0014】
一旦、一対の弾性体がケーブルを把持すると、当該ケーブルの落とし込みに伴って、当該ケーブルを把持した一対の弾性体も当該ケーブルと一緒になって更に落下しようとする。この作用に応じて、一対の弾性体を保持する一対の移動体が、一対の傾斜面上をそれぞれ更に下方側へ移動しようとする。そして、この移動動作は、一対の弾性体の間隔を更に狭めるように作用するため、結果として一対の弾性体がケーブルを保持する力が瞬時に増大し、ケーブルの更なる落とし込みが効果的に防止される。
【0015】
この更なる落とし込み防止のためのケーブル保持力は、ケーブルの太さによって大きく影響されることがない。従って、ケーブルの太さの如何に拘わらず、更なる落とし込み防止のためのケーブル保持力を十分なものとして保証することができ、結果として広範囲なケーブル太さに対応することができる(ケーブル太さの上限は、一対の傾斜面の間の離間距離によって規定される)。
【0016】
本発明において、前記係止部材は、回動ピンを介して回動するようになっていて、フック部を有しており、前記被係止部は、前記フック部が引っ掛けられることで当該フック部を係止できる棚部を有しており、前記係止解除機構は、前記フック部が前記棚部上に係止されている状態において、当該フック部を当該棚部上から押し出すことによって当該フック部の当該棚部に対する係止状態を所望のタイミングで即時に解除可能となっていることが好ましい。
【0017】
この場合、係止部材を被係止部に係止させる操作(例えば手動操作)が容易である一方で、係止解除機構の構成ないし配置も広範な公知技術から容易に選択可能である。
【0018】
もっとも、前記係止解除機構については、前記左部または前記右部において一方向に移動可能に設けられたスライダ部材と、前記スライダ部材上に設けられ、当該スライダ部材の前記一方向への移動によって前記フック部を前記棚部上から押し出すように作用可能な押出片と、前記スライダ部材に接続され、当該スライダ部材を前記一方向へ移動させるように作用可能なワイヤと、を有していることが更に好ましい。
【0019】
この場合、ワイヤの作用を介してスライダ部材を一方向へ移動させることにより、フック部を棚部上から押し出すように押出片を即時に作用させることができ、ケーブルを即時に確実に把持することができる。
【0020】
あるいは、前記係止解除機構については、前記左部または前記右部において往復移動可能に設けられたスライダ部材と、前記スライダ部材上に設けられ、当該スライダ部材の一方向への移動によって前記フック部を前記棚部上から押し出すように作用可能な押出片と、前記スライダ部材に接続され、当該スライダ部材を前記一方向へ移動させるように作用可能なワイヤと、前記スライダ部材に接続され、前記ワイヤによる作用が解除された時に当該スライダ部材を逆方向に移動させて元の位置に復帰させるように作用可能な復帰バネと、有していることが更に好ましい。
【0021】
この場合も、ワイヤの作用を介してスライダ部材を一方向へ移動させることにより、フック部を棚部上から押し出すように押出片を即時に作用させることができ、ケーブルを即時に確実に把持することができる。更にこの場合には、ワイヤによる作用が解除された後、復帰バネの作用によってスライダ部材が元の位置に復帰するため、係止解除機構のリセット動作が自動的になされることになり、作業性が高い。
【0022】
また、本発明において、前記同期リンクは、枢支ピンを介して互いの一端部が回動可能に接続された2本のリンクバーを有しており、前記枢支ピンは、弾性バネを介して、前記背面部に接続されており、前記弾性バネは、前記同期リンクを介して、前記一対の傾斜面上の前記一対の移動体を、前記一対の弾性体の間隔を狭める方向に付勢していることが好ましい。
【0023】
この場合には、当該ケーブル案内装置を横置き状態で使用することができる。すなわち、本発明のケーブル案内装置は、縦置き状態では、係止解除機構によって係止部材の被係止部に対する係止状態が即時に解除される際、一対の傾斜面上をそれぞれ移動可能な一対の移動体が重力によって下方側へと(一対の弾性体の間隔を狭める方向に)移動し得て、当該一対の移動体の対向面上に互いに対向配置された一対の弾性体によってケーブルを即時に確実に把持することができるが、横置き状態では、そのような重力の作用を利用することができない。しかしながら、前記特徴が採用される場合には、弾性バネが、同期リンクを介して、一対の傾斜面上の一対の移動体を、一対の弾性体の間隔を狭める方向に付勢しているため、係止解除機構によって係止部材の被係止部に対する係止状態が即時に解除される際、一対の傾斜面上の一対の移動体が当該付勢力によって一対の弾性体の間隔を狭める方向に移動し得て、当該一対の弾性体によってケーブルを即時に確実に把持することができる。すなわち、弾性バネによる付勢力の作用によって、重力の作用を代替することができる。
【0024】
この場合、更に、前記背面部の更に背面側に、複数の自在キャスターが設けられていることが好ましい。
【0025】
これによれば、横置き状態で使用される際に、ケーブルドラムからのケーブル引出位置またはケーブル巻取位置に当該ケーブル案内装置を追従させることが容易である。
【0026】
あるいは、本発明は、下方側の離間距離が小さくなるよう互いに対向配置された一対の傾斜面を提供する左部及び右部と、前記左部及び前記右部が固定された背面部と、前記一対の傾斜面上をそれぞれ移動可能に対向配置された一対の移動体と、前記一対の移動体の対向面上に互いに対向配置された一対の弾性体と、を備え、前記一対の移動体は、前記一対の傾斜面上を同時に同方向に同速度で移動可能であるように、同期リンクを介して接続されており、前記同期リンクは、枢支ピンを介して互いの一端部が回動可能に接続された2本のリンクバーを有しており、前記枢支ピンは、弾性バネを介して、前記背面部に接続されており、前記弾性バネは、前記同期リンクを介して、前記一対の傾斜面上の前記一対の移動体を、前記一対の弾性体の間隔を狭める方向に付勢していることを特徴とするケーブル案内装置である。
【0027】
本発明によれば、弾性バネが、同期リンクを介して、一対の傾斜面上の一対の移動体を、一対の弾性体の間隔を狭める方向に付勢しているため、例えばケーブルを引き上げる際に当該ケーブル案内装置を横置き状態で使用する場合において、当該ケーブルの引き上げ作業に異常が生じた時(例えばケーブルの引き上げ力が喪失された時)、一対の傾斜面上の一対の移動体が前記付勢力によって一対の弾性体の間隔を狭める方向に移動し得て、当該一対の弾性体によってケーブルを即時に確実に把持することができる。すなわち、弾性バネによる付勢力の作用によって、特許文献1のケーブル保持装置における重力の作用を代替することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一つの特徴によれば、上層階にケーブルドラムを置き、低層階にケーブルを落とし込む作業において、係止部材が被係止部に係止されている状態で当該ケーブル案内装置を使用することにより、ケーブルを円滑に案内することができる一方で、ケーブル落とし込み作業を中断する必要が生じた時には、係止解除機構によって係止部材の被係止部に対する係止状態が即時に解除され得て、一対の傾斜面上をそれぞれ移動可能な一対の移動体が重力によって下方へと移動し得て、当該一対の移動体の対向面上に互いに対向配置された一対の弾性体によってケーブルを即時に確実に把持することができる。
【0029】
本発明のもう一つの特徴によれば、弾性バネが、同期リンクを介して、一対の傾斜面上の一対の移動体を、一対の弾性体の間隔を狭める方向に付勢しているため、例えばケーブルを引き上げる際に当該ケーブル案内装置を横置き状態で使用する場合において、当該ケーブルの引き上げ作業に異常が生じた時(例えばケーブルの引き上げ力が喪失された時)、一対の傾斜面上の一対の移動体が前記付勢力によって一対の弾性体の間隔を狭める方向に移動し得て、当該一対の弾性体によってケーブルを即時に確実に把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態のケーブル案内装置の正面図である。
図2】本実施形態のケーブル案内装置の側面図である。
図3】本実施形態のケーブル案内装置の平面図である。
図4】本実施形態のケーブル案内装置のローラ等を透視した側面図である。
図5】本実施形態のケーブル案内装置の係止部材の作用を示す概略図である。
図6】本実施形態のケーブル案内装置の係止解除機構を示す概略配置図である。
図7図6の係止解除機構の待機状態を示す概略平面図である。
図8図6の係止解除機構の待機状態を示す概略斜視図である。
図9図6の係止解除機構の係止解除状態を示す概略平面図である。
図10図6の係止解除機構の係止解除状態を示す概略斜視図である。
図11】本実施形態のケーブル案内装置がφ85のケーブルを把持した状態を示す概略図である。
図12】本実施形態のケーブル案内装置がφ15のケーブルを把持した状態を示す概略図である。
図13】本発明の変形実施形態のケーブル案内装置の斜視図である。
図14図13のケーブル案内装置のコイルスプリングの作用についての説明図である。
図15図13のケーブル案内装置の自在キャスターの作用についての説明図である。
図16図13のケーブル案内装置が撚線状のケーブルを把持した状態を示す概略図である。
図17図13のケーブル案内装置をケーブル落とし込み作業の際に用いる状態を示す概略図である。
図18図13のケーブル案内装置をケーブル引き上げ作業の際に用いる状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態のケーブル案内装置1の正面図であり、図2は、本実施形態のケーブル案内装置1の側面図であり(係止解除機構50の図示は省略されている)、図3は、本実施形態のケーブル案内装置1の平面図である(係止解除機構50の図示は省略されている)。また、図4は、本実施形態のケーブル案内装置1のローラ等を透視した側面図であり、図5は、本実施形態のケーブル案内装置1の係止部材の作用を示す概略図である。
【0033】
そして、図6は、本実施形態のケーブル案内装置の係止解除機構を示す概略図である。
図7は、当該係止解除機構の待機状態を示す概略平面図であり、図8は、当該係止解除機構の待機状態を示す概略斜視図であり、図9は、当該係止解除機構の係止解除状態を示す概略平面図であり、図10は、当該係止解除機構の係止解除状態を示す概略斜視図である。
【0034】
また、図11は、本実施形態のケーブル案内装置1がφ85のケーブルを把持した状態を示す概略図であり、図12は、本実施形態のケーブル案内装置1がφ15のケーブルを把持した状態を示す概略図である。
【0035】
[ケーブル案内装置1の構成]
図1乃至図7に示すように、本実施形態のケーブル案内装置1は、下方側の離間距離が90mm程度となるよう互いに対向配置された、一対の平坦な傾斜面Sを提供する左部11a及び右部11bを備えている。当該左部11a及び右部11bは、図1並びに図5乃至図7から分かるように、それらの側面視(ケーブル案内装置1としては正面視)で、それぞれ鉛直方向から20°の傾きを有していて、略V字状(底が抜けたV字状、逆ハの字状)となっている。
【0036】
当該左部11a及び右部11bの背面側端縁は、全体的に背面部13によって一体的に固定されている。本実施形態の背面部13は、平板状で、左部11a及び右部11bに対して垂直である。また、左部11a及び右部11bの前面側端縁は、僅かな長さだけ内側方向に左部11a及び右部11bに垂直に折り返されて、後述するローラ15rの露出を抑制するローラ保護壁12a、12bを形成している。
【0037】
背面部13の上方部には、取っ手13hが設けられている。また、本実施形態では、左部11a及び右部11bの各々の外側面にも、取っ手11hが設けられている。
【0038】
本実施形態のケーブル案内装置1の左部11a及び右部11bの前面側には、開閉機構20が設けられている。
【0039】
具体的には、当該開閉機構20は、右部11b(左部及び右部の一方の一例)に回動可能に設けられたロック機能付きのバックル部材21と、左部11a(左部及び右部の他方の一例)に設けられたアームフック部材27と、バックル部材21に回動可能に設けられたコ字状のアーム部材24と、を有している。
【0040】
更に詳細には、バックル部材21は、図1乃至図4に示すように、右部11bの上下方向の略中央位置において、ローラ保護壁12bの前面側に当該ローラ保護壁12bと重なるように配置されている。そして、バックル部材21は、ローラ保護壁12bに固定された回動ピン支持部材(不図示)と当該回動ピン支持部材に枢支された回動ピン(枢支ピン)22とによって、当該回動ピン22回りに回動可能となっている。より詳細には、バックル部材21の左端側の領域が枢支ピン22によって枢支されていて、バックル部材21の右端側がローラ保護壁12bから離れる/近づくように回動可能となっている(図3参照)。
【0041】
更に、本実施形態のバックル部材21には、公知のロック機能が付いていて、バックル部材21の右端側がローラ保護壁12bに重なる位置にまで回動された時に自動的にロック機能が稼働するようになっている。バックル部材21の右端側をローラ保護壁12bから離すように回動する際には、ロックレバー23を引くことが必要である。
【0042】
コ字状のアーム部材24は、その2つの開放端が、バックル部材21の左右方向の略中央位置に枢支された回動ピン(枢支ピン)25によって、当該回動ピン25回りに回動可能となっている(図3参照)。
【0043】
アームフック部材27は、左部11aの上下方向の略中央位置において、ローラ保護壁12aの前面側に当該ローラ保護壁12aと重なるように固定されている。
【0044】
以上の構成によって、コ字状のアーム部材24は、バックル部材21のロック機能開放時においてバックル部材21及びアーム部材24を回動することで、アームフック部材27との着脱が可能である一方、バックル部材21のロック機能稼働時においては、アームフック部材27に堅固に固定され得るようになっている。
【0045】
次に、特に図4及び図5を参照して、本実施形態のケーブル案内装置1は、一対の傾斜面S上をそれぞれ移動可能に対向配置された一対の移動体15a、15bと、当該一対の移動体15a、15bの対向面上に互いに対向配置された一対の弾性体16a、16bと、を備えている。
【0046】
図3に示すように、対向配置された一対の弾性体16a、16bの対向面は、前後方向の中央領域が僅かに凹んだ形状となっている。
【0047】
本実施形態では、一対の弾性体16a、16bの各々は、ゴムパッドである。図4に示すように、各弾性体16a、16b(ゴムパッド)は、9cm×30cm程度の大きさで厚みが2.5cm程度あって、略均等に配置された16個のボルト孔を有していて、当該ボルト孔を介して対応するボルトによって移動体15a、15bに固定されている。
【0048】
また、本実施形態では、一対の移動体15a、15bの各々は、一対の傾斜面Sの各々の上を転動する4個のローラ15rを有している。より詳細には、上下方向に離間して配置された2本の枢支軸15sの各々に、前後(図4で左右)2個のローラ15rが回動可能に支持されている(上下2本×1本に2個=4個)。
【0049】
また、傾斜面S上においてローラ15rが転動する軌道領域には、レール(不図示)が設けられている。
【0050】
また、特に図5を参照して、一対の移動体15a、15bの背面側は、一対の傾斜面S上を同時に同方向に同速度で移動可能であるように、同期リンク17を介して接続されている。
【0051】
本実施形態の同期リンク17は、枢支ピン17pを介して互いの一端部が回動可能に接続された同じ長さの2本のリンクバーからなり、当該2本のリンクバーの他端部がそれぞれ一対の移動体15a、15bの対応部位に枢支ピン17a、17bを介して枢支されている。
【0052】
また、特に図5を参照して、一対の移動体15a、15bの各々には、下方のローラ15rを支持する枢支軸15sを回動ピンとして利用して回動する係止部材18a、18b(ハンドリフタとしても作用する)が設けられており、左部11a及び右部11bの各々の上方部の内面側に、係止部材18a、18bのフック部18fが係止可能な被係止部としての棚部19a、19bが設けられている。
【0053】
その他、左部11a及び右部11bの各々の上方部に、シャックル31a、31bを介して、フック32a、32bが設けられている。
【0054】
次に、図6乃至図10を参照して、本実施形態のケーブル案内装置1は、係止部材18bのフック部18fが被係止部としての棚部19bに係止されている状態において、当該フック部18fの棚部19bに対する係止状態を所望のタイミングで即時に解除可能な係止解除機構50を備えている。
【0055】
具体的には、係止解除機構50は、正面側のローラ保護壁12bの上方部を貫通するワイヤ51を介して作動するようになっている。ローラ保護壁12bより前方側の領域では、ワイヤ51はワイヤ保護管52によって内部を摺動可能に被覆されている。
【0056】
一方、右部11bの上方内側には、前後方向に延びるガイド溝11gが設けられていて(図10参照)、当該ガイド溝11g内を往復移動可能にスライダ部材53が設けられている。
【0057】
スライダ部材53には、雄ネジ部が突設されており、当該雄ネジ部と螺合するナット54を介して、ワイヤ51がスライダ部材53に固定されている。
【0058】
そして、スライダ部材53上に、当該スライダ部材53の前方側(図6図7及び図9での左方側、図8及び図10での上方側)への移動によってフック部18fを棚部19b上から押し出すように作用可能な押出片55が設けられている。
【0059】
本実施形態の押出片55は、スライダ部材53上に固定された細板状の本体部55mと、当該本体部55mの後方端(図6図7及び図9での右方端、図8及び図10での下方端)から斜め後方側に延出する傾斜部55tと、当該本体部55mの前方端(図6図7及び図9での左方端、図8及び図10での上方端)から当該本体部55mに垂直に延出する基端部55pと、を有しており、スライダ部材53の前方側への移動によって、傾斜部55tがフック部18fを棚部19b上から押し出すように作用可能となっている。
【0060】
また、基端部55p及び傾斜部55tには、ワイヤ貫通用の孔55hが設けられていて、ワイヤ51はそれらの孔55hを挿通されて、押出片55よりも後方側(図6図7及び図9での右方側、図8及び図10での下方側)の位置でナット54によって固定されている。
【0061】
そして、本実施形態では、押出片55の基端部55pとローラ保護壁12bとの間に、コイルバネ56が設けられている。当該コイルバネ56は、ワイヤ51による作用が解除された時に、押出片55及びスライダ部材53を後方側に移動させて元の位置に復帰させるように作用可能となっている。
【0062】
また、詳細な図示は省略されるが、本実施形態のケーブル案内装置1は、係止部材18aのフック部18fが被係止部としての棚部19aに係止されている状態において、当該フック部18fの棚部19aに対する係止状態を所望のタイミングで即時に解除可能とする係止解除機構50をも備えている。係止部材18a用の係止解除機構50は、前述された係止部材18b用の係止解除機構50と左右対称に配置されている。
【0063】
[ケーブル案内装置1へのケーブルのセット]
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0064】
図3を参照して、まず、ロックレバー23が引かれてバックル部材21のロック機能が解除された状態で、バックル部材21の右端側がローラ保護壁12bから離される。これに伴って、コ字状のアーム部材24とアームフック部材27との係合が解除される。その後、コ字状のアーム部材24を右方に回動して退避させることによって、ケーブル案内装置1の前面側が開放される。
【0065】
次に、図5を参照して、一対の移動体15a、15bの各々に設けられた係止部材18a、18bが、ハンドリフタとして手動で引き上げられる。これに伴って、一対の移動体15a、15bが、ローラ15rの転動によって一対の傾斜面Sに沿って上昇され、一対の弾性体16a、16bの間隔が広げられる。
【0066】
一対の係止部材18a、18bは、更に回動ピンとしての枢支軸15sを介して外側へと回動されて、各々のフック部18fが左部11a及び右部11bの各々の上方部の被係止部としての棚部19a、19bに係止される。これに伴って、一対の弾性体16a、16bの間隔を広げた状態が、保持される。
【0067】
このような状態としたケーブル案内装置1を、フック32a、32bを用いて、保持対象のケーブルCの近傍に吊下げる。そして、落とし込みの対象であるケーブルCが一対の弾性体16a、16bの間を通過するように位置調整される。(本実施形態のケーブル案内装置1のセットの際には、係止部材18a、18bのフック部18fと被係止部としての棚部19a、19bとの間の係合は解除されない。)
【0068】
その後、再び図3を参照して、コ字状のアーム部材24を左方に回動してから、バックル部材21を右方に回動することによって、コ字状のアーム部材24がアームフック部材27と係合する。これにより、ケーブル案内装置1の前面側が閉鎖される。
【0069】
ケーブル案内装置1からケーブルCを取り外す作業についても、概ね前述と同様の手順に従って実施され得る。
【0070】
[ケーブル案内装置1によるケーブル保持機能]
ケーブル落とし込み作業を中断する必要が生じた時には、左右一対の係止解除機構50によって、係止部材18a、18bの被係止部(棚部)19a、19bに対する係止状態が即時に解除される。
【0071】
具体的には、ケーブル落とし込み作業を中断する必要が生じた時、例えば作業者によって公知のワイヤ引張機構(例えば自転車のブレーキ機構等)が作動され、係止解除機構50のワイヤ51がワイヤ保護管52内で前方側に引っ張られる。これにより、左部11a及び右部11bの各ガイド溝11g(図10参照)内で、スライダ部材53が前方側に摺動移動する。
【0072】
このスライダ部材53の前方側への移動に伴って、当該スライダ部材53に固定された押出片55の傾斜部55tが、フック部18fを棚部19a、19b上から押し出すように作用する(図9参照)。
【0073】
フック部18fが棚部19a、19b上から押し出されると、一対の傾斜面S上をそれぞれ移動可能な一対の移動体15a、15bが、重力によって直ちに下方へと移動する。これによって、当該一対の移動体15a、15bの対向面上に互いに対向配置された一対の弾性体16a、16bによって、ケーブルCを即時に確実に把持することができる。
【0074】
一旦、一対の弾性体16a、16bがケーブルCを把持すると、当該ケーブルCの落とし込みに伴って、当該ケーブルCを把持した一対の弾性体16a、16bも当該ケーブルCと一緒になって更に落下しようとする。この作用に応じて、一対の弾性体16a、16bを保持する一対の移動体15a、15bが、一対の傾斜面S上をそれぞれ更に下方側へ移動しようとする。そして、この移動動作は、一対の弾性体16a、16bの間隔を更に狭めるように作用するため、結果として一対の弾性体16a、16bがケーブルCを保持する力が瞬時に増大し、ケーブルCの更なる落とし込みが効果的に防止される。
【0075】
この更なる落とし込み防止のためのケーブル保持力は、ケーブルCの太さによって大きく影響されることがない。従って、ケーブルCの太さの如何に拘わらず、更なる落とし込み防止のためのケーブル保持力を十分なものとして保証することができ、結果として広範囲なケーブル太さに対応することができる(ケーブル太さの上限は、一対の傾斜面の間の離間距離によって規定される)。
【0076】
保持可能なケーブルCの太さの最大値は、一対の傾斜面Sの間の最小離間距離である略90mm以下(例えばφ85)に規定される(図11参照)。一方、保持可能なケーブルCの太さの最小値は、対向配置された一対の弾性体16a、16bの対向面の形状にもよるが、図3に示すように僅かに中央が凹んだ形状である場合には、φ15程度である(図12参照)。
【0077】
[係止解除機構50のリセット動作]
前述のように、本実施形態では、押出片55の基端部55pとローラ保護壁12bとの間に、コイルバネ56が設けられている。当該コイルバネ56は、ワイヤ51の引っ張りによってスライダ部材53が前方側に摺動移動される時、圧縮される(図9参照)。一方、当該コイルバネ56は、ワイヤ51による作用が解除されると、前記圧縮状態から解放されて、押出片55及びスライダ部材53を後方側に移動させて元の位置に復帰させるように作用する。これにより、係止解除機構50のリセット動作が自動的になされることになり、作業性が高い。
【0078】
[ケーブル案内装置1の効果のまとめ]
以上のように、本実施形態のケーブル案内装置1によれば、上層階にケーブルドラムを置き、低層階にケーブルCを落とし込む作業において、係止部材18a、18bのフック部18fが被係止部としての棚部19a、19bに係止されている状態で当該ケーブル案内装置1を使用することにより、ケーブルCを円滑に案内することができる一方で、ケーブル落とし込み作業を中断する必要が生じた時には、係止解除機構50によって係止部材18a、18bの被係止部19a、19bに対する係止状態が即時に解除され得て、一対の傾斜面S上をそれぞれ移動可能な一対の移動体15a、15bが重力によって下方へと移動し得て、当該一対の移動体15a、15bの対向面上に互いに対向配置された一対の弾性体16a、16bによってケーブルCを即時に確実に把持することができる。
【0079】
そして、一対の弾性体16a、16bがケーブルCを一旦把持すると、当該ケーブルCの落とし込みに伴って、当該ケーブルCを把持した一対の弾性体16a、16bも当該ケーブルCと一緒になって更に落下しようとする。この作用に応じて、一対の弾性体16a、16bを保持する一対の移動体15a、15bが、一対の傾斜面S上をそれぞれ更に下方側へ移動しようとする。この移動動作は、一対の弾性体16a、16bの間隔を更に狭めるように作用するため、結果として一対の弾性体16a、16bがケーブルCを保持する力が瞬時に増大し、ケーブルCの更なる落とし込みが効果的に防止される。
【0080】
この更なる落とし込み防止のためのケーブル保持力は、ケーブルCの太さによって大きく影響されることがない。従って、ケーブルCの太さの如何に拘わらず、更なる落とし込み防止のためのケーブル保持力を十分なものとして保証することができ、結果として広範囲なケーブル太さに対応することができる(ケーブル太さの上限は、一対の傾斜面Sの間の離間距離によって規定される)。
【0081】
また、本実施形態のケーブル案内装置1の係止部材18a、18bは、枢支軸15sを介して回動するようになっていて、フック部18fを有しており、被係止部19a、19bは、フック部18fが引っ掛けられることで当該フック部18fを係止できる棚部を有しており、係止解除機構50は、フック部18fが棚部19a、19b上に係止されている状態において、フック部18fを棚部19a、19b上から押し出すことによってフック部18の棚部19a、19bに対する係止状態を所望のタイミングで即時に解除可能となっている。
【0082】
これにより、係止部材18a、18bを被係止部19a、19bに係止させる操作(例えば手動操作)が容易である一方で、係止解除機構50の構成ないし配置も容易である。
【0083】
特に、本実施形態の係止解除機構50は、左部11aまたは右部11bにおいて一方向に移動可能に設けられたスライダ部材53と、スライダ部材53上に設けられて当該スライダ部材53の前記一方向への移動によってフック部18fを棚部19a、19b上から押し出すように作用可能な押出片55と、スライダ部材53に接続され当該スライダ部材53を前記一方向へ移動させるように作用可能なワイヤ51と、を有している。
【0084】
これにより、ワイヤ51の作用を介してスライダ部材53を前記一方向へ移動させることにより、フック部18fを棚部19a、19b上から押し出すように押出片55を即時に作用させることができ、ケーブルCを即時に確実に把持することができる。
【0085】
更に、本実施形態の係止解除機構50は、スライダ部材53が左部11aまたは右部11bにおいて往復移動可能に設けられており、スライダ部材53に接続されワイヤ51による作用が解除された時に当該スライダ部材53を逆方向に移動させて元の位置に復帰させるように作用可能なコイルバネ56(復帰バネ)が設けられている。
【0086】
これにより、ワイヤ51による作用が解除された後、コイルバネ56の作用によってスライダ部材53が元の位置に復帰するため、係止解除機構50のリセット動作が自動的になされることになり、作業性が高い。
【0087】
更に、本実施形態においては、係止部材18a、18bを回動させる回動ピンを、ローラ15rを回動可能に支持する枢支軸15sと共用させることによって、部品点数の増大が抑制されている。
【0088】
その他、左部11a及び右部11bの前面側に可動部材を覆う開閉機構20が設けられているため、作業者の危険が更に低減され、セットしたケーブルCの不所望の抜けもより確実に防止される。
【0089】
また、本実施形態の開閉機構20は、右部11b(左部及び右部の一方の一例)に回動可能に設けられたロック機能付きのバックル部材21と、左部11a(左部及び右部の他方の一例)に設けられたアームフック部材27と、バックル部材21に回動可能に設けられたコ字状のアーム部材24と、を有していて、アーム部材24は、バックル部材21のロック機能開放時にはバックル部材21及び当該アーム部材24を回動することでアームフック部材27との着脱が可能である一方、バックル部材21のロック機能稼働時にはアームフック部材27に固定されるようになっている。このため、開閉機構20の開閉動作が極めて簡単かつ安全である。
【0090】
また、本実施形態の一対の移動体15a、15bの各々は、一対の傾斜面Sの各々の上を転動する前後1組で上下方向に離間した2組のローラによって傾斜面S上を移動する。これにより、移動体15a、15bの傾斜面S上の移動は極めて円滑に安定的になされる。
【0091】
また、本実施形態の一対の移動体15a、15bは、一対の傾斜面S上を同時に同方向に同速度で移動可能であるように、同期リンク17を介して接続されている。これにより、ケーブルCを把持する一対の弾性体16a、16bも同時に同方向に同速度で移動するため、ケーブルCの落下防止作用をより安定的に機能させることができる。
【0092】
[ケーブル案内装置101の構成]
次に、本発明の変形実施形態のケーブル案内装置101について説明する。本実施形態のケーブル案内装置101は、横置き状態での使用が想定されている。
【0093】
図13は、本実施形態のケーブル案内装置101の斜視図である。前述のケーブル案内装置1の背面部13は、略台形状で、左部11aより左側にはみ出ておらず、右部11bより右側にはみ出ていない。これに対して、本実施形態のケーブル案内装置101では、図13に示すように、背面部113が矩形板状で、左部11aより左側にはみ出ていて、且つ、右部11bより右側にはみ出ている。また、背面部113は、上下方向(図13の左右方向)の各々においても、左部11a及び右部11bよりも大きくなっている。
【0094】
そして、背面部113の背面側(図13の下側)の四隅の各々に、自在キャスター110が設けられている。
【0095】
背面部113の上方(図13の左方)の正面側(図13の上側)には、上方正面側ケーブル案内ローラ121及び上方背面側ケーブル案内ローラ122が対となって設けられている。また、上方背面側ケーブル案内ローラ122の少し下方側に、補助背面側ケーブル案内ローラ123が補助的に設けられている。更に、背面部113の下方(図13の右方)の正面側(図13の上側)には、下方背面側ケーブル案内ローラ124が設けられている。
【0096】
また、本実施形態のケーブル案内装置101は、横置き状態での使用が想定されていて、すなわち、移動体15a、15bの重力による移動作用を利用することができない。そこで、重力の作用を代替するべく、弾性バネの一例としてのコイルスプリング150が設けられている。
【0097】
具体的には、図14に示すように、枢支ピン17pが、回動片140の一端部をも回動可能に支持しており、当該回動片140の他端部の接続孔140hと、背面部113の正面側に固定された固定ピン113pと、がコイルスプリング150によって接続されている。これにより、コイルスプリング150は、同期リンク17を介して、一対の傾斜面S上の一対の移動体15a、15bを、一対の弾性体16a、16bの間隔を狭める方向に付勢している。
【0098】
図14(a)は、何ら外力が適用されていない状態(コイルスプリング150の基本状態)を示しており、図14(b)は、係止部材18a、18bがハンドリフタとして引き上げられて係止部材18a、18bのフック部18fが被係止部19a、19bに係止された状態(コイルスプリング150の伸長状態)を示しており、図14(c)は、係止解除機構50によって係止部材18a、18bの被係止部19a、19bに対する係止状態が解除されて、例えばφ85のケーブルCを把持した状態(コイルスプリング150の前記基本状態と前記伸長状態との間の状態)を示している。図14(a)~図14(c)に示すように、コイルスプリング150の左右は、保護壁160a、160bによって保護されている。
【0099】
図14に示すように、横置き状態で使用されるケーブル案内装置101は、係止解除機構50によって係止部材18a、18bの被係止部19a、19bに対する係止状態が解除される際、一対の傾斜面S上の一対の移動体15a、15bがコイルスプリング150の付勢力(本実施形態の場合、復元力)によって一対の弾性体16a、16bの間隔を狭める方向に移動し得て、当該一対の弾性体16a、16bによってケーブルCを即時に確実に把持することができる。すなわち、コイルスプリング150による付勢力(復元力)の作用によって、重力の作用を代替することができる。
【0100】
本実施形態のケーブル案内装置101のその他の構成は、図1乃至図12を用いて説明したケーブル案内装置1と略同様である。図13乃至図18において、ケーブル案内装置1と同様の部分については、同様の符号を付している。また、ケーブル案内装置1と同様の部分については、詳しい説明を省略する。
【0101】
[ケーブル案内装置101へのケーブルのセット]
次に、ケーブル案内装置101の作用について説明する。
【0102】
ケーブル案内装置1と同様に、図3を参照して、まず、ロックレバー23が引かれてバックル部材21のロック機能が解除された状態で、バックル部材21の右端側がローラ保護壁12bから離される。これに伴って、コ字状のアーム部材24とアームフック部材27との係合が解除される。その後、コ字状のアーム部材24を右方に回動して退避させることによって、ケーブル案内装置101の前面側が開放される。
【0103】
次に、図5を参照して、一対の移動体15a、15bの各々に設けられた係止部材18a、18bが、コイルスプリング150の付勢力(本実施形態の場合、復元力)に抗して、ハンドリフタとして手動で引き上げられる。これに伴って、一対の移動体15a、15bが、ローラ15rの転動によって一対の傾斜面Sに沿って上昇され、一対の弾性体16a、16bの間隔が広げられる。
【0104】
一対の係止部材18a、18bは、更に回動ピンとしての枢支軸15sを介して外側へと回動されて、各々のフック部18fが左部11a及び右部11bの各々の上方部の被係止部としての棚部19a、19bに係止される。これに伴って、一対の弾性体16a、16bの間隔を広げた状態が、保持される。
【0105】
このような状態としたケーブル案内装置101が、例えば上層階の床上に載置される。そして、落とし込みの対象であるケーブルCが一対の弾性体16a、16bの間(並びに上方正面側ケーブル案内ローラ121と上方背面側ケーブル案内ローラ122との間)を通過するように位置調整される(図17参照)。
【0106】
その後、再び図3を参照して、コ字状のアーム部材24を左方に回動してから、バックル部材21を右方に回動することによって、コ字状のアーム部材24がアームフック部材27と係合する。これにより、ケーブル案内装置101の前面側が閉鎖される。
【0107】
ケーブル案内装置101からケーブルCを取り外す作業についても、概ね前述と同様の手順に従って実施され得る。
【0108】
[自在キャスター110の作用]
ケーブル案内装置101では、背面部113の背面側の四隅に、自在キャスター110が設けられている。これにより、図15に示すように、ケーブルドラムからのケーブル引出位置(またはケーブル巻取位置)に当該ケーブル案内装置101を追従させることが容易である。
【0109】
[ケーブル案内装置101によるケーブル保持機能]
ケーブル落とし込み作業を中断する必要が生じた時には、左右一対の係止解除機構50によって、係止部材18a、18bの被係止部(棚部)19a、19bに対する係止状態が即時に解除される。
【0110】
具体的には、ケーブル落とし込み作業を中断する必要が生じた時、例えば作業者によって公知のワイヤ引張機構(例えば自転車のブレーキ機構等)が作動され、係止解除機構50のワイヤ51がワイヤ保護管52内で前方側に引っ張られる。これにより、左部11a及び右部11bの各ガイド溝11g(図10参照)内で、スライダ部材53が前方側に摺動移動する。
【0111】
このスライダ部材53の前方側への移動に伴って、当該スライダ部材53に固定された押出片55の傾斜部55tが、フック部18fを棚部19a、19b上から押し出すように作用する(図9参照)。
【0112】
フック部18fが棚部19a、19b上から押し出されると、一対の傾斜面S上をそれぞれ移動可能な一対の移動体15a、15bが、コイルスプリング150の付勢力(復元力)によって直ちに下方(図13の右方)へと移動する。これによって、当該一対の移動体15a、15bの対向面上に互いに対向配置された一対の弾性体16a、16bによって、ケーブルCを即時に確実に把持することができる。
【0113】
一旦、一対の弾性体16a、16bがケーブルCを把持すると、当該ケーブルCの落とし込みに伴って、当該ケーブルCを把持した一対の弾性体16a、16bも当該ケーブルCと一緒になって更に落下しようとする。この作用に応じて、一対の弾性体16a、16bを保持する一対の移動体15a、15bが、一対の傾斜面S上をそれぞれ更に下方側へ移動しようとする。そして、この移動動作は、一対の弾性体16a、16bの間隔を更に狭めるように作用するため、結果として一対の弾性体16a、16bがケーブルCを保持する力が瞬時に増大し、ケーブルCの更なる落とし込みが効果的に防止される。
【0114】
この更なる落とし込み防止のためのケーブル保持力は、ケーブルCの太さによって大きく影響されることがない。従って、ケーブルCの太さの如何に拘わらず、更なる落とし込み防止のためのケーブル保持力を十分なものとして保証することができ、結果として広範囲なケーブル太さに対応することができる(ケーブル太さの上限は、一対の傾斜面の間の離間距離によって規定される)。
【0115】
保持可能なケーブルCの太さの最大値は、一対の傾斜面Sの間の最小離間距離である略90mm以下(例えばφ85)に規定される(図14(c)参照)。ケーブルCとしては、複数のケーブル要素の撚線からなるケーブルが使用されてもよい。そのようなケーブルを把持した状態の平面図を、図16に示す。
【0116】
[係止解除機構50のリセット動作]
ケーブル案内装置1と同様、本実施形態のケーブル案内装置101でも、押出片55の基端部55pとローラ保護壁12bとの間に、コイルバネ56が設けられている。当該コイルバネ56は、ワイヤ51の引っ張りによってスライダ部材53が前方側に摺動移動される時、圧縮される(図9参照)。一方、当該コイルバネ56は、ワイヤ51による作用が解除されると、前記圧縮状態から解放されて、押出片55及びスライダ部材53を後方側に移動させて元の位置に復帰させるように作用する。これにより、係止解除機構50のリセット動作が自動的になされることになり、作業性が高い。
【0117】
[ケーブル案内装置101の効果のまとめ]
以上のように、横置き状態で使用される本実施形態のケーブル案内装置101によれば、上層階にケーブルドラムを置き、低層階にケーブルCを落とし込む作業において、係止部材18a、18bのフック部18fが被係止部としての棚部19a、19bに係止されている状態で当該ケーブル案内装置1を使用することにより、ケーブルCを円滑に案内することができる一方で、ケーブル落とし込み作業を中断する必要が生じた時には、係止解除機構50によって係止部材18a、18bの被係止部19a、19bに対する係止状態が即時に解除され得て、一対の傾斜面S上をそれぞれ移動可能な一対の移動体15a、15bがコイルスプリング150の付勢力(復元力)によって下方へと移動し得て、当該一対の移動体15a、15bの対向面上に互いに対向配置された一対の弾性体16a、16bによってケーブルCを即時に確実に把持することができる。
【0118】
そして、一対の弾性体16a、16bがケーブルCを一旦把持すると、当該ケーブルCの落とし込みに伴って、当該ケーブルCを把持した一対の弾性体16a、16bも当該ケーブルCと一緒になって更に落下しようとする。この作用に応じて、一対の弾性体16a、16bを保持する一対の移動体15a、15bが、一対の傾斜面S上をそれぞれ更に下方側へ移動しようとする。この移動動作は、一対の弾性体16a、16bの間隔を更に狭めるように作用するため、結果として一対の弾性体16a、16bがケーブルCを保持する力が瞬時に増大し、ケーブルCの更なる落とし込みが効果的に防止される。
【0119】
この更なる落とし込み防止のためのケーブル保持力は、ケーブルCの太さによって大きく影響されることがない。従って、ケーブルCの太さの如何に拘わらず、更なる落とし込み防止のためのケーブル保持力を十分なものとして保証することができ、結果として広範囲なケーブル太さに対応することができる(ケーブル太さの上限は、一対の傾斜面Sの間の離間距離によって規定される)。
【0120】
その他、段落0081~0091で説明したケーブル案内装置1の作用効果が、本実施形態のケーブル案内装置101においても得られる。
【0121】
[ケーブル案内装置101の他の使用態様]
横置き状態のケーブル案内装置101は、引き上げ対象のケーブルCに対しても使用可能である(図18参照)。
【0122】
この場合には、引き上げの対象であるケーブルCが一対の弾性体16a、16bの間(並びに上方正面側ケーブル案内ローラ121と上方背面側ケーブル案内ローラ122との間)を通過するように位置調整された後、特許文献1のケーブル保持装置と略同様に、係止部材18a、18bのフック部18fと被係止部である棚部19a、19bとの間の係合が手動で解除され、当該係止部材18a、18bは、コイルスプリング150の付勢力(復元力)を利用しつつ、手動でゆっくりと下降される。そして、一対の弾性体16a、16bが、保持対象のケーブルCに当接する。
【0123】
その後、ケーブル案内装置101に保持されていたケーブルCが、事故等の発生によって、例えばケーブル案内装置101よりも上方部位において引き上げ力を失った場合、ケーブルCは重力によって落下しようとする。この時、当該ケーブルCを把持していた一対の弾性体16a、16bも、当該ケーブルCとの間で作用していた摩擦力のため、当該ケーブルCと一緒になって落下しようとする。
【0124】
この作用に応じて、一対の弾性体16a、16bを保持する一対の移動体15a、15bが、一対の傾斜面S上をそれぞれ下方側へ移動しようとする。そして、この移動動作は、一対の弾性体16a、16bの間隔を狭めるように作用するため、結果として一対の弾性体16a、16bがケーブルCを保持する力が瞬時に増大し、ケーブルCの落下が効果的に防止される。
【0125】
この落下防止のためのケーブル保持力は、ケーブルCの落下前の把持状態(例えば弾性体16a、16bの対向面間の距離、すなわち、弾性体16a、16bとケーブルCとの当接面間の距離)によって大きく影響されることがない。
【0126】
以上の通り、引き上げ対象のケーブルCに対して横置き状態のケーブル案内装置101が使用される場合、コイルスプリング150が、同期リンク17を介して、一対の傾斜面S上の一対の移動体15a、15bを、一対の弾性体16a、16bの間隔を狭める方向に付勢しているため、当該ケーブルCの引き上げ作業に異常が生じた時(例えばケーブルCの引き上げ力が喪失された時)、一対の傾斜面S上の一対の移動体15a、15bが前記付勢力によって一対の弾性体16a、16bの間隔を狭める方向に移動し得て、当該一対の弾性体16a、16bによってケーブルCを即時に確実に把持することができる。
【0127】
[係止部材18a、18b(ないしフック部18f)の片側省略態様]
以上の各実施形態においては、一対の移動体15a、15bの各々に、回動ピンとしての枢支軸15sを介して回動する係止部材18a、18bが設けられており、左部11a及び右部11bの各々の上方部に、各係止部材18a、18bが係止可能な被係止部19a、19bが設けられている。
【0128】
しかしながら、一対の移動体15a、15bは、一対の傾斜面S上を同時に同方向に同速度で移動可能であるように、同期リンク17を介して接続されているため、係止部材18a、18b(及び被係止部材19a、19b)の一方を省略することが可能である。
【0129】
すなわち、一対の移動体15a、15bの少なくとも一方に、回動ピンを介して回動する係止部材18a(または18b)が設けられて、左部11a及び右部11bの少なくとも一方の上方部に、係止部材18a(または18b)が係止可能な被係止部19a(または19b)が設けられていれば、機能的に足りる。
【0130】
この場合には、係止解除機構50の一方も、対応して省略されることになる。
【0131】
あるいは、ハンドリフタ(としての機能)を左右両側に備えるべく、係止部材18a、18bは左右両側に設けつつ、それらのフック部18fを一方のみに設けておく(一方を省略する)という態様も好適である。この場合も、省略された方のフック部18fに対応する係止解除機構50が、対応して省略されることになる。
【符号の説明】
【0132】
1 ケーブル案内装置
11a 左部
11b 右部
11g ガイド溝
11h 取っ手
12a、12b ローラ保護壁
13 背面部
13h 取っ手
15a、15b 移動体
15r ローラ
15s 枢支軸
16a、16b 弾性体(ゴムバッド)
17 同期リンク
17p、17a、17b 枢支ピン
18a、18b 係止部材
18f フック部
19a、19b 被係止部(棚部)
20 開閉機構
21 バックル部材
22 枢支ピン
23 ロックレバー
24 コ字状のアーム部材
25 回動ピン
27 アームフック部材
31a、31b シャックル
32a、32b フック
50 係止解除機構
51 ワイヤ
52 ワイヤ保護管
53 スライダ部材
54 ナット
55 押出片
55h 孔
55m 本体部
55p 基端部
55t 傾斜部
56 コイルバネ
101 ケーブル案内装置
110 自在キャスター
113 背面部
113p 固定ピン
121 上方正面側ケーブル案内ローラ
122 上方背面側ケーブル案内ローラ
123 補助背面側ケーブル案内ローラ
124 下方背面側ケーブル案内ローラ
140 回動片
140h 接続孔
150 コイルスプリング
160a、160b 保護壁
C ケーブル
S 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
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