(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171031
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】進退移動装置
(51)【国際特許分類】
E05B 83/34 20140101AFI20221104BHJP
B60K 15/05 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
E05B83/34
B60K15/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077401
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 祥平
【テーマコード(参考)】
2E250
3D038
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ46
2E250JJ49
2E250KK01
2E250LL13
2E250PP03
2E250QQ01
3D038CA32
3D038CC16
(57)【要約】
【課題】本発明は、進退部材の軸方向の位置にかかわらず、ロック部材をロック位置に移動させることができ、ロック部材がロック位置に位置している場合でも進退部材を後退保持位置へと移動させることができる進退移動装置の提供を目的とする。
【解決手段】進退移動装置1は、ケース2と、進退部材3と、付勢部材と、カム機構Cと、ロック部材5とを備え、進退部材3の後退方向D2側の端部は、軸方向で後退方向D2に突出した凸部3aと、凸部3aに対して凹状に形成された凹部3bとを有し、凸部3aはロック位置にあるロック部材5の被当接部5aと当接可能な当接部CTを有し、進退部材3が前進保持位置から折り返し位置に到達したときには、当接部CTが被当接部5aに対して、軸方向で対向しない位置に位置し、進退部材3が後退保持位置に保持されたときには、当接部CTは被当接部5aに対して、軸方向で対向した位置に位置する。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに対して、前記ケースから突出する前進方向、および、前記前進方向とは反対方向となる後退方向に、軸周りに回転しながら移動可能な進退部材と、
前記進退部材を前記前進方向に付勢する付勢部材と、
前記進退部材を、前記前進方向に移動した前進保持位置と、前記後退方向に移動した後退保持位置とで保持するように構成されたカム機構と、
前記進退部材が前記後退保持位置に位置するときに、前記進退部材の前記前進保持位置への移動を規制するロック位置と、前記進退部材の前記前進保持位置への移動を許容するアンロック位置との間で移動可能なロック部材と
を備え、
前記進退部材は、前記前進保持位置と前記後退保持位置との間を移動するときに、前記後退保持位置に対してさらに後退方向側となる折り返し位置を通るように構成され、
前記進退部材の後退方向側の端部は、軸方向で前記後退方向に突出した凸部と、前記凸部に対して前記前進方向に凹状に形成された凹部とを有し、前記凹部は、前記進退部材の軸周り方向で前記凸部に隣接し、前記凸部は、前記進退部材が前記後退保持位置にあるときに、前記ロック位置にある前記ロック部材の被当接部と当接可能な当接部を有し、前記凹部によって、前記凸部に対して前記軸周り方向で隣接する領域に凹状空間が形成され、
前記ロック部材がロック位置に位置し、かつ、前記進退部材が前記前進保持位置から前記折り返し位置に到達したときには、前記進退部材の当接部が、前記ロック部材の前記前進方向側に設けられた被当接部に対して、前記軸方向で対向しない位置に位置し、前記ロック部材が前記凹状空間内に配置され、
前記進退部材が前記折り返し位置から前記軸周りに回転して前記後退保持位置に保持されたときには、前記進退部材の当接部は、前記ロック部材の前記被当接部に対して、前記軸方向で対向した位置に位置し、
前記進退部材が前記後退保持位置で保持されるときの、前記当接部と前記被当接部との間の前記軸方向の間隔は、前記進退部材が、前記後退保持位置から前記折り返し位置に到達できない距離に設定されている、進退移動装置。
【請求項2】
前記カム機構は、前記前進保持位置から前記後退保持位置へと前記進退部材を移動させる際には、前記折り返し位置に前記進退部材が到達した後に、前記進退部材を前記付勢部材によって前記折り返し位置から前記後退保持位置に移動させて保持するように構成され、
前記カム機構は、前記後退保持位置から前記前進保持位置へと前記進退部材を移動させる際には、前記後退保持位置から前記折り返し位置に前記進退部材が到達した後に、前記進退部材を前記付勢部材によって前記折り返し位置から前記前進保持位置に移動させて保持するように構成されている、
請求項1に記載の進退移動装置。
【請求項3】
前記カム機構は、
前記ケースに設けられた第1カム面と、前記ケースに設けられた第2カム面と、
前記ケースに設けられ、前記進退部材の軸方向に沿って延びるガイド部と、
前記進退部材の外周に設けられ、前記第1カム面と接触する第1接触面および前記第2カム面と接触する第2接触面を有し、前記ガイド部に案内可能な被ガイド部と、
を有し、
前記第1カム面は、前記進退部材が前記後退方向に移動して前記折り返し位置に移動する際に前記被ガイド部の前記第1接触面と接触して、前記進退部材を前記軸周り方向で一方の方向に回転させるように傾斜しており、
前記第2カム面は、前記進退部材が前記前進保持位置から前記折り返し位置を経由して前記後退保持位置で保持される際に、前記進退部材が前記折り返し位置から前記前進方向に移動したときに、前記被ガイド部の前記第2接触面と接触して、前記進退部材を前記軸周り方向で前記一方の方向に回転させるように傾斜している、
請求項1または2に記載の進退移動装置。
【請求項4】
前記進退部材が前記後退保持位置で保持されるときの、前記当接部と前記被当接部との間の前記軸方向の間隔が、前記進退部材が前記後退保持位置に位置するときの前記第1カム面と前記第1接触面との間の前記軸方向の間隔より小さい、請求項3に記載の進退移動装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の進退移動装置と、
前記進退移動装置が取り付けられ、開口部を有する基部と、
前記基部の前記開口部を開閉可能であり、前記進退部材の前進方向側の端部と係合可能なリッドと
を備えた、リッド開閉装置。
【請求項6】
前記リッドは、車両の燃料または給電用のリッドであり、
前記ロック部材は、前記進退部材に当接可能なロック本体と、前記ロック本体を前記ロック位置および前記アンロック位置に移動させる駆動部とを有し、
前記駆動部は、前記車両のドアのロック信号に応じて前記ロック本体を前記ロック位置に移動させるように制御される、請求項5に記載のリッド開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は進退移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の燃料補給口を覆うリッドをロックする装置など、ケースに対してロッド部材が移動する装置は、ロッド部材がケースから突出するように前進した位置と、ケースに収容されるように後退した位置との間で往復移動するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の装置は、ケースと、ケースに対して前進した位置と後退した位置との間で移動するプッシュロッド(ロッド部材)と、プッシュロッドを突出方向に付勢する付勢部材と、プッシュロッドが後退した位置で保持されているときにプッシュロッドをロックする施錠部(ロック部材)とを備えている。
【0004】
特許文献1において、プッシュロッドは、リッドの開放時に前進方向に移動した後、所定の前進保持位置で保持される。また、プッシュロッドは、リッドの閉鎖時に後退方向に移動した後、所定の後退保持位置で保持される。以下、プッシュロッドが前進保持位置にある状態から後退保持位置で保持されるまでの過程についてさらに詳しく説明する。前進保持位置にあるプッシュロッドがリッドの閉鎖時に後退方向に押圧されると、プッシュロッドは後退保持位置に到達した後、後退保持位置を越えてさらに後退方向に移動する。その後、プッシュロッドは付勢部材の付勢力によって前進方向に戻った後、後退保持位置に保持される。また、プッシュロッドは、前進保持位置に保持されるまでの過程で、後退保持位置から後退方向に移動した後、付勢部材の付勢力によって前進方向に移動して前進保持位置で保持される。
【0005】
また、特許文献1の装置は、プッシュロッドを後退保持位置でロックするための施錠部(ロック部材)を有している。施錠部は、プッシュロッドのピン状の摺動子に係合する係合部材を有しており、係合部材が、プッシュロッドの軸に対して垂直な方向に移動することで、ピン状の摺動子と係合する。具体的には、プッシュロッドが後退保持位置にあるときに、プッシュロッドの外周に設けられたピン状の摺動子に向かって施錠部の係止部材が移動する。これにより、係合部材がプッシュロッドの前進・後退方向でピン状の摺動子に係合して、プッシュロッドをロックする。一方、プッシュロッドが前進保持位置にあるときには、施錠部の係止部材がプッシュロッドに向かって移動したとしても、係合部材がピン状の摺動子の端面に当接して係合部材の移動が阻止される。これにより、プッシュロッドが前進保持位置にあるときに、係合部材はロック位置に移動せずに、プッシュロッドの誤ロックが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のような装置の場合、例えば、リッドが開放している状態など、進退部材が前進保持位置にあるときに、ロック部材をロック位置に移動させる操作がされても、ロック部材はロック位置に移動しない。そのため、進退部材を前進保持位置から後退保持位置に移動させた後、再度ロック部材をロック位置に移動させる操作を行う必要がある。そのため、進退部材のロック操作が煩雑となる。また、進退部材が後退保持位置に移動した状態でユーザがロック操作を忘れた場合には、進退部材はロックされない状態となる(例えば、リッドが開放可能な状態となってしまう)。
【0008】
そこで、本発明は、進退部材の軸方向の位置にかかわらず、ロック部材をロック位置に移動させることができ、ロック部材がロック位置に位置している場合でも進退部材を後退保持位置へと移動させることができ、後退保持位置でのロックを簡単に行うことができる進退移動装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の進退移動装置は、ケースと、前記ケースに対して、前記ケースから突出する前進方向、および、前記前進方向とは反対方向となる後退方向に、軸周りに回転しながら移動可能な進退部材と、前記進退部材を前記前進方向に付勢する付勢部材と、前記進退部材を、前記前進方向に移動した前進保持位置と、前記後退方向に移動した後退保持位置とで保持するように構成されたカム機構と、前記進退部材が前記後退保持位置に位置するときに、前記進退部材の前記前進保持位置への移動を規制するロック位置と、前記進退部材の前記前進保持位置への移動を許容するアンロック位置との間で移動可能なロック部材とを備え、前記進退部材は、前記前進保持位置と前記後退保持位置との間を移動するときに、前記後退保持位置に対してさらに後退方向側となる折り返し位置を通るように構成され、前記進退部材の後退方向側の端部は、軸方向で前記後退方向に突出した凸部と、前記凸部に対して前記前進方向に凹状に形成された凹部とを有し、前記凹部は、前記進退部材の軸周り方向で前記凸部に隣接し、前記凸部は、前記進退部材が前記後退保持位置にあるときに、前記ロック位置にある前記ロック部材の被当接部と当接可能な当接部を有し、前記凹部によって、前記凸部に対して前記軸周り方向で隣接する領域に凹状空間が形成され、前記ロック部材がロック位置に位置し、かつ、前記進退部材が前記前進保持位置から前記折り返し位置に到達したときには、前記進退部材の当接部が、前記ロック部材の前記前進方向側に設けられた被当接部に対して、前記軸方向で対向しない位置に位置し、前記ロック部材が前記凹状空間内に配置され、前記進退部材が前記折り返し位置から前記軸周りに回転して前記後退保持位置に保持されたときには、前記進退部材の当接部は、前記ロック部材の前記被当接部に対して、前記軸方向で対向した位置に位置し、前記進退部材が前記後退保持位置で保持されるときの、前記当接部と前記被当接部との間の前記軸方向の間隔は、前記進退部材が、前記後退保持位置から前記折り返し位置に到達できない距離に設定されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の進退移動装置によれば、進退部材の軸方向の位置にかかわらず、ロック部材をロック位置に移動させることができ、ロック部材がロック位置に位置している場合でも進退部材を後退保持位置へと移動させることができ、後退保持位置でのロックを簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態の進退移動装置を示す斜視図である。
【
図2】進退移動装置の進退部材の係止部とフューエルリッドの操作対象側被係止部との関係を示す概略図である。
【
図3】本実施形態の進退移動装置がリッドの開閉装置に適用された例を示す概略斜視図である。
【
図4】進退部材が前進保持位置に位置し、ロック部材がアンロック位置に位置する、ケースの一部を切り欠いた進退移動装置の斜視図である。
【
図5】進退部材が後退保持位置に位置し、ロック部材がアンロック位置に位置する、ケースの一部を切り欠いた進退移動装置の斜視図である。
【
図6】進退部材が
図5に示す状態から後退方向に移動して折り返し位置に位置し、ロック部材がアンロック位置に位置する、ケースの一部を切り欠いた進退移動装置の斜視図である。
【
図7】進退部材が前進保持位置に位置し、ロック部材がロック位置に位置する、ケースの一部を切り欠いた進退移動装置の斜視図である。
【
図8】進退部材が後退保持位置に位置し、ロック部材がロック位置に位置する、ケースの一部を切り欠いた進退移動装置の斜視図である。
【
図9】
図8に示す状態から進退部材が後退方向に移動し、進退部材の当接部がロック部材の被当接部に当接した状態を示す斜視図である。
【
図10】進退移動装置をケースの底面から前進方向に見た図である。
【
図13】進退部材が前進保持位置に位置し、ロック部材がアンロック位置に位置するときの、進退部材およびカム機構を平面上に展開した概略図である。
【
図14】
図13に示される状態から進退部材が後退方向に移動して、進退部材が折り返し位置に向かって移動している状態を示す概略図である。
【
図15】
図14に示される状態から進退部材が前進方向に移動して、進退部材が後退保持位置に到達した状態を示す概略図である。
【
図16】
図15に示される状態から進退部材が後退方向に移動して、進退部材が折り返し位置を経由して前進保持位置に向かって移動する過程を示す概略図である。
【
図17】ロック部材がロック位置に位置した状態で、進退部材が前進保持位置から後退方向に向かって移動した状態を示す、進退部材およびカム機構を平面上に展開した概略図である。
【
図18】
図17に示される状態から進退部材が折り返し位置から後退保持位置に向かって移動する過程を示す概略図である。
【
図19】
図18に示される状態から進退部材が移動して後退保持位置に保持された状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の進退移動装置を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の進退移動装置は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、「Aに垂直」およびこれに類する表現は、Aに対して完全に垂直な方向のみを指すのではなく、Aに対して略垂直であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「Bに平行」およびこれに類する表現は、Bに対して完全に平行な方向のみを指すのではなく、Bに対して略平行であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「C形状」およびこれに類する表現は、完全なC形状のみを指すのではなく、見た目にC形状を連想させる形状(略C形状)を含んで指すものとする。
【0013】
図1に示されるように、進退移動装置1は、ケース2と、ケース2に対して、ケース2から突出する前進方向D1、および、前進方向D1とは反対方向となる後退方向D2に、軸X周りに回転しながら移動可能な進退部材3とを備えている。なお、前進方向D1および後退方向D2の両方向をまとめて軸X方向と呼ぶ。本明細書において、軸Xは、進退部材3が前進および後退(進退)する方向に沿った軸である進退軸を意味する。本実施形態では、軸Xは、進退方向に細長い軸状の部材となる進退部材3の長手方向軸に対応している。
【0014】
進退移動装置1は、進退部材3がケース2に対して進退するときに、所定の操作対象と相互作用する。なお、進退部材3と操作対象との間の相互作用は、進退部材3が操作対象に作用するものであってもよいし、操作対象が進退部材3に作用するものであってもよい。本実施形態では、操作対象であるリッドL(
図2および
図3参照)が操作されることによって、進退部材3が操作されている。しかし、進退部材3と操作対象との間の相互作用は特に限定されず、進退部材3が操作対象を押圧することによって、操作対象を操作するなど、他の作用であってもよい。
【0015】
進退移動装置1の用途は、進退部材3がケース2に対して進退するときに、所定の操作対象と相互作用することができれば、特に限定されない。本実施形態では、進退移動装置1は、
図3に示されるように、進退移動装置1と、進退移動装置1が取り付けられ、開口部Baを有する基部Bと、基部Bの開口部Baを開閉可能であり、進退部材3の前進方向D1側の端部(係止部31)と係合可能なリッドLとを備えた、リッド開閉装置Dに適用されている。より具体的には、リッドLは、車両の燃料または給電用のリッドであり、進退移動装置1は、車両のリッド開閉装置Dに適用され、操作対象である車両の燃料または給電用のリッドLを開閉するように構成されている。なお、車両の燃料は、軽油、ガソリンに限定されず、車両を動作させることが可能な全ての燃料をいう。
【0016】
本実施形態では、
図3に示されるように、リッド開閉装置Dは、基部である車体(以下、車体Bと呼ぶ)にヒンジHを介して開閉可能に設けられたリッド(以下、フューエルリッドという場合がある)Lと、車体Bに取り付けられ、進退部材3の進退によりフューエルリッドLを係止および係止解除する進退移動装置1とを備えている。フューエルリッドLは、進退部材3の先端に設けられた係止部31が係止される操作対象側被係止部Laを有している。本実施形態では、係止部31は、矩形板状の係止片であり、操作対象側被係止部Laは係止部31が係止可能な矩形状の開口を有する係止孔である。
図2の一点鎖線に示されるように、係止部31が操作対象側被係止部Laの開口から離脱できる配置となったときに、係止部31と操作対象側被係止部Laとの間の係止の解除が可能となる。一方、
図2の一点鎖線の状態から実線に示される状態まで係止部31が回転して、操作対象側被係止部Laの開口から離脱できない配置となったときに、係止部31と操作対象側被係止部Laとが係止される。
【0017】
詳細は後述するが、本実施形態では、フューエルリッドLが閉鎖した状態から、フューエルリッドLが押圧されて進退移動装置1が操作されることによって、係止部31と操作対象側被係止部Laとの間の係止が解除され、フューエルリッドLが開放する。フューエルリッドLは、係止部31と操作対象側係止部Laとの間の係止が解除されたときに、フューエルリッドLが開放する方向にバネ付勢されて開放されていてもよい。あるいは、フューエルリッドLは、進退部材3によって開放方向に押されてわずかに開放した後に、手動で開放されてもよい。
図3に示されるフューエルリッドLが開放した状態からフューエルリッドLを閉鎖する場合、フューエルリッドLを手動で閉鎖方向に移動させる。これにより、フューエルリッドLによって進退部材3が押圧されて、進退部材3が後退する。その際に係止部31が
図2の一点鎖線で示される状態から実線で示される状態まで回転し、操作対象側被係止部Laに係止してフューエルリッドLが閉鎖した状態で維持される。
【0018】
つぎに、進退移動装置1の詳細を説明する。
【0019】
進退移動装置1は、
図4~
図9に示されるように、進退部材3を前進方向D1に付勢する付勢部材4と、進退部材3を、前進方向D1に移動した前進保持位置(
図4および
図7参照)と、後退方向D2に移動した後退保持位置(
図5および
図8参照)とで保持するように構成されたカム機構Cと、進退部材3が後退保持位置に位置するときに、進退部材3の前進保持位置への移動を規制するロック位置(
図7~
図9参照)と、進退部材3の前進保持位置への移動を許容するアンロック位置(
図4~
図6参照)との間で移動可能なロック部材5とを備えている。なお、
図4~
図9においては、ケース2の内部を見やすくするために、ケース2を部分的に取り除いて図示している。
【0020】
ケース2は、進退移動装置1の構成部材を内部に収容する。本実施形態では、ケース2は、
図4および
図10に示されるように、進退部材3の一部、付勢部材4、カム機構C、ロック部材5を収容している。なお、ケース2は、進退移動装置1の各構成部材の少なくとも一部を収容していればよく、必ずしも各構成部材の全体を収容している必要はない。ケース2は、進退移動装置1の構成部材を内部に収容することができれば、その形状や構造は特に限定されない。また、ケース2は、一部材によって構成されていてもよいし、複数の部品によって構成されていてもよい。
【0021】
本実施形態では、ケース2は、
図4および
図10に示されるように、進退部材3を収容する進退部材収容部21と、ロック部材5を収容するロック部材収容部22を有している。進退部材収容部21は、進退部材3を軸X方向に進退可能に収容する収容空間を有している。本実施形態では、
図4に示されるように、進退部材収容部21は、内部空間を有する筒状体によって構成されている。より具体的には、進退部材収容部21は、後述する第2カム面Cbおよびガイド部Ccを有する、円筒体によって構成されている。ロック部材収容部22は、ロック部材5がロック位置とアンロック位置との間で移動できるように、ロック部材5を収容する。本実施形態では、ロック部材収容部22は、ロック部材5のロック本体51、駆動部52のモータ521およびネジ軸522を収容している。
【0022】
また、本実施形態では、ケース2は、
図4に示されるように、進退部材3の後退方向D2側の端部に軸X方向で対向する底面2aから突出し、後述する第1カム面Caを有する突出部23を有している。突出部23は、進退部材収容部21に軸X方向で対向する位置に設けられている。突出部23は、軸X周り方向に離間して複数(本実施形態では4つ)設けられている。また、本実施形態では、ケース2は、底面2aから前進方向D1に突出し、付勢部材4を支持する支持軸24を有している。支持軸24は、進退部材3の軸Xと同軸上に延びている。
【0023】
進退部材3は、ケース2に対して軸X方向に進退する部材である。本実施形態では、進退部材3は、カム機構Cによって、前進方向D1に移動して前進保持位置(
図4および
図7参照)で保持され、前進保持位置に対して後退方向D2に移動して後退保持位置(
図5および
図8参照)で保持される。進退部材3は、
図4~
図6、
図13~
図16に示されるように、前進保持位置と後退保持位置との間を移動するときに、後退保持位置に対してさらに後退方向D2側となる折り返し位置(
図6、
図14の二点鎖線および
図16の二点鎖線参照)を通るように構成されている。進退部材3は、軸X方向で進退する際に、カム機構Cによって軸X周りに回転しながら移動する。具体的には、進退部材3は、後退保持位置と折り返し位置との間を移動する際に、カム機構Cによって軸X周りに回転するように構成されている。
【0024】
本明細書において「前進保持位置」は、進退部材3が後退保持位置に対して前進方向D1に移動して保持される、進退部材3の所定の位置である(
図4および
図7参照)。本実施形態では、前進保持位置は、フューエルリッドLが開放した状態のときの進退部材3の位置であり、進退部材3がケース2から前進方向D1に最も突出した位置である。「後退保持位置」は、進退部材3が前進保持位置に対して後退方向D2に移動して保持される、進退部材3の所定の位置である(
図5および
図8参照)。本実施形態では、後退保持位置は、フューエルリッドLが閉鎖した状態のときの進退部材3の位置である。後退保持位置は、本実施形態では、折り返し位置に対して、わずかに前進方向D1側となる位置である。なお、本実施形態では、進退部材3の後退保持位置は、前進保持位置に対して軸X周り方向で90°ずれた位置となっている。「折り返し位置」は、後退保持位置に対してさらに後退方向D2側の位置である(
図6参照)。本実施形態では、折り返し位置は、カム機構Cによって進退部材3を前進保持位置から後退保持位置へと移動させる際、または、進退部材3を後退保持位置から前進保持位置へと移動させる際に、進退部材3が後退方向D2から前進方向D1へと進行方向を切り替える軸X方向の位置である。なお、進退部材3が前進保持位置から後退保持位置へと移動する際に進行方向を切り替える折り返し位置(第1の折り返し位置。
図14における二点鎖線参照)の軸X方向の位置と、進退部材3が後退保持位置から前進保持位置へと移動する際に進行方向を切り替える折り返し位置(第2の折り返し位置。
図16における二点鎖線参照)の軸X方向の位置とは異なっていてもよい。
【0025】
進退部材3は、上述したように、軸X方向に進退する際に、所定の操作対象と相互作用する。本実施形態では、進退部材3が前進保持位置に移動した際にフューエルリッドLとの係合状態が解除され、フューエルリッドLを開放状態とし、後退保持位置に移動した際にフューエルリッドLと係合して、フューエルリッドLを閉鎖状態とする。進退部材3は、本実施形態では、
図4に示されるように、コイルバネ等の付勢部材4によって前進方向D1に付勢されることにより、後退保持位置から前進保持位置へと移動するように構成されている。逆に、進退部材3は、付勢部材4の前進方向D1への付勢力に抗して押圧されることによって、前進保持位置から後退保持位置へと移動する。
【0026】
進退部材3は、本実施形態では、
図11に示されるように、軸X方向に沿って延びる本体32と、軸X方向で本体32の一端(先端)側に設けられた係止部31とを備えている。また、進退部材3は、進退部材3(本体32)の他端側(後退方向D2側の端部側)には、後述する凸部3aおよび凹部3bを有している。また、進退部材3は、進退部材3の軸X周りの外周側面に被ガイド部Cdを有している。
【0027】
本体32は、本実施形態では、
図11に示されるように、軸X方向に延びる筒状または柱状の部材である。より具体的には、本体32は円筒状に形成され、
図4~
図9に示されるように、筒状の進退部材収容部21に案内される。また、本体32は、
図11および
図12に示されるように、本体32の内部に、付勢部材収容部321を有し、付勢部材4の一部が付勢部材収容部321に収容される。
【0028】
係止部31は、本体32の一端側(前進方向D1側)に設けられ、フューエルリッドLなどの操作対象と係止する。本実施形態では、係止部31は、
図2に示されるように、操作対象側被係止部Laと係止する。係止部31は、カム機構Cによって進退部材3が軸X周り方向に回転することによって、操作対象側被係止部Laと係止した係止状態(
図2の実線参照)と、係止が解除された係止解除状態(
図2の一点鎖線参照)との間を移動する。係止部31は、本実施形態では、ケース2の外側において、本体32の前進方向D1側の端部に設けられた略矩形の板状部材である。なお、係止部31および操作対象側被係止部Laの形状や構造は、係止部31を操作対象側被係止部Laに対して係止状態および係止解除状態とすることができ、フューエルリッドLを開閉することができれば、特に限定されない。
【0029】
カム機構Cは、進退部材3を前進保持位置、折り返し位置および後退保持位置との間で移動させ、進退部材3を前進保持位置と、後退保持位置とで保持する。カム機構Cは、進退部材3を前進保持位置と後退保持位置との間で移動させるときに、進退部材3が後退保持位置に対してさらに後退方向D2側となる折り返し位置を通るように進退部材3を案内する。より具体的には、カム機構Cは、
図13~
図15に示されるように、前進保持位置から後退保持位置へと進退部材3を移動させる際には、折り返し位置に進退部材3が到達した後に、進退部材3を付勢部材4によって折り返し位置から後退保持位置に移動させて保持するように構成されている。また、カム機構Cは、
図15および
図16に示されるように、後退保持位置から前進保持位置へと進退部材3を移動させる際には、後退保持位置から折り返し位置に進退部材3が到達した後に、進退部材3を付勢部材4によって折り返し位置から前進保持位置に移動させて保持するように構成されている。なお、
図13~
図19は、理解を容易にするために、進退部材3およびカム機構Cを平面上に展開した概略図であり、
図13~
図19における上下方向が、軸X方向(上方向が前進方向D1、下方向が後退方向D2)であり、左方向が軸X周り方向の一方の方向D3である。
【0030】
カム機構Cは、進退部材3が前進保持位置から後退保持位置へと移動するとき、および、進退部材3が後退保持位置から前進保持位置へと移動するときに、進退部材3を軸X周りに回転させる。より具体的には、進退部材3は、前進保持位置から後退保持位置へと移動する際に、カム機構Cによって軸X周りで一方の方向D3(
図4参照)に回転し、後退保持位置から前進保持位置へと移動する際も、カム機構Cによって軸X周りで一方の方向D3(同方向)に回転する。進退部材3が前進保持位置で保持された状態から、後退保持位置で保持された状態となるまで、または、進退部材3が後退保持位置で保持された状態から、前進保持位置で保持された状態となるまでに、進退部材3が回転する角度は特に限定されない。本実施形態では、進退部材3が後退保持位置で保持された状態から、前進保持位置で保持された状態となるまでに、進退部材3は約90°回転するように構成されている。同様に、進退部材3が前進保持位置で保持された状態から、後退保持位置で保持された状態となるまでに、進退部材3は約90°回転するように構成されている。
【0031】
カム機構Cの構造は、進退部材3を前進保持位置、折り返し位置および後退保持位置との間で移動させ、進退部材3を前進保持位置と、後退保持位置とで保持することができれば、特に限定されない。本実施形態では、カム機構Cは、
図13~
図16に示されるように、ケース2に設けられた第1カム面Caと、ケース2に設けられた第2カム面Cbと、ケース2に設けられ、進退部材3の軸X方向に沿って延びるガイド部Ccと、進退部材3の外周に設けられ、第1カム面Caと接触する第1接触面Cd1および第2カム面Cbと接触する第2接触面Cd2を有し、ガイド部Ccに案内可能な被ガイド部Cdとを有している。なお、本明細書において、ある部材・部位が「ケース2に設けられ」という場合、ある部材・部位がケース2の別の部位と一体に設けられていてもよいし、ケース2の別の部位と別体として設けられていてもよいことを意味する。ある部材・部位がケース2の別の部位と別体として設けられる場合、発明の目的を達成できれば、ケース2の別の部位に固定されていてもよいし、ケース2の別の部位に対して相対移動可能であってもよい。
【0032】
第1カム面Caは、
図14および
図16に示されるように、進退部材3が後退方向D2に移動して折り返し位置に移動する際に被ガイド部Cdの第1接触面Cd1と接触して、進退部材3を軸X周り方向で一方の方向D3に回転させるように傾斜している。第1カム面Caは、第1接触面Cd1と接触した状態で、進退部材3が後退方向D2に(押圧されて)さらに移動しようとするときに、進退部材3が軸X周りで一方の方向D3に回転する力が生じるように傾斜している。第1カム面Caの傾斜角は、第1カム面Caと第1接触面Cd1とが接触した状態で、進退部材3が後退方向D2に(押圧されて)さらに移動しようとするときに、進退部材3が軸X周りで一方の方向D3に回転する力が生じる傾斜角であれば、特に限定されない。
【0033】
第1カム面Caは、本実施形態では、ケース2に設けられている。より具体的には、第1カム面Caは、
図4に示されるように、ケース2の底面2aから突出した突出部23の前進方向D1側の端部(上端)によって構成されている。本実施形態では、軸X周り方向に等間隔で離間して4つの突出部23がケース2の底面2aに設けられ、4つの突出部23のそれぞれに第1カム面Caが設けられている。また、第1カム面Caのうちの1つは、本実施形態では、
図13に示されるように、進退部材3が前進保持位置で保持されているときの被ガイド部Cdの軸X周り方向での位置と対応した位置に設けられている。また、第1カム面Caのうちの他の1つは、本実施形態では、
図15に示されるように、進退部材3が後退保持位置で保持されているときの被ガイド部Cdの軸X周り方向での位置と対応した位置に設けられている。したがって、進退部材3が前進保持位置または後退保持位置から後退方向D2に移動したときに、第1カム面Caと被ガイド部Cdの第1接触面Cd1とを確実に接触させることができる。
【0034】
第2カム面Cbは、
図14および
図15に示されるように、進退部材3が前進保持位置から折り返し位置を経由して後退保持位置で保持される際に、進退部材3が折り返し位置から前進方向D1に移動したときに、被ガイド部Cdの第2接触面Cd2と接触して、進退部材3を軸X周り方向で一方の方向D3に回転させるように傾斜している。第2カム面Cbは、
図15に示されるように、第2接触面Cd2と接触した状態で、進退部材3が(付勢部材4の付勢力によって)前進方向D1にさらに移動しようとするときに、進退部材3が軸X周り方向で一方の方向D3に回転する力が生じるように傾斜している。第2カム面Cbの傾斜角は、第2カム面Cbと第2接触面Cd2とが接触した状態で、進退部材3が前進方向D1にさらに移動しようとするときに、進退部材3が軸X周り方向で一方の方向D3に回転する力が生じる傾斜角であれば、特に限定されない。
【0035】
第2カム面Cbは、本実施形態では、ケース2に設けられている。より具体的には、第2カム面Cbは、
図4~
図9に示されるように、ケース2の進退部材収容部21に設けられている。本実施形態では、第2カム面Cbは、筒状体によって構成された進退部材収容部21に設けられた傾斜面(後退方向D2側の端部の傾斜面)によって構成されている。本実施形態では、
図13に示されるように、進退部材収容部21の後退方向D2側の端部に、軸X周り方向に離間して2つの第2カム面Cbが設けられている。本実施形態では、1つの第2カム面Cbは、
図13に示されるように、1つの第1カム面Ca(突出部23)の、軸X周り方向で一方の方向D3側の端部(
図13における左側の端部)から、隣接するもう1つの第1カム面Ca(突出部23)の、軸X周り方向で一方の方向D3側の端部まで延びている。第2カム面Cbは、軸X周り方向で一方の方向D3側の端部(
図13において第2カム面Cbの左側の端部)に、第2カム面Cbに沿って一方の方向D3に移動する被ガイド部Cdを所定の位置(後退保持位置)で停止させる停止部ST(
図13参照)を有している。停止部STは、第2カム面Cbの傾斜面に対して後退方向D2に延びる壁部によって構成されている。また、第2カム面Cbは、軸X周り方向で他方の方向側の端部(
図13において第2カム面Cbの右側の端部)において、ガイド部Ccの後退方向D2側の開放した端部と繋がっている。
【0036】
ガイド部Ccは、進退部材3の被ガイド部Cdを軸X方向に案内する。ガイド部Ccは、軸X方向に延びており、進退部材3が前進保持位置から後退方向D2に向かって移動する際、または、進退部材3が前進保持位置に向かって前進方向D1に移動する際に、被ガイド部Cdを軸X方向に案内して、進退部材3が軸X方向に円滑に移動することを補助する。
【0037】
ガイド部Ccは、本実施形態では、ケース2に設けられている。より具体的には、ガイド部Ccは、ケース2の進退部材収容部21に設けられている。本実施形態では、ガイド部Ccは、
図4~
図9に示されるように、筒状体によって構成された進退部材収容部21の側面において軸X方向に所定の幅で切り欠かれたガイド溝によって構成されている。ガイド部Ccは、被ガイド部Cdをガイド部Cc内で案内できるように、軸X方向に延びる一対の側縁の間隔であるガイド部Ccの幅(軸X周り方向の幅)は、軸X周り方向での被ガイド部Cdの幅よりも大きくなっている。ガイド部Ccの前進方向D1側の端部は、被ガイド部Cdと当接可能な停止部ST2(
図13参照)を有し、停止部ST2が被ガイド部Cdの第2接触面Cd2と接触することで、進退部材3が前進保持位置で停止して保持される。ガイド部Ccの後退方向D2側の端部は開放しており、被ガイド部Cdがガイド部Ccの内側から第1カム面Caへ向かって後退方向D2に、ガイド部Ccの後退方向D2側からガイド部Ccの内側に向かって前進方向D1に移動できるようになっている。
【0038】
また、カム機構Cは、進退部材3が後退保持位置から折り返し位置を経由して前進保持位置へと向かう際に(
図15および
図16参照)、被ガイド部Cdをガイド部Ccへと案内する導入部Ceを有している。導入部Ceは、被ガイド部Cdの第2接触面Cd2と接触した状態で、進退部材3が(付勢部材4の付勢力によって)前進方向D1にさらに移動しようとするときに、進退部材3が軸X周り方向で一方の方向D3に回転する力が生じるように傾斜している。導入部Ceの傾斜角は、導入部Ceと第2接触面Cd2とが接触した状態で、進退部材3が前進方向D1にさらに移動しようとするときに、進退部材3が軸X周り方向で一方の方向D3に回転する力が生じる傾斜角であれば、特に限定されない。
【0039】
導入部Ceは、本実施形態では、ケース2に設けられている。より具体的には、導入部Ceは、ケース2の進退部材収容部21に設けられている。本実施形態では、導入部Ceは、
図4に示されるように、筒状体によって構成された進退部材収容部21に設けられた傾斜面(後退方向D2側の端部の傾斜面)によって構成されている。本実施形態では、
図13に示されるように、進退部材収容部21の後退方向D2側の端部に、軸X周り方向に離間して2つの導入部Ceが設けられている。本実施形態では、導入部Ceは、軸X周り方向で停止部STを間に挟んで第2カム面Cbに隣接して設けられている。また、導入部Ceは、軸X周り方向でガイド部Ccと第2カム面Cbの間に設けられている。
【0040】
被ガイド部Cdは、進退部材3に設けられている。被ガイド部Cdは、
図13~
図16に示されるように、第1カム面Ca、第2カム面Cb、ガイド部Cc等に案内され、これにより、進退部材3が前進保持位置、後退保持位置、折り返し位置に移動する。被ガイド部Cdは、本実施形態では、
図11および
図12に示されるように、進退部材3の外周に設けられている。より具体的には、被ガイド部Cdは、進退部材3の本体32の軸X周り方向に延びる側面から突出して設けられている。被ガイド部Cdは、第1カム面Caと接触する第1接触面Cd1および第2カム面Cbと接触する第2接触面Cd2を有している。また、被ガイド部Cdは、ガイド部Ccの一対の側縁に対向し、軸X方向に延びる一対の対向側縁を有している。一対の対向側縁は、進退部材3の被ガイド部Cdがガイド部Ccに案内される際に、ガイド部Ccの一対の側縁に対して摺動可能となっている。
【0041】
被ガイド部Cdの形状は、被ガイド部Cdが第1カム面Ca、第2カム面Cb、ガイド部Cc等に案内されて、進退部材3が前進保持位置、後退保持位置、折り返し位置に移動することができれば、特に限定されない。本実施形態では、被ガイド部Cdは、
図13に示されるように、軸X周り方向の一方が上底、他方が下底となると等脚台形状に形成されている。
【0042】
第1接触面Cd1は、進退部材3が後退方向D2に移動したときに、第1カム面Caと接触する面である。
図14に示されるように、第1接触面Cd1が第1カム面Caに接触した状態で、進退部材3がさらに後退方向D2に移動することによって、進退部材3が軸X周り方向で一方の方向D3に回転する。第1接触面Cd1の形状および構造は、第1カム面Caに接触した状態で、進退部材3がさらに後退方向D2に移動することによって、進退部材3を軸X周り方向で一方の方向D3に回転させることができれば、特に限定されない。本実施形態では、第1接触面Cd1は、第1カム面Caの傾斜角に対応した角度で同方向に傾斜している。
【0043】
第2接触面Cd2は、進退部材3が前進保持位置から後退保持位置に移動する際に折り返し位置から前進方向D1に移動するときに、第2カム面Cbと接触する。また、本実施形態では、第2接触面Cd2は、進退部材3が後退保持位置から前進保持位置に移動する際に折り返し位置から前進方向D1に移動するときに、導入部Ceと接触する。
図15および
図16に示されるように、第2接触面Cd2が第2カム面Cbまたは導入部Ceに接触した状態で、進退部材3がさらに前進方向D1に移動することによって、進退部材3が軸X周り方向で一方の方向D3に回転する。第2接触面Cd2の形状および構造は、第2カム面Cbまたは導入部Ceに接触した状態で、進退部材3がさらに前進方向D1に移動することによって、進退部材3を軸X周り方向で一方の方向D3に回転させることができれば、特に限定されない。本実施形態では、第2接触面Cd2は、第2カム面Cbおよび導入部Ceの傾斜角に対応した角度で同方向に傾斜している。
【0044】
ロック部材5は、ロック位置に位置するときに、進退部材3が後退保持位置から前進保持位置へと移動することを規制する(
図9および
図19参照)。より具体的には、ロック部材5は、進退部材3が後退保持位置から折り返し位置に向かって後退方向D2へ移動することを規制することで、後退保持位置から前進保持位置へと移動することを規制する。
【0045】
上述したように、ロック部材5は、ロック位置(
図10の実線の位置参照)とアンロック位置(
図10の二点鎖線の位置参照)との間を移動する。ロック部材5のロック位置は、進退部材3が後退保持位置に位置するときに、進退部材3の前進保持位置への移動を規制することが可能な位置である。より具体的には、ロック位置は、進退部材3が後退保持位置から折り返し位置に向かって後退方向D2へ移動しようとしたときに、進退部材3が後退保持位置から折り返し位置に到達できないように、進退部材3の後退方向D2への移動を遮ることができる位置である(
図19参照)。ロック部材5は、
図4および
図17~
図19に示されるように、ロック部材5の前進方向D1側に設けられた被当接部5aを有している。被当接部5aは、後述する進退部材3の当接部CTに当接して、進退部材3の後退方向D2への移動を規制する。なお、本実施形態では、ロック位置にあるロック部材5は、進退部材3の後退方向D2への移動を規制するが、進退部材3の前進方向D1の移動および軸X周り方向の回転は規制していない。また、アンロック位置は、前進保持位置と後退保持位置との間での進退部材3の移動軌跡上からロック部材5が外れて、進退部材3の前進保持位置への移動を許容する位置である。
【0046】
本実施形態では、ロック部材5は、
図10に示されるように、軸Xに対して垂直な方向から軸Xに近付く方向に移動して、アンロック位置(
図10の二点鎖線参照)からロック位置(
図10の実線参照)へと移動している。しかし、ロック部材5の移動方向は、ロック位置とアンロック位置との間で移動可能に設けられていれば、特に限定されない。例えば、ロック部材5は、アンロック位置からロック位置へと軸X方向に移動してもよい(例えばロック部材5がアンロック位置から前進方向D1(
図4において下から上)に移動してロック位置へと到達してもよい)。
【0047】
ロック部材5の形状および構造は、ロック位置とアンロック位置との間を移動することができれば、特に限定されない。本実施形態では、ロック部材5は、
図4~
図10に示されるように、進退部材3に当接可能なロック本体51と、ロック本体51をロック位置およびアンロック位置に移動させる駆動部52とを有している。
【0048】
ロック本体51は、ロック位置に位置するときに、進退部材3の当接部CTと当接することで、進退部材3の後退方向D2への移動を所定範囲に制限し、進退部材3が折り返し位置に到達することを規制する。ロック本体51は、
図4~
図9に示されるように、ロック位置に位置するときに、進退部材3の当接部CTと軸X方向で対向する被当接部5aを有している。
【0049】
ロック本体51の形状および構造は、進退部材3の当接部CTと当接することで、進退部材3の後退方向D2への移動を所定範囲に制限し、進退部材3が折り返し位置に到達することを規制することができれば、特に限定されない。本実施形態では、ロック本体51は、
図4~
図10に示されるように、駆動部52によって駆動される被駆動部511と、被駆動部511から延び、被当接部5aを有する延設部512とを有している。被駆動部511は、本実施形態では、駆動部52のネジ軸522の外周に螺合する雌ネジ部を有している。被駆動部511は、ネジ軸522が軸周りに回転した際に、ネジ軸522と共回りすることが規制されている。これにより、ネジ軸522が軸周りに回転すると、ネジ軸522の回転方向に応じて、被駆動部511を含むロック本体51がネジ軸522の軸方向に移動する。これにより、ロック本体51は、ロック位置、アンロック位置へと移動することができる。延設部512の形状は特に限定されないが、本実施形態では、L字状に延びている。被当接部5aは、延設部512の先端の前進方向D1側に平坦面として設けられている。なお、延設部512は、
図7~
図9に示されるように、ロック部材5がロック位置に位置したときに、軸X周り方向で隣接する一対の突出部23の間の空間へと入り込むように構成されている。
【0050】
駆動部52は、ロック本体51をロック位置およびアンロック位置に移動させる。駆動部52の構造は、ロック本体51をロック位置およびアンロック位置に移動させることができれば、特に限定されない。駆動部52は、本実施形態では、電動の駆動部であるが、手動の駆動部であってもよい。
【0051】
本実施形態では、駆動部52は、
図4~
図10に示されるように、正逆回転可能なモータ521と、モータ521の駆動力によって回転するネジ軸522とを備えている。ネジ軸522は外周に雄ネジが形成された軸部材である。ネジ軸522は、上述したように、ロック本体51の被駆動部511に設けられた雌ネジと螺合している。モータ521の駆動力によってネジ軸522が一方の方向に回転すると、ネジ軸522との共回りが規制されたロック本体51は、ネジ軸522の軸方向に沿ってロック位置に向かって(
図10の二点鎖線で示された位置から実線で示された位置に向かって)移動する。また、モータ521の駆動力によってネジ軸522が他方の方向に回転すると、ロック本体51は、ネジ軸522の軸方向に沿ってアンロック位置に向かって(
図10の実線で示された位置から二点鎖線で示された位置に向かって)移動する。これにより、ロック本体51がロック位置およびアンロック位置に移動することができる。
【0052】
次に、進退部材3をより詳細に説明する。
【0053】
図11~
図13に示されるように、進退部材3の後退方向D2側の端部は、軸X方向で後退方向D2に突出した凸部3aと、凸部3aに対して前進方向D1に凹状に形成された凹部3bとを有している。凹部3bは、進退部材3の軸X周り方向で凸部3aに隣接している。
【0054】
凸部3aは、進退部材3の後退方向D2側の端部において、凹部3bに対して軸X方向で後退方向D2に突出した部位である。凸部3aの数は特に限定されないが、本実施形態では、
図11~
図13に示されるように、凸部3aは、軸X周り方向に複数(本実施形態では軸Xに対して対称に2つ)設けられている。
【0055】
凸部3aは、
図11~
図13に示されるように、進退部材3が後退保持位置にあるときに、ロック位置にあるロック部材5の被当接部5aと当接可能な当接部CTを有している。後述するように、進退部材3が後退保持位置にあるときに、進退部材3が後退方向D2に移動した場合に、凸部3aの当接部CTが、ロック部材5の被当接部5aと当接することによって、進退部材3が折り返し位置に到達することを抑制し、進退部材3が後退保持位置から前進保持位置に移動することが規制される。
【0056】
当接部CTは、本実施形態では、凸部3aの後退方向D2側の端部である。当接部CTは、
図19に示されるように、進退部材3が後退保持位置にあるときに、進退部材3が後退方向D2に移動しようとしたときに、ロック位置に位置するロック部材5の被当接部5aと当接する。なお、進退部材3が後退保持位置で保持されるときの、進退部材3の当接部CTと被当接部5aとの間の軸X方向の間隔は、進退部材3が折り返し位置に到達できない間隔に設定されている。これにより、後述するように、進退部材3が折り返し位置に到達できず、進退部材3が後退保持位置から前進保持位置に移動することが規制される。
【0057】
また、
図17~
図19に示されるように、進退部材3が前進保持位置から折り返し位置を介して後退保持位置に移動する際に、ロック部材5がロック位置に位置していたとしても、当接部CTがロック部材5の被当接部5aと当接しないように、カム機構Cが進退部材3を案内している。これにより、後述するように、進退部材3は、ロック部材5がロック位置に位置している場合に、後退保持位置から前進保持位置までは移動できないが、前進保持位置から後退保持位置までは移動することができる。なお、凸部3aは、
図17~
図19に示されるように、進退部材3が前進保持位置から折り返し位置を介して後退保持位置に移動する際に、進退部材3が軸X周りに回転したときに、ロック位置に位置するロック部材5と衝突しないように突出している。凸部3aの軸X周り方向の幅は、後退保持位置に位置する進退部材3が後退方向D2に移動したときに、ロック位置に位置するロック部材5の被当接部5aに当たるように構成されていれば、特に限定されない。
【0058】
凹部3bは、
図11~
図13に示されるように、進退部材3の後退方向D2側の端部において、凸部3aに対して軸X方向で前進方向D1に凹んだ部位である。凹部3bによって、凸部3aに対して軸X周り方向で隣接する領域に凹状空間SP(
図11参照)が形成されている。本実施形態では、凹部3bは、軸X周り方向で一対の凸部3aの間に設けられ、一対の凸部3aの間に凹状空間SPが形成されている。本実施形態では、凹部3bは、軸X周り方向に複数(本実施形態では軸Xに対して対称に2つ)設けられている。
【0059】
詳細は後述するが、凹部3bは、ロック部材5がロック位置に位置し、かつ、進退部材3が前進保持位置から折り返し位置に到達したときに、ロック部材5が凹状空間SP内に配置されるように構成されている(
図17および
図18参照)。本実施形態では、凹部3bは、前進保持位置から折り返し位置に到達したときにロック部材5の被当接部5aを含む部分を凹部3bの凹状空間SPに収容することができるような、軸X周り方向の幅および軸X方向の深さで形成されている。また、本実施形態では、凹部3bは、進退部材3が後退保持位置に向かって軸X周り方向で一方の方向D3に回転するときに、ロック部材5が凸部3aに当たらないような軸X周り方向の幅および軸X方向の深さで形成されている。
【0060】
本実施形態では、
図17および
図18に示されるように、ロック部材5がロック位置に位置し、かつ、進退部材3が前進保持位置から折り返し位置に到達したときには、進退部材3の当接部CTが被当接部5aに対して、軸X方向で対向しない位置に位置し、ロック部材5が凹状空間SP内に配置されている。進退部材3が前進保持位置から折り返し位置に到達するときに、
図17および18に示されるように、凸部3aの当接部CTは軸X方向で被当接部5aよりも後退方向D2側の位置に到達するが、当接部CTが被当接部5aに対して軸X方向で対向しない位置、すなわち軸X周り方向でずれた位置に位置している。これにより、進退部材3が、前進保持位置から折り返し位置に移動するときに、ロック位置にあるロック部材5の被当接部5aと、進退部材3の当接部CTとは当接しない。また、ロック位置に位置するロック部材5は、凹状空間SP内に入るので、凹部3bの位置で被当接部5aと進退部材3とが接触することもない。したがって、進退部材3の後退方向D2への移動が阻害されず、進退部材3は折り返し位置に到達することができる。よって、進退部材3は折り返し位置に到達することができ、後退保持位置まで移動することができる。このように、ロック部材5がロック位置にある場合であっても、進退部材3の前進保持位置から後退保持位置までの操作が可能となる。
【0061】
また、
図19に示されるように、進退部材3が折り返し位置から軸X周りに回転して後退保持位置に保持されたときには、進退部材3の当接部CTは、ロック位置にあるロック部材5の被当接部5aに対して、軸X方向で対向した位置に位置している。また、進退部材3が後退保持位置で保持されるときの、当接部CTと被当接部5aとの間の軸X方向の間隔G1は、進退部材3が、後退保持位置から折り返し位置に到達できない距離に設定されている。なお、間隔G1は、進退部材3が後退保持位置から折り返し位置に到達できない距離であれば特に限定されないが、例えば、進退部材3が後退保持位置で保持されるときの、当接部CTと被当接部5aとの間の軸X方向の間隔G1(
図19参照)は、進退部材3が後退保持位置に位置するときの第1カム面Caと第1接触面Cd1との間の軸X方向の間隔G2(
図19参照)より小さいことが好ましい。この場合、より確実に進退部材3が折り返し位置に到達することを抑制することができる。
【0062】
上述したように、進退部材3が後退保持位置で保持されているときに、当接部CTが被当接部5aに対向し、当接部CTと被当接部5aとの間の間隔G1が、進退部材3が折り返し位置に到達できない距離に設定されている。これにより、
図19に示されるように、進退部材3が後退方向D2に移動したとしても、進退部材3は折り返し位置に到達することができない。したがって、進退部材3は後退保持位置から前進保持位置に移動することができず、ロック部材5によって進退部材3を後退保持位置でロックすることができる。
【0063】
また、ロック部材5は、進退部材3の軸X方向の位置にかかわらず、ロック部材5をロック位置に移動させることができる。具体的には、
図13に示されるように、進退部材3が前進保持位置にあるときは、進退部材3が前進方向D1側に位置し、後退方向D2側には大きな空間ができるので、ロック部材5をアンロック位置からロック位置に移動させることができる。また、
図15に示されるように、進退部材3が後退保持位置にあるときに、凸部3aの当接部CTの後退方向D2側には、ロック部材5をロック位置に移動させることができるスペースが形成されており、ロック部材5の被当接部5aが進退部材3の当接部CTに対向するように、ロック部材5をロック位置に移動させることができる。したがって、進退部材3の軸X方向の位置にかかわらず、ロック部材5をロック位置に移動させることができる。
【0064】
また、進退部材3が前進保持位置にある状態で、ロック部材5をロック位置に移動させた場合、
図17および
図18に示されるように、進退部材3が前進保持位置から折り返し位置までの間は、当接部CTと被当接部5aとは軸X方向で対向していない。その後、
図18および
図19に示されるように、進退部材3が軸X周りに回転することによって、折り返し位置から後退保持位置までの移動過程で、当接部CTが被当接部5aと軸X方向で対向する位置にシフトする。したがって、前進保持位置でロック部材5をロック位置に移動させたとしても、進退部材3は後退保持位置に移動することができるとともに、後退保持位置に移動した時点で、ロック部材5による進退部材3のロックが完了する。したがって、従来のように、進退部材が前進保持位置のときにロック部材によるロック動作が行うことができず、進退部材を後退保持位置に移動させてからでなければロック動作を行うことができないものとは異なり、本実施形態の進退移動装置1は、進退部材3のロックを簡単に行うことができる。
【0065】
次に、進退移動装置1がリッド開閉装置Dに適用された例を挙げて、本実施形態の進退移動装置1の動作を説明する。なお、以下の説明はあくまで一例であり、以下の説明によって、本発明が限定されるものではない。
【0066】
リッドL(
図3参照)が閉鎖された状態は、
図15、
図19に示されるように、進退部材3が後退保持位置に位置した状態に対応している。
図19に示される状態において、ロック部材5によって進退部材3が前進保持位置への移動が規制されているので、リッドLの開放がロックされている。この状態から、給油等を行うために、リッドLを開放する場合、まずロック部材5によるロック状態を解除する。具体的には、リモートキーなどの操作手段を用いて、
図15に示されるように、ロック部材5をアンロック位置に移動させる(例えば、駆動部52にアンロック信号を送信し、駆動部52によってロック本体51がアンロック位置に移動する)。ロック部材5がアンロック位置に移動すると、リッドLを押圧することで、リッドLの開放が可能となる。
【0067】
リッドLを押圧すると、リッドLによって進退部材3が後退方向D2に押圧されて後退方向D2に移動する。進退部材3が後退保持位置から後退方向D2に移動すると、
図16に示されるように、被ガイド部Cdの第1接触面Cd1が第1カム面Caに接触しながら、被ガイド部Cdが軸X周り方向の一方の方向D3に移動して、進退部材3が折り返し位置に到達する。進退部材3が折り返し位置に到達した後、リッドLの押圧操作が解除されると、前進方向D1への付勢部材4の付勢力によって進退部材3は前進方向D1に移動する。進退部材3が前進方向D1に移動すると、
図16に示されるように、被ガイド部Cdの第2接触面Cd2が導入部Ceに接触しながら被ガイド部Cdが軸X周り方向の一方の方向D3に移動して、被ガイド部Cdがガイド部Ccに入る。被ガイド部Cdがガイド部Ccに入ると、付勢部材4の付勢力によって、進退部材3は前進方向D1に移動して、前進保持位置に到達する(
図13参照)。進退部材3が前進保持位置に到達すると、
図3に示されるように、リッドLが開放して給油口から給油を行うことができるようになる。なお、この状態において、車両の運転者は運転席から離れることになるため、給油中に車両が盗難されないように、ドアをロックする場合がある。ドアのロックは例えばリモートキーなどの操作手段を用いて、ドアのロック信号を送信することで行うことができる。本実施形態では、駆動部52は、車両のドアのロック信号に応じてロック本体51をロック位置に移動させるように制御されている。この場合、リッドLが開放した給油中にドアのロックを行ったときに、リッドLがロック部材5によるロックの準備状態(
図7および
図17参照)となり、リッドLを閉鎖した時点でリッドLのロックを完了させることができる(
図8および
図19参照)。
【0068】
リッドLが開放した状態で給油が完了すると、給油口を閉じてリッドLが閉鎖される。リッドLが閉鎖されると、リッドLによって進退部材3が後退方向D2に押圧されて前進保持位置から後退方向D2に移動する。進退部材3が前進保持位置から後退方向D2に移動すると、
図17に示されるように、被ガイド部Cdの第1接触面Cd1が第1カム面Caに接触しながら、被ガイド部Cdが軸X周り方向の一方の方向D3に移動して、進退部材3が折り返し位置に到達する。このとき、ロック部材5が
図17に示されるようにロック位置に位置している場合であっても、進退部材3は凹部3bを有しているため、ロック部材5が凹部3bの凹状空間SP内に入り、凸部3aの当接部CTはロック部材5の被当接部5aと対向していないため、進退部材3は折り返し位置に到達することができる。
図18に示されるように、進退部材3が折り返し位置に到達した後、リッドLの押圧操作が解除されると、前進方向D1への付勢部材4の付勢力によって進退部材3は前進方向D1に移動する。進退部材3が前進方向D1に移動すると、
図18に二点鎖線で示されるように、被ガイド部Cdの第2接触面Cd2が第2カム面Cbに接触しながら被ガイド部Cdが軸X周り方向の一方の方向D3に移動して、被ガイド部Cdが停止部STに接触して停止する(
図19参照)。これによって、進退部材3が後退保持位置に保持される。
【0069】
図19に示されるように、進退部材3が後退保持位置に保持された状態において、進退部材3の凸部3aの当接部CTは、ロック部材5の被当接部5aと対向する。本実施形態では、当接部CTと被当接部5aとの間の間隔G1は、第1カム面Caと第1接触面Cd1との間の軸X方向の間隔G2より小さい。したがって、被ガイド部Cdが停止部STを乗り越える前に、凸部3aの当接部CTがロック部材の被当接部5aに当接する。これにより、進退部材3は折り返し位置に到達することができない。したがって、リッドLが押圧されたとしても、進退部材3が折り返し位置に到達できないので、リッドLが開放することが抑制される。
【符号の説明】
【0070】
1 進退移動装置
2 ケース
2a 底面
21 進退部材収容部
22 ロック部材収容部
23 突出部
24 支持軸
3 進退部材
3a 凸部
3b 凹部
31 係止部
32 本体
321 付勢部材収容部
4 付勢部材
5 ロック部材
5a 被当接部
51 ロック本体
511 被駆動部
512 延設部
52 駆動部
521 モータ
522 ネジ軸
B 基部(車体)
Ba 開口部
C カム機構
Ca 第1カム面
Cb 第2カム面
Cc ガイド部
Cd 被ガイド部
Cd1 第1接触面
Cd2 第2接触面
Ce 導入部
CT 当接部
D リッド開閉装置
D1 前進方向
D2 後退方向
D3 軸周り方向の一方の方向
G1 当接部と被当接部との間の軸方向の間隔
G2 第1カム面と第1接触面との間の軸方向の間隔
H ヒンジ
L リッド(フューエルリッド)
La 操作対象側被係止部
SP 凹状空間
ST、ST2 停止部
X 軸