(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171012
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ペーパーロール包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/58 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
B65D75/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077372
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】596134172
【氏名又は名称】丸富製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】佐野 武男
(72)【発明者】
【氏名】八木 英一
(72)【発明者】
【氏名】関口 千穂
(72)【発明者】
【氏名】武内 ゆみ
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA16
3E067AB76
3E067AC03
3E067AC12
3E067AC14
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067CA07
3E067CA11
3E067EA03
3E067EA23
3E067EE02
3E067EE11
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD05
(57)【要約】
【課題】紙基材で構成され、素材の特徴を生かして、ペーパーロールの包装体としては斬新なデザインを外観に取り入れたペーパーロール包装体の提供。
【解決手段】ペーパーロール包装体1の包装袋5は紙基材を包装材として角底袋に製袋化してある。開口縁5Aに沿って紙バンド13が固着されており、紙バンド13を中心として、渦巻き状に巻回すと、開口縁5Aが渦巻き状に何重にも巻回された巻回部15の中心に押し込められるので、熱シールをせずとも、封止状態が実現される。紙基材はその素材の特性上細かく折り曲げることが容易なので、フリー部分13c、13cが持ち上げられると、巻回部15の両端側が立ち上がり、開口縁5Aの封止状態は維持される。フリー部分13c、13cを接着剤で固着したり、結び合わせることで、取っ手として利用できる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材で構成された角底袋に上下方向を軸方向として同じ平面上にペーパーロールが縦1個以上、横1個以上並べた状態で収納されたペーパーロール包装体であって、
前記包装材が紙基材で構成され、且つ、
前記角底袋の外面の一方の広面部側の開口縁に沿って、紙バンドの長手方向中間部が固着されており、
両方の広面部諸共に渦巻き状に巻回されて、開口が封止されると共に、一対の狭面部側からそれぞれ延び出た前記紙バンドの両端側が回動自在になっていることを特徴とするペーパーロール包装体。
【請求項2】
請求項1に記載したペーパーロール包装体において、
紙バンドは一方の広面部側の開口縁に折返し代をもたせて固着されていることを特徴とするペーパーロール包装体。
【請求項3】
請求項1または2に記載したペーパーロール包装体において、
渦巻き状に巻回された巻回部の両端側が、紙バンドが持ち上げられると、前記紙バンドに引き摺られて立ち上がることを特徴とするペーパーロール包装体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載したペーパーロール包装体において、
紙バンドの両端側は結び合わされることで、取っ手になることを特徴とするペーパーロール包装体。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載したペーパーロール包装体において、
紙バンドの両端側は重ね合わされて固着されることで、取っ手になることを特徴とするペーパーロール包装体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載したペーパーロール包装体において、
紙基材が植物由来の紙100%で構成されていることを特徴とするペーパーロール包装体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載したペーパーロール包装体において、
ペーパーロールがトイレットペーパーロールであることを特徴とするペーパーロール包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパーロール等のペーパーロールを包装した包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパー、キッチンペーパー等を巻いて筒状にしたペーパーロールは、複数個まとめてポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂フィルムで包装されている。
これらの樹脂フィルムは、軟らかく、円筒形のペーパーロールにフィットし易く、且つ、熱融着が容易であったことから、ペーパーロールの包装に非常に適している。
【0003】
通常、ガゼット包装、ピロー包装、キャラメル包装等の各種包装方式で包装した状態で販売されているが、 特許文献1に記載のように、ガゼット包装方式では、余剰代に接着代を形成し、その余剰接着代に孔を形成するだけで、フィルム包装体と一体になった強固な取っ手を形成することができる。包装個数が多くなると、買い物袋に入らず、直に手で持つことになるので、このような取っ手が形成されることは極めて有用になっている。そのため、トイレットペーパーロールでは、ガゼット包装方式で包装されたものが主流となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、プラスチック(合成樹脂)ごみが環境に悪影響を及ぼしているとして、その使用を極力控えることが求められるようになっている。
それに応えて、包装体の素材となっている樹脂フィルムに代わる素材について、紙基材を使用することが提案されている。耐水性等を考慮して樹脂分を含ませるにしても、全体としての樹脂の使用量はかなり低減されることになり、更に、植物由来の紙100%でも使用可能となれば、極めて「エコ」な商品となる。
しかも、紙基材になると、従来の樹脂フィルムとは見た目だけでなく、触わった感じも変わる。
この変化を積極的に生かすことで、従来の樹脂フィルムでは不可能であったデザインを実現することが可能になる。
【0006】
本発明は上記に着目して為されたものであり、紙基材で構成され、素材の特徴を生かして、ペーパーロールの包装体としては斬新なデザインを外観に取り入れたペーパーロール包装体を提供することを、その目的とする。
また、本発明は、植物由来の紙100%の自然素材でも製造することができるペーパーロール包装体を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、[1]の発明は、包装材で構成された角底袋に上下方向を軸方向として同じ平面上にペーパーロールが縦1個以上、横1個以上並べた状態で収納されたペーパーロール包装体であって、前記包装材が紙基材で構成され、且つ、前記角底袋の外面の一方の広面部側の開口縁に沿って、紙バンドの長手方向中間部が固着されており、両方の広面部諸共に渦巻き状に巻回されて、開口が封止されると共に、一対の狭面部側からそれぞれ延び出た前記紙バンドの両端側が回動自在になっていることを特徴とするペーパーロール包装体である。
【0008】
[2]の発明は、[1]に記載したペーパーロール包装体において、紙バンドは一方の広面部側の開口縁に折返し代をもたせて固着されていることを特徴とするペーパーロール包装体である。
【0009】
[3]の発明は、[1]または[2]に記載したペーパーロール包装体において、渦巻き状に巻回された巻回部の両端側が、紙バンドが持ち上げられると、前記紙バンドに引き摺られて立ち上がることを特徴とするペーパーロール包装体である。
【0010】
[4]の発明は、[1]から[3]のいずれかに記載したペーパーロール包装体において、紙バンドの両端側は結び合わされることで、取っ手になることを特徴とするペーパーロール包装体である。
【0011】
[5]の発明は、[1]から[3]のいずれかに記載したペーパーロール包装体において、紙バンドの両端側は重ね合わされて固着されることで、取っ手になることを特徴とするペーパーロール包装体である。
【0012】
[6]の発明は、[1]から[5]のいずれかに記載したペーパーロール包装体において、紙基材が植物由来の紙100%で構成されていることを特徴とするペーパーロール包装体である。
【0013】
[7]の発明は、[1]から[6]のいずれかに記載したペーパーロール包装体において、ペーパーロールがトイレットペーパーロールであることを特徴とするペーパーロール包装体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のペーパーロール包装体は、紙基材で構成され、「エコ」の要請に応えるだけでなく、その素材の特徴を生かして、ペーパーロールの包装体としては斬新なデザインを外観に取り入れられている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係るペーパーロール包装体の包装袋とトイレットペーパーロールの斜視図である。
【
図2】
図1の包装袋にトイレットペーパーロールを収納した状態の斜視図である。
【
図3】
図2に続く、包装袋の封止手順の説明図である。
【
図4】
図3に続く、包装袋の封止手順の説明図である。
【
図6】
図4に続く、取っ手の作り方の説明図である。
【
図7】
図4に続く、取っ手の作り方の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態に係るペーパーロール包装体1を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、このペーパーロール包装体1には、トイレットペーパーロール3が合計4個収納されている。2個のトイレットペーパーロール3、3がそれぞれの周面が横方向で接するように並べられ、更に端面方向に2段積み重ねた状態で収納されている。従って、トイレットペーパーロール3、3、……は同じ(縦×横)平面上に、縦2個×横1個並べられた状態になっている。
トイレットペーパーロール3は芯無しの長尺タイプになっており、比較的重量があるが、これに耐え得て破れないよう、包装袋5は十分な耐荷重強度を有している。
【0017】
包装袋5の素材をなす包装材は紙基材で構成されている。紙基材は紙の重量比が50%を超えており、紙製容器包装の識別マークである紙マークを表示できるものであれば特に限定されないが、この実施の形態で図示したものは、後述するように熱シールせずに完成させることができることから、エコ訴求を最大限に図れるよう、植物由来の紙100%で構成されたものになっている。
紙基材は、収納されたトイレットペーパーロール3の存在を外側から視認できる程度の透明性と、製袋化適性、強度、耐水性、印刷適性を備えている。
包装袋5は、角胴部7と角底部9を有する角底袋で構成されている。
【0018】
図1に示すように、角胴部7は、一枚の矩形の包装材の対向する一方の辺縁部に他方の辺縁部が重ね合わされ糊着により固着されて筒状に一体化されたものになっている。従って、固着領域(図示省略)では紙基材が重なり合ってその他の部分よりも僅かではあるが厚みが増している。上下方向に延びる4つの折線7A、7A、……が外側から見て山折りになるように折り曲げられており、折線7A、7A、……の配置バランスから一対の対向する狭面部7B、7Bと、一対の対向する広面部7C、7Cで構成された長方形の角筒状になっている。この折線7A、7A、……は、折り曲げ易いように、上記の固着領域を避けた位置に設けられている。
【0019】
この狭面部7B、7Bと広面部7C、7Cを跨いで一方の胴縁寄りにその胴縁に平行に1つの折線9Aが形成されており、この折線9Aに沿って外側から見て山折りになるように折り畳まれることによって、長方形の角底部9が形成されている。
包装袋5では、角胴部7の狭面部7B、7Bがマチ面部になっている。
角胴部7は収納するトイレットペーパーロール3、3を端面方向に2段積み重ねた状態の高さ寸法よりも十分に長く、トイレットペーパーロール3の1個分の長さを加えた程度の高さ寸法になるように設定されており、天側が開口されて開口縁5Aになっている。
【0020】
符号13は紙バンドを示す。この紙バンド13は市販されている細い帯状のものである。紙バンド13の長手方向中間部13aの板面が、角胴部7の一方の広面部7C側の開口縁5Aに沿って重ね合わされており、接着剤(図示省略)を介して固着されている。
紙バンド13の中間部13aの上縁13bは開口縁5Aに揃えられてはおらず、紙バンド13の幅寸法程度、下がった位置で固着されている。開口縁5Aに上縁13bが平行になっている。紙バンド13の中間部13aを挟んだフリー部分13c、13cの長手方向の寸法は等しくなっており、それぞれの端縁は垂直に切断された端縁13d、13dになっている。
紙バンド13は上記したように下がった位置で固着されており、上縁13bと開口縁5Aとの間は、折返し代11になっている。
【0021】
包装袋5の角胴部7の一方は角底部9で封止されているが、他方は開口縁5Aになって開口している。
この後は、既存の半自動包装機を利用して、包装袋5へのトイレットぺーパーロール3、3、……の収納と、天側の封止を実施する。従来は、既存の半自動包装機を使用して、樹脂フィルム製の包装袋に対してガゼット包装方式でトイレットぺーパーロールの収納と、天側の封止を実施していたが、同じガゼット包装方式で収納まで実施する。
この半自動包装機によれば、
図1に示すように、包装袋5が立体状に展開されて、白矢印に示すように、角底部9の長手方向がトイレットペーパーロール3、3の縦方向に一致するように収納されていく。収納作業が終了すると、
図2に示す状態になる。
【0022】
トイレットペーパーロール3、3、……の収納までは、上述のように既存の半自動包装機を使用して自動的に実施することが可能なので、樹脂フィルムから紙基材に素材を変更したことによる製造工程上の負担の増加が極力抑えられている。
その後の天側の封止作業は手作業になる。
狭面部7B、7Bをそれぞれ外側から見て山折りになるように二つ折りに折り曲げ、開口縁5Aを揃えて「I」状にすると、
図3に示すように、正面側の広面部7Cに固着された紙バンド13の上側の折返し代11が、背面側の広面部7Cに重ね合わされた状態になる。
この状態で、紙バンド13を中心として、正面側の広面部7Cと背面側の広面部7Cを重ね合わせつつ、矢印に示すように、渦巻き状に巻回すと、
図4、
図5に示すように、開口縁5Aが渦巻き状に何重にも巻回された巻回部15の中心に押し込められるので、熱シールをせずとも、封止状態が実現される。なお、
図5の断面図では、渦巻き状態をイメージし易いように、正面側の広面部7C(F)を黒地で、背面側の広面部7C(R)を白地で示している。
【0023】
巻回部15の長手方向両端からは、紙バンド13のフリー部分13c、13cが引き出されている。紙バンド13の固着された中間部13aの両端は、この巻回部15の両端側より内方にあり、フリー部分13c、13cの一部は巻回部15に覆われている。
フリー部分13cの回動支点は中間部13aの端になっているので、フリー部分13cを持ち上げると、巻回部15の両端側が引き摺られて巻回し状態を維持しながら立ち上がる。従って、フリー部分13c、13cが持ち上げられても、開口縁5Aの封止状態は維持される。このように、熱シールをせずとも封止状態が確保されるので、植物由来の紙100%の紙基材の使用が可能となっている。
フリー部分13c、13cはこの立上り部分15a、15aから十分な長さで引き出されている。
【0024】
この引き出されたフリー部分13c、13cを結合してループ状にすることで、取っ手として利用できる。
図6は、フリー部分13c、13cの端縁13d、13d側が重ね合わされて、適宜な接着剤(図示両略)により固着されて結合されており、リング状の取っ手17が形成されている。
また、
図7では、フリー部分13c、13cの端縁13d、13d側が結び合わされており、取っ手19が形成されている。
このように、取っ手17、19を容易に作ることができ、取っ手17、19の使い心地も悪くない。しかも、外観は、植物由来の紙100%の風合いを上手く生かした米袋に似たものになっている。
【0025】
取っ手17では、紙バンド13の端縁13dを引っ張り上げることで、接着剤の塗布部分が剥離されて、フリー部分13c、13cが離れる。また、取っ手19では、結んだ部分を解くことで、フリー部分13c、13cが離れる。従って、巻回部15を解いて開口縁5Aを開くことは容易になっている。
また、包装袋5は破かずに開封できるので、トイレットペーパーロール3、3、……を全て取り出した後には再利用が可能であり、フリー部分13c、13cを結び合わせることで、再び収容袋として利用できる。
また、包装袋5の角底部9は綺麗に成形されており、且つ、紙基材の剛性により保形性があるので、自立した容器、例えば使い捨てのゴミ箱としての二次利用も可能となっている。
【0026】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、トイレットペーパーロール3を包装袋5に1個のみ収納した場合でも、(縦×横)平面上に縦1個×横1個並べられた状態になり、本発明の範囲に含まれる。この場合には、縦横のいずれも長手方向として扱われることになる。
【符号の説明】
【0027】
1…ペーパーロール包装体 3…トイレットペーパーロール 5…包装袋
5A…開口縁 7…角胴部 7A…折線 7B…狭面部
7C(F)、(R)…広面部 9…角底部 9A…折線 11…折返し代
13…紙バンド 13a…中間部 13b…上縁 13c…フリー部分 13d…端縁
15…巻回部 15a…立上り部分 17…取っ手 19…取っ手