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特開2022-170907スガマデクスを分析するためのHPLC法
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  • 特開-スガマデクスを分析するためのHPLC法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170907
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】スガマデクスを分析するためのHPLC法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/88 20060101AFI20221104BHJP
   G01N 30/34 20060101ALI20221104BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20221104BHJP
   B01J 20/281 20060101ALI20221104BHJP
   G01N 30/54 20060101ALI20221104BHJP
   G01N 30/74 20060101ALI20221104BHJP
   G01N 30/06 20060101ALI20221104BHJP
   G01N 30/86 20060101ALI20221104BHJP
   B01J 20/287 20060101ALI20221104BHJP
   B01D 15/38 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 31/724 20060101ALN20221104BHJP
   A61P 21/00 20060101ALN20221104BHJP
【FI】
G01N30/88 N
G01N30/34 E
G01N30/26 A
B01J20/281 G
G01N30/54 Z
G01N30/74 E
G01N30/06 C
G01N30/86 J
B01J20/287
B01D15/38
A61K31/724
A61P21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021077192
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】512166511
【氏名又は名称】メディケム ソシエダ アノニマ
【氏名又は名称原語表記】MEDICHEM S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】プイグ セラーノ,ジョルディ
(72)【発明者】
【氏名】ギリェルモ ヴィエイテス,ボルハ
(72)【発明者】
【氏名】カマチョ カラスコ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ロサーノ ポゾ,ルヴェン
(72)【発明者】
【氏名】デュラン,エルネスト
【テーマコード(参考)】
4C086
4D017
【Fターム(参考)】
4C086EA20
4C086ZA02
4D017AA03
4D017BA03
4D017CA14
4D017CB01
4D017DA03
4D017DB02
4D017EA05
4D017EB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウム、及び類縁物質の分析のための新しいHPLC法を提供すること。
【解決手段】0~1.0の選択係数、2.0~4.0の疎水性係数を有する固定相を含む逆相カラムの使用を含むスガマデクスナトリウムを分析するためのHPLC法であって、(i)2つの移動相A及びBが使用され、前記移動相AがpH2のバッファーであり、前記移動相Bがメタノール/アセトニトリル95/5(体積/体積)であること、並びに(ii)前記2つの移動相A及びBの勾配プログラムが、前記移動相A及びBの相対濃度が、100分以上で70%A:30%Bから52%A:48%Bに変化するようになっていることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0~1.0の選択係数、2.0~4.0の疎水性係数を有する固定相を含む逆相カラムの使用を含むスガマデクスナトリウムを分析するためのHPLC法であって、
(i)2つの移動相A及びBが使用され、前記移動相AがpH2のバッファーであり、前記移動相Bがメタノール/アセトニトリル95/5(体積/体積)であること、並びに
(ii)前記2つの移動相A及びBの勾配プログラムが、前記移動相A及びBの相対濃度が、100分以上で70%A:30%Bから52%A:48%Bに変化するようになっていること
を特徴とする、HPLC法。
【請求項2】
前記固定相が、0.2~0.7の選択係数、2.5~3.5の疎水性係数、5%~25%のカーボンロード、2μm~5μmの粒子径及び8nm~30nmの細孔径を有し、前記カラムが、150~300mmの長さ及び2~10nmの内径を有する、請求項1に記載のHPLC法。
【請求項3】
前記勾配プログラムが以下のステップ:
を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載のHPLC法。
【請求項4】
前記カラムが、YMC-Pack Pro C18、250×4.6mm、3μmであり、前記移動相AがpH2.0の10mMリン酸二水素カリウムバッファーである、請求項1~3のいずれか一項に記載のHPLC法。
【請求項5】
カラム温度が35℃~45℃であり、UV検出器が207nm~213nmに設定され、流量が1.0mL/分である、請求項1~4のいずれか一項に記載のHPLC法。
【請求項6】
分析対象の前記スガマデクスナトリウムが医薬組成物の形態である、請求項1~5のいずれか一項に記載のHPLC法。
【請求項7】
前記医薬組成物が、溶液1mL当たり約100mg(スガマデクス換算)のスガマデクスナトリウムの濃度を有する注入可能水溶液の形態である、請求項6に記載のHPLC法。
【請求項8】
注入される前記試験溶液が、溶液1mL当たり約100mg(スガマデクス換算)のスガマデクスナトリウムの濃度を有する前記注入可能水溶液を取り、水/メタノール90/10(体積/体積)で10.0mLまで希釈することによって調製される、請求項7に記載のHPLC法。
【請求項9】
注入量が20μLである請求項8に記載のHPLC法。
【請求項10】
(i)溶液1mL当たり約100mg(スガマデクス換算)のスガマデクスナトリウムの濃度を有する水溶液を1mL取り、それを水/メタノール90/10(体積/体積)で10.0mLまで希釈することによって試験溶液を調製するステップ、
(ii)40℃のカラム温度で、ステップ(i)で調製された前記試験溶液を20μL、YMC-Pack Pro C18、250×4.6mm、3μmのカラムに注入するステップ、
(iii)試料を1mL/分の流量を用いて2つの移動相A及びBの混合物で勾配溶離するステップであって、移動相AがpH2.0の10mMリン酸二水素カリウムバッファーであり、移動相Bがメタノール/アセトニトリル95/5(体積/体積)であり、勾配プログラムが以下のステップ:
である勾配溶離ステップ、
(iv)スガマデクスナトリウムの類縁物質の量を、210nmに設定したUV検出器で測定するステップ
を含む、スガマデクスナトリウムを分析するためのHPLC法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウム、及び類縁物質の分析のための新しいHPLC法に関する。本発明はまた、本発明の方法によって分析されたスガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウム、及び関連する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品の販売承認を確保するためには、製造業者は、製品が市場へのリリースに適していることを証明する詳細な証拠を適切な規制当局に提出しなければならない。したがって、その製品がヒトへの投与に許容されること、販売しようとしている特定の医薬組成物がリリース時に十分な程度まで不純物を含まないこと、許容される貯蔵安定性(有効期間)を有することが、規制当局を満足させるのに必要である。
【0003】
したがって、原薬の承認のための規制当局への申請には、類縁物質が製造時に医薬品有効成分(API)若しくはその医薬組成物に存在しないこと、又は許容可能なレベルでしか存在しないこと、及び医薬組成物の保存安定性が許容されるものであること示す分析データが含まれなければならない。
【0004】
API及び医薬組成物に存在すると考えられる不純物としては、残存量の合成前駆体(中間体)、APIの合成中に生じる副生成物、残留溶媒、APIの異性体(例えば幾何異性体や、ジアステレオマー、エナンチオマー)、APIの合成又は医薬組成物の調製で使用される材料に存在する汚染物質、及び未同定の外来性物質が挙げられる。貯蔵中に現れる可能性のある他の不純物としては、例えば加水分解又は酸化によって形成されるAPIの分解物が挙げられる。
【0005】
保健当局は非常に厳しい基準を設けており、製造業者は、その製品中に不純物が比較的(relatively)含まれていない、又は許容限度内にあること、及び製造される医薬品の各バッチに対してそれらの基準が再現可能であることを示さなければならない。
【0006】
API又は医薬組成物が安全で有効であることを証明するために必要な試験には、純度/アッセイ試験と類縁物質試験が含まれる。純度/アッセイ試験は、既知の純度の標準と比較して被験品の純度を決定し、一方では、類縁物質試験は、被験品に存在するすべての不純物を検出及び定量するのに用いられる。
【0007】
API又は医薬組成物(例えば錠剤や、カプセル剤、注射用溶液)の分析に一般的に好まれる手法は通常、UV可視検出器に連結した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)である。API及び、もしあれば、存在する不純物は、HPLC固定相で分離され、UV可視検出器から得られる応答を用いて検出及び定量することができる。
【0008】
HPLCは、高圧ポンプが、分析対象の物質又は混合物を、溶離液とも呼ばれる移動相とともに送り込んで、固定相を含む分離カラムに通すクロマトグラフィー分離手法である。
【0009】
HPLC分析は、定組成モード又は勾配モードで行うことができる。定組成モードでは、移動相の組成は終始一定である。勾配HPLCモードは、移動相を構成する2つ以上の溶媒の割合を一定時間かけて徐々に変化させることによって行う。溶媒の変化は、カラムを通過する前に溶媒を混合して移動相を生成するミキサーによって制御される。物質が固定相と強く相互作用する場合、その物質は比較的長い時間カラム内に留まるが、固定相と強く相互作用しない物質は、より早くカラムから溶出する。相互作用の強さに応じて、分析種のさまざまな構成要素は、分離カラムの末端に、保持時間として知られている異なる時間で現れ、そこでUV可視検出器などの好適な検出器によって検出及び定量することができる。
【0010】
スガマデクスは、6-ペル-デオキシ-6-ペル-(2-カルボキシエチル)チオ-γ-シクロデキストリンの国際的な一般的に受け入れられている国際一般名(INN))で、C7211248の実験式を有し、分子量は2002.18g/molである。
【0011】
スガマデクスのオクタナトリウム塩(化合物SGM-Na)は、以下、スガマデクスナトリウムと呼び、ロクロニウム又はベクロニウムによって誘発される神経筋遮断の回復を回復させるのに治療上有用であることが知られている。欧米ではスガマデクスナトリウムはBridion(商標)の名称で販売されている。
【0012】
【0013】
スガマデクスは米国再発行特許第44,733号(U.S.Patent No.RE44,733)で初めて記載された。具体的には、その特許の実施例4でスガマデクスナトリウムの調製が開示されているが、純度データは報告されていない。
【0014】
国際公開第2016194001A2号及び国際公開第2018185784A1号には、スガマデクスを精製するための分取HPLC法が開示されているが、それらの文献には、開示された方法に従って得られたスガマデクスナトリウムを分析するために使用されるHPLC法に関して言及されていない。
【0015】
国際公開第2017084401A1号には、非エンドキャップ材料、具体的には非エンドキャップのオクタデシルシラン結合シリカゲルを充填したカラムを用いた分析HPLC法が開示されている。国際公開第2017084401A1号の図5では、その特許出願で開示された法で調製されたスガマデクスナトリウムの類縁物質のクロマトグラムが示され、図6、7及び8では、市販の医薬組成物であるBridion(商標)の類縁物質のクロマトグラムで示されている。クロマトグラムはすべて、より多量に存在する不純物が、約16.2~16.5分の保持時間に現れるOrg48302と呼ばれる不純物であることを示す。Org48302の直前に溶出する不純物の保持時間の、Org48302の保持時間に対する差は、約0.7分(図5を参照)、約0.4分(図6を参照)及び約0.2分(図7及び8を参照)である。HPLCクロマトグラムの対応するピークが十分に分離されていないので、それらの不純物の保持時間にそのようなわずかな差があると、そのような不純物(それらのうち1つはスガマデクスナトリウムの最も関連のある不純物である)を適切に同定及び定量することが困難になる。さらに、固定相の化学的性質のみが開示され、カラム寸法などのさらなる詳細は記載されていないので、国際公開第2017084401A1号で使用されたカラムは適切に画定されていない。
【0016】
国際公開第2018036353A1号、国際公開第2019102009A1号、国際公開第2019184773A1号、中国特許第106565858A号、中国特許第108929389A号、中国特許第108929390A号、中国特許第110818816A号、中国特許第111040050A号、中国特許第111518228A号、中国特許第111518229A号、中国特許第111548435A号及び中国特許第112538124A号には、スガマデクスの純度を分析することを対象としているが、類縁物質又は少なくともすべての類縁物質を測定することは対象としていないと思われるHPLC法が記載されている。
【0017】
国際公開第2021008486A1号、中国特許第105348412A号、中国特許第108456264A号、中国特許第109021147A号及び中国特許第109021148A号には、HPLC法が開示されているが、使用された移動相の組成及び/又は勾配などの、それらの方法を適切に実行するための関連する特徴が開示されていない。
【0018】
中国特許第110627925A号、中国特許第110627926A号及び中国特許第111196862A号には、類縁物質に関してスガマデクスナトリウムを分析するHPLC法が開示されているが、それらの文献には、スガマデクスの主な不純物と考えられているOrg48302と呼ばれるスガマデクスナトリウムのモノOH誘導体などの不純物について言及されていない。
【0019】
これらのHPLC法のいずれも、スガマデクスナトリウムを含む医薬製剤、特にスガマデクスナトリウムの注入可能製剤には適用されない。
【0020】
米国特許出願公開第2021000739A1号には、スガマデクスナトリウムの注入可能製剤のためのHPLC法が開示されているが、使用された移動相の勾配などのその方法を適切に実行するための関連する特徴は開示されていない。さらに、その方法は、単一の特定の未知の不純物Gを測定することを対象とするようである。
【0021】
国際公開第2021039084A1号には、スガマデクスナトリウムの注入可能製剤のためのHPLC法が開示されているが、使用された移動相の勾配などのその方法を適切に実行するための関連する特徴は開示されていない。さらに、その方法は、構造的に定義されていない不純物I、II及びIIIを測定することを対象とするようである。
【0022】
欧州医薬品庁(EMA)のBridion(商標)の公開医薬品審査報告書(Public Assessment Report)には、スガマデクスの合成が、1分子当たり8つの同一官能基を完全に変換する必要があるという点で複雑であり、構造的にγ-シクロデキストリンに関連し、したがって除去が非常に困難な不純物が高レベル生じると述べられている。その結果として、それらの不純物は、適切な検出及び定量に向けたクロマトグラフィー分析法においても識別することが非常に困難である。
【0023】
したがって、類縁物質を適切に測定するためには、スガマデクス及びその塩、特にスガマデクスナトリウムを適切に分析できる分析法、例えばHPLC法を提供する必要が依然としてある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施例1で得られたスガマデクスナトリウム溶液の試料の、本発明のHPLC法によるHPLCクロマトグラムとピークの結果を示す。
【発明の概要】
【0025】
本発明の目的は、スガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウム、及びスガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウムを含む医薬組成物で形成され、残留する可能性がある類縁物質をすべて検出し、任意選択で定量もするための、正確で高感度の新しいHPLC法を提供することである。
【0026】
具体的には、本発明は、スガマデクスナトリウム又はそれを含む医薬組成物の製造過程の間及び保存中に形成されうるスガマデクスナトリウムの主な分解不純物を検出し、任意選択で定量もすることができる、正確で高感度の新しいHPLC法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の著者ら(authors)は、スガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウムの類縁物質を適切に検出し、任意選択で定量もできるHPLC法を見出した。
【0028】
米国食品医薬品局(FDA)の化学審査データシート(Chemistry Review Data Sheet)には、Bridion(商標)は、Org48302と呼ばれるスガマデクスナトリウムのモノOH誘導体(下記に酸の形態で示されている)を最大7%含む可能性があると述べられている。
【0029】
Org48302(工程内及び分解不純物)
【0030】
したがって、Org48302は、スガマデクス若しくはその塩、特にスガマデクスナトリウムのバッチ、又はスガマデクス若しくはその塩、特にスガマデクスナトリウムを含む医薬組成物のバッチにおける主な不純物と考えることができる。
【0031】
本発明のHPLC法、直前に溶出する最も近いピークが、数分でOrg48302のピークと異なる保持時間を有するので、類縁物質であるOrg48302を適切に検出及び定量することができる。具体的には、本発明のHPLC法に従って得られるクロマトグラムにおいて、Org48302に対応するピークと、その直前に溶出する最も近いピークとの間に、約8の分離度がある。
【0032】
酸化及び/又は温度による分解によって形成される可能性がある、スガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウム、及びそれを含む医薬組成物中の他の類縁物質又は不純物を以下に示す(酸の形態で示す)。
【0033】
SGM-500a(酸化による分解不純物)
【0034】
SGM-500b(酸化による分解不純物)
【0035】
SGM-1200(温度及び酸化による分解不純物)
【0036】
SGM-1700(温度及び酸化による分解不純物)
【0037】
SGM-2200(分解不純物SGM-1200の二量体化)
【0038】
アクリル酸(酸化及び温度による分解不純物)
【0039】
類縁物質SGM-500a、SGM-500b及びSGM-1700は、主に、スガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウムの水溶液を含む医薬組成物、例えば注入可能製剤の調製過程の間及び保存中に形成される。
【0040】
本発明のHPLC法は、スガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウム、及びその医薬組成物に存在する可能背があるそれらの類縁物質をすべて検出でき、任意選択で定量もすることができる。より具体的には、本発明のHPLC法に使用により、本発明のHPLC法に従って得られるクロマトグラムにおいて、類縁物質Org48302、SGM-500a、SGM-500b、SGM-1200、SGM-1700及びSGM-2200にあたるピークと、直前に溶出する、対応する最も近いピークとの間の分離度の値が3より高いことが可能になる。
【0041】
HPLCは、固体の固定相及び液体の移動相に基づく分離技術である。
【0042】
分離は、使用される固定相の種類に応じて、分離、吸着、又はイオン交換プロセスによって達成される。最もよく使用される固定相は変性シリカ又はポリマービーズである。ビーズは長鎖炭化水素の付加によって修飾される。
【0043】
本発明で使用される「カラム」という用語は、固定相で充填されたステンレスカラム、裏地付きステンレスカラム、ポリマーカラムを含む。カラムの長さや内径は分離に影響を及ぼす。
【0044】
液体クロマトグラフは、移動相を含む槽、高圧で移動相を押し出してシステム全体を通すポンプ、移動相に試料を導入するインジェクター、クロマトグラフィーカラム、検出器、データ収集装置から構成される。
【0045】
クロマトグラムとは、検出器の応答、溶出液中の分析種の濃度、又は溶出液の量若しくは時間に対する溶出液濃度の尺度として使用される他の量をグラフで表したものである。
【0046】
ピークは、単一成分がカラムから溶出されるときの検出器の応答のクロマトグラフィー記録の部分である。
【0047】
保持時間RTは、試料の注入と、溶出された試料ゾーンの最大ピーク応答の出現との間の経過時間として定義される。RTは、同定のためのパラメーターとして使用することができる。クロマトグラフィーの保持時間は、それらが表す化合物に特徴的であるが、一意的ではない。試料と参照物質の保持時間の一致は、同一性プロファイル(identity profile)を構築する際の部分的な基準として用いることができる。
【0048】
分離度(R)とは、混合物中の2つの成分を分離することである。これは、クロマトグラフィーによる分離において2つの溶出ピークがどれくらいよく区別できるかの定量的な尺度であり、以下のように算出される。
【0049】
【0050】
ここで、RT及びRTは、2つの成分の保持時間であり、W及びWはクロマトグラフィーピークの50%の高さにおける対応する幅である。
【0051】
保持係数(k)は、容量係数(k’)としても知られ、固定相中の物質の量と移動相中の物質の量との間の比、又は固定相中の物質の滞在時間と移動相中の物質の滞在時間との間の比として定義される。成分のkは、以下のようにクロマトグラムから求めることができる。
【0052】
【0053】
ここで、RTは保持時間であり、TMはホールドアップタイム又は保持されない成分の溶出に要する時間である。
【0054】
分離係数(α)は、2つの隣接するピークについて計算された相対的な保持係数である(慣例として、分離係数の値は常に>1である)。
【0055】
【0056】
シリカ担体は最先端のHPLC充填剤の基礎であり、それらの相が最新のHPLCの高圧に耐えることができるようにする。シリカ粒子が長鎖炭化水素と結合すると(逆相クロマトグラフィー)、残留シラノールは極性のある試料や溶離液と相互作用することができる。これらの相互作用はいくつかの試料では望ましいが、塩基性試料及び水性溶離液の場合、残留シラノールはピークの対称性の問題を引き起こし、カラム寿命を短くする可能性がある。「エンドキャッピング」は、溶質分子との相互作用を最小にするために残留シラノールを結合させるプロセスである。エンドキャッピングプロセスの性質及び完全性は、HPLCカラムの性能及び品質、そして最終的には分離に大きく影響する。
【0057】
逆相充填物の最終的な特性は、結合相設計の多くのさまざまなパラメーター及びさまざまな充填物の製造法の詳細に依存する。この膨大な量のデータを、クロマトグラフィー技術分野の当業者(chromatographer)に役立つ情報に集約するためには、逆相充填物の最も関連性のある特性に焦点を当てることが重要である。1つは疎水性相互作用の強さであり、アセナフテンなその純粋に疎水性の分析種の保持係数によって容易に測定することができる。別の特性はシラノール基親和性(silanophilic)相互作用の強さである。これは、アミトリプチリンなどの疎水性相互作用及びシラノール基親和性相互作用によって相互作用する分析種と、アセナフテンなどの疎水性相互作用によってのみ相互作用する分析種との間の相対的な保持、すなわちアミトリプチリンとアセナフテンの間の分離係数(α)を用いることによって最も良好に測定することができる。
【0058】
疎水性は基本的に鎖長とともに増加する。シラン親和性相互作用はpH7.0で測定され、負に帯電したカチオン交換表面を作り出すシラノール基の脱プロトン化を可能にする。十分にエンドキャップされた高純度シリカをベースとする充填物は、低いシラノール基活性を示し、シラノール相互作用を最小にし、一方では、低純度のシリカをベースとし、かつ/又はエンドキャップされていない充填剤は、より高いシラノール活性をもたらし、通常、中性移動相pHで塩基性分析種のテーリングを示す。
【0059】
したがって、定義された(defined)固定相の分離特性は、その選択係数(selectivity factor)とその疎水性係数(hydrophobicity factor)の組み合わせによって定義することができる。
【0060】
本発明の文脈では、「疎水性係数」という用語は、アセナフテンに対する「保持係数」(k)のネイピア対数(ln)を指すのに使用される。
【0061】
本発明の文脈では、固定相の「選択係数」(sf)という用語は、アミトリプチリンとアセナフテンとの間の「分離係数」(α)のネイピア対数(ln)を指すのに使用される。
【0062】
定義された固定相の保持係数、分離係数、選択係数及び疎水性係数の計算に必要なアミトリプチリン及びアセナフテンの保持時間及びホールドアップタイムを測定するために、試験対象の固定相を含むカラムを備えたHPLCクロマトグラフが使用され、移動相のアセナフテン(200mg/L)及びアミトリプチリン(100mg/L)の溶液が注入される。移動相のウラシルの溶液(16mg/L)もカラムホールドアップタイム(TM)のマーカーとして注入される。移動相はpH7.00の20mM KHPO-KHPOバッファー及びメタノールの混合物からなり、両者はそれぞれ、体積比35%対65%で混合される。流量は1.4mL/分、カラム温度は25℃である。
【0063】
本発明の1つの態様は、スガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウムを分析するためのHPLC法を提供し、その方法は、0~1.0の選択係数及び2.0~4.0の疎水性係数、好ましくは0.2~0.7の選択係数及び2.5~3.5の疎水性係数を有する固定相を含む逆相カラムの使用を含む。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、固定相は、カーボンロードが5%~25%、好ましくは16%であり、粒子径が2μm~5μm、好ましくは3μmであり、細孔径が8nm~30nm、好ましくは12nmであり、カラムは、長さが150~300mm、好ましくは250mmであり、内径が2~10mm、好ましくは4.6mmである。
【0065】
本発明で使用される「カーボンロード」という用語は、固定相の炭素の重量パーセント割合である。これは、どれだけの有機材料がシリカの表面に化学的に結合しているかを測定する。
【0066】
本発明で使用される「粒子径」という用語は、固定相を形成する粒子の平均直径である。
【0067】
本発明で使用される「細孔径」という用語は、固定相に形成された細孔の平均距離のことである。
【0068】
カーボンロードや、粒子径、細孔径、カラム長、カラム内径などのパラメーターは、市販のHPLCカラムの製造業者によって提供されるのが好ましい。
【0069】
本発明の好ましい実施形態では、固定相は、ウォーターズ(Waters)Symmetry C18、YMC-Pack Pro C18、アジレント(Agilent)Zorbax Rx C18、アジレント Zorbax XDB C18、フェノメネクス(Phenomenex)Luna C18、フェノメネクス Luna C18(2)、フェノメネクス Prodigy C18、野村(Nomura)Develosil ODS-UG-5、野村 Develosil ODS SR-5、GL Inertsil ODS-2、GL Inertsil ODS-3、GL Inertsil ODS-3V、Supercosil Ascentis C18、資生堂(Shiseido)Capcell pak SG 120 C18、資生堂 Capcell pak C18 MG II及びHypersil Elite C18からなる群より選択され、好ましくはYMC-Pack Pro C18である。
【0070】
本発明の好ましい実施形態では、逆相カラムはYMC-Pack Pro C18、250×4.6mm、3μmである。
【0071】
好ましい実施形態では、本発明のHPLC法は、
(i)2つの移動相A及びBが使用され、移動相AはpH2のバッファーであり、移動相Bはメタノール/アセトニトリル95/5(体積/体積)であること、並びに
(ii)2つの移動相A及びBの勾配プログラムが、移動相A及びBの相対濃度が、100分以上で70%A:30%Bから52%A:48%Bに変化するようになっていることを特徴とする。
【0072】
本発明のHPLC法で移動相Aとして使用されるpH2のバッファーとしては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、ギ酸アンモニウム又はクエン酸ナトリウムの水溶液、好ましくはpH2.0の10mMリン酸二水素ナトリウム又はリン酸二水素カリウムバッファー、より好ましくはpH2.0の10mMリン酸二水素カリウムバッファーが挙げられる。
【0073】
本発明の好ましい実施形態では、本発明のHPLC法で使用される勾配プログラムは以下のステップを含む。
【0074】
【0075】
本発明の好ましい実施形態では、さらに15分の後処理が行われ、その結果勾配プログラムは以下のステップを含む。
【0076】
【0077】
本発明のHPLC法のカラム温度は、25℃~50℃、好ましくは35℃~45℃、より好ましくは40℃であることができる。
【0078】
好ましい実施形態では、本発明のHPLC法の検出は、207nm~213nm、好ましくは210nmに設定されたUV検出器を使用して実施される。
【0079】
本発明のHPLC法で使用できる代替的な検出器は、質量検出器、示差屈折率検出器、導電度測定器検出器(conductometer detector)、光散乱検出器(ELSD)などである。
【0080】
本発明のHPLC法で用いられる流量は、0.9mL/分~1.1mL/分、好ましくは1.0mL/分である。
【0081】
本発明のHPLC法は、スガマデクス又はその塩、好ましくはスガマデクスナトリウム、及びスガマデクス又はその塩、好ましくはスガマデクスナトリウムを含む医薬組成物を分析するのに適している。
【0082】
スガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウムを含む医薬組成物としては、錠剤、カプセル剤、粉末、小袋、ペレット、顆粒、シロップ、内用液、経口懸濁液、注入用凍結乾燥粉末、注入可能溶液などが挙げられる。好ましくは、スガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウムを含む医薬組成物は、注入可能溶液、より好ましくは注入可能水溶液、さらにより好ましくはスガマデクス換算で約100mg/mLの濃度を有する注入可能水溶液である。
【0083】
好ましい実施形態では、本発明のHPLC法は、スガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウムの注入可能水溶液を分析するために用いられ、その水溶液は、濃度がスガマデクス換算で約95mg/mL~約105mg/mL、好ましくは約100mg/mL、特に約200mg/2mL又は約500mg/5mLである。好ましくは、注入される試験溶液は、スガマデクス換算で濃度が約100mg/mLの注入可能水溶液を1mL取り、水/メタノール90/10(体積/体積)で10.0mLまで希釈することによって調製される。注入量は好ましくは20μLである。
【0084】
代替的には、本発明のHPLC法は、スガマデクスナトリウムAPIを分析するために用いられる。好ましくは、注入される試験溶液は、濃度がスガマデクスナトリウム換算で約5mg/mL~約12mg/mL、好ましくは約8mg/mLに達するようにスガマデクスナトリウムを、水/メタノール90/10(体積/体積)に溶かすことによって調製される。注入量は好ましくは20μLである。
【0085】
本発明の1つの態様は、以下を特徴とするスガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウムを分析するためのHPLC法を提供する。
(i)カラムがYMC-Pack Pro C18、250×4.6mm、3μmで、カラム温度が35℃~45℃、好ましくは40℃であること、
(ii)2つの移動相A及びBが使用され、移動相AはpH2のバッファー、好ましくはpH2.0の10mMリン酸二水素カリウムバッファーであり、移動相Bはメタノール/アセトニトリル95/5(体積/体積)であること、
(iii)2つの移動相A及びBの勾配プログラムが以下のステップを含むこと、
【0086】
【0087】
(iv)流量が0.9mL/分~1.1mL/分、好ましくは1mL/分であること、並びに
(v)試験溶液が、スガマデクス換算で5mg/mL~12mg/mL、好ましくは7mg/mL~11mg/mL、より好ましくは約10mg/mLの濃度を有すること。
【0088】
本発明の1つの態様は、以下のステップを含むスガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウムを分析するためのHPLC法を提供する。
(i)スガマデクス換算で約100mg/mLの濃度を有する水溶液を1mL取り、それを水/メタノール90/10(体積/体積)で10.0mLまで希釈することによって試験溶液を調製するステップ。
(ii)35℃~45℃、好ましくは40℃のカラム温度で、ステップ(i)で調製された試験溶液を20μL、YMC-Pack Pro C18、250×4.6mm、3μmのカラムに注入するステップ。
(iii)試料を、0.9mL/分~1.1mL/分、好ましくは1mL/分の流量を用いて2つの移動相A及びBの混合物で勾配溶離するステップであって、そこにおいて移動相AはpH2のバッファー、好ましくはpH2.0の10mMリン酸二水素カリウムバッファーであり、移動相Bはメタノール/アセトニトリル95/5(体積/体積)であり、勾配プログラムが以下のステップを含むステップ。
【0089】
【0090】
(iv)任意選択で、スガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウムの類縁物質の量を、207nm~213nm、好ましくは210nmに設定したUV検出器で測定するステップ。
【0091】
本発明の1つの態様は、直前に溶出する、対応する最も近いピークに対する、スガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウムの類縁物質の分離度が、1.5より高い、好ましくは2より高い、より好ましくは3より高いことを可能にするHPLC法を提供する。
【0092】
本発明で使用される類縁物質は、次の類縁物質の1つ又は複数を含む:アクリル酸、Org48302、SGM-500a、SGM-500b、SGM-1200、SGM-1700又はSGM-2200。
【0093】
本発明の1つの態様は、スガマデクス若しくはその塩、特にスガマデクスナトリウムのバッチ、又はスガマデクス若しくはその塩、特にスガマデクスナトリウムを含む医薬組成物のバッチを調製する方法を提供し、その方法は、本発明のHPLC法による、スガマデクス若しくはその塩、特にスガマデクスナトリウム、又はスガマデクス若しくはその塩、特にスガマデクスナトリウムを含む医薬組成物の分析を含む。
【0094】
本発明の1つの態様は、本発明のHPLC法によって分析された、スガマデクス若しくはその塩、特にスガマデクスナトリウム、又はスガマデクス若しくはその塩、特にスガマデクスナトリウムを含む医薬組成物を、好ましくは水性の注入可能溶液の形態で提供する。
【0095】
本発明のHPLC法は、先行技術で開示されているいずれかのプロセスに従って得られたスガマデクス若しくはその塩、特にスガマデクスナトリウム、又はそれを含む医薬組成物に適用することができる。
【0096】
本発明で使用される「類縁物質」という用語は、スガマデクス若しくはその塩、特にスガマデクスナトリウム、又はスガマデクス若しくはその塩、特にスガマデクスナトリウムを含む医薬組成物中に存在し、所望の生成物、すなわちスガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウムでもなく、いずれの賦形剤でもない任意の成分を意味する。
【0097】
「類縁物質」及び「不純物」という用語は、本発明において不明瞭に(indistinctly)使用される。
【0098】
本発明で使用される、スガマデクス又はその塩、特にスガマデクスナトリウムを「分析する」という用語は、スガマデクス若しくはその塩、特にスガマデクスナトリウム、又はスガマデクス若しくはその塩、特にスガマデクスナトリウムを含む医薬組成物中の類縁物質の検出及び任意選択で定量を含む。
【0099】
本発明で使用される、数字の前にあり、それを参照する「約」という用語は、その値の数字±10%で画定される範囲、好ましくは数字±5%で画定される範囲、より好ましくは数字±2%で画定される範囲、さらにより好ましくは数字±1%で画定される範囲内にある任意の値を指し示すことを意味する。例えば、「約10」は、9~11の範囲内、好ましくは9.5~10.5の範囲内、より好ましくは9.8~10.2の範囲内、さらにより好ましくは9.9~10.1の範囲内を意味すると解釈されるべきである。
【実施例0100】
実施例1:スガマデクス換算で100mg/mLのスガマデクスナトリウムからなる注入可能水性医薬組成物の調製
国際出願PCT/EP2018/082598号で開示された方法に従って調製されたスガマデクスナトリウムを、スガマデクスナトリウム換算で濃度が108.8mg/mL(スガマデクス換算で100mg/mLの濃度に相当)の水溶液を得るために、注射用水で希釈する。得られた溶液のpHを、3.7%塩酸水溶液(重量/重量)を用いて、またpHを上げる必要がある場合には0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pH7.5(範囲7.2~7.9)に調整する。
【0101】
形成された溶液に窒素をバブリングし、濾過し、ガラスバイアルに充填する。そのバイアルを、オートクレーブで121℃の温度にて15分加熱して、蒸気滅菌によって滅菌する。
【0102】
実施例2:実施例1の溶液の試料のHPLC分析
HPLC法:
-HPLCシステム:UV可視検出器を備えたウォーターズ(登録商標)Alliance(登録商標)2695
-カラム:YMC-Pack Pro C18、250×4.6mm、3μm
-移動相A:10mMリン酸二水素カリウム pH2.0バッファー
移動相Aの調製:1.36gの無水リン酸二水素カリウムを秤量し、1000mLのHPLCグレードの水に溶かす。1Nのオルトリン酸又は水酸化カリウムで、pHをpH2.0±0.05に調整する。この溶液を0.45μmのナイロンフィルターに通して濾過する。
-移動相B:HPLCグレードのメタノール/HPLCグレードのアセトニトリル、95/5(体積/体積)
移動相Bの調製:950mLのHPLCグレードのメタノール及び50mLのHPLCグレードのアセトニトリルを混合して1リットルの移動相Bを得る。
-勾配プログラム クロマトグラフは以下のようにプログラムされる。
【0103】
【0104】
-流 量:1.0mL/分
-波 長:210nm
-注入量:20μL
-カラム温度:40℃
【0105】
溶液
-希釈剤:HPLCグレードの水/HPLCグレードのメタノール、90/10(体積/体積)
-0.2%スガマデクス標準溶液:適切な量のスガマデクスナトリウム標準品を秤量し、それを希釈剤で希釈することによって、スガマデクスが20μg/mLの標準溶液を調製する。例えば、20.0mL容メスフラスコ中で、21.76mgのスガマデクスナトリウム標準品(20.0mgのスガマデクスに相当)を希釈剤で溶かして容量まで希釈する。2.0mLの前述の溶液をメスフラスコ中で希釈剤を用いて100.0mLまで希釈し、20μg/mLのスガマデクスの溶液を得る。
-定量限界溶液、0.05%LoQ溶液:5.0mLのスガマデクス標準溶液(20μg/mL)を希釈剤(5μg/mL)で20.0mLに希釈する。
-0.2%アクリル酸標準溶液:適切な量のアクリル酸標準品を秤量し、それを希釈剤で希釈することによって、20μg/mLのアクリル酸の標準溶液を調製する。例えば、20.0mgのアクリル酸標準品を20.0mL容メスフラスコに秤量し、希釈剤で溶かし容量まで希釈する。2.0mLの前述の溶液をメスフラスコ中で希釈剤を用いて100.0mLまで希釈する(20μg/mLアクリル酸)。
-試験溶液:実施例1で調製した溶液1.0mLを、メスフラスコ中で希釈剤を用いて10.0mLまで希釈する。
【0106】
計算
不純物(例えばSGM-500a、SGM-500b、Org48302、SGM-2200、SGM-1700及びSGM-1200)の定量は以下のように行う。
【0107】
【0108】
ru:試験溶液に由来する任意の不純物のピーク応答
rs:0.2%標準溶液に由来するスガマデクスのピーク応答
Cu:試験溶液(10mg/mL)中のスガマデクスの濃度
Cs:0.2%標準溶液のスガマデクスの濃度
【0109】
アクリル酸の定量は以下のように行う。
【0110】
【0111】
ruAc:試験溶液に由来するアクリル酸不純物のピーク応答
rsAc:0.2%標準溶液に由来するアクリル酸のピーク応答
Cu:試験溶液(10mg/mL)中のスガマデクスの濃度
CsAc:0.2%標準溶液中のアクリル酸の濃度
本発明の方法の検出限界は3μg/mLであり、本発明の方法の定量限界は5μg/mLである。
【0112】
試験溶液を溶出させたときに得られるクロマトグラムの保持時間(RT)、相対保持時間(RT比)、50%の高さにおける幅(W)及び分離度(R)を表1に示す。
【0113】
【0114】
分離度(R)は以下のように算出する。
【0115】
【0116】
ここでRT及びRTは2つの成分の保持時間であり、W及びWはクロマトグラフィーピークの50%の高さにおける対応する幅である。
【0117】
表1に示す分離度(R)は、1つのピークとその直前に溶出するピークとの間で算出される。例えば、Org48302に関して示されている分離度R、すなわち8.1は、Org48302とSGM-500bの間の分離度である。
図1
【外国語明細書】