(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171003
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ロールスクリーン
(51)【国際特許分類】
E06B 9/50 20060101AFI20221104BHJP
E06B 9/56 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
E06B9/50
E06B9/56 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077357
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】谷川 文彦
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA06
2E042CA01
(57)【要約】
【課題】ブラケットに対する巻取パイプの取付において、施工不良の発生を抑制可能にしたロールスクリーンを提供する。
【解決手段】スクリーンを巻き取る巻取パイプ15と、巻取パイプ15の第1軸部19を支持する軸受け凹部26を備えるブラケット13とを備え、第1軸部19は、巻取パイプ15の回転軸線に対して交差する方向に凹む係合部19aを備え、軸受け凹部26は、軸受け凹部26を構成する壁部24a,24b,25a,25bを備え、壁部24a,24b,25a,25bは、第1軸部19を軸受け凹部26に固定するための固定ピン29が挿入される挿通孔27aを備え、軸受け凹部26は、挿通孔27aからの固定ピン29の進入を規制する第1状態から固定ピン29の進入を許容する第2状態に変位する規制部31を備え、規制部31は、第2状態において固定ピン29の係合部19aへの係合を可能とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンを巻き取る巻取パイプと、
前記巻取パイプの軸部を支持する軸受け凹部を備えるブラケットとを備え、
前記軸部は、前記巻取パイプの回転軸線に対して交差する方向に凹む係合部を備え、
前記軸受け凹部は、前記軸受け凹部を構成する壁部を備え、
前記壁部は、前記軸部を前記軸受け凹部に固定するための固定ピンが挿入される挿通孔を備え、
前記軸受け凹部は、前記挿通孔からの前記固定ピンの進入を規制する第1状態から前記固定ピンの進入を許容する第2状態に変位する規制部を備え、
前記規制部は、前記第2状態において前記固定ピンの前記係合部への係合を可能とする
ロールスクリーン。
【請求項2】
前記係合部は、貫通孔であって、
前記壁部は、前記挿通孔との対向位置に前記係合部を挿通した前記固定ピンの先端が係合される更なる挿通孔を備える
請求項1に記載のロールスクリーン。
【請求項3】
前記規制部は、前記壁部で囲まれた底部に対して離間する方向に付勢されている板バネであって、
前記板バネは、前記第1状態において、前記挿通孔からの前記固定ピンの進入路を塞ぎ、前記軸部に押されて前記第2状態に変位し、前記挿通孔を挿通した前記固定ピンの前記係合への係合を可能とする
請求項1に記載のロールスクリーン。
【請求項4】
前記規制部は、前記壁部に囲まれた空間に、前記壁部に囲まれた底部に対して近接離間する方向に移動可能に配置される規制部材と、
前記規制部材を前記底部に対して離間した前記第1状態の方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記規制部材は、前記軸部に押された前記第2状態において、前記挿通孔と重なり前記固定ピンの前記係合部への係合を可能とする規制孔を備える
請求項1に記載のロールスクリーン。
【請求項5】
前記付勢手段は、コイルバネである
請求項4に記載のロールスクリーン。
【請求項6】
前記付勢手段は、前記底部に配置される第1磁石と、前記規制部材における前記底部との対向部に配置される第2磁石とを備え、
前記第1磁石と前記第2磁石とは、同じ極が対向するように配置されている
請求項4に記載のロールスクリーン。
【請求項7】
前記規制部は、前記壁部に沿って前記壁部に囲まれた底部に対して近接離間する方向に移動可能に配置される規制部材であって、自重によって前記底部から離間した前記第1状態に位置し、前記軸部によって押されることで前記底部に対して近接した前記第2状態へ移動する前記規制部材とを備え、
前記規制部材は、前記第2状態において、前記挿通孔と重なり前記固定ピンの前記係合部への係合を可能とする規制孔を備える
請求項1に記載のロールスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
遮蔽装置としてのロールスクリーンは、一対のブラケットに端部が支持された巻取パイプにスクリーンが巻回され、手動または電動でスクリーンが昇降される。施工時において、巻取パイプは、一端部が一方のブラケットに取り付けられ、次いで、他端部が他方のブラケットに取り付けられる。例えば、特許文献1では、移動部材としてのキャッチカバーに巻取パイプを挿通させた状態から、キャッチカバーをブラケットの軸受部に移動させて装着することで、巻取パイプの軸部が軸受部から外れないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなロールスクリーンでは、設置時やメンテナンス時において、一対のブラケットに対して巻取パイプの取付作業が行われる。そして、取付作業において、巻取パイプがブラケットに正しく取り付けられたかどうかを施工者に認識できるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのロールスクリーンは、スクリーンを巻き取る巻取パイプと、前記巻取パイプの軸部を支持する軸受け凹部を備えるブラケットとを備え、前記軸部は、前記巻取パイプの回転軸線に対して交差する方向に凹む係合部を備え、前記軸受け凹部は、前記軸受け凹部を構成する壁部を備え、前記壁部は、前記軸部を前記軸受け凹部に固定するための固定ピンが挿入される挿通孔を備え、前記軸受け凹部は、前記挿通孔からの前記固定ピンの進入を規制する第1状態から前記固定ピンの進入を許容する第2状態に変位する規制部を備え、前記規制部は、前記第2状態において前記固定ピンの前記係合部への係合を可能とする。
【0006】
上記ロールスクリーンにおいて、前記係合部は、貫通孔であって、前記壁部は、前記挿通孔との対向位置に前記係合部を挿通した前記固定ピンの先端が係合される更なる挿通孔を備える構成としてもよい。
【0007】
上記ロールスクリーンにおいて、前記規制部は、前記壁部で囲まれた底部に対して離間する方向に付勢されている板バネであって、前記板バネは、前記第1状態において、前記挿通孔からの前記固定ピンの進入路を塞ぎ、前記軸部に押されて前記第2状態に変位し、前記挿通孔を挿通した前記固定ピンの前記係合への係合を可能とする構成としてもよい。
【0008】
上記ロールスクリーンにおいて、前記規制部は、前記壁部に囲まれた空間に、前記壁部に囲まれた底部に対して近接離間する方向に移動可能に配置される規制部材と、前記規制部材を前記底部に対して離間した第1状態の方向に付勢する付勢手段とを備え、前記規制部材は、前記軸部に押された前記第2状態において、前記挿通孔と重なり前記固定ピンの前記係合部への係合を可能とする規制孔を備える構成としてもよい。
【0009】
上記ロールスクリーンにおいて、前記付勢手段は、コイルバネとしてもよい。
上記ロールスクリーンにおいて、前記付勢手段は、前記底部に配置される第1磁石と、前記規制部材における前記底部との対向部に配置される第2磁石とを備え、前記第1磁石と前記第2磁石とは、同じ磁極が対向するように配置されている構成としてもよい。
【0010】
上記ロールスクリーンにおいて、前記規制部は、前記壁部に沿って前記壁部に囲まれた底部に対して近接離間する方向に移動可能に配置される規制部材であって、自重によって前記底部から離間した前記第1状態に位置し、前記軸部によって押されることで前記底部に対して近接した前記第2状態へ移動する前記規制部材とを備え、前記規制部材は、前記第2状態において、前記挿通孔と重なり前記固定ピンの前記係合部への係合を可能とする規制孔を備える構成としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、巻取パイプのブラケットに対する取付において、施工不良の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】第1実施形態におけるモータ側ブラケットの斜視図。
【
図3】第1実施形態におけるモータ側ブラケットへの取付工程を示す断面図であって、軸部が係合部に係合する前の状態を示す。
【
図4】第1実施形態におけるモータ側ブラケットへの取付工程を示す断面図であって、軸部が正しく係合部に係合された状態を示す。
【
図5】第1実施形態におけるモータ側ブラケットへの取付工程を示す断面図であって、軸部が正しく係合部に係合され、固定ピンが挿入された状態を示す。
【
図6】第1実施形態における軸部が正しく係合部に正しく係合されなかった状態を示す断面図。
【
図7】コイルバネを使った第2実施形態における軸部を係合部に係合する前の状態を示す断面図。
【
図8】第2実施形態における軸部が正しく係合部に係合され、固定ピンが挿入された状態を示す断面図。
【
図9】磁石を使った第3実施形態における軸部を係合部に係合する前の状態を示す断面図。
【
図10】第3実施形態における軸部が正しく係合部に係合され、固定ピンが挿入された状態を示す断面図。
【
図11】壁部を傾斜させた第4実施形態における軸部を係合部に係合する前の状態を示す断面図。
【
図12】第4実施形態における軸部が正しく係合部に係合され、固定ピンが挿入された状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
〔全体構成〕
図1に示すように、ロールスクリーン1は、一例として、窓枠に取り付けられ、日射などを遮蔽する遮蔽装置として使用され、また、部屋と階段といった第1空間と第2空間とを仕切り、空気の流れなどを遮蔽する遮蔽装置として使用される。ロールスクリーン1は、窓枠や天井に設けられた設置部に取り付けられる。ロールスクリーン1は、制御ユニット2によって駆動制御される。制御ユニット2は、一例として、ロールスクリーン1の近くの壁面に設置されており、電気配線3,4によってロールスクリーン1の各部と電気的に接続されている。
【0014】
ロールスクリーン1は、設置部に取り付けられるヘッド部11と、ヘッド部11から垂下される遮蔽材としてのスクリーン12とを備える。ヘッド部11は、幅方向における両端部にサイドブラケット13,14を備える。ヘッド部11は、サイドブラケット13,14によって設置部に取り付けられる。サイドブラケット13,14は、スクリーン12を巻回する巻取軸としての巻取パイプ15を回転可能に支持している。巻取パイプ15は、ヘッド部11の幅方向に延在しており、第1端部16と第2端部17とを備える。巻取パイプ15は、第1端部16の内部に、巻取パイプ15を回転するためのモータ18を備える。サイドブラケット13は、巻取パイプ15の第1端部16を支持する第1ブラケットとしてのモータ側ブラケットである。サイドブラケット14は、第1端部16とは反対側の第2端部17を支持する第2ブラケットとしての軸受側ブラケットである。以下、サイドブラケット13を、モータ側ブラケット13ともいい、サイドブラケット14を、軸受側ブラケット14ともいう。
【0015】
モータ18は、円柱形状を有しており、相対する2つの面を有している。モータ18における巻取パイプ15の中央部側に位置する面からは、巻取パイプ15の中央部の方向に出力軸としてのモータ軸18aが延びている。モータ軸18aは、モータアダプタ18bに接続されている。モータアダプタ18bは、巻取パイプ15にビス止めされている。モータ18の駆動力は、モータ軸18aおよびモータアダプタ18bを介して巻取パイプ15に伝達され、巻取パイプ15が回転する。また、モータ18は、中央部と反対側の一面であって、第1端部16の端面に臨む一面18cを備える。モータ18の一面18cは、当該一面18cから突出する第1軸部19を備える。
【0016】
第1軸部19は、四角柱などの角軸であって、回転軸線に対して交差する方向に凹んだ係合部としての孔部19aを備えている。孔部19aは、ここでは相対する面の間を貫通している。第1軸部19は、モータ側ブラケット13に取り付けられて支持される。また、巻取パイプ15は、第2端部17において、第1軸部19と同軸の第2軸部20を備える。第2軸部20は、第2端部17の端面から突出する略円柱形状の基端部20aと、基端部20aの先端から突出する先端部20bとを備える。先端部20bは、その基端部20a側において、基端部20a側よりも小径の円柱形状を有している。そして、先端部20bは、周回方向に、軸受側ブラケット14に係合される溝部を備える。先端部20bは、当該溝部が軸受側ブラケット14に係合されることで、回動可能な状態で軸受側ブラケット14に支持される。
【0017】
〔モータ側ブラケット〕
図2に示すように、モータ側ブラケット13は、天井面に固定するための取付片21と、第1軸部19を支持する支持片22とを備える。支持片22には、支持板23がリベットなどの固定部材23aによって固定されて取り付けられる。支持板23は、第1方向(前後方向)に延びる互いに平行な第1壁部24a,24bと、第1方向と直交する第2方向(上下方向)に延びる互いに平行な第2壁部25a,25bとを備える。そして、第1壁部24aが下側に位置し、第1壁部24bが上側に位置する。また、第2壁部25aが前方に位置し、第2壁部25bが後方に位置する。
【0018】
第1壁部24a,24bと第2壁部25a,25bとに囲まれた空間は、四角形状の窪みであって、第1軸部19が係合される軸受け凹部26を構成する。そして、軸受け凹部26は、支持板23の表面と面一の面が底部26aを構成する。
【0019】
軸受け凹部26を構成する一対の第1壁部24a,24bは、挿通孔27a,27bを備える。挿通孔27a,27bは、互いに対向する対向位置に設けられるものであって、第1壁部24aには、挿通孔27aが設けられ、第1壁部24bには、挿通孔27bが設けられている。挿通孔27a,27bは、真円形状でもよいが、ここでは、第1壁部24a,24bの高さ方向を長軸とした長孔で構成されている。軸受け凹部26に第1軸部19が係合された状態において、挿通孔27a,27bは、孔部19aと位置が重なり、固定ピン29が挿入可能な状態となる。下側に位置する第1壁部24aの下方であって、挿通孔27aの近くには、突起28が突設されている。突起28には、正常位置にまで至った固定ピン29が係止される。
【0020】
固定ピン29は、モータ側ブラケット13に取り付けられる部品である。固定ピン29は、1本の線状部材を曲げ加工して略ヘアピン形状を有するように構成されている。具体的に、固定ピン29は、挿入軸部29aと、係止部29bとを備える。挿入軸部29aは、U字状となるように構成される。係止部29bは、一連の線状部材が途切れた切断部を備えて、突起28が環状の内側に入り込むことができるように構成されている。
【0021】
軸受け凹部26に第1軸部19が係合されたとき、挿入軸部29aは、下側の第1壁部24aが備える挿通孔27aから挿入され、孔部19aを挿通し、上側の第1壁部24bが備える挿通孔27bから延出される。この状態において、係止部29bは、突起が切断部分より挿入され環状内に挿入され突起28によって係止される。
【0022】
図3に示すように、第1軸部19が係合される軸受け凹部26は、固定ピン29の軸受け凹部26への進入を制限する規制部31を備えている。規制部31は、板バネ32を備えている。板バネ32は、矩形形状を有した金属薄板を折曲して構成されており、固定片32aと、固定片32aから延びる規制片32bとを備えている。規制片32bは、固定片32aに対して折曲されている。固定片32aは、支持片22と支持板23との間に配置され、固定部材23aによって固定される。規制片32bは、軸受け凹部26の底部26aに臨み、底部26aから斜めに起き上がっている。すなわち、規制片32bは、上側の第1壁部24bの基端を起点に、下側の第1壁部24aの側が軸受け凹部26の底部26aから離間している。軸受け凹部26内で起き上がっている規制片32bは、第1壁部24aの挿通孔27aから第1壁部24bの挿通孔27bへと向かう進入路を塞ぐ。規制片32bは、底部26aとの間の開いた部分が下側の挿通孔27aを向くように配置されている。
【0023】
〔巻取パイプの取付手順〕
次に、モータ側ブラケット13および軸受側ブラケット14に対して巻取パイプ15を取り付ける施工手順を説明する。
【0024】
先ず、モータ側ブラケット13および軸受側ブラケット14が、巻取パイプ15の幅と対応する間隔を設けた状態で天井面などの設置部にビス止めされる。次いで、
図4に示すように、モータ18の一面18cから突出する第1軸部19が、モータ側ブラケット13の軸受け凹部26に挿入される。
【0025】
図4に示すように、巻取パイプ15は、第1軸部19が軸受け凹部26に挿入される。すると、第1軸部19が正しい状態で軸受け凹部26に挿入される場合、軸受け凹部26において、底部26aに対して斜めに起き上がった状態(第1状態)の規制片32bは、第1軸部19の先端部に押され、底部26aに対して近接した状態(第2状態)となる。これにより、第1軸部19の孔部19aと軸受け凹部26の上下に設けられた挿通孔27a,27bとは、完全に重なる。そして、固定ピン29における挿入軸部29aの進入路が開通し、挿入軸部29aの孔部19aへの進入を許容する。
【0026】
次いで、
図5に示すように、固定ピン29が、モータ側ブラケット13の下方から、軸受け凹部26の下側の挿通孔27a、孔部19a、上側の挿通孔27bの順に挿入される。そして、このとき、固定ピン29を係止部29bは、突起28と係合した状態となる。これにより、モータ側ブラケット13に対して巻取パイプ15が正しい状態で固定される。
【0027】
これに対して、
図6に示すように、第1軸部19が軸受け凹部26に正しく挿入されない場合、孔部19aと軸受け凹部26の上下に設けられた挿通孔27a,27bと完全に重ならない状態となる。すると、固定ピン29における挿入軸部29aの進入路は、底部26aに対して斜めに起き上がった状態(第1状態)の規制片32bによって塞がれる。すると、軸受け凹部26の下側の挿通孔27aから挿入される固定ピン29は、挿入軸部29aが規制片32bの裏面に突き当たり、最後まで挿入不能となる。その結果、係止部29bは突起28に係合不能となる。これにより、作業者は、固定ピン29が軸受け凹部26に挿入されないことで、第1軸部19が軸受け凹部26に正しく挿入されないことを知ることができる。規制片32bは、底部26aとの間の開いた部分が下側の挿通孔27aを向くように配置されている。したがって、挿入軸部29aが規制片32bを乗り越えて挿通孔27bの方向に進んでしまうこともない。
【0028】
第1軸部19がモータ側ブラケット13に正しく取り付けられると、次いで、軸受側ブラケット14に対して第2端部17が取り付けられる。または、軸受側ブラケット14に対する第2端部17の取付は、固定ピン29を挿通孔27aに差し込む前に行うこともできる。すなわち、固定ピン29の挿通孔27aへの差し込みは、巻取パイプ15の取付工程における最後に行うこともできる。
【0029】
以上のように構成されたロールスクリーン1は、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1-1)第1軸部19は、正しく軸受け凹部26に挿入されないと、規制部31が底部26aに対して斜めに起き上がった状態(第1状態)のままとなる。そうすると、固定ピン29は、進入路が軸受け凹部26内において塞がれた状態となり、最後まで挿入不能となる。その結果、作業者は、固定ピン29が軸受け凹部26に挿入されないことで、第1軸部19が軸受け凹部26に正しく挿入されないことを知ることができる。
【0030】
(1-2)第1軸部19の孔部19aは、貫通孔であることで、固定ピン29の挿入軸部29aは、孔部19aを通り、上側の第1壁部24bに設けられた挿通孔27bに係合される。これにより、軸受け凹部26に対して第1軸部19を回転不能に確実に固定することができる。
【0031】
(1-3)規制片32bは、底部26aに対して斜めに起き上がった状態(第1状態)で固定ピン29の進入路を塞ぐことができる。また、規制片32bは、第1軸部19に押されることで、容易に、第1状態から、底部26aに対して近接し進入路を開通した状態(第2状態)に変位することができる。
【0032】
なお、上記第1実施形態は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・第1軸部19の係合部としての孔部19aは、貫通孔ではなく、有底の凹部で構成されていてもよい。このような構成によっても、挿通孔27aを挿通した固定ピン29の挿入軸部29aは、有底の凹部に対して係合可能だからである。そして、このような構成を採用した場合には、上側の第1壁部24bには、挿通孔27bを省略してもよい。
【0033】
・規制部31を構成する板バネ32は、矩形形状を有した金属板ではなく、樹脂成形によって構成してもよい。また、板バネ32は、接着剤、両面テープなどの固定手段で、支持片22に対して固定するようにしてもよい。
【0034】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の規制部は、
図7に示すように、軸受け凹部26内に規制部材41が配設されている。具体的に、規制部材41は、軸受け凹部26内を巻取パイプ15の回転軸線方向に移動可能に配設される。すなわち、規制部材41は、底部26aに対して近接離間するように配設されている。第1壁部24a,24bの先端部は、内側に折曲され、脱落防止突部47を構成している。脱落防止突部47は、巻取パイプ15の回転軸線方向に移動する規制部材41を軸受け凹部26から脱落しにくくする。脱落防止突部47の内側は、第1軸部19が挿入可能な開口端を構成する。
【0035】
規制部材41は、底壁42と、底壁42の周囲に立設された周壁43とを備え、周壁43の内側に四角形状の有底の窪みである凹部44を構成している。凹部44には、第1軸部19が係合される。周壁43には、第1軸部19が凹部44に係合されたときに、挿通孔27a,27bおよび孔部19aと重なる規制孔45を備えている。すなわち、周壁43には、一対の規制孔45が対向して設けられている。
【0036】
軸受け凹部26における底部26aと規制部材41の底壁42との間には、付勢手段としてのコイルバネ46が配設される。コイルバネ46は、規制部材41を底部26aに対して離間する方向、すなわち第1軸部19の挿入方向とは反対方向に付勢する。規制部材41は、脱落防止突部47によって係止されることで、コイルバネ46の付勢力によって軸受け凹部26から脱落してしまうことはない。
【0037】
次に第2実施形態の規制部の作用について説明する。
規制部材41は、第1軸部19が係合される前は、コイルバネ46の付勢力によって、軸受け凹部26の底部26aから規制部材41の底壁42が離間するように付勢されている。このとき、挿通孔27a,27bと規制孔45とは、重なっておらず、連通していない。この状態(第1状態)で、固定ピン29を挿通孔27aから挿入しようとしても、挿通孔27aを塞ぐ規制部材41の周壁43に突き当たり、挿入不能である。また、第1軸部19が規制部材41の凹部44に正しく挿入されず、しっかりと規制部材41を底部26aの方向に押圧していないときも、挿通孔27aと規制孔45とは完全に重なっておらず、固定ピン29は挿入不能である。これにより、作業者は、固定ピン29が軸受け凹部26に挿入されないことで、第1軸部19が軸受け凹部26に正しく挿入されないことを知ることができる。
【0038】
図8に示すように、第1軸部19が正しい状態で軸受け凹部26に挿入されると、軸受け凹部26において、規制部材41は、コイルバネ46の付勢力に抗して底壁42が底部26aに近接する方向に移動する。そして、底壁42と底部26aとが近接した状態(第2状態)となり、挿通孔27a、27bと規制孔45とは、完全に重なる。そして、固定ピン29における挿入軸部29aの進入路が開通し、孔部19aへの進入を許容する。作業者は、コイルバネ46の付勢力に勝る力で第1軸部19を凹部44に係合させる必要がある。
【0039】
次いで、固定ピン29が、モータ側ブラケット13の下方から、軸受け凹部26の下側の挿通孔27a、下側の規制孔45、孔部19a、上側の規制孔45、上側の挿通孔27bの順に挿入される。そして、固定ピン29を係止部29bは、突起28と係合した状態となる。これにより、モータ側ブラケット13に対して巻取パイプ15が正しい状態で固定される。
【0040】
第1軸部19がモータ側ブラケット13に正しく取り付けられると、次いで、軸受側ブラケット14に対して第2端部17が取り付けられる。または、軸受側ブラケット14に対する第2端部17の取付は、固定ピン29を挿通孔27aに差し込む前に行うこともできる。すなわち、固定ピン29の挿通孔27aへの差し込みは、巻取パイプ15の取付工程における最後に行うこともできる。
【0041】
以上のように構成された第2実施形態の規制部は、以下に列挙する効果を得ることができる。
(2-1)第1軸部19は、正しく軸受け凹部26に挿入されないと、規制部材41が底部26aに対して離間した状態のままとなる。または、第1軸部19がコイルバネ46の付勢力によって押し戻される。そうすると、固定ピン29は、進入路が軸受け凹部26内において塞がれた状態となり、最後まで挿入不能となる。その結果、作業者は、固定ピン29が軸受け凹部26に挿入されないことで、第1軸部19が軸受け凹部26に正しく挿入されないことを知ることができる。また、しっかりと第1軸部19を軸受け凹部26に押さえつけなければ、固定ピン29を挿入できなくなる。これにより、作業者に対して、細心の注意をもって、第1軸部19の取付作業を行わせることができる。
【0042】
(2-2)規制部は、規制部材41とコイルバネ46で構成されるだけなので、構成が簡素である。
〔第3実施形態〕
第3実施形態の規制部は、
図9に示すように、第2実施形態の変形例であって、付勢手段として、コイルバネ46の代わりに、第1磁石48および第2磁石49を用いたものである。
【0043】
すなわち、軸受け凹部26の底部26aには、第1磁石48が配設される。また、底部26aに対する対向部となる規制部材41の底壁42には、第2磁石49が配設される。第1磁石48は、第2磁石49に対向する面がN極であるとき、第2磁石49も、第1磁石48と対向する面がN極とされている。また、第1磁石48は、第2磁石49に対向する面がS極であるとき、第2磁石49も、第1磁石48と対向する面がS極とされている。すなわち、第1磁石48と第2磁石49とは、同じ極が対向するように配置され、互いに反発するように配置されている。これにより、規制部材41は、コイルバネ46を備えていなくても、第1磁石48と第2磁石49による反発力によって、底部26aに対して離間する方向、すなわち第1軸部19の挿入方向とは反対方向に付勢される。規制部材41は、脱落防止突部47によって係止されることで、第1磁石48と第2磁石49による反発力によって軸受け凹部26から脱落してしまうことはない。
【0044】
なお、第1磁石48は、底部26aに対して接着剤、両面テープなどの固定手段で固定され、第2磁石49、底壁42に対して接着剤、両面テープなどの固定手段によって固定される。
【0045】
次に第3実施形態の規制部の作用について説明する。
規制部材41は、第1軸部19が係合される前は、第1磁石48と第2磁石49による反発力によって、軸受け凹部26の底部26aから規制部材41の底壁42が離間するように付勢されている。このとき、挿通孔27a、27bと規制孔45とは、重なっておらず、連通していない。この状態(第1状態)で、固定ピン29を挿通孔27aから挿入しようとしても、挿通孔27aを塞ぐ規制部材41の周壁43に突き当たり、挿入不能である。また、第1軸部19が規制部材41の凹部44に正しく挿入されず、しっかりと規制部材41を底部26aの方向に押圧していないときも、挿通孔27aと規制孔45とは完全に重なっておらず、固定ピン29は挿入不能である。これにより、作業者は、固定ピン29が軸受け凹部26に挿入されないことで、第1軸部19が軸受け凹部26に正しく挿入されないことを知ることができる。
【0046】
図10に示すように、第1軸部19が正しい状態で軸受け凹部26に挿入されると、軸受け凹部26において、規制部材41は、第1磁石48と第2磁石49による反発力に抗して底壁42が底部26aに近接する方向に移動する。そして、底壁42と底部26aとが近接した状態(第2状態)となり、挿通孔27a、27bと規制孔45とは、完全に重なる。そして、固定ピン29における挿入軸部29aの進入路が開通し、挿入軸部29aの孔部19aへの進入を許容する。作業者は、第1磁石48と第2磁石49による反発力に勝る力で第1軸部19を凹部44に係合させる必要がある。
【0047】
次いで、固定ピン29が、モータ側ブラケット13の下方から、軸受け凹部26の下側の挿通孔27a、下側の規制孔45、孔部19a、上側の規制孔45、上側の挿通孔27bの順に挿入される。そして、このとき、固定ピン29を係止部29bは、突起28と係合した状態となる。これにより、モータ側ブラケット13に対して巻取パイプ15が正しい状態で固定される。
【0048】
第1軸部19がモータ側ブラケット13に正しく取り付けられると、次いで、軸受側ブラケット14に対して第2端部17が取り付けられる。または、軸受側ブラケット14に対する第2端部17の取付は、固定ピン29を挿通孔27aに差し込む前に行うこともできる。すなわち、固定ピン29の挿通孔27aへの差し込みは、巻取パイプ15の取付工程における最後に行うこともできる。
【0049】
以上のように構成された第3実施形態の規制部は、以下に列挙する効果を得ることができる。
(3-1)第1軸部19は、正しく軸受け凹部26に挿入されないと、規制部材41が底部26aに対して離間した状態のままとなる。または、第1軸部19が磁石48,49の反発力によって押し戻される。そうすると、固定ピン29は、進入路が軸受け凹部26内において塞がれた状態となり、最後まで挿入不能となる。その結果、作業者は、固定ピン29が軸受け凹部26に挿入されないことで、第1軸部19が軸受け凹部26に正しく挿入されないことを知ることができる。また、しっかりと第1軸部19を軸受け凹部26に押さえつけなければ、固定ピン29を挿入できなくなる。これにより、作業者に対して、細心の注意をもって、第1軸部19の取付作業を行わせることができる。
【0050】
(3-2)規制部は、規制部材41と磁石48,49で構成されるだけなので、構成が簡素である。また、コイルバネ46のような可動部品を備えないので、故障もしにくくできる。
【0051】
〔第4実施形態〕
第3実施形態の規制部は、
図11に示すように、軸受け凹部26内に配置される規制部材51の構成が第2実施形態および第3実施形態と異なり、付勢手段を備えていない。
【0052】
すなわち、
図11に示すように、規制部材51は、軸受け凹部26内を巻取パイプ15の回転軸線方向に移動可能に配設される。軸受け凹部26は、第1方向(前後方向)に延びる互いに平行な第1壁部24c,24dと、第1方向と直交する第2方向(上下方向)に延びる互いに平行な第2壁部25a,25bとを備える。第4実施形態では、第1実施形態と比較して、第1壁部24c,24dの構成が相違する。
【0053】
下側に位置する第1壁部24cは、基端から先端に向かって下方に傾斜する傾斜壁であって、上側に位置する第1壁部24dは、基端から先端に向かって上方に傾斜する傾斜壁である。第1壁部24c,24dの先端部は、内側に折曲され、脱落防止突部47aを構成している。脱落防止突部47aは、巻取パイプ15の回転軸線方向に移動する規制部材51を軸受け凹部26から脱落しにくくする。
【0054】
一対の第1壁部24c,24dは、中心軸線を一致させた挿通孔27a,27bを備える。第1壁部24cには、挿通孔27aが設けられ、第1壁部24dには、挿通孔27bが設けられている。軸受け凹部26に第1軸部19が係合された状態において、挿通孔27a,27bは、孔部19aと重なり、固定ピン29が挿入可能な状態となる。
【0055】
規制部材51は、軸受け凹部26内に配設される。具体的に、規制部材51は、軸受け凹部26内を巻取パイプ15の回転軸線方向に移動可能に配設される。規制部材51は、底壁52と、底壁52に対して立設された案内壁53とを備え、断面L字形状を有している。案内壁53は、下側の第1壁部24cの内面に沿って移動する。すなわち、規制部材51は、自重で、脱落防止突部47aに突き当たるまで下側の第1壁部24cに沿って降下する。互いに向き合う第1壁部24cの内面と案内壁53の外面は、案内壁53が第1壁部24cに対して摺動し易くするため摩擦の小さい平滑面であることが好ましい。案内壁53は、第1軸部19が軸受け凹部26に挿入され底壁52が押されたときに、挿通孔27a,27bおよび孔部19aと重なる規制孔54を備えている。
【0056】
次に第4実施形態の規制部の作用について説明する。
規制部材51は、第1軸部19が係合される前は、自重によって、軸受け凹部26の底部26aから規制部材41の底壁42が離間するように移動している。このとき、下側の挿通孔27aと規制孔45とは、完全に重なっておらず、連通していない。この状態(第1状態)で、固定ピン29を挿通孔27aから挿入しようとしても、挿通孔27aを塞ぐ規制部材51の案内壁53に突き当たり、挿入不能である。また、第1軸部19が軸受け凹部26に正しく挿入されず、しっかりと規制部材51を底部26aの方向に押圧していないときも、挿通孔27aと規制孔45と完全に重ならず、固定ピン29は挿入不能である。これにより、作業者は、固定ピン29が軸受け凹部26に挿入されないことで、第1軸部19が軸受け凹部26に正しく挿入されないことを知ることができる。
【0057】
図12に示すように、第1軸部19が正しい状態で軸受け凹部26に挿入されると、軸受け凹部26において、規制部材51は、第1軸部19に押されることで底壁42が底部26aに近接する方向に移動する。そして、底壁52と底部26aとが近接した状態(第2状態)となり、挿通孔27a、27bと規制孔45とは、完全に重なる。そして、固定ピン29における挿入軸部29aの進入路が開通し、挿入軸部29aの孔部19aへの進入を許容する。
【0058】
次いで、固定ピン29が、モータ側ブラケット13の下方から、軸受け凹部26の下側の挿通孔27a、規制孔54、孔部19a、上側の挿通孔27bの順に挿入される。そして、固定ピン29を係止部29bは、突起28と係合した状態となる。これにより、モータ側ブラケット13に対して巻取パイプ15が正しい状態で固定される。
【0059】
第1軸部19がモータ側ブラケット13に正しく取り付けられると、次いで、軸受側ブラケット14に対して第2端部17が取り付けられる。または、軸受側ブラケット14に対する第2端部17の取付は、固定ピン29を挿通孔27aに差し込む前に行うこともできる。すなわち、固定ピン29の挿通孔27aへの差し込みは、巻取パイプ15の取付工程における最後に行うこともできる。
【0060】
以上のように構成された第4実施形態の規制部は、以下に列挙する効果を得ることができる。
(4-1)第1軸部19は、正しく軸受け凹部26に挿入されないと、規制部材51が底部26aに対して離間した状態のままとなる。そうすると、固定ピン29は、進入路が軸受け凹部26内において塞がれた状態となり、最後まで挿入不能となる。その結果、作業者は、固定ピン29が軸受け凹部26に挿入されないことで、第1軸部19が軸受け凹部26に正しく挿入されないことを知ることができる。
【0061】
(4-2)規制部は、第2実施形態のようなコイルバネ46や第3実施形態のような磁石48,49も不要であり、部品点数の削減を図りながら構成を簡素化できる。
なお、上記第4実施形態は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
【0062】
・規制部材51は、規制部材41のように周壁43を設け、一対の規制孔54を設けるようにしてもよい。
・第4実施形態の規制部の構成に、第2実施形態のようなコイルバネ46または第3実施形態のような磁石48,49を配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…ロールスクリーン
13…サイドブラケット(モータ側ブラケット)
15…巻取パイプ
18…モータ
18a…モータ軸
18b…モータアダプタ
19…第1軸部
19a…孔部
24a…第1壁部
24b…第1壁部
25a…第2壁部
25b…第2壁部
26…軸受け凹部
26a…底部
27a…挿通孔
27b…挿通孔
29…固定ピン
31…規制部
32…板バネ
32a…固定片
32b…規制片