(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170890
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20221104BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20221104BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20221104BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20221104BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
H01L29/80 L
H01L29/44 P
H01L21/90 N
H01L29/80 H
H01L29/44 S
H01L21/88 T
H01L29/78 301B
H01L29/78 301W
H01L29/78 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077169
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 菜緒子
【テーマコード(参考)】
4M104
5F033
5F102
5F140
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104BB02
4M104BB05
4M104BB09
4M104BB17
4M104CC01
4M104CC03
4M104CC05
4M104DD03
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4M104EE03
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4M104EE16
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4M104FF02
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4M104GG09
4M104GG12
4M104HH20
5F033GG02
5F033HH13
5F033JJ13
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5F033KK13
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5F033NN21
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5F033QQ73
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5F102GJ04
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GK08
5F102GL04
5F102GM04
5F102GM08
5F102GM09
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5F102GS01
5F102GS09
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5F140BA06
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5F140CA10
5F140CC03
5F140CC08
5F140CC13
5F140CE02
(57)【要約】
【課題】動作安定性に優れた高性能の半導体装置を実現する。
【解決手段】平面視で、方向D1に延びるゲート電極20群、ソース電極30群及びドレイン電極40群を含むトランジスタ部2の方向D1の一方側に、ゲート電極20群が繋がり方向D1と直交する方向D2に延びるゲート配線21が配置される。平面視で、トランジスタ部2の方向D1の他方側には、ソース電極30群が繋がり方向D2に延びるソース配線31と、ドレイン電極40群がソース配線31を跨ぐブリッジ配線42で繋がり方向D2に延びるドレイン配線41とが配置される。ソース配線31は、平面視で、トランジスタ部2の方向D2の側に設けられるGNDビア34と接続される。このレイアウトにより、ゲート電極20群の間隔を短縮可能にし、間隔の短縮によってトランジスタ部2の位相差を低減して発振を抑え、半導体装置1Aの動作安定性を高める。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1面に設けられ、平面視で、第1方向に延びる複数のゲート電極、複数のソース電極及び複数のドレイン電極を有するトランジスタ部と、
前記基板の前記第1面に設けられ、平面視で、前記トランジスタ部の前記第1方向の第1側に設けられ、前記第1方向と直交する第2方向に延び、前記複数のゲート電極と接続されるゲート配線と、
前記基板の前記第1面に設けられ、平面視で、前記トランジスタ部の前記第1方向の前記第1側とは反対側の第2側に設けられ、前記第2方向に延び、前記複数のソース電極と接続されるソース配線と、
前記基板の前記第1面に設けられ、平面視で、前記トランジスタ部の前記第1方向の前記第2側であって、前記ソース配線の前記ゲート配線側とは反対側に設けられ、前記第2方向に延びるドレイン配線と、
前記複数のドレイン電極の各々を、前記ソース配線を跨いで前記ドレイン配線と接続する複数のブリッジ配線と、
平面視で、前記トランジスタ部の前記第2方向の第3側及び前記第3側とは反対側の第4側にそれぞれ設けられ、前記ソース配線と接続される第1ビア及び第2ビアと
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
平面視で、前記第1方向に延びる前記複数のソース電極及び前記複数のドレイン電極は、ソース電極とドレイン電極とが前記第1方向と直交する前記第2方向に互いに離間して交互に並ぶように設けられ、
平面視で、前記第1方向に延びる前記複数のゲート電極の各々は、前記第2方向に互いに離間して交互に並ぶ前記複数のソース電極及び前記複数のドレイン電極の、隣り合うソース電極とドレイン電極との間に互いから離間して設けられ、
平面視で、前記複数のソース電極及び前記複数のドレイン電極、並びに前記ソース配線、前記ドレイン配線及び前記複数のブリッジ配線は、前記複数のゲート電極の外側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
平面視で、前記第2方向に延びる前記ソース配線は、前記トランジスタ部の前記第2方向の前記第3側及び第4側にそれぞれ設けられ、前記ゲート配線側に延び、前記第1ビア及び前記第2ビアとそれぞれ接続される第1引き出し部及び第2引き出し部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
平面視で、前記第1引き出し部及び前記第2引き出し部の各々の、前記第1方向の前記ゲート配線側の縁は、前記第1方向に延びる前記ソース電極と前記第2方向において対向する位置に設けられることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
平面視で、前記複数のブリッジ配線は、前記複数のドレイン電極と前記ドレイン配線との間を、前記第1方向に直線的に延びることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
基板の第1面に、平面視で、第1方向に延びる複数のゲート電極、複数のソース電極及び複数のドレイン電極を有するトランジスタ部を形成する工程と、
前記基板の前記第1面に、平面視で、前記トランジスタ部の前記第1方向の第1側に設けられ、前記第1方向と直交する第2方向に延び、前記複数のゲート電極と接続されるゲート配線を形成する工程と、
前記基板の前記第1面に、平面視で、前記トランジスタ部の前記第1方向の前記第1側とは反対側の第2側に設けられ、前記第2方向に延び、前記複数のソース電極と接続されるソース配線を形成する工程と、
前記基板の前記第1面に、平面視で、前記トランジスタ部の前記第1方向の前記第2側であって、前記ソース配線の前記ゲート配線側とは反対側に設けられ、前記第2方向に延びるドレイン配線を形成する工程と、
前記複数のドレイン電極の各々を、前記ソース配線を跨いで前記ドレイン配線と接続する複数のブリッジ配線を形成する工程と、
平面視で、前記トランジスタ部の前記第2方向の第3側及び前記第3側とは反対側の第4側にそれぞれ設けられ、前記ソース配線と接続される第1ビア及び第2ビアを形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
基板と、
前記基板の第1面に設けられ、平面視で、第1方向に延びる複数のゲート電極、複数のソース電極及び複数のドレイン電極を有するトランジスタ部と、
前記基板の前記第1面に設けられ、平面視で、前記トランジスタ部の前記第1方向の第1側に設けられ、前記第1方向と直交する第2方向に延び、前記複数のゲート電極と接続されるゲート配線と、
前記基板の前記第1面に設けられ、平面視で、前記トランジスタ部の前記第1方向の前記第1側とは反対側の第2側に設けられ、前記第2方向に延び、前記複数のソース電極と接続されるソース配線と、
前記基板の前記第1面に設けられ、平面視で、前記トランジスタ部の前記第1方向の前記第2側であって、前記ソース配線の前記ゲート配線側とは反対側に設けられ、前記第2方向に延びるドレイン配線と、
前記複数のドレイン電極の各々を、前記ソース配線を跨いで前記ドレイン配線と接続する複数のブリッジ配線と、
平面視で、前記トランジスタ部の前記第2方向の第3側及び前記第3側とは反対側の第4側にそれぞれ設けられ、前記ソース配線と接続される第1ビア及び第2ビアと
を含む半導体装置を備えることを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、各々が複数のフィンガーを有するゲート電極、ソース電極及びドレイン電極と、各々の複数のフィンガーがバスラインを介して接続されるゲート端子電極、ソース端子電極及びドレイン端子電極とを備える半導体装置が知られている。この半導体装置に関し、ソース端子電極を、ゲート電極とドレイン端子電極との間に配置する技術が知られている。このほか、ソース電極とソース端子電極とを接続するソースバスラインと、ドレイン電極とドレイン端子電極とを接続するドレインバスラインとを、一方の上に他方をオーバーレイ絶縁層又はエアギャップを介して配置する技術が知られている。
【0003】
また、別の半導体装置に関し、ゲート電極からゲートフィンガーを引き出し、それらを挟みドレイン電極と対向する部分が切り欠かれた馬蹄型状ソース電極を連結するソース電極パスから所定のゲートフィンガー間にソースフィンガーを引き出す技術が知られている。更に、ドレイン電極から、ソース電極パスを空中配線で跨いで、所定のゲートフィンガー間にドレインフィンガーを引き出す技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-183061号公報
【特許文献2】特開平5-211179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フィンガー状の複数のゲート電極(「ゲートフィンガー」とも言う)、複数のソース電極(「ソースフィンガー」とも言う)及び複数のドレイン電極(「ドレインフィンガー」とも言う)を有するトランジスタ部を含む半導体装置では、そのレイアウトや動作条件によっては発振が生じ、動作が不安定になることがある。これを回避する方法の1つとして、複数のゲート電極の間隔を短縮し、トランジスタ部に含まれるトランジスタ素子間で生じるゲート電極部分の位相差を低減する方法が考えられる。
【0006】
ここで、半導体装置には、例えば、複数のゲート電極に繋がるゲート配線及び複数のソース電極に繋がるソース配線をトランジスタ部の一方側に設け、複数のドレイン電極に繋がるドレイン配線をトランジスタ部の他方側に設けるレイアウトが採用される場合がある。この場合、複数のソース電極は、ゲート配線に設けられる複数のゲートパッドと交互になるように配置される複数のソースパッドに、ゲート配線をブリッジ配線で跨ぐ形で接続される。各ソースパッドの位置には、トランジスタ部が形成される基板に設けられる、ソースインダクタンスの低減等に有効とされるグランド(GND)ビアがそれぞれ配置され、各GNDビアと各ソースパッドとが接続される。
【0007】
しかし、このようなレイアウトでは、複数のGNDビア及びそれらに繋がる複数のソースパッド、並びにそれらと交互に配置されるゲートパッドの平面サイズが、半導体装置の性能や製造プロセスの観点から、比較的大きくなる。そのため、複数のソースパッドとブリッジ配線で接続される複数のソース電極の配置可能な位置が制限され、各々と隣り合うように配置される複数のゲート電極の位置が制限されて、複数のゲート電極の間隔を一定値以下に短縮することが難しい。その結果、複数のゲート電極の間隔の短縮により位相差を低減し、位相差による発振を抑えることのできる、動作安定性に優れた高性能の半導体装置が得られないことが起こり得る。
【0008】
1つの側面では、本発明は、動作安定性に優れた高性能の半導体装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、基板と、前記基板の第1面に設けられ、平面視で、第1方向に延びる複数のゲート電極、複数のソース電極及び複数のドレイン電極を有するトランジスタ部と、前記基板の前記第1面に設けられ、平面視で、前記トランジスタ部の前記第1方向の第1側に設けられ、前記第1方向と直交する第2方向に延び、前記複数のゲート電極と接続されるゲート配線と、前記基板の前記第1面に設けられ、平面視で、前記トランジスタ部の前記第1方向の前記第1側とは反対側の第2側に設けられ、前記第2方向に延び、前記複数のソース電極と接続されるソース配線と、前記基板の前記第1面に設けられ、平面視で、前記トランジスタ部の前記第1方向の前記第2側であって、前記ソース配線の前記ゲート配線側とは反対側に設けられ、前記第2方向に延びるドレイン配線と、前記複数のドレイン電極の各々を、前記ソース配線を跨いで前記ドレイン配線と接続する複数のブリッジ配線と、平面視で、前記トランジスタ部の前記第2方向の第3側及び前記第3側とは反対側の第4側にそれぞれ設けられ、前記ソース配線と接続される第1ビア及び第2ビアとを含む半導体装置が提供される。
【0010】
また、別の態様では、上記のような半導体装置の製造方法、上記のような半導体装置を備える電子装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
1つの側面では、動作安定性に優れた高性能の半導体装置を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】窒化物半導体を用いた半導体装置の一例について説明する図である。
【
図2】半導体装置のレイアウトの一例について説明する図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る半導体装置で得られる効果について説明する図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る半導体装置の構成例について説明する図(その1)である。
【
図6】第1の実施の形態に係る半導体装置の構成例について説明する図(その2)である。
【
図7】第1の実施の形態に係る半導体装置の構成例について説明する図(その3)である。
【
図8】第1の実施の形態に係る半導体装置の構成例について説明する図(その4)である。
【
図9】第1の実施の形態に係る半導体装置の構成例について説明する図(その5)である。
【
図10】第1の実施の形態に係る半導体装置の構成例について説明する図(その6)である。
【
図11】第1の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その1)である。
【
図12】第1の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その2)である。
【
図13】第1の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その3)である。
【
図14】第1の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その4)である。
【
図15】第1の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その5)である。
【
図16】第1の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図(その6)である。
【
図17】第2の実施の形態に係る半導体パッケージの一例について説明する図である。
【
図18】第3の実施の形態に係る力率改善回路の一例について説明する図である。
【
図19】第4の実施の形態に係る電源装置の一例について説明する図である。
【
図20】第5の実施の形態に係る増幅器の一例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
はじめに、半導体装置の例について述べる。
半導体装置の1種として、窒化物半導体を用いたものが知られている。窒化物半導体を用いた半導体装置は、高い飽和電子速度やワイドバンドギャップ等の特徴を利用し、高耐圧、高出力デバイスとしての開発が行われている。例えば、窒化物半導体であるGaN(ガリウムナイトライド)は、そのバンドギャップが3.4eVであり、Si(シリコン)のバンドギャップである1.1eV及びGaAs(ガリウムヒ素)のバンドギャップである1.4eVよりも大きく、高い絶縁破壊電界を有する。そのため、GaN等の窒化物半導体は、高電圧動作且つ高出力の半導体装置、例えば、増幅器、電源装置、通信装置、レーダー装置等に適用される半導体装置の材料として有望である。窒化物半導体を用いた半導体装置としては、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor;FET)、例えば、高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor;HEMT)についての報告が数多くなされている。
【0014】
図1は窒化物半導体を用いた半導体装置の一例について説明する図である。
図1には半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図1に示す半導体装置1は、HEMTの一例である。半導体装置1は、下地基板11及びその上に設けられる半導体層12を含む基板10を備える。半導体装置1は更に、基板10上に設けられるゲート電極20、ソース電極30及びドレイン電極40を備える。
【0015】
下地基板11には、SiC(シリコンカーバイド)、Si、サファイヤ、GaN、AlN(アルミニウムナイトライド)、ダイヤモンド等の材料が用いられる。下地基板11には、1種の材料の単層構造が用いられてもよいし、1種又は2種以上の材料の積層構造が用いられてもよい。
【0016】
半導体層12には、GaN、AlGaN(アルミニウムガリウムナイトライド)等の窒化物半導体が用いられる。半導体層12は、例えば、
図1に示すように、チャネル層12a、バリア層12b及びキャップ層12cを含む。
【0017】
チャネル層12aは、下地基板11上に設けられる。チャネル層12aには、例えば、GaNが用いられる。チャネル層12aには、このほか、AlGaN、インジウムガリウムナイトライド(InGaN)、インジウムアルミニウムガリウムナイトライド(InAlGaN)等の窒化物半導体が用いられてもよい。チャネル層12aは、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。チャネル層12aは、有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;MOCVD、若しくはMetal Organic Vapor Phase Epitaxy;MOVPE)法、又は分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy;MBE)法を用いて、下地基板11上に形成される。チャネル層12aは、「電子走行層」とも称される。
【0018】
バリア層12bは、チャネル層12a上に設けられる。バリア層12bには、例えば、AlGaNが用いられる。このほか、バリア層12bには、インジウムアルミニウムナイトライド(InAlN)、InAlGaN、AlN等の窒化物半導体が用いられてもよい。バリア層12bは、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。バリア層12bは、MOVPE法等を用いて、チャネル層12a上に形成される。バリア層12bは、「電子供給層」とも称される。
【0019】
ここで、チャネル層12a及びバリア層12bには、バンドギャップの異なる窒化物半導体が用いられる。チャネル層12a上にそれよりもバンドギャップの大きい窒化物半導体を用いたバリア層12bが設けられることで、バンド不連続を有するヘテロ接合構造が形成される。フェルミ準位がチャネル層12aとバリア層12bとの接合界面の伝導帯よりも上(高エネルギー側)となるようにすることで、接合界面近傍のチャネル層12aに二次元電子ガス(Two Dimensional Electron Gas;2DEG)101が生成される。バリア層12bの窒化物半導体の自発分極、及びチャネル層12aの窒化物半導体との格子定数差に起因したひずみによってバリア層12bに発生するピエゾ分極により、バリア層12bとの接合界面近傍のチャネル層12aに2DEG101が生成される。チャネル層12a及びバリア層12bには、それらの接合界面近傍に、このような2DEG101が生成されるような組み合わせの窒化物半導体が用いられる。
【0020】
キャップ層12cは、バリア層12b上に設けられる。キャップ層12cには、ドープ(p型若しくはn型)又はノンドープのGaN等の窒化物半導体が用いられる。キャップ層12cは、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。キャップ層12cは、バリア層12b等を保護する機能を有する。このほか、キャップ層12cには、チャネル層12aの2DEG101の濃度を変調する機能を持たせてもよい。
【0021】
尚、ここでは図示を省略するが、下地基板11とチャネル層12aとの間には、初期層としてAlN等の層が設けられてもよく、バッファ層としてAlGaN等の層が設けられてもよく、Fe(鉄)をドーピングしたGaN等の層が設けられてもよい。このほか、下地基板11とチャネル層12aとの間には、量子井戸(量子閉じ込め)構造を実現するためのバリア層(バックバリア層)としてAlNやAlGaN等の層が設けられてもよい。チャネル層12aとバリア層12bとの間には、スペーサ層としてAlGaN、InGaN等の層が設けられてもよい。半導体層12には、チャネル層12a、バリア層12b及びキャップ層12cのほか、このような初期層、バッファ層、スペーサ層、バックバリア層等のうちの1種又は2種以上が含まれてもよい。
【0022】
ゲート電極20は、半導体層12上に設けられる。ゲート電極20には、金属を用いることができる。例えば、ゲート電極20として、Ni(ニッケル)とその上に設けられるAu(金)とを有する金属が設けられる。ゲート電極20は、蒸着法等を用いて形成される。ゲート電極20は、例えば、ショットキー電極として機能する。ゲート電極20と半導体層12との間には、酸化物、窒化物、酸窒化物等が用いられたゲート絶縁膜(図示せず)が介在されてもよく、これにより、MIS(Metal Insulator Semiconductor)型ゲート構造が実現される。
【0023】
ソース電極30及びドレイン電極40は、ゲート電極20の両側の半導体層12上、この例ではキャップ層12c上に、ゲート電極20から離間されて、設けられる。ソース電極30及びドレイン電極40には、金属を用いることができる。例えば、ソース電極30及びドレイン電極40として、Ta(タンタル)とその上に設けられるAl(アルミニウム)とを有する金属が設けられる。ソース電極30及びドレイン電極40は、蒸着法等を用いて形成される。ソース電極30及びドレイン電極40は、オーミック電極として機能する。ソース電極30及びドレイン電極40は、オーミック電極として機能すれば、キャップ層12cに限らず、バリア層12bと接続されてもよいし、バリア層12bを貫通してチャネル層12aと接続されてもよい。半導体層12のソース電極30及びドレイン電極40が接続される部位には、n型GaNやn型AlGaN等の窒化物半導体を用いたコンタクト層(再成長層)が設けられてもよい。
【0024】
半導体装置1の動作時には、ソース電極30とドレイン電極40との間に所定の電圧が供給され、ゲート電極20に所定のゲート電圧が供給される。ソース電極30とドレイン電極40との間のチャネル層12aに2DEG101の電子が輸送されるチャネルが形成され、半導体装置1のトランジスタ機能が実現される。
【0025】
ところで、上記のようなHEMTを備える半導体装置は、例えば、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極をそれぞれ複数のフィンガー状とし、それらを基板上に設けるレイアウトとされる場合がある。このようなレイアウトの一例を
図2に示す。
【0026】
図2は半導体装置のレイアウトの一例について説明する図である。
図2には半導体装置の一例の要部平面図を模式的に示している。
例えば、
図2に示す半導体装置100は、フィンガー状の複数のゲート電極120(ゲートフィンガー)、複数のソース電極130(ソースフィンガー)及び複数のドレイン電極140(ドレインフィンガー)を有する。フィンガー状のゲート電極120群、ソース電極130群及びドレイン電極140群は、方向D1に延びるような形状とされ、基板110に形成される素子分離領域110aによって画定される活性領域110bに設けられる。
【0027】
方向D1に延びるソース電極130群及びドレイン電極140群は、平面視で、ソース電極130とドレイン電極140とが方向D1と直交する方向D2に互いに離間して交互に並ぶように設けられる。方向D1に延びるゲート電極120群の各々は、平面視で、方向D2に交互に並ぶソース電極130群及びドレイン電極140群の、隣り合うソース電極130とドレイン電極140との間に互いから離間して設けられる。各ゲート電極120を挟むソース電極130とドレイン電極140との間の部位が、それぞれトランジスタ素子として機能する。半導体装置100は、このような複数のトランジスタ素子が活性領域110bに形成されたトランジスタ部102を有する。
【0028】
ゲート電極120群は、トランジスタ部102の外側の基板110上、
図2のレイアウトではトランジスタ部102の方向D1の一方側(
図2の左側)の基板110上に設けられるゲート配線121と接続される。ソース電極130群は、トランジスタ部102の外側の基板110上、
図2のレイアウトではトランジスタ部102の方向D1の一方側(
図2の左側)の基板110上に設けられるソース配線131と接続される。ドレイン電極140群は、トランジスタ部102の外側の基板110上、
図2のレイアウトではトランジスタ部102の方向D1の他方側(
図2の右側)の基板110上に設けられるドレイン配線141と接続される。半導体装置100では、トランジスタ部102のトランジスタ素子群を流れるドレイン電流が、トランジスタ部102の出力として、ドレイン電極140群を通じてドレイン配線141から出力される。
【0029】
図2のレイアウトにおいて、ゲート配線121には、所定の間隔で配置される複数のゲートパッド122が設けられる。ソース配線131には、ゲート配線121のゲートパッド122群と交互になるように配置される複数のソースパッド132が設けられる。ソース電極130群は、エアブリッジ配線等のブリッジ配線133により、ゲート配線121を跨ぐ形で、ソースパッド132群と接続される。各ソースパッド132の位置には、基板110に設けられソースインダクタンスの低減等に有効とされるGNDビア134が配置され、各GNDビア134と各ソースパッド132とが接続される。
【0030】
このようなレイアウトでは、GNDビア134群及びそれらと接続されるソースパッド132群、並びにそれらと交互に配置されるゲートパッド122群の平面サイズが、半導体装置100の性能や製造プロセスの観点から、比較的大きくなる。例えば、基板110に形成されるGNDビア134群は、基板110に形成可能なアスペクト比を確保するため、比較的大きな直径となり、そのような比較的大きな直径のGNDビア134群と接続されるソースパッド132群は、比較的大きな平面サイズとされる。また、ゲートパッド122群は、ワイヤボンディングのため、一定値以上の平面サイズとされる。例えば、ソースパッド132群及びゲートパッド122群は、いずれも縦100μm×横100μm以上の平面サイズとされる。
【0031】
このような比較的大きな平面サイズのソースパッド132群及びゲートパッド122群が、
図2に示すように、基板110上に交互に配置される。そのため、ソースパッド132群と接続されるソース電極130群の配置可能な位置が制限されてしまい、ソース電極130群の各々と隣り合うように配置されるゲート電極120群の位置が制限されてしまう。
図2のレイアウトでは、ゲート電極120群の間隔を一定値以下には短縮することが難しく、例えば、隣り合うゲート電極120間の距離を40μm程度以下には短縮することが難しい。
【0032】
ゲート電極120群の間隔を短縮することは、トランジスタ部102のトランジスタ素子間で生じるゲート電極120部分の位相差を低減し、発振による半導体装置100の動作の不安定化を抑える手法として有効と考えられる。しかし、上記のように、
図2のレイアウトでは、ゲート電極120群の間隔を一定値以下には短縮することが難しい。そのため、
図2のレイアウトでは、ゲート電極120群の間隔を短縮することによってトランジスタ素子間の位相差を低減し、位相差による発振を抑えることのできる、動作安定性に優れた高性能の半導体装置100が得られないことが起こり得る。
【0033】
また、
図2のレイアウトでは、ソース電極130が、ゲート配線121をブリッジ配線133で跨いでソースパッド132に接続される。ブリッジ配線133は、
図2に示すように、平面視で、直線的に延びるような形状のほか、T字状に延びるような特異な形状とされる。この場合、平面T字状のような特異な形状のブリッジ配線133は、しわになる等の形成不良が生じる恐れや耐圧の低下が生じる恐れ、形成不良に起因した発振が生じる恐れ等がある。そのため、
図2のレイアウトでは、動作安定性に優れた高性能の半導体装置100が得られないことが起こり得る。
【0034】
尚、このような形成不良を回避するために、ソース配線をゲート電極及びドレイン電極の上に絶縁膜を介して配置する方法も考えられるが、この方法では、ゲート-ソース間容量が増加し、トランジスタ部の利得の低減を招く恐れがある。
【0035】
以上のような点に鑑み、ここでは以下に実施の形態として示すような手法を用い、動作安定性に優れた高性能の半導体装置を実現する。
[第1の実施の形態]
図3は第1の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。
図3には第1の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部平面図を模式的に示している。
【0036】
図3に示す半導体装置1Aは、基板10の一方の面10c上に設けられる、フィンガー状の複数のゲート電極20(ゲートフィンガー)、フィンガー状の複数のソース電極30(ソースフィンガー)、及びフィンガー状の複数のドレイン電極40(ドレインフィンガー)を有する。フィンガー状のゲート電極20群、ソース電極30群及びドレイン電極40群は、方向D1に延びるような形状とされ、基板10に形成される素子分離領域10aによって画定される活性領域10bに設けられる。
【0037】
方向D1に延びるソース電極30群及びドレイン電極40群は、平面視で、ソース電極30とドレイン電極40とが方向D1と直交する方向D2に互いに離間して交互に並ぶように設けられる。方向D1に延びるゲート電極20群の各々は、平面視で、方向D2に交互に並ぶソース電極30群及びドレイン電極40群の、隣り合うソース電極30とドレイン電極40との間に互いから離間して設けられる。ソース電極30群及びドレイン電極40群は、平面視で、ゲート電極20群の外側に設けられ、ゲート電極20群とは重ならない位置に設けられる。各ゲート電極20を挟むソース電極30とドレイン電極40との間の部位が、それぞれトランジスタ素子として機能する。半導体装置1Aは、このような複数のトランジスタ素子が活性領域10bに形成されたトランジスタ部2を有する。
【0038】
半導体装置1Aでは、
図3に示すように、トランジスタ部2の外側であって、トランジスタ部2の方向D1の一方側(
図3の左側)の基板10の面10c上に、方向D1と直交する方向D2に延びるゲート配線21が設けられる。ゲート電極20群は、各々の方向D1の一方側(ゲート配線21側)の端部が、ゲート配線21と接続される。
【0039】
半導体装置1Aでは、
図3に示すように、トランジスタ部2の外側であって、トランジスタ部2の方向D1の他方側(
図3の右側)の基板10の面10c上に、方向D1と直交する方向D2に延びるソース配線31が設けられる。ソース電極30群は、各々の方向D1の他方側(ソース配線31側)の端部が、ソース配線31と接続される。ソース配線31は、平面視で、ゲート電極20群の外側に設けられ、ゲート電極20群とは重ならない位置に設けられる。
【0040】
ソース配線31は、トランジスタ部2の方向D2の一方側(
図3の上側)及び他方側(
図3の下側)にそれぞれ引き出された引き出し部32及び引き出し部33を有する。引き出し部32及び引き出し部33の位置にそれぞれ、基板10の面10cとそれとは反対側の他方の面10dとの間を貫通するように、ソースインダクタンスの低減等に有効とされるGNDビア34及びGNDビア35が設けられる。GNDビア34が引き出し部32と接続され、GNDビア35が引き出し部33と接続される。引き出し部32及び引き出し部33の各々の、方向D2と直交する方向D1のゲート配線21側の縁32a及び縁33aは、方向D1に延びるソース電極30と方向D2において対向する位置に設けられる。即ち、引き出し部32及び引き出し部33は、各々の方向D1のゲート配線21側の縁32a及び縁33aが、ソース電極30のゲート配線21側の端部からゲート配線21側に飛び出さない位置となるように、設けられる。
【0041】
半導体装置1Aでは、
図3に示すように、トランジスタ部2の外側であって、トランジスタ部2の方向D1の他方側(
図3の右側)の基板10の面10c上に、方向D1と直交する方向D2に延びるドレイン配線41が設けられる。ドレイン配線41は、ソース配線31の、ゲート配線21側とは反対側に設けられる。ドレイン電極40群は、各々の方向D1の他方側(ドレイン配線41側)の端部が、ソース配線31を跨ぐブリッジ配線42群によって、ドレイン配線41と接続される。各ブリッジ配線42は、平面視で、ドレイン電極40の端部からドレイン配線41までの間を、方向D1に直線的に延びるような形状とされる。ドレイン配線41及びブリッジ配線42群は、平面視で、ゲート電極20群の外側に設けられ、ゲート電極20群とは重ならない位置に設けられる。
【0042】
半導体装置1Aでは、そのトランジスタ部2のトランジスタ素子群を流れるドレイン電流が、トランジスタ部2の出力として、ドレイン電極40群及びブリッジ配線42群を通じてドレイン配線41から出力される。
【0043】
上記のように、
図3に示した半導体装置1Aでは、ソース配線31が、トランジスタ部2の、方向D1におけるゲート配線21側ではなく、方向D1におけるドレイン配線41側に配置される。そして、そのように配置されるソース配線31に、ソース電極30群が接続される。ソース配線31には、トランジスタ部2の方向D1と直交する方向D2における両側に引き出し部32及び引き出し部33が設けられ、それぞれGNDビア34及びGNDビア35と接続される。
【0044】
半導体装置1Aでは、このようなレイアウトが採用されることで、ソース電極30群の配置位置の制限が緩和される。即ち、上記半導体装置100で述べたような、GNDビア134群の直径やそれらを接続するソースパッド132群の平面サイズ、ゲートパッド122群の平面サイズやソースパッド132群との交互配置に起因した制限が緩和される。半導体装置1Aでは、ソース電極30群の配置位置の制限が緩和されるため、ソース電極30群の各々と隣り合うように配置されるゲート電極20群の配置位置の制限が緩和される。これにより、半導体装置1Aでは、ゲート電極20群の間隔を、上記半導体装置100に比べて短縮することが可能になり、例えば、隣り合うゲート電極20間の距離を10μm以下に短縮することも可能になる。ゲート電極20群の間隔が短縮されることで、トランジスタ部2におけるトランジスタ素子間のゲート電極20部分の位相差を低減し、位相差による発振を抑えることのできる、動作安定性に優れた高性能の半導体装置1Aが実現される。
【0045】
ここで、
図4は第1の実施の形態に係る半導体装置で得られる効果について説明する図である。
図4には、発振が抑えられる場合の周波数と利得との関係の一例を実線Q1で示している。
図4には比較のため、発振が生じる場合の周波数と利得との関係の一例を点線Q2で併せて示している。
図4において、横軸は周波数[GHz]を表し、縦軸は利得[dB]を表している。
【0046】
例えば、上記
図2に示したようなレイアウトを採用する半導体装置100では、ゲート電極120群の間隔を十分に短縮することができず、
図4に点線Q2で示すような発振が生じ、半導体装置100の動作安定性が低下する恐れがある。これに対し、上記
図3に示したようなレイアウトを採用する半導体装置1Aでは、ゲート電極20群の間隔を十分に短縮することが可能になり、
図4に実線Q1で示すように、点線Q2で見られるような発振を抑えることが可能になる。上記
図3に示したようなレイアウトを採用することで、半導体装置1Aの動作安定性を高めることが可能になる。
【0047】
また、上記のように、
図3に示した半導体装置1Aでは、トランジスタ部2の方向D1におけるゲート配線21側とは反対側にソース配線31と共に配置されるドレイン配線41に、ソース配線31を跨ぐブリッジ配線42群でドレイン電極40群が接続される。各ブリッジ配線42は、平面視で、方向D1に直線的に延びるような形状とされる。半導体装置1Aでは、上記半導体装置100(
図2)のような、平面T字状といった特異な形状のブリッジ配線133を形成することを要しない。そのため、半導体装置1Aでは、ブリッジ配線42の形成不良や耐圧低下、形成不良に起因した発振が抑えられる。これにより、動作安定性に優れた高性能の半導体装置1Aが実現される。
【0048】
また、
図3に示した半導体装置1Aでは、ゲート配線21にゲートパッドの機能を持たることが可能であり、ゲート配線21に1つ又は2つ以上のゲートパッドを設けることも可能である。半導体装置1Aでは、トランジスタ部2の方向D1におけるゲート配線21側に、上記半導体装置100(
図2)のようなソースパッド132及びGNDビア134が配置されない。そのため、半導体装置1Aでは、ゲート配線21又はそこに設けられるゲートパッドの、ソース導体(例えば上記半導体装置100のソースパッド132及びGNDビア134)との交互配置が回避される。これにより、半導体装置1Aでは、ゲート配線21又はそこに設けられるゲートパッドへのワイヤボンディング時の、ボンディング距離やワイヤ本数の制限が緩和され、不要なインダクタンス成分を低減すること、接続可能なワイヤ本数を増大させることが可能になる。
【0049】
また、
図3に示した半導体装置1Aでは、平面視で、ソース電極30群及びドレイン電極40群、並びにソース配線31、ドレイン配線41及びブリッジ配線42群が、いずれもトランジスタ部2の外側に設けられ、ゲート電極20群とは重ならない配置とされる。そのため、半導体装置1Aでは、不要なゲート-ソース間容量及び不要なゲート-ドレイン間容量が付加されず、利得の低減を抑えることが可能になる。
【0050】
また、
図3に示した半導体装置1Aでは、トランジスタ部2の方向D1と直交する方向D2における両側に、ソース配線31の引き出し部32及び引き出し部33が設けられ、それぞれGNDビア34及びGNDビア35と接続される。半導体装置1Aでは、引き出し部32及び引き出し部33並びにGNDビア34及びGNDビア35が、トランジスタ部2に近接配置されるため、不要なインダクタンス成分を低減することが可能になる。このほか、半導体装置1Aでは、引き出し部32及び引き出し部33並びにGNDビア34及びGNDビア35が、比較的発熱量が大きくなるトランジスタ部2に近接配置されるため、トランジスタ部2からの放熱効率を高め、その過熱を抑えることが可能になる。
【0051】
図3に示したようなレイアウトによれば、動作安定性に優れた高性能の半導体装置1Aが実現される。
続いて、上記のようなレイアウトが採用される半導体装置1Aの構成例について説明する。
【0052】
図5~
図10は第1の実施の形態に係る半導体装置の構成例について説明する図である。
図5には第1の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部平面図を模式的に示している。
図6~
図9には第1の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。ここで、
図6は
図5のVI-VI断面模式図、
図7は
図5のVII-VII断面模式図、
図8は
図5のVIII-VIII断面模式図、
図9は
図5のIX-IX断面模式図である。また、
図10には第1の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部平面図及び要部断面図を併せて模式的に示している。ここで、
図10(A)は要部平面模式図、
図10(B)は
図10(A)のXb-Xb断面模式図、
図10(C)は
図10(A)のXc-Xc断面模式図である。
【0053】
図5には、上記半導体装置1Aの、
図3に示したようなレイアウトにおけるP部(
図3の上半分)の領域に対応した構成例を示している。
図5の例では、半導体装置1Aのゲート電極20群及びそれらと接続されるゲート配線21は、保護膜として機能する絶縁膜50で覆われる。
図5の例では、ソース電極30群及びそれらと接続されるソース配線31、並びにドレイン電極40群及びそれらとブリッジ配線42群で接続されるドレイン配線41は、絶縁膜50から露出される。
【0054】
図6には、
図5に示す半導体装置1Aにおけるトランジスタ部2に含まれるトランジスタ素子の構成例を示している。半導体装置1Aの、基板10の活性領域10bに形成されるトランジスタ部2において、各トランジスタ素子は、例えば、
図6に示すような構成を有する。
図6に示すトランジスタ素子は、上記
図1の例に従い、基板10上、即ち、下地基板11の上に設けられた半導体層12上に、ゲート電極20、ソース電極30及びドレイン電極40が設けられた、HEMTの一例である。尚、ここでは図示を省略するが、半導体層12には、上記
図1に示したようなチャネル層12a、バリア層12b及びキャップ層12c等の複数の層が含まれる。
【0055】
トランジスタ部2に含まれるトランジスタ素子は、
図6に示すように、基板10の一方の面10c上、即ち、下地基板11の上に設けられる半導体層12上に設けられた、ソースフィンガー部30A及びドレインフィンガー部40Aを有する。ソースフィンガー部30A及びドレインフィンガー部40Aには、例えば、Ta及びAlの積層構造を有する金属が用いられる。これらの上に、ゲートフィンガー部20Aが形成される領域に設けられた開口部52、並びにソースフィンガー部30Aの一部に通じる開口部53、及びドレインフィンガー部40Aの一部に通じる開口部54を有する絶縁膜51が設けられる。絶縁膜51の開口部52内及びその外側の絶縁膜51上の一部に、ゲートフィンガー部20Aが設けられる。ゲートフィンガー部20Aには、例えば、Ni及びAuの積層構造を有する金属が用いられる。ゲートフィンガー部20Aは、ゲート電極20(
図5)として機能する。尚、ここでは図示されないが、基板10の面10c上には、ゲートフィンガー部20Aと共に、それに繋がるようにゲート配線21(
図5)が設けられる。
【0056】
図6に示すように、絶縁膜51上には、ゲートフィンガー部20Aを覆う絶縁膜50が設けられる。絶縁膜50は、ゲートフィンガー部20A及びそれに繋がるゲート配線21(
図5)を保護する保護膜としての機能を有する。ソースフィンガー部30Aの一部に通じる開口部53及びドレインフィンガー部40Aの一部に通じる開口部54は、絶縁膜50にも設けられる。絶縁膜51及び絶縁膜50には、SiO(酸化シリコン)、SiN(窒化シリコン)等の各種絶縁材料が用いられる。絶縁膜51及び絶縁膜50の開口部53のソースフィンガー部30A上には、ソース配線部30Bが設けられる。絶縁膜51の開口部54のドレインフィンガー部40A上には、ドレイン配線部40Bが設けられる。ソース配線部30B及びドレイン配線部40Bには、Au等の金属が用いられる。トランジスタ部2では、ソースフィンガー部30Aとソース配線部30Bとの積層体が、ソース電極30(
図5)として機能し、ドレインフィンガー部40Aとドレイン配線部40Bとの積層体が、ドレイン電極40(
図5)として機能する。
【0057】
トランジスタ部2に含まれるトランジスタ素子は、例えば、この
図6に示すような構成を有する。
図7には、
図5に示すソース電極30とソース配線31との接続部の構成例を示している。
図7に示すように、基板10の一方の面10c上、即ち、下地基板11の上に設けられる半導体層12上に、ソースフィンガー部30Aの一部に通じる開口部53を有する絶縁膜51及び絶縁膜50が設けられる。開口部53のソースフィンガー部30A上にソース配線部30Bが設けられる。ソースフィンガー部30Aとソース配線部30Bとの積層体が、ソース電極30(
図5)として機能する。
【0058】
図7に示すように、開口部53のソースフィンガー部30A上に設けられたソース配線部30Bは、開口部53周りの絶縁膜50の一部を乗り越えて絶縁膜50上に延びる。絶縁膜50上に延びたソース配線部30Bが、ソース配線31(
図5)として機能する。絶縁膜50上には更に、ソース配線31として機能するソース配線部30Bとは分離されて、ドレイン配線部40Bが設けられる。絶縁膜50上に設けられたドレイン配線部40Bが、ドレイン配線41(
図5)として機能する。
【0059】
ソース電極30とソース配線31との接続部は、例えば、この
図7に示すような構成を有する。
図8には、
図5に示すドレイン電極40の、ソース配線31を跨いだドレイン配線41との接続部の構成例を示している。
図8に示すように、基板10の一方の面10c上、即ち、下地基板11の上に設けられた半導体層12上に、ドレインフィンガー部40Aの一部に通じる開口部54を有する絶縁膜51及び絶縁膜50が設けられる。開口部54のドレインフィンガー部40A上にドレイン配線部40Bが設けられる。ドレインフィンガー部40Aとドレイン配線部40Bとの積層体が、ドレイン電極40(
図5)として機能する。
【0060】
図8に示すように、絶縁膜50上には、開口部54のドレインフィンガー部40A上に設けられたドレイン配線部40Bとは絶縁膜50及び絶縁膜51の一部で絶縁されて、ソース配線31(
図5及び
図7)として機能するソース配線部30Bが設けられる。絶縁膜50上には更に、ソース配線31として機能するソース配線部30Bとは分離されて、ドレイン配線部40Bが設けられる。絶縁膜50上に設けられたドレイン配線部40Bが、ドレイン配線41(
図5)として機能する。ドレイン電極40とドレイン配線41とは、ソース配線31を跨ぐブリッジ配線42(
図5)、例えば、エアブリッジ配線によって接続される。ブリッジ配線42には、Au等の金属が用いられる。
【0061】
ドレイン電極40の、ソース配線31を跨いだドレイン配線41との接続部は、例えば、この
図8に示すような構成を有する。
図9には、
図5に示すソース配線31の引き出し部32とGNDビア34との接続部の構成例を示している。
図9に示すように、基板10の一方の面10c上、即ち、下地基板11の上に設けられた半導体層12上に、ストッパ層30Cが設けられる。ストッパ層30Cは、後述のように基板10に面10cとそれとは反対側の他方の面10dとの間を貫通する開口部10eを、面10d側からのエッチングによって形成する際の、エッチングストッパとしての機能を有する。ストッパ層30Cには、Ni、Cu(銅)等の金属が用いられる。基板10の一方の面10c上には更に、ストッパ層30Cの一部に通じる開口部55を有する絶縁膜51及び絶縁膜50が設けられる。開口部55のストッパ層30C上にソース配線部30Bが設けられる。ストッパ層30Cとソース配線部30Bとの積層体が、引き出し部32(
図5)として機能する。
【0062】
図9に示すように、基板10の開口部10eは、その面10dと面10cとの間を貫通してストッパ層30Cに達する。基板10の開口部10eに、GNDビア34が設けられ、GNDビア34とストッパ層30Cとが接続される。GNDビア34には、Au、Cu等の金属が用いられる。ここでは、GNDビア34として、開口部10eの内面に金属が形成されるコンフォーマルビアを例示するが、GNDビア34は、開口部10e内に金属を充填したフィルドビアとすることもできる。基板10の面10dには、
図9に示すように、開口部10e内のGNDビア34と連続する電極層36が設けられてよい。電極層36は、半導体装置1Aの外部接続用の電極、いわゆる裏面電極として機能する。
【0063】
ソース配線31の引き出し部32とGNDビア34との接続部は、例えば、この
図9に示すような構成を有する。尚、
図5では図示を省略するソース配線31の引き出し部33とGNDビア35との接続部も同様に、この
図9に示すような構成を有する。
【0064】
図10(A)には、上記半導体装置1Aの要部平面図を模式的に示し、
図10(B)及び
図10(C)には、上記半導体装置1Aの要部断面図を模式的に示している。
半導体装置1Aでは、
図10(A)に示すように、トランジスタ部2の方向D1における一方側に、ゲート電極20として機能するゲートフィンガー部20Aに繋がるゲート配線21が配置される。そして、
図10(A)に示すように、トランジスタ部2の方向D1における他方側に、ソース電極30に繋がるソース配線31、及びドレイン電極40に繋がるドレイン配線41が配置される。
【0065】
ここで、ソース電極30は、
図10(B)に示すように、ソースフィンガー部30A及びそれに積層されたソース配線部30Bにより形成される。ソース配線31は、
図10(B)に示すように、ソース電極30のソースフィンガー部30A上から絶縁膜50を乗り越えて絶縁膜50上に設けられたソース配線部30Bにより形成される。ソース配線部30Bは、
図10(C)に示すように、ドレインフィンガー部40A上のドレイン配線部40Bとは絶縁膜50及び絶縁膜51で絶縁され、絶縁膜50上に設けられるドレイン配線部40Bとは離間されて、設けられる。ソース配線31には、
図10(A)に示すように、トランジスタ部2の方向D1と直交する方向D2の側に、GNDビア34と接続される引き出し部32が設けられる。
【0066】
また、ドレイン電極40は、
図10(C)に示すように、ドレインフィンガー部40A及びそれに積層されたドレイン配線部40Bにより形成される。ドレイン配線41は、
図10(B)及び
図10(C)に示すように、絶縁膜50上にソース配線31とは離間されて設けられたドレイン配線部40Bにより形成される。ドレイン配線41は、ドレイン電極40のドレインフィンガー部40A上に絶縁膜50でソース配線31とは絶縁されて設けられたドレイン配線部40Bと、ソース配線31を跨ぐブリッジ配線42で接続される。
【0067】
半導体装置1Aでは、平面視で、ソース配線31が、トランジスタ部2の、方向D1におけるゲート配線21側ではなく、方向D1におけるドレイン配線41側に配置されることで、GND接続のためのビアの平面サイズや配置に起因した制限が緩和される。そのため、ソース電極30群の配置位置の制限が緩和され、ソース電極30群の各々と隣り合うように配置されるゲート電極20群の配置位置の制限が緩和される。これにより、半導体装置1Aでは、ゲート電極20群の間隔を短縮することが可能になり、トランジスタ部2におけるトランジスタ素子間のゲート電極20部分の位相差を低減し、位相差による発振を抑えることが可能になる。
【0068】
また、半導体装置1Aでは、トランジスタ部2の方向D1におけるゲート配線21側とは反対側にソース配線31と共に配置されるドレイン配線41に、ソース配線31を跨ぐブリッジ配線42でドレイン電極40群が接続される。ブリッジ配線42は、平面視で、T字状といった特異な形状ではなく、方向D1に直線的に延びるような形状とされる。そのため、半導体装置1Aでは、ブリッジ配線42の形成不良や耐圧低下、形成不良に起因した発振を抑えることが可能になる。
【0069】
半導体装置1Aでは、平面視で、ソース配線31及びドレイン配線41が、いずれもトランジスタ部2の外側に設けられ、ゲート電極20群とは重ならないような配置とされる。そのため、半導体装置1Aでは、不要なゲート-ソース間容量及び不要なゲート-ドレイン間容量が付加されず、利得の低減を抑えることが可能になる。
【0070】
このほか、半導体装置1Aでは、ゲート配線21又はそこに設けられるゲートパッドへのワイヤボンディング時の、ボンディング距離やワイヤ本数の制限が緩和され、不要なインダクタンス成分を低減すること、接続可能なワイヤ本数を増大させることが可能になる。また、半導体装置1Aでは、引き出し部32及びGNDビア34がトランジスタ部2に近接配置されるため、不要なインダクタンス成分を低減することが可能になるほか、トランジスタ部2からの放熱効率を高め、その過熱を抑えることが可能になる。
【0071】
上記
図3及び
図5~
図10に示したような構成によれば、動作安定性に優れた高性能の半導体装置1Aが実現される。
続いて、上記のような構成を有する半導体装置1Aの形成方法の一例について説明する。
【0072】
図11~
図16は第1の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図である。
図11(A)~
図11(C)にはそれぞれ、トランジスタ部の形成における各工程の要部断面図を模式的に示している。
図12(A)~
図12(C)にはそれぞれ、ソース配線及びドレイン配線の形成における各工程の要部断面図を模式的に示している。
図13(A)~
図13(C)及び
図14(A)~
図14(C)にはそれぞれ、ソース配線及びドレイン配線の形成並びにブリッジ配線の形成における各工程の要部断面図を模式的に示している。
図15(A)~
図15(C)並びに
図16(A)及び
図16(B)にはそれぞれ、ソース配線の引き出し部及びGNDビアの形成における各工程の要部断面図を模式的に示している。
【0073】
【0074】
まず、トランジスタ部2の形成について、
図11(A)~
図11(C)を参照して述べる。
はじめに、
図11(A)に示すような基板10が準備される。即ち、下地基板11上に、MOVPE法等を用いて、半導体層12としてチャネル層12a、バリア層12b及びキャップ層12c等が形成され、基板10が準備される。準備された基板10の、半導体層12側の面10c上に、フォトリソグラフィ技術、蒸着技術及びリフトオフ技術を用いて、Ta及びAlの積層構造等を有する金属が形成され、ソースフィンガー部30A及びドレインフィンガー部40Aが形成される。ソースフィンガー部30A及びドレインフィンガー部40Aの形成前には、半導体層12に凹部を形成し、その凹部にコンタクト層(再成長層)を形成してもよい。ソースフィンガー部30A及びドレインフィンガー部40Aの形成後には、オーミック接続を確立するための熱処理を行ってもよい。
【0075】
ソースフィンガー部30A及びドレインフィンガー部40Aの形成後、
図11(A)に示すように、プラズマ化学気相堆積(Chemical Vapor Deposition;CVD)法等を用いて、基板10並びにソースフィンガー部30A及びドレインフィンガー部40Aを覆う絶縁膜51が形成される。絶縁膜51には、ゲートフィンガー部20Aを形成する領域に、開口部52が形成される。そして、絶縁膜51の開口部52及びその外側の絶縁膜51上の一部に、フォトリソグラフィ技術、蒸着技術及びリフトオフ技術を用いて、Ni及びAuの積層構造等を有する金属が形成され、ゲートフィンガー部20Aが形成される。ここでは図示を省略するが、絶縁膜51上には、ゲート電極20として機能するゲートフィンガー部20Aと共に、ゲートフィンガー部20Aの端部から連続してトランジスタ部2の外側へ延びるゲート配線21が形成される。ゲートフィンガー部20A及びゲート配線21の形成後、絶縁膜51上に、プラズマCVD法等を用いて、ゲートフィンガー部20A及びゲート配線21を覆う絶縁膜50が形成される。
【0076】
次いで、
図11(B)に示すように、絶縁膜50及び絶縁膜51に、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、ソースフィンガー部30Aの一部に通じる開口部53、及びドレインフィンガー部40Aの一部に通じる開口部54が形成される。例えば、開口部53及び開口部54の形成後、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、後述の
図13(B)及び
図13(C)に示すようなドレインフィンガー部40Aの端部とソース配線31との間となる所定の部分を除き、絶縁膜50が薄化される。この場合、絶縁膜50を、異なる絶縁材料の積層構造としておくと、当該部分を除く絶縁膜50の薄化を、選択エッチングによって比較的容易に行うことができる。
【0077】
次いで、
図11(C)に示すように、フォトリソグラフィ技術及びめっき技術を用いて、ソース配線部30B及びドレイン配線部40Bが形成される。その際、トランジスタ部2では、絶縁膜50及び絶縁膜51の開口部53から露出するソースフィンガー部30A上にソース配線部30Bが形成され、開口部54から露出するドレインフィンガー部40A上にドレイン配線部40Bが形成される。
図11(C)に示すソース配線部30B及びドレイン配線部40Bは、同一の工程で同時に形成され、また、後述の
図12(C)、
図13(C)及び
図15(C)の工程で形成されるソース配線部30B及びドレイン配線部40Bと共に形成される。
【0078】
トランジスタ部2において、ゲートフィンガー部20Aがゲート電極20として機能する。トランジスタ部2において、ソースフィンガー部30Aとソース配線部30Bとの積層体がソース電極30として機能し、ドレインフィンガー部40Aとドレイン配線部40Bとの積層体がドレイン電極40として機能する。例えば、
図11(A)~
図11(C)に示すような工程により、ソース電極30及びドレイン電極40とそれらの間に設けられたゲート電極20とを有するトランジスタ部2が形成される。
【0079】
次に、ソース配線31及びドレイン配線41の形成について、
図12(A)~
図12(C)、及び上記
図11(A)~
図11(C)を参照して述べる。
上記
図11(A)に示した工程で形成される絶縁膜51及び絶縁膜50は、
図12(A)に示すように、ソースフィンガー部30Aの形成領域の外側に延びるように形成される。
【0080】
上記
図11(B)に示した工程では、
図12(B)に示すように、ソースフィンガー部30Aの一部に通じる開口部53が形成され、その後、後述の
図13(B)及び
図13(C)に示すようなドレインフィンガー部40Aの端部とソース配線31との間となる所定の部分を除き、絶縁膜50が薄化される。
【0081】
上記
図11(C)に示した工程では、絶縁膜50及び絶縁膜51の開口部53から露出するソースフィンガー部30A上にソース配線部30Bが形成される。その際、ソース配線部30Bは、
図12(C)に示すように、ソースフィンガー部30Aの方向D1における一方側(右側)の端部に設けられる、薄化された絶縁膜50の一部を乗り越えて、絶縁膜50上に延びるように形成される。ソースフィンガー部30Aとソース配線部30Bとの積層体がソース電極30として機能し、絶縁膜50上に延びるように形成されたソース配線部30Bがソース配線31として機能する。絶縁膜50上には、ソース配線部30Bと同一の工程で同時に、
図12(C)に示すように、ソース配線部30Bからソースフィンガー部30A側とは反対側に離間されて、ドレイン配線部40Bが形成される。絶縁膜50上に形成されたドレイン配線部40Bがドレイン配線41として機能する。
【0082】
次に、ソース配線31及びドレイン配線41の形成並びにブリッジ配線42の形成について、
図13(A)~
図13(C)及び
図14(A)~
図14(C)、並びに上記
図11(A)~
図11(C)を参照して述べる。
【0083】
上記
図11(A)に示した工程で形成される絶縁膜51及び絶縁膜50は、
図13(A)に示すように、ドレインフィンガー部40Aの形成領域の外側に延びるように形成される。
【0084】
上記
図11(B)に示した工程では、
図13(B)に示すように、ドレインフィンガー部40Aの一部に通じる開口部54が形成され、その後、ドレインフィンガー部40Aの端部と
図13(C)に示すソース配線31との間となる所定の部分を除き、絶縁膜50が薄化される。
【0085】
上記
図11(C)に示した工程では、絶縁膜50及び絶縁膜51の開口部54から露出するドレインフィンガー部40A上にドレイン配線部40Bが形成される。ドレインフィンガー部40Aとドレイン配線部40Bとの積層体がドレイン電極40として機能する。ドレイン配線部40Bは、
図13(C)に示すように、ドレインフィンガー部40A上と共に、絶縁膜50上に形成される。絶縁膜50上には、ドレイン配線部40Bと同一の工程で同時に、
図13(C)に示すように、ドレイン配線部40Bからドレインフィンガー部40A側に離間されて、ソース配線部30Bが形成される。絶縁膜50上に形成されたドレイン配線部40Bがドレイン配線41として機能し、絶縁膜50上に形成されたソース配線部30Bがソース配線31として機能する。ドレインフィンガー部40A上のドレイン配線部40Bは、
図13(C)に示すように、ドレインフィンガー部40Aの方向D1における一方側(右側)の端部に薄化されずに残存する絶縁膜50の一部で、ソース配線31として機能するソース配線部30Bと絶縁される。
【0086】
ソース配線部30B及びドレイン配線部40Bの形成後、
図14(A)に示すように、レジスト等が用いられ、犠牲層60が形成される。犠牲層60は、ドレインフィンガー部40A上のドレイン配線部40Bの一部と、それと方向D1において対向する、絶縁膜50上のドレイン配線部40Bの一部との間を覆うように、形成される。即ち、ドレイン電極40の一部と、それと方向D1において対向する、絶縁膜50上のドレイン配線41の一部との間の、ソース配線31を覆うように、犠牲層60が形成される。
【0087】
次いで、フォトリソグラフィ技術及びめっき技術を用いて、犠牲層60上、ドレイン電極40の一部上、及び、それと方向D1において対向する、絶縁膜50上のドレイン配線41の一部上に、Au等の金属が形成される。これにより、
図14(B)に示すような、犠牲層60上に設けられ、ドレイン電極40の一部とドレイン配線41の一部とを接続する、ブリッジ配線42が形成される。ブリッジ配線42は、断面視ではアーチ状、平面視では上記のように方向D1に直線的に延びるように、形成される。
【0088】
その後、
図14(C)に示すように、犠牲層60が除去される。これにより、ドレイン電極40とドレイン配線41とをエアブリッジ接続する、ブリッジ配線42が形成される。
【0089】
次に、ソース配線31の引き出し部32及びGNDビア34の形成について、
図15(A)~
図15(C)、
図16(A)及び
図16(B)、並びに上記
図11(A)~
図11(C)を参照して述べる。
【0090】
上記
図11(A)に示した工程における、ソースフィンガー部30A及びドレインフィンガー部40Aの形成前、又はソースフィンガー部30A及びドレインフィンガー部40Aの形成後であって絶縁膜51の形成前に、
図15(A)に示すように、基板10の面10c上にストッパ層30Cが形成される。ストッパ層30Cは、後述のように形成されるGNDビア34の直径よりも大きな平面サイズとなるように形成される。その後、上記
図11(A)に示したように、絶縁膜51が形成され、その開口部52にゲート電極20が形成され、それを覆う絶縁膜50が形成される。上記
図11(A)に示した工程で形成される絶縁膜51及び絶縁膜50は、
図15(A)に示すように、ストッパ層30Cを覆うように形成される。
【0091】
上記
図11(B)に示した工程では、ソースフィンガー部30A及びドレインフィンガー部40Aの各々に通じる開口部53及び開口部54が形成されると共に、
図15(B)に示すように、ストッパ層30Cに通じる開口部55が形成される。その後、前述の
図13(B)及び
図13(C)に示したようなドレインフィンガー部40Aの端部とソース配線31との間となる所定の部分を除き、絶縁膜50が薄化される。
【0092】
上記
図11(C)に示した工程では、開口部53のソースフィンガー部30A上、及び開口部54のドレインフィンガー部40A上にそれぞれ、ソース配線部30B及びドレイン配線部40Bが形成される。その際、ソース配線部30Bは、
図15(C)に示すように、ストッパ層30C上に延びるように形成される。ストッパ層30Cとソース配線部30Bとの積層体がソース配線31の引き出し部32として機能する。
【0093】
引き出し部32の形成後、
図16(A)に示すように、基板10に、その面10d側からエッチングが行われ、引き出し部32のストッパ層30Cに達する開口部10eが形成される。ストッパ層30Cは、このようにエッチングによって基板10に開口部10eを形成する際のエッチングストッパとして機能する。
【0094】
次いで、
図16(B)に示すように、形成された基板10の開口部10eに、Au等の金属が形成され、引き出し部32と接続されるGNDビア34が形成される。これにより、基板10の一方の面10c側に設けられる引き出し部32が、基板10を貫通するGNDビア34によって、基板10の他方の面10d側に引き出される構造が得られる。基板10の面10dには、開口部10e内のGNDビア34と連続し、半導体装置1Aの外部接続用の電極として機能する電極層36が設けられてよい。
【0095】
尚、
図5では図示を省略したソース配線31の他方の引き出し部33、並びに当該引き出し部33とGNDビア35及び電極層36との接続も、
図15(A)~
図15(C)並びに
図16(A)及び
図16(B)に示すような工程によって形成することができる。
【0096】
例えば、以上の
図11~
図16に示したような工程により、上記
図5(及び
図3)並びに
図6~
図9に示したような構成を有する半導体装置1Aが得られる。
上記のような構成を有する半導体装置1Aは、各種電子装置に適用することができる。一例として、半導体装置1Aを、半導体パッケージ、力率改善回路、電源装置及び増幅器に適用する場合について、以下に説明する。
【0097】
[第2の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置1Aの、半導体パッケージへの適用例を、第2の実施の形態として説明する。
【0098】
図17は第2の実施の形態に係る半導体パッケージの一例について説明する図である。
図17には第2の実施の形態に係る半導体パッケージの一例の要部平面図を模式的に示している。
【0099】
図17に示す半導体パッケージ200は、ディスクリートパッケージの一例である。半導体パッケージ200は、上記第1の実施の形態で述べた半導体装置1A、半導体装置1Aが搭載されたリードフレーム210、及びそれらを封止する樹脂220を含む。
【0100】
半導体装置1Aは、例えば、リードフレーム210のダイパッド210a上にダイアタッチ材等(図示せず)を用いて搭載される。半導体装置1Aには、上記ゲート電極20群と接続されたパッド20a、ソース電極30群と接続されたパッド30a、及びドレイン電極40群と接続されたパッド40aが設けられる。パッド20a、パッド30a及びパッド40aはそれぞれ、Au、Al等のワイヤ230を用いてリードフレーム210のゲートリード211、ソースリード212及びドレインリード213に接続される。ゲートリード211、ソースリード212及びドレインリード213の各一部が露出するように、リードフレーム210とそれに搭載された半導体装置1A及びそれらを接続するワイヤ230が、樹脂220で封止される。
【0101】
半導体装置1Aの、ゲート電極20と接続されたパッド20a及びドレイン電極40と接続されたパッド40aが設けられる面とは反対側の面には、ソース電極30群と接続された外部接続用電極、例えば、上記電極層36が設けられてよい。当該外部接続用電極を、ソースリード212に繋がるダイパッド210aに、半田等の導電性接合材を用いて接続してもよい。
【0102】
例えば、上記第1の実施の形態で述べた半導体装置1Aが用いられ、このような構成を有する半導体パッケージ200が得られる。
上記のように、半導体装置1A(
図3及び
図5等)では、平面視で、方向D1に延びるゲート電極20群、ソース電極30群及びドレイン電極40群を含むトランジスタ部2の、方向D1の一方側に、ゲート電極20群が繋がり方向D2に延びるゲート配線21が配置される。そして、平面視で、トランジスタ部2の、方向D1の他方側には、ソース電極30群が繋がり方向D2に延びるソース配線31と、ドレイン電極40群がソース配線31を跨ぐブリッジ配線42で繋がり方向D2に延びるドレイン配線41とが配置される。ソース配線31は、トランジスタ部2の方向D2の両側に設けられるGNDビア34及びGNDビア35と引き出し部32及び引き出し部33でそれぞれ接続される。半導体装置1Aでは、このようなレイアウトが採用されることで、ゲート電極20群の配置位置の制限が緩和され、ゲート電極20群の間隔を短縮し、トランジスタ部2のトランジスタ素子間の位相差を低減して、位相差による発振を抑えることが可能になる。また、ブリッジ配線42の形状の複雑化を抑え、その形成不良やそれに起因した性能低下等を抑えることが可能になるほか、不要なインダクタンス成分の付加や容量成分の付加を抑えることが可能になる。これにより、動作安定性に優れた高性能の半導体装置1Aが実現される。このような半導体装置1Aが用いられ、高性能の半導体パッケージ200が実現される。
【0103】
[第3の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置1Aの、力率改善回路への適用例を、第3の実施の形態として説明する。
【0104】
図18は第3の実施の形態に係る力率改善回路の一例について説明する図である。
図18には第3の実施の形態に係る力率改善回路の一例の等価回路図を示している。
図18に示す力率改善(Power Factor Correction;PFC)回路300は、スイッチ素子310、ダイオード320、チョークコイル330、コンデンサ340、コンデンサ350、ダイオードブリッジ360及び交流電源370(AC)を含む。
【0105】
PFC回路300において、スイッチ素子310のドレイン電極と、ダイオード320のアノード端子及びチョークコイル330の一端子とが接続される。スイッチ素子310のソース電極と、コンデンサ340の一端子及びコンデンサ350の一端子とが接続される。コンデンサ340の他端子とチョークコイル330の他端子とが接続される。コンデンサ350の他端子とダイオード320のカソード端子とが接続される。また、スイッチ素子310のゲート電極には、ゲートドライバが接続される。コンデンサ340の両端子間には、ダイオードブリッジ360を介して交流電源370が接続され、コンデンサ350の両端子間から直流電源(DC)が取り出される。
【0106】
例えば、このような構成を有するPFC回路300のスイッチ素子310に、上記半導体装置1Aが用いられる。
上記のように、半導体装置1A(
図3及び
図5等)では、平面視で、方向D1に延びるゲート電極20群、ソース電極30群及びドレイン電極40群を含むトランジスタ部2の、方向D1の一方側に、ゲート電極20群が繋がり方向D2に延びるゲート配線21が配置される。そして、平面視で、トランジスタ部2の、方向D1の他方側には、ソース電極30群が繋がり方向D2に延びるソース配線31と、ドレイン電極40群がソース配線31を跨ぐブリッジ配線42で繋がり方向D2に延びるドレイン配線41とが配置される。ソース配線31は、トランジスタ部2の方向D2の両側に設けられるGNDビア34及びGNDビア35と引き出し部32及び引き出し部33でそれぞれ接続される。半導体装置1Aでは、このようなレイアウトが採用されることで、ゲート電極20群の配置位置の制限が緩和され、ゲート電極20群の間隔を短縮し、トランジスタ部2のトランジスタ素子間の位相差を低減して、位相差による発振を抑えることが可能になる。また、ブリッジ配線42の形状の複雑化を抑え、その形成不良やそれに起因した性能低下等を抑えることが可能になるほか、不要なインダクタンス成分の付加や容量成分の付加を抑えることが可能になる。これにより、動作安定性に優れた高性能の半導体装置1Aが実現される。このような半導体装置1Aが用いられ、高性能のPFC回路300が実現される。
【0107】
[第4の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置1Aの、電源装置への適用例を、第4の実施の形態として説明する。
【0108】
図19は第4の実施の形態に係る電源装置の一例について説明する図である。
図19には第4の実施の形態に係る電源装置の一例の等価回路図を示している。
図19に示す電源装置400は、一次側回路410及び二次側回路420、並びに一次側回路410と二次側回路420との間に設けられるトランス430を含む。
【0109】
一次側回路410には、上記第3の実施の形態で述べたようなPFC回路300、及びPFC回路300のコンデンサ350の両端子間に接続されたインバータ回路、例えば、フルブリッジインバータ回路440が含まれる。フルブリッジインバータ回路440には、複数、ここでは一例として4つのスイッチ素子441、スイッチ素子442、スイッチ素子443及びスイッチ素子444が含まれる。
【0110】
二次側回路420には、複数、ここでは一例として3つのスイッチ素子421、スイッチ素子422及びスイッチ素子423が含まれる。
例えば、このような構成を有する電源装置400の、一次側回路410に含まれるPFC回路300のスイッチ素子310、及びフルブリッジインバータ回路440のスイッチ素子441~444に、上記半導体装置1Aが用いられる。例えば、電源装置400の、二次側回路420のスイッチ素子421~423には、シリコンを用いた通常のMIS型FETが用いられる。
【0111】
上記のように、半導体装置1A(
図3及び
図5等)では、平面視で、方向D1に延びるゲート電極20群、ソース電極30群及びドレイン電極40群を含むトランジスタ部2の、方向D1の一方側に、ゲート電極20群が繋がり方向D2に延びるゲート配線21が配置される。そして、平面視で、トランジスタ部2の、方向D1の他方側には、ソース電極30群が繋がり方向D2に延びるソース配線31と、ドレイン電極40群がソース配線31を跨ぐブリッジ配線42で繋がり方向D2に延びるドレイン配線41とが配置される。ソース配線31は、トランジスタ部2の方向D2の両側に設けられるGNDビア34及びGNDビア35と引き出し部32及び引き出し部33でそれぞれ接続される。半導体装置1Aでは、このようなレイアウトが採用されることで、ゲート電極20群の配置位置の制限が緩和され、ゲート電極20群の間隔を短縮し、トランジスタ部2のトランジスタ素子間の位相差を低減して、位相差による発振を抑えることが可能になる。また、ブリッジ配線42の形状の複雑化を抑え、その形成不良やそれに起因した性能低下等を抑えることが可能になるほか、不要なインダクタンス成分の付加や容量成分の付加を抑えることが可能になる。これにより、動作安定性に優れた高性能の半導体装置1Aが実現される。このような半導体装置1Aが用いられ、高性能の電源装置400が実現される。
【0112】
[第5の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置1Aの、増幅器への適用例を、第5の実施の形態として説明する。
【0113】
図20は第5の実施の形態に係る増幅器の一例について説明する図である。
図20には第5の実施の形態に係る増幅器の一例の等価回路図を示している。
図20に示す増幅器500は、デジタルプレディストーション回路510、ミキサー520、ミキサー530及びパワーアンプ540を含む。
【0114】
デジタルプレディストーション回路510は、入力信号の非線形歪みを補償する。ミキサー520は、非線形歪みが補償された入力信号SIと交流信号とをミキシングする。パワーアンプ540は、入力信号SIが交流信号とミキシングされた信号を増幅する。増幅器500では、例えば、スイッチの切り替えにより、出力信号SOをミキサー530で交流信号とミキシングしてデジタルプレディストーション回路510に送出することができる。増幅器500は、高周波増幅器、高出力増幅器として使用することができる。
【0115】
このような構成を有する増幅器500のパワーアンプ540に、上記半導体装置1Aが用いられる。
上記のように、半導体装置1A(
図3及び
図5等)では、平面視で、方向D1に延びるゲート電極20群、ソース電極30群及びドレイン電極40群を含むトランジスタ部2の、方向D1の一方側に、ゲート電極20群が繋がり方向D2に延びるゲート配線21が配置される。そして、平面視で、トランジスタ部2の、方向D1の他方側には、ソース電極30群が繋がり方向D2に延びるソース配線31と、ドレイン電極40群がソース配線31を跨ぐブリッジ配線42で繋がり方向D2に延びるドレイン配線41とが配置される。ソース配線31は、トランジスタ部2の方向D2の両側に設けられるGNDビア34及びGNDビア35と引き出し部32及び引き出し部33でそれぞれ接続される。半導体装置1Aでは、このようなレイアウトが採用されることで、ゲート電極20群の配置位置の制限が緩和され、ゲート電極20群の間隔を短縮し、トランジスタ部2のトランジスタ素子間の位相差を低減して、位相差による発振を抑えることが可能になる。また、ブリッジ配線42の形状の複雑化を抑え、その形成不良やそれに起因した性能低下等を抑えることが可能になるほか、不要なインダクタンス成分の付加や容量成分の付加を抑えることが可能になる。これにより、動作安定性に優れた高性能の半導体装置1Aが実現される。このような半導体装置1Aが用いられ、高性能の増幅器500が実現される。
【0116】
上記半導体装置1Aを適用した各種電子装置(上記第2~第5の実施の形態で述べた半導体パッケージ200、PFC回路300、電源装置400及び増幅器500等)は、各種電子機器又は電子装置に搭載することができる。例えば、コンピュータ(パーソナルコンピュータ、スーパーコンピュータ、サーバ等)、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、センサ、カメラ、オーディオ機器、測定装置、検査装置、製造装置、送信器、受信器、レーダー装置といった、各種電子機器又は電子装置に搭載することが可能である。
【符号の説明】
【0117】
1,1A,100 半導体装置
2,102 トランジスタ部
10,110 基板
10a,110a 素子分離領域
10b,110b 活性領域
10c,10d 面
10e,52,53,54,55 開口部
11 下地基板
12 半導体層
12a チャネル層
12b バリア層
12c キャップ層
20,120 ゲート電極
20A ゲートフィンガー部
21,121 ゲート配線
30,130 ソース電極
30A ソースフィンガー部
30B ソース配線部
30C ストッパ層
31,131 ソース配線
32,33 引き出し部
32a,33a 縁
34,35,134 GNDビア
36 電極層
40,140 ドレイン電極
40A ドレインフィンガー部
40B ドレイン配線部
41,141 ドレイン配線
42,133 ブリッジ配線
50,51 絶縁膜
60 犠牲層
101 2DEG
122 ゲートパッド
132 ソースパッド
200 半導体パッケージ
20a,30a,40a パッド
210 リードフレーム
210a ダイパッド
211 ゲートリード
212 ソースリード
213 ドレインリード
220 樹脂
230 ワイヤ
300 PFC回路
310,421,422,423,441,442,443,444 スイッチ素子
320 ダイオード
330 チョークコイル
340,350 コンデンサ
360 ダイオードブリッジ
370 交流電源
400 電源装置
410 一次側回路
420 二次側回路
430 トランス
440 フルブリッジインバータ回路
500 増幅器
510 デジタルプレディストーション回路
520,530 ミキサー
540 パワーアンプ
D1,D2 方向