(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170960
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】成形機管理システム
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077271
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】三間 雄介
(72)【発明者】
【氏名】大月 芳明
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM19
4F206JA07
4F206JE11
4F206JL09
4F206JP01
4F206JP11
4F206JP17
4F206JP30
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】射出成形機の設定値を決定するときに、生産4要素の状況に応じた射出成形機の設定値の情報を提供する。
【解決手段】成形機管理システムは、成形品の成形条件に関する成形機の設定値と、成形品を生産するための人と機械と材料と方法との生産4要素に関する4要素情報と、成形品の良否に関する良否情報と、を表す複数の履歴データを記憶する記憶部と、4要素情報に関する抽出条件を取得する抽出条件取得部と、複数の履歴データの中から抽出条件に該当する履歴データを抽出し、抽出した履歴データを出力部に出力させる出力制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形機を有する成形機管理システムであって、
成形品の成形条件に関する前記成形機の設定値と、前記成形品を生産するための人と機械と材料と方法との生産4要素に関する4要素情報と、前記成形品の良否に関する良否情報と、を表す複数の履歴データを記憶する記憶部と、
前記4要素情報に関する抽出条件を取得する抽出条件取得部と、
前記複数の履歴データの中から前記抽出条件に該当する履歴データを抽出し、抽出した前記履歴データを出力部に出力させる出力制御部と、
を備える、成形機管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の成形機管理システムであって、
前記4要素情報は、メンテナンス時期からの経過時間に関する情報を含む、成形機管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の成形機管理システムであって、
前記メンテナンス時期は、前記成形機による前記成形品の成形に用いられる成形型のメンテナンス時期である、成形機管理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の成形機管理システムであって、
前記メンテナンス時期は、前記成形機のメンテナンス時期、または、前記成形機とともに前記成形品の生産に用いられる周辺装置のメンテナンス時期である、成形機管理システム。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の成形機管理システムであって、
前記メンテナンス時期からの経過時間に関する情報は、値で表され、
前記出力制御部は、前記メンテナンス時期からの経過時間に関する情報の値が前記抽出条件にて指定された範囲に含まれるか否かに基づいて前記履歴データを抽出する、成形機管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の成形機管理システムであって、
前記4要素情報は、前記成形品の材料に関する材料情報を含む、成形機管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の成形機管理システムであって、
前記材料情報は、前記材料の物性値に関する情報である、成形機管理システム。
【請求項8】
請求項6に記載の成形機管理システムであって、
前記材料情報は、前記材料の前処理を実行する前処理装置の設定値に関する情報である、成形機管理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の成形機管理システムであって、
前記前処理装置は、前記材料を乾燥させる乾燥装置である、成形機管理システム。
【請求項10】
請求項6から請求項9のいずれか一項に記載の成形機管理システムであって、
前記材料情報は、値で表されており、
前記出力制御部は、前記材料情報の値が前記抽出条件にて指定された範囲に含まれるか否かに基づいて前記履歴データを抽出する、成形機管理システム。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の成形機管理システムであって、
前記良否情報は、値で表されており、
前記出力制御部は、前記良否情報の値が前記抽出条件にて指定された範囲に含まれるか否かに基づいて前記履歴データを抽出する、成形機管理システム。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の成形機管理システムであって、
前記良否情報には、前記成形品の寸法を測定した測定値の統計値が含まれる、成形機管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、成形機管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記憶装置に記憶された複数の成形条件の中から、成形条件に含まれる項目が作業者によって指定された抽出条件を満たす成形条件を抽出して表示装置に表示させる成形機が開示されている。この成形機を用いることによって、作業者は、例えば、冷却時間が所定時間以上であるという抽出条件を指定することにより、当該抽出条件を満たす成形条件を表示装置に表示させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した成形機では、成形条件に含まれる項目が所定の条件を満たす成形条件を抽出して表示させるので、作業者は、新たに成形品を成形するときに、抽出された成形条件を参考にして成形品の成形条件を決定することができる。しかしながら、成形品の生産では、人(Man)、機械(Machine)、材料(Material)、および、方法(Method)の4つの要素のうちのいずれかが異なると、成形条件が同じであっても成形品の品質が異なることがある。そのため、抽出された成形条件を参考にして新たに成形する成形品の成形条件を決定しても、狙い通りの品質で成形品を生産できない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態によれば、成形機を有する成形機管理システムが提供される。この成形機管理システムは、成形品の成形条件に関する前記成形機の設定値と、前記成形品を生産するための人と機械と材料と方法との生産4要素に関する4要素情報と、前記成形品の良否に関する良否情報と、を表す複数の履歴データを記憶する記憶部と、前記4要素情報に関する抽出条件を取得する抽出条件取得部と、前記複数の履歴データの中から前記抽出条件に該当する履歴データを抽出し、抽出した前記履歴データを出力部に出力させる出力制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】成形機管理システムの概略構成を示す説明図。
【
図3】情報表示画面の他の表示形態を示す第1の説明図。
【
図4】情報表示画面の他の表示形態を示す第2の説明図。
【
図5】情報表示画面の他の表示形態を示す第3の説明図。
【
図7】履歴データの絞り込みと並べ替えとが実行される様子を示す説明図。
【
図9】第1実施形態のばらつき表示処理の内容を示すフローチャート。
【
図11】第2実施形態の変更回数表示処理の内容を示すフローチャート。
【
図12】第3実施形態のばらつき表示処理の内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における成形機管理システム10の概略構成を示す説明図である。本実施形態における成形機管理システム10は、射出成形機100と、前処理装置150と、取出機200と、検査装置300と、端末装置400と、管理装置500とを備えている。
【0008】
図1には、成形機管理システム10によって製造される成形品の流れが、実線矢印で示されている。成形機管理システム10は、射出成形機100によって成形品を成形し、取出機200によって射出成形機100から成形品を取り出して検査装置300に搬送し、検査装置300によって成形品を検査する。射出成形機100に投入される成形品の材料には、例えば、乾燥等の前処理が前処理装置150によって施される。なお、前処理装置150、取出機200、および、検査装置300のように、射出成形機100とともに成形品の生産に用いられる装置のことを周辺装置と呼ぶことがある。
【0009】
射出成形機100は、成形制御部110と、それぞれ図示しない射出装置と型締装置を備えている。射出装置には、成形品の材料を貯留するホッパーが装着されている。型締装置には、キャビティーを有する成形型が装着される。成形型は、金属製でもよいし、セラミック製でもよいし、樹脂製でもよい。金属製の成形型のことを金型と呼ぶ。
【0010】
成形制御部110は、1つまたは複数のプロセッサーと、記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェイスとを備えるコンピューターによって構成されている。成形制御部110は、複数のコンピューターによって構成されてもよい。後述する前処理装置150の前処理制御部160、取出機200の取出制御部210、および、検査装置300の検査制御部310についても、成形制御部110と同様の構成である。
【0011】
成形制御部110は、射出成形機100の各部を制御して射出成形を行い、成形品を成形する。より具体的には、成形制御部110は、型締装置を制御して成形型を型締めし、射出装置を制御して材料を可塑化して成形型に射出することによって、成形型に設けられたキャビティーの形状に応じた形状を有する成形品を成形する。
【0012】
成形制御部110は、成形条件に関する射出成形機100の設定値を表す成形条件データを管理装置500に送信する。成形条件は、例えば、射出圧力や、金型温度や、型締圧力などの項目を有している。成形条件に関する設定値は、これらの項目ごとに射出成形機100に設定される値である。成形条件データには、射出成形機100に設定値が設定された時刻が対応付けられている。
【0013】
本実施形態の前処理装置150は、前処理制御部160と、乾燥装置によって構成されている。前処理制御部160は、乾燥装置を制御する。乾燥装置は、射出成形機100のホッパーに投入される成形品の材料を予め乾燥させる。乾燥装置によって乾燥させられた材料は、例えば、ホッパーローダーによって射出成形機100のホッパーに搬送される。
【0014】
前処理制御部160は、材料の前処理に関する情報を表す前処理データを管理装置500に送信する。本実施形態では、前処理データは、材料の前処理に関する情報として、乾燥装置の設定値を表す。乾燥装置の設定値には、材料を乾燥させる乾燥温度や乾燥時間についての設定値が含まれている。前処理データには、乾燥装置に設定値が設定された時刻が対応付けられている。
【0015】
本実施形態の取出機200は、取出制御部210と、取出ロボットと、切断機とによって構成されている。取出制御部210は、取出ロボットおよび切断機の動作を制御する。取出ロボットは、例えば、水平多関節ロボットや垂直多関節ロボットである。取出ロボットは、射出成形機100の成形型から成形品を取り出す。切断機は、成形型で成形品とともに成形されるスプルーやランナーを、切断によって成形品から除去する機器である。本実施形態では、取出ロボットは、射出成形機100のエジェクターピンによって成形型から離型された成形品を、取出ロボットのアームの先端に取り付けられたエンドエフェクターによって把持して取り出す。その後、切断機によってスプルーやランナーが成形品から除去され、スプルーやランナーが除去された成形品が取出ロボットによって検査装置300に搬送される。なお、他の実施形態では、取出ロボットは、例えば、成形品を真空吸着して把持するロボットであってもよい。取出機200は、切断機を備えていなくてもよい。
【0016】
本実施形態の検査装置300は、検査制御部310とカメラとによって構成される。検査制御部310は、カメラを制御して成形品を撮像し、撮像した成形品の画像を解析することによって、成形品の外観検査および寸法検査を行う。
【0017】
検査制御部310は、射出成形機100によって成形された成形品の良否に関する良否情報を表す検査結果データを管理装置500に送信する。検査結果データには、カメラを用いて測定された成形品の寸法や、良否判定結果、および、不良の種別が含まれる。不良の種別には、成形品の寸法に問題のある寸法不良と、成形品の外観に問題のある外観不良とが含まれる。検査結果データには、検査装置300による成形品の検査が行われた時刻が対応付けられる。
【0018】
端末装置400は、CPUと記憶装置とを備えるコンピューターとして構成されている。端末装置400としては、例えば、タブレット端末やノート型パソコン、スマートフォンを適用できる。
【0019】
端末装置400は、成形品を生産するための生産4要素に関する4要素情報を含む各種情報を表す生産条件データを管理装置500に送信する。生産4要素とは、人(Man)、機械(Machine)、材料(Material)、および、方法(Method)の4つの要素のことを意味する。人とは、例えば、射出成形機100の運転を担当する作業員など、成形品の生産に関与する者のことを意味する。機械とは、例えば、射出成形機100や、前処理装置150や、取出機200や、検査装置300など、成形品の生産に用いられる機械のことを意味する。材料とは、成形品の材料のことを意味する。方法とは、例えば、材料の乾燥の方法や、射出成形の方法や、成形型からの成形品の取り出し方法や、検査の方法など、成形品の生産方法のことを意味する。
【0020】
本実施形態では、生産条件データには、4要素情報として、射出成形機100のメンテナンス時期や、射出成形機100の成形型のメンテナンス時期や、前処理装置150や取出機200等の射出成形機100の周辺装置のメンテナンス時期や、成形品の材料の物性値に関する情報が含まれている。射出成形機100のメンテナンス時期、成形型のメンテナンス時期、および、周辺装置のメンテナンス時期は、生産4要素のうちの機械に該当する。射出成形機100のメンテナンス時期、成形型のメンテナンス時期、および、周辺装置のメンテナンス時期については、生産4要素のうちの方法に該当するとして扱ってもよい。成形品の材料の物性値は、生産4要素のうちの材料に該当する。
【0021】
本実施形態では、生産条件データには、4要素情報の他に、成形品の生産ロット番号に関する情報が含まれている。本実施形態では、4要素情報および生産ロット番号は、作業者によって端末装置400に入力される。4要素情報のうちの少なくとも一部は、端末装置400以外の装置に入力されて、端末装置400以外の装置から管理装置500に送信されてもよい。なお、前処理装置150の設定値は、4要素情報に該当する。前処理装置150の設定値は、上述したとおり、前処理装置150に入力され、前処理装置150から管理装置500に送信される。前処理装置150の設定値は、生産4要素のうちの材料に該当する。前処理装置150の設定値については、生産4要素のうちの方法に該当するとして扱ってもよい。他の実施形態では、4要素情報のうちの少なくとも一部は、例えば、射出成形機100に入力されて、射出成形機100から管理装置500に送信されてもよい。また、4要素情報のうちの少なくとも一部は、管理装置500に入力されてもよい。4要素情報は、人手による入力ではなく、端末装置400あるいは管理装置500が、他の生産システムからネットワーク等を通じて取得してもよい。
【0022】
管理装置500は、CPU501と記憶部502とを備えるコンピューターによって構成されている。記憶部502には、主記憶装置および補助記憶装置が含まれる。管理装置500には、表示部600が接続されている。本実施形態では、表示部600は、タッチパネル型の液晶ディスプレイで構成されている。なお、表示部600のことを出力部と呼ぶことがある。
【0023】
管理装置500は、射出成形機100、前処理装置150、取出機200、検査装置300、および、端末装置400と通信可能に接続されている。本実施形態では、管理装置500は、ネットワークNTを介して、射出成形機100、前処理装置150、取出機200、検査装置300、および、端末装置400と相互に通信可能に構成されている。ネットワークNTは、例えば、LANであってもよいし、WANであってもよいし、インターネットであってもよい。管理装置500は、ネットワークNTを介して、射出成形機100や前処理装置150や取出機200や検査装置300と通信することによって、射出成形機100や前処理装置150や取出機200や検査装置300とのデータの送受信等を実行する。
【0024】
管理装置500は、データ取得部510と、抽出条件取得部520と、表示制御部530とを備えている。データ取得部510、抽出条件取得部520、および、表示制御部530は、CPU501が記憶部502に記憶されたプログラムを実行することによって実現される。なお、これらは回路によって実現されてもよい。
【0025】
データ取得部510は、射出成形機100から成形条件データを取得し、前処理装置150から前処理データを取得し、検査装置300から検査結果データを取得し、端末装置400から生産条件データを取得する。データ取得部510は、取得した各種データを統合して履歴データとして記憶部502に時系列に従って記憶させる。
【0026】
抽出条件取得部520は、複数の履歴データの中から所望の履歴データを抽出するための第1抽出条件および第2抽出条件を取得する。本実施形態では、第1抽出条件および第2抽出条件は、ユーザーによって表示部600に入力される。抽出条件取得部520は、表示部600に入力された第1抽出条件や第2抽出条件を取得する。
【0027】
表示制御部530は、抽出条件取得部520によって取得された第1抽出条件に従って、記憶部502に記憶された複数の履歴データの中から第1抽出条件に該当する履歴データを抽出して、表示部600に表示させる。本実施形態では、抽出条件取得部520によって第2抽出条件が取得された場合には、表示制御部530は、第1抽出条件によって抽出された履歴データの中から第2抽出条件に該当する履歴データを抽出して、表示部600に表示させる。なお、表示制御部530のことを出力制御部と呼ぶことがある。
【0028】
図2は、表示部600に表示される情報表示画面SC1を示す説明図である。
図3は、情報表示画面SC1の他の表示形態を示す第1の説明図である。
図4は、情報表示画面SC1の他の表示形態を示す第2の説明図である。
図5は、情報表示画面SC1の他の表示形態を示す第3の説明図である。
図2から
図5では、後述する「寸法」欄の表示形態が互いに異なる。
【0029】
図2に示すように、本実施形態では、情報表示画面SC1には、上から順に、第1抽出条件入力領域RG1と、履歴データ表示領域RG2とが設けられている。第1抽出条件入力領域RG1には、左から順に、成形品目入力欄BX1と、期間入力欄BX2と、抽出開始ボタンBT1とが設けられている。成形品目入力欄BX1は、履歴データの第1抽出条件として、成形品目を入力するための欄である。期間入力欄BX2には、履歴データの第1抽出条件として、期間を入力するための欄である。成形品目入力欄BX1に成形品目が入力され、かつ、期間入力欄BX2に期間が入力された状態で抽出開始ボタンBT1が押されると、各欄BX1,BX2に入力された第1抽出条件に該当する履歴データが履歴データ表示領域RG2に表示される。
【0030】
本実施形態では、履歴データ表示領域RG2には、第1抽出条件に該当する履歴データが上下に並んで表示される。履歴データ表示領域RG2には、左から順に、「成形日時」、「成形条件」、「検査条件」、「金型No.」、「トレイ」、「寸法」、「不良率」、「外観不良率」、「材料物性」、および、「金型OH経過時間」の欄が並んで設けられている。各欄には、各履歴データに表された情報が表示される。各欄のタイトル部分には、後述する子画面SC2を表示させるための子画面表示ボタンBT2が設けられている。なお、各欄の並び順は、上述した順に限られず、任意である。
【0031】
「成形日時」の欄には、射出成形機100によって成形品の成形が開始された日時が表示される。「成形条件」の欄には、射出成形機100によって成形品を成形したときの成形条件の名称が表示される。上述したとおり、成形条件は、例えば、射出圧力や、金型温度や、型締圧力等の複数の項目を有している。複数の項目のうちのいずれかの設定値が異なる場合、成形条件には異なる名称が付与されている。
【0032】
「検査条件」の欄には、検査装置300によって成形品を検査したときの検査条件の名称が表示される。カメラの設定が異なる場合、検査条件には異なる名称が付与されている。カメラの設定が同じであっても、例えば、晴天と曇天とのように検査時の天候が異なる場合には、カメラで成形品を撮像するときの光量が異なるので、検査条件には異なる名称が付与されている。
【0033】
「金型No.」の欄には、成形品の成形に用いられた成形型の名称が表示される。「トレイ」の欄には、取出機200によって成形型から取り出された成形品が載置されたトレイの名称が表示される。
【0034】
「寸法」の欄には、検査装置300によって測定された成形品の寸法に関する情報が表示される。本実施形態では、
図2に示すように、「寸法」の欄には、成形品の寸法の平均値が表示される。本実施形態では、所定の切り替え操作によって、「寸法」の欄の表示形態を、成形品の寸法の平均値を表示させる形態と、成形品の寸法の中央値を表示させる形態と、成形品の寸法の分散を表示させる形態と、成形品の寸法の標準偏差を表示させる形態とに切り替えることができる。さらに、本実施形態では、
図3に示すように寸法の平均値あるいは中央値と基準寸法との差を色の濃淡等で表すアイコンで表示させる形態と、
図4に示すように寸法の平均値あるいは中央値と基準寸法との差を棒グラフで表示させる形態と、
図5に示すように寸法のばらつきを箱ひげ図で表示させる形態とに切り替えることができる。
【0035】
「不良率」の欄には、成形品の不良率が表示される。不良率には、寸法不良による不良率と外観不良による不良率とが含まれている。「外観不良率」の欄には、外観不良による不良率が表示される。なお、「寸法」、「不良率」、および、「外観不良率」の欄に表される情報は、良否情報に該当する。
【0036】
「材料物性」の欄には、材料の物性値が表示される。本実施形態では、「材料物性」の欄には、材料の物性値として、材料の溶融温度が表示される。材料の種類が同じであっても、材料の物性値には材料ロットごとにばらつきが生じる。材料のパッケージには材料の製造者によって材料の物性値が表されている。「材料物性」の欄には、材料のパッケージに表された材料の物性値が表示される。「金型OH経過時間」の欄には、成形型のオーバーホールが実行されてから成形品の成形が開始されるまでの経過時間が表示される。なお、「材料物性」の欄、および、「金型OH経過時間」の欄に表される情報は、4要素情報に該当する。
【0037】
図6は、履歴データ表示領域RG2に表示される履歴データの絞り込みおよび並べ替えを実行するための子画面SC2を示す説明図である。
図7は、履歴データ表示領域RG2に表示される履歴データの絞り込みおよび並べ替えの様子を示す説明図である。本実施形態では、履歴データ表示領域RG2の各欄に設けられた子画面表示ボタンBT2がタップされた場合、表示制御部530は、
図6に示す子画面SC2を情報表示画面SC1上に表示させる。
図6には、一例として、「成形条件」の欄に設けられた子画面表示ボタンBT2がタップされた場合に表示される子画面SC2が表されている。
【0038】
子画面SC2には、文字指定領域RG3と、数値範囲指定領域RG4と、並び順指定領域RG5とが設けられている。文字指定領域RG3や数値範囲指定領域RG4には、履歴データ表示領域RG2に表示させる履歴データを絞り込むための第2抽出条件を指定するための欄が設けられている。文字指定領域RG3に設けられた欄には、第2抽出条件として、文字を指定できる。数値範囲指定領域RG4に設けられた欄には、第2抽出条件として、数値範囲を指定できる。文字指定領域RG3に文字が指定された状態、または、数値範囲指定領域RG4に数値範囲が指定された状態で、子画面SC2に設けられた「OK」ボタンがタップされた場合、抽出条件取得部520は、子画面SC2に入力された第2抽出条件を取得する。表示制御部530は、履歴データ表示領域RG2に表示されている複数の履歴データ、換言すれば、第1抽出条件に該当する複数の履歴データの中から、第2抽出条件に該当する履歴データを抽出して履歴データ表示領域RG2に表示させる。さらに、表示制御部530は、第2抽出条件に該当しない履歴データを履歴データ表示領域RG2に非表示にする。
【0039】
並び順指定領域RG5に設けられた「昇順」ボタンがタップされた場合、表示制御部530は、履歴データに表された文字または数値が昇順になるように、履歴データ表示領域RG2に表示された履歴データを並べ替える。並び順指定領域RG5に設けられた「降順」ボタンがタップされた場合、表示制御部530は、履歴データに表された文字または数値が降順になるように、履歴データ表示領域RG2に表示された履歴データを並べ替える。
【0040】
図7には、一例として、
図2に示した履歴データ表示領域RG2に表示された履歴データが、「成形条件」の欄に表された成形条件の名称が「A」である履歴データのみに絞り込まれ、さらに、「不良率」の欄に表された数値の低い順に並べ替えられた状態が表されている。本実施形態では、表示制御部530は、上述した例に限られず、生産4要素のうちの人に関する4要素情報や、生産4要素のうちの機械に関する4要素情報や、生産4要素のうちの材料に関する4要素情報や、生産4要素のうちの方法に関する4要素情報や、良否情報を用いて履歴データの絞り込みや並べ替えを実行できる。例えば、表示制御部530は、「材料物性」の欄に表された材料の物性値や、「金型OH経過時間」の欄に表された成形型のメンテナンス時期からの経過時間を用いて、履歴データの絞り込みや並べ替えを実行できる。履歴データ表示領域RG2に表示される履歴データの絞り込みや並べ替えが実行されることにより、所望の履歴データを見付けやすくできる。
【0041】
図8は、履歴データに表された射出成形機100の設定値を表示する設定値表示画面SC3を示す説明図である。例えば、履歴データ表示領域RG2の「成形条件」の欄に表示された成形条件の名称がタップされた場合、表示制御部530は、設定値表示画面SC3を情報表示画面SC1上に表示させる。設定値表示画面SC3には、タップによって選択された成形条件に関する射出成形機100の設定値が項目ごとに表されている。
図8に示した例では、名称が「A」である成形条件に関する射出成形機100の設定値が成形条件の項目ごとに表されている。
【0042】
図9は、射出成形機100の設定値のばらつき度合いを表すばらつき度合い表示画面SC4を表示させるためのばらつき表示処理の内容を示すフローチャートである。
図10は、ばらつき度合い表示画面SC4を示す説明図である。ばらつき表示処理は、例えば、履歴データ表示領域RG2の「成形条件」の欄に表示された成形条件の名称がダブルタップされた場合に、表示制御部530によって開始される。
【0043】
図9に示すように、まず、ステップS110にて、表示制御部530は、ユーザーによって選択された履歴データを取得する。次に、ステップS120にて、表示制御部530は、選択された履歴データに対応付けられた生産ロット番号を取得する。ステップS130にて、表示制御部530は、複数の履歴データの中から、ステップS120にて取得された生産ロット番号に対応付けられた履歴データを抽出する。ステップS120で抽出された生産ロット番号にはステップS110で選択された履歴データが対応付けられているので、ステップS130で表示制御部530によって抽出される履歴データには、ステップS110で選択された履歴データが含まれる。なお、他の実施形態では、表示制御部530は、ステップS130にて、生産ロット番号に対応付けられた複数の履歴データのうち、不良率が所定値を超える履歴データを除外して、不良率が所定値以下であった履歴データだけを抽出してもよい。
【0044】
ステップS140にて、表示制御部530は、抽出された複数の履歴データに表された成形条件に関する射出成形機100の設定値のばらつき度合いを算出する。表示制御部530は、成形条件の項目ごとに射出成形機100の設定値のばらつき度合いを算出する。本実施形態では、表示制御部530は、射出成形機100の設定値のばらつき度合いとして、射出成形機100の設定値の標準偏差を算出する。表示制御部530は、射出成形機100の設定値のばらつき度合いとして、射出成形機100の設定値の分散を算出してもよい。
【0045】
ステップS150にて、表示制御部530は、射出成形機100の設定値のばらつき度合いを表すばらつき度合い表示画面SC4を表示部600の情報表示画面SC1上に表示させる。その後、表示制御部530は、この処理を終了する。
【0046】
図10に示すように、ばらつき度合い表示画面SC4には、成形条件に関する射出成形機100の設定値のばらつき度合いが成形条件の項目ごとに棒グラフで表されている。本実施形態では、射出成形機100の設定値のばらつき度合いが標準偏差で表されている。ばらつき度合いがゼロである場合には、当該生産ロットにおいて設定値の変更が行われなかったことを表しており、ばらつき度合いがゼロよりも大きな値である場合には、当該生産ロットにおいて設定値の変更が行われたことを表している。ユーザーは、棒グラフを参照することによって、各項目の設定値のばらつき度合いの大きさを一目で把握することができる。
【0047】
ばらつき度合い表示画面SC4には、棒グラフの上に、選択された成形条件の名称と、当該生産ロットにおける不良率とが表示されている。ばらつき度合い表示画面SC4には、不良率に代えて、成形品の不良数、射出成形機100の異常発生回数、異常発生による射出成形機100の運転停止時間などが表示されてもよい。不良率や異常の発生頻度が高い場合には、ばらつき度合いが大きい項目は、設定値を変更すべきでない項目である可能性が高い。不良率や異常の発生頻度が低い場合には、ばらつき度合いが大きい項目は、不良率や異常の発生頻度を低く保って成形品の生産を安定させるために優先的に設定値を変更すべき項目である可能性が高い。そのため、ユーザーは、ばらつき度合い表示画面SC4を参照することによって、どの項目の設定値を変更すべきであるか、あるいは、どの項目の設定値を変更すべきではないかを判断することができる。なお、他の実施形態では、表示制御部530は、棒グラフとともに、例えば、前処理装置150による材料の乾燥温度や、取出機200等の周辺機器のメンテナンス時期からの経過時間などの周辺機器の情報を表示させてもよい。表示制御部530は、履歴データに表されたこれらの情報を取得できる。
【0048】
以上で説明した本実施形態における成形機管理システム10によれば、表示制御部530は、記憶部502に記憶された複数の履歴データの中から第1抽出条件に該当する履歴データを抽出して履歴データ表示領域RG2に表示させる。さらに、第2抽出条件が指定された場合には、表示制御部530は、履歴データ表示領域RG2に表示された複数の履歴データの中から第2抽出条件に該当する履歴データを抽出して履歴データ表示領域RG2に表示させる。抽出された履歴データには、射出成形機100の設定値と、生産4要素に関する4要素情報と、成形品の不良率等の良否情報が表されている。そのため、狙った品質で成形品を生産するための射出成形機100の設定値に関する情報をユーザーに提供できる。特に、本実施形態では、第2抽出条件として、4要素情報に関する条件を指定できるので、生産4要素の状況に応じて、狙った品質で成形品を成形するための射出成形機100の設定値をユーザーに提供しやすくできる。ユーザーは、例えば、抽出された履歴データのうち、成形品の不良率の低い履歴データを参考にして射出成形機100の設定値を決定することで、不良率を低く保って成形品を生産できる。
【0049】
また、本実施形態では、表示制御部530は、履歴データ表示領域RG2に表示された履歴データの有する文字や数値を用いて履歴データの絞り込みや並べ替えを実行できる。特に、本実施形態では、履歴データ表示領域RG2に表示された履歴データの有する文字や数値が指定された文字や数値と一致するか否かに基づいて履歴データを絞り込むことができるだけでなく、履歴データ表示領域RG2に表示された履歴データの有する数値が指定された数値範囲内に含まれるか否かに基づいて履歴データを絞り込むことができる。そのため、所望の履歴データを見付けやすくできる。
【0050】
また、本実施形態では、表示制御部530は、材料の溶融温度や成形型のオーバーホールからの経過時間を用いて履歴データの絞り込みや並べ替えを実行できる。そのため、4要素情報のうち、成形品の品質に影響を与えやすい材料の溶融温度や成形型のオーバーホールからの経過時間を用いて、所望の履歴データを見付けやすくできる。
【0051】
また、本実施形態では、表示制御部530は、不良率等の良否情報を用いて履歴データの絞り込みや並べ替えを実行できる。そのため、不良率を低く保つために参考とすべき履歴データを見付けやすくできる。
【0052】
また、本実施形態では、表示制御部530は、寸法の測定値を、分散や、標準偏差や、箱ひげ図等の種々の表示形態で表示させることができる。そのため、寸法の測定値のばらつき度合いを表すことができる。ユーザーは、例えば、寸法の測定値のばらつき度合いの小さな履歴データを参考にして射出成形機100の設定値を決定することで、成形される成形品の寸法の測定値のばらつき度合いを小さくすることができる。
【0053】
B.第2実施形態:
図11は、第2実施形態の成形機管理システム10において実行される変更回数表示処理の内容を示すフローチャートである。第2実施形態の成形機管理システム10では、ばらつき表示処理に代えて、
図11に示す変更回数表示処理を実行することが第1実施形態と異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0054】
変更回数表示処理は、例えば、履歴データ表示領域RG2の「成形条件」の欄に表示された成形条件の名称がダブルタップされた場合に、表示制御部530によって開始される。まず、ステップS210にて、表示制御部530は、ユーザーによって選択された履歴データを取得する。次に、ステップS220にて、表示制御部530は、選択された履歴データに対応付けられた生産ロット番号を取得する。ステップS230にて、表示制御部530は、複数の履歴データの中から、ステップS220にて取得された生産ロット番号に対応付けられた履歴データを抽出する。ステップS240にて、表示制御部530は、抽出された複数の履歴データに表された成形条件に関する射出成形機100の設定値の変更回数を算出する。表示制御部530は、成形条件の項目ごとに射出成形機100の設定値の変更回数を算出する。ステップS250にて、表示制御部530は、射出成形機100の設定値の変更回数を示す変更回数表示画面を表示部600に表示させる。変更回数表示画面には、例えば、
図10に示したばらつき度合い表示画面SC4のように、棒グラフで射出成形機100の設定値の変更回数が表示される。その後、表示制御部530は、この処理を終了する。
【0055】
以上で説明した本実施形態における成形機管理システム10によれば、表示制御部530は、射出成形機100の設定値の変更回数を示す変更回数表示画面を表示部600に表示させる。不良率や異常の発生頻度が高い場合には、変更回数が多い項目は、設定値を変更すべきでない項目である可能性が高い。不良率や異常の発生頻度が低い場合には、変更回数が多い項目は、不良率や異常の発生頻度を低く保って成形品の生産を安定させるために優先的に設定値を変更すべき項目である可能性が高い。ユーザーは、変更回数表示画面を参照することによって、どの項目の設定値を変更すべきであるか、あるいは、どの項目の設定値を変更すべきではないかを判断することができる。
【0056】
C.第3実施形態:
図12は、第3実施形態の成形機管理システム10において実行されるばらつき表示処理の内容を示すフローチャートである。
図12に示すように、第3実施形態の成形機管理システム10では、ばらつき表示処理の内容が第1実施形態と異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0057】
ステップS310にて、表示制御部530は、ユーザーによって選択された履歴データを取得する。次に、ステップS320にて、表示制御部530は、選択された履歴データに対応付けられた、射出成形機100の運転を担当する作業員に関する情報を取得する。ステップS330にて、表示制御部530は、複数の履歴データの中から、ステップS320にて取得された作業員および成形品目に対応付けられた履歴データを抽出する。ステップS340にて、表示制御部530は、抽出された複数の履歴データに表された成形条件に関する射出成形機100の設定値のばらつき度合いを算出する。ステップS350にて、表示制御部530は、射出成形機100の設定値のばらつき度合いを表すばらつき度合い表示画面を表示部600に表示させる。その後、表示制御部530は、この処理を終了する。
【0058】
以上で説明した本実施形態における成形機管理システム10によれば、表示制御部530は、生産ロットではなく、作業員と成形品目とを組み合わせた生産単位での射出成形機100の設定値のばらつき度合いを表示部600に表示させる。そのため、作業員の相違による影響を排除した射出成形機100の設定値のばらつき度合いを表示部600に表示させることができる。
【0059】
D.他の実施形態:
(D1)上述した各実施形態の成形機管理システム10は、射出成形機100を備えている。これに対して、成形機管理システム10は、射出成形機100に代えて、プレス成形機や、押出成形機や、ブロー成型機や、鋳造機を備えてもよい。
【0060】
(D2)上述した各実施形態の成形機管理システム10では、表示制御部530は、情報表示画面SC1の履歴データ表示領域RG2に、成形型のオーバーホール時期からの経過時間、つまり、成形型のメンテナンス時期からの経過時間を表示させる。これに対して、表示制御部530は、成形型のメンテナンス時期からの経過時間に代えて、射出成形機100のメンテナンス時期からの経過時間や、周辺装置のメンテナンス時期からの経過時間を履歴データ表示領域RG2に表示させてもよい。また、表示制御部530は、成形型のメンテナンス時期からの経過時間とともに、射出成形機100のメンテナンス時期からの経過時間や周辺装置のメンテナンス時期からの経過時間を履歴データ表示領域RG2に表示させてもよい。
【0061】
(D3)上述した各実施形態の成形機管理システム10では、表示制御部530は、情報表示画面SC1の履歴データ表示領域RG2に、材料情報として材料の物性値を表示させる。これに対して、表示制御部530は、材料情報として、材料の前処理を実行する前処理装置150の設定値に関する情報を履歴データ表示領域RG2に表示させてもよい。
【0062】
(D4)上述した各実施形態の成形機管理システム10では、表示制御部530は、成形型のオーバーホール時期からの経過時間等のメンテナンス時期からの経過時間や、材料の溶融温度等の材料情報に関する値や、不良率等の良否情報に関する値が所定の数値範囲内に含まれるか否かという条件に基づいて履歴データを抽出する。これに対して、表示制御部530は、メンテナンス時期からの経過時間が所定の数値範囲内に含まれるか否かという条件に基づいて履歴データを抽出しなくてもよいし、材料情報に関する値が所定の数値範囲内に含まれるか否かという条件に基づいて履歴データを抽出しなくてもよいし、良否情報に関する値が所定の数値範囲内に含まれるか否かという条件に基づいて履歴データを抽出しなくてもよい。
【0063】
(D5)上述した各実施形態の成形機管理システム10では、表示制御部530は、履歴データ表示領域RG2の「寸法」の欄の表示形態を、成形品の寸法の分散を表示させる形態や、成形品の寸法の標準偏差を表示させる形態や、成形品の寸法のばらつきを箱ひげ図で表示させる形態に切り替えることができる。つまり、表示制御部530は、履歴データ表示領域RG2に、良否情報に関する値の統計値を表示させることができる。これに対して、表示制御部530は、良否情報に関する値の統計値を表示させなくてもよい。
【0064】
(D6)上述した各実施形態の成形機管理システム10では、管理装置500の表示制御部530は、履歴データに表された各種情報を表示部600に表示させる。これに対して、表示制御部530は、例えば、プリンターや、プロッターや、プロジェクターや、スピーカー等に、履歴データに表された各種情報を出力させてもよい。この場合、プリンターや、プロッターや、プロジェクターや、スピーカー等のことを出力部と呼び、表示制御部530のことを出力制御部と呼ぶことができる。
【0065】
E.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0066】
(1)本開示の一形態によれば、成形機を有する成形機管理システムが提供される。この成形機管理システムは、成形品の成形条件に関する前記成形機の設定値と、前記成形品を生産するための人と機械と材料と方法との生産4要素に関する4要素情報と、前記成形品の良否に関する良否情報と、を表す複数の履歴データを記憶する記憶部と、前記4要素情報に関する抽出条件を取得する抽出条件取得部と、前記複数の履歴データの中から前記抽出条件に該当する履歴データを抽出し、抽出した前記履歴データを出力部に出力させる出力制御部と、を備える。
この形態の成形機管理システムによれば、出力制御部が4要素情報に関する抽出条件に該当する履歴データを抽出して出力部に出力させるので、生産4要素の状況に応じて、狙った品質で成形品を成形するための成形機の設定値を提供しやすくできる。
【0067】
(2)上記形態の成形機管理システムにおいて、前記4要素情報は、メンテナンス時期からの経過時間に関する情報を含んでもよい。
この形態の成形機管理システムによれば、メンテナンス時期からの経過時間を用いて履歴データを抽出できる。
【0068】
(3)上記形態の成形機管理システムにおいて、前記メンテナンス時期は、前記成形機による前記成形品の成形に用いられる成形型のメンテナンス時期であってもよい。
この形態の成形機管理システムによれば、成形型のメンテナンス時期からの経過時間を用いて履歴データを抽出できる。
【0069】
(4)上記形態の成形機管理システムにおいて、前記メンテナンス時期は、前記成形機のメンテナンス時期、または、前記成形機とともに前記成形品の生産に用いられる周辺装置のメンテナンス時期であってもよい。
この形態の成形機管理システムによれば、成形機のメンテナンス時期からの経過時間、または、周辺装置のメンテナンス時期からの経過時間を用いて履歴データを抽出できる。
【0070】
(5)上記形態の成形機管理システムにおいて、前記メンテナンス時期からの経過時間に関する情報は、値で表され、前記出力制御部は、前記メンテナンス時期からの経過時間に関する情報の値が前記抽出条件にて指定された範囲に含まれるか否かに基づいて前記履歴データを抽出してもよい。
この形態の成形機管理システムによれば、ユーザーの所望する履歴データを効率良く提供できる。
【0071】
(6)上記形態の成形機管理システムにおいて、前記4要素情報は、前記成形品の材料に関する材料情報を含んでもよい。
この形態の成形機管理システムによれば、材料情報を用いて履歴データを抽出できる。
【0072】
(7)上記形態の成形機管理システムにおいて、前記材料情報は、前記材料の物性値に関する情報であってもよい。
この形態の成形機管理システムによれば、材料の物性値を用いて履歴データを抽出できる。
【0073】
(8)上記形態の成形機管理システムにおいて、前記材料情報は、前記材料の前処理を実行する前処理装置の設定値に関する情報であってもよい。
この形態の成形機管理システムによれば、前処理装置の設定値を用いて履歴データを抽出できる。
【0074】
(9)上記形態の成形機管理システムにおいて、前記前処理装置は、前記材料を乾燥させる乾燥装置であってもよい。
この形態の成形機管理システムによれば、乾燥装置の設定値を用いて履歴データを抽出できる。
【0075】
(10)上記形態の成形機管理システムにおいて、前記材料情報は、値で表されており、前記出力制御部は、前記材料情報の値が前記抽出条件にて指定された範囲に含まれるか否かに基づいて前記履歴データを抽出してもよい。
この形態の成形機管理システムによれば、ユーザーの所望する履歴データを効率良く提供できる。
【0076】
(11)上記形態の成形機管理システムにおいて、前記良否情報は、値で表されており、前記出力制御部は、前記良否情報の値が前記抽出条件にて指定された範囲に含まれるか否かに基づいて前記履歴データを抽出してもよい。
この形態の成形機管理システムによれば、ユーザーの所望する履歴データを効率良く提供できる。
【0077】
(12)上記形態の成形機管理システムにおいて、前記良否情報には、前記成形品の寸法の測定値の統計値が表されてもよい。
この形態の成形機管理システムによれば、寸法の測定値のばらつき度合いを表すことができる。
【0078】
本開示は、成形機管理システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、成形機管理方法等の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0079】
10…成形機管理システム、100…射出成形機、110…成形制御部、150…前処理装置、160…前処理制御部、200…取出機、210…取出制御部、300…検査装置、310…検査制御部、400…端末装置、500…管理装置、501…CPU、502…記憶部、510…データ取得部、520…抽出条件取得部、530…表示制御部、600…表示部