IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東光高岳の特許一覧

<>
  • 特開-開閉器 図1
  • 特開-開閉器 図2
  • 特開-開閉器 図3
  • 特開-開閉器 図4
  • 特開-開閉器 図5
  • 特開-開閉器 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170973
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】開閉器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/53 20060101AFI20221104BHJP
   H02B 5/02 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
H01H33/53 U
H02B5/02 A
H01H33/53 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077286
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】514105011
【氏名又は名称】株式会社東光高岳
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】竹本 勉
【テーマコード(参考)】
5G028
【Fターム(参考)】
5G028AA07
(57)【要約】
【課題】組立作業性を向上することができる開閉器を提供する。
【解決手段】開閉器100は、固定電極、及び可動電極を有する開閉機構を収容し、上方に向かって開口する開口部55を有するケース50と、開口部55を塞ぐように設けられるカバー60と、ケース50とカバー60との間に挟み込まれるパッキン70と、パッキン70を上下に圧縮した状態でカバー60をケース50に固定する固定部材80と、を備え、固定部材80は、ケース50の外周側面50sにボルト88により締結される基端部81と、基端部81から上方に向かって延びる中間部82と、中間部82の上端から屈曲してカバー60の上方に向かって延び、パッキン70を圧縮したカバー60の上面の一部を係止する先端部83と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定電極、及び前記固定電極に対して当接又は離間可能な可動電極を有する開閉機構を収容し、上方に向かって開口する開口部を有するケースと、
前記ケースの前記開口部を塞ぐように設けられるカバーと、
前記開口部の外周縁に沿って延び、前記ケースと前記カバーとの間に挟み込まれるパッキンと、
前記パッキンを上下に圧縮した状態で前記カバーを前記ケースに固定する固定部材と、を備え、
前記固定部材は、
前記ケースの外周側面にボルトにより締結される基端部と、
前記基端部から上方に向かって延びる中間部と、
前記中間部の上端から屈曲して前記カバーの上方に向かって延び、前記パッキンを圧縮した前記カバーの上面の一部を係止する先端部と、を備える、開閉器。
【請求項2】
前記ケースは、上方に向けて前記カバー側に立ち上がりかつ前記開口部の外周縁に沿って連続する立ち上がり壁を有し、
前記カバーは、前記対向面が前記立ち上がり壁に突き当たった状態で前記固定部材により固定され、
前記パッキンは、前記立ち上がり壁に対して前記開口部の外周側に配置されるとともに、非圧縮状態で前記立ち上がり壁の立ち上がり寸法より大きい厚さを有している、請求項1に記載の開閉器。
【請求項3】
前記ケースの外周側面に、ネジ穴を有したネジ座部材が接合され、
前記固定部材は、前記基端部に形成された貫通孔を通して前記ネジ穴に締結される前記ボルトによって前記ケースに固定される、請求項2に記載の開閉器。
【請求項4】
前記ネジ座部材は、前記ケースの外周側面から水平方向に突出する柱状に設けられている、請求項3に記載の開閉器。
【請求項5】
前記固定部材は、少なくとも前記中間部、及び前記先端部に沿って延びる補強リブを備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の開閉器。
【請求項6】
前記カバーの外周部は、上下方向から見て、前記ケースよりも外周側に突出している、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉器は、電力系統に設置されて、電力系統又は系統中の変圧器、断路器等の電力機器の正常時の負荷電流を開閉するとともに、事故発生時には事故電流を遮断することにより負荷側の設備を保護し、上流側への事故波及を防止する。開閉器は、発電所、変電所から電力系統途上の電路又は一般需要家の受配電設備等に設置される(例えば、特許文献1参照。)。開閉器は、固定電極及び可動電極を有する開閉機構を備える(例えば、特許文献2参照)。開閉機構は、可動電極を固定電極に対して進退させる。開閉機構は、可動電極を進行させて固定電極に当接させる閉極動作と、可動電極を退避させて固定電極から離間させる開極動作とを行う。
【0003】
特許文献1、2に記載の開閉器は、開閉機構を収容し、上方に向かって開口する開口部を有するケースと、ケースの開口部を塞ぐように設けられるカバーと、を備えている。このような構成において、ケースとカバーとの間には、開口部の外周縁に沿って延びるパッキンが挟み込まれ、ケースとカバーとの間を封止している。カバーは、複数本のボルト・ナットによってケースに固定されている。カバーの外周部、及びケースの外周側面に設けられたブラケットには、それぞれボルト挿通孔が形成されている。カバーをケースに固定するためのボルトは、上下方向に延び、カバーの外周部、及びブラケットのボルト挿通孔に挿通され、その先端部にナットが締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-204055号公報
【特許文献2】特開2017-152228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したような構成では、カバーをケースに取り付ける際には、カバーを上方から押圧してパッキンを圧縮させながら、ボルト・ナットの締め付けを行わなければならない。このため、ボルト・ナットの締め付けの際には、圧縮されたパッキンによる反発力が、カバーを介してボルト・ナットに作用する。従って、ボルト・ナットの締め付けに、パッキンによる反発力を上回る力が必要となり、作業に要する労力が増大する。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明は、組み立て作業性を向上することができる開閉器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る開閉器は、固定電極、及び固定電極に対して当接又は離間可能な可動電極を有する開閉機構を収容し、上方に向かって開口する開口部を有するケースと、ケースの開口部を塞ぐように設けられるカバーと、開口部の外周縁に沿って延び、ケースとカバーとの間に挟み込まれるパッキンと、パッキンを上下に圧縮した状態でカバーをケースに固定する固定部材と、を備え、固定部材は、ケースの外周側面にボルトにより締結される基端部と、基端部から上方に向かって延びる中間部と、中間部の上端から屈曲してカバーの上方に向かって延び、パッキンを圧縮したカバーの上面の一部を係止する先端部と、を備える。
【0008】
また、ケースが、上方に向けてカバー側に立ち上がりかつ開口部の外周縁に沿って連続する立ち上がり壁を有し、カバーが、対向面が立ち上がり壁に突き当たった状態で固定部材により固定され、パッキンが、立ち上がり壁に対して開口部の外周側に配置されるとともに、非圧縮状態で立ち上がり壁の立ち上がり寸法より大きい厚さを有してもよい。また、ケースの外周側面に、ネジ穴を有したネジ座部材が接合され、固定部材が、基端部に形成された貫通孔を通してネジ穴に締結されるボルトによってケースに固定されてもよい。
【0009】
また、ネジ座部材が、ケースの外周側面から水平方向に突出する柱状に設けられていてもよい。また、固定部材が、少なくとも中間部、及び先端部に沿って延びる補強リブを備えてもよい。また、カバーの外周部が、上下方向から見て、ケースよりも外周側に突出していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様に係る開閉器は、カバーをケースに固定する固定部材が、ケースの外周側面にボルトにより締結される基端部と、パッキンを圧縮したカバーの上面の一部を係止する先端部と、を備える構成により、組立に際しては、カバーを押さえつけてパッキンを圧縮した状態で、固定部材の基端部をケースの外周側面にボルトにより締結することで、カバーをケースに固定することができる。このとき、パッキンによる反発力がボルトの締め付けに作用するのを抑えることができる。その結果、開閉器の組み立て作業性を向上させることができる。
【0011】
また、ケースが、立ち上がり壁を有し、対向面が立ち上がり壁に突き当たった状態でカバーが固定部材により固定される構成では、カバーの対向面が立ち上がり壁に突き当たることで、パッキンの潰れ代を安定して管理することができる。また、固定部材の基端部が、ケースの外周側面に接合されたネジ座部材に締結されるボルトによってケースに固定される構成では、立ち上がり壁にカバーの対向面を突き当てることで、固定部材の基端部に形成された貫通孔が、ケースの外周面に接合されたネジ座部材のネジ穴に容易に位置合わせされる。この構成により、ボルトを容易に締結でき、作業性を向上させることができる。
【0012】
また、ネジ座部材が、ケースの外周側面から水平方向に突出する柱状に設けられている構成では、ネジ座部材の剛性が高く、内圧上昇によって固定部材が変形した場合であっても、固定部材の基端部を強固に固定した状態を維持できる。また、固定部材が補強リブを備える構成では、固定部材を補強することができ、カバーがケースに確実に固定される。また、カバーの外周部が、上下方向から見て、ケースよりも外周側に突出している構成では、カバーの上面に沿う固定金具の先端部を長くすることができる。この構成により、平常時は固定部材によりカバーを確実に係止することができ、内圧の急上昇時にカバーがケースから持ち上げられた場合には、変位するカバーによって固定部材の先端部に力を確実に伝達し、固定部材の変形を確実に生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る開閉器の一例を示す斜視図である。
図2】開閉器の一例を示す断面図である。
図3】開閉器の固定部材を示す断面図である。
図4】カバーをケースに取り付けていない状態を示す断面図である。
図5】カバーを下方に押圧してパッキンを押し潰した状態を示す断面図である。
図6】カバーがケースから離れた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下に説明する内容に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現しており、実際の製品と寸法、形状が異なっている場合がある。図1は、実施形態に係る開閉器100の一例を示す斜視図である。図2は、開閉器100の一例を示す断面図である。図3は、開閉器100の固定部材80を示す断面図である。図1及び図2に示すように、開閉器100は、複数の接続端子10と、開閉機構20と、ケース50と、カバー60と、パッキン70と、固定部材80と、を主に備える。
【0015】
複数の接続端子10は、図2に示すように、電力系統の供給側の電路に電気的に接続される供給側端子10Aと、電力系統の需要側の電路に電気的に接続される需要側端子10Bと、を有している。本実施形態において、供給側端子10A及び需要側端子10Bは、それぞれ3相分、図2の紙面に直交する方向に配列されている。供給側端子10A及び需要側端子10Bの形状(形態)は、それぞれ任意である。
【0016】
各接続端子10(供給側端子10A及び需要側端子10B)は、それぞれ端子基端部10aがケース50内に収容され、端子先端部10bがケース50から突出している。接続端子10は、端子部材11と、端子部材11の中間部を覆う碍管15と、を備えている。端子部材11は、電力系統の供給側又は需要側の電路に接続される羽子板状の板状端子部12と、板状端子部12から碍管15を貫通してケース50の内方に向かって延びる中間導体部13と、固定電極21又は可動電極22が取り付けられる接点取付導体部14と、を一体に備えている。碍管15は、端子部材11の延伸方向に沿って延びる筒状で、端子部材11の中間導体部13の外周側を覆っている。
【0017】
開閉機構20は、ケース50内に収容されている。開閉機構20は、固定電極21と、可動電極22と、を備えている。固定電極21は、例えば、需要側端子10Bに電気的に接続されている。固定電極21は、一対の固定接触子24を備えている。一対の固定接触子24は、需要側端子10Bの接点取付導体部14を挟んだ両側に設けられている。一対の固定接触子24の下端部は、接点取付導体部14に電気的に接続されている。
【0018】
可動電極22は、例えば、供給側端子10Aに電気的に接続されている。可動電極22は、固定電極21に対して当接又は離間可能に構成されている。可動電極22は、軸支部25と、アーム部26と、可動接触子27と、を一体に備えている。軸支部25は、例えば供給側端子10Aの接点取付導体部14に取り付けられたブラケット28に回動自在に支持されている。アーム部26は、軸支部25から斜め上方に延伸している。可動接触子27は、アーム部26の先端から屈曲して下方の固定電極21側に延びている。
【0019】
可動電極22は、軸支部25を中心として回転し(図2において反時計回り)、可動接触子27が一対の固定接触子24の間に挿入されることで、固定電極21に対して当接した(電気的に接続した)閉極状態とされる。また、可動電極22は、軸支部25を中心として回転し(図2において時計回り)可動接触子27が一対の固定接触子24の間から上方に退避することで、固定電極21から離間した(電気的に接続されていない)開極状態とされる。
【0020】
可動電極22のアーム部26の中間部には、軸支部25を中心として可動電極22を回動させる駆動リンク機構23が接続されている。駆動リンク機構23は、不図示の弾性部材を備えており、少なくとも開極状態を弾性部材の弾性力によって保持するようにしている。また、可動電極22は、ケース50の外部に設けられた不図示の手動操作アームを操作することで、駆動リンク機構23を駆動させ、上記した開極状態と閉極状態とを切り換え可能とされている。
【0021】
ケース50は、開閉機構20を収容している。ケース50は、底板51と、側板52と、上板53と、を一体に備えている。底板51は、ケース50の底面を形成する。底板51は、下方から見て長方形状に形成されている。側板52は、ケース50の外周側面50sを形成する。側板52は、底板51の四辺のそれぞれから上方に延びている。上板53は、ケース50の上面を形成する。なお、ケース50の形状は任意であり、開閉機構20を収容可能であれば、例えば、下方から見て円形状であってもよい。ケース50の材質は特に限定されないが、金属材、樹脂材などが用いられる。
【0022】
図3に示すように、ケース50の上板53は、四方の側板52の上端部からケース50の内側に向かって延出している。上板53には、上方に向かって開口する開口部55が形成されている。上板53には、開口部55の外周縁に沿って上方に立ち上がる立ち上がり壁57が形成されている。立ち上がり壁57は、開口部55の外周縁に沿って連続して形成されている。
【0023】
カバー60は、ケース50の上側に配置されている。カバー60は、ケース50の開口部55を塞ぐように設けられる。なお、カバー60が取り付けられたケース50内は、密封空間となる。この密封空間には、所定のガス(例えば絶縁性を有するガスなど)が封入されてもよいし、所定の液体(例えば絶縁油など)が注入されてもよい。図1及び図2に示すように、カバー60は、天板部61と、傾斜部62と、外周板部63と、延出壁65と、を一体に備えている。天板部61は、カバー60の中央部に形成されている。天板部61は、カバー60の頂部を形成している。天板部61は、上方から見て長方形状に形成されている。傾斜部62は、長方形状の天板部61の各辺から外周側に向かって斜め下方に傾斜している。
【0024】
図3に示すように、外周板部63は、傾斜部62の下端から外周側に向かって水平方向に延びている。カバー60の外周部を形成する外周板部63は、上下方向から見て、ケース50よりも外周側に突出している。外周板部63において下方のケース50側を向く対向面63fは、立ち上がり壁57の上端に当接している。対向面63fは、立ち上がり壁57に当接した部分から外周側に延びている。カバー60は、対向面63fが立ち上がり壁57に突き当たった状態で、後述する固定部材80により固定されている。
【0025】
延出壁65は、カバー60の外周部に設けられている。延出壁65は、外周板部63の外周縁から、下方に向けてケース50側に延出している。延出壁65は、ケース50の外周側面50sよりも外周側に突出した位置に配置されている。なお、延出壁65は、上下方向の長さを任意に設定可能である。
【0026】
パッキン70は、開口部55の外周縁に沿って延びている。パッキン70は、立ち上がり壁57に対して開口部55の外周側に配置されている。パッキン70は、ケース50とカバー60との間に挟み込まれている。パッキン70は、樹脂、ゴム系材料等、弾性を有する材料で形成されている。パッキン70は、断面が多角形状であるが、この形態に限定されず、例えば、断面が円形状、楕円形状、長円形状などであってもよい。パッキン70は、予め環状(無端状)に形成された部材であってもよいし、紐状の部材が環状に巻かれて使用される形態であってもよい。
【0027】
図4は、カバー60をケース50に取り付けていない状態を示す断面図である。すなわち、カバー60は、パッキン70上に載置されているだけで、パッキン70は、圧縮されていない。図4に示すように、パッキン70は、非圧縮状態では、立ち上がり壁57の立ち上がり寸法より大きい厚さを有している。図3に示すように、パッキン70は、カバー60が固定部材80によってケース50に固定された状態で、ケース50とカバー60との間に上下方向に圧縮された状態で挟み込まれている。
【0028】
パッキン70の上側面71、及び下側面72には、それぞれ上側溝71m、及び下側溝72mが形成されている。上側溝71mは、上側面71の中央部から下方に窪んでいる。下側溝72mは、下側面72の中央部から上方に窪んでいる。なお、パッキン70が上側溝71m及び下側溝72mを備えるか否かは任意である。つまり、パッキン70は、上側溝71m及び下側溝72mの一方又は双方を備えなくてもよい。
【0029】
パッキン70は、カバー60の取り付け時において、例えば、カバー60側に装着されている。カバー60の外周板部63の対向面63fには、下方に突出する突条63sが形成されていてもよい。パッキン70は、上側溝71mに突条63sが嵌め込まれることで、カバー60に保持される。また、ケース50の上板53には、立ち上がり壁57の外周側に、上方に突出する突条53sが形成されていてもよい。パッキン70は、下側溝72mに突条53sが挿入されることで、径方向への位置ずれが抑えられている。なお、パッキン70は、カバー60の取り付け時において、ケース50側に装着されてもよい。
【0030】
固定部材80は、パッキン70を上下に圧縮した状態でカバー60をケース50に固定する。固定部材80は、カバー60の外周部に間隔をあけて複数配置されている。図1に示すように、本実施形態において、固定部材80は、上方から見て長方形状のカバー60の長辺沿って2個ずつ、短辺に沿って1個ずつ、合計6個設けられている。6個の固定部材80は、等間隔又はほぼ等間隔となるように配置されている。なお、使用する固定部材80の個数及び配置は任意に設定可能である。
【0031】
各固定部材80は、図3に示すように、板状の金属材により形成され、側方から見てL字状に形成されている。各固定部材80は、基端部81と、中間部82と、先端部83と、を一体に備えている。各固定部材80は、変形可能である。なお、固定部材80は、側方から見てL字状であることに限定されず、側方から見てU字状、V字状であってもよい。また、固定部材80は、カバー60を係止可能な形態であれば、その形状は任意に設定することができる。
【0032】
基端部81は、ケース50の外周側面50sにボルト88により締結されている。基端部81には、ボルト88を挿通させるための貫通孔84が形成されている。本実施形態において、基端部81は、例えばネジ座部材58を介してケース50の外周側面50sに固定されている。ネジ座部材58は、ケース50の外周側面50sから水平方向に突出する柱状に設けられている。
【0033】
ネジ座部材58は、ケース50の外周側面50sに、例えば溶接により接合されている。本実施形態において、ネジ座部材58は、外周側面50sに、例えば抵抗溶接により接合されている。ネジ座部材58の接合に抵抗溶接を用いることで、ネジ座部材58への入熱量を抑え、ネジ座部材58の熱による歪等を抑えることができる。ネジ座部材58は、ネジ穴59を有している。ボルト88は、基端部81に形成された貫通孔84を通してネジ穴59に締結されている。この構成により、固定部材80がネジ座部材58を介してケース50の外周側面50sに固定されている。
【0034】
中間部82は、基端部81から上方に向かって延びている。先端部83は、中間部82の上端から水平方向に屈曲し、カバー60の上方に向かって延びている。先端部83は、基端部81がボルト88によってネジ座部材58に締結された状態で、カバー60の外周板部63において上方を向く上面63tに沿っている。先端部83は、外周板部63の対向面63fに突き当たるパッキン70よりも内周側に延びている。先端部83は、外周板部63を挟んで立ち上がり壁57と対向する位置まで延びている。先端部83は、基端部81がボルト88によってネジ座部材58に締結された状態で、パッキン70を圧縮したカバー60の上面63tの一部を係止する。
【0035】
補強リブ85は、固定部材80において、少なくとも中間部82、及び先端部83に沿って延びるように形成されている。補強リブ85は、中間部82に沿って上下方向に延びている。補強リブ85は、中間部82の表面から外周側に突出している。補強リブ85は、先端部83に沿って水平方向に沿って延びている。補強リブ85は、先端部83の表面から上方に突出している。補強リブ85は、例えば、固定部材80の板幅方向に間隔をあけて二本設けられている。補強リブ85により、固定部材80が補強される。
【0036】
図1及び図2に示すように、開閉器100には、吊下げブラケット90が装着されている。吊下げブラケット90は、開閉器100を電柱や電路(図示無し)に吊り下げる。吊下げブラケット90は、一対の支持板91と、連結部材92と、係止部93と、を備えている。一対の支持板91は、ケース50の長辺方向両側に配置されている。各支持板91の下端部は、ケース50の外周側面50sに固定ボルト98によって締結されている。
【0037】
各支持板91は、カバー60の天板部61よりも上方まで延びている。連結部材92は、水平方向に延びて一対の支持板91同士を連結している。連結部材92は、カバー60の天板部61に対して上下方向に間隔をあけて配置されている。係止部93は、連結部材92から上方に延びている。係止部93には、開閉器100を電柱や電路(図示無し)に吊り下げるための吊下げ金具が係止される。なお、吊下げブラケット90の形態は上記した構成に限定されない。吊下げブラケット90は、ケース50を吊り下げ可能であれば、その形態は任意である。
【0038】
上記したような固定部材80によって、カバー60をケース50に固定するには、図4に示すように、パッキン70をカバー60の対向面63fとケース50の上板53との間に挟み込んだ状態で、プレス装置等によってカバー60を下方に向けて押圧する。プレス装置としては、ケース50に対してカバー60を下方に押し付ける構成を有していればよく、任意のプレス装置を用いることができる。
【0039】
図5は、カバー60を下方に押圧してパッキン70を押し潰した状態を示す断面図である。カバー60を下方に向けて押圧することで、図5に示すように、プレス装置等による押圧力Fによってパッキン70が上下方向に押し潰され、カバー60の対向面63fがケース50に形成された立ち上がり壁57の上端に突き当たる。これにより、カバー60の下方への変位が規制される。さらに、パッキン70を過度に押し潰して、気密性が損なわれてしまうことを防止できる。
【0040】
この状態で、固定部材80の先端部83を上方からカバー60の外周板部63の上面63tに当接させる。すると、固定部材80の基端部81に形成された貫通孔84と、ネジ座部材58のネジ穴59とが連通するように位置合わせされる。また、カバー60の対向面63fが立ち上がり壁57に突き当たることで、パッキン70の潰れ代が安定して管理される。
【0041】
その後、図3に示すように、貫通孔84を通してネジ穴59にボルト88を締結することによって、固定部材80によって、カバー60がケース50に固定される。このとき、貫通孔84とネジ穴59とが位置合わせされているので、ボルト88を容易に締結することができる。また、カバー60が下方に向けて押圧されてパッキン70が押し潰された状態であるので、ボルト88を締結する際にパッキン70による反発力が作用することがない。
【0042】
固定部材80は、基端部81がケース50の外周側面50sに固定され、先端部83がカバー60の上面63tの一部を係止することで、カバー60がケース50から離間するのを係止している(抑えている)。この状態で、パッキン70は、ケース50とカバー60との間で上下に圧縮されており、ケース50内の気密性が保たれる。
【0043】
カバー60の外周部がケース50よりも外周側に延びているので、雨水の浸入を抑えることができる。また、カバー60の外周板部63の上面63tに沿う固定部材80の先端部83の長さを、より大きくすることができる。この構成により、平常時は固定部材80によりカバー60を確実に係止する(抑える)ことができる。また、内圧の急上昇時にカバー60がケース50から持ち上げられた場合、変位するカバー60によって固定部材80の先端部83に力を確実に伝達し、固定部材80の変形を確実に生じさせることができる。
【0044】
ケース50内の内圧が上昇した場合(特に急上昇した場合)は、図3に示すように、カバー60が上方に押し上げられることによって、固定部材80の先端部83が上方に変形するとともに、中間部82が外側に変形する。なお、固定部材80の強度は、ケース50内の内圧に応じて設定されている。
【0045】
図6は、カバー60がケース50から離れた状態を示す断面図である。図6に示すように、固定部材80の変形により、カバー60がケース50から上方に離れる方向に変位する。その結果、カバー60とケース50との間に隙間が形成され、内圧が放出される。このとき、固定部材80の先端部83と中間部82とがL字状に形成されているので、内圧が過度に上昇した場合に、固定部材80が変形しやすく、ケース50とカバー60との間に生じる隙間の寸法を大きくできるので、内圧の放出を確実に行うことができる。従来のような、上下方向のボルトでカバー60を固定するタイプでは、ボルトを指示するブラケットの変形によりケース50とカバー60との間で隙間を生じさせるので、隙間の寸法が小さく、内圧の放出に時間がかかる。これに対し、本実施形態では、従来よりもカバー60とケース50との隙間の寸法が大きいので、速やかに内圧が放出される。
【0046】
また、ネジ座部材58は、柱状なので高強度、高剛性を有している。このため、内圧上昇によって固定部材80が変形した場合も、固定部材80の基端部81を強固に固定した状態を維持できる。
【0047】
また、内圧の上昇(急上昇)によって、カバー60が押し上げられた場合、カバー60の上方に位置する吊下げブラケット90の連結部材92(図1参照)にカバー60が突き当たることで、カバー60の上方への変位が規制される。これにより、カバー60がケース50から脱落するのを抑えることができる。なお、カバー60がケース50から脱落するのを吊下げブラケット90で抑えることに限定されない。例えば、ステーがケース50に設けられて、このステーによりカバー60がケース50から脱落するのを抑える構成であってもよいし、カバー60とケース50とがワイヤー等で連結され、このワイヤーによりカバー60が脱落するのを防止する構成であってもよい。
【0048】
このように、本実施形態に係る開閉器100によれば、組立に際し、カバー60をケース50に押し付けてパッキン70を圧縮した状態で、固定部材80の先端部83をカバー60の上面63tに沿わせ、基端部81をケース50にボルト締結する。従って、ボルト88を締め付けるときに、パッキン70の反力を受けることがなく、ボルト88を容易に締結できる。その結果、組立性が向上する。
【0049】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上記した説明に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。上記した実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、上記した実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記した実施形態では、ケース50内に収容される開閉機構20の構成を図示して説明したが、この構成に限定されず、他の開閉機構構を用いた構成であっても同様の説明が可能である。
【符号の説明】
【0050】
20・・・開閉機構
21・・・固定電極
22・・・可動電極
50・・・ケース
50s・・・外周側面
55・・・開口部
57・・・立ち上がり壁
58・・・ネジ座部材
59・・・ネジ穴
60・・・カバー
63f・・・対向面
63t・・・上面
65・・・延出壁
70・・・パッキン
80・・・固定部材
81・・・基端部
82・・・中間部
83・・・先端部
84・・・貫通孔
85・・・補強リブ
88・・・ボルト
100・・・開閉器
図1
図2
図3
図4
図5
図6