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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171021
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】車両のロック制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/01 20130101AFI20221104BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20221104BHJP
   E05B 83/00 20140101ALI20221104BHJP
   E05B 77/44 20140101ALI20221104BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20221104BHJP
   B60N 2/22 20060101ALI20221104BHJP
   B60N 2/16 20060101ALI20221104BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20221104BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20221104BHJP
【FI】
B60R25/01
E05B49/00 K
E05B83/00 D
E05B77/44
B60R25/24
B60N2/22
B60N2/16
B60N2/06
B60N2/90
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077385
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩田 淳
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 哉
(72)【発明者】
【氏名】宇藤 有二
(72)【発明者】
【氏名】見越 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雄輝
【テーマコード(参考)】
2E250
3B087
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250BB55
2E250BB65
2E250HH01
2E250JJ03
2E250JJ05
2E250LL01
2E250LL20
3B087BA02
3B087BA15
3B087BD02
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】車両のドアロック及びシート前傾ロックのセキュリティを高める。
【解決手段】車両にはドアロック機構28及びシート前傾ロック機構34が設けられる。車両ユーザが車両から離れるとき、ドアロック及びシート前傾ロックがセットされる。ドアロックの解除及びシート前傾ロックの解除を異なる信号とすることで、車両盗難を防ぐ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアをドアロックまたはドアアンロックするドアロック機構と、
運転席シートをシート前傾ロックまたはシート前傾アンロックするシート前傾ロック機構と、
を含み、
ドアアンロック信号を受信した場合に、前記ドアをドアアンロックし、
前記ドアアンロック信号とは異なるシート前傾アンロック信号を受信した場合に、前記シート前傾ロックをアンロックする、
車両のロック制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のロック制御システムであって、
前記車両ドアが閉じた後に、前記シート前傾アンロック信号を受信した場合に、前記シート前傾ロックをロックする、
車両のロック制御システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両のロック制御システムであって、
前記シート前傾ロックをアンロックした後に、前記ドアロックをドアアンロックする、
車両のロック制御システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の車両のロック制御システムであって、
前記シート前傾ロックは、前記運転席シートの前傾と座面の降下を含み、
前記シート前傾ロックのアンロックは、前記運転席シートの前傾からの復帰と座面降下からの復帰を含む、
車両のロック制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載の車両のロック制御システムであって、
前記シート前傾ロックはさらに前記運転席シートの前後方向位置の前方への移動を含み、前記シート前傾ロックのアンロックはさらにシート前傾位置の復帰を含む、
車両のロック制御システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の車両のロック制御システムであって、
前記シート前傾アンロック信号は、スマートキーに設けられたシート前傾ロックスイッチを押下することによって無線発信される、
車両のロック制御システム。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1つに記載の車両のロック制御システムであって、
前記シート前傾アンロック信号は、モバイル端末にインストールされたアプリケーション上のスイッチをオンすることによって無線発信される、
車両のロック制御システム。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1つに記載の車両のロック制御システムであって、
前記シート前傾アンロック信号は、通信センタから無線発信される、
車両のロック制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転席シートを前傾位置にロックまたはロック解除(アンロック)する車両のロック制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信を利用して、車両のドアをロックしたり、アンロックしたりするスマートキーが普及している。このスマートキーでは、車両の近くでキー本体に設けてあるドアロック、アンロックスイッチによりドアロックを操作するだけでなく、車両の近くで通信により認証した後ドアノブにタッチすることでドアをロックしたり、アンロックしたりすることができる。
【0003】
一方、スマートキーにおける無線通信号を傍受して、ドアロックを解除する各種の盗難手法などが知られており、これらに対抗するため通信セキュリティをさらに向上することが望まれる。
【0004】
また、特許文献1では、リクライニングシートを前傾させた位置でロックすることで車両のセキュリティを向上することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63-247151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両操作における利便性およびセキュリティの向上については、各種の提案があるが、盗難手法なども進歩しており、さらなる改善が要求される。このため、シートを前傾位置でロックする手法についても、改善が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両のドアをドアロックまたはドアアンロックするドアロック機構と、運転席シートをシート前傾ロックまたはシート前傾アンロックするシート前傾ロック機構と、を含み、ドアアンロック信号を受信した場合に、前記ドアをドアアンロックし、前記ドアアンロック信号とは異なるシート前傾アンロック信号を受信した場合に、前記シート前傾ロックをアンロックする。
【0008】
前記車両ドアが閉じた後に、前記シート前傾アンロック信号を受信した場合に、前記シート前傾ロックをロックするとよい。
【0009】
前記シート前傾ロックをアンロックした後に、前記ドアロックをドアアンロックするとよい。
【0010】
前記シート前傾ロックは、前記運転席シートの前傾と座面の降下を含み、前記シート前傾ロックのアンロックは、前記運転席シートの前傾からの復帰と座面降下からの復帰を含むとよい。
【0011】
前記シート前傾ロックはさらに前記運転席シートの前後方向位置の前方への移動を含み、前記シート前傾ロックのアンロックはさらにシート前傾位置の復帰を含むとよい。
【0012】
前記シート前傾アンロック信号は、スマートキーに設けられたシート前傾ロックスイッチを押下することによって無線発信されるとよい。
【0013】
前記シート前傾アンロック信号は、モバイル端末にインストールされたアプリケーション上のスイッチをオンすることによって無線発信されるとよい。
【0014】
前記シート前傾アンロック信号は、通信センタから無線発信されるとよい。
【発明の効果】
【0015】
車両ドアを解錠するドアアンロック信号とは異なる、シート前傾アンロック信号を利用してシート前傾ロックをアンロックすることで、シート前傾アンロック信号が盗用されにくくしてセキュリティを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る車両のロック制御システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】運転席シート40の移動、ロック機構を示す説明図である。
図3】スマートキー10の外形の一例を示す斜視図である。
図4】スマートキー10の構成を示すブロック図である。
図5】シート前傾ロックの制御についてのフローチャートである。
図6】シート前傾アンロックの制御についてのフローチャートである。
図7】モバイル端末50を用いる場合のシステムを示す図である。
図8】モバイル端末50を用いたシート前傾アンロックの予約制御についてのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、ここに記載される実施形態に限定されるものではない。
【0018】
「全体構成」
図1は、実施形態に係る車両のロック制御システムの全体構成を示すブロック図である。
【0019】
このように、車両のロック制御システムは、ユーザ(例えば、ドライバー)が所持する携帯型の通信機であるスマートキー10と、車両に搭載される車両側装置20を含む。
【0020】
スマートキー10は、携帯可能な小型の通信機であり、無線通信による所定の認証処理を行うことができるとともに、ドアロックをオンオフするドアロック信号、ドアアンロック信号、シート前傾ロックをオンオフするシート前傾ロック信号、シート前傾アンロック信号を含む操作信号を送信することができる。
【0021】
車両側装置20は、通信部22を有し、この通信部22が、スマートキー10と無線通信する。車両側の通信部22からスマートキー10に向けて発信される電波は長波(30~300kHz)、スマートキー10から車両側に向けて発信される電波は極超短波(0.3~3GHz)が使用される場合が多いがこれに限定されるわけではない。
【0022】
通信部22は、ボデーECU24に接続されている。このボデーECU24は、車両の各種制御を司るものであるが、本実施形態においてはドアロックと、シートの移動およびロックの制御について説明する。
【0023】
ボデーECU24には、ドアECU26を介しドアロック機構28が接続されている。スマートキー10からのドアロック信号、ドアアンロック信号は、通信部22,ボデーECU24を介し、ドアECU26に供給され、ドアECU26がドアロック機構28を制御し、車両ドアのロックがオンオフされる。ドアロック機構28は、通常機械的なロック機構を有しており、ロック機構を機械的に駆動して、ドアロックをオンオフする。
【0024】
ボデーECU24には、シートECU30も接続されており、このシートECU30には、シート移動機構32が接続されている。シート移動機構32は機械的な機構を含み、シートの前後移動、上下移動(座面の上下移動)、およびシートバックの傾斜(リクライニング)などを制御する。また、このシートECU30には、シート前傾ロック機構34が接続されており、このシート前傾ロック機構34は、シートをその前傾ロック位置においてロックまたはアンロックする。なお、本実施形態において、シート前傾ロックは運転席シートを対象としているが、助手席シートを対象とすることもできる。
【0025】
また、シートECU30には、シートメモリ36が接続されており、ここにシート位置についてのデータが記憶される。例えば、ユーザがシート位置を調整し、その位置を記憶するよう指示した場合に、その位置が設定位置として、シートメモリ36に記憶される。なお、設定位置は複数あってもよい。そして、ユーザが記憶しているシートを設定位置に設定することの指示を与えることによって、シート位置が指示された設定位置に設定される。設定位置が複数ある場合には、優先順位をつけておき、シート位置設定の指示を与えた場合に、優先順位の高い設定位置にシートを設定することができる。また、車両の工場出荷時に初期位置を記憶しておき、特に設定位置がない場合、シート位置設定指示に応じて初期位置にシートを移動することもできる。なお、これらの設定操作などは、ボデーECU24に接続されている画面のタッチパネルなどを利用して行うとよい。
【0026】
本実施形態では、シート前傾ロック位置がシートメモリ36に記憶されている。このシート前傾ロック位置は、後述するようにシートが前方に移動するとともに、所定の座面降下を行い、かつシートバックが前傾した位置である。なお、このシート前傾ロック位置は、通常予め決められた位置であって、変更しないので、シートECU30の内部に記憶しておいてもよい。一方、シートメモリ36にシート前傾ロック位置を記憶しておけば、通常のシート位置制御と同様の制御で、シートのシート前傾ロック位置への移動が可能である。
【0027】
シートECU30は、シート前傾ロック信号に応じて、シート移動機構32を制御して、シートを前下方に移動し、その位置でシート前傾ロック機構34によってシートを移動できないようにロックする(シート前傾ロックをオン)。また、シート前傾アンロック信号に応じて、シート前傾ロックを解除する(シート前傾ロックをオフ(シート前傾アンロック))。
【0028】
なお、車両への不当な侵入を検知する侵入センサなどを設け、侵入に対し警告を発したりすることもでき、その際に運転席シートについて、シート前傾ロックすることもできる。
【0029】
「シート前傾ロック」
図2は、運転席シート40の移動、ロック機構を示す説明図である。シート移動機構32は、前後上下移動機構32aとリクライニング機構32bを有する。前後上下移動機構32aは、シートを全体として前後方向に移動するとともに、シート全体が上下してシートの座面が上下(上昇、降下)する。例えば、運転席シート40を、上下伸縮機構を介し台座に支持し、台座を前後方向のレール上にて移動可能にすればよい。また、リクライニング機構32bは、シートクッションの後端とシートバックの下端をヒンジ等で接続し、ヒンジを軸にしてシートバックを回動可能とすればよい。
【0030】
また、シート前傾ロック機構34は、例えばシート前傾ロック位置において、シートバックに設けたピンにかぎ状のロックを引っ掛けて固定するなど、適宜手段でロックすればよい。
【0031】
ここで、運転席は、その前方にステアリング42が設けられており、シート前傾ロック位置では、運転席シート40のシートバックの前方端が近接して位置する。従って、運転席シート40にドライバーが乗り込むことができず、車両の盗難による走行を防止して、セキュリティ性を向上する。なお、ステアリング42を移動可能とし、シート前傾ロック時においては、ステアリング42を後方側に移動し、運転席シート40との間隙をさらに小さくしてもよい。
【0032】
「スマートキー」
図3は、スマートキー10の外形の一例を示す斜視図である。このように、全体として薄い直方体であり、表面に3つのボタン、ドアロックスイッチ12a、ドアアンロックスイッチ12b、シート前傾ロックスイッチ12cが設けられている。また、一端の側部には、キーホルダ穴14が設けられ、キーホルダのリングなどを通すことができる。
【0033】
図4は、スマートキー10の構成を示すブロック図である。3つのボタン、ドアロックスイッチ12a、ドアアンロックスイッチ12b、シート前傾ロックスイッチ12cは、制御部16に接続されており、これらの操作信号は制御部16に供給される。制御部16には、通信部18が接続されており、車両側装置20の通信部22と無線通信する。
【0034】
「ドアロック、アンロックの制御」
ドアアンロックの動作例について説明する。車両側装置20の通信部22から、車両近傍に向けて電波が発信され、スマートキー10の制御部16は、通信部18を介し、電波を受信した場合に通信を開始し、両者において認証処理、例えばIDとパスワードを用いた認証が行われる。そして、認証が完了した後、ドアアンロックスイッチ12bが押されたり、ドアノブにタッチされたりすることによって、車両側において、ドアがアンロックされる。また、降車後、ドアロックスイッチ12aが押されることで、車両側でドアがロックされる。
【0035】
「シート前傾ロックの制御」
図5は、シート前傾ロックの制御についてのフローチャートである。この処理は、例えばボデーECU24、シートECU30において行われる。
【0036】
まず、車両のエンジンがオフかを判定する(S11)。なお、エンジンオフはエンジンが停止している状態をいうが、イグニッションオフやパワーオフなど、車両の走行が不可能な状態であるかの判定でよい。
【0037】
次に、S11でYESの場合に、ドアが開閉されたかを判定する(S12)。これは、ドアスイッチのオンオフなどで検出する。なお、検出するドアは運転席ドアに限定することができる。
【0038】
S12においてYESの場合、スマートキー10についてIDなどの認証が完了したかを判定する(S13)。認証が完了していた場合には、ドアロックがされたかを判定する(S14)。S13の認証の判定は、S11,S12の判定後に行うこととしたが、その前でも構わない。また、ドアロックの判定を運転席ドアに限定してもよいが、通常運転席ドアをロックした場合全ドアがロックされるので、他のドアのロックでもよい。また、ドアロック信号を受信したことでドアロックされたことを検出してもよい。
【0039】
S14においてYESの場合、シート前傾ロック信号を受信したかを判定する(S15)。
【0040】
そして、S15の判定でYESの場合に、シート前傾ロック動作を行う(S16)。すなわち、シートを前方に移動し、降下させるとともに、シートバックを前倒して、その位置(シート前傾ロック位置)にシートをロックする。
【0041】
このように、本実施形態では、S11~S14の4つの判定についてYESの場合のみ、シート前傾ロック信号によるシート前傾ロックを行う。従って、運転席シートにドライバーがいるのに誤ってシート前傾ロック動作が行われることを防止できる。
【0042】
図6は、シート前傾アンロックの制御についてのフローチャートである。この処理も、ボデーECU24、シートECU30において行うことができる。
【0043】
まず、スマートキー10との通信により、スマートキー10の認証を行う(S21)。
【0044】
S21でYESの場合には、運転席シートについて、シート前傾ロックがされているか否かを判定する(S22)。シート前傾ロックされていなかった場合、アンロックは不要であり、処理を終了する。
【0045】
S22の判定でYESであれば、次にシート前傾アンロック信号を受信したかを判定する(S23)。そして、このS23の判定でYESの場合に、シート前傾をアンロックし、シートを通常位置に復帰させる。例えば、上述のようにシートメモリ36に記憶されている設定位置に自動的に復帰する。なお、シートの移動についてのロックが解除されれば、設定位置に自動的に復帰する必要はない。さらに、ロックを解除した後、シートバックを後方に動かすなどの操作がなされた場合に、設定位置に移動してもよい。
【0046】
ここで、車両盗難にリレーアタックという手法が知られている。この手法では、ドライバーがドアロック、シート前傾ロックして、車両を離れた場合において、受信役がドライバーの近くに位置してドライバーの所持するスマートキー10と通信を行う。この通信は、車両から発生される電波と同様の電波を送出すること等によって行える。そして、スマートキー10からの信号を増幅して、中継役に送信し、中継役が車両のそばにいる窃盗役に送信する。窃盗役は受信した信号を車両側に供給することで、ドアをアンロックすることが可能となる。
【0047】
本実施形態では、シート前傾アンロック信号は、ドアのロック、アンロックの制御のための信号とは別の信号であり、ドアがアンロックされても、シート前傾ロックが解除されることはなく、セキュリティが向上する。特に、シート前傾アンロック信号は、スマートキー10のシート前傾ロックスイッチ12cが操作されないと送信されないため、ドライバーが意図せずに送信されてしまうことを防止できる。また、スマートキー10を用いたドアアンロックについての利便性はそのまま維持できる。
【0048】
図6においては、ドアアンロックについて触れていないが、ドアアンロックは、シート前傾アンロックの後で行ってもよいし、先に行ってもよい。シート前傾ロックをアンロックした後にドアロックをアンロックするようにすると、ドア開時にはすでにシート前傾ロックがアンロックされていることになるので、ドア開後にシート前傾ロックのアンロックの動作のための待機時間が抑制されユーザの利便性が向上する。
【0049】
「タイマー予約」
上述の例では、スマートキー10を用いてシート前傾ロック、アンロックを行った。スマートフォンなどのモバイル端末50を用いて、制御を行うことで、より高度の制御が可能となる。
【0050】
図7は、モバイル端末50を用いる場合のシステムを示す図である。このように、モバイル端末50は、通信センタ52と通信する。モバイル端末50は、スマートフォンなどであり、無線通信、電話回線、インターネットなどを含む公知の通信回線によって、通信センタ52と接続され、通信センタ52も車両の通信部22と同様の通信回線で接続される。
【0051】
モバイル端末50は、所定のアプリケーションをインストールすることで、シート前傾ロックのロック、アンロックを設定することができる。
【0052】
図8は、モバイル端末50を用いたシート前傾アンロックの予約制御についてのフローチャートである。この例では、通信センタ52がこの処理を行い、シート前傾アンロック信号を車両に送信し、車両において、シート前傾アンロックを実行する。通信センタ52が、シート前傾アンロックの予約について情報を車両側に与え、車両側において、予約を登録して処理を行ってもよい。また、通信センタ52と車両との通信は、公知のセキュリティを確保した通信を利用する。
【0053】
ユーザがモバイル端末50にて所定のアプリケーションを起動し、予約を選択することで、通信センタ52へ接続要求が送信される(S31)。S31においてYESの場合は、通信センタ52は、所定の認証を経てモバイル端末50と接続する(S32)。そして、シート前傾アンロックの予約か否かを判定する(S33)。すなわち、モバイル端末50に、予約か否かを問い合わせその返答を判定する。
【0054】
S33の判定でYESの場合、モバイル端末50からの入力データに基づいて、予約を登録する(S34)。すなわち、シート前傾ロックをアンロックする時間をタイマーに記憶する。
【0055】
ここで、通信センタ52は、運転席シートがシート前傾ロックされているかを問い合わせることができる。そして、この問い合わせにより、シート前傾ロックがなされていなかった場合、モバイル端末50にその情報を提供し、モバイル端末50において、シート前傾ロックされていないことを表示してもよい。さらに、その場合に、ユーザにおいてシート前傾ロックを行うことを選択するかを問い合わせ、シート前傾ロックすることが選択された場合には、車両側装置20にシート前傾ロック信号を送信し、車両側装置20において、シート前傾ロックを実行させて、次に進むこともできる。
【0056】
そして、シート前傾アンロックの予約時間に至ったかをタイマーにより判定する(S35)。S35においてYESの場合に、シート前傾アンロック信号を送出する(S36)。シート前傾アンロック信号は、車両に供給され、車両側においてシート前傾アンロックが解除される。
【0057】
なお、上述の例においては、処理を通信センタ52において行ったが、通信センタ52は単に中継局として機能し、その処理の一部または全部を車両側装置20において行うこともできる。
【0058】
なお、シート前傾ロックについても同様にモバイル端末50において、予約も含め操作できるようにすることができる。
【符号の説明】
【0059】
10 スマートキー、12a ドアロックスイッチ、12b ドアアンロックスイッチ、12c シート前傾ロックスイッチ、14 キーホルダ穴、16 制御部、18 通信部、20 車両側装置、22 通信部、24 ボデーECU、26 ドアECU、28 ドアロック機構、30 シートECU、32 シート移動機構、32a 前後上下移動機構、32b リクライニング機構、34 シート前傾ロック機構、36 シートメモリ、40 運転席シート、42 ステアリング、50 モバイル端末、52 通信センタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアをドアロックまたはドアアンロックするドアロック機構と、
運転席シートをシート前傾ロックまたはシート前傾アンロックするシート前傾ロック機構と、
を含み、
ドアアンロック信号を受信した場合に、前記ドアをドアアンロックし、
前記ドアアンロック信号とは異なるシート前傾アンロック信号を受信した場合に、前記シート前傾ロックをアンロックする、
車両のロック制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のロック制御システムであって、
前記車両ドアが閉じた後に、前記シート前傾ロック信号を受信した場合に、前記シート前傾ロックをロックする、
車両のロック制御システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両のロック制御システムであって、
前記シート前傾ロックをアンロックした後に、前記ドアロックをドアアンロックする、
車両のロック制御システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の車両のロック制御システムであって、
前記シート前傾ロックは、前記運転席シートの前傾と座面の降下を含み、
前記シート前傾ロックのアンロックは、前記運転席シートの前傾からの復帰と座面降下からの復帰を含む、
車両のロック制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載の車両のロック制御システムであって、
前記シート前傾ロックはさらに前記運転席シートの前後方向位置の前方への移動を含み、前記シート前傾ロックのアンロックはさらにシートの前方位置からの復帰を含む、
車両のロック制御システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の車両のロック制御システムであって、
前記シート前傾アンロック信号は、スマートキーに設けられたシート前傾ロックスイッチを押下することによって無線発信される、
車両のロック制御システム。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1つに記載の車両のロック制御システムであって、
前記シート前傾アンロック信号は、モバイル端末にインストールされたアプリケーション上のスイッチをオンすることによって無線発信される、
車両のロック制御システム。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1つに記載の車両のロック制御システムであって、
前記シート前傾アンロック信号は、通信センタから無線発信される、
車両のロック制御システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
前記車両ドアが閉じた後に、前記シート前傾ロック信号を受信した場合に、前記シート前傾ロックをロックするとよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
前記シート前傾ロックはさらに前記運転席シートの前後方向位置の前方への移動を含み、前記シート前傾ロックのアンロックはさらにシートの前方位置からの復帰を含むとよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
S22の判定でYESであれば、次にシート前傾アンロック信号を受信したかを判定する(S23)。そして、このS23の判定でYESの場合に、シート前傾をアンロックし(S24)、シートを通常位置に復帰させる。例えば、上述のようにシートメモリ36に記憶されている設定位置に自動的に復帰する。なお、シートの移動についてのロックが解除されれば、設定位置に自動的に復帰する必要はない。さらに、ロックを解除した後、シートバックを後方に動かすなどの操作がなされた場合に、設定位置に移動してもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
ここで、車両盗難にリレーアタックという手法が知られている。この手法では、ドライバーがドアロックして、車両を離れた場合において、受信役がドライバーの近くに位置してドライバーの所持するスマートキー10と通信を行う。この通信は、車両から発生される電波と同様の電波を送出すること等によって行える。そして、スマートキー10からの信号を増幅して、中継役に送信し、中継役が車両のそばにいる窃盗役に送信する。窃盗役は受信した信号を車両側に供給することで、ドアをアンロックすることが可能となる。