(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170945
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】配管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 27/12 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
F16L27/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077246
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】511089583
【氏名又は名称】日本ニューロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084342
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 久巳
(74)【代理人】
【識別番号】100213883
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 雅史
(72)【発明者】
【氏名】西 勇也
(72)【発明者】
【氏名】岩本 泰一
【テーマコード(参考)】
3H104
【Fターム(参考)】
3H104JA07
3H104JA08
3H104JB02
3H104KB13
3H104LB01
3H104LG30
(57)【要約】
【課題】平時には伸縮部を拘束部材で拘束し、地震等の災害時にはこの拘束部材による拘束を自動的に解除させるようにした配管継手を提供する。
【解決手段】伸縮部2の外周部を囲繞する領域であって伸縮部2の両側位置のフランジ3,3に、丸棒部材6aで構成される拘束部材6が固定してある。この固定部分は、丸棒部材6aの各端部に形成した雄ネジ6bにフランジ3を挟んでナット6c,6cを締め付けてなる。丸棒部材6aの中間部には切欠部6が形成されており、この切欠部6dが伸縮部2を伸縮させる所定の外力が作用することによって破断し、丸棒体6aによる伸縮部2の拘束が解除される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮部の外周部を囲繞する領域であって当該伸縮部の両側位置に拘束部材の両端部を固定してあり、当該拘束部材の中間部分又は拘束部材における当該伸縮部の両側位置への固定部分が、前記伸縮部にこれを伸長する方向又は縮小する方向に所定の外力が作用することによって破断又は離脱することを特徴とする配管継手。
【請求項2】
伸縮部の外周部を囲繞する領域であって当該伸縮部の両側位置に、拘束部材の一端側部分がスライド自在に支持されると共に拘束部材の他端部が固定されており、拘束部材のスライド自在に支持された側の端部に、前記伸縮部にこれを伸長する方向に所定の外力が作用することによって破損又は離脱するストッパを固定したことを特徴とする配管継手。
【請求項3】
伸縮部の外周部を囲繞する領域であって当該伸縮部の両側位置に、拘束部材の両端側部分がスライド自在に支持されており、拘束部材の両端部に、前記伸縮部にこれを伸長する方向に所定の外力が作用することによって破損又は離脱するストッパを固定したことを特徴とする配管継手。
【請求項4】
伸縮部の外周部を囲繞する領域であって当該伸縮部の両側位置に、拘束部材の一端側部分がスライド自在に支持されると共に拘束部材の他端部が固定されており、拘束部材のスライド自在に支持された側の端部に、前記伸縮部にこれを伸長する方向に所定の外力が作用することによって破損又は離脱するストッパを固定し、拘束部材の中間部に、前記伸縮部にこれを縮小する方向に所定の外力が作用することによって破損又は離脱するストッパを固定したことを特徴とする配管継手。
【請求項5】
伸縮部の外周部を囲繞する領域であって当該伸縮部の両側位置に、拘束部材の両端側部分がスライド自在に支持されており、拘束部材の両端部に、前記伸縮部にこれを伸長する方向に所定の外力が作用することによって破損又は離脱するストッパを固定し、拘束部材の中間部分に、前記伸縮部にこれを縮小する方向に所定の外力が作用することによって破損又は離脱する二個のストッパを所定間隔を隔てて固定したことを特徴とする配管継手。
【請求項6】
前記拘束部材が剛体部材で構成されることを特徴とする、請求項1~5の何れかに記載する配管継手。
【請求項7】
前記拘束部材が可撓性部材で構成されることを特徴とする、請求項1に記載する配管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮管継手、伸縮可撓管及びフレキシブルチューブ等の配管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配管継手としては、例えば特許文献1に開示されるように、ベローズ型の伸縮部を有しており、その両側に連結管が連結される。
【0003】
かかる配管継手にあっては、平時の配管変位、振動等により伸縮部が伸縮する。一般に、かかる伸縮部の伸縮はこのような平時の配管変位、振動等に対応する強度を有するようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、地震等の災害は何時発生するか分からないため、しかも平時における伸縮部の伸縮による伸縮部の疲労損傷が蓄積されるため、地震等の災害時には伸縮部が十分に機能しない虞れがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、平時には伸縮部を拘束部材で拘束し、地震等の災害時にはこの拘束部材による拘束を自動的に解除させるようにした配管継手を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成すべく、(1)~(5)に示す如く構成されたものである。
【0008】
(1)伸縮部の外周部を囲繞する領域であって当該伸縮部の両側位置に拘束部材の両端部を固定してあり、当該拘束部材の中間部分又は拘束部材における当該伸縮部の両側位置への固定部分が、前記伸縮部にこれを伸長する方向又は縮小する方向に所定の外力が作用することによって破断又は離脱することを特徴とする配管継手。
【0009】
(2)伸縮部の外周部を囲繞する領域であって当該伸縮部の両側位置に、拘束部材の一端側部分がスライド自在に支持されると共に拘束部材の他端部が固定されており、拘束部材のスライド自在に支持された側の端部に、前記伸縮部にこれを伸長する方向に所定の外力が作用することによって破損又は離脱するストッパを固定したことを特徴とする配管継手。
【0010】
(3)伸縮部の外周部を囲繞する領域であって当該伸縮部の両側位置に、拘束部材の両端側部分がスライド自在に支持されており、拘束部材の両端部に、前記伸縮部にこれを伸長する方向に所定の外力が作用することによって破損又は離脱するストッパを固定したことを特徴とする配管継手。
【0011】
(4)伸縮部の外周部を囲繞する領域であって当該伸縮部の両側位置に、拘束部材の一端側部分がスライド自在に支持されると共に拘束部材の他端部が固定されており、拘束部材のスライド自在に支持された側の端部に、前記伸縮部にこれを伸長する方向に所定の外力が作用することによって破損又は離脱するストッパを固定し、拘束部材の中間部に、前記伸縮部にこれを縮小する方向に所定の外力が作用することによって破損又は離脱するストッパを固定したことを特徴とする配管継手。
【0012】
(5)伸縮部の外周部を囲繞する領域であって当該伸縮部の両側位置に、拘束部材の両端側部分がスライド自在に支持されており、拘束部材の両端部に、前記伸縮部にこれを伸長する方向に所定の外力が作用することによって破損又は離脱するストッパを固定し、拘束部材の中間部分に、前記伸縮部にこれを縮小する方向に所定の外力が作用することによって破損又は離脱する二個のストッパを所定間隔を隔てて固定したことを特徴とする配管継手。
【0013】
(1)~(5)に記載する本発明の配管継手の好ましい実施の形態においては、前記拘束部材が剛体部材で構成され、(1)に記載する本発明の配管継手の好ましい実施の形態にあっては、拘束部材が可撓性部材で構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の配管継手にあっては、平時には拘束部材により伸縮部を拘束し、所定の外力が発生する地震等の災害時には、伸縮部の拘束部材による拘束が自動的に解除される。すなわち、伸縮部にこれを伸長させる所定の外力が作用した場合又は伸縮部にこれを縮小させる所定の外力が作用した場合、伸縮部の両端位置又は一端位置における拘束部材の固定部分、拘束部材の切欠部又は拘束部材に固定されたストッパが破断又は離間されて、拘束部材による伸縮部の拘束が自動的に解除される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は本発明に係る配管継手の一例を示す側面図である。
【
図3】
図3は同配管継手に所定の外力が作用した状態を示す側面図である。
【
図4】
図4は本発明に係る配管継手の変形例を示す側面図である。
【
図5】
図5は本発明に係る配管継手の他の変形例を示す側面図である。
【
図6】
図6は本発明に係る配管継手の更に他の変形例を示す側面図である。
【
図7】
図7は本発明に係る配管継手の更に他の変形例を示す側面図である。
【
図8】
図8は本発明に係る配管継手の更に他の変形例を示す側面図である。
【
図9】
図9は本発明に係る配管継手の更に他の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
【0017】
図1は本発明に係る配管継手の一例を示す側面図であり、
図2は
図1のII-II線に沿う断面図であり、
図3は同配管継手に所定の外力が作用した状態を示す側面図である。
【0018】
配管継手1は、
図1に示す如く、伸縮部2の両側位置に一対のフランジ3,3を取り付けたものである。伸縮部2はベローズ型のもので、軸線方向に伸縮できるようになっている。配管継手1の各端部には、ボルト・ナットや溶着等の手段により接続管4が連結される。この例では、
図1~
図3に示す如く、複数のボルト,ナット5により配管継手1のフランジ3を連結管4の端部に形成したフランジ7に締結することにより、配管継手1の各端部に連結管4に連結している。
【0019】
而して、配管継手1には、伸縮部2の外周部を囲繞する領域であって当該伸縮部2の両側位置に、当該伸縮部2を伸長する方向又は縮小する方向の所定の外力が作用することによって破断する拘束部材6を取り付けてある。ここに所定の外力とは、地震等の災害時に作用する外力であって、拘束部材6の員数や後述する丸棒体6aの切欠部6dの強度等によって決定される。以下の説明においては、伸縮部2を伸長する方向の所定の外力を「所定引張力F1m」といい、当該伸縮部2を縮小する方向の所定の外力を「所定押圧力F2m」という。
【0020】
拘束部材6は、
図1に示す如く、前記伸縮部2の両側位置に固定された剛体部材又は可撓性部材で構成されている。この例では、剛体部材である丸棒体6aで構成されていて、丸棒体6aの両端部における前記伸縮部2の両側位置へはボルト・ナットにより固定されている。すなわち、丸棒体6aの両端部には雄ネジ6b,6bが形成されており、各雄ネジ6bを配管継手1のフランジ3に挿通し、この雄ネジ6bにフランジ3の両側に配したナット6c,6cを螺合、締め付けることによって、伸縮部2を最縮小状態又はそれ以外の状態に拘束する(
図1では伸縮部2が最縮小状態に拘束されている)。なお、丸棒体6aは、フランジ3の三箇所に等分配置されている。
【0021】
丸棒体6aは、その中間部に切欠部6dが形成されていて、その切欠部6dが細くなっており、
図3に示す如く、所定引張力F1mが作用することによって、或いは図示していないが、所定引張力F1mと方向を逆にする所定押圧力F2mが作用することによって、破断されるようになっている。すなわち、この切欠部6dは、配管継手1の伸縮部2に配管変位、振動等による平時の外力(伸縮部2を伸長方向に変位させる外力を「通常引張力F1」といい、伸縮部2を縮小方向に変位させる外力を「通常押圧力F2」という)が作用する場合には、丸棒体6aの軸長が変化せず、丸棒体6aによって拘束される伸縮部2は変化しないが、伸縮部2に地震等による所定引張力F1m又は所定押圧力F2mが作用したときには、丸棒体6aが切欠部6dから折れて(破断して)、伸縮部2が丸棒体6aの拘束から自動的に解除される。
【0022】
したがって、以上のように構成された拘束部材6によれば、配管継手1に連結管4,4を接続して地中に埋設する等の配管工事を行った場合、通常引張力F1又は通常押圧力F2が作用したときは、その大きさ及び方向に拘わらず、
図1に示す如く、伸縮部2が拘束状態のまま保持される。しかし、地震等により配管継手1に伸縮部2の伸長方向に所定引張力F1mが作用した場合には、
図3に示す如く、丸棒体6aの切欠部6dが破断する(或いは、図示していないが、伸縮部2の縮小方向に所定押圧力F2mが作用した場合にも丸棒体6aの切欠部6dが破断する)。このように丸棒体6aが破損すると、伸縮部2の丸棒体6aによる拘束が解除されて、伸縮部2は伸長方向(或いは、縮小方向)に変化する。この状態になった場合、配管継手1の損傷が大きいときはその部品の交換,修理が行われ、配管継手1の損傷が小さく、その継続使用が可能であるときは、そのまま放置するか、破損した部品の応急処置を行い、その後放置又は修理後再設置する。なお、伸縮部2を伸縮不能な剛体である拘束部材6で拘束しておくと、拘束状態(自然状態等)に拘わらず、所定引張力F1mm又は所定押圧力F2mが作用しない限り伸縮変位しないから、伸縮部2が疲労損傷することがない。
【0023】
また、
図4は本発明に係る配管継手の変形例を示す側面図である。
【0024】
図4に示す配管継手1は、例えば、拘束部材6により伸縮部2を自然状態(負荷が全く作用しない状態)に拘束するものであり、拘束部材6は可撓性部材であるワイヤ6eを使用する。
【0025】
ワイヤ6eは、
図4に示す如く、配管継手1のフランジ3,3間に緊張状態で張設されたもので、フランジ3,3に螺着させたボルト6f,6fに溶着6g,6gされている。ワイヤ6eの両端部を固着する溶着部6g,6gの一方又は両方は、所定引張力F1mにより分離される。ワイヤ6eは三本あり、フランジ3,3の三箇所に等分配置されている。
【0026】
拘束部材6は可撓性部材であるワイヤ6eであるから、配管継手1の伸縮部2に縮小方向の通常押圧力F2が作用する場合において、伸縮部2が縮小してワイヤ6がたるみ、伸縮部2が縮小方向に変形する。また、配管継手1の伸縮部2に伸長方向の通常引張力F1が作用する場合において伸縮部2が縮小しておれば、ワイヤ6が緊張する範囲において伸縮部2が伸長し、又はワイヤ6が緊張しておれば、通常引張力F1によっては伸縮部2は伸縮しない。
【0027】
しかし、伸縮部2に伸長方向の所定引張力F1mが作用すると、ワイヤ6eの両端部を固着する溶着部6g,6gの一方又は両方が分離されて、伸縮部2は伸長方向に変化する。この状態になった場合、配管継手1の損傷が大きいときはその部品の交換,修理が行われ、配管継手1の損傷が小さく、その継続使用が可能であるときは、そのまま放置するか、破損した部品の応急処置を行い、その後放置又は修理後再設置する。なお、拘束部材6をワイヤ6eで構成する場合、伸縮部2の拘束は自然状態以外の状態で行うこともできるが、
図4に示す如く、配管継手1の伸縮部2を自然状態で拘束するようにしておくと、拘束時においてワイヤ6eにたるみが生じず、その溶着等の張設を容易に行うことができる。
【0028】
また、
図5は本発明に係る配管継手の他の変形例を示す側面図である。
【0029】
図5に示す配管継手1は、例えば、拘束部材6により伸縮部2を自然状態に拘束するものであり、拘束部材6は可撓性部材である帯状部材6hで構成される。
【0030】
帯状部材6hは、
図5に示す如く、配管継手1のフランジ3,3間に張設されたもので、その両端部をフランジ3,3に螺合させたボルト6i,6iにより緊張状態で固定されている。帯状部材6hの両端部を固定するボルト6i,6iの一方又は両方は、所定引張力F1mにより破損又は分離されるものである。なお、帯状部材6hはフランジ3,3の三箇所に等分配置されている。
【0031】
拘束部材6は帯状部材6hで構成してあり、前記ワイヤ6eと同様の可撓性部材であるから、配管継手1の伸縮部2に縮小方向の通常押圧力F2が作用する場合において、帯状部材6hがたるみ、伸縮部2が縮小方向に変位する。しかし、所定引張力F1mが作用すると、帯状部材6hの両端部を固定するボルト6i,6iの一方又は両方が破損又は分離されて、伸縮部2は伸長方向に変化する。この状態になった場合、配管継手1の損傷が大きいときはその部品の交換,修理が行われ、配管継手1の損傷が小さく、その継続使用が可能であるときは、そのまま放置するか、破損した部品の応急処置を行い、その後放置又は修理後再設置する。なお、拘束部材6を帯状部材6hで構成する場合、伸縮部2の拘束は自然状態以外の状態で行うこともできるが、
図5に示す如く、配管継手1の伸縮部2を自然状態で拘束するようにしておくと、通常引張力F1又は通常押圧力F2が作用しても帯状部材6hにたるみが生じず、その張設を容易に行うことができる。
【0032】
また、
図6は本発明に係る配管継手の他の変形例を示す側面図である。
【0033】
図6に示す配管継手1は、例えば、拘束部材6により伸縮部2を自然状態に拘束するものであり、拘束部材6は剛体部材である丸棒体6jで構成されている。なお、丸棒体6jはフランジ3,3の三箇所に等分配置されている。
【0034】
すなわち、丸棒体6jは、
図6に示す如く、一端部に形成した雄ネジ6kを、前記丸棒体6aと同様に、配管継手1の一方のフランジ3にナット6m,6mで固定すると共に、他端側部分を配管継手1の他方のフランジ3に形成した孔6nにスライド自在に支持してある。そして、丸棒体6jのスライド側の端部にはリング状のストッパ6oをリベット6pにより固定してある。このストッパ6oは、所定引張力F1mが作用することによって、リベット6pが前記他方のフランジ3に衝突して破損し、丸棒体6jから離脱する。リベット6pはボルト、溶着等でもよい。
【0035】
したがって、配管継手1の伸縮部2に通常引張力F1が作用すると、その大きさによって、ストッパ6oが前記他方のフランジ3に衝突することを限度に伸縮部2が伸長し、配管継手1の伸縮部2に通常押圧力F2が作用すると、その大きさにより、伸縮部2が縮小されて、最縮小状態を限度として縮小される。しかし、所定引張力F1m2が作用すると、ストッパ6oが前記他方のフランジ3に衝突してリベット6pが破損し、ストッパ6oが分離して、拘束部材6つまり丸棒体6jによる伸縮部2の拘束が解除される。この状態になった場合、配管継手1の損傷が大きいときはその部品の交換,修理が行われ、配管継手1の損傷が小さく、その継続使用が可能であるときは、そのまま放置するか、破損した部品の応急処置を行い、その後放置又は修理後再設置する。
【0036】
また、
図7は本発明に係る配管継手の他の変形例を示す側面図である。
【0037】
図7に示す配管継手1は、例えば、拘束部材6により伸縮部2を自然状態(負荷が全く作用しない状態)に拘束するものであり、拘束部材6は剛体部材である丸棒体6qで構成されている。
【0038】
すなわち、丸棒体6qは、
図7に示す如く、両端側部分が配管継手1のフランジ3,3に設けた孔6r,6rにスライド自在に保持されており、フランジ3,3外に突出させた両端部にリング状のストッパ6s,6sが取り付けられている。
この状態で伸縮部2に通常引張力F1又は通常押圧力F2が作用すると、その大きさに応じて伸縮部2が伸縮する。
【0039】
各ストッパ6sはリベット6tにより丸棒体6qに固定されており、配管継手1に所定引張力F1mが作用すると、両ストッパ6r,6rがフランジ3,3に衝突して、リベット6t,6tの少なくとも一方が破損するようになっている。すなわち、リベット6tの破損によりストッパ6sが丸棒体6qから離脱して、拘束体6による伸縮部2の拘束が解除される。この状態になった場合、配管継手1の損傷が大きいときはその部品の交換,修理が行われ、配管継手1の損傷が小さく、その継続使用が可能であるときは、そのまま放置するか、破損した部品の応急処置を行い、その後放置又は修理後再設置する。リベット6tはボルト、溶着等でもよい。
【0040】
また、
図8は本発明に係る配管継手の更に他の変形例を示す側面図である。
【0041】
図8に示す配管継手1は、例えば、拘束部材6により伸縮部2を自然状態(負荷が全く作用しない状態)に拘束するものであり、
図6に示す拘束部材6の中間部にストッパ6uをリベット6vにより固定したものである。リベット6vは、伸縮部2を縮小させる方向に所定押圧力F2mが作用した場合、破損又は離脱するものである。リベット6vはボルト、溶着等でもよい。
【0042】
図8に示す拘束部材6は、丸棒体6iにストッパ6oに加えて新たなストッパ6uを加えたもので、伸縮部2に所定押圧力F2mが作用した場合、配管継手1のフランジ3にストッパ6uが衝突してリベット6vが破損して、伸縮部2の縮小方向の拘束が解除される。また、伸縮部2に所定引張力F1mが作用した場合は、
図6に示すものと同様に、丸棒体6iの端部に設けたストッパ6oがフランジ3により離脱して、伸縮部2の伸長方向の拘束が解除される。すなわち、所定引張力F1m又は所定押圧力F2mの何れが作用した場合にも、伸縮部2の拘束が解除される。この状態になった場合、配管継手1の損傷が大きいときはその部品の交換,修理が行われ、配管継手1の損傷が小さく、その継続使用が可能であるときは、そのまま放置するか、破損した部品の応急処置を行い、その後放置又は修理後再設置する。
【0043】
また、
図9は本発明に係る配管継手の更に他の変形例を示す側面図である。
【0044】
図9に示す配管継手1は、例えば、拘束部材6により伸縮部2を自然状態(負荷が全く作用しない状態)に拘束するものであり、
図7に示す拘束部材6の中間部にストッパ6w,6xをリベット6y,6zにより所定間隔を隔てて固定したものである。リベット6y,6zは、伸縮部2を縮小させる方向に所定押圧力F2mが作用した場合、破損するものである。リベット6y,6zはボルト、溶着等でもよい。
【0045】
図9に示す拘束部材6は、伸縮部2に所定押圧力F2mが作用した場合、配管継手1のフランジ3,3にストッパ6w,6xが衝突してリベット6y,6zが破損して、伸縮部2の縮小方向の拘束が解除される。また、伸縮部2に所定引張力F1mが作用した場合は、
図7に示すものと同様に、丸棒体6qの両端部に設けたストッパ6t,6tがフランジ3,3の衝突により離脱して、伸縮部2の伸長方向の拘束が解除される。すなわち、所定引張力F1m又は所定押圧力F2mの何れが作用した場合にも、伸縮部2の拘束が解除される。この状態になった場合、配管継手1の損傷が大きいときはその部品の交換,修理が行われ、配管継手1の損傷が小さく、その継続使用が可能であるときは、そのまま放置するか、破損した部品の応急処置を行い、その後放置又は修理後再設置する。
【0046】
なお、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲で適宜に改良、変更することができる。
【0047】
例えば、
図1又は
図6~
図8に示す如く、拘束部材6が剛体部材で構成される場合、剛体部材としては上記した丸棒体6a,6j,6qに限定されず、角棒体、丸型パイプ、角型パイプ又は板状体等を使用することができる。
【0048】
また、丸棒体6a,6j,6q等の剛体部材の両端部を上記したフランジ3,3又はフランジ3以外の伸縮部2の両端位置(別に設けたフランジ等)に固定してもよく、その固定部分は上記した雄ネジ6b、ナット6c又は雄ネジ6k、ナット6mの他、ボルト、リベット、溶着等によってもよい。また、ストッパ6o,6s,6u,6w,6xはリング状のものでなくともよく、その固定もリベット6p,6t,6y,6zでなく、所定引張力F1m又は所定押圧力F2mにより破損又は離脱するボルト、リベット、溶着等でもよい。
【0049】
丸棒体6a等の剛体部材に形成する切欠部6dは、一箇所に限定されず、複数箇所に設けてもよい。切欠部6dに代えて、引張強度等の強度的に弱く、所定引張力F1mによって破断される脆弱材質で構成してもよい。
【0050】
また、丸棒体6a等の剛体部材の一部を切欠部6dやこれに類する脆弱材質で構成しない場合には、剛体部材の両端部をフランジ3,3又はフランジ3以外の伸縮部2の両端部(別に設けたフランジ等)に固定してもよく、その固定部分を所定引張力F1mにより分離されるものとしてもよい。例えば、固定部分が上記した雄ネジ6b、ナット6cの他、ボルト、リベット、溶着等による場合は、その固定部分が所定引張力F1mにより分離されるようにしておけばよい。
【0051】
また、拘束部材6を丸棒体6a等の剛体部材で構成する場合、
図1に示す如く、配管継手1の伸縮部2を最縮小状態で拘束したが、伸縮部2の拘束は自然状態又はそれ以外の状態で行うようにしてもよい。
【0052】
また、
図4又は
図5に示す如く、拘束部材6をワイヤ6e又は帯状部材6hの可撓性部材で構成する場合、ワイヤ6e又は帯状部材6h以外の可撓性部材で構成してよい。可撓性部材には、上記溶着部6g又はボルト6iを破損するように構成する他、その一部に切欠部を形成して、この切欠部が、所定引張力F1mが作用したときに破断するように構成しておいてもよい。
【0053】
また、拘束部材6を丸棒体6a、6j,6q等の剛体部材又はワイヤ6e,帯状態6h等の可撓性部材で構成する場合、これらを三等分配置せず、任意である。
【0054】
拘束部材6は、配管継手1のフランジ3に固定又は支持するようにしたが、フランジ3以外の部材に固定又は支持してよく、また、配管継手1の部材に別部材を取り付けても、これに一体形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 配管継手
2 伸縮部
3 フランジ(伸縮部の両側位置)
6 拘束部材
6a 丸棒部材
6b 雄ネジ
6c ナット
6e ワイヤ
6f ボルト
6g 溶着部
6h 帯状部材
6i ボルト
6j 丸棒体
6k 雄ネジ
6m ナット
6n 孔
6o ストッパ
6p リベット
6q 丸棒部材
6r 孔
6s ストッパ
6t リベット
6u ストッパ
6v リベット
6w ストッパ
6x ストッパ
6y リベット
6z リベット