(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170906
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】集積回路装置及び発振器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20221104BHJP
H01L 21/82 20060101ALI20221104BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/04 D
H01L21/82 W
H01L21/88 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077191
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】板坂 洋佑
(72)【発明者】
【氏名】井伊 巨樹
【テーマコード(参考)】
5F033
5F038
5F064
【Fターム(参考)】
5F033HH07
5F033HH08
5F033HH09
5F033HH13
5F033JJ01
5F033JJ07
5F033KK08
5F033KK09
5F033MM08
5F038AC05
5F038AR01
5F038AR07
5F038AR09
5F038AZ08
5F038BB01
5F038BB08
5F038BE07
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5F038BH02
5F038BH10
5F038BH13
5F038CA02
5F038CA03
5F038CA10
5F038CD02
5F038CD03
5F038CD06
5F038CD14
5F038EZ07
5F064BB28
5F064BB35
5F064CC22
5F064CC23
5F064EE12
5F064EE18
5F064EE22
5F064EE43
5F064EE52
5F064EE53
(57)【要約】
【課題】平面視においてパッドに重なる回路の保護配線による保護と、保護配線を原因とする特性悪化等の抑制とを両立して実現できる集積回路装置等の提供。
【解決手段】集積回路装置20は、交流信号が入力又は出力されるパッド2と、パッド2と平面視において重なる回路8と、パッド2と回路8との間に設けられる保護配線5と、一端が保護配線5に電気的に接続され、他端が電荷放電経路6に電気的に接続される抵抗7を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流信号が入力又は出力されるパッドと、
前記パッドと平面視において重なる回路と、
前記パッドと前記回路との間に設けられる保護配線と、
一端が前記保護配線に電気的に接続され、他端が電荷放電経路に電気的に接続される抵抗と、
を含むことを特徴とする集積回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載の集積回路装置において、
前記電荷放電経路は、グランド配線又は電源配線であることを特徴とする集積回路装置。
【請求項3】
請求項1に記載の集積回路装置において、
前記電荷放電経路は、前記パッドへの接続経路であることを特徴とする集積回路装置。
【請求項4】
請求項1に記載の集積回路装置において、
前記電荷放電経路は、電圧生成回路の出力配線であることを特徴とする集積回路装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の集積回路装置において、
前記集積回路装置は振動子に電気的に接続され、
前記回路は、前記振動子を発振させる発振回路であることを特徴とする集積回路装置。
【請求項6】
請求項5に記載の集積回路装置において、
前記パッドは、前記振動子に電気的に接続されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の集積回路装置において、
前記回路は、静電気保護回路又は電源安定化キャパシターであることを特徴とする集積回路装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の集積回路装置において、
前記パッドと前記保護配線との間の容量をC1とし、前記保護配線と基板との間の容量をC2とし、前記パッドと前記基板との間の容量をCとしたときに、1/{(1/C1)+(1/C2)}≦C≦1/{(1/C1)+(1/2C2)}であることを特徴とする集積回路装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の集積回路装置において、
前記保護配線の平面視における面積は、前記パッドの面積よりも小さいことを特徴とする集積回路装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の集積回路装置において、
前記保護配線は、格子状配線又は柵状配線であることを特徴とする集積回路装置。
【請求項11】
請求項5又は6に記載の集積回路装置と、
前記振動子と、
を含むことを特徴とする発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路装置及び発振器等に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路装置においては小面積化の実現のために、パッドの下方に回路を配置する場合がある。例えば特許文献1には、パッドの下に回路を配置した集積回路装置において、パッドの下方に補強用のメッシュパターンを設けた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1においては、補強用のメッシュパターンを設けたことによる特性への影響は何ら考慮されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、交流信号が入力又は出力されるパッドと、前記パッドと平面視において重なる回路と、前記パッドと前記回路との間に設けられる保護配線と、一端が前記保護配線に電気的に接続され、他端が電荷放電経路に電気的に接続される抵抗と、を含む集積回路装置に関係する。
【0006】
また本開示の一態様は、上記に記載の集積回路装置と、前記振動子と、を含む発振器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態の集積回路装置の構成例を示すパッド領域における断面図。
【
図2】本実施形態の集積回路装置の他の構成例を示すパッド領域における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲の記載内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.保護配線
図1は本実施形態の集積回路装置20の構成例を示すパッド領域における断面図である。
図1に示すように本実施形態の集積回路装置20は、パッド2と、回路8と、保護配線5と、抵抗7を含む。
【0010】
パッド2は信号が入力又は出力される端子である。具体的にはパッド2は例えば交流信号が入力又は出力されるパッドである。交流信号は、時間の経過と共に例えば周期的に電圧や電流が変化する信号である。交流信号は、正弦波の交流信号であってもよいし、矩形波等の非正弦波の交流信号であってもよい。交流信号の例としては、例えば発振信号やクロック信号などがある。パッド2は、このような交流信号が入力されるパッドであってもよいし、交流信号が出力されるパッドであってもよいし、交流信号が入出力されるパッドであってもよい。パッド2は例えば金属層により構成される。例えばパッド領域では、絶縁層であるパシベーション膜から金属層が露出しており、この露出した金属層により集積回路装置20のパッド2が構成される。
【0011】
回路8は平面視においてパッド2と重なる。例えば回路8は、平面視においてパッド2と重なるようにパッド2の下方に設けられる。回路8は例えば所定の機能を有する機能回路であり、回路ブロックとも呼ばれる。回路8は、例えば複数の回路素子により構成される。回路素子は、トランジスター等の能動素子や、抵抗、キャパシター等の受動素子である。例えばパッド2の下方には、回路8を構成するのに必要な個数のトランジスター、抵抗又はキャパシター等の回路素子が配置される。回路8としては、発振信号を生成する発振回路やクロック信号を出力する出力バッファー回路などの交流信号生成回路、静電気保護回路、電圧安定化キャパシター、フィルター回路、或いは基準電圧生成回路等の電圧生成回路などがある。
【0012】
平面視は、
図1の方向DRでの平面視であり、例えば集積回路装置20を構成する半導体の基板9に直交する方向から見た平面視である。
図1では基板9は、例えばP型の基板であり、例えばグランドの電位に設定される。なお以下では、適宜、グランドをGNDと記載する。回路8は平面視においてパッド2に重なるように配置されている。例えば基板9に向かう方向DRを下方向とした場合に、回路8はパッド2の下方に配置される。そしてパッド2と回路8は、例えば配線やビアを介して電気的に接続されている。このようにパッド2に平面視に重なるように回路8を配置することで、集積回路装置20のレイアウトの小面積化を実現できる。
【0013】
保護配線5は、パッド2と回路8との間に設けられる。保護配線5は、パッド2の下方に設けられる回路8を保護するために設けられる配線であり、例えば導電性の配線である。例えば集積回路装置20は、金属層間に絶縁層11、12等を有する複数の金属層により構成される多層配線構造となっており、保護配線5はこれらの複数の金属層の1つの金属層により構成される。例えば
図2においてパッド2は最上層の金属層により構成され、保護配線5は、パッド2の金属層よりも下層の金属層により構成される。金属層は例えばアルミ又はアルミ合金の層である。なお保護配線5は、2層以上の金属層により構成されてもよい。そしてパッド2の金属層と保護配線5の金属層の間には絶縁層11が設けられている。また保護配線5の金属層と回路8の間にも絶縁層12が設けられている。なお
図11は集積回路装置20のパッド領域での断面を模式的に示した図であり、実際には、パッド2と回路8の間には、2層以上の金属層が設けられている。例えば集積回路装置20が、第1金属層~第5金属層の多層構造配線を有する場合に、パッド2は第5金属層で構成され、保護配線5は例えば第5金属層の下層の第4金属層や第3金属層で構成される。そして回路8の回路素子間の配線は、第3金属層の下層の第1金属層や第2金属層で構成される。
【0014】
また保護配線5は、後述の
図9~
図11に示すように、平面視において例えばパッド2の全域に亘って重なるように配置される。この場合に保護配線5は、平面視においてパッド2の全域に亘って隙間無く配線される必要は無く、
図10に示すように格子状に配線されたり、
図11に示すように柵状に配線されていてもよい。また
図12に示すように、保護配線5は、必ずしも、平面視においてパッド2の全域に亘って配置されている必要は無く、平面視において例えばパッド2の少なくとも一部に重なって配置されていればよい。また保護配線5は、平面視において、少なくともパッド2の下方の回路8の全域に重なるように配置されていればよい。
【0015】
抵抗7は、一端が保護配線5に電気的に接続され、他端が電荷放電経路6に電気的に接続される。例えば抵抗7は、一端がビアを介して保護配線5に接続され、他端がビアを介して電荷放電経路6に接続される。ビアは、例えば金属層の間を接続するコンタクトである。抵抗7は、例えば拡散抵抗により実現してもよいし、或いはポリシリコンの抵抗や金属層の抵抗により実現してもよい。例えば
図1では、P型の基板9に形成されたN型の拡散層により抵抗7が構成されている。電荷放電経路6は、保護配線5の電荷を放電するための経路である。保護配線5にチャージされた電荷は、抵抗7及び電荷放電経路6を介して放電される。電荷放電経路6は、後述するように例えばグランド配線又は電源配線である。或いは電荷放電経路6はパッド2への接続経路や、基準電圧生成回路等の電圧生成回路の出力配線であってもよい。
【0016】
以上のように本実施形態の集積回路装置20では、パッド2と平面視において重なるように回路8が設けられている。これによりパッド2の領域を有効利用して回路8を配置できるため、集積回路装置20の小面積化を実現できる。即ち回路8をパッド2の領域に配置することで、パッド2の領域の外に回路8が配置される場合に比べて、回路8の面積の分だけ集積回路装置20の小面積化を図れる。そして本実施形態では、パッド2と回路8との間に保護配線5が設けられている。このような保護配線5を設けることで、パッド2の下方に設けられる回路8の保護が可能になる。例えば実装時や検査時においてパッド2に対して応力が加わった場合にも、パッド2と回路8との間に保護配線5が介在することで、当該応力が回路8に加わるのを抑制できる。例えば実装時にパッド2にバンプやボンディングワイヤーが接続された際や、検査時にパッド2にプローブが当てられた際に、パッド2に加わった応力が回路8に伝わって、回路8が壊れたり故障するなどの不具合が発生するおそれがある。この点、本実施形態では、パッド2と回路8の間に保護配線5が設けられているため、保護配線5によりこの応力を吸収することで、上記のような不具合の発生を防止できる。
【0017】
一方、このようにパッド2と回路8の間に保護配線5を設けた場合に、この保護配線5が原因となって集積回路装置20の回路特性に悪影響を与える問題が発生することが判明した。例えば前述の特許文献1の従来技術では、このような保護配線5を原因とする回路特性の悪化については何ら考慮されていなかった。
【0018】
この場合に例えば保護配線5をグランド又は電源に直接に接続する第1の手法が考えられる。即ち保護配線5としてグランド配線又は電源配線を用いる手法である。しかしながら、この第1の手法では、後述の
図7で説明するようにパッド2の寄生容量である容量が大きくなり、集積回路装置20の回路特性が悪化するという問題が発生する。例えばパッド2の下方に保護配線5を設けなかった場合には、パッド2の容量は、パッド2と基板9との間の容量になり、パッド2と基板9との間の距離は離れているため、パッド2の容量は小さくなる。しかしながら、パッド2の下方に、グランド又は電源に接続された保護配線5を設けると、パッド2と保護配線5との間の距離は、パッド2と基板9との間の距離よりも近いため、パッド2の容量が大きくなってしまう。このように、例えば交流信号が入力又は出力されるパッド2の容量が大きくなると、交流信号の信号特性の劣化等により集積回路装置20の回路特性に悪影響を及ぼす問題が発生してしまう。
【0019】
また例えば保護配線5をどこにも接続せずにオープン状態とする第2の手法も考えられる。しかしながら、この第2の手法では、オープン状態の保護配線5にチャージされた電荷の逃げ場がなく、当該電荷を原因となって、ESD破壊が発生したり、集積回路装置20の意図しない特性変動が生じるなどの問題が発生してしまう。
【0020】
この点、本実施形態では、パッド2と回路8との間に設けられる保護配線5は、抵抗7の一端に電気的に接続され、抵抗7の他端は電荷放電経路6に電気的に接続される。従って、保護配線5を直接にグランド又は電源に接続する上記の第1の手法に比べて、パッド2の容量を小さくでき、当該容量を原因とする集積回路装置20の回路特性の悪化を抑制できる。また保護配線5にチャージされた電荷は、抵抗7、電荷放電経路6を介して放電される。従って、保護配線5をオープン状態にする上記の第2の手法で発生したESD破壊や特性変動などの事態を防止できるようになる。以上のように本実施形態によれば、パッド2の下方の回路8の保護配線5による保護と、保護配線5を原因とする寄生容量の増加や特性悪化等の抑制とを両立して実現できる集積回路装置20の提供が可能になる。
【0021】
図2は本実施形態の集積回路装置20の他の構成例を示すパッド領域における断面図である。
図2が
図1と異なるのは、
図2では、一端が保護配線5に電気的に接続される抵抗7の他端がパッド2に電気的に接続されている点である。例えば抵抗7の一端はビアを介して保護配線5に接続され、抵抗7の他端は電荷放電経路6に対応するビアを介してパッド2に接続される。即ち
図2では、電荷放電経路6は、パッド2への接続経路となっている。例えばパッド2に電気的に接続されるデバイスや配線は電荷の放電経路になる。従って、保護配線5を抵抗7を介してパッド2に電気的に接続することで、保護配線5にチャージされた電荷を外部に放電できるようになる。
【0022】
図3は
図1の構成の集積回路装置20における容量と抵抗の接続構成を示す等価回路図である。C1は
図1のパッド2と保護配線5との間の容量に対応し、C2は保護配線5と基板9との間の容量に対応する。Rは抵抗7の抵抗値であり、Zaは抵抗7の接続先のグランドに対するインピーダンスであり、電荷放電経路6でのインピーダンスである。このように
図1の構成におけるパッド2の合成容量である容量Cは、
図3に示すような接続構成のC1、C2、R、Zaにより表される。
【0023】
一方、
図2のように電荷放電経路6がパッド2への接続経路となる場合には、パッド2の容量Cは、
図4に示すような接続構成の容量C1、C2、R、Zaにより表される。また
図1の電荷放電経路6がグランド配線の場合には、
図3に示すように、Rで表される抵抗7の接続先はグランドになるが、電荷放電経路6が電源配線の場合には、
図5に示すように、抵抗7の接続先は電源であるVDDになる。或いは、本実施形態では電荷放電経路6は、電圧生成回路の出力配線であってもよく、この場合には、
図5に示すように、Rで表される抵抗7の接続先は、電圧生成回路が生成した電圧であるVREFの出力配線になる。例えば電圧生成回路は基準電圧生成回路であり、例えば基準電圧生成回路が生成した基準電圧VREFの出力配線が、抵抗7の接続先になる。
【0024】
このように本実施形態では、
図3、
図5に示すように、電荷放電経路6は、例えばグランド配線又は電源配線である。このようにすれば、保護配線5の電荷を、低インピーダンスのグランド配線又は電源配線の電荷放電経路6に放電することが可能になり、保護配線5にチャージされた電荷等を原因とする不具合の発生を防止できるようになる。また低インピーダンスの電荷放電経路6に抵抗7の一端が接続されることで、集積回路装置20の回路への不要な電荷の流入も防ぐことが可能になる。
【0025】
また本実施形態では、
図2、
図4に示すように電荷放電経路6は、パッド2への接続経路であってもよい。例えばパッド2は、集積回路装置20の外部の振動子等のデバイスや回路基板の配線等に電気的に接続されており、このような外部のデイバスや配線等は電荷の放電先として好適である。従って、保護配線5の電荷を、パッド2に電気的に接続されるデバイスや配線などに放電することが可能になり、保護配線5にチャージされた電荷等を原因とする不具合の発生を防止できるようになる。
【0026】
また本実施形態では、
図5に示すように電荷放電経路6は、電圧生成回路の出力配線であってもよい。例えば基準電圧生成回路等の電圧生成回路は、アンプ回路などを用いて基準電圧等の電圧を出力配線に出力しており、アンプ回路の入力インピーダンスは低く、電荷の放電経路として好適である。従って、保護配線5の電荷を、低インピーダンスの出力配線に放電することが可能になり、保護配線5にチャージされた電荷等を原因とする不具合の発生を防止できるようになる。
【0027】
次にパッド2の寄生容量である容量Cについて
図6~
図8を用いて更に具体的に説明する。ここでパッド2と保護配線5との間の容量をC1とし、保護配線5と基板9との間の容量をC2としている。
図6は保護配線5をグランドに直接に接続した場合であり、この場合にはR+Za=0になる。従って、パッド2と基板9との間の容量C=Cmaxは下式(1)のように表される。
【0028】
【0029】
図7は保護配線5がオープン状態の場合であり、この場合にはR+Za=∞になる。従って、パッド2と基板9との間の容量C=Cminは下式(2)のように表される。
【0030】
【0031】
例えば上式(2)においてC1=C2とすれば、Cmin=(1/2)C1になる。
【0032】
図8はR+Za≧1/ωC2とした場合であり、この場合には、パッド2と基板9との間の容量Cについて下式(3)に示す関係式が成り立つ。
【0033】
【0034】
上式(3)においてC1=C2とすれば、下式(4)に示す関係式が成り立つ。
【0035】
【0036】
上式(2)、(3)から、本実施形態では、保護配線5の一端に抵抗7を接続することで、1/{(1/C1)+(1/C2)}≦C≦1/{(1/C1)+(1/2C2)}の関係式が成り立つようにしている。C1=C2とすれば、(1/2)C1≦C≦(2/3)C1の関係式が成り立つ。
【0037】
本実施形態ではパッド2は交流信号が入力又は出力されるパッドであるため、パッド2と基板9との間の容量Cはなるべく小さいことが望ましい。そこで
図8に示すように、R+Za≧1/ωC2の関係が成り立つように抵抗7の抵抗値であるRを設定する。これにより上式(3)に示すようにC≦1/{(1/C1)+(1/2C2)}の関係式が成り立つ。一方、容量Cの最小値は上式(2)に示すようにCmin=1/{(1/C1)+(1/C2)}である。従って、1/{(1/C1)+(1/C2)}≦C≦1/{(1/C1)+(1/2C2)}の関係式が成り立つようになる。即ち抵抗7の抵抗値であるRを、当該関係式が成り立つような抵抗値に設定する。このようにすることで、パッド2の容量Cを小さくして、容量Cを原因とする交流信号の信号特性の劣化等を抑制して、集積回路装置20の回路特性の悪化を抑制することが可能になる。
【0038】
図9、
図10、
図11、
図12は保護配線5の配線パターンの例を示す図である。
図9では、平面視において、パッド2の全面に亘って隙間無く重なるように保護配線5が配置されている。例えばベタの配線パターンの保護配線5が平面視においてパッド2に重なるように配置されている。
【0039】
図10では、保護配線5が、格子状配線となっており、格子状の配線パターンになっている。格子状の配線パターンは、例えば第1方向に沿って、複数の配線が所定距離離れて配線される第1配線群と、第1方向に直交する第2方向に沿って、第1配線群と交差するように、複数の配線が所定距離離れて配線される第2配線群とにより構成される。例えば格子状の配線パターンでは、平面視において、マトリクス状に配列される複数の穴部が、保護配線5に形成される。
【0040】
図11では、保護配線5が柵状配線となっており、柵状の配線パターンになっている。柵状の配線パターンは、第1方向に沿って、複数の配線が所定距離離れて配線される配線群により構成される。例えば柵状の配線パターンでは、平面視において、第1方向に直交する第2方向に沿って並んで配置される長方形の複数の穴部が、保護配線5に形成される。
【0041】
このように
図10、
図11では、保護配線5は格子状配線又は柵状配線となっている。このように保護配線5を格子状配線又は柵状配線とすることで、
図10、
図11に示すように保護配線5に複数の穴部が形成されるようになる。そして複数の穴部が形成されることで、後述の
図13で説明するように保護配線5の面積S2が小さくなり、パッド2の容量Cを小さくできる。これにより、容量Cを原因とする交流信号の信号特性の劣化等を抑制して、集積回路装置20の回路特性の悪化を抑制することが可能になる。
【0042】
また
図9~
図11では、平面視においてパッド2の全域に亘って保護配線5が配置されているが、
図12では、平面視においてパッド2の一部に保護配線5が配置されている。そしてパッド2の配置領域のうち、平面視において保護配線5が配置されていない領域には、電荷放電経路6となる配線が配置されている。例えば保護配線5が配置されていない領域に、電荷放電経路6となるグランド配線及び電源配線の少なくとも一方が配線される。このようにすることで保護配線5を電荷放電経路6にショートパスで接続できるようになる。
【0043】
図13はパッド2の容量についての説明図である。
図13に示すように、平面視におけるパッド2の面積をS1、保護配線5の面積をS2とする。また絶縁層11の厚さをd1とし、絶縁層12の厚さをd2とし、保護配線5の厚さをtとする。このとき、保護配線5を設けなかった場合には、パッド2の容量Cは下式(5)のように表される。
【0044】
【0045】
一方、
図9のように平面視においてパッド2の全面に亘ってベタで保護配線5を設けた場合には、パッド2の容量Cは下式(6)のように表される。
【0046】
【0047】
また
図10、
図11のように保護配線5が格子状配線や柵状配線である場合には、パッド2の容量Cは下式(7)、(8)のように表される。ここでC3は、保護配線5が無い部分でのパッド2と基板9との容量に対応する。
【0048】
【0049】
上式(7)に示すように、保護配線5の厚さtを大きくすることで、パッド2の容量Cを減らすことができる。また上式(8)に示すように、保護配線5の面積S2を小さくすることで、パッド2の容量Cを減らすことができる。従って、
図10、
図11に示すように、保護配線5を格子状配線や柵状配線にして、面積S2を小さくすることで、パッド2の容量Cを減らすことができる。これにより、容量Cを原因とする交流信号の信号特性の劣化等を抑制して、集積回路装置20の回路特性の悪化を抑制することが可能になる。
【0050】
このように本実施形態では、例えば
図10、
図11に示すように保護配線5を格子状配線や柵状配線等の配線パターンにすることで、保護配線5の平面視における面積S2を、パッド2の面積S1よりも小さくしている。例えば保護配線5の面積S2を、保護配線5の外縁の内側領域の面積よりも小さくしている。このように保護配線5の面積S2を小さくすることで、上式(8)に示すようにパッド2の容量Cを減らすことができる。これにより、容量Cを原因とする交流信号の信号特性の劣化等を抑制して、集積回路装置20の回路特性の悪化を抑制することが可能になる。
【0051】
また本実施形態では後述の
図17、
図19で説明するように、集積回路装置20は振動子10に電気的に接続される。そしてパッド2と平面視において重なる回路8は、
図14に示すように、振動子10を発振させる発振回路30である。即ち、発振信号を生成する発振回路30が、パッド2と平面視において重なるように配置される。そして、この場合にはパッド2は、交流信号である発振信号が入力又は出力されるパッドとなる。このように発振回路30を平面視においてパッド2に重なるように配置すれば、パッド2の領域を有効利用して、発振回路30の一部又は全部を配置できるようになるため、集積回路装置20の小面積化を実現できる。また本実施形態では、パッド2と発振回路30との間に保護配線5が設けられるため、実装時や検査時等にパッド2に応力が加わった場合にも、当該応力を保護配線5が吸収することで、当該応力が発振回路30に伝わるのを抑制できるようになる。これにより当該応力により発振回路30が壊れたり故障する事態を防止できるようになる。なお発振回路30の全てが平面視においてパッド2と重なる必要はなく、例えば発振回路30を構成する駆動回路又は可変容量回路の一部又は全部だけが、平面視においてパッド2と重なるように配置されていてもよい。
【0052】
また、このようにパッド2と平面視において重なる回路8が発振回路30である場合に、後述の
図17、
図19に示すように、パッド2は、振動子10に電気的に接続される。例えばパッド2と振動子は
図19のパッケージ15の内部配線、バンプ又はボンディングワイヤー等を介して電気的に接続される。このようにすれば、振動子10の実装時等にパッド2に応力がかかった場合にも、当該応力を保護配線5により吸収して、当該応力がパッド2の下方の発振回路30に伝わるのを抑制できるようになる。これにより当該応力により発振回路30が壊れたり故障する事態を防止できるようになる。
【0053】
また
図15に示すように、パッド2に重なるように配置される回路8は、静電気保護回路21又は電源安定化キャパシター22であってもよい。静電気保護回路21は、ESD(Electro-Statics Discharge)の保護回路である。静電気保護回路21は、ESD保護素子である静電気保護素子により構成される。静電気保護素子は、例えば静電気保護用のダイオードや静電気保護用の抵抗などである。例えば静電気保護回路21は、パッド2に静電気などのサージ電圧が加わった場合に、静電気による電荷をグランドや電源に放電することで、パッド2に接続される回路等を保護する。電源安定化キャパシター22は、例えば電源とグランドの間に設けられるキャパシターであり、集積回路装置20の動作時等における電源変動を抑制するためのキャパシターである。電源安定化キャパシター22はバイパスコンデンサーとも呼ばれる。電源安定化キャパシター22は、例えばポリシリコンにより構成されるキャパシターであってもよいし、拡散層を用いたキャパシターなどであってもよい。このように静電気保護回路21又は電源安定化キャパシター22を平面視においてパッド2に重なるように配置すれば、パッド2の領域を有効利用して、静電気保護回路21又は電源安定化キャパシター22を配置できるようになるため、集積回路装置20の小面積化を実現できる。また本実施形態では、パッド2と静電気保護回路21又は電源安定化キャパシター22との間に保護配線5が設けられるため、実装時や検査時等にパッド2に応力が加わった場合にも、当該応力を保護配線5が吸収することで、当該応力が静電気保護回路21又は電源安定化キャパシター22に伝わるのを抑制できるようになる。これにより当該応力により静電気保護回路21又は電源安定化キャパシター22が壊れたり故障する事態を防止できるようになる。
【0054】
なお
図1、
図2ではパッド2の構造を模式的に示しているが、パッド2として種々の構造のパッドを採用できる。
図16はパッド2の詳細な構造例を示す断面図である。
図16では、パッドメタル91の上に例えばメッキ等による導電層92、93、94が形成されている。導電層92は、アルミ又はアルミ合金により形成されるパッドメタル91との接合性が良い材料により形成され、例えばニッケル又はニッケル合金により形成される。導電層92は、例えば2μm~10μmの厚さを有している。このように導電層92の厚みを大きくすることで、パッド2にバンプ又はボンディグワイヤーを接合する際に大きな加重がかかっても、この加重がパッド2の下方に伝わりにくくなる。従って、バンプ又はボンディグワイヤーを接合する際の加重が原因となって、パッド2の下方に設けられる回路8に不具合が発生する事態を防止できるようになる。導電層93は、導電層92と導電層94の間に介在し、導電層92、94の密着性を高めると共に、導電層92が導電層94へ拡散するのを防ぐバリア層として機能する。導電層93は、導電層92と導電層94の双方と密着性が良好な材料により形成され、例えばパラジウム又はパラジウム合金により形成される。なお導電層93は、必要に応じて設けられればよく、例えば導電層92と導電層94の密着性が良好である場合などには省略できる。導電層94は、バンプ又はボンディグワイヤーとの接続層として機能する。導電層94は、バンプ又はボンディグワイヤーとの接触抵抗が低い材料により形成され、例えば金又は金の合金により形成される。
図16のような構造のパッド2を用いることで、パッド2にバンプ又はボンディグワイヤーを接合する実装の際の加重に対して、パッド下の回路8を保護できるようになると共に、バンプ又はボンディグワイヤーを低い接触抵抗で接合できるようになり、実装の容易化や信頼性の向上等を図れるようになる。
【0055】
2.集積回路装置
次に本実施形態の集積回路装置20の具体例について説明する。
図17は本実施形態の集積回路装置20の構成例を示す図である。なお集積回路装置20は
図17の構成に限定されるものではなく、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。また以下では集積回路装置20が組み込まれる本実施形態のデバイスが発振器4である場合を主に例にとり説明するが、本実施形態の集積回路装置20が組み込まれるデバイスは発振器4には限定されない。
【0056】
図17の集積回路装置20は発振回路30を含む。また集積回路装置20は、出力回路50、電源回路60、ロジック回路70、温度補償回路80、温度センサー回路90、電源パッドPVDD、グランドパッドPGND、クロックパッドPCK、出力イネーブルパッドPOE、振動子接続用のパッドPX1、PX2を含むことができる。また発振器4は、振動子10と集積回路装置20を含む。振動子10は集積回路装置20に電気的に接続されている。例えば振動子10及び集積回路装置20を収納するパッケージの内部配線、ボンディグワイヤー又は金属バンプ等を用いて、振動子10と集積回路装置20は電気的に接続されている。
【0057】
振動子10は、電気的な信号により機械的な振動を発生する素子である。振動子10は、例えば水晶振動片などの振動片により実現できる。例えば振動子10は、カット角がATカットやSCカットなどの厚みすべり振動する水晶振動片、音叉型水晶振動片、或いは双音叉型水晶振動片などにより実現できる。例えば振動子10は、恒温槽を備えない温度補償型水晶発振器(TCXO)に内蔵されている振動子であってもよいし、恒温槽を備える恒温槽型水晶発振器(OCXO)に内蔵されている振動子であってもよい。或いは振動子10は、SPXO(Simple Packaged Crystal Oscillator)の発振器に内蔵される振動子であってもよい。なお本実施形態の振動子10は、例えば厚みすべり振動型、音叉型、又は双音叉型以外の振動片や、水晶以外の材料で形成された圧電振動片などの種々の振動片によっても実現できる。例えば振動子10として、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子や、シリコン基板を用いて形成されたシリコン製振動子としてのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子等を採用してもよい。
【0058】
集積回路装置20は、例えば半導体プロセスにより製造されるIC(Integrated Circuit)であり、半導体基板上に回路素子が形成された半導体チップである。
【0059】
発振回路30は振動子10を発振させる回路である。例えば発振回路30は、パッドPX1、PX2に電気的に接続され、振動子10を発振させることで発振信号OSCを生成する。パッドPX1は第1の振動子接続用パッドであり、パッドPX2は第2の振動子接続用パッドである。例えば発振回路30は、パッドPX1とパッドPX2との間に設けられた発振用の駆動回路と、キャパシターや抵抗などの能動素子により実現できる。駆動回路は、例えばCMOSのインバーター回路やバイポーラートランジスターにより実現できる。駆動回路は、発振回路30のコア回路であり、駆動回路が、振動子10を電圧駆動又は電流駆動することで、振動子10を発振させる。発振回路30としては、例えばインバーター型、ピアース型、コルピッツ型、又はハートレー型などの種々のタイプの発振回路を用いることができる。また発振回路30には、可変容量回路が設けられ、この可変容量回路の容量の調整により、発振周波数を調整できるようになっている。可変容量回路は、例えばバラクターなどの可変容量素子により実現できる。例えば可変容量回路は、温度補償電圧に基づいて容量が制御される可変容量素子により実現できる。或いは可変容量回路を、キャパシターアレイと、キャパシターアレイに接続されるスイッチアレイとにより実現してもよい。また本実施形態における接続は電気的な接続である。電気的な接続は、電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。電気的な接続は受動素子等を介した接続であってもよい。
【0060】
出力回路50は、発振信号OSCに基づくクロック信号CKQを出力する。出力回路50は出力バッファー回路52を含む。出力バッファー回路52は、発振信号OSCをバッファリングした信号をクロック信号CKQとしてクロックパッドPCKに出力する。そして、このクロック信号CKQが発振器4の外部端子TCKを介して外部に出力される。例えば出力回路50は、シングルエンドのCMOSの信号形式でクロック信号CKQを出力する。なお出力回路50が、CMOS以外の信号形式でクロック信号CKQを出力するようにしてもよい。例えば出力回路50は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)、PECL(Positive Emitter Coupled Logic)、HCSL(High Speed Current Steering Logic)、又は差動のCMOS(Complementary MOS)等の信号形式で、差動のクロック信号を外部に出力してもよい。
【0061】
電源回路60は、電源パッドPVDDからの電源電圧VDDやグランドパッドPGNDからのグランド電圧が供給されて、集積回路装置20の内部回路用の種々の電源電圧を内部回路に供給する。例えば電源回路60は、電源電圧VDDに基づくレギュレート電源電圧を発振回路30等に供給する。そして電源回路60は、基準電圧生成回路62、レギュレーター64を含む。基準電圧生成回路62は基準電圧を生成して出力する。基準電圧生成回路62は、例えばバンドギャップリファレンス回路や、ゲートの仕事関数差を用いた回路や、或いはチャンネル不純物濃度を変えることによる閾値電圧の差を利用した回路などにより実現できる。レギュレーター64は、電源電圧VDDが供給されて、各種のレギュレート電源電圧を生成する。例えばレギュレーター64は、基準電圧生成回路62により生成された基準電圧に基づいて、電源電圧VDDを降圧した定電圧のレギュレート電源電圧を生成し、生成したレギュレート電源電圧を、集積回路装置20の各回路ブロックに供給する。
【0062】
ロジック回路70は制御回路であり、種々の制御処理を行う。例えばロジック回路70は、集積回路装置20の全体の制御を行ったり、集積回路装置20の動作シーケンスの制御を行う。例えばロジック回路70は、発振回路30、出力回路50、電源回路60又は温度補償回路80等の集積回路装置20の各回路ブロックの制御を行う。ロジック回路70は、例えばゲートアレイ等の自動配置配線によるASIC(Application Specific Integrated Circuit)の回路により実現できる。
【0063】
温度補償回路80は、発振回路30の発振信号OSCの温度補償を行う。発振信号OSCの温度補償は発振回路30の発振周波数の温度補償である。具体的には温度補償回路80は、温度センサー回路90からの温度検出情報に基づいて温度補償を行う。例えば温度補償回路80は、温度センサー回路90からの温度検出電圧VTに基づいて温度補償電圧VCPを生成し、生成された温度補償電圧VCPを発振回路30に出力することで、発振回路30の発振信号OSCの温度補償を行う。例えば温度補償回路80は、発振回路30が有する可変容量回路に対して、当該可変容量回路の容量制御電圧となる温度補償電圧VCPを出力することで、温度補償を行う。この場合には発振回路30の可変容量回路は、バラクター等の可変容量素子により実現される。温度補償は、温度変動による発振周波数の変動を抑制して補償する処理である。例えば温度補償回路80は、多項式近似によるアナログ方式の温度補償を行う。例えば振動子10の周波数温度特性を補償する温度補償電圧が多項式により近似される場合に、温度補償回路80は、当該多項式の係数情報に基づいてアナログ方式の温度補償を行う。なお温度補償回路80がデジタル方式の温度補償を行うようにしてもよい。
【0064】
温度センサー回路90は、温度を検出するセンサー回路である。具体的には温度センサー回路90は、環境の温度に応じて変化する温度依存電圧を、温度検出電圧VTとして出力する。例えば温度センサー回路90は、温度依存性を有する回路素子を利用して温度検出電圧VTを生成する。具体的には温度センサー回路90は、PN接合の順方向電圧が有する温度依存性を用いることで、温度に依存して電圧値が変化する温度検出電圧VTを出力する。PN接合の順方向電圧としては、例えばバイポーラートランジスターのベース・エミッター間電圧などを用いることができる。なおデジタル方式の温度補償処理を行う場合には、温度センサー回路90は、環境温度などの温度を測定し、その結果を温度検出データとして出力する。
【0065】
また集積回路装置20は、電源パッドPVDD、グランドパッドPGND、クロックパッドPCK、出力イネーブルパッドPOE、振動子接続用のパッドPX1、PX2を含む。これらのパッドは、例えば半導体チップである集積回路装置20の端子である。
【0066】
電源パッドPVDDは電源電圧VDDが供給されるパッドである。例えば外部の電源供給デバイスからの電源電圧VDDが電源パッドPVDDに供給される。グランドパッドPGNDは、グランド電圧であるGNDが供給される端子である。GNDはVSSと呼ぶこともでき、グランド電圧は例えば接地電位である。本実施形態ではグランドを、適宜、GNDと記載する。クロックパッドPCKは、クロック信号CKQが出力されるパッドである。例えば発振回路30での発振信号OSCに基づくクロック信号CKQがクロックパッドPCKから外部に出力される。出力イネーブルパッドPOEは、クロック信号CKQの出力イネーブルを制御するためのパッドである。具体的には出力イネーブルパッドPOEを介して入力される出力イネーブル信号OEに基づいて、クロック信号CKQの出力イネーブルの制御が行われる。例えばロジック回路70は、出力イネーブルパッドPOEからの出力イネーブル信号OEを受け、出力回路50でのクロック信号CKQの出力イネーブル制御を行う。
【0067】
電源パッドPVDD、グランドパッドPGND、クロックパッドPCK、出力イネーブルパッドPOEは、各々、発振器4の外部接続用の外部端子TVDD、TGND、TCK、TOEに電気的に接続される。例えばパッケージの内部配線、ボンディグワイヤー又は金属バンプ等を用いて電気的に接続される。そして発振器4の外部端子TVDD、TGND、TCK、TOEは外部デバイスに電気的に接続される。またパッドPX1、PX2は振動子10の接続用のパッドである。例えばパッドPX1は、振動子10の一端に電気的に接続され、パッドPX2は、振動子10の他端に電気的に接続される。例えば振動子10及び集積回路装置20を収納するパッケージの内部配線、ボンディグワイヤー又は金属バンプ等を用いて、振動子10と集積回路装置20のパッドPX1、PX2とが電気的に接続される。
【0068】
なお以上では、本実施形態の集積回路装置20が組み込まれるデバイスが発振器4であり、この発振器4に組み込まれる集積回路装置20の構成例について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば本実施形態の集積回路装置20が組み込まれるデバイスは、ジャイロセンサーや加速度センサーなどのセンサーデバイス、表示パネルに画像を表示する表示デバイス、所定の通信規格で通信を行う通信デバイス、プリンターの所定の機構を駆動する駆動デバイス又は電源の供給や制御を行う電源デバイス等であってもよい。そして本実施形態の集積回路装置20は、発振器4に組み込まれるものには限定されず、上述のセンサーデバイス、表示デバイス、通信デバイス又は電源デバイス等に組み込まれるIC(Integrated Circuit)であってもよい。例えばデバイスがジャイロセンサーである場合には、集積回路装置20は、ジャイロセンサーの振動子を駆動する駆動回路や、振動子からのセンサー信号の検出を行う検出回路などを含むことができる。デバイスが加速度センサーである場合には、集積回路装置20は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等により実現される加速度のセンサー素子の駆動回路や検出回路を含むことができる。センサーが表示デバイスである場合には、集積回路装置20は表示パネルの駆動回路や表示データの処理を行うロジック回路などを含むことができる。センサーが通信デバイスである場合には、集積回路装置20は、通信の物理層回路やリンク層回路やロジック回路を含むことができる。このように集積回路装置20としては種々の構成の回路を採用できる。
【0069】
3.レイアウト配置
図18に、
図17の集積回路装置20のレイアウト配置例を示す。集積回路装置20の外形は、辺SD1と、辺SD1に対向する辺SD2を含む。辺SD1は第1辺であり、辺SD2は第2辺であり、辺SD2は辺SD1の対辺である。また集積回路装置20の外形は、辺SD1及び辺SD2に交わる辺SD3や辺SD4を含む。辺SD3は第3辺であり、辺SD4は第4辺であり、辺SD4は辺SD3の対辺である。集積回路装置20の外形は、集積回路装置20である例えば矩形の半導体チップの外形である。例えば辺SD1、SD2、SD3、SD4は半導体チップの基板の辺である。半導体チップはシリコンダイとも呼ばれる。ここで辺SD1から辺SD2に向かう方向をDR1とし、辺SD3から辺SD4に向かう方向をDR2とする。また方向DR1の反対方向を方向DR3とし、方向DR2の反対方向を方向DR4とする。方向DR1、DR2、DR3、DR4は、各々、第1方向、第2方向、第3方向、第4方向である。
【0070】
図18に示すように集積回路装置20には、グランドパッドPGND、電源パッドPVDD、クロックパッドPCK、出力イネーブルパッドPOEが設けられている。電源パッドPVDDとクロックパッドPCKは辺SD1に沿って配置される。そしてクロックパッドPCKは例えば辺SD1と辺SD4が交差する第1コーナー部に配置される。出力イネーブルパッドPOEとグランドパッドPGNDは辺SD2に沿って配置される。そしてグランドパッドPGNDは例えば辺SD2と辺SD4が交差する第2コーナー部に配置される。また温度センサー回路90は、例えば辺SD2と辺SD3が交差する第3コーナー部に配置される。なお温度センサー回路90を例えば平面視において出力イネーブルパッドPOEに重なるように配置してもよい。
【0071】
また集積回路装置20には、振動子接続用のパッドPX1、PX2が設けられている。振動子接続用のパッドPX1、PX2は、辺SD3に沿って配置される。例えば辺SD3に沿って発振回路30が配置され、この発振回路30の領域に振動子接続用のパッドPX1、PX2が配置される。また出力回路50は辺SD1に沿って配置され、電源回路60は辺SD4に沿って配置される。そしてロジック回路70は発振回路30と電源回路60との間に配置される。また温度補償回路80は発振回路30と出力回路50との間に配置され、ロジック回路70は温度補償回路80と辺SD2との間に配置される。
【0072】
そして
図18では、平面視においてグランドパッドPGNDに重なるように基準電圧生成回路62が配置されている。即ちグランドパッドPGNDの下方に基準電圧生成回路62が配置されている。このようにすれば、グランドパッドPGNDによるシールド効果により、高周波ノイズが基準電圧生成回路62に伝達されるのが抑制され、基準電圧生成回路62が生成する基準電圧に電位変動が発生して、クロック周波数の精度が低下してしまうのを防止できる。またグランドパッドPGNDの配置領域を有効利用して基準電圧生成回路62を配置できるため、集積回路装置20の小面積化を実現できる。なお電源回路60のうち、基準電圧生成回路62以外の回路は、平面視においてグランドパッドPGNDに重ならずに、例えば辺SD4に沿って配置される。
【0073】
また
図18では、平面視においてクロックパッドPCKに重なるように出力バッファー回路52が配置されている。即ち、クロックパッドPCKの下方に出力バッファー回路52が配置されている。なお出力回路50のうち、出力バッファー回路52以外の回路は、平面視においてクロックパッドPCKに重ならずに、例えば辺SD1に沿って配置される。
【0074】
このように平面視においてクロックパッドPCKと出力バッファー回路52とが重なるように配置することで、出力バッファー回路52から、その直上に配置されるクロックパッドPCKへと向かうショートパスのクロック配線の経路で、出力バッファー回路52からのクロック信号CKQをクロックパッドPCKに対して出力できるようになる。これによりクロック配線のインピーダンスを最小限に抑えることができ、当該インピーダンスに起因する電位変動を抑制できる。出力バッファー回路52は、外部の大きな負荷を駆動する必要があるため、高い駆動能力を有している。このため、クロック配線のインピーダンスが高いと、その電位変動も大きくなり、クロック信号CKQの信号品質が劣化してしまう。この点、平面視においてクロックパッドPCKと出力バッファー回路52とが重なるように配置すれば、出力バッファー回路52とクロックパッドPCKを接続するクロック配線の経路をショートパスの経路にすることができ、クロック配線のインピーダンスを最小限に抑えることができるため、クロック信号CKQの信号品質の劣化を抑制できるようになる。また、出力バッファー回路52は、外部負荷を駆動できるように高い駆動能力を有しているため、発生する高周波ノイズが大きく、出力バッファー回路52や、クロック信号CKQが出力されるクロックパッドPCKは、高周波ノイズ源となる。この点、平面視においてクロックパッドPCKと出力バッファー回路52とが重なるように配置すれば、このような高周波ノイズ源を1つの場所にまとめて配置できるようになる。これにより、この高周波ノイズ源からのノイズの悪影響を軽減するためのレイアウト配置などの施策を容易に実現することが可能になる。
【0075】
また
図18に示すように集積回路装置20の外形は、辺SD1と、辺SD1に対向する辺SD2とを含み、辺SD1側に、出力バッファー回路52とクロックパッドPCKとが配置され、辺SD2側に、基準電圧生成回路62とグランドパッドPGNDとが配置される。辺SD1は第1辺であり、辺SD2は第2辺である。例えば辺SD2に比べて辺SD1に近い場所に、出力バッファー回路52とクロックパッドPCKが配置される。また辺SD1に比べて辺SD2に近い場所に、基準電圧生成回路62とグランドパッドPGNDが配置される。例えば辺SD1と、辺SD1と辺SD2の中央線との間の第1領域に、出力バッファー回路52及びクロックパッドPCKが配置され、辺SD2と、辺SD1と辺SD2の中央線との間の第2領域に、基準電圧生成回路62及びグランドパッドPGNDが配置される。このようにすれば、高周波ノイズ源となる出力バッファー回路52及びクロックパッドPCKが、辺SD1側に配置される一方で、高周波ノイズを避ける必要がある基準電圧生成回路62及びグランドパッドPGNDが、辺SD2側に配置されるようになる。これにより、高周波ノイズ源となる出力バッファー回路52及びクロックパッドPCKと、基準電圧生成回路62及びグランドパッドPGNDとの距離を離すことが可能になる。従って、出力バッファー回路52及びクロックパッドPCKからの高周波ノイズが、基準電圧生成回路62及びグランドパッドPGNDに伝達されるのを抑制することができ、高周波ノイズを原因とするクロック周波数の精度の劣化を防止できる。
【0076】
また集積回路装置20の外形は、辺SD1、辺SD2に交わる第3辺である辺SD3を含み、発振回路30は、辺SD3側に設けられる。例えば辺SD3に沿って発振回路30が設けられる。具体的には発振回路30の例えば長辺が辺SD3に沿うように発振回路30が配置される。このように発振回路30が辺SD3側に配置されることで、辺SD1側に配置される出力バッファー回路52等と発振回路30との間の距離を離すことができ、出力バッファー回路52の高周波ノイズが発振信号OSCに重畳されて、発振特性が悪化する事態を防止できるようになる。また発振回路30が辺SD3側に配置されることで、辺SD2側に配置される基準電圧生成回路62等と発振回路30との間の距離を離すことができ、発振回路30からの発振ノイズが基準電圧生成回路62の基準電圧等に重畳されて、クロック周波数の精度が低下するなどの事態を防止できるようになる。
【0077】
また集積回路装置20は、発振信号OSCの発振周波数の温度補償を行う温度補償回路80を含む。そして
図18に示すように温度補償回路80は、発振回路30と、クロックパッドPCKとの間に設けられる。例えば発振回路30の方向DR2側に温度補償回路80が設けられ、温度補償回路80の方向DR2側に、クロックパッドPCKが設けられる。このように温度補償回路80を、発振回路30とクロックパッドPCKとの間に設けることで、発振回路30とクロックパッドPCKとの間の領域を有効利用して、温度補償回路80を配置できるようになり、効率の良いレイアウト配置が可能になる。またノイズ源となるクロックパッドPCKと発振回路30との間の距離を離すことができ、発振回路30にクロックパッドPCKからのノイズが伝達されるのを抑制できる。また温度補償回路80を発振回路30の近傍に配置することが可能になり、温度補償回路80からの温度補償電圧VCPをショートパスの信号経路で発振回路30に入力して、発振周波数の温度補償を実現できるようになる。
【0078】
そして本実施形態では、
図18の振動子接続用のパッドPX1、PX2の下方に発振回路30が配置される。即ち
図1等の回路8として発振回路30がパッドPX1、PX2に重なるように配置されると共に、パッドPX1、PX2と発振回路30との間に、電荷放電経路6に接続される抵抗7が一端に接続された保護配線5が設けられる。このようにすれば、パッドPX1、PX2の領域を有効利用して、発振回路30の例えば駆動回路又は可変容量回路等の一部の回路を配置できるようになるため、集積回路装置20の小面積化を実現できる。また実装時や検査時等にパッドに応力が加わった場合にも、当該応力を保護配線5が吸収することで、当該応力が発振回路30に伝わるのを抑制できるようになる。また保護配線5の一端が抵抗7を介して電荷放電経路6に電気的に接続されることで、発振回路30の交流信号である発振信号OSCの信号特性が劣化して、集積回路装置20の発振特性が悪化してしまう事態を防止できるようになる。
【0079】
また本実施形態では、
図18のクロックパッドPCKの下方にクロック信号CKQの出力バッファー回路52が配置される。即ち
図1等の回路8として出力バッファー回路52がクロックパッドPCKに重なるように配置されると共に、クロックパッドPCKと出力バッファー回路52との間に、電荷放電経路6に接続される抵抗7が一端に接続された保護配線5が設けられる。このようにすれば、クロックパッドPCKの領域を有効利用して、出力バッファー回路52を配置できるようになるため、集積回路装置20の小面積化を実現できる。また実装時や検査時等にパッドに応力が加わった場合にも、当該応力を保護配線5が吸収することで、当該応力が出力バッファー回路52に伝わるのを抑制できるようになる。また保護配線5の一端が抵抗7を介して電荷放電経路6に電気的に接続されることで、出力バッファー回路52が出力する交流信号であるクロック信号CKQの信号特性が劣化して、集積回路装置20のクロック出力特性が悪化してしまう事態を防止できるようになる。
【0080】
4.発振器
図19に本実施形態の発振器4の構造例を示す。発振器4は、振動子10と、集積回路装置20と、振動子10及び集積回路装置20を収容するパッケージ15を有する。パッケージ15は、例えばセラミック等により形成され、その内側に収容空間を有しており、この収容空間に振動子10及び集積回路装置20が収容されている。収容空間は気密封止されており、望ましくは真空に近い状態である減圧状態になっている。パッケージ15により、振動子10及び集積回路装置20を衝撃、埃、熱、湿気等から好適に保護することができる。
【0081】
パッケージ15はベース16とリッド17を有する。具体的にはパッケージ15は、振動子10及び集積回路装置20を支持するベース16と、ベース16との間に収容空間を形成するようにベース16の上面に接合されたリッド17とにより構成されている。そして振動子10は、ベース16の内側に設けられた段差部に端子電極を介して支持されている。また集積回路装置20は、ベース16の内側底面である面SFに配置されている。具体的には集積回路装置20は、能動面がベース16の内側底面に向くように配置されている。能動面は集積回路装置20の回路素子が形成される面である。また集積回路装置20の端子であるパッド2にバンプBMPが形成されている。そして集積回路装置20は、導電性のバンプBMPを介してベース16の面SFに支持される。導電性のバンプBMPは例えば金バンプ等の金属バンプである。そしてバンプBMPの一端は、集積回路装置20のパッド2に接続され、バンプBMPの他端は、集積回路装置20の実装面である面SFに設けられ端子TMに接続される。これにより集積回路装置20のパッド2は、バンプBMPや端子TMや内部配線を介して、発振器4の外部接続端子である外部端子18、19や、振動子10に電気的に接続されるようになる。外部端子18、19は、パッケージ15の外側底面に形成されている。外部端子18、19は、外部配線を介して外部デバイスに接続される。外部配線は、例えば外部デバイスが実装される回路基板に形成される配線などである。これにより集積回路装置20は外部デバイスに対してクロック信号などを出力できるようになる。
【0082】
なお
図19では、集積回路装置20の能動面が下方に向くように集積回路装置20がフリップ実装されているが、本実施形態はこのような実装には限定されない。例えば集積回路装置20の能動面が上方に向くように集積回路装置20を実装してもよい。即ち能動面が振動子10に対向するように集積回路装置20を実装する。
【0083】
以上に説明したように本実施形態の集積回路装置は、交流信号が入力又は出力されるパッドと、パッドと平面視において重なる回路と、パッドと回路との間に設けられる保護配線と、一端が保護配線に電気的に接続され、他端が電荷放電経路に電気的に接続される抵抗と、を含む。
【0084】
本実施形態では、パッドと回路との間に設けられる保護配線は、抵抗の一端に電気的に接続され、抵抗の他端は電荷放電経路に電気的に接続される。これにより、パッドの容量を小さくできると共に、保護配線にチャージされた電荷を、抵抗及び電荷放電経路を介して放電できるようになる。従って、平面視においてパッドに重なる回路の保護配線による保護と、保護配線を原因とする特性悪化等の抑制とを両立して実現できる集積回路装置の提供が可能になる。
【0085】
また本実施形態では、電荷放電経路は、グランド配線又は電源配線であってもよい。
【0086】
このようにすれば、保護配線の電荷を、低インピーダンスのグランド配線又は電源配線の電荷放電経路に放電することが可能になる。
【0087】
また本実施形態では、電荷放電経路は、パッドへの接続経路であってもよい。
【0088】
このようにすれば、保護配線の電荷を、パッドに電気的に接続されるデバイスや配線などに放電することが可能になる。
【0089】
また本実施形態では、電荷放電経路は、電圧生成回路の出力配線であってもよい。
【0090】
このようにすれば、保護配線の電荷を、低インピーダンスの出力配線に放電することが可能になる。
【0091】
また本実施形態では、集積回路装置は振動子に電気的に接続され、回路は、振動子を発振させる発振回路であってもよい。
【0092】
このようにすれば、パッドの領域を有効利用して、発振回路を配置できるようになるため、集積回路装置の小面積化を実現できる。また実装時や検査時等にパッドに応力が加わった場合にも、当該応力を保護配線が吸収することで、当該応力が発振回路に伝わるのを抑制できるようになると共に、交流信号である発振信号の信号特性の劣化等を抑制できるようになる。
【0093】
また本実施形態では、パッドは、振動子に電気的に接続されていてもよい。
【0094】
このようにすれば、振動子の実装時等にパッドに応力がかかった場合にも、当該応力を保護配線により吸収して、当該応力が発振回路に伝わるのを抑制できるようになる。
【0095】
また本実施形態では、回路は、静電気保護回路又は電源安定化キャパシターであってもよい。
【0096】
このようにすれば、実装時や検査時等にパッドに応力が加わった場合にも、当該応力を保護配線が吸収することで、当該応力が静電気保護回路又は電源安定化キャパシターに伝わるのを抑制できるようになる。
【0097】
また本実施形態では、パッドと保護配線との間の容量をC1とし、保護配線と基板との間の容量をC2とし、パッドと基板との間の容量をCとしたときに、1/{(1/C1)+(1/C2)}≦C≦1/{(1/C1)+(1/2C2)}であってもよい。
【0098】
このようにすることで、パッドの容量を小さくして、当該容量を原因とする交流信号の信号特性の劣化等を抑制できるようになる。
【0099】
また本実施形態では、保護配線の平面視における面積は、パッドの面積よりも小さくてもよい。
【0100】
このように保護配線の面積を小さくすることで、パッドの容量を減らすことができ、パッドの容量を原因とする交流信号の信号特性の劣化等を抑制できるようになる。
【0101】
また本実施形態では、保護配線は、格子状配線又は柵状配線であってもよい。
【0102】
このように、保護配線を格子状配線や柵状配線にして、保護配線の面積を小さくすることで、パッドの容量を減らすことができ、パッドの容量を原因とする交流信号の信号特性の劣化等を抑制できるようになる。
【0103】
また本実施形態は、上記に記載の集積回路装置と、振動子とを含む発振器に関係する。
【0104】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また集積回路装置、発振器の構成・動作等も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0105】
2…パッド、4…発振器、5…保護配線、6…電荷放電経路、7…抵抗、8…回路、9…基板、10…振動子、11、12…絶縁層、15…パッケージ、16…ベース、17…リッド、18、19…外部端子、20…集積回路装置、21…静電気保護回路、22…電源安定化キャパシター、30…発振回路、50…出力回路、52…出力バッファー回路、60…電源回路、62…基準電圧生成回路、64…レギュレーター、70…ロジック回路、80…温度補償回路、90…温度センサー回路、91…パッドメタル、92、93、94…導電層、BMP…バンプ、C、C1、C2…容量、CKQ…クロック信号、DR、DR1、DR2、DR3、DR4…方向、OE…出力イネーブル信号、OSC…発振信号、PCK…クロックパッド、PGND :グランドパッド、POE…出力イネーブルパッド、PVDD…電源パッド、PX1、PX2…パッド、S1、S2…面積、SD1、SD2、SD3、SD4…辺、SF…面、TCK、TGND、TOE、TVDD…外部端子、TM…端子、VCP…温度補償電圧、VDD…電源電圧、VREF…基準電圧、VT…温度検出電圧、t…厚さ