(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171065
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】情報管理システム、情報管理方法および情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20221104BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077452
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲本 修治
(72)【発明者】
【氏名】上山 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】阪谷 信幸
(72)【発明者】
【氏名】阿部 泰明
(72)【発明者】
【氏名】片岡 仁之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】生産現場の情報をデータベースで管理されている情報により確実に反映できる仕組みを提供する。
【解決手段】情報管理システムは、部品表と、工程表と、設備表とを含むデータベースを格納する記憶部を有している。部品表、工程表および設備表の各々は、含まれる情報に対する承認者の指定を含む。情報管理システムは、生産現場に対する変更の発生、あるいは、生産現場に反映すべき変更の発生、に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目をデータベースから検索するとともに、当該検索された項目の承認者を検索する検索手段と、検索された承認者に対して、変更内容をデータベースへ反映することについての承認を要求する承認要求手段と、承認者からの承認に応答して、変更内容をデータベースの対応する項目に反映する更新手段とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品表(BOM:Bill Of Materials)と、工程表(BOP:Bill Of Process)と、設備表(BOE:Bill of Equipment)とを含むデータベースを格納する記憶部を備え、前記部品表、前記工程表および前記設備表の各々は、含まれる情報に対する承認者の指定を含み、
生産現場に対する変更の発生、あるいは、生産現場に反映すべき変更の発生、に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目を前記データベースから検索するとともに、当該検索された項目の承認者を検索する検索手段と、
前記検索された承認者に対して、前記変更内容を前記データベースへ反映することについての承認を要求する承認要求手段と、
前記承認者からの承認に応答して、前記変更内容を前記データベースの対応する項目に反映する更新手段とを備える、情報管理システム。
【請求項2】
前記生産現場に対する変更は、前記生産現場の制御装置に対してなされた変更内容を含む、請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
前記生産現場の生産実績に基づいて、前記データベースに含まれる設定値が妥当であるか否かを評価する評価手段をさらに備え、
前記生産現場に反映すべき変更は、前記データベースに含まれる設定値が妥当ではないとの評価に応答して生成される、請求項1または2に記載の情報管理システム。
【請求項4】
前記生産現場の生産実績に基づいて前記生産現場に生じる傾向を推定する推定手段をさらに備え、
前記生産現場に反映すべき変更の発生は、前記生産現場に生じる傾向に基づいて判断される、請求項1~3のいずれか1項に記載の情報管理システム。
【請求項5】
前記データベースに含まれるモデルを利用して前記生産現場についてのシミュレーションを行うシミュレーション手段をさらに備え、
前記生産現場に反映すべき変更の発生は、前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて判断される、請求項1~4のいずれか1項に記載の情報管理システム。
【請求項6】
前記更新手段は、前記承認者からの不承認に応答して、前記変更内容に係るログを記録する、請求項1~5のいずれか1項に記載の情報管理システム。
【請求項7】
前記記憶部は、前記データベースに加えて、第2のデータベースを格納しており、
前記生産現場に対する変更、あるいは、前記生産現場に反映すべき変更は、前記第2のデータベースに暫定的に反映されるとともに、前記承認者からの承認に応答して、前記第2のデータベースから前記データベースに反映される、請求項1~6のいずれか1項に記載の情報管理システム。
【請求項8】
前記承認者からの承認を受け付けるためのユーザインターフェイス画面を表示する表示手段をさらに備え、
前記ユーザインターフェイス画面は、承認が要求されている変更内容を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の情報管理システム。
【請求項9】
部品表(BOM:Bill Of Materials)と、工程表(BOP:Bill Of Process)と、設備表(BOE:Bill of Equipment)とを含むデータベースを記憶部に格納するステップを備え、前記部品表、前記工程表および前記設備表の各々は、含まれる情報に対する承認者の指定を含み、
生産現場に対する変更の発生、あるいは、生産現場に反映すべき変更の発生、に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目を前記データベースから検索するとともに、当該検索された項目の承認者を検索するステップと、
前記検索された承認者に対して、前記変更内容を前記データベースへ反映することについての承認を要求するステップと、
前記承認者からの承認に応答して、前記変更内容を前記データベースの対応する項目に反映するステップとを備える、情報管理方法。
【請求項10】
情報管理方法をコンピュータに実行させるための情報管理プログラムであって、前記コンピュータは、部品表(BOM:Bill Of Materials)と、工程表(BOP:Bill Of Process)と、設備表(BOE:Bill of Equipment)とを含むデータベースを格納する記憶部を備え、前記部品表、前記工程表および前記設備表の各々は、含まれる情報に対する承認者の指定を含み、前記情報管理プログラムは前記コンピュータに、
生産現場に対する変更の発生、あるいは、生産現場に反映すべき変更の発生、に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目を前記データベースから検索するとともに、当該検索された項目の承認者を検索するステップと、
前記検索された承認者に対して、前記変更内容を前記データベースへ反映することについての承認を要求するステップと、
前記承認者からの承認に応答して、前記変更内容を前記データベースの対応する項目に反映するステップとを実行させる、情報管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理システム、情報管理方法および情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術の発展に伴って、設計現場において先行しているデジタル化の流れが生産現場においても進行しつつある。より具体的には、BOM(Bill Of Materials:部品表)、BOP(Bill Of Process:工程表)、BOE(Bill of Equipment:設備表)といった、部品、工程、設備(ライン)に対する情報管理技術が導入されている。今後は、生産目標の変化などに柔軟に対応するため、設計情報と生産装置および作業者の情報とをデジタル化したCPS(Cyber-Physical System)などの普及が想定されている。
【0003】
例えば、特許文献1(国際公開第2018/079185号)は、製品の企画、設計、生産(製造)、運転、利用、保守の製品ライフサイクル全体を統合し、製造現場から製造オーダーの製造マネジメントをリアルタイムで統合する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような生産現場におけるデジタル化を妨げる要因として、生産現場において日々行われる改善活動(例えば、ラインや装置に対する生産技術者の調整や変更など)の内容を管理している情報に対して確実に反映することが難しい。そのため、情報管理システム(Cyber-Physical)と実際の生産現場(Physical)との間で、情報を適切に同期できないという課題が生じ得る。
【0006】
本発明は、生産現場の情報をデータベースで管理されている情報により確実に反映できる仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある実施の形態に係る情報管理システムは、部品表と、工程表と、設備表とを含むデータベースを格納する記憶部を含む。部品表、工程表および設備表の各々は、含まれる情報に対する承認者の指定を含む。情報管理システムは、生産現場に対する変更の発生、あるいは、生産現場に反映すべき変更の発生、に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目をデータベースから検索するとともに、当該検索された項目の承認者を検索する検索手段と、検索された承認者に対して、変更内容をデータベースへ反映することについての承認を要求する承認要求手段と、承認者からの承認に応答して、変更内容をデータベースの対応する項目に反映する更新手段とを含む。
【0008】
この構成によれば、生産現場に対する変更が発生すると、あるいは、生産現場に反映すべき変更が発生すると、データベースへの反映要否および当該反映に対する承認者を情報管理システムが検索するので、生産現場の情報をデータベースで管理されている情報により確実に反映できる。
【0009】
生産現場に対する変更は、生産現場の制御装置に対してなされた変更内容を含んでいてもよい。この構成によれば、技術者が日々の改善活動の一環で制御装置のパラメータなどを変更した場合などにおいて、当該パラメータの変更内容をデータベースに反映できる。
【0010】
情報管理システムは、生産現場の生産実績に基づいて、データベースに含まれる設定値が妥当であるか否かを評価する評価手段をさらに含んでいてもよい。この構成によれば、生産現場の生産実績に基づいて、現在の設定値を変更する必要がある場合には、生産現場だけではなく、データベースで管理される情報も併せて変更できる。
【0011】
生産現場に反映すべき変更は、データベースに含まれる設定値が妥当ではないとの評価に応答して生成されてもよい。この構成によれば、データベースに含まれる設定値が妥当ではない場合に変更が行われるため、不必要な変更の発生を回避できる。
【0012】
情報管理システムは、生産現場の生産実績に基づいて生産現場に生じる傾向を推定する推定手段をさらに含んでいてもよい。生産現場に反映すべき変更の発生は、生産現場に生じる傾向に基づいて判断されてもよい。この構成によれば、生産現場の現在の生産実績ではなく、将来の予測に基づいて設定値などを変更できるので、より効果的な改善が期待できる。
【0013】
情報管理システムは、データベースに含まれるモデルを利用して生産現場についてのシミュレーションを行うシミュレーション手段をさらに含んでいてもよい。生産現場に反映すべき変更の発生は、シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて判断されてもよい。この構成によれば、生産現場での生産が開始される前であっても、生産現場に反映すべき変更を見つけることができる。
【0014】
更新手段は、承認者からの不承認に応答して、変更内容に係るログを記録するようにしてもよい。この構成によれば、承認者が承認しなかった変更内容をより確実に記録できる。
【0015】
記憶部は、データベースに加えて、第2のデータベースを格納していてもよい。生産現場に対する変更、あるいは、生産現場に反映すべき変更は、第2のデータベースに暫定的に反映されるとともに、承認者からの承認に応答して、第2のデータベースからデータベースに反映されてもよい。この構成によれば、第2のデータベースを利用することで、承認者からの承認を得るまでの期間において、変更内容を一時的に管理できる。また、承認者が承認しなかった場合であっても、データベースが誤って変更されるといった事態を回避できる。
【0016】
情報管理システムは、承認者からの承認を受け付けるためのユーザインターフェイス画面を表示する表示手段をさらに含んでいてもよい。ユーザインターフェイス画面は、承認が要求されている変更内容を含んでいてもよい。この構成によれば、承認者は、承認が要求されている変更内容をより適切に理解した上で、承認の可否を判断できる。
【0017】
本発明の別の実施の形態に係る情報管理方法は、部品表と、工程表と、設備表とを含むデータベースを記憶部に格納するステップを含む。部品表、工程表および設備表の各々は、含まれる情報に対する承認者の指定を含む。情報管理方法は、生産現場に対する変更の発生、あるいは、生産現場に反映すべき変更の発生、に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目をデータベースから検索するとともに、当該検索された項目の承認者を検索するステップと、検索された承認者に対して、変更内容をデータベースへ反映することについての承認を要求するステップと、承認者からの承認に応答して、変更内容をデータベースの対応する項目に反映するステップとを含む。
【0018】
本発明のさらに別の実施の形態に従えば、情報管理方法をコンピュータに実行させるための情報管理プログラムが提供される。コンピュータは、部品表と、工程表と、設備表とを含むデータベースを格納する記憶部を備え、部品表、工程表および設備表の各々は、含まれる情報に対する承認者の指定を含む。情報管理プログラムはコンピュータに、生産現場に対する変更の発生、あるいは、生産現場に反映すべき変更の発生、に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目をデータベースから検索するとともに、当該検索された項目の承認者を検索するステップと、検索された承認者に対して、変更内容をデータベースへ反映することについての承認を要求するステップと、承認者からの承認に応答して、変更内容をデータベースの対応する項目に反映するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、生産現場の情報をデータベースで管理されている情報により確実に反映できる仕組みを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施の形態に係る情報管理システムの概要を示す模式図である。
【
図2】本実施の形態に係る情報管理システムのシステム構成例を示す模式図である。
【
図3】本実施の形態に係る管理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】本実施の形態に係る制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図5】本実施の形態に係る情報管理システムの統合管理データベースの一例を示す模式図である。
【
図6】本実施の形態に係る情報管理システムの統合管理データベースと設計者(承認者)との関係の一例を示す模式図である。
【
図7】本実施の形態に係る情報管理システムにおける処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】本実施の形態に係る情報管理システムにおける承認者に提示されるユーザインターフェイス画面の一例を示す模式図である。
【
図9】本実施の形態に係る情報管理システムにおける生産実績に基づく変更処理を説明するための模式図である。
【
図10】本実施の形態に係る情報管理システムにおける処理手順の別の一例を示すシーケンス図である。
【
図11】本実施の形態に係る情報管理システムにおいて生産実績に基づいて変更内容を決定する処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図12】本実施の形態に係る情報管理システムにおけるシミュレーション結果に基づく変更処理を説明するための模式図である。
【
図13】本実施の形態に係る情報管理システムにおける処理手順のさらに別の一例を示すシーケンス図である。
【
図14】本実施の形態に係る情報管理システムにおけるシミュレーション結果と生産実績との差に基づく変更処理を説明するための模式図である。
【
図15】本実施の形態に係る情報管理システムにおける処理手順のさらに別の一例を示すシーケンス図である。
【
図16】本実施の形態に係る情報管理システムにおける統合管理データベースの更新方法の一例を説明するための図である。
【
図17】本実施の形態に係る情報管理システムにおける承認者を検索する方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0022】
<A.適用例>
まず、本実施の形態に係る情報管理システム1の全体構成の一例について説明する。
図1は、本実施の形態に係る情報管理システム1の概要を示す模式図である。
【0023】
図1を参照して、情報管理システム1は、BOMに相当する部品表132と、BOPに相当する工程表134と、BOEに相当する設備表136とを含む統合管理データベース130を有している。部品表132、工程表134および設備表136の各々は、含まれる情報に対する承認者の指定を含む。
【0024】
情報管理システム1は、検索モジュール20と、承認要求モジュール30と、更新モジュール40とを含む。
【0025】
検索モジュール20は、生産現場に対する変更の発生、あるいは、生産現場に反映すべき変更の発生、に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目を統合管理データベース130から検索する。さらに、検索モジュール20は、検索された項目の承認者を検索する。
【0026】
承認要求モジュール30は、検索モジュール20により検索された承認者に対して、変更内容を統合管理データベース130へ反映することについての承認を要求する。
【0027】
更新モジュール40は、承認者からの承認に応答して、変更内容を統合管理データベース130の対応する項目に反映する。
【0028】
このような一連の処理手順によって、生産現場の情報をデータベースで管理されている情報により確実に反映できる。
【0029】
<B.情報管理システム1のシステム構成例>
図2は、本実施の形態に係る情報管理システム1のシステム構成例を示す模式図である。
図2を参照して、情報管理システム1は、管理装置100と、制御装置200と、1または複数の情報処理装置300とを含む。
【0030】
管理装置100と制御装置200とは、ネットワーク2を介して接続されている。管理装置100と1または複数の情報処理装置300とはネットワーク4を介して接続されている。
【0031】
管理装置100は、統合管理データベース130を有している。統合管理データベース130には、生産を管理するための情報が格納されている。
【0032】
制御装置200は、典型的には、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)などで構成され、生産設備10の制御を担当する。
【0033】
情報処理装置300は、典型的には、汎用コンピュータであり、後述するような情報の提供や承認の受付などを担当する。
【0034】
<C.情報管理システム1のハードウェア構成例>
(c1:管理装置100)
図3は、本実施の形態に係る管理装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3を参照して、管理装置100は、コンピュータの一例であり、1または複数のプロセッサ102と、1または複数の主メモリ104と、表示部106と、入力部108と、1または複数の通信インターフェイス110と、ストレージ120とを含む。各コンポーネントは、バス112を介して電気的に接続されている。
【0035】
プロセッサ102は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)などで構成され、ストレージ120に格納された情報管理プログラム124を読み出して、主メモリ104に展開して実行することで、後述するような情報管理に係る処理を実現する。すなわち、情報管理プログラム124は、コンピュータである管理装置100に本実施の形態に係る情報管理方法を実行させる。
【0036】
表示部106は、液晶ディスプレイなどで構成され、プロセッサ102による処理結果を表示する。入力部108は、キーボードやマウスなどで構成され、ユーザからの操作を受け付ける。通信インターフェイス110は、任意のデバイスとの間でデータをやり取りする。
【0037】
ストレージ120は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、例えば、OS122と、情報管理プログラム124と、統合管理データベース130に対応するデータセットとを格納する記憶部である。
【0038】
図3には、プロセッサ102が情報管理プログラム124を実行することで必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、専用のハードワイヤード回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)など)を用いて実装してもよい。すなわち、管理装置100で実行される処理および提供する機能は、プロセッサ、ASIC、FPGAなどを含む処理回路(processing circuitry)で実現してもよい。
【0039】
さらに、複数の管理装置100が分散して、後述するような処理を実現するようにしてもよいし、情報管理システム1を実現するハードウェアリソースについては、どのようなものを採用してもよい。
【0040】
(c2:制御装置200)
図4は、本実施の形態に係る制御装置200のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4を参照して、制御装置200は、コンピュータの一例であり、プロセッサ202と、主メモリ204と、通信インターフェイス206と、入出力ユニット208と、ストレージ220とを含む。各コンポーネントは、バス210を介して電気的に接続されている。
【0041】
プロセッサ202は、CPU、MPU、GPUなどで構成され、ストレージ220に格納された各種プログラムを読み出して、主メモリ204に展開して実行することで、制御装置200としての処理を実現する。
【0042】
通信インターフェイス206は、管理装置100とのデータ通信を担当する。
入出力ユニット208は、生産設備10との間で信号のやり取りを担当する。
【0043】
ストレージ220には、典型的には、制御装置200の基本的な処理を実現するためのシステムプログラム222と、生産設備10を制御するためのユーザプログラム224と、ユーザプログラム224での処理において参照される設定などを含むパラメータ226とが格納される。
【0044】
図4には、プロセッサ202がプログラムを実行することで必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、専用のハードワイヤード回路(例えば、ASICやFPGA)を用いて実装してもよい。
【0045】
(c3:情報処理装置300)
本実施の形態に係る情報処理装置300についても、
図3に示す管理装置100と同様の汎用コンピュータを用いて実現することができる。
【0046】
<D.統合管理データベース130>
次に、統合管理データベース130の詳細について説明する。
【0047】
図5は、本実施の形態に係る情報管理システム1の統合管理データベース130の一例を示す模式図である。
図5を参照して、統合管理データベース130は、BOMに相当する部品表132と、BOPに相当する工程表134と、BOEに相当する設備表136とを含む。
【0048】
部品表132は、製品を構成する部品に関する情報を含み、例えば、各部品を特定する部品ID1321と、各部品に対して適宜設定される情報を含む設定項目1322と、各部品の設計に係る情報を含む設計情報1323とを含む。
【0049】
工程表134は、製品を生産するための工程に関する情報を含み、例えば、各工程を特定する工程ID1341と、各工程に対して適宜設定される情報を含む設定項目1342と、各工程の設計に係る情報を含む設計情報1343と、使用される1または複数の部品を特定する部品ID1344と、使用される1または複数の設備を特定する設備ID1345とを含む。
【0050】
設備表136は、製品を生産するための設備に関する情報を含み、例えば、各設備を特定するための設備ID1361と、各設備に対して適宜設定される情報を含む設定項目1362と、各設備の設計に係る情報を含む設計情報1363とを含む。
【0051】
上述した3種類の表を用いることで、製品の生産に必要な一連の情報を管理することができる。また、3種類の表を用いて、作業者に対する作業指示書140が生成されることもある。
【0052】
部品表132、工程表134および設備表136は、いずれも任意に変更可能な設定項目(設定項目1322,1342,1362)を含んでいる。これらの設定項目は、名称に加えて、基準値(基準値1327,1347,1367)を含んでいる。通常、基準値は、バラツキなどを考慮して、所定の幅をもった基準範囲として定義される。
【0053】
また、部品表132、工程表134および設備表136は、いずれも設計に係る情報である設計情報(設計情報1323,1343,1363)を含んでいる。これらの設計情報は、設計者(設計者1328,1348,1368)および検証モデル(検証モデル1329,1349,1369)を含んでいる。また、設計情報の各々は、対象の図面を特定する図面IDを含んでいてもよい。設計情報に含まれる設計者は、対応する情報に対する承認者にもなり得る。このように、部品表132、工程表134および設備表136の各々は、含まれる情報に対する承認者の指定を含む。
【0054】
一般的に、統合管理データベース130に含まれる情報は、異なる設計者あるいは承認者によって管理される。
【0055】
図6は、本実施の形態に係る情報管理システム1の統合管理データベース130と設計者(承認者)との関係の一例を示す模式図である。
図6を参照して、統合管理データベース130に含まれる部品表132、工程表134および設備表136に対して、工程設計者152、ライン設計者154および設備・治具設計者156が関与し得る。
【0056】
工程設計者152は、工程(プロセス)の設計を責務とする技術者であり、ライン設計者154は、ラインの設計を責務とする技術者であり、設備・治具設計者156は、ラインに含まれる設備や治具の設計を責務とする技術者である。
【0057】
図6に示す設計者の区切りに限定されることなく、組織の規模などに応じて、任意の区切りが可能である。また、責務別に区切られている場合であっても、同一の技術者が複数の責務を担当することもある。
【0058】
部品表132、工程表134および設備表136は、設計者(設計者1328,1348,1368)の情報を含んでおり、統合管理データベース130に含まれる情報の変更や更新などについては、対応付けられた設計者(あるいは、承認者)の承認を得る必要がある。
【0059】
<E.生産現場と統合管理データベース130との同期>
生産現場と統合管理データベース130との同期を実現するためのいくつかの処理例について説明する。
【0060】
例えば、生産技術の担当者や製造管理者は、生産能力の向上や不良率の低減などの目標達成に向けて、生産現場の設備やラインを変更および調整する。変更および調整の例としては、作業順序の変更、使用する設備および治具の変更、作業者の変更、装置パラメータの変更などが挙げられる。
【0061】
本実施の形態に係る情報管理システム1は、生産現場における変更内容を容易に統合管理データベース130に反映できる。
【0062】
(e1:技術者による変更内容の反映)
まず、生産技術の担当者や製造管理者といった技術者による変更内容を統合管理データベース130に反映する処理例について説明する。
【0063】
図7は、本実施の形態に係る情報管理システム1における処理手順の一例を示すシーケンス図である。
図7に示す処理手順は、管理装置100、制御装置200および情報処理装置300に加えて、生産現場の設備やラインを変更および調整する技術者、ならびに、変更および調整に関係する承認者(設計者)によって実行される。
【0064】
図7を参照して、技術者は、生産現場に対する任意の変更操作を行う(シーケンスSQ2)。制御装置200は、技術者による変更操作に従って、パラメータを変更する(シーケンスSQ4)。変更操作の一例としては、ネジ締付トルクの設定値の変更などが挙げられる。
【0065】
制御装置200は、パラメータの変更を管理装置100へ通知する(シーケンスSQ6)。管理装置100は、統合管理データベース130を参照して、通知されたパラメータの変更に対応する項目を検索する(シーケンスSQ8)。そして、統合管理データベース130は、対応する項目の変更が必要であるか否かを判断する(シーケンスSQ10)。
【0066】
より具体的には、管理装置100は、部品表132、工程表134および設備表136から、通知されたパラメータに対応する設定項目(設定項目1322,1342,1362)を検索する。管理装置100は、対応する設定項目が見つからなければ、対応する項目の変更が必要ないと判断する。一方、対応する設定項目が見つかれば、管理装置100は、変更後のパラメータの値が当該設定項目に含まれる基準値(あるいは、基準範囲)から逸脱しているか否かを判断する。
【0067】
管理装置100は、基準値(あるいは、基準範囲)から逸脱していなければ、対応する項目の変更が必要ないと判断する。一方、基準値(あるいは、基準範囲)から逸脱していれば、管理装置100は、対応する項目の変更が必要であると判断する。
【0068】
対応する項目の変更が必要であると判断されると(シーケンスSQ10においてYES)、管理装置100は、統合管理データベース130を参照して、対応する項目の承認者を検索する(シーケンスSQ12)。
【0069】
このように、管理装置100は、生産現場に対する変更の発生に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目を統合管理データベース130から検索するとともに、当該検索された項目の承認者を検索する(シーケンスSQ6~SQ12)。
図7に示す処理手順においては、生産現場に対する変更は、生産現場の制御装置200に対してなされた変更内容を含む。
【0070】
そして、管理装置100は、変更内容の詳細および変更内容に対する承認要求を承認者の情報処理装置300へ通知する(シーケンスSQ14)。
【0071】
承認者へ通知される変更内容の詳細としては、(1)設備ID1345などの識別情報、(2)対象の設定項目および新たな設定値、(3)エビデンスなどが挙げられる。エビデンスとしては、例えば、基準値を逸脱したときの検査工程における検査結果などを含む生産実績を含めてもよい。
【0072】
このように、管理装置100は、検索された承認者に対して、変更内容を統合管理データベース130へ反映することについての承認を要求する(シーケンスSQ14)。
【0073】
情報処理装置300は、管理装置100からの変更内容の詳細および変更内容に対する承認要求を表示し(シーケンスSQ16)、承認者からの操作を待つ。
【0074】
承認要求に対して、承認者が承認すると(シーケンスSQ18)、情報処理装置300は、承認通知を管理装置100へ送信する(シーケンスSQ20)。管理装置100は、承認通知に従って、統合管理データベース130の対応する項目を変更する(シーケンスSQ22)。このように、管理装置100は、承認者からの承認に応答して、変更内容を統合管理データベース130の対応する項目に反映する(シーケンスSQ22)。
【0075】
管理装置100は、必要に応じて、変更後の統合管理データベース130に基づいて、新たな作業指示書140を生成する(シーケンスSQ24)。そして、一連の処理は終了する。
【0076】
一方、承認要求に対して、承認者が承認しなければ(シーケンスSQ26)、情報処理装置300は、不承認通知を管理装置100へ送信する(シーケンスSQ28)。管理装置100は、承認者からの不承認通知に従って、承認されなかった項目および関連する情報を生成し(シーケンスSQ30)、変更操作を行った技術者に対して通知する(シーケンスSQ32)。技術者は、必要に応じて、変更操作の内容を再検討する。そして、一連の処理は終了する。
【0077】
図8は、本実施の形態に係る情報管理システム1における承認者に提示されるユーザインターフェイス画面の一例を示す模式図である。
図8を参照して、ユーザインターフェイス画面350は、情報処理装置300のディスプレイなどに表示される。より具体的には、ユーザインターフェイス画面350は、承認が要求されていることを示すメッセージ352に加えて、承認が要求されている変更内容354を含む。
【0078】
承認者は、ユーザインターフェイス画面350の表示内容を確認した上で、承認する場合には、承認ボタン356を選択し、承認しない場合には、不承認ボタン358を選択する。情報処理装置300は、承認者が選択したボタンに応じて、承認通知あるいは不承認通知を管理装置100へ送信する。
【0079】
このように、情報処理装置300は、承認者からの承認を受け付けるためのユーザインターフェイス画面350を表示する。ユーザインターフェイス画面350は、承認が要求されている変更内容354を含む。
【0080】
以上のような処理によって、生産技術の担当者や製造管理者といった技術者による変更内容を統合管理データベース130に反映できる。
【0081】
(e2:生産実績に基づく変更内容の決定および反映)
次に、生産実績に基づいて変更内容を決定するとともに、決定した変更内容を統合管理データベース130に反映する処理例について説明する。
【0082】
図9は、本実施の形態に係る情報管理システム1における生産実績に基づく変更処理を説明するための模式図である。
図9に示す例では、情報管理システム1は、組立工程を担当する生産設備10に加えて、検査工程を担当する検査設備12を有するラインを管理する。情報管理システム1においては、工程評価処理160および承認・変更処理164が実行される。
【0083】
工程評価処理160は、生産設備10および検査設備12から取得される生産実績162に基づいて、統合管理データベース130に対する変更要否の判断および変更内容の提案などを行う処理を含む。
【0084】
生産実績162は、例えば、対象の設備を特定する設備IDと、対象の工程を特定する工程IDと、対象の部品を特定する部品IDと、設定値を含む製造条件と、加工/検査の結果とを含む。
【0085】
工程評価処理160は、例えば、検査設備12による検査結果が対応する基準値(あるいは、基準範囲)を逸脱しているか否かの判断に応じて、当該基準値(あるいは、基準範囲)の変更要否を判断する処理を含む。あるいは、工程評価処理160は、部品表132、工程表134および設備表136の設計情報(設計情報1323,1343,1363)に含まれる検証モデル(検証モデル1329,1349,1369)を利用して、生産実績162が設計時の想定から許容できない程度まで乖離しているか否かを判断し、対応する情報の変更要否を判断する処理を含む。
【0086】
このように、管理装置100は、生産現場の生産実績に基づいて、統合管理データベース130に含まれる設定値が妥当であるか否かを評価する。そして、生産現場に反映すべき変更は、統合管理データベース130に含まれる設定値が妥当ではないとの評価に応答して生成されることになる。
【0087】
また、工程評価処理160は、統合管理データベース130に対する変更が必要であると判断すると、当該変更に係る推奨値などを決定する処理を含む。
【0088】
承認・変更処理164は、工程評価処理160によって変更が必要であると判断されると、当該変更対象の承認者に対して承認要求を通知する処理を含む。さらに、承認・変更処理164は、当該承認者からの承認に応答して、統合管理データベース130の対応する項目を変更するとともに、制御装置200の対応する項目(パラメータ226)を変更する処理を含む。承認・変更処理164によって、統合管理データベース130および制御装置200を同時に変更することで、生産現場と統合管理データベース130とを同期させることができる。
【0089】
図10は、本実施の形態に係る情報管理システム1における処理手順の別の一例を示すシーケンス図である。
図10に示す処理手順は、管理装置100、制御装置200および情報処理装置300に加えて、変更および調整に関係する承認者(設計者)によって実行される。
【0090】
図10を参照して、制御装置200は、ラインの制御を行う(シーケンスSQ52)。そして、制御装置200は、生産実績162を管理装置100へ送信する(シーケンスSQ54)。
【0091】
管理装置100は、統合管理データベース130を参照して、制御装置200から送信された生産実績162に対応する項目を検索する(シーケンスSQ56)。そして、管理装置100は、検索した項目に対する変更が必要であるか否かを判断する(シーケンスSQ58)。
【0092】
対応する項目の変更が必要であると判断されると(シーケンスSQ58においてYES)、管理装置100は、統合管理データベース130を参照して、対応する項目の承認者を検索する(シーケンスSQ60)。このように、管理装置100は、生産現場に反映すべき変更の発生に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目を統合管理データベース130から検索するとともに、当該検索された項目の承認者を検索する(シーケンスSQ54~SQ60)。
【0093】
そして、管理装置100は、変更内容の詳細および変更内容に対する承認要求を承認者の情報処理装置300へ通知する(シーケンスSQ62)。すなわち、管理装置100は、検索された承認者に対して、変更内容を統合管理データベース130へ反映することについての承認を要求する(シーケンスSQ62)。
【0094】
情報処理装置300は、管理装置100からの変更内容の詳細および変更内容に対する承認要求を表示し(シーケンスSQ64)、承認者からの操作を待つ。
【0095】
承認要求に対して、承認者が承認すると(シーケンスSQ66)、情報処理装置300は、承認通知を管理装置100へ送信する(シーケンスSQ68)。管理装置100は、承認通知に従って、統合管理データベース130の対応する項目を変更する(シーケンスSQ70)。このように、管理装置100は、承認者からの承認に応答して、変更内容を統合管理データベース130の対応する項目に反映する(シーケンスSQ22)。
【0096】
また、管理装置100は、対応するパラメータの変更指示を制御装置200へ送信する(シーケンスSQ72)。制御装置200は、管理装置100からの変更指示に従って、対応するパラメータを変更する(シーケンスSQ74)。そして、一連の処理は終了する。
【0097】
一方、承認要求に対して、承認者が承認しなければ(シーケンスSQ76)、情報処理装置300は、不承認通知を管理装置100へ送信する(シーケンスSQ78)。管理装置100は、承認者からの不承認通知に従って、承認されなかった項目および関連する情報のログを記録する(シーケンスSQ80)。このように、管理装置100は、承認者からの不承認に応答して、変更内容に係るログを記録するようにしてもよい。そして、一連の処理は終了する。
【0098】
図11は、本実施の形態に係る情報管理システム1において生産実績に基づいて変更内容を決定する処理内容の一例を示すフローチャートである。
図11を参照して、管理装置100は、制御装置200から生産実績162を取得する(ステップS2)。
【0099】
管理装置100は、取得した生産実績162に基づいて、不良率が所定値を超えているか否かを判断する(ステップS4)。
【0100】
また、管理装置100は、取得した生産実績162に現れる傾向に基づいて予測される、将来生じ得る異常あるいは不良率が予め定められた判定値を超えるか否かを判断する(ステップS6)。将来生じ得る異常あるいは不良率は、アノマリー検知などによって算出できる。このように、管理装置100は、生産現場の生産実績162に基づいて生産現場に生じる傾向を推定する。
【0101】
不良率が所定値を超えていれば(ステップS4においてYES)、または、将来生じ得る異常あるいは不良率が予め定められた判定値を超えていれば(ステップS6においてYES)、管理装置100は、検査工程の工程ID1341および工程表134から因果関係を有する工程および設備を決定する(ステップS8)。例えば、管理装置100は、生産実績162に含まれる検査結果と工程表134に規定される因果関係とに基づいて、対象の工程および設備を決定する。
【0102】
続いて、管理装置100は、検査工程における検査結果と、対応する工程および設備の設定項目と、生産実績162あるいは対応する検証モデル(検証モデル1329,1349,1369)とに基づいて、より適切な設定値あるいは設定範囲を算出する(ステップS10)。
【0103】
管理装置100は、統合管理データベース130を参照して、対応する設定項目に関連付けられた承認者を検索する(ステップS12)。最終的に、管理装置100は、対象項目と新たに設定することが推奨される設定値(あるいは、設定範囲)とを承認者に通知する(ステップS14)。なお、承認者に通知する内容は、検証モデルによるシミュレーション結果を含めてもよい。
【0104】
このように、生産現場に反映すべき変更の発生は、生産現場に生じる傾向に基づいて判断されてもよい。
【0105】
(e3:シミュレーション結果に基づく変更内容の決定および反映)
次に、シミュレーション結果に基づいて変更内容を決定するとともに、決定した変更内容を統合管理データベース130に反映する処理例について説明する。
【0106】
図12は、本実施の形態に係る情報管理システム1におけるシミュレーション結果に基づく変更処理を説明するための模式図である。
図12に示す例では、情報管理システム1においては、シミュレーション処理166および承認・変更処理164が実行される。
【0107】
シミュレーション処理166は、統合管理データベース130の部品表132、工程表134および設備表136の設計情報(設計情報1323,1343,1363)に含まれる検証モデル(検証モデル1329,1349,1369)を利用して、設定値を含む製造条件などが妥当であるか否かを評価する処理を含む。さらに、シミュレーション処理166は、シミュレーション結果などに基づいて、統合管理データベース130に対する変更要否の判断および変更内容の提案などを行う処理を含む。
【0108】
なお、シミュレーション処理166は、稼働前の事前検証として実行される場合には、生産設備10および検査設備12は必ずしも必要ない。
【0109】
シミュレーション処理166においては、検証モデルおよび製造条件(検証条件)を用いて、シミュレーションを実現するための環境である検証環境が構成される。
【0110】
承認・変更処理164は、シミュレーション処理166によって変更が必要であると判断されると、当該変更対象の承認者に対して承認要求を通知する処理を含む。さらに、承認・変更処理164は、当該承認者からの承認に応答して、統合管理データベース130の対応する項目を変更するとともに、制御装置200の対応する項目(パラメータ226)を変更する処理を含む。承認・変更処理164によって、統合管理データベース130および制御装置200を同時に変更することで、生産現場と統合管理データベース130とを同期させることができる。
【0111】
なお、承認者に対しては、例えば、シミュレーション環境(検証環境)、対象の設定項目および新たな設定値、シミュレーション結果などのエビデンスが承認要求とともに提示される。
【0112】
図13は、本実施の形態に係る情報管理システム1における処理手順のさらに別の一例を示すシーケンス図である。
図13に示す処理手順は、管理装置100、制御装置200および情報処理装置300に加えて、変更および調整に関係する承認者(設計者)によって実行される。
【0113】
図13を参照して、管理装置100は、統合管理データベース130を参照して、対象の検証モデルを用いてラインのシミュレーションモデルを生成する(シーケンスSQ82)。管理装置100は、生成したシミュレーションモデルを用いたシミュレーション結果に基づいて、統合管理データベース130に含まれる設定値を含む製造条件などが妥当であるか否かを評価する(シーケンスSQ84)。このように、管理装置100は、統合管理データベース130に検証モデルを利用して生産現場についてのシミュレーションを行う。
【0114】
製造条件などが妥当でなければ(シーケンスSQ84においてNO)、管理装置100は、統合管理データベース130を参照して、変更すべき項目を検索するとともに、当該検索した項目の変更内容を決定する(シーケンスSQ86)。このように、生産現場に反映すべき変更の発生は、シミュレーション結果に基づいて判断される。
【0115】
さらに、管理装置100は、統合管理データベース130を参照して、対応する項目の承認者を検索する(シーケンスSQ60)。
【0116】
このように、管理装置100は、生産現場に反映すべき変更の発生に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目を統合管理データベース130から検索するとともに、当該検索された項目の承認者を検索する(シーケンスSQ84~SQ86,SQ60)。
【0117】
そして、管理装置100は、変更内容の詳細および変更内容に対する承認要求を承認者の情報処理装置300へ通知する(シーケンスSQ62)。すなわち、管理装置100は、検索された承認者に対して、変更内容を統合管理データベース130へ反映することについての承認を要求する(シーケンスSQ62)。
【0118】
以下、
図10に示すシーケンスSQ64~SQ80と同様の処理が実行される。これらの処理についての説明は繰り返さない。
【0119】
(e4:シミュレーション結果と生産実績との差に基づく変更内容の決定および反映)
次に、シシミュレーション結果と生産実績との差に基づいて変更内容を決定するとともに、決定した変更内容を統合管理データベース130に反映する処理例について説明する。
【0120】
図14は、本実施の形態に係る情報管理システム1におけるシミュレーション結果と生産実績との差に基づく変更処理を説明するための模式図である。
図14に示す例では、情報管理システム1においては、シミュレーション処理166および承認・変更処理164が実行される。
【0121】
シミュレーション処理166は、統合管理データベース130の部品表132、工程表134および設備表136の設計情報(設計情報1323,1343,1363)に含まれる検証モデル(検証モデル1329,1349,1369)を利用して、シミュレーションを行う処理を含む。さらに、シミュレーション処理166は、シミュレーション結果と生産実績162とに基づいて、統合管理データベース130に対する変更要否の判断および変更内容の提案などを行う処理を含む。すなわち、シミュレーション処理166は、事前のシミュレーション結果と生産実績162とが許容できない程度まで乖離しているか否かを判断し、対応する情報の変更要否を判断する処理を含む。
【0122】
シミュレーション処理166においては、検証モデルおよび製造条件(検証条件)を用いて、シミュレーションを実現するための環境である検証環境が構成される。
【0123】
承認・変更処理164は、シミュレーション処理166によって変更が必要であると判断されると、当該変更対象の承認者に対して承認要求を通知する処理を含む。さらに、承認・変更処理164は、当該承認者からの承認に応答して、統合管理データベース130の対応する項目を変更するとともに、制御装置200の対応する項目(パラメータ226)を変更する処理を含む。承認・変更処理164によって、統合管理データベース130および制御装置200を同時に変更することで、生産現場と統合管理データベース130とを同期させることができる。
【0124】
図15は、本実施の形態に係る情報管理システム1における処理手順のさらに別の一例を示すシーケンス図である。
図15に示す処理手順は、管理装置100、制御装置200および情報処理装置300に加えて、変更および調整に関係する承認者(設計者)によって実行される。
【0125】
図15を参照して、管理装置100は、統合管理データベース130を参照して、対象の検証モデルを用いてラインのシミュレーションモデルを生成する(シーケンスSQ90)。管理装置100は、生成したシミュレーションモデルを用いてシミュレーションを実行し、シミュレーション結果を取得する(シーケンスSQ92)。また、管理装置100は、制御装置200から生産実績162を取得する(シーケンスSQ94)。
【0126】
続いて、管理装置100は、シミュレーション結果と生産実績162とが許容できない程度まで乖離しているか否かを判断する(シーケンスSQ96)。
【0127】
シミュレーション結果と生産実績162とが許容できない程度まで乖離していれば(シーケンスSQ96においてYES)、管理装置100は、統合管理データベース130を参照して、変更すべき項目を検索するとともに、当該検索した項目の変更内容を決定する(シーケンスSQ98)。さらに、管理装置100は、統合管理データベース130を参照して、対応する項目の承認者を検索する(シーケンスSQ60)。このように、管理装置100は、生産現場に反映すべき変更の発生に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目を統合管理データベース130から検索するとともに、当該検索された項目の承認者を検索する(シーケンスSQ90~SQ98,SQ60)。
【0128】
そして、管理装置100は、変更内容の詳細および変更内容に対する承認要求を承認者の情報処理装置300へ通知する(シーケンスSQ62)。すなわち、管理装置100は、検索された承認者に対して、変更内容を統合管理データベース130へ反映することについての承認を要求する(シーケンスSQ62)。
【0129】
以下、
図10に示すシーケンスSQ64~SQ80と同様の処理が実行される。これらの処理についての説明は繰り返さない。
【0130】
<F.統合管理データベース130の更新方法>
本実施の形態に係る情報管理システム1においては、承認者が承認した後に、統合管理データベース130に対する変更が有効される。そのため、承認要求が通知されて、承認あるいは不承認が決定されるまでの間においては、統合管理データベース130に対する変更が留保された状態になる。そのため、本番系の統合管理データベース130に加えて、1または複数の予備系の統合管理データベース130Aを用意してもよい。
【0131】
図16は、本実施の形態に係る情報管理システム1における統合管理データベース130の更新方法の一例を説明するための図である。
図16を参照して、情報管理システム1は、統合管理データベース130に加えて、予備系の統合管理データベース130Aを有している。このように、管理装置100のストレージ120には、統合管理データベース130に加えて、第2の統合管理データベースとして、統合管理データベース130Aを格納してもよい。
【0132】
何らかの変更要求があると、対応する変更内容は統合管理データベース130Aに反映される(暫定的な変更)。その後、変更内容に対する承認要求が承認されると、統合管理データベース130Aの変更内容が統合管理データベース130に反映される。
【0133】
なお、承認要求が承認されなければ、統合管理データベース130Aに対する変更は元に戻される(ロールバックされる)。このような処理によって、統合管理データベース130の情報が承認無しで変更されることはない。
【0134】
図16に示すように、管理装置100は、生産現場に対する変更、あるいは、生産現場に反映すべき変更を、予備系の統合管理データベース130Aに暫定的に反映されるとともに、承認者からの承認に応答して、統合管理データベース130Aから統合管理データベース130に反映してもよい。このような予備系の統合管理データベース130Aを用意することで、統合管理データベース130に含まれる情報に対する変更処理をより容易に実現できる。
【0135】
<G.承認者>
上述の説明においては、部品表132、工程表134および設備表136などの設計情報に記述された設計者(設計者1328,1348,1368)から承認者を検索する処理を主として説明した。
【0136】
しかしながら、設計プロセスは、階層化していることもあり、承認者が複数にまたがる場合もある。この設計プロセスの階層化としては、例えば、上述したような、工程設計、ライン設計、設備・治具設計などのうち複数が階層的につながっているような形態が想定される。この結果、階層毎に複数の承認者が存在することになる。このような場合には、階層化された設計プロセスの情報を参照して、1または複数の承認者を検索するようにしてもよい。
【0137】
図17は、本実施の形態に係る情報管理システム1における承認者を検索する方法の一例を説明するための図である。
図17を参照して、情報管理システム1は、設計階層情報170をさらに有していてもよい。設計階層情報170は、工程設計、ライン設計、設備・治具設計などの階層的な構造を示すものである。設計階層情報170は、管理装置100に格納されていてもよい。
【0138】
図17に示す例では、工程1に対して複数の設備(設備A、設備B、設備C)が関連付けられている。例えば、工程1に対して、何らかの情報を反映する場合には、工程1についての承認者からの承認だけではなく、工程1に関連付けられている複数の設備のそれぞれについての承認者からの承認が必要な場合も生じ得る。
【0139】
そこで、管理装置100は、設計階層情報170を参照することで、承認が必要な階層および対象を特定するとともに、特定した1または複数の対象の承認者を検索することもできる。
【0140】
このような設計階層情報170を参照することで、設計プロセスの階層化されているとしても、関係するすべての承認者を検索できるので、設計情報に対して必要な情報を適切かつ確実に反映できる。また、生産現場から得られた現場の情報を、各階層の承認者の観点で承認した場合に限って、設計情報に反映できるようにすることで、現場からの情報を設計情報へ適切にフィードバックできる。
【0141】
<H.付記>
上述したような本実施の形態は、以下のような技術思想を含む。
【0142】
[構成1]
部品表(BOM:Bill Of Materials)(132)と、工程表(BOP:Bill Of Process)(134)と、設備表(BOE:Bill of Equipment)(136)とを含むデータベース(130)を格納する記憶部(120)を備え、前記部品表、前記工程表および前記設備表の各々は、含まれる情報に対する承認者の指定(1328,1348,1368)を含み、
生産現場に対する変更の発生、あるいは、生産現場に反映すべき変更の発生、に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目を前記データベースから検索するとともに、当該検索された項目の承認者を検索する検索手段(20)と、
前記検索された承認者に対して、前記変更内容を前記データベースへ反映することについての承認を要求する承認要求手段(30)と、
前記承認者からの承認に応答して、前記変更内容を前記データベースの対応する項目に反映する更新手段(40)とを備える、情報管理システム。
【0143】
[構成2]
前記生産現場に対する変更は、前記生産現場の制御装置(200)に対してなされた変更内容を含む、構成1に記載の情報管理システム。
【0144】
[構成3]
前記生産現場の生産実績に基づいて、前記データベースに含まれる設定値が妥当であるか否かを評価する評価手段(SQ84)をさらに備え、
前記生産現場に反映すべき変更は、前記データベースに含まれる設定値が妥当ではないとの評価に応答して生成される、構成1または2に記載の情報管理システム。
【0145】
[構成4]
前記生産現場の生産実績に基づいて前記生産現場に生じる傾向を推定する推定手段(S6)をさらに備え、
前記生産現場に反映すべき変更の発生は、前記生産現場に生じる傾向に基づいて判断される、構成1~3のいずれか1項に記載の情報管理システム。
【0146】
[構成5]
前記データベースに含まれるモデルを利用して前記生産現場についてのシミュレーションを行うシミュレーション手段(SQ82)をさらに備え、
前記生産現場に反映すべき変更の発生は、前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて判断される、構成1~4のいずれか1項に記載の情報管理システム。
【0147】
[構成6]
前記更新手段は、前記承認者からの不承認に応答して、前記変更内容に係るログを記録する(SQ80)、構成1~5のいずれか1項に記載の情報管理システム。
【0148】
[構成7]
前記記憶部は、前記データベースに加えて、第2のデータベース(130A)を格納しており、
前記生産現場に対する変更、あるいは、前記生産現場に反映すべき変更は、前記第2のデータベースに暫定的に反映されるとともに、前記承認者からの承認に応答して、前記第2のデータベースから前記データベースに反映される、構成1~6のいずれか1項に記載の情報管理システム。
【0149】
[構成8]
前記承認者からの承認を受け付けるためのユーザインターフェイス画面(350)を表示する表示手段(300)をさらに備え、
前記ユーザインターフェイス画面は、承認が要求されている変更内容(354)を含む、構成1~7のいずれか1項に記載の情報管理システム。
【0150】
[構成9]
部品表(BOM:Bill Of Materials)(132)と、工程表(BOP:Bill Of Process)(134)と、設備表(BOE:Bill of Equipment)(136)とを含むデータベース(130)を記憶部(120)に格納するステップを備え、前記部品表、前記工程表および前記設備表の各々は、含まれる情報に対する承認者の指定(1328,1348,1368)を含み、
生産現場に対する変更の発生、あるいは、生産現場に反映すべき変更の発生、に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目を前記データベースから検索するとともに、当該検索された項目の承認者を検索するステップ(SQ6~SQ12,SQ54~SQ60,SQ84,SQ86)と、
前記検索された承認者に対して、前記変更内容を前記データベースへ反映することについての承認を要求するステップ(SQ14,SQ62)と、
前記承認者からの承認に応答して、前記変更内容を前記データベースの対応する項目に反映するステップ(SQ22,SQ62)とを備える、情報管理方法。
【0151】
[構成10]
情報管理方法をコンピュータ(100)に実行させるための情報管理プログラム(124)であって、前記コンピュータは、部品表(BOM:Bill Of Materials)(132)と、工程表(BOP:Bill Of Process)(134)と、設備表(BOE:Bill of Equipment)(136)とを含むデータベース(130)を格納する記憶部(120)を備え、前記部品表、前記工程表および前記設備表の各々は、含まれる情報に対する承認者の指定(1328,1348,1368)を含み、前記情報管理プログラムは前記コンピュータに、
生産現場に対する変更の発生、あるいは、生産現場に反映すべき変更の発生、に応答して、当該変更の内容である変更内容に対応する項目を前記データベースから検索するとともに、当該検索された項目の承認者を検索するステップ(SQ6~SQ12,SQ54~SQ60,SQ84,SQ86)と、
前記検索された承認者に対して、前記変更内容を前記データベースへ反映することについての承認を要求するステップ(SQ14,SQ62)と、
前記承認者からの承認に応答して、前記変更内容を前記データベースの対応する項目に反映するステップ(SQ22,SQ62)とを実行させる、情報管理プログラム。
【0152】
<I.利点>
本実施の形態に係る情報管理システムにおいては、例えば、ラインの構築中やラインの運用中などに変更すべき内容が見つかった場合や、生産実績や将来の予測などに基づいて変更が必要であることが判明した場合において、当該変更を反映すべき項目および当該変更に対する承認者が検索されるので、変更内容を統合管理データベースにも容易に反映できる。その結果、生産現場に対してのみ何らかの変更が行われて、当該変更の内容が統合管理データベースに反映されないといった事態を回避できる。すなわち、本実施の形態に係る情報管理システムによれば、生産現場の情報をデータベースで管理されている情報により確実に反映できる。
【0153】
また、本実施の形態に係る情報管理システムにおいては、生産現場において日々行われる改善活動によって得られる情報を設計情報に適切に反映できる。すなわち、設計時においては考慮することができない、(1)設計時の前提からの乖離、(2)設計時には考慮できない4M(マン・マシン・マテリアル・メソッド)変動などの項目、を設計情報に反映できる。
【0154】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0155】
1 情報管理システム、2,4 ネットワーク、10 生産設備、12 検査設備、20 検索モジュール、30 承認要求モジュール、40 更新モジュール、100 管理装置、102,202 プロセッサ、104,204 主メモリ、106 表示部、108 入力部、110,206 通信インターフェイス、112,210 バス、120,220 ストレージ、122 OS、124 情報管理プログラム、130,130A 統合管理データベース、132 部品表、134 工程表、136 設備表、140 作業指示書、152 工程設計者、154 ライン設計者、156 設備・治具設計者、160 工程評価処理、162 生産実績、164 変更処理、166 シミュレーション処理、170 設計階層情報、200 制御装置、208 入出力ユニット、222 システムプログラム、224 ユーザプログラム、226 パラメータ、300 情報処理装置、350 ユーザインターフェイス画面、352 メッセージ、354 変更内容、356 承認ボタン、358 不承認ボタン、1321,1344 部品ID、1322,1342,1362 設定項目、1323,1343,1363 設計情報、1327,1347,1367 基準値、1328,1348,1368 設計者、1329,1349,1369 検証モデル、1341 工程ID、1345,1361 設備ID。