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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170995
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20221104BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20221104BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20221104BHJP
   G03G 15/24 20060101ALI20221104BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20221104BHJP
   G03G 21/20 20060101ALN20221104BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
G06T1/00 420C
G03G15/24
G03G21/00 502
G03G21/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077343
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川津 憲治
【テーマコード(参考)】
2H078
2H270
5B047
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
2H078AA02
2H078AA06
2H078AA21
2H078CC10
2H078DD48
2H078DD73
2H078EE30
2H078FF53
2H270KA42
2H270KA49
2H270KA57
2H270LA17
2H270LA19
2H270LA25
2H270LA26
2H270LA65
2H270LA90
2H270LC02
2H270LC03
2H270LC17
2H270LD03
2H270MA35
2H270MB04
2H270MB07
2H270MB45
2H270MC41
2H270MC67
2H270MC70
2H270MF01
2H270MH13
2H270NC01
2H270PA14
2H270PA34
2H270SA14
2H270SA15
2H270SB11
2H270SB16
2H270SC08
2H270SC14
2H270ZC03
2H270ZC04
5B047AA01
5B047BA01
5B047BB02
5B047CA17
5B047CB22
5C062AA05
5C062AB22
5C062AB29
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC10
5C062AC65
5C062AD01
5C072AA01
5C072BA15
5C072DA21
5C072DA25
5C072EA07
5C072NA01
5C072RA16
5C072XA04
(57)【要約】
【課題】画像読取装置で印刷媒体を読取る際に、印刷媒体が白色である場合と白色以外である場合のいずれでも適切に読取りができるようにする。
【解決手段】所定箇所に配置され、印刷媒体に形成された画像を読取る読取部と、読取部に対向した箇所に配置され、印刷媒体の種類及び/又は印刷媒体から読取る色に応じて、読取部が読取る際の印刷媒体の背景となる箇所の色を複数種類に切り替えが可能なバッキング部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に形成された画像を読取る読取部と、
前記読取部に対向した箇所に配置され、前記印刷媒体の種類及び/又は前記印刷媒体から読取る色に応じて、前記読取部が読取る際の前記印刷媒体の背景となる箇所の色を複数種類に切り替えが可能なバッキング部と、を備えることを特徴とする
画像読取装置。
【請求項2】
前記読取部は、前記印刷媒体に形成された画像を読取るイメージセンサと、前記印刷媒体に形成された画像の色を計測する測色計の少なくともいずれか1つであることを特徴とする
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記読取部は、前記イメージセンサと前記測色計との双方を備え、前記バッキング部についても、前記イメージセンサの配置箇所と、前記測色計の配置箇所のそれぞれに備えることを特徴とする
請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記イメージセンサに対向して設置された前記バッキング部と、前記測色計に対向して設置された前記バッキング部は、連動して同じ色に切り替えられることを特徴とする
請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記イメージセンサは、ラインイメージセンサであることを特徴とする
請求項2乃至4の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記読取部は、イメージセンサ又は測色計であり、
前記読取部が読取る前記印刷媒体は、白色以外の色の媒体であり、
前記印刷媒体に白色の画像形成が行われた箇所を前記読取部が読取る際に、前記バッキング部を白色以外の色に設定することを特徴とする
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記白色以外の色の媒体は、透明な媒体であることを特徴とする
請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記バッキング部は、白色と黒色に切り替えが可能であることを特徴とする
請求項1乃至7の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
印刷媒体を搬送する搬送路と、
前記搬送路の途中の第1の箇所に配置され、前記印刷媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記搬送路の途中の前記第1の箇所よりも搬送方向の下流の第2の箇所に配置され、前記画像形成部で前記印刷媒体に形成された画像を読取る読取部と、
前記読取部と前記搬送路を挟んで対向した箇所に配置され、前記印刷媒体の種類及び/又は前記印刷媒体から読取る色に応じて、前記読取部が読取る際の前記印刷媒体の背景となる箇所の色を複数種類に切り替えが可能なバッキング部と、を備えることを特徴とする
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関し、特にイメージセンサ又は測色計を備えて画像を読取る際に適用される技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置にて、紙やフィルム等の印刷媒体に印刷を行う際には、印刷媒体に印刷された画像をスキャナなどで読取り、読取った画像データを印刷原稿データと比較して、正しく印刷できたか否かを検査している。
このような検査としては、例えば、印刷された画像全体をスキャナで読取って、印刷画像に汚れの有無やインクの付着量が正しいか等を判断している。また、スキャナで検査を行う際には、印刷された画像の少なくとも一部の色を測色計で計測し、測色計で計測した色に基づいて、スキャナで読取ったデータの色のキャリブレーションを行って、スキャナで読取った画像の色検査が正しく行えるようにしている。
【0003】
特許文献1には、複数台のプリンタのキャリブレーションを行うために、それぞれのプリンタで透明印刷媒体上に付着させるインクの付着量を取得する際に、白背景での測色と、黒背景での測色をそれぞれ手動で行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-73307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スキャナでの読取りや測色計の測色を行う画像読取装置では、白色の印刷媒体に印刷された画像を読取ることが多く、通常、スキャナや測色計が配置された箇所は、白色の背景になっている。白色の背景であることで、白色の印刷媒体に印刷された画像の読取りや測色を、適正に行うことができる。
【0006】
ところが、透明なフィルムに印刷された画像の場合には、白色の背景で画像の読取りや測色を行った場合、正しく読取りや測色ができないケースが発生してしまう。
例えば、透明なフィルムに印刷する際には、いわゆる白打ちと称される技法で印刷を行う場合がある。この白打ちは、フィルムの印刷箇所に白色を塗布した上に、各色の画像を形成させるものであり、画像の発色を綺麗に仕上げることができる。
このような白打ちした箇所は、白色の背景で読取った場合、印刷面の白色と、背景の白色とが区別できず、検査のための正しい読取りができないという問題がある。
【0007】
ここで、特許文献1には、白背景での測色と、黒背景での測色を手動で切り替えて行う技術が記載されており、それぞれの背景色での検査を行えば、適正な検査を行うことができる。しかしながら、実際の印刷装置での印刷工程では、印刷媒体として、1枚毎にカットされた用紙を使う場合と、ロール紙を使う場合のいずれであっても、多数の印刷を連続して行って生産性を高める必要がある。したがって、白背景での測色と、黒背景での測色をいちいち手動で切り替えるようにしていると、検査に多大な手間と時間がかかり、画像形成装置で印刷された用紙のリアルタイムでの検査ができず、印刷作業の生産性が低下してしまう。
【0008】
なお、ここでは透明なフィルムに印刷された画像を検査する場合の問題について説明したが、白色以外の用紙に印刷した画像を検査する場合にも、白色の背景が適切でない場合がある。
【0009】
本発明は、印刷媒体が白色である場合と白色以外である場合のいずれの場合にも適切に読取りを行うことができる画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像読取装置は、印刷媒体に形成された画像を読取る読取部と、読取部に対向した箇所に配置され、印刷媒体の種類及び/又は印刷媒体から読取る色に応じて、読取部が読取る際の印刷媒体の背景となる箇所の色を複数種類に切り替えが可能なバッキング部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、印刷媒体を搬送する搬送路と、搬送路の途中の第1の箇所に配置され、印刷媒体に画像を形成する画像形成部と、搬送路の途中の第1の箇所よりも搬送方向の下流の第2の箇所に配置され、画像形成部で印刷媒体に形成された画像を読取る読取部と、読取部と搬送路を挟んで対向した箇所に配置され、印刷媒体の種類及び/又は印刷媒体から読取る色に応じて、読取部が読取る際の印刷媒体の背景となる箇所の色を複数種類に切り替えが可能なバッキング部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使用する用紙の種類を選択するだけで、読取部で画像を読取る際の背景色が適切な読取りができる色に切り替わり、様々な色の用紙や透明なフィルム等の読取りを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態例による画像読取装置の例を示す構成図である。
図2】本発明の一実施の形態例による画像読取装置が接続された画像形成装置の全体の例を示す構成図である。
図3】本発明の一実施の形態例によるバッキング部の動作例を示す図である。
図4】本発明の一実施の形態例による制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)を、添付図面を参照して順に説明する。
【0015】
[全体構成]
図1は本例の画像読取装置の構成を示し、図2は本例の画像読取装置が接続された画像形成装置としての全体の構成を示す。図1図2では、各装置の内部の画像形成が行われる印刷媒体の搬送経路上の構成が示されている。
【0016】
まず、図1に示す画像読取装置300を説明する前に、図2を参照して画像形成装置に接続される全体の構成を説明する。
図2に示す例では、右側から順に、用紙送り装置100、画像形成装置200、画像読取装置300が接続されている。なお、図2に示すように画像形成装置200に用紙送り装置100や画像読取装置300が接続されたシステム全体を、画像形成装置とみなすこともできるが、以下の説明では、画像形成工程を行う装置単体を画像形成装置200とする。また、本例の画像形成装置200に装着可能な長尺の印刷媒体である連続印刷媒体11は、白色の紙又はフィルムで形成された媒体の他、白色以外の様々な色の紙又はフィルムで形成された媒体とすることもできる。さらに、透明又は半透明なフィルムで形成された媒体とすることもできる。
【0017】
用紙送り装置100には、不図示の供給側ロールから引き出された連続した印刷媒体である連続印刷媒体11が供給され、連続印刷媒体11の搬送路に複数のローラ101~103が配置されている。そして、用紙送り装置100は、連続印刷媒体11を所定の速度で画像形成装置200に送り出す処理を行う。
【0018】
画像形成装置200は、画像形成部を構成する処理部として、トナー像形成ユニット210と、転写部220と、定着部230とを備える。トナー像形成ユニット210は、イエローY、マゼンタM、シアンC、黒K、白Wなどの各色のトナー像を、転写部220の転写ベルト221に形成する。
転写部220は、転写ベルト221に形成された各色のトナー像を、転写ローラ222で連続印刷媒体11の表面に転写する。
【0019】
定着部230は、定着ローラ231,232を備え、連続印刷媒体11を定着ローラ231,232の間を通過させることで、連続印刷媒体11を加熱して、転写された像である印刷画像を連続印刷媒体11に定着する。なお、定着部230では、例えば100℃程度に連続印刷媒体11が加熱される。
【0020】
画像形成装置200内の連続印刷媒体11の搬送路の途中には、転写ローラ222や定着ローラ231,232の他に、複数のローラ201~205が配置されている。但し、搬送路の定着部230よりも搬送方向の下流側には、連続印刷媒体11の裏面側(印刷画像が形成された面とは反対側)と接するローラ205だけが配置され、連続印刷媒体11の表面側はローラとは接しない。各ローラ201~205は、例えば金属製である。なお、以下の説明で下流や上流という場合は、連続印刷媒体11の搬送方向から見た下流や上流である。
画像形成装置200により印刷画像が形成された連続印刷媒体11は、次に説明する画像読取装置300に送られる。
【0021】
[画像読取装置の構成]
次に、図1を参照して画像読取装置300の構成を説明する。
画像読取装置300は、冷却ユニット320と、スキャナユニット330と、シェーディングユニット350と、測色計ユニット360とを備える。連続印刷媒体11は、これらのユニットを順に通過する。
スキャナユニット330は、スキャナバッキング部340を有し、測色計ユニット360は、測色計バッキング部370を有する。
また、画像読取装置300内の連続印刷媒体11の搬送路の途中には、複数のローラ301~310が配置されている。各ローラ301~310は、例えば金属製である。
【0022】
画像読取装置300の内部に搬送された連続印刷媒体11は、冷却ユニット320の近傍を通過する。冷却ユニット320には、複数個の冷却ファン321~323が配置され、連続印刷媒体11を冷却する。図1では、連続印刷媒体11が上側から下側に垂直に搬送される構成としてあり、垂直に3個並んだ冷却ファン321~323で、搬送される連続印刷媒体11を冷却する。冷却ファン321~323としては、例えばシロッコファンと称される、板状の羽が回転する筒に取り付けられた形式のものが使用される。あるいは、冷却ファン321~323として、プロペラを備えたファンを使用してもよい。
【0023】
連続印刷媒体11は、図2で説明したように画像形成装置200の定着部230で100℃程度に加熱されているため、画像読取装置300に供給される時点で、連続印刷媒体11は、例えば70℃程度の高温になっている。このため、冷却ファン321~323からの冷却風を連続印刷媒体11に向けて供給することにより、常温程度に冷却するようにしている。
【0024】
画像読取装置300の冷却ユニット320では、搬送方向に複数個(3個)の冷却ファン321~323を並べて十分な冷却性能を持たせる必要がある。このような場合、図1に示すように、連続印刷媒体11の搬送路を垂直に配置し、各冷却ファン321~323を垂直(縦)に並べることで、画像読取装置300の小型化に貢献することができる。すなわち、水平に搬送路を配置して、複数の冷却ファンを水平方向に並べると、それだけ画像読取装置300が水平方向に大型化し好ましくないが、本例の構成とすることで、画像読取装置300を小型に構成することができる。
【0025】
なお、図1では、垂直方向に3個並んだ冷却ファン321~323を示すが、連続印刷媒体11の横幅が広い場合には、水平方向(図1での手前から奥に向かう方向)にも、複数個の冷却ファンをならべてもよい。例えば、垂直方向3個×水平方向3個の合計9個の冷却ファンを設置してもよい。
【0026】
また、連続印刷媒体11の搬送路は、画像読取装置300に連続印刷媒体11が取り込まれてから、冷却ユニット320により冷却されるまでの間に配置されたローラ301は、連続印刷媒体11の裏面、つまり画像形成面とは反対側の面と接するように配置されている。また、図2で説明したように、画像形成装置200内の定着部230よりも下流側に配置されたローラ205も、連続印刷媒体11の裏面と接するように配置されている。
【0027】
これにより、画像形成装置200の定着部230で加熱された連続印刷媒体11が冷却ユニット320で冷却されるまでの間は、画像形成面がローラ等と接することがない。よって、連続印刷媒体11に形成された画像が高温状態でローラと接触することで、トナー画像が乱れることを防止でき、印刷画像の高画質化に貢献することが可能になる。
【0028】
冷却ユニット320で冷却された連続印刷媒体11は、2つのローラ302,303で上側に搬送され、ローラ304,305を通過して、画像読取装置300内の上部で水平に搬送される。この水平に搬送される連続印刷媒体11の表面に近接した状態で、スキャナユニット330が配置される。
【0029】
スキャナユニット330は、画像読取装置300が備える読取部の一つである。
図1に示すスキャナユニット330では、用紙近接面331からユニット内に入射した像光が、複数個のミラー332~336で反射された後、光学系337を通過して、イメージセンサ338に結像される。そして、イメージセンサ338により、連続印刷媒体11上に記録された画像が読み取られる。イメージセンサ338は、例えばCCD(Charge Coupled Device・電荷結合素子)方式のラインセンサで構成することができる。あるいは、イメージセンサ338として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor・相補性金属酸化膜半導体)方式のセンサで構成してもよい。ラインセンサでない画像センサを使用してもよい。
【0030】
スキャナユニット330で読取った画像のデータは、不図示の画像検査処理部に供給され、画像形成装置200で形成された画像が、原稿と同じものであるかどうかの検査処理が行われる。
なお、図1に示すようにスキャナユニット330内である程度の光路長がある状態で、イメージセンサ338に結像させることで、イメージセンサ338に正しく結像できる範囲を広くすることができる。したがって、図1に示す構成によると、連続印刷媒体11の表面に形成された画像を、イメージセンサ338で正しく読取ることができる。
【0031】
連続印刷媒体11を挟んで、スキャナユニット330の用紙近接面331とは反対側には、スキャナバッキング部340が配置される。スキャナバッキング部340の構成については後述する。
このスキャナバッキング部340は、ローラ保持部材381に取り付けられている。ローラ保持部材381は、スキャナユニット330に上流側と下流側に配置された2つのローラ305,306を保持する部材である。このローラ保持部材381は、回動支点382,383を中心として回動可能な2つの脚部384,385に接続されている。そして、円形に曲がったガイド溝386,387に沿って脚部384,385を回動させることで、スキャナユニット330から連続印刷媒体11の搬送路を離すことができる。
【0032】
ローラ保持部材381の移動によりスキャナユニット330から連続印刷媒体11の搬送路が離れる際には、ローラ保持部材381に取り付けられたスキャナバッキング部340も連動して移動する。
また、ローラ保持部材381の脇(図1の左横)には、シェーディングユニット350が配置される。このシェーディングユニット350は、移動部352による駆動で、水平方向(図1での左右方向)に移動が可能である。そして、スキャナユニット330からローラ保持部材381が移動して離れた状態で、スキャナユニット330の真下となる位置までシェーディングユニット350を移動させることができる。
【0033】
スキャナユニット330を通過した連続印刷媒体11は、ローラ306で下側に垂直に搬送され、ローラ308で再び水平方向の搬送状態になる。
ローラ308で水平方向に搬送されるようになった連続印刷媒体11の表面(上側の面)に近接して、測色計ユニット360が配置される。
【0034】
測色計ユニット360は、画像読取装置300が備える読取部の一つである。
測色計ユニット360には、測色計が内蔵され、連続印刷媒体11の特定箇所の色を測定する測色処理が行われる。測色計での測色結果に基づいて、例えばスキャナユニット330で読取った画像の色のキャリブレーションが行われる。
連続印刷媒体11を挟んで、測色計ユニット360の用紙近接面361とは反対側には、測色計バッキング部370が配置される。測色計バッキング部370の構成については後述する。
【0035】
測色計ユニット360を通過した連続印刷媒体11は、ローラ309,310を介して画像読取装置300の外部に搬送され、不図示の巻取りロールとして巻き取られる。
【0036】
[スキャナバッキング部及び測色計バッキング部の構成]
図3は、スキャナユニット330に対向して配置されたスキャナバッキング部340と、測色計ユニット360に対向して配置された測色計バッキング部370の構成を示す。
図3は、連続印刷媒体11が右から左に搬送される状態で、スキャナバッキング部340と測色計バッキング部370を側面から見た図である。図3では、連続印刷媒体11の上側が画像形成装置200により画像が形成された表面である。
【0037】
スキャナバッキング部340は、バッキング部材341を備える。バッキング部材341は、連続印刷媒体11を挟んでスキャナユニット330の用紙近接面331と対向している。
バッキング部材341は、全面が黒色になった黒色部341Bと、全面が白色になった白色部341Wとが隣接している。そして、バッキング部材341は、不図示の駆動機構によって水平方向M1に動かすことで、用紙近接面331の真下に、黒色部341Bが位置する状態と、白色部341Wが位置する状態とに切り替えることができる。
【0038】
測色計バッキング部370は、バッキング部材371を備える。バッキング部材371は、連続印刷媒体11を挟んで測色計ユニット360の用紙近接面361と対向している。
バッキング部材371は、バッキング部材341と同様に、全面が黒色になった黒色部371Bと、全面が白色になった白色部371Wとが隣接している。そして、バッキング部材371は、不図示の駆動機構によって水平方向M2に動かすことで、用紙近接面361の真下に、黒色部371Bが位置する状態と、白色部371Wが位置する状態とに切り替えることができる。
【0039】
それぞれの用紙近接面331,361の真下に、バッキング部材341,371のいずれの色の部分が背景色として配置されるかは、画像形成装置200に装着される連続印刷媒体11の色や種類と、画像形成装置200で画像形成を行う色に応じて設定される。このバッキング部材341,371の設定は、例えば画像形成装置200の制御部(不図示)による指示で実行される。
【0040】
[スキャナバッキング部及び測色計バッキング部の色を設定する例]
図4は、スキャナバッキング部340と測色計バッキング部370の背景色を設定する処理の例を示すフローチャートである。
【0041】
まず、画像形成装置200の制御部は、画像形成装置200や画像読取装置300に装着された連続印刷媒体11が、白色の印刷媒体か、白色以外の印刷媒体かを判断する(ステップS11)。装着された連続印刷媒体11の色については、印刷作業者が事前に画像形成装置の操作パネルで設定する。なお、ここでの白色以外の印刷媒体には、各種の色の用紙やフィルムの他に、透明又は半透明なフィルムも含まれる。
【0042】
ステップS11で白色であると判断したとき(ステップS11の「白」)、画像形成装置200の制御部は、白色部341W,371Wが用紙近接面331,361の真下になるように、各バッキング部340,370で連動して切り替えさせる指示を行う(ステップS12)。
また、ステップS11で白色でないと判断したとき(ステップS11の「白以外」)、画像形成装置200の制御部は、トナー像形成ユニット210で画像形成させる際に使用するトナーの色(又はインクの色)が、イエローY、マゼンタM、シアンC、黒Kのみか否かを判断する(ステップS13)。
【0043】
ステップS13で画像形成させるトナーの色が、イエローY、マゼンタM、シアンC、黒Kのみである場合(ステップS13の「YMCKのみ」)、画像形成装置200の制御部は、ステップS12に移り、白色部341W,371Wが用紙近接面331,361の真下になるように切り替えさせる指示を行う。
【0044】
また、ステップS13で画像形成させるトナーの色が、イエローY、マゼンタM、シアンC、黒K以外がある場合(ステップS13の「YMCK以外あり」)、画像形成装置200の制御部は、画像形成装置200の制御部は、黒色部341B,371Bが用紙近接面331,361の真下になるように各バッキング部340,370で連動して切り替えさせる指示を行う(ステップS14)。なお、イエローY、マゼンタM、シアンC、黒K以外の色としては、例えば白色で画像形成を行う場合がある。白色で画像形成を行う場合には、透明フィルム上に、いわゆる白打ちと称される、他の色の画像を形成する際の下地として形成する処理が含まれる。
【0045】
そして、ステップS12又はS14でスキャナバッキング部340と測色計バッキング部370の背景色が設定された状態で、画像読取装置300は、印刷された連続印刷媒体11のスキャナユニット330と測色計ユニット360での読取りを実行する(ステップS15)。
【0046】
以上説明したように、本例の画像読取装置300は、画像形成装置200で画像形成する印刷媒体が、白色である場合と、白色以外の印刷媒体であり、かつイエローY、マゼンタM、シアンC、黒Kのトナー(インク)のみを使用する場合には、各バッキング部材341,371が白色になる。したがって、白色又は白色以外の色や透明な連続印刷媒体11に各種色で形成された画像のスキャナユニット330での印刷画像検査のための読取りと測色計ユニット360での色検査のための読取りを、白色の背景色で適正に行うことができる。
【0047】
また、画像形成装置200で画像形成する印刷媒体が、白色以外の印刷媒体であり、かつイエローY、マゼンタM、シアンC、黒K以外のトナー(インク)のトナーを使用する場合には、各バッキング部材341,371が黒色になる。例えば、透明なフィルムで形成された連続印刷媒体11に、白色のトナー又はインクで画像形成が行われる場合、各バッキング部材341,371が黒色になる。したがって、白色などの色で形成された画像のスキャナユニット330での印刷画像検査のための読取りと測色計ユニット360での色検査のための読取りを、白色でない色である黒色の背景色で適正に行うことができる。
【0048】
これにより、本例の画像読取装置300では、例えば透明フィルムに白打ち等を行って白色の画像形成された箇所を画像読取りする際にも、スキャナユニット330や測色計ユニット360の背面が黒色になり、白色の画像形成状態を的確に読取ることが可能になる。また、白以外のトナーやインクで画像が形成された画像を読取る際には、背面が白色になり、従来と同様の的確な読取りが可能になる。
【0049】
[変形例]
なお、上述した実施の形態例では、長尺の連続印刷媒体に画像形成して、その画像形成された印刷媒体の読取りを行うようにした。これに対して、1枚毎に規定のサイズにカットされた用紙やフィルム等の印刷媒体に画像形成して、その画像形成された印刷媒体の読取りを行う画像形成装置や画像読取装置に本発明を適用してもよい。
【0050】
また、上述した実施の形態例では、図2に示すように、画像形成装置200と接続されて、画像形成装置200で画像形成された後の画像の読取りを行う画像読取装置300に適用した。これに対して、別体の画像形成装置で既に画像が形成された印刷媒体を、単体の画像読取装置に装着して画像読取りを行うようにしてもよい。
また、画像形成装置200として、図2に示すようにトナー像を定着部230で印刷媒体に定着させる構成についても一例であり、インクを使用したインクジェット方式などのその他の方式の画像形成装置に本発明を適用してもよい。
【0051】
また、上述した実施の形態例で説明した画像読取装置は、スキャナバッキング部340と測色計バッキング部370の双方のバッキング部材341,371が、連動して同じ色に切り替わるようにした。これに対して、スキャナバッキング部340と測色計バッキング部370のいずれか一方だけが、複数の色に切り替わる構成としてもよい。
【0052】
また、バッキング部材341,371が切り替わる色として、白色と黒色の組み合わせとした。この色の組み合わせは、画像読取装置300が読取る印刷媒体の色や印刷媒体上に画像形成される色に応じて、他の色の組み合わせとしてもよい。例えば、バッキング部材341,371は、白色とグレーの組み合わせとしてもよい。
【0053】
また、図4に示したフローチャートでは、印刷媒体の色と、画像形成を行う色との2つの条件でスキャナバッキング部340と測色計バッキング部370の色を切り替えるようにした。これに対して、印刷媒体の色と、画像形成を行う色のいずれか一方だけで、スキャナバッキング部340又は測色計バッキング部370の色を切り替えるようにしてもよい。例えば、画像形成を行う色がイエローY、マゼンタM、シアンC、黒Kのみである場合と、これらの色以外の白色等である場合とで、スキャナバッキング部340又は測色計バッキング部370の色を切り替えるようにしてもよい。
【0054】
また、図1に示すスキャナユニット330としての画像読取りを行う構成についても一例であり、その他の構成のセンサで画像読取りを行ってもよい。例えば、レンズ等による光学系を使用しない、用紙近接面331にラインセンサを配置した構成のスキャナで画像読取りする構成としてもよい。
【符号の説明】
【0055】
11…連続印刷媒体、100…用紙送り装置、200…画像形成装置、201~205…ローラ(ガイド部材)、210…トナー像形成ユニット、220…転写部、221…転写ベルト、222…転写ローラ、230…定着部、231,232…定着ローラ、300…画像読取装置、301~310…ローラ(ガイド部材)、320…冷却ユニット、321~323…冷却ファン、330…スキャナユニット、331…用紙近接面、332~336…ミラー、337…光学系、338…イメージセンサ、340…スキャナバッキング部、341…バッキング部材、341B…黒色部、341W…白色部、350…シェーディングユニット、352…移動部、360…測色計ユニット、361…用紙近接面、370…測色計バッキング部、371…バッキング部材、371B…黒色部、371W…白色部、380…搬送路可変部、381…ローラ保持部材、382,383…回動支点、384,385…脚部、386,386…ガイド溝
図1
図2
図3
図4