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特開2022-170897情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170897
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20221104BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077180
(22)【出願日】2021-04-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】521189732
【氏名又は名称】株式会社トクベツ
(74)【代理人】
【識別番号】100211719
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 和真
(72)【発明者】
【氏名】大川 敬爾
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】所定の土地に対するより現実的な建物の間取りを、容易に且つ速やかに自動生成する。
【解決手段】本開示の情報処理装置は、所定の土地に対する建物の間取りを自動生成する情報処理装置である。この情報処理装置は、土地情報及び建築条件を取得することと、複数の間取り生成パターンの中からユーザ選択パターンを取得することと、土地情報及び建築条件に基づいて建築枠を生成し、該建築枠の中に適用可能な適用可能パターンを抽出することと、適用可能パターンに含まれるユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建物の間取りを構成する所定の構成要素を建築枠の中に配置することと、を実行する制御部を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の土地に対する建物の間取りを自動生成する情報処理装置であって、
前記土地の大きさ及び形状に関する情報を含んだ土地情報、及び該土地に建築される建物に適用される所定の建築条件を取得することと、
予め定められた複数の間取り生成パターンの中から、ユーザによって選択された所定の間取り生成パターンであるユーザ選択パターンを取得することと、
前記土地情報及び前記建築条件に基づいて、前記土地に建築可能な最も大きな建物の外周である建築枠を生成し、前記複数の間取り生成パターンの中から、該建築枠の中に適用可能な所定の間取り生成パターンである適用可能パターンを抽出することと、
前記適用可能パターンに含まれる前記ユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建物の間取りを構成する所定の構成要素を前記建築枠の中に配置することと、
を実行する制御部を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記適用可能パターンに前記ユーザ選択パターンが含まれるか否かを判定することを、更に実行し、
前記ユーザ選択パターンが前記適用可能パターンに含まれる場合に、前記構成要素を前記建築枠の中に配置する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記建築枠によって画定される領域である建築領域を、前記建築枠の中に設定可能な最も大きな長方形である直角枠によって画定される領域である直角領域と、該建築領域から該直角領域を差し引いた残りの領域である残領域と、に分割し、前記直角領域に前記構成要素を配置するとともに、前記構成要素が配置された前記直角領域と、前記構成要素が配置されない前記残領域と、を結合することで、建物の間取りを完成させる、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記残領域が、前記構成要素のうちの玄関又は廊下又は部屋からなる第1構成要素と隣接する場合には、該残領域を該第1構成要素に統合し、前記残領域が、前記構成要素のうちのガレージ又は浴室又は洗面所又は階段からなる第2構成要素と隣接する場合には、該残領域を該第2構成要素には統合せずに該残領域をデッドスペースとして独立させる、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記構成要素のうちの玄関と、階段と、該玄関から延在する廊下と、を含んだ所定の領域である第1領域を基準として、該第1領域における廊下の端であって玄関とは反対側の端である廊下端と、該廊下端と対向する所定の部分である対向部と、の間に部屋を配置するとともに、前記廊下端と前記対向部との距離が所定値以上の場合には、該部屋を2つに分割する、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記対向部は、前記建築枠において前記廊下端と対向する所定の建築端である、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記対向部は、前記構成要素のうちのガレージを画定するガレージ枠において前記廊下端と対向する所定のガレージ端である、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
所定の土地に対する建物の間取りを自動生成する情報処理方法であって、
コンピュータが、
前記土地の大きさ及び形状に関する情報を含んだ土地情報、及び該土地に建築される建物に適用される所定の建築条件を取得することと、
予め定められた複数の間取り生成パターンの中から、ユーザによって選択された所定の間取り生成パターンであるユーザ選択パターンを取得することと、
前記土地情報及び前記建築条件に基づいて、前記土地に建築可能な最も大きな建物の外周である建築枠を生成し、前記複数の間取り生成パターンの中から、該建築枠の中に適用可能な所定の間取り生成パターンである適用可能パターンを抽出することと、
前記適用可能パターンに含まれる前記ユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建物の間取りを構成する所定の構成要素を前記建築枠の中に配置することと、
を実行する情報処理方法。
【請求項9】
所定の土地に対する建物の間取りを自動生成する情報処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記土地の大きさ及び形状に関する情報を含んだ土地情報、及び該土地に建築される建物に適用される所定の建築条件を取得することと、
予め定められた複数の間取り生成パターンの中から、ユーザによって選択された所定の間取り生成パターンであるユーザ選択パターンを取得することと、
前記土地情報及び前記建築条件に基づいて、前記土地に建築可能な最も大きな建物の外周である建築枠を生成し、前記複数の間取り生成パターンの中から、該建築枠の中に適用可能な所定の間取り生成パターンである適用可能パターンを抽出することと、
前記適用可能パターンに含まれる前記ユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建物の間取りを構成する所定の構成要素を前記建築枠の中に配置することと、
を実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の土地に対する建物の間取りを自動生成する情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空家や空地についての社会問題が顕在化しつつも、各種の補助金や低水準の住宅ローン金利、またはマンション経営の定着等、不動産取引を後押しする材料は多い。
【0003】
ここで、不動産の購入を希望している購入希望者は、土地を購入する際に、購入後の建物の間取りや建築イメージを予め想定することができれば、安心して土地購入の契約を結ぶことができる。これについて、特許文献1には、住宅の取得希望者が、土地入力用の機能部、間取りプラン選択用の機能部、間取りプランはめ込み用の機能部を用いて、インターネット上で自分が保有する土地に希望する間取りプランが納まるかどうかを確認できるようにする技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、複数の間取り案をその特徴データとともに予め間取り案データベースとして格納しておき、所定の条件と特徴データとが合致あるいは類似する間取り案を間取り案データベースから呼び出して選択可能にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-316819号公報
【特許文献2】特開2003-345860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
不動産売買の営業者は、不動産の購入を希望している購入希望者が、土地を購入する際に購入後の建物の間取りや建築イメージを予め想定できるようにするために、従来から、その土地に対する建物の間取り図面を作成して、購入希望者に提案を行ってきた。しかしながら、そのような建物の間取り図面の作成を建築会社や建築士等に依頼すると、該間取り図面が完成するまでに1週間程度の期間を要する場合が多い。そうすると、例えば、購入希望者と営業者とが現地の土地を見ながら商談を行っているような場合において、購入希望者が現地にて建物の間取りの希望を営業者に伝えたとしても、その土地に対する建物の間取り図面をすぐには得られないため、購入希望者が、現地にて購入後の建物の間取りや建築イメージを想定することが困難となる。一方、営業者の立場からみても、間取り図面が完成するまでの期間に購入希望者の不動産購入意欲が減退してしまう虞があるため、購入希望者から現地にて建物の間取りの希望を取得した時点で、その土地に対する建物の間取り図面をすぐに得られることが望ましい。ここで、特許文献1に記載の住宅販売支援システムによれば、インターネット上で土地に希望する間取りプランが納まるかどうかを確認することができる。そのため、購入希望者が、土地を購入する際に、現地にて購入後の建物の間取りや建築イメージを予め想定できるようになるとも思われる。しかしながら、このシステムは、住宅の容積率や建ぺい率といった情報に基づき、所定の土地に対して所定の間取りからなる建物が建築可能かどうかを判別するものであって、単に容積率や建ぺい率といった情報で判別するだけでは、所定の土地に対して所定の間取りからなる建物を建築することが実際的かどうかは必ずしも判然としない。また、特許文献1に記載の住宅販売支援システムは、あくまで予め登録された間取りプランが出力されるものであるため、土地の形状等によっては現実的な建物の間取りが得られないことがある。
【0007】
また、特許文献2に記載の間取り案取得方法によれば、敷地の形状や大きさも条件として入力されたうえで、間取り案が取得される。しかしながら、この技術も特許文献1に記載の技術と同様に、間取り案データベースに予め格納された複数の間取り案の中から、条件と合致あるいは類似する間取り案を呼び出して出力するものである。つまり、特許文献2に記載の技術を用いたとしても、現実的な建物の間取りが得られないことがある。そして、所定の土地に対するより現実的な建物の間取りを、容易に且つ速やかに生成する技術については、未だ改善の余地を残すものである。
【0008】
本開示の目的は、所定の土地に対するより現実的な建物の間取りを、容易に且つ速やかに自動生成することができ、以て、不動産取引を活性化させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の情報処理装置は、所定の土地に対する建物の間取りを自動生成する情報処理装置である。そして、この情報処理装置は、前記土地の大きさ及び形状に関する情報を含んだ土地情報、及び該土地に建築される建物に適用される所定の建築条件を取得することと、予め定められた複数の間取り生成パターンの中から、ユーザによって選択された所定の間取り生成パターンであるユーザ選択パターンを取得することと、前記土地情報及び前記建築条件に基づいて、前記土地に建築可能な最も大きな建物の外周である建築枠を生成し、前記複数の間取り生成パターンの中から、該建築枠の中に適用可能な所定の間取り生成パターンである適用可能パターンを抽出することと、前記適用可能パターンに含まれる前記ユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建物の間取りを構成する所定の構成要素を前記建築枠の中に配置することと、を実行する制御部を備える。
【0010】
上記の情報処理装置では、ユーザは、予め定められた複数の間取り生成パターンの中から希望する間取り生成パターンを選択することができる。そうすると、情報処理装置の制御部は、ユーザによって選択されたユーザ選択パターンを取得し、該ユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建築枠の中に構成要素を配置する。このような制御部の処理によれば、ユーザは、例えば、ユーザ端末を介して、自身が希望する間取り生成パターンを選択するのみで、所定の土地に対する建物の間取り図面をすぐに得ることができる。つまり、上記の情報処理装置では、その使用場所を選ぶことなく誰でも簡単に建物の間取り図面を作成することができ、ユーザの利便性が向上する。ここで、上記のユーザとは、不動産の購入を希望している購入希望者や不動産売買の営業者などである。そうすると、購入希望者が、土地を購入する際に現地にて購入後の建物の間取りや建築イメージを予め想定できるようになったり、営業者が、不動産売買における取引成約機会の逸失を回避できるようになったりする。そして、本開示の情報処理装置では、従来から知られている間取り提案システム、例えば、予め定められた間取り案データベースの中から所定の間取り案を呼び出して出力するシステムとは異なり、制御部が、建築枠の中に構成要素を配置していく。これにより、土地の形状等によらず、所定の土地に対するより現実的な建物の間取りを生成することができるとともに、個々の土地に合わせてオリジナルの間取りを生成することができる。これによれば、例えば、空家や空地の再利用を検討する場面において、その土地に対するより現実的な建物の間取りを、容易に且つ速やかに自動生成することができるため、不動産取引を活性化させることができる。なお、このような情報処理装置において、前記制御部は、前記適用可能パターンに前記ユーザ選択パターンが含まれるか否かを判定することを、更に実行し、前記ユーザ選択パターンが前記適用可能パターンに含まれる場合に、前記構成要素を前記建築枠の中に配置してもよい。
【0011】
そして、上記の情報処理装置において、前記制御部は、前記建築枠によって画定される領域である建築領域を、前記建築枠の中に設定可能な最も大きな長方形である直角枠によって画定される領域である直角領域と、該建築領域から該直角領域を差し引いた残りの領域である残領域と、に分割し、前記直角領域に前記構成要素を配置するとともに、前記構成要素が配置された前記直角領域と、前記構成要素が配置されない前記残領域と、を結合することで、建物の間取りを完成させてもよい。なお、本開示の情報処理装置では、制御部は、建築領域を直角領域と残領域とに分割することなく、該建築領域に直接構成要素を配置してもよい。この場合、制御部は、所定の間取りデータの入力を受け付ける入力層と、入力された該間取りデータから想定される構成要素の配置パターンを表す特徴量を抽出する中間層と、該特徴量に基づく識別結果を出力する出力層と、を有するニューラルネットワークモデルであって、間取りデータに対する構成要素の配置パターンを含んだデータを用いて学習を行うことにより構築された事前学習モデルに、ユーザ選択パターンを入力することで、建築領域に直接構成要素を配置してもよい。
【0012】
また、このように、建築領域を直角領域と残領域とに分割する場合において、前記制御部は、前記残領域が、前記構成要素のうちの玄関又は廊下又は部屋からなる第1構成要素と隣接する場合には、該残領域を該第1構成要素に統合し、前記残領域が、前記構成要素のうちのガレージ又は浴室又は洗面所又は階段からなる第2構成要素と隣接する場合には、該残領域を該第2構成要素には統合せずに該残領域をデッドスペースとして独立させてもよい。
【0013】
更に、前記制御部は、前記構成要素のうちの玄関と、階段と、該玄関から延在する廊下と、を含んだ所定の領域である第1領域を基準として、該第1領域における廊下の端であって玄関とは反対側の端である廊下端と、該廊下端と対向する所定の部分である対向部と、の間に部屋を配置するとともに、前記廊下端と前記対向部との距離が所定値以上の場合には、該部屋を2つに分割してもよい。この場合、前記対向部は、前記建築枠において前記廊下端と対向する所定の建築端であってもよいし、前記構成要素のうちのガレージを画定するガレージ枠において前記廊下端と対向する所定のガレージ端であってもよい。このように、廊下端と対向部との間に部屋を配置するとともに、該廊下端と該対向部との距離が所定値以上の場合には該部屋を2つに分割することによれば、現実的な建物の間取りをより好適に生成することができる。
【0014】
また、本開示は、コンピュータによる情報処理方法の側面から捉えることができる。すなわち、本開示の情報処理方法は、所定の土地に対する建物の間取りを自動生成する情報処理方法であって、コンピュータが、前記土地の大きさ及び形状に関する情報を含んだ土地情報、及び該土地に建築される建物に適用される所定の建築条件を取得することと、予め定められた複数の間取り生成パターンの中から、ユーザによって選択された所定の間取り生成パターンであるユーザ選択パターンを取得することと、前記土地情報及び前記建築条件に基づいて、前記土地に建築可能な最も大きな建物の外周である建築枠を生成し、前記複数の間取り生成パターンの中から、該建築枠の中に適用可能な所定の間取り生成パターンである適用可能パターンを抽出することと、前記適用可能パターンに含まれる前記ユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建物の間取りを構成する所定の構成要素を前記建築枠の中に配置することと、を実行する。
【0015】
また、本開示は、情報処理プログラムの側面から捉えることができる。すなわち、本開示の情報処理プログラムは、所定の土地に対する建物の間取りを自動生成する情報処理プログラムであって、コンピュータに、前記土地の大きさ及び形状に関する情報を含んだ土地情報、及び該土地に建築される建物に適用される所定の建築条件を取得することと、予め定められた複数の間取り生成パターンの中から、ユーザによって選択された所定の間取り生成パターンであるユーザ選択パターンを取得することと、前記土地情報及び前記建築条件に基づいて、前記土地に建築可能な最も大きな建物の外周である建築枠を生成し、前記複数の間取り生成パターンの中から、該建築枠の中に適用可能な所定の間取り生成パターンである適用可能パターンを抽出することと、前記適用可能パターンに含まれる前記ユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建物の間取りを構成する所定の構成要素を前記建築枠の中に配置することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、所定の土地に対するより現実的な建物の間取りを、容易に且つ速やかに自動生成することができ、以て、不動産取引を活性化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態における情報処理システムの概略構成を示す図である。
図2】第1実施形態における、情報処理システムに含まれるサーバのサーバ構成要素をより詳細に示すとともに、サーバと通信を行うユーザ端末のユーザ端末構成要素を示した図である。
図3】土地情報および建築条件の入力画面を例示する図である。
図4】ユーザ選択パターンの入力画面を例示する図である。
図5】抽出部が生成する建築枠について説明するための図である。
図6】建築枠の面積と、そこに適用可能な間取り生成パターンと、の関係を例示する図である。
図7】第1実施形態における情報処理システムの動作の流れを例示する第1の図である。
図8】第1実施形態における情報処理システムの動作の流れを例示する第2の図である。
図9】土地に対して生成された建築領域が、直角領域と残領域とに分割される例を示す図である。
図10】直角領域に配置される構成要素を例示する図である。
図11】直角領域と残領域との統合を説明するための図である。
図12】第1実施形態における部屋の分割を説明するための第1の図である。
図13】第1実施形態における部屋の分割を説明するための第2の図である。
図14】第2実施形態における事前学習モデルに対する入力から得られる識別結果と、該事前学習モデルを構成するニューラルネットワークを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0019】
<第1実施形態>
第1実施形態における情報処理システムの概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における情報処理システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る情報処理システム100は、ネットワーク200と、サーバ300と、ユーザ端末400と、を含んで構成される。なお、本実施形態における情報処理システム100は、所定の土地に対する建物の間取りを自動生成するためのシステムであって、該間取りの自動生成は、サーバ300によって実行される。また、本開示の技術を利用するユーザは、例えば、不動産の購入を希望している購入希望者や不動産売買の営業者などであるが、本実施形態では、不動産売買の営業者による利用を例にして、以下に説明する。
【0020】
ネットワーク200は、例えば、IPネットワークである。ネットワーク200は、IPネットワークであれば、無線であっても有線であっても無線と有線の組み合わせであってもよく、例えば、無線による通信であれば、ユーザ端末400は、無線LANアクセスポイント(不図示)にアクセスし、LANやWANを介してサーバ300と通信してもよい。また、ネットワーク200は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網や、光回線、ADSL回線、衛星通信網などであってもよい。
【0021】
サーバ300は、ネットワーク200を介して、ユーザ端末400と接続される。なお、図1において、説明を簡単にするために、サーバ300は1台、ユーザ端末400は4台示してあるが、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0022】
サーバ300は、データの取得、生成、更新等の演算処理及び加工処理のための処理能力のあるコンピュータ機器であればどの様な電子機器でもよく、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、メインフレーム、その他電子機器であってもよい。すなわち、サーバ300は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、あるいは、CDやDVDのようなディスク記録媒体であってもよい。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納されている。
【0023】
また、サーバ300は、本実施形態に係る情報処理システム100専用のソフトウェアやハードウェア、OS等を設けずに、クラウドサーバによるSaaS(Software as a Service)、Paas(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)を適宜用いてもよい。
【0024】
ユーザ端末400は、情報処理システム100を利用するユーザが保有する携帯端末等の電子機器であればよく、例えば、携帯端末、タブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ等、その他端末機器であってもよい。
【0025】
次に、図2に基づいて、主にサーバ300のサーバ構成要素の詳細な説明を行う。図2は、第1実施形態における、情報処理システム100に含まれるサーバ300のサーバ構成要素をより詳細に示すとともに、サーバ300と通信を行うユーザ端末400のユーザ端末構成要素を示した図である。
【0026】
サーバ300は、機能部として通信部301、記憶部302、制御部303を有しており、補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各機能部等が制御されることによって、各機能部における所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0027】
ここで、通信部301は、サーバ300をネットワーク200に接続するための通信インタフェースである。通信部301は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。サーバ300は、通信部301を介して、ユーザ端末400やその他の外部装置と通信可能に接続される。
【0028】
記憶部302は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部303によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部303において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。また、記憶部302は、ユーザ端末400等から送信されたデータを記憶する。なお、サーバ300は、通信部301を介してユーザ端末400等から送信されたデータを取得する。更に、記憶部302には、後述する間取り生成パターンや建物の間取りを構成する所定の構成要素が記憶される。
【0029】
制御部303は、サーバ300が行う制御を司る機能部である。制御部303は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。制御部303は、更に、取得部3031と、抽出部3032と、判定部3033と、生成部3034と、の4つの機能部を有して構成される。各機能部は、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0030】
取得部3031は、建物の間取りを生成しようとする土地の大きさ及び形状に関する情報を含んだ土地情報と、該土地に建築される建物に適用される所定の建築条件と、を取得する。ここで、建築条件とは、建ぺい率、容積率、高さ制限、道路斜線制限などである。取得部3031は、情報処理システム100のユーザ(不動産売買の営業者)のユーザ端末400から送信されたこれら情報を取得し、これらをサーバ300の記憶部302に記憶させる。
【0031】
ここで、本実施形態におけるユーザ端末400は、機能部として通信部401、入出力部402、記憶部403を有している。通信部401は、ユーザ端末400をネットワーク200に接続するための通信インタフェースであり、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。入出力部402は、通信部401を介して外部から送信されてきた情報等を表示させたり、通信部401を介して外部に情報を送信する際に当該情報を入力したりするための機能部である。記憶部403は、サーバ300の記憶部302と同様に主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。
【0032】
入出力部402は、更に、表示部4021、操作入力部4022、画像・音声入出力部4023を有している。表示部4021は、各種情報を表示する機能を有し、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等により実現される。操作入力部4022は、ユーザからの操作入力を受け付ける機能を有し、具体的には、タッチパネル等のソフトキーあるいはハードキーにより実現される。画像・音声入出力部4023は、静止画や動画等の画像の入力を受け付ける機能を有し、具体的には、Charged-Coupled Devices(CCD)、Metal-oxide-semiconductor(MOS)あるいはComplementary Metal-Oxide-Semiconductor(CMOS)等のイメージセンサを用いたカメラにより実現される。また、画像・音声入出力部4023は、音声の入出力を受け付ける機能を有し、具体的には、マイクやスピーカーにより実現される。
【0033】
ユーザは、このように構成されたユーザ端末400を用いて、土地情報および建築条件をサーバ300に送信することができる。ここで、サーバ300は、上記の情報を入力するためのインタフェースをユーザ端末400に提供してもよい。そうすると、ユーザは、ユーザ端末400を介して上記のインタフェースに情報を入力することで、土地情報および建築条件をサーバ300に送信することができる。図3は、土地情報および建築条件の入力画面を例示する図である。図3に例示する画面SC1には、土地情報入力フィールドSC11、および建築条件入力フィールドSC12が示される。ユーザは、図3に例示する画面SC1を介して、土地情報および建築条件を入力するためのインタフェースをユーザ端末400の表示部4021に表示させ、操作入力部4022を用いてこれら情報を入力することができる。なお、土地情報入力フィールドSC11に含まれる土地の形状については、プルダウンからの選択により入力されてもよい。そして、このプルダウンにより表示される土地の形状リストには、例えば、図3に示されるように、所定の整形地や旗竿地、角地などが含まれる。ただし、土地の形状リストをこれらに限定する意図はなく、任意の土地形状が適宜設定され得る。また、このようなインタフェースは、土地の各辺の長さを入力可能に構成されてもよい。
【0034】
ここで、建ぺい率、容積率、高さ制限、道路斜線制限などの建築条件を調べて入力することは、ユーザの負担となり得る。そこで、取得部3031は、例えば、都市計画図において定められている用途地域に基づいて、これら情報を取得してもよい。この場合、ユーザは、上記のインタフェースを介して、建物の間取りを生成しようとする土地の住所を入力すればよい。
【0035】
そして、図2に戻って、取得部3031は、予め定められた複数の間取り生成パターンの中から、ユーザによって選択された所定の間取り生成パターンであるユーザ選択パターンを取得する。本実施形態のように、情報処理システム100のユーザが不動産売買の営業者である場合には、該営業者は、不動産の購入を希望している購入希望者が望んでいる間取り生成パターンをユーザ端末400に入力することができる。そうすると、取得部3031は、ユーザ端末400から送信されたユーザ選択パターンを取得し、これをサーバ300の記憶部302に記憶させる。
【0036】
ここで、サーバ300は、ユーザ選択パターンを入力するためのインタフェースをユーザ端末400に提供してもよい。そうすると、ユーザは、ユーザ端末400を介して、上記のインタフェースで表示された複数の間取り生成パターンの中から所定の間取り生成パターンを選択することで、ユーザ選択パターンをサーバ300に送信することができる。図4は、ユーザ選択パターンの入力画面を例示する図である。図4に例示する画面SC2には、間取り生成パターン選択フィールドSC21が示される。ユーザは、図4に例示する画面SC2を介して、ユーザ選択パターンを入力するためのインタフェースをユーザ端末400の表示部4021に表示させ、操作入力部4022を用いてこの情報を入力することができる。なお、ユーザ選択パターンは、プルダウンからの選択により入力されてもよい。そして、このプルダウンにより表示される間取り生成パターンのリストには、例えば、図4に示されるように、建物の階数に関する情報や間取りの種別、ガレージ(駐車場等)の有無などが含まれる。ただし、間取り生成パターンのリストをこれらに限定する意図はなく、任意の間取り生成パターンが適宜設定され、サーバ300の記憶部302に記憶され得る。
【0037】
そして、図2に戻って、抽出部3032は、土地情報及び建築条件に基づいて、上記の土地に建築可能な最も大きな建物の外周である建築枠を生成し、複数の間取り生成パターンの中から、該建築枠の中に適用可能な所定の間取り生成パターンである適用可能パターンを抽出する。ここで、上記の土地情報及び建築条件は、取得部3031によって取得され、サーバ300の記憶部302に記憶されている。また、上記の複数の間取り生成パターンは、例えば、上記の図4に示した間取り生成パターンであって、予め定められてサーバ300の記憶部302に記憶されている。
【0038】
ここで、図5は、抽出部3032が生成する建築枠について説明するための図である。一般的には、上述した建築条件により、土地面積全体に建物を建築することができない。そこで、抽出部3032は、図5に示すように、土地10に対して、その土地情報及び建築条件に基づいて、そこに建築可能な最も大きな建物の外周を建築枠11として生成する。なお、抽出部3032は、建築条件等に基づいて定められる土地境界から建物までの距離などを用いて、建築枠11を生成することができる。また、図5には、建築枠11によって画定される領域である建築領域11aが併せて示されるが、これについては後述する。
【0039】
そして、抽出部3032は、上記の建築枠11の中に適用可能な間取り生成パターン(適用可能パターン)を抽出する。これについて、図6に基づいて説明する。図6は、建築枠11の面積と、そこに適用可能な間取り生成パターンと、の関係を例示する図である。サーバ300の記憶部302には、図6に例示するような、建築枠11の面積と、そこに適用可能な間取り生成パターンと、の関係が予め記憶されている。そして、抽出部3032は、土地情報及び建築条件に基づいて生成した建築枠11およびその面積と、上記の関係と、に基づいて、複数の間取り生成パターンの中から適用可能パターンを抽出することができる。図6に示す例では、例えば、建築枠11の面積が60m2の場合、2LDK~6LDKの間取り種別のうちの2LDKが、適用可能パターンとして抽出される。なお、図6は、一般住宅を対象とした例であって、対象がアパートやマンションである場合には、それに応じた建築枠の面積と適用可能な間取り生成パターンとの関係が適宜設定され、サーバ300の記憶部302に記憶され得る。
【0040】
そして、図2に戻って、判定部3033は、適用可能パターンにユーザ選択パターンが含まれるか否かを判定する。そして、生成部3034は、ユーザ選択パターンが適用可能パターンに含まれる場合に、ユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建物の間取りを構成する所定の構成要素を建築枠11の中に配置する。これら処理についての詳細は、後述する。
【0041】
なお、制御部303が、取得部3031、抽出部3032、判定部3033、および生成部3034の処理を実行することで、本開示に係る制御部として機能する。
【0042】
ここで、本実施形態における情報処理システム100の動作の流れについて説明する。図7は、本実施形態における情報処理システム100の動作の流れを例示する第1の図である。図7では、本実施形態における情報処理システム100におけるサーバ300とユーザ端末400との間の動作の流れ、およびサーバ300とユーザ端末400とが実行する処理を説明する。
【0043】
本実施形態では、先ず、土地情報及び建築条件が入力される(S101)。情報処理システム100のユーザは、上述したように、サーバ300によって提供されたインタフェースを介してユーザ端末400に土地情報及び建築条件を入力することができる。そして、入力されたこれら情報は、ユーザ端末400からサーバ300に送信される。
【0044】
サーバ300は、ユーザ端末400から送信された上記の情報を取得する(S102)。なお、サーバ300は、上述したように、例えば、都市計画図において定められている用途地域に基づいて、建築条件を取得してもよい。そして、サーバ300は、取得した上記の情報を記憶部302に記憶させる。
【0045】
また、サーバ300は、複数の間取り生成パターンをユーザに提示するための処理を行う(S103)。詳しくは、サーバ300は、例えば、上記の図4に示したようなユーザ選択パターンを入力するためのインタフェースをユーザ端末400に提供することで、間取り生成パターンをユーザに提示することができる。そして、ユーザ端末400は、サーバ300から送信された複数の間取り生成パターンを取得し(S104)、ユーザからのユーザ選択パターンの入力を受け付ける(S105)。ここで、ユーザは、上述したように、サーバ300によって提供されたインタフェースを介して、複数の間取り生成パターンの中から所定の間取り生成パターンを選択することでユーザ選択パターンを入力することができる。そして、入力されたユーザ選択パターンに関する情報は、ユーザ端末400からサーバ300に送信される。
【0046】
サーバ300は、ユーザ端末400から送信されたユーザ選択パターンを取得する(S106)。そして、S102の処理で取得した土地情報及び建築条件に基づいて、建築枠を生成する(S107)。更に、サーバ300は、S107の処理で生成した建築枠の面積と、サーバ300の記憶部302に予め記憶されている上記の図6に示したような関係と、に基づいて、適用可能パターンを抽出する(S108)。
【0047】
そして、サーバ300は、S108の処理で抽出した適用可能パターンにS106の処理で取得したユーザ選択パターンが含まれるか否かを判定する(S109)。サーバ300は、例えば、適用可能パターンの間取りの種別が2LDKおよび3LDKの場合において、ユーザ選択パターンの間取りの種別が3LDKのときには適用可能パターンにユーザ選択パターンが含まれると判定し、ユーザ選択パターンの間取りの種別が4LDKのときには適用可能パターンにユーザ選択パターンが含まれないと判定する。そして、サーバ300は、ユーザ選択パターンが適用可能パターンに含まれる場合、S110の処理へ進み、ユーザ選択パターンが適用可能パターンに含まれない場合、S103の処理へ戻る。この場合、サーバ300は、ユーザ選択パターンが適用可能パターンに含まれない旨を併せて通知し、ユーザに間取り生成パターンの再選択を促すことができる。
【0048】
ここで、本実施形態では、サーバ300は、ユーザ選択パターンを取得する前に適用可能パターンを抽出し、この抽出した適用可能パターンを、予め定められた複数の間取り生成パターンとしてユーザに提示してもよい。図8は、本実施形態における情報処理システム100の動作の流れを例示する第2の図である。図8に示す例では、サーバ300は、S102の処理の後に、この処理で取得した土地情報及び建築条件に基づいて、建築枠を生成し(S107)、適用可能パターンを抽出する(S108)。なお、これら処理の詳細は上述したとおりである。そして、サーバ300は、S108の処理で抽出した適用可能パターンを、予め定められた複数の間取り生成パターンとしてユーザに提示する。詳しくは、サーバ300は、例えば、上記の図4に示したようなユーザ選択パターンを入力するためのインタフェースをユーザ端末400に提供することで、適用可能パターンをユーザに提示することができる。そして、ユーザ端末400は、サーバ300から送信された適用可能パターンを取得し(S104)、ユーザからのユーザ選択パターンの入力を受け付ける(S105)。サーバ300は、このようにして、適用可能パターンに含まれるユーザ選択パターンを取得すると(S106)、S110の処理へ進む。
【0049】
そして、図7に戻って、サーバ300は、ユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建物の間取りを構成する所定の構成要素を建築枠の中に配置することで間取りを生成する(S110)。これについて、以下に詳しく説明する。
【0050】
本実施形態では、サーバ300の制御部303が有する生成部3034は、上記の図5に示した建築枠11によって画定される領域である建築領域11aを、建築枠11の中に設定可能な最も大きな長方形である直角枠12によって画定される領域である直角領域12aと、該建築領域11aから該直角領域12aを差し引いた残りの領域である残領域13aと、に分割する。図9は、土地10に対して生成された建築領域11aが、直角領域12aと残領域13aとに分割される例を示す図である。図9に示すように、建築枠11の中に設定可能な最も大きな長方形(これには正方形も含まれる)が直角枠12として設定される。そして、この直角枠12によって画定される領域(図の斜線部)が直角領域12aとして設定される。また、建築領域11aから直角領域12aを差し引いた残りの領域が残領域13aとして設定される。
【0051】
そして、生成部3034は、上記の直角領域12aに上記の構成要素を配置する。図10は、直角領域12aに配置される構成要素を例示する図である。なお、図10(a)は建物の1階を表し、図10(b)は建物の2階を、図10(c)は建物の3階を表す。図10(a)に示されるように、建物の1階には、上記の構成要素のうちの玄関、廊下、階段、ガレージ、洗面所、浴室、トイレ、洋室が配置される。また、建物の2階には、図10(b)に示す階段、LDKが配置され、建物の3階には、図10(c)に示す階段、トイレ、2つの洋室が配置される。そして、これら構成要素は、直角領域12aに配置される。
【0052】
ここで、上述した構成要素のうち、例えば、階段、ガレージ、洗面所、浴室、トイレといった所定の設備は、略長方形のユニットとして構成要素毎にその大きさや形状が予め定められている。したがって、直角領域12aに構成要素が配置されることによって、これら設備の構成要素が配置され易くなる。
【0053】
更に、生成部3034は、構成要素が配置された直角領域12aと、構成要素が配置されない残領域13aと、を結合することで、建物の間取りを完成させる。図11は、直角領域12aと残領域13aとの統合を説明するための図である。なお、図11(a)~(c)は、図10(a)~(c)と対応している。ここで、生成部3034は、残領域13aが、構成要素のうちの玄関又は廊下又は部屋からなる第1構成要素と隣接する場合には、該残領域13aを該第1構成要素に統合する。例えば、図11(a)に示される例では、玄関、廊下、および洋室に隣接する残領域13aが、これら構成要素に統合されている。また、図11(b)に示される例では、LDKに隣接する残領域13aがこの構成要素に統合され、図11(c)に示される例では、洋室に隣接する残領域13aがこの構成要素に統合されている。一方、生成部3034は、残領域13aが、構成要素のうちのガレージ又は浴室又は洗面所又は階段からなる第2構成要素と隣接する場合には、該残領域13aを該第2構成要素には統合せずに該残領域13aをデッドスペースとして独立させる。例えば、図11(a)に示される例では、ガレージ、浴室、洗面所、および階段に隣接する残領域13aが、これら構成要素に統合されることなくデッドスペース13bとして独立している。また、図11(b)、(c)に示される例では、階段に隣接する残領域13aが、この構成要素に統合されることなくデッドスペース13bとして独立している。これによれば、建物の間取りを容易に生成できるだけでなく、より現実的な建物の間取りを生成することができる。
【0054】
そして、図7に戻って、サーバ300は、S110の処理で生成した間取りをユーザ端末400に送信し、ユーザ端末400が、この間取り情報を取得する(S111)。
【0055】
以上に述べた処理によれば、従来から知られている間取り提案システム、例えば、予め定められた間取り案データベースの中から所定の間取り案を呼び出して出力するシステムとは異なり、生成部3034が、建築枠11の中に構成要素を配置していく。これにより、土地の形状等によらず、所定の土地に対するより現実的な建物の間取りを生成することができるとともに、個々の土地に合わせてオリジナルの間取りを生成することができる。また、ユーザは、間取り生成パターンを選択するのみで、所定の土地に対する建物の間取り図面をすぐに得ることができる。つまり、本実施形態の情報処理システム100では、その使用場所を選ぶことなく誰でも簡単に建物の間取り図面を作成することができ、ユーザの利便性が向上する。そうすると、営業者は、例えば、不動産売買における取引成約機会の逸失を回避することができる。
【0056】
ここで、生成部3034は、構成要素のうちの玄関と、階段と、該玄関から延在する廊下と、を含んだ所定の領域である第1領域を基準として、該第1領域における廊下の端であって玄関とは反対側の端である廊下端と、該廊下端と対向する所定の部分である対向部と、の間に部屋を配置するとともに、廊下端と対向部との距離が所定値以上の場合には、該部屋を2つに分割してもよい。これについて、図12および図13に基づいて説明する。
【0057】
図12は、本実施形態における部屋の分割を説明するための第1の図である。図12に示す例では、上記の対向部が、建築枠11において上記の廊下端と対向する所定の建築端である。そして、図12(a)に示す例では、廊下端と建築端(対向部)との距離がd1であって、図12(b)に示す例では、廊下端と建築端(対向部)との距離がd2である。ここで、距離d1が7000mm、距離d2が3000mm、上記の所定値が5460mmとすると、距離d1が所定値以上となるため、図12(a)に示すように、廊下端と建築端(対向部)との間の部屋が2つに分割される。なお、図12(a)に示す例では、廊下端と建築端(対向部)との間の中央で部屋が分割されている。
【0058】
図13は、本実施形態における部屋の分割を説明するための第2の図である。図13に示す例では、上記の対向部が、ガレージを画定するガレージ枠において上記の廊下端と対向する所定のガレージ端である。そして、図13(a)に示す例では、廊下端とガレージ端(対向部)との距離がd3であって、図13(b)に示す例では、廊下端とガレージ端(対向部)との距離がd4である。ここで、距離d3が6000mm、距離d4が4000mm、上記の所定値が5460mmとすると、距離d3が所定値以上となるため、図13(a)に示すように、廊下端とガレージ端(対向部)との間の部屋が2つに分割される。なお、図13(a)に示す例では、廊下端とガレージ端(対向部)との間の中央で部屋が分割されている。
【0059】
以上に述べた情報処理システム100によれば、所定の土地に対するより現実的な建物の間取りを、容易に且つ速やかに自動生成することができ、以て、不動産取引を活性化させることができる。
【0060】
<第2実施形態>
上記の第1実施形態の説明で述べた情報処理システム100では、サーバ300の制御部303が有する生成部3034が、建築領域11aを直角領域12aと残領域13aとに分割し、直角領域12aに構成要素を配置する。これに対して、本実施形態の情報処理システム100では、生成部3034は、建築領域11aを直角領域12aと残領域13aとに分割することなく、建築領域11aに直接構成要素を配置する。
【0061】
この場合、生成部3034は、ユーザ選択パターンを事前学習モデルに入力することで、建築領域11aに直接構成要素を配置することができる。そして、事前学習モデルは、所定の間取りデータに対する構成要素の配置パターンを含んだデータを用いて学習を行うことにより構築される。
【0062】
ここで、図14は、本実施形態における事前学習モデルに対する入力から得られる識別結果と、該事前学習モデルを構成するニューラルネットワークを説明するための図である。本実施形態では、事前学習モデルとして、ディープラーニングにより生成されるニューラルネットワークモデルを用いる。本実施形態における事前学習モデル30は、所定の間取りデータの入力を受け付ける入力層31と、入力層31に入力された該間取りデータから想定される構成要素の配置パターンを表す特徴量を抽出する中間層(隠れ層)32と、特徴量に基づく識別結果を出力する出力層33とを有する。なお、図14の例では、事前学習モデル30は、1層の中間層32を有しており、入力層31の出力が中間層32に入力され、中間層32の出力が出力層33に入力されている。ただし、中間層32の数は、1層に限られなくてもよく、事前学習モデル30は、2層以上の中間層32を有してもよい。
【0063】
また、図14によると、各層31~33は、1又は複数のニューロンを備えている。例えば、入力層31のニューロンの数は、入力される間取りデータに応じて設定することができる。また、出力層33のニューロンの数は、識別結果である想定される構成要素の配置パターンに応じて設定することができる。
【0064】
そして、隣接する層のニューロン同士は適宜結合され、各結合には重み(結合荷重)が機械学習の結果に基づいて設定される。図14の例では、各ニューロンは、隣接する層の全てのニューロンと結合されているが、ニューロンの結合は、このような例に限定されなくてもよく、適宜設定することができる。
【0065】
このような事前学習モデル30は、例えば、間取りデータに対する構成要素の配置パターンを含んだデータと、配置パターンのラベルと、の組みである教師データを用いて教師あり学習を行うことで構築される。具体的には、特徴量とラベルとの組みをニューラルネットワークに与え、ニューラルネットワークの出力がラベルと同じとなるように、ニューロン同士の結合の重みがチューニングされる。このようにして、教師データの特徴を学習し、入力から結果を推定するための事前学習モデルが帰納的に獲得される。
【0066】
なお、事前学習モデル30は、教師なし学習を行うことで構築されてもよい。教師なし学習には、例えば、転移学習の一種であるドメイン適応を用いることができる。これによれば、ラベルが付された教師データを大量に用意することなく、事前学習モデルを獲得することができる。
【0067】
このように、ユーザ選択パターンを事前学習モデルに入力することで、建築領域11aに直接構成要素を配置する処理によれば、従来から知られている間取り提案システム、例えば、予め定められた間取り案データベースの中から所定の間取り案を呼び出して出力するシステムとは異なり、土地の形状等によらず所定の土地に対するより現実的な建物の間取りを生成することができるとともに、個々の土地に合わせてオリジナルの間取りを生成することができる。また、ユーザは、間取り生成パターンを選択するのみで、所定の土地に対する建物の間取り図面をすぐに得ることができる。
【0068】
そして、以上に述べた情報処理システム100によっても、所定の土地に対するより現実的な建物の間取りを、容易に且つ速やかに自動生成することができ、以て、不動産取引を活性化させることができる。
【0069】
<第3実施形態>
本開示の情報処理システム100によって自動生成される建物の間取りは、アパートやマンションを対象にしたものであってもよい。上記第1実施形態の図6の説明で述べたように、対象がアパートやマンションである場合には、それに応じた建築枠の面積と適用可能な間取り生成パターンとの関係が適宜設定され、サーバ300の記憶部302に記憶される。そして、適用可能パターンに含まれるユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建築枠11の中に構成要素が配置される。
【0070】
そして、本実施形態では、サーバ300が、生成されたアパートやマンションの間取りに応じた想定レントロールを算出する。この場合、上記の間取りには、アパートやマンションの部屋割りと、各部屋における間取りと、が含まれる。
【0071】
そして、サーバ300は、上記の想定レントロールに基づいて、アパートやマンションに対する投資運用を行った場合の想定利回りを算出する。これによれば、営業者は、購入希望者に対して、可及的速やかに建物の間取り図面と想定利回りとを提示することができるため、例えば、不動産売買における取引成約機会の逸失を回避することができる。
【0072】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0073】
上記の実施形態では、不動産売買の営業者による利用を例にして説明したが、本開示の技術を利用するユーザはこれに限定されず、例えば、不動産の購入を希望している購入希望者によって利用されてもよい。この場合、購入希望者は、例えば、現地にて購入後の現実的な建物の間取りや建築イメージを簡単に想定することが可能となる。
【0074】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。例えば、取得部3031をサーバ300とは別の演算処理装置に形成してもよい。このとき当該別の演算処理装置はサーバ300と好適に協働可能に構成される。また、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0075】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0076】
100・・・情報処理システム
200・・・ネットワーク
300・・・サーバ
301・・・通信部
302・・・記憶部
303・・・制御部
400・・・ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2021-09-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の土地に対する建物の間取りを自動生成する情報処理装置であって、
前記土地の大きさ及び形状に関する情報を含んだ土地情報、及び該土地に建築される建物に適用される所定の建築条件を取得することと、
予め定められた複数の間取り生成パターンの中から、ユーザによって選択された所定の間取り生成パターンであるユーザ選択パターンを取得することと、
前記土地情報及び前記建築条件に基づいて、前記土地に建築可能な最も大きな建物の外周である建築枠を生成し、前記複数の間取り生成パターンの中から、該建築枠の中に適用可能な所定の間取り生成パターンである適用可能パターンを抽出することと、
前記適用可能パターンに含まれる前記ユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建物の間取りを構成する所定の構成要素を前記建築枠の中に配置することと、
を実行する制御部を備え
前記制御部は、前記建築枠によって画定される領域である建築領域を、前記建築枠の中に設定可能な最も大きな長方形である直角枠によって画定される領域である直角領域と、該建築領域から該直角領域を差し引いた残りの領域である残領域と、に分割し、前記直角領域に前記構成要素を配置するとともに、前記構成要素が配置された前記直角領域と、前記構成要素が配置されない前記残領域と、を結合することで、建物の間取りを完成させる、
情報処理装置。
【請求項2】
所定の土地に対する建物の間取りを自動生成する情報処理装置であって、
前記土地の大きさ及び形状に関する情報を含んだ土地情報、及び該土地に建築される建物に適用される所定の建築条件を取得することと、
予め定められた複数の間取り生成パターンの中から、ユーザによって選択された所定の間取り生成パターンであるユーザ選択パターンを取得することと、
前記土地情報及び前記建築条件に基づいて、前記土地に建築可能な最も大きな建物の外周である建築枠を生成し、前記複数の間取り生成パターンの中から、該建築枠の中に適用可能な所定の間取り生成パターンである適用可能パターンを抽出することと、
前記適用可能パターンに含まれる前記ユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建物の間取りを構成する所定の構成要素を前記建築枠の中に配置することと、
を実行する制御部を備え、
前記制御部は、前記構成要素のうちの玄関と、階段と、該玄関から延在する廊下と、を含んだ所定の領域である第1領域を基準として、該第1領域における廊下の端であって玄関とは反対側の端である廊下端と、該廊下端と対向する所定の部分である対向部と、の間に部屋を配置するとともに、前記廊下端と前記対向部との距離が所定値以上の場合には、該部屋を2つに分割する、
情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記適用可能パターンに前記ユーザ選択パターンが含まれるか否かを判定することを、更に実行し、
前記ユーザ選択パターンが前記適用可能パターンに含まれる場合に、前記構成要素を前記建築枠の中に配置する、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記残領域が、前記構成要素のうちの玄関又は廊下又は部屋からなる第1構成要素と隣接する場合には、該残領域を該第1構成要素に統合し、前記残領域が、前記構成要素のうちのガレージ又は浴室又は洗面所又は階段からなる第2構成要素と隣接する場合には、該残領域を該第2構成要素には統合せずに該残領域をデッドスペースとして独立させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記対向部は、前記建築枠において前記廊下端と対向する所定の建築端である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記対向部は、前記構成要素のうちのガレージを画定するガレージ枠において前記廊下端と対向する所定のガレージ端である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
所定の土地に対する建物の間取りを自動生成する情報処理方法であって、
コンピュータが、
前記土地の大きさ及び形状に関する情報を含んだ土地情報、及び該土地に建築される建物に適用される所定の建築条件を取得することと、
予め定められた複数の間取り生成パターンの中から、ユーザによって選択された所定の間取り生成パターンであるユーザ選択パターンを取得することと、
前記土地情報及び前記建築条件に基づいて、前記土地に建築可能な最も大きな建物の外周である建築枠を生成し、前記複数の間取り生成パターンの中から、該建築枠の中に適用可能な所定の間取り生成パターンである適用可能パターンを抽出することと、
前記適用可能パターンに含まれる前記ユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建物の間取りを構成する所定の構成要素を前記建築枠の中に配置することと、
前記建築枠によって画定される領域である建築領域を、前記建築枠の中に設定可能な最も大きな長方形である直角枠によって画定される領域である直角領域と、該建築領域から該直角領域を差し引いた残りの領域である残領域と、に分割し、前記直角領域に前記構成要素を配置するとともに、前記構成要素が配置された前記直角領域と、前記構成要素が配置されない前記残領域と、を結合することで、建物の間取りを完成させることと、
を実行する情報処理方法。
【請求項8】
所定の土地に対する建物の間取りを自動生成する情報処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記土地の大きさ及び形状に関する情報を含んだ土地情報、及び該土地に建築される建物に適用される所定の建築条件を取得することと、
予め定められた複数の間取り生成パターンの中から、ユーザによって選択された所定の間取り生成パターンであるユーザ選択パターンを取得することと、
前記土地情報及び前記建築条件に基づいて、前記土地に建築可能な最も大きな建物の外周である建築枠を生成し、前記複数の間取り生成パターンの中から、該建築枠の中に適用可能な所定の間取り生成パターンである適用可能パターンを抽出することと、
前記適用可能パターンに含まれる前記ユーザ選択パターンに合致した間取りとなるように、建物の間取りを構成する所定の構成要素を前記建築枠の中に配置することと、
前記建築枠によって画定される領域である建築領域を、前記建築枠の中に設定可能な最も大きな長方形である直角枠によって画定される領域である直角領域と、該建築領域から該直角領域を差し引いた残りの領域である残領域と、に分割し、前記直角領域に前記構成要素を配置するとともに、前記構成要素が配置された前記直角領域と、前記構成要素が配置されない前記残領域と、を結合することで、建物の間取りを完成させることと、
を実行させる情報処理プログラム。