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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170959
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】紫外光検出器
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/58 20060101AFI20221104BHJP
   G01J 1/04 20060101ALI20221104BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20221104BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20221104BHJP
   G02B 5/23 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
G01J1/58
G01J1/04 B
G02B5/20
G02B5/22
G02B5/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077269
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳生 英昭
【テーマコード(参考)】
2G065
2H148
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB05
2G065BA26
2G065BB25
2H148AA18
2H148AA24
2H148CA13
2H148CA17
2H148DA12
2H148DA21
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で深紫外光の照射強度をより精度高く検出できる紫外光検出器を提供する。
【解決手段】紫外光検出器は、紫外光に反応して発光する、又は、前記紫外光に反応して変色する反応体と、前記反応体を収容する筐体と、前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬し、200nm以上280nm以下の波長帯域における光の透過を制限するフィルタを有する、第一採光窓と、前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬し、前記波長帯域における光透過率が前記第一採光窓と異なる第二採光窓と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光に反応して発光する、又は、前記紫外光に反応して変色する反応体と、
前記反応体を収容する筐体と、
前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬し、200nm以上280nm以下の波長帯域における光透過率を制限する第一フィルタを有する、第一採光窓と、
前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬し、前記波長帯域における光透過率が前記第一採光窓と異なる第二採光窓と、を備えることを特徴とする、紫外光検出器。
【請求項2】
前記第二採光窓は、前記波長帯域における光透過率を制限するフィルタを有しないことを特徴とする、請求項1に記載の紫外光検出器。
【請求項3】
前記第二採光窓は、前記第一フィルタの前記光透過率よりも大きい光透過率を示す、第一半透過フィルタを有することを特徴とする、請求項1に記載の紫外光検出器。
【請求項4】
前記第一フィルタは、200nm以上280nm以下の波長帯域における光透過率が10%より小さい遮光フィルタであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の紫外光検出器。
【請求項5】
さらに、前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬し、第二フィルタを有する、第三採光窓を備え、
前記第二フィルタは、透過スペクトルにおいて、光透過率が10%を示す第一波長が225nm以上240nm以下の波長帯域に位置し、200nm以上前記第一波長未満の波長帯域における光透過率が10%より小さく、前記第一波長を超過し280nm以下の波長帯域における光透過率が10%より大きいことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の紫外光検出器。
【請求項6】
前記第二フィルタはTiOドープガラスを含むことを特徴とする、請求項5に記載の紫外光検出器。
【請求項7】
さらに、前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬する、第三採光窓を備え、
前記第三採光窓は、200nm以上280nm以下の波長帯域における光透過率が前記第一フィルタと前記第一半透過フィルタとの何れとも異なる第二半透過フィルタを有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の紫外光検出器。
【請求項8】
前記紫外光検出器が備える全ての前記採光窓は、筐体に設けられた単一の共通窓を構成することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の紫外光検出器。
【請求項9】
前記紫外光検出器が有する全ての前記採光窓は第三フィルタを有し、
前記第三フィルタは、315nm以上400nm以下の波長帯域における光透過率が10%より小さいことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の紫外光検出器。
【請求項10】
前記第三フィルタは、前記紫外光検出器が備える全ての前記採光窓に亘って配置される単一のフィルタから構成されることを特徴とする、請求項9に記載の紫外光検出器。
【請求項11】
紫外光に反応して発光する、又は、前記紫外光に反応して変色する反応体と、
前記反応体を収容する筐体と、
前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬し、200nm以上280nm以下の波長帯域における光透過率を制限する第一フィルタと、315nm以上400nm以下の波長帯域における光透過率が10%以下の第三フィルタと、を有する第一採光窓と、
前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬し、200nm以上280nm以下の波長帯域における光透過率が90%以上であり、315nm以上400nm以下の波長帯域における光透過率が10%以下の第四フィルタを有する第二採光窓と、を備えることを特徴とする、紫外光検出器。
【請求項12】
さらに、前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬し、第五フィルタを有する、第三採光窓を備え、
前記第五フィルタは、透過スペクトルにおいて、光透過率が90%を示す第二波長が225nm以上240nm以下の波長帯域に位置し、200nm以上前記第二波長未満の波長帯域における光透過率が90%より大きく、前記第二波長を超過し280nm以下の波長帯域における光透過率が10%より小さく、280nm以上400nm以下の波長帯域における光透過率が10%より小さいことを特徴とする、請求項11に記載の紫外光検出器。
【請求項13】
前記紫外光検出器が有する全ての前記採光窓は、可視光を透過することを特徴とする、請求項1~3,11,12のいずれか一項に記載の紫外光検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外光検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌、真菌及びウイルス等の病原体の存在する物体表面や空間に向けて、発光波長が190nm~280nmの波長帯域にある深紫外光を照射し、病原体を不活化させる方法が開発されつつある。当該波長帯域の深紫外光を放射する光源を、病原体を不活化させたい部屋等に配置し、当該波長帯域の深紫外光を照射する。
【0003】
この波長帯域の深紫外光は、太陽により放射されるものの、上空のオゾン層で吸収されるため、地上に届く太陽光にはほとんど含まれない光である。また、この波長帯域の深紫外光は、一般的な照明として使用される蛍光灯や白熱電球から、ほとんど放射されない光である。
【0004】
ところで、人は紫外光を知覚できない。それゆえ、紫外光の照射強度を検出するには紫外光検出器が必要である。特許文献1には、紫外光をUVセンサで検出する紫外光測定装置が開示されている。特許文献2には、紫外光に反応して発色するシート状の感光材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-101627号公報
【特許文献2】国際公開第2016/017701号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
活用の進む深紫外光の照射強度を検出するための紫外光検出器の設計を検討する。特許文献1に開示されているようなUVセンサを使用する場合、紫外光検出器は電気回路を含むため、構造の複雑化が避けられない。
【0007】
特許文献2には、シート状の紫外線感光材を使用して、当該感光材の発色濃度から紫外光の照射強度を検出する方法が開示されている。しかしながら、光源から発光される光強度は微弱であるため、特許文献2に記載のようにシート状の感光材を単に使用するだけでは、紫外線感光材の発色濃度がどの程度変化したかを判断すること、すなわち、深紫外光の照射強度を精度高く検出することは難しい。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、簡易な構成で深紫外光の照射強度をより精度高く検出できる紫外光検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の紫外光検出器は、紫外光に反応して発光する、又は、前記紫外光に反応して変色する反応体と、
前記反応体を収容する筐体と、
前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬し、200nm以上280nm以下の波長帯域における光透過率を制限する第一フィルタを有する、第一採光窓と、
前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬し、前記波長帯域における光透過率が前記第一採光窓と異なる第二採光窓と、を備える。
【0010】
190nm~280nmの波長帯域の深紫外光のうち、本明細書では、特に、200~280nmという特定波長の深紫外光を「UV-C」と呼び、UV-C光源から照射される紫外光を検出することを想定する。
【0011】
紫外光に反応して発光する反応体とは、例えば、外部からの紫外光のエネルギーを吸収して固有の波長の光を発光する蛍光体である。紫外光に反応して変色する反応体とは、例えば、紫外光に感応して色が変化する感光材である。200nm以上280nm以下の波長帯域における光透過率を制限するフィルタは、UV-Cカットフィルタである。
【0012】
本発明は、上記のとおり、少なくとも第一採光窓にUV-Cカットフィルタを設けることにより、第一採光窓と第二採光窓との間で、200nm以上280nm以下の波長帯域における光透過率を異ならせている。これにより、第一採光窓と第二採光窓との間で、200nm以上280nm以下の波長帯域の光による反応体の発光強度又は発色濃度が違ってくる。検出者は、この反応体の発光強度又は発色濃度の違いを判別することで、微弱なUV-Cの照射強度を、より精度高く検出できる。
【0013】
前記第二採光窓は、前記波長帯域における光透過率を制限するフィルタを有していなくても構わない。これにより、第一採光窓ではUV-Cが第一フィルタに光透過を制限されるのに対し、第二採光窓ではUV-Cが光透過を制限されることなく反応体に入射する。よって、第一採光窓と第二採光窓との間の、反応体の発光強度又は発色濃度を大きく異ならせることができる。
【0014】
前記第二採光窓は、前記第一フィルタの前記光透過率よりも大きい光透過率を呈する、第一半透過フィルタを有しても構わない。本明細書において、半透過フィルタとは、200nm以上280nm以下の波長帯域において、前記第一フィルタの前記光透過率よりも、大きな光透過率を示す(すなわち、前記第一フィルタよりも透過性の高い)フィルタである。
【0015】
前記第一フィルタは、200nm以上280nm以下の波長帯域における光透過率が10%より小さい遮光フィルタであっても構わない。遮光フィルタは、UV-Cを実質的に遮光するフィルタである。これより、第一採光窓と第二採光窓との間の光透過率を大きくして、第一採光窓と第二採光窓との間で、反応体の発光強度又は発色濃度を大きく異ならせることができる。
【0016】
ところで、人が照射される可能性のある環境下で使用されるUV-C光源には、専ら、UV-Cの中でも比較的短波長の光(以下、「短波長UV-C」という。)が利用される。短波長UV-Cは、皮膚や眼の角膜の奥深くに到達しないため、人体や動物に対して安全性が高い。短波長UV-Cは、例えば、200nm以上240nm未満の波長帯域の光である。さらに安全性が高い波長帯域は200nm以上235nm以下であり、より好ましくは200nm以上230nm以下である。短波長UV-Cには、例えば、主たる発光波長が222nmの光が挙げられる。
【0017】
一方で、UV-Cの中でも比較的長波長の光(以下、「長波長UV-C」という。)は、人体に悪影響を及ぼすおそれがある。長波長UV-Cは、例えば、240nm以上280nm以下の波長帯域の光である。
【0018】
本発明者は、人の居る空間でUV-C光源を使用するとき、UV-C光源からの照射光に、人体に悪影響を及ぼす長波長UV-Cが含まれていないことを確認する必要性を考察した。そこで、紫外光検出器は、上述の構成に加えて、前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬し、第二フィルタを有する、第三採光窓を備えてもよい。
【0019】
第二フィルタとは、透過スペクトルにおいて、光透過率が10%を示す第一波長が225nm以上240nm以下の波長帯域に位置し、200nm以上前記第一波長未満の波長帯域における光透過率が10%より小さく、前記第一波長を超過し280nm以下の波長帯域における光透過率が10%より大きい波長選択フィルタである。第二フィルタは、短波長UV-Cをカットし、長波長UV-Cを透過する波長選択フィルタである。
【0020】
紫外光検出器が第二フィルタを有する第三採光窓を備えることにより、第三採光窓の直下に位置する反応体の第三領域における、発光強度又は発色濃度を検出する。検出の際、第三領域の発光強度又は発色濃度が、第一採光窓の直下に位置する反応体の第一領域の発光強度又は発色濃度と同じであれば、被検出光に長波長UV-Cが含まれていないことを確認できる。第三領域の発光強度又は発色濃度が、第一領域の発光強度又は発色濃度よりも大きければ、被検出光に長波長UV-Cが含まれていることを確認できる。第三領域が発光又は発色せず、かつ、第二採光窓の直下に位置する反応体の第二領域が発光又は発色していれば、被検出光に短波長UV-Cが含まれていることを確認できる。これにより、UV-C光源からの照射光に短波長UV-Cを含み、かつ、長波長UV-Cを含まないこと、つまり、UV-C光源が安全に動作していることがわかる。
【0021】
前記第二フィルタはTiOドープガラスを含んでも構わない。
【0022】
第三採光窓は、200nm以上280nm以下の波長帯域における光透過率が前記第一フィルタと前記第一半透過フィルタとの何れとも異なる第二半透過フィルタを有していても構わない。
【0023】
前記紫外光検出器が備える全ての前記採光窓は、筐体に設けられた単一の共通窓で構成されても構わない。紫外光検出器の構造を単純にできる。
【0024】
前記紫外光検出器が有する全ての前記採光窓は第三フィルタを有していても構わない。前記第三フィルタとは、315nm以上400nm以下の波長帯域(以下、「UV-A」という。)における光透過率が10%より小さい波長選択フィルタである。第三フィルタは、UV-Aカットフィルタである。UV-Aは、地上に届く太陽光や蛍光灯等からの照射される光にも含まれている。これにより、反応体は、UV-Aによる反応体の変化を抑えて、UV-Cの照射による反応体の発光強度又は発色濃度の変化を判別し易くする。
【0025】
前記第三フィルタは、前記紫外光検出器が備える全ての前記採光窓に亘って配置される単一のフィルタから構成されても構わない。フィルタの構造を単純にできる。
【0026】
紫外光検出器は、紫外光に反応して発光する、又は、前記紫外光に反応して変色する反応体と、
前記反応体を収容する筐体と、
前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬し、200nm以上280nm以下の波長帯域における光透過率を制限する第一フィルタと、315nm以上400nm以下の波長帯域における光透過率が10%以下の第三フィルタと、を有する第一採光窓と、
前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬し、200nm以上280nm以下の波長帯域における光透過率が90%以上であり、315nm以上400nm以下の波長帯域における光透過率が10%以下の第四フィルタを有する第二採光窓と、を備える。
【0027】
前記第四フィルタは、UV-Aをカットし、UV-Cを透過するフィルタである。前記第四フィルタを有する第二採光窓の直下に位置する反応体の第二領域の発光強度又は発色濃度を検出する。検出の際、第一採光窓の直下に位置する反応体の第一領域の発光強度又は発色濃度と比較する。第二領域を第一領域と比較することで、UV-Cによる反応体の発光強度又は発色濃度の変化を検出できる。
【0028】
さらに、前記筐体に配置され、前記反応体に前記筐体の外の光を伝搬し、第五フィルタを有する、第三採光窓を備えても構わない。
前記第五フィルタは、透過スペクトルにおいて、光透過率が90%を示す第二波長が225nm以上240nm以下の波長帯域に位置し、200nm以上前記第二波長未満の波長帯域における光透過率が90%より大きく、前記第二波長を超過し280nm以下の波長帯域における光透過率が10%より小さく、280nm以上400nm以下の波長帯域における光透過率が10%より小さい波長選択フィルタである。第五フィルタは、短波長UV-Cを透過し、長波長UV-Cをカットする波長選択フィルタである。
【0029】
紫外光検出器が第五フィルタを有する第三採光窓を備えることにより、第三採光窓の直下に位置する反応体の第三領域における、発光強度又は発色濃度を判別する。判別の際、第三領域における発光強度又は発色濃度を判別することで、短波長UV-Cの発光強度の程度を知ることができる。
【0030】
また、紫外光検出器の第二採光窓は、短波長UV-Cのみならず長波長UV-Cを透過する第四フィルタを有するから、第三領域における発光強度又は発色濃度を、第二採光窓の直下に位置する反応体の第二領域の発光強度又は発色濃度と比較することで、被検出光に長波長UV-Cが含まれていないことを確認できる。
【0031】
前記紫外光検出器が有する全ての前記採光窓は、可視光を透過しても構わない。これにより、反応体が発光する光、又は、反応体の色を判別するための反射光を、採光窓を介して認識できる。
【発明の効果】
【0032】
簡易な構成で、UV-Cの照射強度をより精度高く検出できる紫外光検出器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】紫外光検出器の第一実施形態の外観を模式的に示す斜視図である。
図2図1のY1-Y1断面図である。
図3】第一実施形態の波長選択フィルタ及び反応体の模式図である。
図4】参考形態の波長選択フィルタ及び反応体の模式図である。
図5】第一実施形態の変形例の波長選択フィルタ及び反応体の模式図である。
図6】第一実施形態の第二変形例の波長選択フィルタ及び反応体の模式図である。
図7】紫外光検出器の第二実施形態の外観を模式的に示す斜視図である。
図8】第二実施形態の波長選択フィルタ及び反応体の模式図である。
図9】波長選択フィルタの透過スペクトル図である。
図10】光源の発光スペクトル図である。
図11】第二実施形態の変形例の波長選択フィルタ及び反応体の模式図である。
図12】第二実施形態の第二変形例の波長選択フィルタ及び反応体の模式図である。
図13】第三実施形態の波長選択フィルタ及び反応体の模式図である。
図14】第四実施形態の波長選択フィルタ及び反応体の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
紫外光検出器の各実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比は必ずしも実際の寸法比と一致しておらず、各図面間においても寸法比は必ずしも一致していない。
【0035】
以下において、各図面は、適宜、XYZ座標系を参照しながら説明される。XYZ座標系は、各採光窓に沿って広がる平面をXY平面とし、XY平面に直交する方向をZ方向としている。なお、本明細書において、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載される。正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。すなわち、本明細書において、単に「X方向」と記載されている場合には、「+X方向」と「-X方向」の双方が含まれる。Y方向及びZ方向についても同様である。
【0036】
<第一実施形態>
[紫外光検出器の概要]
図1及び図2を参照しながら、紫外光検出器の一例を第一実施形態として説明する。図1は、紫外光検出器の第一実施形態の外観を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1のY1-Y1線を含むYZ平面での断面図である。
【0037】
紫外光検出器10は、紫外光に反応する反応体1(図2参照)と、反応体1を収容する筐体2と、筐体2に配置される採光窓(3,4)と、を有する。本実施形態では、筐体2は紫外光を透過しない材料から構成される。筐体2は、筐体2bと、筐体2bに+Z方向に積層された筐体2aと、から構成される。採光窓(3,4)は、筐体2aに設けられた、光を透過する窓である。採光窓(3,4)は、筐体2の外にある被検出光を、筐体2の内部にある反応体1に伝搬する。
【0038】
採光窓(3,4)は、第一採光窓3と第二採光窓4とを有する。本実施形態では、第一採光窓3と第二採光窓4は、単一の共通窓を構成するように繋がっている。窓の数を減らすことで、単純な構造となる。しかしながら、第一採光窓3と第二採光窓4は繋がっておらず、それぞれ個別の窓を形成しても構わない。個別の窓を形成すると、各採光窓の視認性が向上する。
【0039】
第一採光窓3は、波長選択フィルタとして、第一フィルタ7及び第三フィルタ8を有する。第二採光窓4は、波長選択フィルタとして、第三フィルタ8を有する。採光窓と波長選択フィルタとの関係について、例えば、「第一採光窓3が第一フィルタ7を有する」とは、+Z側から-Z側に第一採光窓3を見たとき、第一フィルタ7が、筐体2に設けられた第一採光窓3に対応する窓部分を塞いでいる状態にあることを表す。第一フィルタ7が、第一採光窓3に対応する窓部分から筐体2a側へはみ出すような大きさを呈しても構わない。他の波長選択フィルタ及び他の採光窓についても同様である。波長選択フィルタ(7,8)の詳細は、後述する。
【0040】
[反応体]
反応体1は、外部からの紫外光のエネルギーを吸収して固有の波長の光を発光する蛍光体、又は、紫外光に感応して変色する感光材である。本実施形態では、反応体1として、紫外光に感応して変色する感光材を使用している。
【0041】
感光材について述べる。感光材は、シート状の基材に、紫外光に感応して変色する感光層が成膜されて構成される。感光層の変色は、感光層表面で反射する光の波長が変化することを表す。このような感光材として、例えば、富士フイルム株式会社製の「UVスケール」、日油技研工業株式会社製の「UVラベル(登録商標)」が上市されている。
【0042】
感光層は一旦変色すると元の色に戻らない不可逆性であることが多い。このような不可逆性の感光層を含む感光材を使用すると、紫外光に感応した履歴を検出できる。そして、紫外光に感応した量が増えるにしたがって発色濃度が高くなる。よって、紫外光に感応した感光材の発色濃度から、紫外光の積算照射強度(照射ドーズ量)を検出できる。
【0043】
感光材は、紫外光のうち特定の波長に対してのみ発色するのではなく、紫外光の幅広の波長帯域に対して発色する。本実施形態の感光材は、少なくとも、UV-A(315nm~400nm)及びUV-C(200~280nm)の波長帯域の光に対して発色する。
【0044】
次に、蛍光体について述べる。蛍光体は、被検出光のエネルギーを吸収して固有の波長の光、例えば、固有の色の可視光を発光する。蛍光体から発光する光強度は、被検出光のエネルギー量と相関を有するから、発光する光強度から、被検出光の照射強度を検出できる。
【0045】
蛍光体として、緑色に発光するLAP蛍光体(LaPO:Ce3+,Tb3+)、赤色に発光するYOX蛍光体(Y:Eu3+)、緑色に発光するBAO-G蛍光体(BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+)、及び、青色に発光するBAO-B蛍光体(BaMgAl1017:Eu2+)が例示される。この例示は、ほんの一例であり、多様な蛍光体を使用できる。
【0046】
本明細書において、蛍光体とは、紫外光のエネルギーを吸収している間だけ発光する蛍光材料だけでなく、紫外光のエネルギーの吸収が途絶えた後においても発光を持続する燐光材料(又は蓄光材料)を含む。反応体1として紫外光のエネルギーを吸収している間だけ発光する蛍光材料を使用する場合には、紫外光に感応した履歴を検出するために、反応体1とは別の蓄光材料(燐光材料)、又は感光材を設けても構わない。
【0047】
[第一フィルタ]
図2に示されるように、本実施形態において、第一採光窓3は第一フィルタ7を有し、第二採光窓4は第一フィルタ7を有しない。第一フィルタ7は、UV-Cの波長帯域に対する光透過率を制限するUV-Cカットフィルタである。本実施形態では、第一フィルタ7は、UV-Cの波長帯域に対する光透過率が10%未満である特性を有する。すなわち、第一フィルタ7は、大部分のUV-Cを遮光する遮光フィルタとして機能する。
【0048】
第一フィルタ7は、例えば、石英ガラス等の透過性基板上に誘電体多層膜を形成したものが挙げられる。屈折率の異なる誘電体膜を積層することにより、所望の波長の紫外光を反射又は吸収する。第一フィルタ7の構造について説明した上述の内容は、後述する他のフィルタについても適用できる。
【0049】
図2に示されるように、本実施形態において、紫外光検出器10が有する全ての採光窓(3,4)は、第三フィルタ8を有する。第三フィルタ8は、UV-Aの波長帯域に対する光透過率が10%未満である特性を有する、UV-Aカットフィルタである。本実施形態の第三フィルタ8は、第一採光窓3及び第二採光窓4に亘って配置される単一の波長選択フィルタから構成されるが、採光窓ごとに個別の波長選択フィルタから構成されても構わない。第三フィルタ8の詳細については後述する。
【0050】
図3は、本実施形態の紫外光検出器10が有する各採光窓(3,4)に配置された波長選択フィルタ(7,8)及び反応体1だけを示す模式図である。第一採光窓3の直下に位置し、第一採光窓3を透過した光が入射する反応体1の領域を、第一領域13という。第二採光窓4の直下に位置し、第二採光窓4を透過した光が入射する反応体1の領域を、第二領域14という。
【0051】
図3を参照しながら第一フィルタ7の詳細について説明する。第一採光窓3では、UV-Cの光透過率が10%より小さい第一フィルタ7により、被検出光に含まれる大部分のUV-Cが反射又は吸収される。よって、UV-Cは第一領域13にほとんど照射されない。第二採光窓4は第一フィルタ7を有しないため、被検出光に含まれるUV-Cは第二領域14に照射される。つまり、反応体1は、UV-Cにより変色しない第一領域13と、UV-Cにより変色する第二領域14と、を有する。検出者は、第一領域13の発色濃度と比較しながら、第二領域14の発色濃度を判別できるため、UV-Cが微弱である場合にも、UV-Cの照明強度をより精度高く検出できる。
【0052】
図4は、参考形態の紫外光検出器を示す模式図である。参考形態では、単一の採光窓と、反応体1とを有する。採光窓6にはUV-Aカットフィルタである第三フィルタ8のみが配置されている。採光窓6では、UV-CとUV-Aを含む被検出光L1が第三フィルタ8を透過し、透過したUV-Cが反応体1の領域16を照射する。反応体1はUV-Cに反応し変色する。
【0053】
しかしながら、参考形態では、反応体1上の発色濃度を比較し判別するための領域を有しない。よって、検出者は、反応体1がUV-Cによってどの程度変色したのか判別することができない。その結果、被検出光L1に含まれるUV-Cの照射強度を精度高く検出できない。
【0054】
[第三フィルタ]
図3を参照しながら、第三フィルタ8の効果について説明する。第三フィルタ8とは、UV-Aの波長帯域における光透過率が10%より小さい、UV-Aカットフィルタである。
【0055】
図3の各採光窓(3,4)に入る被検出光L1は、病原体を不活化させるために照射した光に含まれるUV-Cの他に、環境光(太陽光又は蛍光灯等の人工光)に含まれるUV-Aを含むことがある。
【0056】
反応体1は、UV-CのみならずUV-Aに反応して発光又は発色する。第三フィルタ8を採光窓(3,4)に配置することで、反応体1が、被検出光L1に含まれるUV-Aによって変色することを抑える。そうすると、第一領域13と第二領域14における発光又は変色が、UV-Cの照射のみにより生じることになり、照射強度又は積算照射量を検出し易くする。
【0057】
反応体1の発色濃度は、採光窓(3,4)を介して確認するとよい。そのためには、可視光を透過する波長選択フィルタ(7,8)を使用して、紫外光検出器10が有する全ての採光窓(3,4)が可視光を透過するようにする。
【0058】
紫外光検出器10が有する全ての採光窓(3,4)が、可視光を遮光しても構わない。この場合、採光窓(3,4)を介して反応体1の発色濃度を確認することが困難となるため、例えば、筐体2から反応体1を取り出して発色濃度を確認する。
【0059】
発色濃度の確認は、検出者の肉眼で行っても構わないし、紫外光検出器10をスキャナ等の濃度読み取り装置で読み取っても構わない。濃度読み取り装置で読み込む場合には、発色濃度を数値化できるため、照射強度を数値で表すことができる。
【0060】
[変形例]
図5を参照しながら、第一実施形態の変形例を説明する。以下、上述した実施形態と異なる部分を中心に説明する。以下に説明する他の事項は、上述した実施形態と同様の形態である。後述する、他の実施形態及び他の変形例についても同様である。
【0061】
この変形例では、採光窓(3,4)は、いずれも、第三フィルタ8を有していない。反応体1は、UV-CのみならずUV-Aに反応して発色するものを用いる場合、反応体1は、被検出光L1に含まれるUV-Aによって変色することになる。だが、第一領域13と第二領域14には、同量のUV-Aが照射されるため、UV-Aによる変色濃度の差はない。よって、第一領域13の変色濃度と第二領域14の変色濃度の差から、UV-Cの照射の有無とUV-Cの照射量を検出できる。本変形例では、第三フィルタ8を省くことができるため、コスト効果に優れる。
【0062】
この変形例では、波長選択フィルタの無い第二採光窓4では、反応体1が露出することになる。この変形例に限らないが、反応体1が露出する採光窓には、反応体1が傷つかないように、光透過性材料(例えば、波長制限機能のない石英ガラス)を配置しても構わない。
【0063】
[第二変形例]
図6を参照しながら、第一実施形態の第二変形例を説明する。第二変形例では、第一採光窓3は、UV-Cの光透過率を制限する第一フィルタ7を有し、第二採光窓4は、UV-Cの波長帯域において、第一フィルタ7の光透過率よりも大きい光透過率を示す、第一半透過フィルタ17を有する。つまり、採光窓(3,4)には、それぞれ、UV-Cの光透過率を制限するフィルタが設けられている。そして、第二採光窓4の第一半透過フィルタ17は、UV-Cに対して、第一採光窓3の第一フィルタ7よりも高い透過性を示す。
【0064】
第一採光窓3と第二採光窓4は、互いにUV-Cに対する透過性が異なる。そのため、第一採光窓3と第二採光窓4との間で、200nm以上280nm以下の波長帯域の光による反応体1の発光強度又は発色濃度が違ってくる。検出者は、この反応体1の発光強度又は発色濃度の違いを判別することで、微弱なUV-Cの照射強度を、より精度高く検出できる。
【0065】
第一フィルタ7と第一半透過フィルタ17のUV-Cに対する透過率差が大きければ大きいほど、第一採光窓3と第二採光窓4における反応体1の発光強度又は発色濃度の差が大きくなる。よって、第一フィルタ7は、UV-Cの大部分を遮光する遮光フィルタであるとより好ましい。また、第一半透過フィルタ17のUV-Cの透過率が大きいと、より好ましい。また、両方の採光窓(3,4)に、UV-Aカットフィルタである第三フィルタ8を設けても構わない。
【0066】
<第二実施形態>
第二実施形態を説明する。図7は、第二実施形態である紫外光検出器20の外観を模式的に示す斜視図である。図8は、本実施形態の紫外光検出器20について、YZ断面における、各採光窓(3,4,5)に配置された波長選択フィルタ(7,8,9)及び反応体1のみを示す模式図である。
【0067】
紫外光検出器20は、第一採光窓3、第二採光窓4及び第三採光窓5を有する。図8を参照して、第三採光窓5は、短波長UV-Cをカットし、長波長UV-Cを透過する第二フィルタ9を有する。なお、第一採光窓3はUV-Cカットフィルタである第一フィルタ7を有し、第二採光窓4は第一フィルタ7を有しない。また、本実施形態は、全ての採光窓(3,4,5)が、UV-Aカットフィルタである第三フィルタ8を有する。
【0068】
[第二フィルタ]
第二フィルタ9について、図9を参照しながら説明する。図9は、特性の異なる波長選択フィルタA~Fの透過スペクトルを示す。第二フィルタ9は、光透過率が10%を示す第一波長が225nm以上240nm以下の波長帯域に位置し、200nm以上前記第一波長未満の波長帯域における光透過率が10%より小さく、前記第一波長を超過し280nm以下の波長帯域における光透過率が10%より大きい波長選択フィルタである。図9において、波長選択フィルタB~Eが第二フィルタ9に対応する。図9において、波長選択フィルタA,Fは第二フィルタ9に対応しない。第二フィルタ9は、相対的に、短波長UV-Cの透過率が低く長波長UV-Cの透過率が高い。
【0069】
第二フィルタ9は、上述した誘電体多層膜の他に、金属ドープガラスを使用しても構わない。金属ドープガラスは、例えば、石英ガラスにTiO等の酸化金属をドープし、所定厚みを形成することにより形成される。所定厚みの石英ガラスの形成に際し、比較的薄い石英ガラス板を複数枚重ねることで、所望の厚みの石英ガラスを形成しても構わない。
【0070】
図10を参照しながら、第二フィルタ9を備える紫外光検出器20の効果を説明する。図10は、病原体を不活化させる光源として、発光ガスがKrClを含むエキシマランプ(以下、「KrClランプ」という。)を使用した場合の、光源から出射される光の発光スペクトルを示す。
【0071】
KrClランプから放射される紫外光のスペクトルには、ほぼ主たるピーク波長である222nm近傍に光出力が集中している一方で、人体に影響を及ぼすおそれのある、波長235nm以上315nm以下の波長帯域(とりわけ、254nm付近)の紫外光についても、わずかながら光出力が認められる。そこで、KrClランプの出射光の後段に光源フィルタを設けることで、235nm以上315nm以下の紫外光の透過を抑制する。これにより、紫外光照射装置の人体に対する安全性がさらに向上する。
【0072】
図10において、「光源フィルタ無し」と示された破線は、前記光源フィルタを有さない光源からの出射光(すなわち、KrClランプ単独からの出射光)の発光スペクトルである。図10において、「光源フィルタ有り」と示された実線は、KrClランプの後段に配置された前記光源フィルタからの出射光の発光スペクトルである。図10から、KrClランプの出射光の後段に光源フィルタを設けることで、人体に影響を及ぼすおそれのある長波長UV-Cの照射強度を抑制していることがわかる。
【0073】
UV-C光源として、人体に影響を及ぼすおそれのある長波長UV-Cを放射する光源であるか否かを確認することを考える。または、長波長UV-Cを放射する光源と光学フィルタとの組み合わせを使用するとき、UV-C光源に設けられた光源フィルタが正常に機能し、人体に悪影響を及ぼすおそれのある長波長UV-Cを低減できているか否かを確認することを考える。
【0074】
図8に戻り、紫外光検出器20の第三採光窓5は、短波長UV-Cをカットし、長波長UV-Cを透過する第二フィルタ9を有する。これにより、第三採光窓5の直下に位置する反応体1の第三領域15は、短波長UV-Cが照射されず、長波長UV-Cが照射される領域となる。
【0075】
そして、検出者は、第一領域13の発色濃度と比較しながら、第三領域15の発色濃度を判別する。第三領域15の発色濃度が第一領域13の発色濃度と同じであれば、被検出光L1に長波長UV-Cが含まれていないことを確認できる。長波長UV-Cが含まれていないことを確認したうえで、第二領域14が発色していれば、被検出光に短波長UV-Cが含まれていることを確認できる。これにより、UV-C光源からの照射光が短波長UV-Cを含み長波長UV-Cを含まないこと、つまり、UV-C光源が安全に動作していることがわかる。
【0076】
[変形例]
図11は、第二実施形態の変形例の波長選択フィルタ及び反応体の模式図である。図11に示されるように、第一採光窓3、第二採光窓4及び第三採光窓5は、いずれも、UV-Aカットフィルタである第三フィルタ8を有していない。なお、この変形例では、第一採光窓3がUV-Cカットフィルタである第一フィルタ7を有し、第二採光窓4がUV-Cカットフィルタを有さず、第三採光窓5が222nmカットフィルタを有する点は、第二実施形態と同じである。
【0077】
[第二変形例]
図12は、第二実施形態の第二変形例の波長選択フィルタ及び反応体の模式図である。図12に示されるように、第一採光窓3には第一フィルタ7が設けられ、第二採光窓4には第一半透過フィルタ17が設けられ、第三採光窓5には第二半透過フィルタ27が設けられる。第一フィルタ7、第一半透過フィルタ17及び第二半透過フィルタ27は、いずれも、UV-C(200nm以上280nm以下の波長帯域)の光透過率を制限するフィルタである。第一半透過フィルタ17の光透過率は、第一フィルタ7の光透過率よりも大きい。第二半透過フィルタ27の光透過率は、第一半透過フィルタ17の光透過率よりも大きい。
【0078】
第一~第三採光窓(3~5)は、互いにUV-Cに対する透過性が異なる。そのため、第一~第三採光窓(3~5)の間で、200nm以上280nm以下の波長帯域の光による反応体1の発光強度又は発色濃度が違ってくる。本実施形態では、第三領域15の発光強度又は発色濃度は第二領域14の発光強度又は発色濃度より大きく、第二領域14の発光強度又は発色濃度は第一領域13の発光強度又は発色濃度より大きい。検出者は、この反応体1の発光強度又は発色濃度の違いを判別することで、微弱なUV-Cの照射強度を、より精度高く検出できる。
【0079】
第一実施形態の第二変形例が二段階の発光強度差又は発色濃度差を示すのに対し、本実施形態の本変形例は三段階の発光強度差又は発色濃度差を示すから、より高精度に検出できる。さらに、四段階以上の発光強度差又は発色濃度差を示すことが出来るように、採光窓と半透過フィルタを追加してもよい。
【0080】
<第三実施形態>
図13は、第三実施形態の波長選択フィルタ及び反応体の模式図である。図13を参照しながら、第三実施形態の紫外光検出器について説明する。
【0081】
紫外光検出器は、筐体2aに第一採光窓3と第二採光窓4とを備える。第二採光窓4は、200nm以上280nm以下の波長帯域における光透過率が90%以上であり、315nm以上400nm以下の波長帯域における光透過率が10%以下の第四フィルタ11を有する。第四フィルタ11は、UV-Aをカットし、UV-Cを透過する波長選択フィルタである。第一採光窓3は第四フィルタ11を有しない。本実施形態では、第一採光窓3には、UV-Cカットフィルタである第一フィルタ7と、UV-Aカットフィルタである第三フィルタ8とを有している。
【0082】
第一採光窓3の直下の第一領域13では、UV-CとUV-Aが照射されないのに対し、第二採光窓4の直下の第二領域14では、UV-Cのみが照射される。本実施形態の紫外光検出器は、UV-Cにより変色しない第一領域13と、UV-Cにより変色する第二領域14と、を有する。よって、検出者は、発光又は変色されない第一領域13と比較しながら、第二領域14の発色濃度を検出できる。UV-Cが微弱である場合にも、発色濃度を比較する領域があれば、UV-Cの照明強度をより精度高く検出できる。さらに、第一領域13と第二領域14ともにUV-Aが照射されないため、UV-Aによる変色を抑制できる。
【0083】
<第四実施形態>
図14は、第四実施形態の波長選択フィルタ及び反応体の模式図である。図14を参照しながら第四実施形態の紫外光検出器を説明する。第四実施形態の紫外光検出器は、第三実施形態の紫外光検出器に加えて、第五フィルタ12を有する第三採光窓5を備えている。
【0084】
第五フィルタ12は、透過スペクトルにおいて、光透過率が90%を示す第一波長が225nm以上240nm以下の波長帯域に位置し、200nm以上前記第一波長未満の波長帯域における光透過率が90%より大きく、前記第一波長を超過し280nm以下の波長帯域における光透過率が10%より小さく、280nm以上400nm以下の波長帯域における光透過率が10%より小さい波長選択フィルタである。
【0085】
第一採光窓3の直下の第一領域13では、第一フィルタ7と第三フィルタ8によりUV-CとUV-Aが照射されないのに対し、第二採光窓4の直下の第二領域14では、第四フィルタ11によりUV-Cのみが照射され、第三採光窓5の直下の第三領域15では、第五フィルタ12により、短波長UV-Cのみが照射される。
【0086】
この実施形態では、第二領域14の発色濃度が第三領域15の発色濃度と同じであるとき、被検出光L1には、長波長UV-Cが含まれていないと判断できる。第二領域14の発色濃度が第三領域15の発色濃度に比べて濃いとき、被検出光L1には長波長UV-Cが含まれていると判断できる。そして、第二領域14と第三領域15の発色濃度の差から長波長UV-Cの光量が判断できる。
【0087】
以上で、紫外光検出器の実施形態及び変形例を説明したが、本発明は上述した実施形態及び変形例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、上述の実施形態及び変更例を適宜組み合わせたり、種々の変更又は改良を加えたりできる。
【0088】
反応体1は、各領域に亘ってひと続きの単一物体を例示しているが、領域別に異なる反応体1を使用しても構わない。反応体1として感光材を使用する例を中心に説明したが、反応体1として蛍光体を使用しても感光材と同様の効果を得ることができる。
【0089】
領域別に異なる蛍光体を使用する場合、長波長UV-Cを検出する第三領域15には、危険色として認識されやすい色(例えば、赤色)に発光する蛍光体を使用すると、判別しやすい。短波長UV-Cが照射されることを確認する第二領域14には、光源が動作中であることを認識しやすい色(例えば、緑色)に発光する蛍光体を使用すると判別しやすい。
【0090】
環境光には、280nm~315nmの波長帯域の紫外光である、UV-Bを含む場合がある。このような場合には、上述したUV-Aカットフィルタは、UV-Bの波長帯域の光を低減する、UV-Bカットフィルタとしての機能を有していても構わない。また、UV-Aカットフィルタとは別に、UV-Bカットフィルタを積層しても構わない。さらに、積層される波長選択フィルタを統合して一つの波長選択フィルタを形成しても構わない。
【符号の説明】
【0091】
1 :反応体
2 :筐体
3 :第一採光窓
4 :第二採光窓
5 :第三採光窓
6 :採光窓
7 :第一フィルタ
8 :第三フィルタ
9 :第二フィルタ
10,20:紫外光検出器
11 :第四フィルタ
12 :第五フィルタ
13 :第一領域
14 :第二領域
15 :第三領域
16 :領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14