(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171064
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ペット用吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A01K 23/00 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
A01K23/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077451
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507033185
【氏名又は名称】シーズイシハラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒須 一博
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 基成
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 玲子
(57)【要約】
【課題】ペットに着用させやすくて、フィット感が向上して脱げにくく、ペットの尻尾の大きさや太さに合わせて尻尾孔の大きさを調整でき、かつ、尻尾の短いペットに装着しても、尻尾孔から糞が漏れることのないペット用吸収性物品を提供する。
【解決手段】液透過性のトップシート、吸収性パッド、液不透過性のバックシート、及び外装体をこの順に備え、背側部、股下部、及び腹側部を有し、腹側部における幅方向の両端には、一対のファスニングテープが備えられ、背側部における、非肌当接面側の幅方向中央部には、ファスニングテープを係止するための止着領域が備えられ、背側部における幅方向中央部には、長手方向に略直線状に分割するスリット部が備えられ、スリット部の末端に、略十字型の尻尾孔用切込部が備えられ、尻尾孔用切込部の幅方向の長さは、股部における幅方向の長さの20%以上80%以下である、ペット用吸収性物品を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシート、高吸収性ポリマーを含む吸収体を有する吸収性パッド、液不透過性のバックシート、及び外装体をこの順に備え、背側部、股下部、及び腹側部を有するペット用吸収性物品であって、
前記腹側部における幅方向の両端には、一対のファスニングテープが備えられ、
前記背側部における、非肌当接面側の幅方向中央部には、前記ファスニングテープを係止して、胴開口部を形成するための止着領域が備えられ、
前記背側部における幅方向中央部には、前記背側部の長手方向一方端部から長手方向に、略直線状に前記トップシート、前記バックシート及び前記外装体を分割するスリット部が備えられ、
前記スリット部の末端に、前記スリット部と一辺が連結する略十字型の尻尾孔用切込部が備えられ、
前記尻尾孔用切込部の幅方向の長さは、ペット用吸収性物品の前記股部における幅方向の長さの20%以上80%以下であることを特徴とする、ペット用吸収性物品。
【請求項2】
前記背側部における前記スリット部の左右の略矩形状の領域には、該領域同士を略扇状に重ね合わせて接着するための接着領域が備えられ、
前記略扇状の接着領域の長手方向の長さが、前記スリット部の長さの60%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリット部及び尻尾孔用切込部を備えたペット用吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
犬や猫等のペット(愛玩動物)が排泄した尿等の排泄物を処理するための物品として、ペットの後ろ脚から履かせるおむつ型のペット用吸収性物品が知られている。
【0003】
しかしながら、ペットは様々な品種が存在し、体型(サイズ)も様々であるため、それらの様々な体型のペットに着用させやすく、フィット感が良好で、脱げにくいペット用吸収性物品が求められている。また、尻尾に関しても、大きさや太さが様々であり、尻尾が短いペットも当然存在する。それらの尻尾の違いによるニーズにすべて対応することは困難であった。
さらに、ペット用吸収性物品に尻尾を出すための孔が開いている場合、尻尾と尻尾用の孔の隙間から糞が漏れてしまい、ペットの尻や腹を汚すことがある。
【0004】
このような課題を解決するための吸収性物品の先行技術として、例えば、特許文献1には動物の腹部に当てる腹当て部と、臀部に当てる尻当て部と、背中に当てる背当て部と、腹当て部の左右両縁から左右方向に延びた2本の固定用帯とが一体につながったおむつ本体と、2本の固定用帯における先端部の外面側に取付けられた外面止着ファスナーと、2本の固定用帯のいずれか一方における先端部の内面側に取付けられた内面止着ファスナーと、背当て部の先端部における内面側に取付けられた背当て止着ファスナーとからなり、
固定用帯は、その後縁が動物の後足の付け根に当る幅を有しており、尻当て部の幅方向中央部には動物の尻尾を通す孔が形成されており、尻当て部の孔は、下半分が半円形で、上半分が上縁に至るほど幅が狭くなる三角形とを合成した雨滴形であることを特徴とする動物用おむつが開示されている。当該発明は、尻当て部の中央の孔に尻尾を通すことによりおむつの胴廻り方向のズレ回りを防止でき、また、孔の形は上半分が細幅になりながらも長く延びているので尻尾を通しやすく、おむつの装着が容易にできる動物用おむつを提供することを目的とすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような吸収性物品であっても、様々な体型、尻尾の大きさや太さを有するペットのニーズ全てに対応することはできず、根本的な解決にはなっていなかった。
また、特許文献1のような尻尾用の孔を、尻尾を通しやすい形とした吸収性物品であっても、尻尾と孔との隙間を塞ぐことはできず、上記の糞が漏れるという問題は解決できていなかった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ペットに着用させやすくて、フィット感が向上して脱げにくく、ペットの尻尾の大きさや太さに合わせて尻尾孔の大きさを調整でき、かつ、尻尾の短いペットに装着しても、尻尾孔から糞が漏れることのないペット用吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討を行い、背側部における幅方向中央部にスリット部を設け、かつ、スリット部の末端に、スリット部と一辺が連結する所定の大きさの略十字型の尻尾孔用切込部を設けることで、ペットに着用させやすくて、フィット感が向上して脱げにくく、ペットの尻尾の大きさや太さに合わせて尻尾孔の大きさを調整でき、かつ、尻尾の短いペットに装着しても、尻尾孔から糞が漏れることのないペット用吸収性物品とすることができ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0009】
(1)本発明の第1の態様は、液透過性のトップシート、高吸収性ポリマーを含む吸収体を有する吸収性パッド、液不透過性のバックシート、及び外装体をこの順に備え、背側部、股下部、及び腹側部を有するペット用吸収性物品であって、上記腹側部における幅方向の両端には、一対のファスニングテープが備えられ、上記背側部における、非肌当接面側の幅方向中央部には、上記ファスニングテープを係止して、胴開口部を形成するための止着領域が備えられ、上記背側部における幅方向中央部には、上記背側部の長手方向一方端部から長手方向に、略直線状に上記トップシート、上記バックシート及び上記外装体を分割するスリット部が備えられ、上記スリット部の末端に、上記スリット部と一辺が連結する略十字型の尻尾孔用切込部が備えられ、上記尻尾孔用切込部の幅方向の長さは、ペット用吸収性物品の上記股部における幅方向の長さの20%以上80%以下であることを特徴とするペット用吸収性物品である。
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載のペット用吸収性物品であって、上記背側部における上記スリット部の左右の略矩形状の領域には、該領域同士を略扇状に重ね合わせて接着するための接着領域が備えられ、上記略扇状の接着領域の長手方向の長さが、上記スリット部の長さの60%以上であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ペットに着用させやすくて、フィット感が向上して脱げにくく、ペットの尻尾の大きさや太さに合わせて尻尾孔の大きさを調整でき、かつ、尻尾の短いペットに装着しても、尻尾孔から糞が漏れることのないペット用吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のペット用吸収性物品の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。
【0013】
また、本明細書の説明において、ペット用吸収性物品1の長手方向とは、ペット用吸収性物品1が着用されたときに着用したペットの前後にわたる方向であり、図中、符号Xで示す方向である。また、ペット用吸収性物品1の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、符号Yで示す方向である。さらに、肌当接面とは、ペット用吸収性物品1の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用したペットの肌側に配される面であり、非肌当接面とは、ペット用吸収性物品1の各部材の表裏両面のうち、着用時にペットの肌側とは反対側に向けられる面である。なお、ペット用吸収性物品1としては、特にペット用使い捨ておむつが例示される。
また、本発明におけるペットとはいわゆる愛玩動物のことを指し、ペットとしては犬や猫が好ましく、犬がより好ましい。また、ペットの品種は特に限定されず、その体型(サイズ)も特に限定されない。
【0014】
<ペット用吸収性物品>
図1は、本発明の実施形態に係るペット用吸収性物品1をトップシート10側から見た平面図である。本発明のペット用吸収性物品1は、液透過性のトップシート10、高吸収性ポリマーを含む吸収体を有する吸収性パッド20、液不透過性のバックシート30及び外装体40をこの順に備え、背側部1a、股下部1b、及び腹側部1cを有する。
【0015】
<トップシート>
トップシート10は、体液(ペットの尿や糞)が吸収性パッド20へと移動するような液透過性を備えた基材から形成されればよく、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布など公知の親水性不織布等を使用できる。また、トップシート10には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、ペットの肌への刺激を低減させるため、トップシート10には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤、消臭剤、香料等を含有させてもよい。
強度、加工性及び液戻り量の点から、トップシート10の坪量は、5g/m2以上50g/m2以下であることが好ましく、15g/m2以上30g/m2以下であることがより好ましい。トップシート10の形状としては特に制限はないが、漏れがないように体液を吸収性パッド20へと誘導するために必要とされる、吸収性パッド20を覆う形状であればよい。
【0016】
<吸収性パッド>
本発明のペット用吸収性物品1において、吸収性パッド20の大きさは、ペット用吸収性物品1が様々なペットのサイズに対応するため、特に限定されないが、長手方向の長さは、250mm以上600mm以下であることが好ましく、300mm以上500mm以下であることがより好ましい。また、吸収性パッド20の幅方向の長さは、長手方向の長さの20%以上70%以下であることが好ましい。
【0017】
(吸収体)
吸収性パッド20が有する吸収体は、高吸収性ポリマー(SAP)を含有するが、更に基材としての吸収性繊維を含むことが好ましい。
吸収性繊維は、一般にペット用吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体に、基材としての吸収性繊維にフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、特に限定されないが、300g/m2以上1500g/m2以下であることが好ましく、450g/m2以上1200g/m2以下であることがより好ましい。これにより、ペットへの肌触りを損なわずに、より多くの体液(尿や糞)を吸収させることができる。
【0018】
(高吸収性ポリマー)
吸収体の高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系が好ましい。
また、吸収体において、吸収体全体の重量に対する、高吸収性ポリマーの重量の比率である、高吸収性ポリマーの重量/吸収体全体の重量×100(%)が、15%以上であることが好ましく、20%以上50%以下であることがより好ましい。
【0019】
吸収体において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものでもよく、吸収性繊維間にSAP粒子を固着したSAPシートでもよい。また、SAP粒子の漏洩防止や吸収体の形状の安定化の目的から、吸収体の下に、キャリアシートを設けてもよい(図示しない)。キャリアシートの基材としては親水性を有するものであればよく、ティシュー、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。キャリアシートを複数備える場合は、複数のキャリアシートの基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。
【0020】
<バックシート>
バックシート30は、吸収性パッド20が保持している体液がペットの肌や被毛を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、通気性又は非通気性である、不透液性のポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムを使用できる。
【0021】
バックシート30の坪量は、特に限定されないが、強度及び加工性の点から、10g/m2以上30g/m2以下であることが好ましく、15g/m2以上20g/m2以下であることがより好ましい。バックシート30に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート30にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0022】
<外装体>
本発明のペット用吸収性物品1における外装体40は、液不透過性のバックシート30の下(非肌当接面側)に配置される。
【0023】
<ファスニングテープ及び止着領域>
腹側部1cにおける幅方向の両端には、一対のファスニングテープ50が備えられる。ファスニングテープ50の肌当接面側には、背側部1aと腹側部1cとを締結するための面ファスナーを構成するフック部材からなる締結手段が設けられると共に、締結手段の自由端側の各ファスニングテープ50の先端部には、つまみしろが設けられていることが好ましい(図示しない)。
一方で、背側部1aにおける、非肌当接面側の幅方向中央部には、ファスニングテープ50を係止して、胴開口部を形成するための止着領域60が備えられる。止着領域60には、面ファスナーを構成するループ部材で形成されたターゲットテープが設けられており、ペット用吸収性物品1をペットに装着した状態では、締結手段がループ部材であるターゲットテープに固定されることが好ましい。
なお、フック部材とは、面ファスナーを構成する部材のうち、フック状突起からなる部材を指し、ループ部材とは、フック部材と対を成す部材であって、ループ状に密集して起毛された部材を指す。面ファスナーは、このフック部材とループ部材とが対となって構成されている。ペット用吸収性物品1を着用する場合、後述するスリット部70からペットの尻尾を通し、背側部1aをペットの背部にあてた状態で、腹側部1cをペットの腹部側に持っていき、ファスニングテープ50を止着領域60(ターゲットテープ)に締結することで、ペットに装着させることができる。また、止着領域60の幅方向の長さは30mm以上60mm以下であることが好ましい。なお、止着領域60は後述するスリット部70を跨ぐように設けられてもよいし、あらかじめスリット部70の両側に分割して設けられてもよい。
【0024】
<スリット部及び尻尾孔用切込部>
背側部1aにおける幅方向中央部には、背側部1aの長手方向一方端部から長手方向に、略直線状にトップシート10、バックシート30及び外装体40を分割するスリット部70が備えられる。
また、スリット部70の末端に、スリット部70と一辺が連結する略十字型の尻尾孔用切込部80が備えられる。このとき、尻尾孔として従来のペット用吸収性物品のように外装体40等を丸くくり抜くのではなく、十字型の切り込みとすることで、ペットの尻尾の大きさや太さに合わせて、尻尾孔の大きさを調整することができる。また、尻尾の短いペットに装着した場合、尻尾孔用切込部80は開かずに塞がれたままであるので、尻尾孔から糞が漏れることがなく、尻尾の短いペットにも使いやすいペット用吸収性物品1とすることができる。
【0025】
なお、スリット部70の長さと尻尾孔用切込部80の長手方向の長さの合計は、((ペット用吸収性物品1の長手方向の長さ)-(吸収性パッド20の長手方向の長さ))/2の50%以上95%以下であることが好ましい。50%未満であると、吸収性パッド20の位置が腹側部1c側にずれてしまい、ペットの尿を吸収できずに外側に漏れてしまう可能性がある。95%を超えると、吸収性パッド20が長手方向に切れてしまう可能性がある。
また、尻尾孔用切込部80の幅方向の長さは、ペット用吸収性物品1の股部1bにおける幅方向の長さの20%以上80%以下である。20%未満であると、ペットの尻尾が入らない可能性がある。80%を超えると、ペット用吸収性物品1の全体が幅方向に切れてしまう可能性がある。
【0026】
<接着領域>
また、背側部1aにおけるスリット部70の左右の略矩形状の領域には、該領域同士を略扇状に重ね合わせて接着するための接着領域90及び91が備えられることが好ましい。尻尾孔用切込部80へのペットの尻尾の通し方及び固定方法としては、まずスリット部70からペットの尻尾を通し、尻尾孔用切込部80からペットの尻尾が出る位置までペット用吸収性物品1を移動させた後、次にペットのサイズに応じて、適切な位置において接着領域90及び91同士が、平行ではなく交差し、略扇状に重なるように接着することで、尻尾孔用切込部80からペットの尻尾を通し、かつ固定することができる(図示しない)。このようなスリット部70並びに接着領域90及び91を備えることで、ペットに着用させやすくて、フィット感が向上して脱げにくいペット用吸収性物品1を得ることができる。
なお、接着領域90及び91は互いを接着することが可能であれば、材質や工程等は特に限定されないが、ファスニングテープ50及び止着領域60と同様に、一方に面ファスナーを構成するフック部材からなる締結手段が設けられ、他方に面ファスナーを構成するループ部材で形成されたターゲットテープが設けられることが好ましい。接着領域90及び91は、ペット用吸収性物品1の肌当接面側と非肌当接面側のどちらに設けられてもかまわないが、重ね合わせて接着することから、少なくとも一方がペット用吸収性物品1の肌当接面側に設けられ、他方がペット用吸収性物品1の非肌当接面側に設けられることが好ましい。
【0027】
また、接着領域90及び91を略扇状に重ね合わせたときの、略扇状の接着領域の長手方向の長さがスリット部70の長さの60%以上であることが好ましく、スリット部70の長さと等しいことがより好ましい。長さが60%未満であると、略扇状の領域の鋭角部分の接着面積が小さすぎて、非接着部分が尻尾孔用切込部80と繋がって尻尾孔が見かけ上大きくなり、ペット用吸収性物品1が尻尾孔からずれやすくなる。なお、略扇状の接着領域の幅方向の長さは特に限定されないが、ペット用吸収性物品1の大きさとの兼ね合いから、10mm以上50mm以下であることが好ましい。上記の数値範囲内とすることで、様々な尻尾の大きさや太さのペットに装着しても、ずれにくいペット用吸収性物品1を得ることができる。
【0028】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが、当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0029】
1 ペット用吸収性物品
10 トップシート
20 吸収性パッド
30 バックシート
40 外装体
50 ファスニングテープ
60 止着領域
70 スリット部
80 尻尾孔用切込部
90、91 接着領域