(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171089
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】芳香性除菌消臭剤
(51)【国際特許分類】
A01N 59/06 20060101AFI20221104BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20221104BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20221104BHJP
A01N 65/22 20090101ALI20221104BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20221104BHJP
A61L 9/013 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
A01N59/06 Z
A01N25/02
A01P3/00
A01N65/22
A61L9/01 B
A61L9/013
A61L9/01 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077492
(22)【出願日】2021-04-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.ジップロック
(71)【出願人】
【識別番号】721004086
【氏名又は名称】株式会社EXELIM
(71)【出願人】
【識別番号】521197438
【氏名又は名称】有限会社アプリ
(72)【発明者】
【氏名】小川 剛一郎
(72)【発明者】
【氏名】飯田 和則
(72)【発明者】
【氏名】堤 絵美
【テーマコード(参考)】
4C180
4H011
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA10
4C180CA06
4C180CB01
4C180EA24X
4C180EB12X
4C180EC01
4C180EC02
4C180GG06
4H011AA02
4H011BB18
4H011BB22
4H011DA13
4H011DA16
4H011DE15
(57)【要約】
【課題】 天然物由来の芳香および/または効能を有する除菌消臭剤を提供する。
【解決手段】天然のハーブより抽出された成分を含む水溶液に塩基性カルシウムまたはその水溶液を添加し、ハーブの芳香を消失させることなく、強塩基性を発現させることによって、天然物由来の芳香および/または効能と、除菌消臭機能を有する芳香性除菌消臭剤を調製することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然物由来の成分を芳香物質および/または効能物質として含有し、塩基性のカルシウムを除菌消臭成分として含有することを特徴とする除菌消臭剤。
【請求項2】
塩基性のカルシウムが天然由来の炭酸カルシウムを焼成して得られる酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムである請求項1に記載の除菌消臭剤。
【請求項3】
天然物由来の成分がローズ類、柑橘類、スイートピー、ガーデニア、ジャスミン、ライラック、ユリ、カトレア、梅、バニラのいずれかのフラワー類から抽出された成分である請求項1または請求項2に記載の除菌消臭剤。
【請求項4】
天然物由来の成分がミント、ローズマリー、ローズウッド、カモミールローマン、ゼラニウム、ローズ、ネロリ、イランイラン、パルマローザ、ラベンダー、ユーカリ、レモンバーム、レモングラスのいずれの植物から抽出された成分である請求項1または請求項2に記載の除菌消臭剤。
【請求項5】
天然物由来の成分がヒノキ、杉、ニームいずれかの樹木または葉、または竹から抽出された成分である請求項1または請求項2に記載の除菌消臭剤。
【請求項6】
酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを0.01重量パーセントから0.50重量パーセント溶解または分散させた水溶液であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の除菌消臭剤。
【請求項7】
溶液のpHが10~13.5である請求項1から請求項5のいずれかに記載の除菌消臭剤。
【請求項8】
界面活性を有し、油脂を乳化させることが可能な請求項1から請求項5のいずれかに記載の除菌消臭剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然物由来の芳香を有し、且つ除菌消臭機能を併せ持つ芳香性除菌消臭剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の除菌剤または除菌消臭剤はアルコールまたは次亜塩素酸または次亜塩素酸ナトリウムを主原料として用いるものであり、芳香がなかった。
【0003】
アルコールを主原料として用いた除菌剤は、主成分としてエタノールを含有し、副成分としてイソプロピルアルコールを含有していることが多く、含有するアルコール由来のにおいがする。
【0004】
前記アルコール系の除菌剤は、使用時の皮膚の乾燥が問題であり、そのためアルコール成分に加えて、保湿成分を添加しているものも多く、保湿成分由来のにおいもある。
【0005】
従って、アルコール系の除菌剤は優れた除菌性能を有するが、アルコール特有のにおい、または添加剤特有のにおいがある。アルコール系の除菌剤は溶液状のものからジェル状のものまで多種あるが、芳香を有するものは数少なかった。
【0006】
次亜塩素酸をベースとする除菌消臭剤は2通り存在する。ひとつは次亜塩素酸ナトリウムを水で希釈した次亜塩素酸ナトリウム水溶液であり、もうひとつは次亜塩素酸ナトリウムを酸で中和して弱酸性にした次亜塩素酸水溶液である。
【0007】
前記の次亜塩素酸系の除菌消臭剤は次亜塩素酸イオンの強力な酸化力によって非常に優れた殺菌効果を発現する。次亜塩素酸系の除菌消臭剤は次亜塩素酸イオンを含有する溶液の濃度に応じて塩素由来のにおいがするのが一般的である。また次亜塩素酸系の除菌消臭剤は、その強力な酸化力のため有機物と反応して分解するため、有機物が共存することは困難である。従って、次亜塩素酸系の除菌消臭剤で芳香性を有する製品は皆無である。
【0008】
前記のアルコール系除菌剤、または前記の次亜塩素酸系除菌消臭剤以外の除菌消臭剤も数多く開発されている。
【0009】
除菌消臭効果を発現する方法のひとつとしては、酸化力を起因とするものがあり、過酸化水素水やヨウ素水などが該当する。
【0010】
酸化力以外の除菌消臭効果の発現方法としては、酸性または塩基性の水溶液が存在する。代表的な製品として電解水酸化ナトリウム水溶液などが挙げられる。電解水酸化ナトリウム水溶液はpH12以上の強塩基性水溶液であり、菌やウイルスの生存環境を著しく困難にすることによって殺菌する。
【0011】
強塩基性水溶液として、水酸化カルシウム水溶液が古くから知られている。石灰石由来の水酸化カルシウムの飽和水溶液は石灰水と呼ばれ、殺菌効果があり、畜産関連の施設などで幅広く用いられている。
【0012】
例えば、水酸化カルシウムとして、卵の殻または貝殻を焼成することによって得られる酸化カルシウムを水と反応させて得られる水酸化カルシウムが知られている。このようにして得られる水酸化カルシウムは本質的に天然物由来であり、不純物も少なく安全に用いることができる。
【0013】
前記の水酸化カルシウムを水に溶解した水酸化カルシウム水溶液は、鉱物由来の石灰水と同様、またはそれ以上に高い殺菌力を有することが知られている。
【0014】
ハーブ類はテルペンとテルペノイドを始めとする一連の天然物を成分として含有する植物であり、独特の芳香を有する。代表的なものとして、ミントやローズマリー、ローズウッド、カモミールローマン、ゼラニウム、ローズ、ネロリ、パルマローザ、ラベンダー、ユーカリなどが良く用いられる。
【0015】
前記の一連のハーブ類はその成分に基づく効能を有する。代表的な効能としては、殺菌効果、雑菌またはカビの繁殖を防ぐ抗菌効果、防虫効果、空気洗浄が知られており、精神的作用として、ストレス解消、安眠・不眠の改善、リラックス、集中力アップが知られており、身体的作用としては、風邪予防、頭痛、花粉症、肩こり、筋肉痛、冷え性、むくみ、便秘、水虫への効果が知られており、スキンケアとしては、ターンオーバー促進、肌のハリ、皮脂バランス、ニキビ、保湿の効果が知られている。
【0016】
前記の一連のハーブ類は、抽出した精油またはハーブオイルとして販売されており、またはこれを水に添加したものはハーブ水の形で販売されていて、一般的に入手可能である。
【0017】
前記の一連のハーブ類を組み合わせて特定の効能を引き出した製品は数多く存在する。
【0018】
広範な効能を有する天然ハーブ類であるが、アルコール系除菌消臭剤、または次亜塩素酸系除菌消臭剤、またはそれ以外の除菌消臭剤などと組み合わされる例は希少であり、そのような製品は市場には数少なかった。
【0019】
非特許文献1には、貝殻を焼成して得られた酸化カルシウムを水に溶解させて得られた水溶液が高い殺菌効果を有することについて報告されている。
【0020】
非特許文献2には、歯科治療において、根管治療における水酸化カルシウムペーストとローズマリー類の相乗効果についての研究が報告されている。水酸化カルシウムは歯の根管治療において、その殺菌力および抗菌力からゴールドスタンダートとして用いられている。本文献では、さらにハーブ類との相乗効果を期待し、研究した結果、殺菌効果および抗菌効果において相乗効果が確認されている。一方、ハーブの芳香に関しては、治療においては必要事項ではないため未確認である。
【0021】
非特許文献3には、歯の根管治療において、水酸化カルシウムペーストとミント類の相乗効果について研究した報告が挙げられている。ミントとの組み合わせにおいても殺菌・抗菌効果において優れた相乗効果が確認されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Molecules 2019, 24(18), 3415. “Preparation and Application of Bioshell Calcium Oxide (BiSCaO) Nanoparticle-Dispersions with Bactericidal Activity”
【非特許文献2】BioMed Research International 2019, p8129439 “Antibacterial Activity of Rosmarinus officinalis, Zingiber officinale, Citrus aurantium bergamia, and Copaifera officinalis Alone and in Combination with Calcium Hydroxide against Enterococcus faecalis”
【非特許文献3】Journal of Medical Pharmaceutical and Allied Sciences 2016, 356-366 “CHEMICAL COMPOSITION AND ANTIMICROBIAL EFFICACY OF CALCIUM HYDROXIDE WITH PEPPERMINT OIL AND TO COMPARE ITS EFFECT WITH CALCIUM HYDROXIDE WITH SALINE AGAINST ROOT CANAL PATHOGENS OF DECIDUOUS TEETH”
【0023】
本発明者らは、水溶液中で水酸化カルシウムの塩基性を保ったまま、天然物由来の芳香成分を損ねることなく、両者を共存させることが可能であることを見出し、本発明に至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明が解決しようとする課題は、天然ハーブ油または天然ハーブ水由来の芳香および効能を有し、且つ除菌消臭機能を併せ持つ芳香性除菌消臭剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明によれば、天然のハーブ油または天然ハーブ水に、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムまたはそれらの水溶液を添加し、ハーブの芳香を消失させることなく、水酸化カルシウムの強塩基性を発現させることによって、天然物由来の芳香および/または効能と、除菌消臭機能を有する芳香性除菌消臭剤を調製することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の芳香性除菌消臭剤は、天然ハーブの芳香および効能を保持しつつ、水酸化カルシウム水溶液の強塩基性を発現する除菌消臭水溶液を提供する。本発明においては、天然ハーブと水酸化カルシウムの殺菌・抗菌における相乗効果が期待される。さらに天然ハーブの保湿効果によって使用時の皮膚や肌の乾燥を低減することが期待される。
【0027】
本発明において用いられるハーブとは、芳香および前記の効能いずれかを有する植物の花、葉、果実、種子、樹皮、樹木のことである。
【0028】
本発明において用いられるハーブは、前記ハーブより抽出されたオイルでもよく、またはオイルを水に添加して分散させた水溶液状態のものでもよく、またはハーブ成分抽出の分液工程において得られたハーブ水でもよい。
【0029】
本発明の芳香性除菌消臭剤は、ハーブ油またハーブ水の芳香および効能と天然物由来の水酸化カルシウムを含有する水溶液である。天然物以外の不純物を意図的に添加しないため、安全に安心して使用することができることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明においては、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムが用いられる。天然由来の原料としては、例えば、ホタテ貝殻または蠣の貝殻、または卵の殻を焼成して得られる酸化カルシウム、または酸化カルシウムを水と反応させることによって得られる水酸化カルシウムを用いることが可能であるが、それらに制限されるものではない。
【0031】
本発明において用いる酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムは、その粒子径が0.01マイクロメートル以上100マイクロメートル以下のものが好ましく、0.1マイクロメートル以上30マイクロメートル以下のものがより好ましい。
【0032】
本発明において調製される水酸化カルシウム水溶液は、水酸化カルシウムが0.01重量パーセント以上含有されることが好ましく、0.05重量パーセント以上含有されることがより好ましく、0.10重量パーセント以上含有されることがさらに好ましい。
【0033】
本発明において調製される水溶液は、基本的に水から成り立っているが、その使用用途を鑑みても、用いる水としては、蒸留水またはイオン交換水が好ましい。水の純度としては超純水が最も好ましいが、純度に制限されることなく、一般の水道水も使用することが可能である。
【0034】
本発明においてハーブオイルを用いた際、これを水酸化カルシウム水溶液と混合した際には、オイルと水溶液が分相することがあるが、オイルと水溶液が分相した不均一溶液の状態で使用しても良いし、分相したオイルを除去して使用してもよい。
【0035】
本発明においてハーブ水を用いた際、これを水酸化カルシウム水溶液と混合した際には溶液は基本的に均一となる。
【0036】
本発明において用いられるハーブとして、植物の花、葉、果実の種類としては、ミント、ローズマリー、ローズウッド、カモミールローマン、ゼラニウム、ローズ、ネロリ、パルマローザ、ラベンダー、ユーカリ、レモンバーム、レモングラスが挙げられるが、種類はこれらに限定されない。
【0037】
本発明において用いられるハーブとして、樹皮、樹木、竹の種類としては、ヒノキ、ニーム、シナモン、孟宗竹が挙げられるが、種類はこれらに限定されない。
【0038】
本発明において用いられる混合方法は、一般的な撹拌による混合方法であり、用いる設備も一般的な撹拌設備である。少量の混合であれば、例として、容器に水酸化カルシウム水溶液を入れ、これにハーブオイルまたはハーブウォーターを添加し、手で振り混ぜることによって混合することができる。10Lまでの容量であれば、代表的な設備として、ガラス製反応容器にそれぞれの溶液を入れ、スターラーまたは適当なサイズの撹拌羽根を有する撹拌機で混合することが可能である。10L以上の容量では、代表的な設備として、ステンレス製のタンクに撹拌設備を設置し、撹拌することによって混合することが可能である。いずれの容量の撹拌方法においても、均一に混合することが第一であり、撹拌設備に関しては特に制限はない。
【0039】
攪拌・混合時の温度は必要に応じて昇温または冷却することが可能であるが、基本的に室温が好ましい。
【0040】
水溶液の混合後、しばらく静置して溶液の沈殿物を除去するのが好ましい。沈殿物、未溶解物、浮遊物の除去には、方法としてデカンテーションすることが可能である。それ以外の方法として、濾過により除去することが可能である。
【0041】
水溶液の濾過には、代表的な方法として、フィルターを用いる方法が挙げられる。フィルターの種類はポリエステル製、セルロース製、テフロン製、または金属製のフィルターのいずれを用いてもよく、フィルターの種類に特に制限はない。フィルターの目開きは小さいほうが好ましいが、生産性を鑑みて行うことが重要であり、その上で特に制限はない。
【0042】
濾過の方法としては、活性炭などによる吸着や限外濾過なども挙げられる。
【0043】
沈殿物、未溶解物、浮遊物の除去には、遠心分離による方法を用いても良い。
【0044】
原料としてハーブ水を用いる場合、ハーブ水に直接、水酸化カルシウムを添加して混合することも可能である。未溶解の水酸化カルシウム、混合後に生じた沈殿物、未溶解物、浮遊物は前記の方法によって除去することが可能である。
【0045】
強塩基性の水溶液の中ではほとんどの菌やウイルスが生息できないことはよく知られている。そのため、得られた水溶液の殺菌力を検証するためにはpHが挙げられる。pHの測定には市販のpHメーターを用いることができる。pHメーター以外の測定方法として、リトマス試験紙を用いて簡便に確認することが可能である。
【0046】
ハーブオイルまたはハーブウォーターと水酸化カルシウムとの混合水溶液のpHは強塩基性を保持していることが、その殺菌性能を保つうえでも好ましい。pHは10以上であることが好ましく、11以上であることがより好ましく、12以上であることが最も好ましい。
【0047】
ハーブオイルまたはハーブ水と水酸化カルシウムを混合した際に、ハーブ由来の芳香が保持されていることは重要であり、その期間が長いほど好ましい。ただし、天然由来のため香りが微弱に変化することがあるが、その溶液をそのまま用いることができる。
【0048】
ハーブオイルまたはハーブ水は市販品を購入して用いることも可能であるが、購入した植物または採取した植物より作製したハーブ水と水酸化カルシウムとを混合して、前記の濾過またはデカンテーションすることによって、芳香性除菌消臭剤を調製することも可能である。
【0049】
水酸化カルシウム水溶液は、その溶液の殺菌性および抗菌性のため、ハーブオイルまたはハーブ水と混合した水溶液の腐敗を防止し、長期保管を可能とする。必要に応じて、この水溶液に第三成分として酸化防止剤を添加することが可能である。酸化防止剤としては水溶性のビタミンCやビタミンE、または茶カテキンなどを用いることができる。
【0050】
本発明の芳香性除菌消臭剤は、スプレーボトルに入れ、対象物に噴霧することによって、対象物を除菌、消臭しつつ、周囲に芳香を漂わせる効果を有する。蒸散器を用いて、広範囲に蒸散させる使用も可能である。
【0051】
本発明の芳香性除菌消臭剤は、強塩基性を有するため、脂肪酸またはそれらの混合物からなる油類を乳化させることが可能である。乳化作用を有するため、本発明の芳香性除菌消臭剤は洗浄または清掃の用途に用いることが可能である。
【実施例0052】
以下に実施例、比較例を示し、本発明を説明するが、その要旨を超えない限り、これらの 実施例により本発明の内容が限定または制限されるものではない。
(原材料)
すべての実施例では焼成酸化カルシウムまたは焼成水酸化カルシウムはナチュラルジャパン株式会社製の製品またはユニセラ株式会社製のものを用いた。水はサンエイ化学株式会社製の高純度精製水またはイオン交換水を用いた。天然ハーブは市販の天然のハーブオイルまたはハーブ水としてラベンダー精油、パルマローザ精油、ローズマリー&レモン果皮油、ゼラニウム精油、ローズマリーシネオール精油、ユーカリ精油、ペパーミント精油、スペアミント精油、ローズ水、柚子水を用いた。ハッカ油は健栄製薬株式会社製のものを用いた。
【0053】
pH測定は市販のpHメーターを用いて測定した。
【0054】
混合用の容器はガラス製容器またはポリプロピレン製容器またはアクリル製容器を用いて行った。溶液を充填する前に、少量の超純水でリンスしてから用いた。
【0055】
濾過は市販のセルロース製フィルターを用いて行った。濾過する前に少量のサンプル溶液で濡らしてから使用した。
【0056】
(実施例1)
アクリル製容器に500gの超純水および水酸化カルシウム1.0gを入れて振り混ぜた。約12時間後に上澄み液をデカンテーションして、濾紙を介して別の容器に移すことによって飽和水酸化カルシウム水溶液450gを得た。得られた飽和水酸化カルシウム水溶液は透明であり、浮遊物や沈殿物は見られなかった。pH測定するとpHは12.5であった。
【0057】
(実施例2)
アクリル製容器に500gの超純水および酸化カルシウム1.0gを入れて振り混ぜた。約12時間後に上澄み液をデカンテーションして、濾紙を介して別の容器に移すことによって飽和水酸化カルシウム水溶液450gを得た。得られた飽和水酸化カルシウム水溶液は透明であり、浮遊物や沈殿物は見られなかった。pH測定するとpHは12.6であった。
【0058】
(実施例3)
実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液50mLにラベンダー精油を5滴加えて振り混ぜた。混合は完全に均一ではなく、一部精油成分が分離したものとなった。ラベンダー精油の香りは消失することはなく保持されていた。pH測定するとpHは12.1であった。
【0059】
(実施例4)
実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液50mLにパルマローザ精油を5滴加えて振り混ぜた。混合は完全に均一ではなく、一部精油成分が分離したものとなった。パルマローザ精油の香りは消失することはなく保持されていた。pH測定するとpHは12.0であった。
【0060】
(実施例5)
実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液50mLにローズマリー&レモン果皮油を5滴加えて振り混ぜた。混合は完全に均一ではなく、一部精油成分が分離したものとなった。ローズマリー&レモン果皮油の香りは消失することはなく保持されていた。pH測定するとpHは12.0であった。
【0061】
(実施例6)
実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液50mLにゼラニウム精油を5滴加えて振り混ぜた。混合は完全に均一ではなく、一部精油成分が分離したものとなった。ゼラニウム精油の香りは消失することはなく保持されていた。pH測定するとpHは12.1であった。
【0062】
(実施例7)
実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液50mLにローズマリーシネオール製油を5滴加えて振り混ぜた。混合は完全に均一ではなく、一部精油成分が分離したものとなった。ローズマリーシネオール製油の香りは消失することはなく保持されていた。pH測定するとpHは12.5であった。
【0063】
(実施例8)
実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液50mLにユーカリ製油を5滴加えて振り混ぜた。混合は完全に均一ではなく、一部精油成分が分離したものとなった。ユーカリ製油の香りは消失することはなく保持されていた。pH測定するとpHは12.0であった。
【0064】
(実施例9)
実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液50mLにペパーミント製油を5滴加えて振り混ぜた。混合は完全に均一ではなく、一部精油成分が分離したものとなった。ペパーミント製油の香りは消失することはなく保持されていた。pH測定するとpHは12.2であった。
【0065】
(実施例10)
実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液500mLにハッカ油を3滴加えて振り混ぜた。混合は完全に均一ではなく、一部精油成分が分離したものとなった。ハッカ油の香りは消失することはなく保持されていた。pH測定するとpHは12.3であった。
【0066】
(実施例11)
実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液200mLに柚子水を200mL加えて振り混ぜた。混合は均一で、一部精油成分が分離したものとなった。ローズウォーターの香りは消失することはなく保持されていた。pH測定するとpHは12.3であった。
【0067】
(実施例12)
実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液200mLにローズ水を200mL加えて振り混ぜた。混合は均一で、一部精油成分が分離したものとなった。ローズウォーターの香りは消失することはなく保持されていた。pH測定するとpHは12.3であった。
【0068】
(実施例13)
ジップロックに実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液及びローズマリーの葉を入れ、湯煎に10分かけた。得られた溶液はローズマリーの特有の香りが漂い、やや黄味がかった水溶液が得られた。pH測定するとpHは12.1であった。
【0069】
(実施例14)
実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液200mLにニームの葉を簡易蒸留して作製したニーム水を200mL加えて振り混ぜた。混合は均一であり、ニームの香りは消失することはなく保持されていた。pH測定するとpHは12.0であった。
【0070】
(実施例15)
実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液50mLに亜臨界抽出した孟宗竹水を50mL加えて振り混ぜた。混合は均一であり、孟宗竹水の香りは消失することはなく保持されていた。pH測定するとpHは12.1であった。
【0071】
(実施例16)
実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液50mLに亜臨界抽出した杉葉水を50mL加えて振り混ぜた。混合は均一であり、杉葉水の香りは消失することはなく保持されていた。pH測定するとpHは12.0であった。
【0072】
(実施例17)
実施例1または実施例2で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液50mLに亜臨界抽出した檜葉水を50mL加えて振り混ぜた。混合は均一であり、檜葉水の香りは消失することはなく保持されていた。pH測定するとpHは12.3であった。
【0073】
(実施例18)
実施例1で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液50mLに市販のサラダ油10mLを加え、振り混ぜることによって撹拌した。混合直後は分離していた水と油の乳化が進み、水と油のエマルジョンが生成した。
【0074】
(実施例19)
実施例10で得られた飽和水酸化カルシウム水溶液50mLに市販のサラダ油10mLを加え、振り混ぜることによって撹拌した。混合直後は分離していた水と油の乳化が進み、水と油のエマルジョンが生成した。
【0075】
(比較例1)
市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液50mLにローズウォーターを10mL加えて振り混ぜた。外観に変化は見られなかったがローズ水の香りは消失した。