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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171071
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221104BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20221104BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20221104BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20221104BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60T7/12 C
B60W30/10
B60W60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077459
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133064
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 新
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 こずえ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴広
(72)【発明者】
【氏名】黒田 聡
(72)【発明者】
【氏名】濱口 裕
【テーマコード(参考)】
3D241
3D246
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BB33
3D241BB34
3D241BC01
3D241BC02
3D241CA15
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE02
3D241CE03
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA52Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB20Z
3D241DC02Z
3D241DC44Z
3D246AA13
3D246DA01
3D246GB30
3D246GC16
3D246HB12A
3D246HC02
3D246JB11
5H181AA02
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】牽引自動車が周囲の交通を妨げずに交差点で右左折する。
【解決手段】車両制御装置1の検出部11は、牽引自動車100前方の交差点Cでの右左折後に牽引自動車100が進入する進入車線L2に停止中の先行車両200を検出する。車両制御装置1の走行制御部12は、右左折後に先行車両200後方で牽引自動車100が進入車線L2に隣接する隣車線L3及び交差点Cにはみ出さずに進入車線L2中に停止できるときは、牽引自動車100を右左折後に先行車両200後方に停止させる。一方、走行制御部12は、右左折後に先行車両200後方で牽引自動車100が隣車線L3及び交差点Cにはみ出さずに進入車線L2中に停止できないときは、牽引自動車100を交差点Cの手前に停止させる。隣車線L3の交通を妨げないときにのみ牽引自動車100が右左折後に進入車線L2に進入し、牽引自動車100が周囲の交通を妨げずに交差点Cでの右左折ができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引自動車の前方の交差点での左折及び右折のいずれかの後に前記牽引自動車が進入する進入車線に停止している先行車両を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記先行車両に関する情報に基づいて前記牽引自動車の走行を制御する走行制御部と、
を備え、
前記走行制御部は、
前記交差点での左折及び右折のいずれかの後に、前記先行車両の後方において、前記牽引自動車が前記進入車線に隣接する隣車線及び前記交差点にはみ出さずに前記進入車線の中に停止できるときは、前記牽引自動車を前記交差点での左折及び右折のいずれかをさせて前記進入車線に進入させた後に前記先行車両の後方に停止させ、
前記交差点での左折及び右折のいずれかの後に、前記先行車両の後方において、前記牽引自動車が前記隣車線及び前記交差点にはみ出さずに前記進入車線の中に停止できないときは、前記牽引自動車を前記交差点の手前に停止させる、車両制御装置。
【請求項2】
前記走行制御部は、
前記隣車線における前記交差点の停止線と前記先行車両の後端との距離が、前記牽引自動車の全長以上であるときは、前記牽引自動車を前記交差点での左折及び右折のいずれかをさせて前記進入車線に進入させた後に前記先行車両の後方に停止させる、請求項1に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の交差点での左折及び右折を制御する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、交差点での左折又は右折の後に自動車が進入した車線において、停止している先行車両の後方で自動車が交差点にはみ出さずに停止できないときは、交差点の手前の信号機の点灯色が青色であっても、右折矢印信号灯又は左折矢印信号灯が点灯していても、自動車を交差点に進入させることなく、交差点の手前で停止させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-219986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような自動車の交差点での左折及び右折を制御する技術では、自動車が牽引自動車である場合には、交差点での左折又は右折の後に牽引自動車が交差点にはみ出さずに停止できたとしても、例えば、牽引自動車の被牽引車が曲がり切れず、牽引自動車が周囲の交通を妨げる可能性がある。そのため、牽引自動車が周囲の交通を妨げずに交差点での左折及び右折ができる技術が望まれている。
【0005】
そこで本発明は、牽引自動車が周囲の交通を妨げずに交差点での左折及び右折ができる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、牽引自動車の前方の交差点での左折及び右折のいずれかの後に牽引自動車が進入する進入車線に停止している先行車両を検出する検出部と、検出部により検出された先行車両に関する情報に基づいて牽引自動車の走行を制御する走行制御部とを備え、走行制御部は、交差点での左折及び右折のいずれかの後に、先行車両の後方において、牽引自動車が進入車線に隣接する隣車線及び交差点にはみ出さずに進入車線の中に停止できるときは、牽引自動車を交差点での左折及び右折のいずれかをさせて進入車線に進入させた後に先行車両の後方に停止させ、交差点での左折及び右折のいずれかの後に、先行車両の後方において、牽引自動車が隣車線及び交差点にはみ出さずに進入車線の中に停止できないときは、牽引自動車を交差点の手前に停止させる車両制御装置である。
【0007】
この構成によれば、牽引自動車の前方の交差点での左折及び右折のいずれかの後に牽引自動車が進入する進入車線に停止している先行車両を検出する検出部と、検出部により検出された先行車両に関する情報に基づいて牽引自動車の走行を制御する走行制御部とを備えた車両制御装置において、走行制御部は、交差点での左折及び右折のいずれかの後に、先行車両の後方において、牽引自動車が進入車線に隣接する隣車線及び交差点にはみ出さずに進入車線の中に停止できるときは、牽引自動車を交差点での左折及び右折のいずれかをさせて進入車線に進入させた後に先行車両の後方に停止させる。一方、走行制御部は、交差点での左折及び右折のいずれかの後に、先行車両の後方において、牽引自動車が隣車線及び交差点にはみ出さずに進入車線の中に停止できないときは、牽引自動車を交差点の手前に停止させる。したがって、隣車線の交通を妨げないときにのみ牽引自動車が交差点での左折及び右折のいずれかの後に進入車線に進入するため、牽引自動車が周囲の交通を妨げずに交差点での左折及び右折ができる。
【0008】
この場合、走行制御部は、隣車線における交差点の停止線と先行車両の後端との距離が、牽引自動車の全長以上であるときは、牽引自動車を交差点での左折及び右折のいずれかをさせて進入車線に進入させた後に先行車両の後方に停止させることが好適である。
【0009】
隣車線における交差点の停止線で対向車両が停止していると仮定すると、交差点での左折及び右折のいずれかの後に進入車線における隣車線の停止線に相当する位置を追加した牽引自動車の被牽引車は、牽引自動車の全長の距離を走行した後には、牽引自動車の牽引車に対して平行になり、対向車両の障害にならないと考えられる。したがって、この構成によれば、走行制御部は、隣車線における交差点の停止線と先行車両の後端との距離が、牽引自動車の全長以上であるときは、牽引自動車を交差点での左折及び右折のいずれかをさせて進入車線に進入させた後に先行車両の後方に停止させるため、単純な演算で、牽引自動車が周囲の交通を妨げずに交差点での左折及び右折ができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車両制御装置によれば、牽引自動車が周囲の交通を妨げずに交差点での左折及び右折ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る車両制御装置を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る車両制御装置の動作を示すフローチャートである。
図3】車両制御装置が動作する状況を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る車両制御装置について、図面を用いて詳細に説明する。図1に示される車両制御装置1は、牽引自動車100に搭載され、牽引自動車100が周囲の交通を妨げず障害物を回避しつつ走行するように、牽引自動車100の自動運転制御を実行する。自動運転制御とは、例えば、牽引自動車100のドライバーの運転操作によらずに、所定の走行計画に従って、牽引自動車100の速度、加速度、減速度及び操舵角が自動制御されることを意味する。
【0013】
牽引自動車100は、牽引車と被牽引車とからなる。被牽引車は、例えば、荷室又は荷台を有している。牽引自動車100は、内燃機関のみを動力源として備えた車両、内燃機関と電動機とを動力源として備えた電気式ハイブリッド車及び電動機のみを動力源として備えた電気自動車のいずれでもよい。車両制御装置1では、レーダ2、GNSS3、通信機4、ECU10、操舵アクチュエータ21、アクセルアクチュエータ22及びブレーキアクチュエータ23を備える。
【0014】
レーダ2は、電波(例えばミリ波)を利用して牽引自動車100の前方で停止している先行車両等の物体を検出する。レーダ2は、電波を牽引自動車100の周囲に送信し、物体で反射された電波を受信することで物体を検出する。レーダ2は、検出した物体に関する情報をECU10へ送信する。
【0015】
なお、車両制御装置1は、レーダ2と合わせて又はレーダ2に替えて、ライダ及びカメラを備えていてもよい。ライダは、光を利用して牽引自動車100の外部の物体を検出する。ライダは、光を牽引自動車100の周囲に送信し、物体で反射された光を受信することで反射点までの距離を計測し、物体を検出する。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。ステレオカメラは、両眼視差を再現するように配置された二つの撮像部を有している。ステレオカメラの撮像情報には、奥行き方向の情報も含まれている。
【0016】
GNSS(Global NavigationSatellite System:全地球航法衛星システム)3は、4個以上の測位衛星から信号を受信して、牽引自動車100の位置を示す位置情報を取得する。位置情報には、例えば緯度及び経度が含まれる。GNSS3は、測定した牽引自動車100の位置情報をECU10へ出力する。
【0017】
通信機4は、例えば、車車間通信機と路車間通信機とを有する。車車間通信機は、車車間通信により先行車両等の他車両の位置等の情報を相互に送受信するためのものである。路車間通信機は、光ビーコン通信機等の路側施設から障害物の位置及び道路を走行する先行車両等の他車両の位置等の情報を受信するためのものである。
【0018】
ECU10は、CPU[CentralProcessing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]及びHDD(Hard disk drive)等を有する電子制御ユニットである。ECU10は、検出部11、走行制御部12及びデータベース13を有している。ECU10では、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、上記の検出部11等の各部の制御を実行する。ECU10は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。
【0019】
検出部11は、レーダ2によって取得された情報に基づいて、牽引自動車100の前方の物体を検出する。本実施形態では、検出部11は、牽引自動車100の前方の交差点での左折及び右折のいずれかの後に牽引自動車100が進入する進入車線に停止している先行車両を検出する。検出部11は、レーダ2のみならずライダ及びカメラによって、先行車両を検出してもよい。
【0020】
走行制御部12は、検出部11により検出された先行車両に関する情報に基づいて、操舵アクチュエータ21、アクセルアクチュエータ22及びブレーキアクチュエータ23を作動させることにより、牽引自動車100の走行を制御する。走行制御部12は、GNSS3によって取得された牽引自動車100の位置情報と、牽引自動車100の位置情報に関連付けてデータベース13に記録された道路形状に関する情報とに基づいて、牽引自動車100の走行を制御してもよい。走行制御部12の動作については、後述する。
【0021】
データベース13は、例えば、牽引自動車100のECU10に搭載されたHDD内に形成されている。データベース13には、牽引自動車100の全長、牽引自動車100の速度と操舵角とに応じた旋回半径及び牽引自動車100の速度と操舵角とに応じた牽引車と被牽引車の走行軌跡等の情報が記録されている。また、データベース13には、牽引自動車100が走行する道路の道路幅、交差点の停止線の位置等に関する情報を含む地図情報が記録されている。
【0022】
操舵アクチュエータ21は、例えば、牽引自動車100のステアリングシャフトに設けられたモータアクチュエータである。操舵アクチュエータ21は、ECU10からの制御信号に応じて、ステアリングシャフトを回転させることによって、牽引自動車100の操舵を行う。
【0023】
アクセルアクチュエータ22は、ECU10からの制御信号に応じてエンジンに対する燃料の供給量(アクセル開度)を制御し、牽引自動車100の駆動力を制御する。ブレーキアクチュエータ23は、ECU10からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、牽引自動車100の車輪へ付与する制動力を制御する。
【0024】
以下、本実施形態の車両制御装置1の動作について説明する。なお、以下の説明で前及び後とは、牽引自動車100から視た方向に応じた前及び後の方向及び車線の進行方向に応じた前及び後の方向であることを意味する。図2及び図3に示されるように、GNSS3によって取得された牽引自動車100の位置情報と、牽引自動車100の位置情報に関連付けてデータベース13に記録された道路形状に関する情報とに基づいて、走行制御部12により、交差点Cの走行車線L1を走行する牽引自動車100の交差点Cでの左折及び右折のいずれかがなされるときは(S1)、車両制御装置1は、以下に示される処理を実行する。以下の例では、交差点Cで牽引自動車100が左折をする場合が示される。
【0025】
検出部11により、牽引自動車100の前方の交差点Cでの左折及び右折のいずれかの後に牽引自動車100が進入する進入車線L2に渋滞等により停止している先行車両200が検出されたときは(S2)、進入車線L2に隣接する隣車線L3における交差点Cの停止線SL2の進入車線L2への延長線と先行車両200の後端との距離Dが取得され、以下に示す処理が実行される。隣車線L3における交差点Cの停止線SL2の位置は、例えば、停止線SL2の最も交差点Cに近い位置に基づいて判断される。停止線SL2の位置は、交差点Cからの停止線SL2の一般的な位置に基づいて決定されてもよく、GNSS3によって取得された牽引自動車100の位置情報と牽引自動車100の位置情報に関連付けてデータベース13に記録された停止線の位置に関する情報とに基づいて決定されてもよい。
【0026】
また、先行車両200の位置等に関する情報は、先行車両200との通信機4を介した車車間通信により取得されてもよい。また、先行車両200の位置等に関する情報は、光ビーコン通信機等の路側施設との通信機4を介した路車間通信により取得されてもよい。
【0027】
走行制御部12は、交差点Cでの左折及び右折のいずれかの後に、先行車両200の後方において、交差点Cの停止線SL2と先行車両200の後端との距離Dが、牽引自動車100が進入車線L2に隣接する隣車線L3及び交差点Cにはみ出さずに進入車線L2の中に停止できる距離D1以上であるか否かを判定する(S3)。なお、交差点Cにはみ出さずに進入車線L2に停止できるとは、例えば、牽引自動車100の後端が、交差点Cの走行車線L1にはみ出さないで停止できることを意味する。
【0028】
もっとも保守的には、距離D1はデータベース13に記録された牽引自動車100の全長lとされる。D1=lとされる理由は、図3に示されるように、牽引自動車100が交差点Cで左折し、牽引自動車100の牽引車が、隣車線L3における交差点Cの停止線SL2の進入車線L2への延長線を通過したときに、牽引自動車100の被牽引車が隣車線L3にはみ出していたとしても、牽引自動車100の牽引車が牽引自動車100の全長lを走行すれば、牽引自動車100の牽引車に対して被牽引車が平行な状態となり、牽引自動車100の牽引車及び被牽引車のいずれもが隣車線L3にはみ出さずに進入車線L2の中に停止できると考えられるからである。
【0029】
また、上記の条件では、同時に、先行車両200の後端と牽引自動車100の前端との距離(車間距離)を十分に保ちつつ、牽引自動車100が交差点にはみ出さずに進入車線L2の中に停止できると考えられる。また、上記の条件では、隣車線L3における交差点Cの停止線SL2の手前で停止している対向車両300の走行を牽引自動車100が妨げることがないと考えられる。上記の条件では、牽引自動車100は、先行車両200の後方で、進入車線L2に平行な状態で停止する。隣車線L3にはみ出さないためには、牽引自動車100の牽引車及び被牽引車は、先行車両200の後方で進入車線L2に平行な状態で停止する必要はないが、十分条件は満たされる。また、上記の条件では、厳密に進入車線L2の車線幅Wを条件に入れなくてもよい。
【0030】
なお、牽引自動車100の牽引車及び被牽引車は、先行車両200の後方で進入車線L2に平行な状態で停止するための距離D1は、牽引自動車100の走行計画に対して、データベースに記録された牽引自動車100の速度と操舵角とに応じた旋回半径及び牽引自動車100の速度と操舵角とに応じた牽引車と被牽引車の走行軌跡に基づいて算出されてもよい。
【0031】
また、走行制御部12が、GNSS3によって取得された牽引自動車100の位置情報と牽引自動車100の位置情報に関連付けてデータベース13に記録された道路形状に関する情報とに基づいて進入車線L2の車線幅Wを取得でき、牽引自動車100の走行計画に対して、データベースに記録された牽引自動車100の速度と操舵角とに応じた旋回半径及び牽引自動車100の速度と操舵角とに応じた牽引車と被牽引車の走行軌跡を取得できるときは、状況に応じて、距離D1は、先行車両200の後方で牽引自動車100が進入車線L2に平行ではない状態で停止しつつ隣車線L3に牽引自動車100がはみ出さずに進入車線L2の中に停止できる状態における進入車線L2での牽引自動車100の前端と後端との距離ld、停止した牽引自動車100の前端と先行車両200の後端との必要とされる車間距離dfに対して、D1=ld+dfで算出されてもよい。
【0032】
D≧D1であるとき(S3)、つまり、交差点Cでの左折及び右折のいずれかの後に、先行車両200の後方において、牽引自動車100が進入車線L2に隣接する隣車線L3及び交差点Cにはみ出さずに進入車線L2の中に停止できるときは、走行制御部12は、牽引自動車100を交差点Cでの左折及び右折のいずれかをさせて進入車線L2に進入させた後に先行車両200の後方に停止させる(S4)。上記の保守的な条件では、走行制御部12は、隣車線L3における交差点Cの停止線SL2と先行車両200の後端との距離が、牽引自動車100の全長l以上であるときは、牽引自動車100を交差点Cでの左折及び右折のいずれかをさせて進入車線L2に進入させた後に先行車両200の後方に停止させる。
【0033】
一方、D≧D1でないとき(S3)、つまり、交差点Cでの左折及び右折のいずれかの後に、先行車両200の後方において、牽引自動車100が隣車線L3及び交差点Cにはみ出さずに進入車線L2の中に停止できないときは、走行制御部12は、牽引自動車100を交差点Cの手前の停止線SL1に停止させる(S5)。
【0034】
なお、上記のS2において、走行制御部12により、牽引自動車100の交差点Cでの左折及び右折のいずれかがなされるが(S1)、検出部11により進入車線L2に停止している先行車両200が検出されないときには(S2)、走行制御部12は、交差点での左折及び右折のいずれかの後に、牽引自動車100を進入車線L2で走行させる(S6)。
【0035】
図3に示されるように、例えば、交差点Cでの左折先の進入車線L2が渋滞している場合、自車両が普通自動車であれば、先行車両200の後端と交差点Cの端部とのスペースP及び自車両の全長lについて、P≧l+αである分のスペースPがあれば、自車両が交差点Cにはみ出さずに進入車線L2の中に収まる。しかし、牽引自動車100における市街地での自動運転において、普通自動車における交差点通過可否判断の適用を考えると、例えば交差点の先が渋滞している場合に単純に右左折、特に左折を行う際には、被牽引車が右左折先、特に左折先の道路で進入車線L2に対して曲がった状態で停止し、右左折先、特に左折先の進入車線L2を走行する対向車両300の障害となってしまう可能性がある。
【0036】
普通自動車における交差点通過可否判断は、先行車両200の後ろのスペースが常に利用可能であることを想定しており、牽引自動車100における旋回時の牽引車に対する非牽引車の折れ曲がりを考慮していないためである。したがって、自車両が牽引自動車100である場合は全長lだけでなく、左折後に牽引自動車100の被牽引車が隣車線L3にはみ出して対向車両300の進行の妨げにならないために、左折後に被牽引車が進入車線L2に収まるまでに必要な距離を考える必要がある。
【0037】
本実施形態によれば、牽引自動車100の前方の交差点Cでの左折及び右折のいずれかの後に牽引自動車100が進入する進入車線L2に停止している先行車両200を検出する検出部11と、検出部11により検出された先行車両200に関する情報に基づいて牽引自動車100の走行を制御する走行制御部12とを備えた車両制御装置1において、走行制御部12は、交差点Cでの左折及び右折のいずれかの後に、先行車両200の後方において、牽引自動車100が進入車線L2に隣接する隣車線L3及び交差点Cにはみ出さずに進入車線L2の中に停止できるときは、牽引自動車100を交差点Cでの左折及び右折のいずれかをさせて進入車線L2に進入させた後に先行車両200の後方に停止させる。
【0038】
一方、走行制御部12は、交差点Cでの左折及び右折のいずれかの後に、先行車両200の後方において、牽引自動車100が隣車線L3及び交差点Cにはみ出さずに進入車線L2の中に停止できないときは、牽引自動車100を交差点Cの手前に停止させる。したがって、隣車線L3の交通を妨げないときにのみ牽引自動車100が交差点Cでの左折及び右折のいずれかの後に進入車線L2に進入するため、牽引自動車100が周囲の交通を妨げずに交差点Cでの左折及び右折ができる。特に、本実施形態の車両制御装置1は、隣車線L3への被牽引車のはみ出しが生じ易い左折時に有用である。また、本実施形態では、牽引自動車100において、市街地等、停車すべきでないエリアが存在する場所にも上記の機能を追加すれば、右左折時の交差点通過可否判断を適切に行える。
【0039】
上記のように、隣車線L3における交差点Cの停止線LS2で対向車両300が停止していると仮定すると、交差点Cでの左折及び右折のいずれかの後に進入車線L2における隣車線L3の停止線LS2に相当する位置を追加した牽引自動車100の被牽引車は、牽引自動車100の全長lの距離を走行した後には、牽引自動車100の牽引車に対して平行になり、対向車両300の障害にならないと考えられる。
【0040】
したがって、本実施形態によれば、走行制御部12は、隣車線L3における交差点Cの停止線LS2と先行車両200の後端との距離が、牽引自動車100の全長以上であるときは、牽引自動車100を交差点Cでの左折及び右折のいずれかをさせて進入車線L2に進入させた後に先行車両200の後方に停止させるため、単純な演算で、牽引自動車100が周囲の交通を妨げずに交差点Cでの左折及び右折ができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【符号の説明】
【0042】
1…車両制御装置、2…レーダ、3…GNSS、4…通信機、10…ECU、11…検出部、12…走行制御部、13…データベース、21…操舵アクチュエータ、22…アクセルアクチュエータ、23…ブレーキアクチュエータ、100…牽引自動車、200…先行車両、300…対向車両、C…交差点、L1…走行車線、L2…進入車線、L3…隣車線、SL1,SL2…停止線、D…距離、l…全長、W…車線幅、P…スペース。
図1
図2
図3