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  • 特開-電気柵用防草シート 図1
  • 特開-電気柵用防草シート 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171045
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】電気柵用防草シート
(51)【国際特許分類】
   A01M 21/00 20060101AFI20221104BHJP
   A01K 3/00 20060101ALI20221104BHJP
   A01M 29/24 20110101ALI20221104BHJP
   A01M 29/30 20110101ALI20221104BHJP
【FI】
A01M21/00 A
A01K3/00
A01M29/24
A01M29/30
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077422
(22)【出願日】2021-04-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】591012392
【氏名又は名称】日本マタイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(74)【代理人】
【識別番号】100198605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡地 優司
(72)【発明者】
【氏名】堀田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】中林 政勝
(72)【発明者】
【氏名】来田 智行
(72)【発明者】
【氏名】藤井 武
【テーマコード(参考)】
2B101
2B121
【Fターム(参考)】
2B101HA06
2B121AA01
2B121AA19
2B121BB28
2B121BB31
2B121DA04
2B121EA26
2B121FA12
2B121FA13
(57)【要約】
【課題】田畑の周囲に張設された電気柵の下方に容易に敷設でき、田畑に侵入しようとする動物に効率よく電気的な衝撃を与えることが可能な電気柵用防草シートを提供する。
【解決手段】本発明に係る電気柵用防草シートは、田畑に侵入しようとする動物に電気的な衝撃を与える電気柵の下方に敷設される防草シートであって、織布又は不織布である基材シートと、前記基材シートの少なくとも一方の表面に形成された、導電性樹脂からなる導電性樹脂層とを有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
田畑に侵入しようとする動物に電気的な衝撃を与える電気柵の下方に敷設される防草シートであって、
織布又は不織布である基材シートと、
前記基材シートの少なくとも一方の表面に形成された、導電性樹脂からなる導電性樹脂層と
を有する
電気柵用防草シート。
【請求項2】
前記織布又は不織布が、ポリオレフィン繊維からなる
請求項1に記載の電気柵用防草シート。
【請求項3】
前記基材シートの厚みが、100μm以上1000μm以下である
請求項1又は2に記載の電気柵用防草シート。
【請求項4】
前記導電性樹脂層が、押出ラミネート層である
請求項1~3のいずれか1項に記載の電気柵用防草シート。
【請求項5】
前記導電性樹脂層が、前記基材シートの少なくとも一方の表面の一部のみに形成されている
請求項1~4のいずれか1項に記載の電気柵用防草シート。
【請求項6】
前記導電性樹脂層は、前記基材シートの表面に2mm以上50mm以下の幅を有する帯状に形成されている
請求項1~5のいずれか1項に記載の電気柵用防草シート。
【請求項7】
前記帯状の導電性樹脂層は、10mm以上200mm以下の間隔を空けて形成されている
請求項6に記載の電気柵用防草シート。
【請求項8】
前記導電性樹脂層が、前記基材シートの両面に形成されている
請求項1~7のいずれか1項に記載の電気柵用防草シート。
【請求項9】
前記導電性樹脂層の厚みが、15μm以上200μm以下である
請求項1~8のいずれか1項に記載の電気柵用防草シート。
【請求項10】
前記導電性樹脂層の表面抵抗率が、1.0×10Ω以下である
請求項1~9のいずれか1項に記載の電気柵用防草シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田畑に侵入しようとする動物に電気的な衝撃を与える電気柵の下方に敷設される電気柵用防草シートに関する。
【背景技術】
【0002】
イノシシ、猿、鹿等の獣害が田畑を荒らすことを防止するため、田畑の周囲に電気柵を設置して、田畑に侵入しようとする動物に電気的な衝撃を与える方法が知られている。ところが、電気柵の周辺で繁殖した植物が電気柵の電線に接触すると、植物を通して地面へ電流が流れることで電気柵の電圧降下が起こり、動物に与えられる電気的な衝撃が弱くなってしまう。この対策として、電気柵の下方に防草シートを敷設する方法が採られることもあるが、通常の防草シートは絶縁体であるため、動物が防草シートに乗った状態で電気柵に接触した場合、防草シートが抵抗となって動物に与えられる電圧が低下してしまい、その効果が低下することがあった。そこで、防草シートに導電性を付与する検討がなされている。
【0003】
特許文献1には、田畑の周囲に裸電線を張設し、この裸電線に衝撃電圧を印加して、害獣の田畑への侵入を防止する電気柵において、その裸電線の下方に敷設する電気柵用防草シートであって、化学繊維を織って作られたシートに、導電物を織り込んだことを特徴とする電気柵用防草シートが記載されている。
【0004】
特許文献2には、田畑の周囲に導電性の網を設置しその導電部に衝撃高圧を印加して、侵入しようとする猿、猪、ハクビシンなどの害獣を感電させることによって撃退する電気柵において、以下のように構成した、電気柵を設置した地表に草が生えることを防止するための電気柵用防草シートが記載されている。
(ア)電気柵を設置した地表に金属製薄板を敷設して、地表に草が生えることを防止するための防草シートとする。
(イ)この金属製薄板の表面に金属製薄板の長さ方向の中心線を書き、防草シートを敷設した後の電気柵の支柱の立設や導電性の網の張設を行い易くする。
(ウ)上記の中心線と直交する平行線を等間隔に書いて、可撓性の無い金属製薄板を地表に敷設する時に進行方向を変える作業を行い易くする。
(エ)上記の平行線上の金属製薄板の両端の近くにそれぞれ穴を開けて、留め具を使って金属製薄板を地表に固定する作業を行い易くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-299433号公報
【特許文献2】実用新案登録第3187982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では、耐候性ポリプロピレンなどの化学繊維を織って作られたシートに、ステンレス線のような金属製の導電糸を織り込んでいるが、織り加工中の生産性の低下や生産設備上での金属摩耗などの弊害があり、また、使用後に廃棄する際には化学繊維に金属が混合していることから、分別に手間を要することとなる。さらに、導電糸に動物が接触する確率を上げるためには導電糸の挿入本数を増やす必要があり、挿入する本数を増やすごとにコストが上昇してしまうという問題もある。
【0007】
特許文献2では、防草シートとして金属製薄板を使用していることから、それを敷設する際の作業性が低く、敷設の方向を変えることも難しい。また、金属製薄板の両端や重ねた部分の境目では段差が生じてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、田畑の周囲に張設された電気柵の下方に容易に敷設でき、田畑に侵入しようとする動物に効率よく電気的な衝撃を与えることが可能な電気柵用防草シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、田畑に侵入しようとする動物に電気的な衝撃を与える電気柵の下方に敷設される電気柵用防草シートであって、織布又は不織布である基材シートと、前記基材シートの少なくとも一方の表面に形成された、導電性樹脂からなる導電性樹脂層とを有する電気柵用防草シートである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、田畑の周囲に張設された電気柵の下方に容易に敷設でき、田畑に侵入しようとする動物に効率よく電気的な衝撃を与えることが可能な電気柵用防草シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る電気柵用防草シートの構成の一例を示す模式的斜視図である。
図2】本発明に係る電気柵用防草シートの構成の一例を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る電気柵用防草シートは、田畑に侵入しようとする動物に電気的な衝撃を与える電気柵の下方に敷設されるものである。電気柵は、イノシシ、猿、鹿等の獣害が田畑を荒らすことを防止するためのものであり、通常は田畑の周囲に張設され、所定の電圧を印加する。そうすることで、田畑に侵入しようとする動物が電気柵に触れると、電気柵から動物に電気的な衝撃が付与される。電気柵用防草シートは、その電気柵の下方に敷設されるものであって、電気柵の周辺で繁殖した植物が電気柵の電線に接触すると、植物を通して地面へ電流が流れることで電気柵の電圧降下が起きることを防止するためのものである。
【0013】
本発明に係る電気柵用防草シートの構成の一例を図1(斜視図)及び図2(断面図)に示す。この電気柵用防草シート1は、基材シート11と、基材シートの表面に帯状に形成された導電性樹脂層12とを有している。
【0014】
基材シート11は、織布又は不織布からなる。すなわち、基材シート11は繊維からなり、通常は、複数本のモノフィラメントやフラットヤーンが用いられ、適宜撚りや繊維束としてシート状に加工したものである。繊維(繊維束)を経糸・緯糸にして織ったものが織布であり、繊維(繊維束)を一定方向又はランダムに配向させた状態で繊維間を接着又は絡み合わせたものが不織布である。基材シート11として使用される織布又は不織布は特に限定されないが、上面に溜まった雨水などが地面に抜けやすくするため、透水性を有するものが好ましい。また、透水効果を高めたい場合は、親水性のある界面活性剤等を塗布することが好ましい。また、光合成による植物の成長を抑制するために遮光性を有するものが好ましい。遮光効果を高めたい場合は、光を透過させない顔料等を繊維に含ませるか繊維に付着させることが好ましい。
【0015】
基材シート11を構成する繊維は、樹脂製の繊維であることが好ましく、具体的には、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維)、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリ乳酸繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維が挙げられる。なかでも、取り扱い性が良好なポリオレフィン繊維が好ましい。これらの繊維には、主成分となる樹脂以外に他の添加剤が含まれていてもよい。基材シート11を構成する繊維は、導電性を有していてもよいが、導電性を有していなくても構わない。
【0016】
基材シート11の厚みは、100μm以上1000μm以下であることが好ましく、200μm以上800μm以下であることがより好ましく、300μm以上600μm以下であることがさらに好ましい。基材シート11が厚く密度が高いほど、電気柵用防草シートの機械的強度が強くなり、防草効果が増加する。基材シート11が薄いほど、電気柵用防草シート1の厚さ方向の導電抵抗が小さくなり、動物に与える電気的な衝撃が大きくなるが防草効果が低下する。なお、基材シート11の厚みは、織布の場合はJIS L1096に準じて測定することができ、不織布の場合はJIS L1913に準じて測定することができる。基材シート11の目付は、10g/m以上500g/m以下であることが好ましく、50g/m以上300g/m以下であることがより好ましく、100g/m以上250g/m以下であることがさらに好ましい。
【0017】
導電性樹脂層12は、導電性樹脂からなるものであり、基材シート11の少なくとも一方の表面に形成されている。導電性樹脂層12は、基材シート11の片面にのみ形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。基材シート11の両面に導電性樹脂層12が形成されていると、電気柵用防草シート1の厚さ方向の導電抵抗が、導電性樹脂層12が片面のみに形成される場合より小さくなり、動物に与える電気的な衝撃の低下が抑制される。
【0018】
また、導電性樹脂層12は、基材シート11の少なくとも一方の全面に形成されていてもよいが、その表面の一部のみに形成されていてもよい。基材シート11に透水性がある場合、基材シート11の少なくとも一方の表面の一部のみに導電性樹脂層12が形成されていることで、上面に溜まった雨水などが基材シート11を通過して地面に抜けやすくなる。
【0019】
導電性樹脂層12を設ける部分については、特に制限されない。一般的な電気柵は、動物の侵入を防止する田畑等とその外側の区域を画する境界線に沿って、所定の間隔を空けて支柱を地面に打ち込み、それぞれの支柱の高さ方向における数点を通るように電線が施設され、この電線の下の地面に沿って、電気柵用防草シート1が敷かれるが、いずれの箇所においても、上面に溜まった雨水などが除去できるように、導電性樹脂層12が設けられる部分を調整することができる。
【0020】
電気柵用防草シート1の製造方法として、ロール状に巻き取った所定の幅の基材シート11を解くような形で製造設備に投入し、熱溶融された導電性樹脂を連続的に積層したり、導電性樹脂をコーティングにより連続的に積層して、ロール状に巻き取るという方法が考えられ、上記のような電気柵の電線の下に敷く際には、このロールを解きながら敷くということが考えられる。この場合、製造段階において、幅方向の一部について1個所以上の導電性樹脂が積層されない箇所を帯状に設け、電線の下の地面に沿って敷けば、いずれの箇所においても一様に雨水などを除去することができる。
【0021】
この導電性樹脂が積層されない帯状の部分を挟む導電性樹脂層の間隔をw0とすると、導電性樹脂層12の間隔wは、対象とする動物によって異なってくるが、10mm以上200mm以下が好ましく、20mm以上150mm以下がより好ましく、30mm以上100mm以下がさらに好ましい。導電性樹脂層12の間隔wが広いほど、上面に溜まった雨水などが基材シート11を通過して地面に抜けやすくなる。導電性樹脂層12の間隔wが狭いほど、動物の足が導電性樹脂層12と接触しやすくなり、動物に電気的な衝撃を与えやすくなる。
【0022】
また、導電性樹脂層12の幅wは、動物の足を通じて確実に導通させる観点から、2mm以上50mm以下であることが好ましく、5mm以上30mm以下であることがより好ましい。上記のように所定の幅wを有する帯状の導電性樹脂層12を形成することで動物の足と接触する面積が広くなることから、確実に導通させることが可能となる。
【0023】
導電性樹脂層12を構成する導電性樹脂は、例えば、樹脂成分に導電性材料を混合した導電性樹脂組成物を用いることができる。樹脂成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることできる。なかでも、導電性樹脂層12の形成の容易さの観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。基材シート11との接着性を鑑み、双方の材料を同種とすることが好ましく、ポリオレフィン樹脂とすることがより好ましい。
【0024】
導電性材料としては、アルミニウム等の金属;カーボンブラック等の導電性無機材料が挙げられるが、製造装置の負荷を軽減する観点から、導電性無機材料が好ましく、カーボンブラックがより好ましい。導電性材料の配合量は、導電性樹脂層12が所望の表面抵抗率を有するように適宜調整すればよく、導電性樹脂組成物中の導電性材料の含有率は、例えば10重量%以上30重量%以下とすることができる。導電性樹脂層12についても、光合成による植物の成長を抑制するために、遮光性を有することが好ましいので、導電性材料として、光を透過させないものを使用するのが好ましい。導電性材料以外に、光を透過させない顔料等を添加してもよい。
【0025】
導電性樹脂層12を形成する方法としては、コーティング法でもよく、ラミネート法でもよいが、均一な導電性樹脂層12を形成する観点からラミネート法が好ましく、押出ラミネート法がより好ましい。すなわち、導電性樹脂層12は、押出ラミネート層であることが好ましい。具体的には、導電性樹脂層12を構成する導電性樹脂を溶融し、それをフィルム状に押し出したものを、必要に応じてアンカー処理をした基材シート11にラミネートすることで、基材シート11の表面に導電性樹脂層12を形成することができる。基材シート11の表面において所定の間隔wを開けて幅wとなる帯状の導電性樹脂層12を形成する場合には、導電性樹脂層12を形成する幅wの領域にのみ導電性樹脂を押し出せばよい。
【0026】
導電性樹脂層12を押出ラミネート法で形成する場合、導電性樹脂の押出温度におけるMFR(2.16kg)は、1g/10分以上20g/10分以下であることが好ましく、2g/10分以上10g/10分以下であることがより好ましい。導電性樹脂の押出温度におけるMFRが高いほど、流動性の高い導電性樹脂が基材シート11を形成する繊維の隙間に導電性樹脂が入り込みやすく、電気柵用防草シート1の厚さ方向の導電抵抗が小さくなり、動物に与える電気的な衝撃が大きくなる。ただし、導電性樹脂の押出温度におけるMFRが低すぎると、導電性樹脂が基材シート11を形成する繊維の隙間に入り込まず、電気柵用防草シート11の厚さ方向の導電抵抗が大きくなる。また、樹脂の粘度が高すぎて樹脂が切れるなどして、均一な加工が難しくなる。
【0027】
導電性樹脂層12の厚みは、15μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上150μm以下であることがより好ましく、30μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。導電性樹脂層12を厚くすることで、表面が平滑な導電性樹脂層12を形成しやすくなる。導電性樹脂層12が厚くし過ぎるとコスト的に不利である。なお、導電性樹脂層12の厚みは、基材シート11の表面に導電性樹脂層12を形成する前後の厚みの差や断面観察により算出することができる。
【0028】
導電性樹脂層12の表面抵抗率は、1.0×10Ω以下であることが好ましく、1.0×10Ω以下であることが好ましい。導電性樹脂層12の表面抵抗率が低いほど、電気柵用防草シート1の厚さ方向の導電抵抗がより小さくなり、動物に与える電気的な衝撃の低下が抑制されるが、導電性材料の配合量が多くなり、コスト的・生産性には不利になる。
【0029】
電気柵用防草シート1の強度や柔軟性等については、基材シート11と導電性樹脂層12に基づく効果を阻害しない範囲で、材質や厚み等により調整することができる。
【0030】
本発明に係る電気柵用防草シート1は、基材シート11と導電性樹脂層12とを有するものであるが、これらに基づく効果を阻害しない範囲で、必要に応じて他の層を有していてもよい。他の層としては、基材シート11と導電性樹脂層12に基づく効果を阻害しない範囲で、接着層、装飾層、紫外線防止層、撥水層、防汚層などが挙げられる。基材シート11及び/又は導電性樹脂層12が、これらの機能を有していてもよい。
【0031】
以上のような本発明に係る電気柵用防草シートは、田畑の周囲に張設された電気柵の下方に容易に敷設でき、田畑に侵入しようとする動物に効率よく電気的な衝撃を与えることができる。
【実施例0032】
<実施例1>
基材シートとしてのポリプロピレン製の織布(厚み:350μm、目付:130g/m)の両面に、押出ラミネート機により帯状の導電性樹脂層(厚み:30μm、間隔w:65mm、幅w:15mm)を形成することで、電気柵用防草シートを得た。なお、導電性樹脂層を形成する導電性樹脂としては、ポリプロピレンにカーボンブラック(含有率:20重量%)を添加した、MFR9.8g/10分(230℃、2.16kg)の導電性樹脂組成物を用いた。
【0033】
<実施例2>
基材シートの片面に導電性樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、電気柵用防草シートを得た。
【0034】
<実施例3>
基材シートの片面全面に導電性樹脂をコーティングすることで導電性樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、電気柵用防草シートを得た。
【0035】
<比較例1>
導電性樹脂層を有しない市販の防草シート(日本マタイ製、商品名:強力防草クロスシート)を用いた。
【0036】
<評価>
実施例及び比較例の電気柵用防草シートと、電源に接続した電気柵(アポロ製、商品名:アニマルアース菜園電気柵セット、出力電圧:10kV、有効電気柵距離:600m)との間の電圧をデジタル表記式検電器で測定し、電気柵と地面との間の電圧(blank)と比較した。また、導電性樹脂層の表面抵抗率を測定した。
【0037】
【表1】
【0038】
以上のように、導電性樹脂層として帯状の押出ラミネート層を形成した実施例1~2では、電気柵用防草シートを用いなかったとき(blank)と比較して電圧の低下は認められなかった。導電性樹脂層として全面にコーティング層を形成した実施例3では、多少の電圧低下は認められたが、導電性樹脂層を形成していない比較例1よりは電圧低下が小さく、導電性樹脂層を形成した効果は見られた。また、実施例1~3の電気柵用防草シートの導電性樹脂層は、表面抵抗率が十分小さかった。
【符号の説明】
【0039】
1 防草シート
11 織布
11a 経糸
11b 緯糸
12 導電性樹脂層
間隔
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021-09-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
田畑に侵入しようとする動物に電気的な衝撃を与える電気柵の下方に敷設される防草シートであって、
織布又は不織布である基材シートと、
前記基材シートの少なくとも一方の表面に2mm以上50mm以下の幅を有する帯状に形成された、導電性樹脂からなる導電性樹脂層と
を有する
電気柵用防草シート。
【請求項2】
前記織布又は不織布が、ポリオレフィン繊維からなる
請求項1に記載の電気柵用防草シート。
【請求項3】
前記基材シートの厚みが、100μm以上1000μm以下である
請求項1又は2に記載の電気柵用防草シート。
【請求項4】
前記導電性樹脂層が、押出ラミネート層である
請求項1~3のいずれか1項に記載の電気柵用防草シート。
【請求項5】
前記帯状の導電性樹脂層は、10mm以上200mm以下の間隔を空けて形成されている
請求項1~4のいずれか1項に記載の電気柵用防草シート。
【請求項6】
前記導電性樹脂層が、前記基材シートの両面に形成されている
請求項1~のいずれか1項に記載の電気柵用防草シート。
【請求項7】
前記導電性樹脂層の厚みが、15μm以上200μm以下である
請求項1~のいずれか1項に記載の電気柵用防草シート。
【請求項8】
前記導電性樹脂層の表面抵抗率が、1.0×10Ω以下である
請求項1~のいずれか1項に記載の電気柵用防草シート。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明は、田畑に侵入しようとする動物に電気的な衝撃を与える電気柵の下方に敷設される電気柵用防草シートであって、織布又は不織布である基材シートと、前記基材シートの少なくとも一方の表面に2mm以上50mm以下の幅を有する帯状に形成された、導電性樹脂からなる導電性樹脂層とを有する電気柵用防草シートである。