(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170992
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】生薬等含有液状組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/65 20060101AFI20221104BHJP
A61K 36/46 20060101ALI20221104BHJP
A61K 35/644 20150101ALI20221104BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20221104BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
A61K36/65
A61K36/46
A61K35/644
A61K47/12
A61K9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077339
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 慶太郎
【テーマコード(参考)】
4C076
4C087
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076BB01
4C076CC21
4C076DD43Q
4C076FF63
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB22
4C087MA52
4C087NA03
4C087ZC21
4C087ZC75
4C088AB12
4C088AB58
4C088AC01
4C088AC05
4C088BA08
4C088MA07
4C088MA52
4C088NA03
4C088ZC21
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】生薬を含有する液状組成物の保存安定性を改善する新たな手段の提供。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)シャクヤク、トチュウ及びローヤルゼリー並びにそれらの抽出物よりなる群から選ばれる1種以上
(B)クエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上
を含有する、液状組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)シャクヤク、トチュウ及びローヤルゼリー並びにそれらの抽出物よりなる群から選ばれる1種以上
(B)クエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上
を含有する、液状組成物。
【請求項2】
成分(A)が、シャクヤク又はその抽出物と、トチュウ又はその抽出物と、ローヤルゼリー又はその抽出物との組合せである、請求項1記載の液状組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生薬等含有液状組成物、並びに生薬等含有液状組成物の保存安定化剤及び安定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シャクヤク、トチュウ等の生薬は、種々の薬理作用を有することから、医薬品の成分等として広く利用されている。しかしながら、生薬中には種々の性質を有する成分が存在していることから、生薬を含有する組成物においては、その保存安定性が問題となり易く、保存安定性の改善技術の開発が求められている。特に、医薬品は温度管理された状況下(少なくとも30℃以下、いわゆる室温)で保存・貯蔵・運搬等されるべきものであるが、消費者の手元においては必ずしも十分温度管理されているわけではなく、昨今の気候変動やコロナ禍での節電傾向等からも、しばしば30℃を大きく超えた高温で保存されることも有り得るため、高温条件下における保存安定性の確保は極めて重要である。
【0003】
生薬を含有する医薬組成物における保存安定性の問題としては、生薬中に多く含まれる溶解性の低い成分に起因する、液状の組成物における沈殿が挙げられ、斯かる問題に対して可溶化剤を配合する技術が検討されている。例えば、特許文献1には、生薬エキスに、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物を配合することが記載されている。また、特許文献2には、生薬抽出物及び油成分に加えて、ポリグリセリン脂肪酸エステルとポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤とを特定比率で配合した可溶化液体組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平5-9408号公報
【特許文献2】特開2002-128703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、生薬を含有する液状組成物の保存安定性を改善する新たな手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、シャクヤク、トチュウ及びローヤルゼリーから選ばれる生薬やそれらの抽出物とともに、クエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を含有せしめることによって、保存安定性に優れた液状組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)シャクヤク、トチュウ及びローヤルゼリー並びにそれらの抽出物よりなる群から選ばれる1種以上
(B)クエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上
を含有する、液状組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、生薬等を含有しつつも保存安定性に優れた液状組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<成分(A)>
「シャクヤク」(芍薬)とは、第十七改正日本薬局方に記載の通り、シャクヤクPaeonia lactiflora Pallas(Paeoniaceae)の根を意味する。シャクヤクは必要に応じてその形態を調節することができ、小片、小塊に切断若しくは粉砕、又は粉末に粉砕することができ、例えば、シャクヤクを粉末とした「シャクヤク末」も本発明に用いることができる。また、組成物の製造時の取扱の便宜等を考慮して、シャクヤクに何らかの抽出処理を施したもの(以下、「シャクヤクの抽出物」と称する。)を用いてもよい。
なお、上記「シャクヤクの抽出物」には、抽出処理に加えて、加熱、乾燥、粉砕等の加工処理を施したものも包含される。具体的には、シャクヤクを必要に応じて適当な大きさとした後に、適当な浸出液(抽出溶媒)を加えて浸出した液や、当該浸出液を濃縮した液(軟エキス、チンキ等)、さらにこれらを乾燥させたもの(乾燥エキス等)等も本発明の「シャクヤクの抽出物」に包含される。
本発明において、シャクヤク及びその抽出物から選ばれる1種以上としては、シャクヤク乾燥エキスが好ましい。
【0010】
シャクヤクの抽出物の製造方法は特に限定されず、例えば第十七改正日本薬局方 製剤総則の「エキス剤」、「浸剤・煎剤」、「チンキ剤」、「流エキス剤」の項の記載など、公知の植物抽出物の製造方法を参考にして製造できる。具体的には例えば、シャクヤクを必要に応じて切断、加熱、乾燥、粉砕等したうえ、適当な抽出溶媒を加え抽出を行うことで、製造することができる。得られた抽出物は、必要に応じさらに濃縮、乾燥等させてもよい。
【0011】
上記抽出溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール等の低級一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の低級多価アルコール;ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のアルカン類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲノアルカン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;水(熱水を含む)等が挙げられる。これらは各々単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、水、エタノール、又は水/エタノール混液が好ましい。
抽出操作は特に限定されず、植物からの抽出操作に利用される公知の方法を採用することができ、具体的には例えば、抽出溶媒への浸漬(冷浸、温浸、パーコレーション等)、超臨界流体や亜臨界流体を用いた抽出などが挙げられる。なお、抽出効率を上げるため、撹拌や抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。
抽出温度は特に限定されず、使用する抽出溶媒、抽出操作等により異なるが、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが好ましい。
抽出時間は特に限定されず、使用する抽出溶媒、抽出操作等により異なるが、1時間~14日間程度とするのが好ましい。
【0012】
本発明において、シャクヤク及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上としては、市販品を用いることができ、具体的な市販品としては例えば、シャクヤクエキス(アルプス薬品工業株式会社製)等が挙げられる。
【0013】
本発明の液状組成物におけるシャクヤク及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、シャクヤク及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を原生薬換算量で、液状組成物全質量に対して0.001~10質量%含有するものが好ましく、0.01~3質量%含有するものがより好ましく、0.05~1質量%含有するものが特に好ましい。
【0014】
また、本発明の液状組成物に含まれるシャクヤク及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上と、クエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上との含有比は特に限定されないが、保存安定性の観点から、シャクヤク及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を原生薬換算量で1質量部に対し、クエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を0.01~100質量部含有するものが好ましく、0.1~50質量部含有するものがより好ましく、1~10質量部含有するものが特に好ましい。
【0015】
「トチュウ」(杜仲)とは、第十七改正日本薬局方に記載の通り、トチュウEucommia ulmoides Oliver(Eucommiaceae)の樹皮を意味する。トチュウは必要に応じてその形態を調節することができる。また、組成物の製造時の取扱の便宜等を考慮して、トチュウに何らかの抽出処理を施したもの(以下、「トチュウの抽出物」と称する。)を用いてもよい。
なお、上記「トチュウの抽出物」には、抽出処理に加えて、加熱、乾燥、粉砕等の加工処理を施したものも包含される。具体的には、トチュウを必要に応じて適当な大きさとした後に、適当な浸出液(抽出溶媒)を加えて浸出した液や、当該浸出液を濃縮した液(軟エキス、チンキ等)、さらにこれらを乾燥させたもの(乾燥エキス等)等も本発明の「トチュウの抽出物」に包含される。
本発明において、トチュウ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上としては、トチュウ乾燥エキスが好ましい。
【0016】
トチュウの抽出物の製造方法は特に限定されず、例えば、上記したシャクヤクの抽出物の製造方法と同様の方法により製造できる。
【0017】
本発明において、トチュウ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上としては、市販品を用いることができ、具体的な市販品としては例えば、トチュウ葉抽出液(日本粉末薬品株式会社製)等が挙げられる。
【0018】
本発明の液状組成物におけるトチュウ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、トチュウ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を原生薬換算量で、液状組成物全質量に対して0.001~5質量%含有するものが好ましく、0.01~2質量%含有するものがより好ましく、0.05~1質量%含有するものが特に好ましい。
【0019】
また、本発明の液状組成物に含まれるトチュウ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上と、クエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上との含有比は特に限定されないが、保存安定性の観点から、トチュウ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を原生薬換算量で1質量部に対し、クエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を0.01~20質量部含有するものが好ましく、0.05~12質量部含有するものがより好ましく、1~6質量部含有するものが特に好ましい。
【0020】
本発明において「ローヤルゼリー」としては特に限定されるものではなく、具体的には例えば、「ローヤルゼリーの表示に関する公正競争規約」で定義される生ローヤルゼリー、乾燥ローヤルゼリー及び調製ローヤルゼリー、第十六改正日本薬局方に記載のローヤルゼリー等が挙げられる。
また、組成物の製造性を考慮して、ローヤルゼリーに何らかの抽出処理を施したもの(以下、「ローヤルゼリーの抽出物」と称する。)を用いてもよい。
本発明において、ローヤルゼリー及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上としては、保存安定性の観点から、ローヤルゼリーの抽出物が好ましく、ローヤルゼリーの液状抽出物が特に好ましい。
【0021】
ローヤルゼリーの抽出物の製造方法は特に限定されず、公知の製造方法を参考にして製造でき、具体的には例えば、上記したシャクヤクの抽出物の抽出方法と同様の方法により製造できる。
【0022】
ローヤルゼリー及びその抽出物から選ばれる1種以上としては、市販品を用いることができる。具体的な市販品としては例えば、ローヤルゼリー、ローヤルゼリー抽出物(以上、株式会社秋田屋本店製)等が挙げられる。
【0023】
本発明の液状組成物におけるローヤルゼリー及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。本発明においては、ローヤルゼリー及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を原生薬換算量で、液状組成物全質量に対して0.0001~2質量%含有するものが好ましく、0.001~1質量%含有するものがより好ましく、0.01~0.1質量%含有するものが特に好ましい。
【0024】
また、本発明の液状組成物に含まれるローヤルゼリー及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上と、クエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上との含有比は特に限定されないが、保存安定性の観点から、ローヤルゼリー及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を原生薬換算量で1質量部に対し、クエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を0.1~80質量部含有するものが好ましく、0.5~40質量部含有するものがより好ましく、2~25質量部含有するものが特に好ましい。
【0025】
成分(A)としては、シャクヤク又はその抽出物と、トチュウ又はその抽出物と、ローヤルゼリー又はその抽出物との組合せが好ましい。本発明によれば、シャクヤク又はその抽出物と、トチュウ又はその抽出物と、ローヤルゼリー又はその抽出物との組合せを成分(A)として含有せしめた場合であっても、優れた保存安定性が得られる。
【0026】
<成分(B)>
本発明において、「クエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上」には、クエン酸そのもののほか、クエン酸の薬学上許容される塩(具体的には例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等の第2族元素との塩等)、さらにはクエン酸やその薬学上許容される塩と水やアルコール等との溶媒和物も含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、クエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上としては、クエン酸ナトリウム水和物が好ましい。
【0027】
本発明の液状組成物におけるクエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の含有量は特に限定されず、保存安定性改善作用に応じて適宜検討して決定すればよいが、保存安定性の観点から、クエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を液状組成物全質量に対して、クエン酸の無水物換算で0.001~20質量%が好ましく、0.005~10質量%がより好ましく、0.01~8質量%が更に好ましく、0.05~5質量%が更に好ましく、0.1~4質量%が更に好ましく、0.5~3質量%が特に好ましい。
【0028】
本発明において、「液状組成物」の性状は特に限定されず、溶液、コロイド溶液(ゾル(懸濁液や乳濁液))等のいずれであってもよい。また、溶媒あるいは基剤の種類・性質等は特に限定されず、親水性であっても油性等の疎水性であってもよく、さらには異なる複数種の溶媒・基剤を適宜混合・乳化等して用いてもよい。こうした溶媒・基剤としては、具体的には例えば、後記の添加物として例示された成分等が挙げられる。
【0029】
本発明の液状組成物としては、組成物の服用感等の観点から、上記各成分に加えて、さらに水を含有するものが好ましい(なお、本明細書において、水を含有する組成物を「含水組成物」と称する。)。
ここで、含水組成物中の水の含有量は、特に限定されないが、保存安定性の観点から、含水組成物全質量に対し、1質量%以上であるのが好ましく、35質量%以上であるのがより好ましく、50~95質量%であるのがさらに好ましく、70~90質量%であるのが特に好ましい。
【0030】
本発明の液状組成物の剤形は、液状である限りにおいて特に限定されるものではなく、その利用目的等に応じて医薬品において通常利用される形状とすることができる。例えば、経口投与する製剤(経口液剤、シロップ剤等)、皮膚等に適用する製剤(外用液剤、スプレー剤等)などの、第十七改正日本薬局方 製剤総則に記載の剤形とすることができる。これらの中でも、経口液剤であるのが特に好ましい。
【0031】
本発明の液状組成物には、上記以外の成分を、その目的に応じて含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、レチノール類(酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、ビタミンA油など)、肝油類(肝油、強肝油など)、ビタミンD類(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなど)、ビタミンE類(コハク酸d-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム、酢酸d-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、d-α-トコフェロール、dl-α-トコフェロールなど)、ビタミンB1類(塩酸チアミン、硝酸チアミン、硝酸ビスチアミン、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硫酸エステル塩、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミンなど)、ビタミンB2類(フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、酪酸リボフラビンなど)、ビタミンB6類(塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサールなど)、ビタミンB12類(塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミンなど)、ビタミンC類(アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウムなど)、ニコチン酸類(ニコチン酸、ニコチン酸アミドなど)、パントテン酸類(パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムなど)、ビオチン、アスパラギン酸類(アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物など)、イノシトールヘキサニコチネート、ウルソデオキシコール酸、アミノ酸類(L-塩酸システイン、L-システイン、L-塩酸リジン、L-塩酸アルギニン、L-メチオニン、DL-メチオニン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-フェニルアラニン、L-トレオニン、L-トリプトファン、L-バリン、アミノエチルスルホン酸など)、オロチン酸、ガンマ-オリザノール、カルシウム塩類(グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウムなど)、マグネシウム塩類(炭酸マグネシウムなど)、グルクロン酸類(グルクロノラクトン、グルクロン酸アミド)、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、肝臓水解物、ニンジン(人参)、ヨクイニン(ヨク苡仁)、インヨウカク、ロクジョウ(鹿茸)、ハンピ(反鼻)、ゴオウ(牛黄)、オウセイ(黄精)、クコシ(枸杞子)、ボレイ(牡蠣)、ボウイ(防已)、タイソウ(大棗)、ショウキョウ(生姜)、コウジン(紅蔘)、カイクジン(海狗腎)、カシュウ(何首烏)、ケイヒ、ガラナ、サイコ(柴胡)、センキュウ(川きゅう)、クラテグス、ブクリョウ(茯苓)、メチルメチオニンスルホニウムクロライド、カフェイン類(カフェイン、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェインなど)、イノシトール、塩化カルニチン、ルチンなどが挙げられる。これらのうち1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
本発明の液状組成物は、当業界において慣用されている手法により適宜製造できる。この場合において、具体的な剤形等に応じて必要により、当業界で通常用いられる医薬品添加物を1種又は2種以上用いてもよい。医薬品添加物としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、コーティング剤等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
賦形剤としては、乳糖、デンプン類、結晶セルロース、ショ糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
結合剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン等が挙げられる。
崩壊剤としては、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油、カルナウバロウ、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。
着色剤としては、タール色素、三二酸化鉄等が挙げられる。矯味剤としてはステビア、アスパルテーム、香料等が挙げられる。
コーティング剤としては、グラニュー糖、精製白糖、白糖、ブドウ糖、トレハロース、結晶セルロース、アラビアゴム末、精製セラック、ゼラチン等の糖衣剤、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマーS、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート等のフィルム形成高分子が挙げられる。なお、フィルム形成させる際に、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ポリエチレングリコール等の可塑剤、タルク、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、法定色素、軽質無水ケイ酸、沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、含水二酸化ケイ素等の粉体を配合することもできる。
【0034】
本発明の液状組成物は、各種生薬等の有する公知の薬効に応じて対応する疾患・症状の治療・緩和等に適宜利用し得る。中でも、本発明の液状組成物はシャクヤク、トチュウ及びローヤルゼリーよりなる群から選ばれる1種以上を含有することから、医療用医薬品、OTC医薬品や指定医薬部外品として用いることができ、具体的には例えば、滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病中病後・食欲不振・栄養障害・発熱性消耗性疾患・妊娠授乳期などの場合の栄養補給に用いることができる。
本発明の液状組成物の服用経路としては、経口及び経皮、経膣等の非経口が挙げられ、本発明においては、経口が好ましい。
【実施例0035】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0036】
[試験例1]
下記表1に示す実施例1及び比較例1の液状組成物をそれぞれ調製した。調製直後にはいずれの液状組成物にも沈殿の生成は確認されなかった。得られた液状組成物を80℃で1週間保存し、保存後の外観(沈殿の生成の有無)を目視により評価した。
なお、外観の評価に当たっては、沈殿の生成が認められない場合を〇と、沈殿の生成が認められた場合を×と評価した。
結果を表1に示す。
【0037】
【0038】
表1記載の試験結果から明らかなとおり、比較例1の液状組成物においては、80℃1週間保存後に沈殿の生成が見られたが、シャクヤクの抽出物、トチュウの抽出物及びローヤルゼリーの抽出物に加えてさらにクエン酸ナトリウム水和物を含有する実施例1の液状組成物においては、80℃1週間保存後も沈殿の生成は認められなかった。
斯かる試験結果から、クエン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上が、シャクヤク、トチュウ及びローヤルゼリー並びにそれらの抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を含有する液状組成物における沈殿生成を抑制し、保存安定性を改善する作用を有することが明らかとなった。
【0039】
[製造例1]
常法により、下記記載の成分及び分量を100mL中に含有する液状組成物(経口液剤)を製造し、これをガラス瓶に収容した。
チアミン硝化物 10mg
リボフラビンリン酸エステルナトリウム 5mg
ピリドキシン塩酸塩 10mg
オキソアミヂン 50mg
エゾウコギエキス 50mg(原生薬として1000mg)
シャクヤクエキス 30mg(原生薬として120mg)
トチュウ葉抽出液 200mg(原生薬として200mg)
ローヤルゼリー抽出液 75mg(ローヤルゼリーとして50mg)
タウリン 1500mg
無水カフェイン 50mg
L-アルギニン塩酸塩 50mg
クエン酸、クエン酸ナトリウム、白糖、ソルビトール、リンゴ酸、パラオキシ安息香酸ブチル、安息香酸ナトリウム、着色剤、香料、及び精製水 適量
【0040】
[製造例2]
常法により、下記記載の成分及び分量を膏体100g中に含有する貼付剤(円形:直径26mm、28mm又は30mm)を製造した。
サリチル酸グリコール 8.0g
l-メントール 7.0g
トコフェロール酢酸エステル 2.5g
グリチルレチン酸 0.19g
ノニル酸ワニリルアミド 0.03g
ポリイソブチレン、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、テルペン樹脂、流動パラフィン、ジブチルヒドロキシトルエン
【0041】
[製造例3]
常法により、下記記載の成分及び分量を膏体100g中に含有する貼付剤(円形:直径26mm、28mm又は30mm)を製造した。
サリチル酸グリコール 8.0g
l-メントール 7.0g
チモール 0.05g
ハッカ油 0.8g
ノニル酸ワニリルアミド 0.03g
ポリイソブチレン、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、テルペン樹脂、流動パラフィン、ジブチルヒドロキシトルエン
【0042】
[製造例4]
常法により、下記記載の成分及び分量を膏体100g中に含有する貼付剤(円形:直径26mm、28mm又は30mm)を製造した。
サリチル酸グリコール 8.0g
l-メントール 7.0g
dl-カンフル 1.2g
グリチルレチン酸 0.19g
ノニル酸ワニリルアミド 0.03g
ポリイソブチレン、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、テルペン樹脂、流動パラフィン、ジブチルヒドロキシトルエン
【0043】
[製造例5]
常法により、下記記載の成分及び分量を膏体100g中に含有する貼付剤(円形:直径26mm、28mm又は30mm)を製造した。
サリチル酸グリコール 8.0g
l-メントール 7.0g
トコフェロール酢酸エステル 2.5g
dl-カンフル 2.9g
ノニル酸ワニリルアミド 0.03g
ポリイソブチレン、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、テルペン樹脂、流動パラフィン、ジブチルヒドロキシトルエン
【0044】
[製造例6]
常法により、下記成分及び分量を100g中に含有するクリーム剤を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレン、チューブ:ポリエチレン、金属)に収容した。
尿素 20.0g
アラントイン 2.0g
グリチルレチン酸 0.3g
トコフェロール酢酸エステル 2.0g
ビタミンA油 0.5g
イソプロピルメチルフェノール 0.1g
白色ワセリン、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ジメチルポリシロキサン、トリイソオクタン酸グリセリン、精製ヒアルロン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、精製水 適量
【0045】
[製造例7]
常法により、下記成分及び分量を100g中に含有するクリーム剤を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレン、チューブ:ポリエチレン、金属)に収容した。
アラントイン 2.0g
パンテノール 5.0g
グリチルレチン 0.3g
トコフェロール酢酸エステル 2.0g
ピリドキシン塩酸塩 0.1g
グリセリン 40.0g
白色ワセリン、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ジメチルポリシロキサン、トリイソオクタン酸グリセリン、精製ヒアルロン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、精製水 適量
【0046】
[製造例8]
常法により、下記成分及び分量を100g中に含有するクリーム剤を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレン、チューブ:ポリエチレン、金属)に収容した。
尿素 20.0g
パンテノール 5.0g
トコフェロール酢酸エステル 2.0g
ジフェンヒドラミン 1.0g
ピリドキシン塩酸塩 0.1g
d-カンフル 1.0g
白色ワセリン、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ジメチルポリシロキサン、トリイソオクタン酸グリセリン、精製ヒアルロン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、精製水 適量
【0047】
[製造例9]
常法により、下記成分及び分量を100g中に含有するクリーム剤を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレン、チューブ:ポリエチレン、金属)に収容した。
アラントイン 2.0g
パンテノール 5.0g
グリチルレチン酸 0.3g
トコフェロール酢酸エステル 2.0g
ニコチン酸ベンジルエステル 0.02g
グリセリン 40.0g
白色ワセリン、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ジメチルポリシロキサン、トリイソオクタン酸グリセリン、精製ヒアルロン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、精製水 適量
【0048】
[製造例10]
常法により、下記成分及び分量を100g中に含有するクリーム剤を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレン、チューブ:ポリエチレン、金属)に収容した。
ヘパリン類似物質 0.3g
パンテノール 5.0g
グリチルレチン酸 0.3g
ジフェンヒドラミン 0.5g
セチルピリジニウム塩化物水和物 0.1g
ビタミンA油 0.5g
白色ワセリン、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ジメチルポリシロキサン、トリイソオクタン酸グリセリン、精製ヒアルロン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、精製水 適量
【0049】
[製造例11]
常法により、下記成分及び分量を100g中に含有するクリーム剤を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレン、チューブ:ポリエチレン、金属)に収容した。
アラントイン 2.0g
パンテノール 5.0g
グリチルレチン酸 0.3g
トコフェロール酢酸エステル 2.0g
ジフェンヒドラミン 0.5g
グリセリン 40.0g
白色ワセリン、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ジメチルポリシロキサン、トリイソオクタン酸グリセリン、精製ヒアルロン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、精製水 適量