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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171103
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】データ送信システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20120101AFI20221104BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20221104BHJP
【FI】
G06Q50/26
G16Y20/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077522
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 健司
(72)【発明者】
【氏名】高田 和政
(72)【発明者】
【氏名】草場 毅
(72)【発明者】
【氏名】岩見 昌志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】 二酸化炭素クレジットの申請のためのデータの収集が簡素化され、価値の棄損が防止或いは抑制できる、データ送信システムを提供すること。
【解決手段】 支援サーバ50は、管理サーバ21に登録されている複数の燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号のデータを管理サーバ21から取得し、取得した機器製造番号により特定される複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれから個別使用量データを取得する。また、支援サーバ50は、取得した個別使用量データを機器製造番号と対応付けて記憶し、記憶した個別使用量データに基づいて、計測開始日から計測終了日までの間に複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11の使用により創出した二酸化炭素排出削減総量のデータを算出する。そして、算出した二酸化炭素排出削減総量のデータをエビデンスデータとともに、管理サーバ21に送信する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の省エネルギー機器と通信可能に構成されたコンピュータを用いて、複数の省エネルギー機器の使用により創出される二酸化炭素排出削減量のデータをクレジット運営機関の管理サーバに送信するためのデータ送信システムであって、前記コンピュータは、
前記管理サーバに登録されている複数の省エネルギー機器の識別情報のデータを前記管理サーバから取得する識別情報取得処理と、
前記識別情報取得処理にて取得した前記識別情報により特定される複数の特定省エネルギー機器のそれぞれから、所定期間内における前記特定省エネルギー機器の使用量を表す個別使用量データを取得するとともに、取得した前記個別使用量データを前記識別情報のデータと対応付けて前記所定期間ごとに記憶するエビデンスデータ記憶処理と、
前記エビデンスデータ記憶処理にて記憶したそれぞれの前記特定省エネルギー機器の前記個別使用量データに基づいて、所定の計測開始日から所定の計測終了日までの間に複数の前記特定省エネルギー機器の使用により創出した二酸化炭素排出削減量の総量のデータを算出するデータ集計処理と、
前記データ集計処理にて算出した前記二酸化炭素排出削減量の総量のデータを、前記所定の計測開始日から前記所定の計測終了日までの間に前記エビデンスデータ記憶処理にて記憶された前記特定省エネルギー機器のそれぞれの前記個別使用量データまたはその累積値のデータとそれぞれの前記識別情報とを対応付けたエビデンスデータとともに、前記管理サーバに送信する集計データ送信処理と、
を実行可能に構成される、データ送信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ送信システムであって、
前記コンピュータは、前記管理サーバから送信要求信号が入力された場合に、前記集計データ送信処理を実行するように構成される、データ送信システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のデータ送信システムであって、
前記コンピュータは、
複数の前記特定省エネルギー機器のそれぞれから、二酸化炭素排出削減量が低下する異常の発生を検出する異常検出処理と、
前記異常検出処理にて前記異常が検出された場合に、その異常が検出された特定省エネルギー機器の異常を報知する異常報知処理と、
を実行可能に構成される、データ送信システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ送信システムであって、
前記コンピュータは、
前記所定の計測開始日から前記所定の計測終了日までの間に、定期的に中間データ送信処理を実行可能に構成され、前記中間データ送信処理は、
前記所定の計測開始日から現時点までに前記エビデンスデータ記憶処理にて記憶された前記個別使用量データの累積値である使用量中間データを、複数の前記特定省エネルギー機器のそれぞれについて算出する使用量中間データ算出処理と、
前記使用量中間データ算出処理にて算出したそれぞれの前記特定省エネルギー機器の前記使用量中間データに基づいて、前記所定の計測開始日から現時点までの間に複数の前記特定省エネルギー機器の使用により創出した二酸化炭素排出削減量の総量のデータである中間総量データを算出する中間総量算出処理と、
前記使用量中間データ及び前記中間総量データを送信する中間総量送信処理と、を含む、データ送信システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデータ送信システムであって、
前記特定省エネルギー機器は、燃料電池コージェネレーション装置であり、
前記コンピュータは、
前記燃料電池コージェネレーション装置を有するユーザの宅内での電力使用状況を取得する電力使用状況取得処理と、
前記ユーザが有する前記燃料電池コージェネレーション装置の発電状況を取得する発電状況取得処理と、
前記電力使用状況と前記発電状況とに基づいて、二酸化炭素排出削減量がより多くなるようなアドバイス情報を作成し、作成した前記アドバイス情報を送信するアドバイス情報送信処理と、
を実行可能に構成される、データ送信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータを用いて、複数の省エネルギー機器の使用により創出される二酸化炭素排出削減量のデータを送信するためのデータ送信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量の削減に向けた取り組みが行われている。例えば日本国では、J-クレジット制度を活用して、温室効果ガスの排出量の削減に寄与する取り組みがなされている。J-クレジット制度とは、省エネルギー機器の導入や森林経営等の取り組みによる、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット(排出権)」として国が認証する制度である。この制度は、国内クレジット制度とオフセット・クレジット制度が発展的に統合した制度で、認証されたクレジットは、低炭素社会実行計画の目標達成やカーボン・オフセット等、様々な用途に活用できる。
【0003】
家庭向け省エネルギー機器の使用によっても二酸化炭素の排出量が削減されるので、その削減量に対してJ-クレジット制度に基づいて手続きを行うことにより、二酸化炭素クレジットの認証を受けることができる。しかしながら、この場合、クレジットの認証を受けるための手続きが煩雑であるわりには、認証されるクレジットの規模が小さい。従って、各家庭が個々に手続きを行うことはしていない。
【0004】
このような、二酸化炭素クレジットの規模が小さい家庭向け省エネルギー機器の使用により削減される二酸化炭素に対しても、有効に二酸化炭素クレジットの認証を受けることができるように、国が運営するグリーン・リンケージ倶楽部が創設されている。このグリーン・リンケージ倶楽部では、各家庭(個人)が所有する省エネルギー機器の使用により削減された二酸化炭素排出量、すなわち省エネルギー機器の使用により創出された二酸化炭素排出削減量を取りまとめて一括して手続きを行う。したがって二酸化炭素クレジットの規模が大きくなり、カーボン・オフセット等に有効に活用され得る。
【0005】
また、特許文献1は、複数の一般家庭や小規模事業者の燃料電池の使用による発電量をそれぞれ計測し、計測した発電量の合算値に基づいて二酸化炭素排出削減量を算出し、算出した二酸化炭素排出削減量に基づいて二酸化炭素クレジットの認可を受けるように構成されたシステムが開示されている。
【0006】
また、特許文献2は、大きなコストをかけることなく一般家庭等からの二酸化炭素排出削減量を集約し、それによって創出される二酸化炭素クレジットを取引可能にするためのシステムを開示する。このシステムによれば、宅内の省エネルギー電気製品から電力使用量メータに機器ID及び電力使用量のデータが送信される。電力使用量メータに送信されたデータは検針員の携帯端末に送信される。検針員は携帯端末を拠点に持ち帰り、これらのデータを携帯端末から拠点のサーバに送信する。サーバは受信した電力使用量のデータを用いて二酸化炭素排出削減量を算出する。
【0007】
また、特許文献3は、一般家庭が二酸化炭素クレジットの取引対象となることを見越した二酸化炭素クレジットの取引の仕組みやメカニズムを構築するための、管理装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-46926号公報
【特許文献2】特開2005-339187号公報
【特許文献3】特開2012-33081号公報
【発明の概要】
【0009】
(発明が解決しようとする課題)
二酸化炭素クレジットの運営(具体的には二酸化炭素クレジットの認可申請)は、各自治体や民間企業等でも行うことができる。しかしながら、自治体や民間企業等のクレジット運営機関は、現状では、神戸市(こうべCOバンク)や静岡ガス株式会社等、少数にとどまっている。この原因の一つとして、二酸化炭素クレジットの認可申請を行うまでのデータ収集の煩雑さ、及び、二酸化炭素クレジットの価値の棄損という問題を挙げることができる。例えば、こうべCOバンクでは、燃料電池コージェネレーション装置の発電量に基づいて二酸化炭素クレジットの認可申請を行っているが、燃料電池コージェネレーション装置の発電量を収集するために、まず、こうべCOバンクは、燃料電池コージェネレーション装置を有する登録ユーザの中から複数のユーザをサンプリングする。次に、サンプリングした複数のユーザ(以下、サンプリングユーザ)に、自身の燃料電池コージェネレーション装置の発電量を表示する宅内リモコン装置の画面を写真撮影してもらい、さらにその写真を貼付した発電実績報告書をこうべCOバンクに郵送してもらう。そして、こうべCOバンクの職員が、それぞれのサンプリングユーザから郵送された発電実績報告書に記載の実績及び貼付された写真に基づいて、各サンプリングユーザの燃料電池コージェネレーション装置の発電量のデータを収集する。このように、データ収集するために複数の人手による作業が介在するために、データ収集が煩雑である。また、サンプリングユーザが撮影する写真に必要な情報が映っていないなどの不備があると、再度写真を撮り直してもらうことになり、さらにデータ収集が煩雑となる。さらに、このようなデータ収集に協力的でないサンプリングユーザがいる可能性もあり、その場合には写真及び報告書の提出を促す必要があり、こうした行為の発生によってもデータ収集の煩雑さが増す。
【0010】
また、こうべCOバンクが二酸化炭素クレジットを申請する際に、サンプリングユーザのみの収集データから全体の二酸化炭素排出削減量の集計値(総量)を算出(推定)するため、算出された集計値のデータが不確実性を有する。そのためJクレジット制度のルール上、集計値のデータから10%を差し引いた値を二酸化炭素クレジットとして申請することになっている。よって、申請する二酸化炭素クレジットの価値がその分だけ棄損される。
【0011】
このように、二酸化炭素クレジットの運営を行う場合、上記したデータの収集の煩雑さの問題、二酸化炭素クレジットの価値の棄損の問題があり、この問題に対して上記の特許文献記載の発明では解決策が示されていない。
【0012】
本発明は、二酸化炭素クレジットの申請のためのデータの収集を簡素化することができ、且つ、価値の棄損を防止或いは抑制することができるように、データを送信するデータ送信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、複数の省エネルギー機器と通信可能に構成されたコンピュータを用いて、複数の省エネルギー機器の使用により創出される二酸化炭素排出削減量のデータをクレジット運営機関の管理サーバに送信するためのデータ送信システムであって、コンピュータは、管理サーバに登録されている複数の省エネルギー機器の識別情報のデータを管理サーバから取得する識別情報取得処理と、識別情報取得処理にて取得した識別情報により特定される複数の特定省エネルギー機器のそれぞれから、所定期間内における特定省エネルギー機器の使用量を表す個別使用量データを取得するとともに、取得した個別使用量データを識別情報のデータと対応付けて所定期間ごとに記憶するエビデンスデータ記憶処理と、エビデンスデータ記憶処理にて記憶したそれぞれの特定省エネルギー機器の個別使用量データに基づいて、所定の計測開始日から所定の計測終了日までの間に複数の特定省エネルギー機器の使用により創出した二酸化炭素排出削減量の総量のデータを算出するデータ集計処理と、データ集計処理にて算出した二酸化炭素排出削減量の総量のデータを、所定の計測開始日から所定の計測終了日までの間にエビデンスデータ記憶処理にて記憶された特定省エネルギー機器のそれぞれの個別使用量データまたはその累積値のデータとそれぞれの識別情報とを対応付けたエビデンスデータとともに、管理サーバに送信する集計データ送信処理と、を実行可能に構成される、データ送信システムを提供する。
【0014】
本発明によれば、コンピュータが管理サーバから、複数の省エネルギー機器の識別情報のデータを取得することにより、コンピュータに通信可能に構成されている複数の省エネルギー機器の中から、クレジット運営機関の管理サーバにデータを送信すべき複数の特定省エネルギー機器を特定することができる。また、コンピュータは、所定の計測開始日から所定の計測終了日までの間に、上記特定した複数の特定省エネルギー機器の使用量のデータを特定省エネルギー機器のそれぞれから収集し、収集した使用量のデータに基づいて、複数の特定省エネルギー機器の使用により創出された二酸化炭素排出削減量の総量のデータを算出する。そして、コンピュータは、算出した二酸化炭素排出削減量の総量のデータをエビデンスデータとともに管理サーバに自動的に送信する。このように、人手を介することなく二酸化炭素クレジットの申請に必要なデータを管理サーバに送信することができるので、従来のように、省エネルギー機器のユーザが写真を撮影してその写真を報告書とともに郵送するようなことをしなくても良いし、クレジット運営機関の職員が郵送された報告書及び写真に基づいてデータ収集する必要もない。よって、二酸化炭素クレジットの申請のためのデータの収集を簡素化することができるとともに、ヒューマンエラーを回避してデータの精度を向上させることができる。また、特定省エネルギー機器の全数のデータを集計して二酸化炭素排出削減量の総量のデータを算出することができ、且つその総量のデータはエビデンスデータにより裏付けられる。つまり、算出された二酸化炭素排出削減量の集計値(総量)のデータは信頼でき、不確実性は含まない。よって、算出した二酸化炭素排出削減量の総量の全てを二酸化炭素クレジットとして申請することができ、二酸化炭素クレジットの価値が棄損することはない。
【0015】
上記発明において、識別情報とは、複数の特定省エネルギー機器をそれぞれ個別に特定することができる情報であり、例えば機器製造番号が識別情報として例示できる。また、上記発明において、特定省エネルギー機器の「使用量」とは、創出される二酸化炭素排出削減量の大きさを表すことができるような量である。従って、「使用量」は、二酸化炭素排出削減量そのものでもよい。また、例えば特定省エネルギー機器がLED照明である場合、創出される二酸化炭素排出削減量の大きさは使用電力量により表される。よってこの場合、使用量は使用電力量である。また、特定省エネルギー機器が燃料電池コージェネレーション装置或いは太陽光発電装置などの発電装置である場合、二酸化炭素排出削減量は、発電量から逆潮流量を差し引いた自家消費発電量に基づいて算出されるため、これらの量、すなわち発電量及び逆潮流量、又は自家消費発電量が、使用量に相当する。また、上記発明において、エビデンスデータ記憶処理にて個別使用量データを記憶する間隔である「所定期間」は、任意に設定することができる。「所定期間」は、例えば後述する実施形態のように1日間(つまり1日毎に記憶する)であっても良いし、1週間であっても良い。
【0016】
また、コンピュータは、管理サーバから送信要求信号が入力された場合に、集計データ送信処理を実行するように構成されていてもよい。これによれば、管理サーバを有するクレジット運営機関の要求に応じてタイムリーに二酸化炭素排出削減量の総量のデータをエビデンスデータとともに管理サーバに送信することができる。この場合、コンピュータは、管理サーバから送信要求信号が入力された場合に、データ集計処理及び集計データ送信処理を実行するように構成されていても良い。
【0017】
また、コンピュータは、複数の特定省エネルギー機器のそれぞれから、二酸化炭素排出削減量が低下する異常の発生を検出する異常検出処理と、異常検出処理にて異常が検出された場合に、その異常が検出された特定省エネルギー機器の異常を報知する異常報知処理と、を実行可能に構成されるとよい。これによれば、二酸化炭素排出削減量が低下する異常を素早く検出して報知することにより、速やかに異常を修復することができる。このため異常の発生による二酸化炭素排出削減量の低下をできるだけ抑え、或いは未然に防ぐことができる。よって、省エネルギー機器の異常の発生に起因した二酸化炭素排出削減量の低下による二酸化炭素クレジットの価値の棄損を抑えることができる。なお、上記発明において、コンピュータは、異常報知処理にて、異常を修復する行動を起こす人がその異常を認識することができるように、異常を報知するとよい。この場合、コンピュータは、特定省エネルギー機器に接続されているリモコン装置等の表示器、特定省エネルギー機器を有するユーザの情報端末(ユーザ端末)、特定省エネルギー機器のメンテナンス業者のサーバ或いは携帯端末、に、異常を報知することができる。
【0018】
また、コンピュータは、所定の計測開始日から所定の計測終了日までの間に、定期的に中間データ送信処理を実行可能に構成されるとよい。この中間データ送信処理は、所定の計測開始日から現時点までにエビデンスデータ記憶処理にて記憶された個別使用量データの累積値である使用量中間データを、複数の特定省エネルギー機器のそれぞれについて算出する使用量中間データ算出処理と、使用量中間データ算出処理にて算出したそれぞれの特定省エネルギー機器の使用量中間データに基づいて、所定の計測開始日から現時点までの間に複数の特定省エネルギー機器の使用により創出した二酸化炭素排出削減量の総量のデータである中間総量データを算出する中間総量算出処理と、使用量中間データ及び中間総量データを送信する中間総量送信処理と、を含む。これによれば、定期的に二酸化炭素排出削減総量の中間データ(中間総量データ)を管理サーバに送信するとともに、使用量中間データをエビデンスデータとして例えば特定省エネルギー機器に接続されているリモコン装置或いは特定省エネルギー機器を有するユーザのユーザ端末に送信することにより、送信履歴がバックアップデータとして保存される。よって、それ以降に例えば何らかの通信障害によりコンピュータと各特定省エネルギー機器との通信が遮断されて特定省エネルギー機器の使用状態がコンピュータ側で把握できなくなった場合に、それまでに送信された中間総量データ及びそのエビデンスデータ(使用量中間データ)を用いて二酸化炭素クレジットを申請することができる。
【0019】
また、特定省エネルギー機器は、燃料電池コージェネレーション装置であってもよい。この場合、コンピュータは、燃料電池コージェネレーション装置を有するユーザの宅内での電力使用状況を取得する電力使用状況取得処理と、ユーザが有する燃料電池コージェネレーション装置の発電状況を取得する発電状況取得処理と、電力使用状況と発電状況とに基づいて、二酸化炭素排出削減量がより多くなるようなアドバイス情報を作成し、作成したアドバイス情報を送信するアドバイス情報送信処理と、を実行可能に構成されるとよい。これによれば、アドバイス情報を燃料電池コージェネレーション装置のユーザに提供することにより、より多くの二酸化炭素排出削減量を創出することができる。なお、アドバイス情報送信処理にて送信するアドバイス情報の送信先として、燃料電池コージェネレーション装置に接続されているリモコン装置、或いは、燃料電池コージェネレーション装置を有するユーザのユーザ達末、を例示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本実施形態に係るデータ送信システムが適用されるシステムの概要を示す。
図2図2は、複数の燃料電池コージェネレーション装置と、支援サーバと、管理サーバとの接続状態を示す概略図である。
図3図3は、支援サーバの演算部が実行する機器製造番号取得処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図4図4は、演算部が実行するエビデンスデータ蓄積処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図5図5は、機器別エビデンスデータベースの一例を示す図である。
図6図6は、演算部が実行する中間データ送信処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図7図7は、演算部が実行する集計処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図8図8は、演算部が実行する異常報知処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図9図9は、演算部が実行するアドバイス情報提供処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るデータ送信システムが適用されるシステムの概要を示す。図1に示すように、このシステムは、複数のユーザが有する省エネルギー機器からなる機器群10と、自治体などのクレジット運営機関(自治体20)と、クレジット認証機関30と、企業等のクレジット売却先40と、支援サーバ50とにより構成される。なお、機器群10を構成する複数の省エネルギー機器は、一般家庭に設置されるような、家庭向けの省エネルギー機器である。本実施形態では、省エネルギー機器として燃料電池コージェネレーション装置11を例示するが、それ以外の家庭向けの省エネルギー機器、例えば太陽光発電装置、或いは、省エネルギー製品として推奨されている電気製品等でも良い。
【0022】
燃料電池コージェネレーション装置11は、燃料及び酸素を用いて発電するとともに、発電に伴い熱を発生する。この燃料電池コージェネレーション装置11を用いて発電した場合に単位発電量当たりに排出される二酸化炭素の量は、商用電源等の系統電源が発電する場合に単位発電量当たりに排出される二酸化炭素の量よりも少ない。従って、燃料電池コージェネレーション装置11の発電電力を系統電源に替えて使用すればするほど、すなわち自家消費電力として使用すればするほど、削減される二酸化炭素排出量、すなわち創出される二酸化炭素排出削減量を増加させることができる。
【0023】
燃料電池コージェネレーション装置11は、発電電力が一定の定格運転か、発電電力が宅内使用電力(ユーザの自宅で使用する電力)に追従する負荷追従運転かのいずれかの運転方式により運転される。定格運転の場合、メンテナンス時を除き常に燃料電池コージェネレーション装置11が定格電力(例えば700W)で発電している。一方、負荷追従運転の場合、定格電力(例えば700W)以下の宅内使用電力に対して系統電源から電力を購入しないように、発電する。いずれの運転方式であっても、宅内使用電力が定格電力を超えると、超えた分は系統電源から購入することになる。また、定格運転時に、宅内使用電力が定格電力未満の場合、発電電力(定格電力)と宅内使用電力との差分が余剰電力として売電される。この場合、売電電力は、系統電源を逆潮流する。一方、負荷追従運転の場合には余剰電力が生じないので、発電電力が逆潮流することはない。
【0024】
燃料電池コージェネレーション装置11の発電電力のうち、二酸化炭素の排出削減に寄与する電力は、宅内で消費される電力、すなわち自家消費発電電力である。従って、燃料電池コージェネレーション装置11が定格運転している場合、自家消費発電電力は、発電電力から売電される電力(すなわち逆潮流電力)を差し引いた電力である。一方、燃料電池コージェネレーション装置11が負荷追従運転している場合、逆潮流電力は0であるので、発電電力の全てが自家消費発電電力である。
【0025】
各機器群10を構成する燃料電池コージェネレーション装置11を有する各ユーザは、本実施形態では、自治体20内に居住する者である。また、各ユーザが燃料電池コージェネレーション装置11を購入し、所定の手続きを自治体20に対して行うことにより、補助金が自治体20から給付される。各ユーザは、自治体20から補助金を受け取る見返りとして、燃料電池コージェネレーション装置11の使用により創出される二酸化炭素排出削減量に基づく権利、すなわち二酸化炭素クレジットの権利を自治体20に譲渡する。そして、自治体20は、各ユーザの燃料電池コージェネレーション装置11の使用により創出される二酸化炭素排出削減量に基づいて、二酸化炭素クレジットの認可申請を、クレジット認証機関30に対して行う。クレジット認証機関30は、認可申請に係る書類を検証し、審議した上で、二酸化炭素クレジットを認可し、自治体20に認可した二酸化炭素クレジットを付与する。なお、自治体20から委託を受けたガス事業者などがクレジット運営機関の業務を代行してもよい。
【0026】
自治体20は、クレジット認証機関30から付与された二酸化炭素クレジットを、カーボン・オフセット等によりクレジット売却先40に売却する。クレジット売却先40は、例えば自治体20内の企業であるのが好ましい。これにより、自治体20は二酸化炭素クレジットの売却益を得る。こうして得た売却益をユーザへの補助金に使うことにより、燃料電池コージェネレーション装置11の普及及びそれに伴う二酸化炭素排出削減を継続的に促進することができる。
【0027】
自治体20は管理サーバ21を備える。この管理サーバ21は管理データベースを有しており、この管理データベースには、補助金の給付対象とされた全ての燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号が各燃料電池コージェネレーション装置11のユーザの情報と対応付けられた状態で記憶されている。機器製造番号が本発明の識別情報に相当する。管理データベースにこれらの情報が記憶されることにより、自治体20内のユーザの各燃料電池コージェネレーション装置11(図1では機器群10を構成する燃料電池コージェネレーション装置11)が管理サーバ21に登録される。
【0028】
支援サーバ50は、本発明のコンピュータに相当する。支援サーバ50は、自治体20が機器群10を構成する燃料電池コージェネレーション装置11の使用により創出された二酸化炭素排出削減量に基づいてクレジット認証機関30に二酸化炭素クレジットを申請する際に必要なデータを収集するとともに、収集したデータを集計し、集計したデータを管理サーバ21に送信するために設けられる。支援サーバ50は、例えば燃料電池コージェネレーション装置11の製造メーカが所持するコンピュータであっても良い。
【0029】
支援サーバ50は、演算部51、記憶部52、通信部53を備える。演算部51は、後述する各処理を実行することにより各種機能を実現するように構成される。記憶部52は、演算部51にて実行する各処理や、演算部51が各処理を実行する際に必要なデータベース等の情報、各処理の実行により算出された値等を記憶する。また、この記憶部52には、機器群10を構成する燃料電池コージェネレーション装置11を有するユーザの連絡先が記憶(登録)されている。ユーザの連絡先は、例えば、ユーザが有するパソコンやスマートフォン等のユーザ端末のメールアドレスである。通信部53は、外部通信する機能を有する。
【0030】
支援サーバ50は、複数の燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれ、及び、自治体20の管理サーバ21と通信可能に接続されている。図2は、複数の燃料電池コージェネレーション装置と、支援サーバ50と、管理サーバ21との接続状態を示す概略図である。図2に示すように、燃料電池コージェネレーション装置11は通信機能を備えており、それが設置されている宅内のリモコン装置12及び無線ルータ13を介してインターネットに接続可能に構成されている。また、支援サーバ50は、その通信部53を介してインターネットに接続可能に構成されている。したがって、複数の燃料電池コージェネレーション装置11と支援サーバ50は、インターネットを介して通信可能に構成される。なお、本実施形態では、燃料電池コージェネレーション装置11は、リモコン装置12及び無線ルータ13を介してインターネットに接続しているが、燃料電池コージェネレーション装置11に搭載された通信装置から、支援サーバ50にインターネット接続する方法も実施可能である。また、支援サーバ50は、機器群10を構成する燃料電池コージェネレーション装置11及び、機器群10を構成する燃料電池コージェネレーション装置11以外の燃料電池コージェネレーション装置11にも通信可能に接続されている。説明の便宜上、支援サーバ50に接続されたすべての燃料電池コージェネレーション装置11のうち機器群10を構成する燃料電池コージェネレーション装置11、すなわち管理サーバ21に登録されている燃料電池コージェネレーション装置を、特定燃料電池コージェネレーション装置11と呼ぶ。この特定燃料電池コージェネレーション装置11が、本発明の特定省エネルギー機器に相当する。
【0031】
燃料電池コージェネレーション装置11の作動状態に関連する情報のデータは、通信機能を介して機器製造番号とともに、常時、支援サーバ50に入力される。これにより、それぞれの燃料電池コージェネレーション装置11は支援サーバ50に監視される。したがって、支援サーバ50は、各燃料電池コージェネレーション装置11の発電状態を、常時把握している。
【0032】
また、各ユーザの宅内のリモコン装置12には、宅内で使用する電力量も入力されるように構成される。従って、支援サーバ50は、各宅内のリモコン装置12から各ユーザの宅内の使用電力量及び電力使用状況(例えば時間帯ごとの使用電力量等)を取得することができる。
【0033】
支援サーバ50と管理サーバ21は、API(Application Programming Interface)連携されている。このAPI連携により、支援サーバ50は、管理サーバ21の管理データベースに記憶されている各燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号を取得することができる。図3は、支援サーバ50が各燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号を取得するために演算部51が実行する機器製造番号取得処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、所定の間隔ごとに定期的に実行される。このルーチンが起動すると、演算部51は、図3のステップ(以下、ステップをSと略記する)11にて、通信部53を介して管理サーバ21の管理データベースにアクセスする。次いで、管理データベース中の機器製造番号を全て取得し(S12)、取得した機器製造番号を、記憶部52の機器製造番号データベースに記憶させる。その後、演算部51はこのルーチンを終了する。演算部51が上記した機器製造番号取得処理(識別情報取得処理)を定期的に実行することにより、記憶部52の機器製造番号データベースに特定燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号が記憶される。なお、支援サーバ50が自治体20に登録されている特定燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号を取得することにより、支援サーバ50は、それに通信可能に接続されているすべての燃料電池コージェネレーション装置11の中から、自治体20に登録された特定燃料電池コージェネレーション装置11を特定することができる。言い換えれば、特定燃料電池コージェネレーション装置11は、機器製造番号取得処理により取得された機器製造番号により、特定される。図3に示す機器製造番号取得処理が、本発明の識別情報取得処理に相当する。なお、支援サーバ50と管理サーバ21がAPI連携できない場合は、自治体20が特定燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号のリストを作成し、支援サーバ50にメール送信し、支援サーバ50に記憶させることもできる。
【0034】
また、支援サーバ50は、特定燃料電池コージェネレーション装置11を含めた複数の燃料電池コージェネレーション装置11の1日間の使用量である日間発電量及び日間逆潮流量のデータ(個別使用量データ)を取得し、取得したこれらのデータを記憶部52の機器別エビデンスデータベースに記憶する。この目的のため、支援サーバ50の演算部51はエビデンスデータ記憶処理を実行する。図4は、演算部51が実行するエビデンスデータ記憶処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、演算部51は、まず図4のS21にて、現在時刻が所定時刻(例えば午前0時0分)であるか否かを判断する。現在時刻が所定時刻でない場合(S21:No)、演算部51はこのルーチンを終了する。一方、現在日時が所定時刻である場合(S21:Yes)、演算部はS22に処理を進める。
【0035】
S22では、演算部51は、前日の午前0時0分から23時59分までの間に、燃料電池コージェネレーション装置11が発電した電力量である日間発電量E1と、燃料電池コージェネレーション装置11から系統電源に逆潮流した電力量である日間逆潮流量F1を、機器ごとに、すなわち燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれから、取得する。この場合において、各燃料電池コージェネレーション装置11内の制御部は、S21の所定時刻或いは所定時刻前に、前日の日間発電量E1及び日間逆潮流量F1のデータを機器製造番号とともに支援サーバ50に送信するように構成されている。従って、支援サーバ50は、S22では、上記のようにして送信されたデータを受信し、受信したデータに基づいて、機器製造番号を特定するとともに、特定した機器製造番号の燃料電池コージェネレーション装置11の日間発電量E1のデータ及び日間逆潮流量F1のデータを取得する。日間発電量E1のデータ及び日間逆潮流量F1のデータが、本発明の個別使用量データに相当する。
【0036】
次いで、演算部51は、S23に処理を進め、S22にて取得した日間発電量E1のデータ及び日間逆潮流量F1のデータを、機器別エビデンスデータベースに記憶する。図5は、機器別エビデンスデータベースの一例を示す図である。図5に示すように、機器別エビデンスデータベースには、機器製造番号ごとに、燃料電池コージェネレーション装置11の日間発電量E1のデータ及び日間逆潮流量F1のデータが、毎日、継続的に記憶される。S23では、演算部51は、S22にて取得した前日の日間発電量E1のデータ及び日間逆潮流量F1のデータを、該当する機器製造番号及び該当する日付に対応させて記憶する。その後、演算部51はこのルーチンを終了する。演算部51が図4に示すエビデンスデータ記憶処理を実行することにより、機器製造番号取得処理にて取得された機器製造番号により特定される複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれから、所定期間内(1日)における特定燃料電池コージェネレーション装置11の使用量(発電量、逆潮流量)を表す個別使用量データ(日間発電量E1のデータ及び日間逆潮流量F1のデータ)を取得するとともに、取得した個別使用量データが機器製造番号のデータと対応付けられて1日ごとに機器別エビデンスデータベースに記憶される。
【0037】
また、演算部51は、所定の計測開始日から所定の計測終了日までの間に、定期的に中間データ送信処理を実行することにより、二酸化炭素排出削減量の中間データおよびそのエビデンスデータを定期的に送信する。図6は、演算部51が実行する中間データ送信処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、演算部51は、まず図6のS31にて、現在日時が週初の所定時刻(例えば午前0時0分)であるか否かを判断する。現在日時が週初の所定時刻ではない場合(S31:No)、演算部51はこのルーチンを終了する。一方、現在日時が週初の所定時刻である場合(S31:Yes)、演算部51はS32に処理を進める。
【0038】
S32では、演算部51は、機器製造番号取得処理にて取得した機器製造番号により特定される(すなわち機器製造番号データベースに記憶されている機器製造番号により特定される)複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて、所定の計測開始日から現時点までにエビデンスデータ記憶処理にて記憶された日間発電量E1のデータ、すなわち計測開始日から前週の末日までの日間発電量E1のデータ、を合算して累積中間発電量E2を算出する。さらに、演算部51は、S32にて、複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて、所定の計測開始日から現時点(前週の末日)までに機器別エビデンスデータベースに記憶された日間逆潮流量F1のデータを合算して累積中間逆潮流量F2を算出する。
【0039】
次いで、演算部51は、S33に処理を進める。S33では、演算部51は、複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて、S32にて算出した累積中間発電量E2のデータ及び累積中間逆潮流量F2のデータに基づいて、その特定燃料電池コージェネレーション装置11が計測開始日から現時点までに創出した二酸化炭素排出削減量である累積中間二酸化炭素排出削減量C2を算出する。この場合、累積中間二酸化炭素排出削減量C2は、累積中間発電量E2から累積中間逆潮流量F2を差し引いて求めた累積中間自家消費発電量G2を所定の換算式に代入することによって算出することができる。
【0040】
続いて、演算部51は、S34に処理を進める。S34では、演算部51は、S33にて特定燃料電池コージェネレーション装置11ごとに算出した累積中間二酸化炭素排出削減量C2のデータを合算して、二酸化炭素排出削減中間総量C3を算出する。
【0041】
次に、演算部51は、S35に処理を進め、S32、S33にて算出した各特定燃料電池コージェネレーション装置11についての累積中間発電量E2のデータ及び累積中間逆潮流量F2のデータ並びに累積中間二酸化炭素排出削減量C2のデータを、対応する特定燃料電池コージェネレーション装置11のユーザに送信する。この場合、演算部51は、支援サーバ50に登録されている各ユーザのユーザ端末のメールアドレス宛に、或いはそのユーザの特定燃料電池コージェネレーション装置11に接続されているリモコン装置12に、これらのデータを送信することができる。
【0042】
さらに、演算部51は、S36に処理を進め、S34にて算出した二酸化炭素排出削減中間総量C3を、管理サーバ21に送信する。その後、演算部51はこのルーチンを終了する。
【0043】
演算部51が上記した中間データ送信処理を実行することにより、週ごとに、計測開始日から現時点まで(本実施形態では前週の末日まで)の特定燃料電池コージェネレーション装置11の個別使用量データ(日間発電量E1のデータ及び日間逆潮流量F1のデータ)の累積値を表す使用量中間データ(累積中間発電量E2のデータ及び累積中間逆潮流量F2のデータ)が、複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて算出される(S32)。また、算出されたそれぞれの特定燃料電池コージェネレーション装置11の使用量中間データに基づいて、計測開始日から現時点まで(本実施形態では前週の末日まで)の間に複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11の使用により創出した二酸化炭素排出削減量の総量の中間データ(二酸化炭素排出削減中間総量C3のデータ)が算出される(S34)。そして、算出された二酸化炭素排出削減中間総量C3のデータが週ごとに管理サーバ21に送信され(S36)、そのエビデンスデータである使用量中間データが各特定燃料電池コージェネレーション装置11のユーザに週ごとに送信される(S36)。この中間データ送信処理は、上述のように週ごとに実行されてもよいし、月ごとに実行されてもよいし、毎日実行されてもよい。
【0044】
また、支援サーバ50の演算部51は、集計処理を実行することにより、所定の計測開始日から所定の計測終了日までの間に創出された二酸化炭素排出削減量のデータを集計して、集計データを管理サーバ21に送信することができるように構成されている。図7は、演算部51が実行する集計処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、演算部51は、図7のS41にて、所定の計測終了日以降に管理サーバ21からデータ要求信号が入力されているか否かを判断する。このデータ要求信号は、自治体20が二酸化炭素排出削減量の集計データを要求するときに、例えば管理サーバ21のオペレータが所定のコマンドを管理サーバ21に入力することにより、管理サーバ21から支援サーバ50に送信される。
【0045】
演算部51は、S41にて、データ要求信号が入力されていないと判断した場合(S41:No)、このルーチンを終了する。一方、データ要求信号が入力されたと判断した場合(S41:Yes)、演算部51はS42に処理を進める。
【0046】
S42では、演算部51は、機器別エビデンスデータベースを参照して、特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて、所定の計測開始日から所定の計測終了日までの日間発電量E1を合算して累積発電量E3を算出する。次に、演算部51は、S43にて、機器別エビデンスデータベースを参照して、特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて、所定の計測開始日から所定の計測終了日までの日間逆潮流量F1を合算して累積逆潮流量F3を算出する。
【0047】
次いで、演算部51は、S44に処理を進めて、各特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて算出した累積発電量E3を合算して、計測開始日から計測終了日までの総発電量E4を算出し、さらに、各特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて算出した累積逆潮流量F3を合算して、計測開始日から計測終了日までの総逆潮流量F4を算出する。
【0048】
続いて、演算部51は、S45に処理を進めて、総発電量E4から総逆潮流量F4を差し引いて総自家消費発電量G4を算出する。さらに、演算部51は、S46に処理を進めて、総自家消費発電量G4に基づいて、所定の計測開始日から所定の計測終了日までに創出した二酸化炭素排出削減量の総量である二酸化炭素排出削減総量C4を算出する。S42からS46までの処理が、本発明のデータ集計処理に相当する。
【0049】
次に、演算部51は、S47に処理を進めて、二酸化炭素排出削減総量C4のデータ及びそのエビデンスデータを、管理サーバ21に送信する。ここで、S47にて管理サーバ21に送信するエビデンスデータは、S42及びS43にてそれぞれの特定燃料電池コージェネレーション装置11について算出した累積発電量E3のデータ及び累積逆潮流量F3のデータと、そのデータの算出対象となる特定燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号とを対応付けたデータである。その後、演算部51はこのルーチンを終了する。S47の処理が、本発明の集計データ送信処理に相当する。
【0050】
演算部51が上記した集計処理を実行することにより、エビデンスデータ記憶処理にて記憶された各特定燃料電池コージェネレーション装置11の個別使用量データ(日間発電量E1及び日間逆潮流量F1)に基づいて、計測開始日から計測終了日までの間に、複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11の使用により創出された二酸化炭素排出削減量の総量のデータ(二酸化炭素排出削減総量C4のデータ)が算出される。そして、算出された二酸化炭素排出削減量の総量のデータが、そのエビデンスデータとともに、支援サーバ50から管理サーバ21に自動的に送信される。自治体20は管理サーバ21に送信されたデータに基づいて、二酸化炭素クレジットの認証に必要な書類を作成することができる。このように、支援サーバ50から二酸化炭素クレジットの認証に必要なデータが自動送信されるので、これらのデータの収集及び集計に手間がかからない。つまり、データの収集を簡素化することができる。また、特定燃料電池コージェネレーション装置11の全数のデータを集計して二酸化炭素排出削減総量C4のデータを算出することができ、且つそのデータはエビデンスデータにより裏付けられる。つまり、算出された二酸化炭素排出削減総量C4のデータは信頼でき、不確実性は含まない。よって、算出した二酸化炭素排出削減総量C4の全てを二酸化炭素クレジットとして申請することができ、二酸化炭素クレジットの価値が棄損することはない。
【0051】
また、本実施形態によれば、演算部51は、中間データ送信処理を実行することにより、定期的に、累積中間発電量E2のデータ、累積中間逆潮流量F2のデータ、累積中間二酸化炭素排出削減量C2のデータを各特定燃料電池コージェネレーション装置11のユーザのユーザ端末に送信するとともに、二酸化炭素排出削減中間総量C3のデータを管理サーバ21に送信する。これにより、各データの送信履歴がユーザ端末及び管理サーバ21にバックアップデータとして保存される。よって、それ以降に例えば何らかの通信障害により支援サーバ50と各特定燃料電池コージェネレーション装置11との通信が遮断されて特定燃料電池コージェネレーション装置11の発電状態が支援サーバ50側で把握できなくなった場合に、それまでに送信された二酸化炭素排出削減中間総量C3のデータ及びそのエビデンスデータ(累積中間発電量E2のデータ及び累積中間逆潮流量F2のデータ)を用いて二酸化炭素クレジットを申請することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、管理サーバ21から送信要求信号が入力された場合に、集計処理を実行して、二酸化炭素排出削減総量C4のデータをエビデンスデータとともに管理サーバ21に送信するように構成されている。よって、自治体20の要求に応じてタイムリーにこれらのデータを送信することができる。
【0053】
また、演算部51は、特定燃料電池コージェネレーション装置11の発電量の低下を招く異常、すなわち二酸化炭素排出削減量(二酸化炭素クレジット)の低下を招く異常の発生を報知することができるように構成されている。図8は、このような異常の発生を報知するために演算部51が実行する異常報知処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、演算部51は、図8のS51にて、いずれかの特定燃料電池コージェネレーション装置11からの異常信号を検知したか否かを判断する。異常信号を検知していない場合(S51:No)、演算部51はこのルーチンを終了する。一方、異常信号を検知した場合(S51:Yes)、演算部51はS52に処理を進める。なお、各燃料電池コージェネレーション装置11は、異常発生時に支援サーバ50に、異常の内容を判別することができるエラーコードにより表される異常信号を出力するように構成されている。
【0054】
S52では、演算部51は、S51にて検知した異常信号が、特定異常を表す異常信号であるか否かを判断する。ここで、特定異常とは、燃料電池コージェネレーション装置11の発電量の低下を招く異常(二酸化炭素排出削減量が低下する異常)を表す。例えば、発電した電力の電流を計測する電流センサが故障した場合、燃料電池コージェネレーション装置11の発電が停止する。発電が停止すると、発電電力が低下する。したがって、電流センサの故障は特定異常である。また、空気ブロアが故障すると、発電に必要な酸素が供給できなくなり発電能力が低下する。これにより必要な発電電力を得ることができなくなり、発電電力が低下する。したがって、空気ブロアの故障も特定異常である。どのような異常が特定異常であるかは、予め支援サーバ50の記憶部52に記憶されている。従って、演算部51は、S52にて、異常信号により表される異常の種類に基づいて、特定異常であるか否かを判断することができる。S52の処理が、本発明の異常検出処理に相当する。
【0055】
S52にて異常信号が特定異常を表す異常信号ではないと判断された場合(S52:No)、演算部51はこのルーチンを終了する。一方、S52にて異常信号が特定異常を表す異常信号であると判断された場合(S52:Yes)、演算部51はS53に処理を進める。S53では、演算部51は、異常信号を出力した特定燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号を特定する。次いで、演算部51は、S54にて、特定した機器製造番号の特定燃料電池コージェネレーション装置11側に異常を報知する。この場合、特定した機器製造番号の特定燃料電池コージェネレーション装置11に接続されている宅内のリモコン装置12のディスプレイに異常を表示して宅内のユーザに異常を報知しても良いし、或いはその宅内のリモコン装置12から音を発することによりにより宅内のユーザに異常を報知してもよい。また、特定した機器製造番号の特定燃料電池コージェネレーション装置11のユーザのユーザ端末にメールにより異常を報知しても良い。さらに、特定した機器製造番号の特定燃料電池コージェネレーション装置11のメンテナンス業者のサーバと支援サーバ50が通信可能に構成されている場合には、そのメンテナンス業者のサーバに異常を報知しても良い。S54の処理が、本発明の異常報知処理に相当する。S54にて異常を報知した後に、演算部51はこのルーチンを終了する。
【0056】
演算部51が上記した異常報知処理を実行して、特定異常を素早く検出して報知することにより、速やかに特定異常を修復することができる。このため特定異常の発生による発電量の低下によって二酸化炭素排出削減量が低下することをできるだけ抑え、或いは未然に防ぐことができる。よって、特定燃料電池コージェネレーション装置11の特定異常の発生に起因した二酸化炭素排出削減量の低下による二酸化炭素クレジットの価値の棄損を抑えることができる。
【0057】
また、演算部51は、特定燃料電池コージェネレーション装置11の発電電力(具体的には自家消費発電電力)を最大化するためのアドバイス情報を提供することができるように構成されている。図9は、アドバイス情報を提供するために演算部51が実行するアドバイス情報提供処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、所定の時間間隔ごとに、定期的に実行される。このルーチンが起動すると、演算部51は、図9のS61にて、特定燃料電池コージェネレーション装置11のユーザの一人を選択する。次いで、演算部51は、S62にて、選択したユーザの所定期間分(例えば1週間分)の宅内の電力使用状況を、その宅内のリモコン装置12から取得する(電力使用状況取得処理)。次いで、演算部51は、S63にて、上記所定期間分の特定燃料電池コージェネレーション装置11の発電状況を、その宅内のリモコン装置12から取得する(発電状況取得処理)。
【0058】
続いて演算部51は、1日のうちで、購入電力が多い時間帯を算出する(S64)。この場合、演算部51は、まず、S62にて取得した1週間分の宅内電力使用状況から、1日の宅内使用電力の平均推移を算出し、次に、S63にて取得した1週間分の発電状況から、1日の発電量の平均推移を算出する。続いて、1日の宅内使用電力の平均推移と1日の発電量の平均推移を比較することにより、1日の購入電力の平均推移を演算する。なお、購入電力は、同時間帯の宅内使用電力から発電量を差し引くことにより求めることができる。そして、演算した1日の購入電力の平均推移から、購入電力が多い時間帯を算出する。
【0059】
次に、演算部51は、1日のうちで、宅内使用電力が、特定燃料電池コージェネレーション装置11の定格電力未満である時間帯を算出する(S65)。続いて、演算部51は、アドバイス情報を作成する(S66)。このアドバイス情報は、例えば、1日のうち購入電力が多い時間帯が8時~9時であり、宅内使用電力が定格電力未満である時間帯が、4時~6時である場合、「8時~9時に電気の使用を控え、その分、4時~6時に使用してください。」などといったメッセージである。アドバイス情報を作成した後、演算部51は、作成したアドバイス情報を、対象となるユーザの特定燃料電池コージェネレーション装置11が接続されたリモコン装置12に送信する(S67)。これにより、アドバイス情報がリモコン装置12のディスプレイに表示されて、ユーザに提供される。
【0060】
次いで、演算部51はS78に処理を進めて、未だに選択していないユーザが無いか否かを判断する。未だに選択していないユーザがある場合(S78:No)、演算部はS71に処理を戻してS71以降の処理を繰り返す。一方、未だに選択していないユーザが無い場合(S78:Yes)、演算部51はこのルーチンを終了する。
【0061】
演算部51が上記したアドバイス情報提供処理を実行することにより、各特定燃料電池コージェネレーション装置11を有するユーザに対し、電力使用状況と発電状況とに基づいて、自家消費発電量を最大化するためのアドバイス情報、言い換えれば特定燃料電池コージェネレーション装置11の使用により創出される二酸化炭素排出削減量がより多くなるようなアドバイス情報が作成され、作成されたアドバイス情報がユーザに送信される。そして、ユーザが送信されたアドバイス情報に従って生活様式を変更することにより、より多くの二酸化炭素排出削減量を創出することができる。例えば、上記のように、「8時~9時に電気の使用を控え、その分、4時~6時に使用してください。」といったメッセージが報知されたユーザが、8時~9時の間に洗濯機及びエアコンを使用していた場合、洗濯機の使用を例えば予約機能を用いて4時~6時の間に使用し、8時~9時の間のエアコンの使用を控えることにより、8時~9時の使用電力を減らして4時~6時における燃料電池コージェネレーション装置11の発電電力を増加させることができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるべきものではない。例えば、上記実施形態では、クレジット運営機関として自治体を例示したが、それ以外の民間の団体がクレジット運営機関であっても良い。また、上記実施形態では、支援サーバ50と管理サーバ21がAPI連携しており、それにより支援サーバ50が管理サーバ21に記憶されている機器製造番号を取得できるように構成されているが、その他の手段、例えば電子メール等により、支援サーバ50が機器製造番号の電子ファイルを取得しても良い。また、上記実施形態では省エネルギー機器として燃料電池コージェネレーション装置を例示したが、それ以外の省エネルギー機器、例えば太陽光発電装置或いはLED照明等でも良い。さらに、上記実施形態では、支援サーバ50が一つの自治体20の管理サーバ21に接続されている例を示したが、支援サーバ50が複数のクレジット運営機関の管理サーバにそれぞれ通信可能に接続されていても良い。この場合、支援サーバ50は、それぞれのクレジット運営機関を登録し、各登録したクレジット運営機関ごとに、そのクレジット運営機関に登録された省エネルギー機器の使用により創出される二酸化炭素排出削減量を算出する。そして、クレジット運営機関の要求に応じて二酸化炭素クレジットの申請のためのデータを集計し、エビデンスデータとともに集計データ(二酸化炭素排出削減総量のデータ)を要求に係るクレジット運営機関に送信することができる。また、上記実施形態では、集計処理にて支援サーバ50が管理サーバ21に送信するエビデンスデータが、各特定燃料電池コージェネレーション装置11について算出した累積発電量E3及び累積逆潮流量F3を機器製造番号に対応付けたデータである例を示したが、計測開始日から計測終了日までに各特定燃料電池コージェネレーション装置11から取得した個別使用量(日間発電量E1及び日間逆潮流量F1)を機器製造番号に対応付けたデータをエビデンスデータとして管理サーバ21に送信しても良い。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【符号の説明】
【0063】
10…機器群、11…燃料電池コージェネレーション装置(省エネルギー機器)、特定燃料電池コージェネレーション装置(特定省エネルギー機器)、12…リモコン装置、13…無線ルータ、20…自治体(クレジット運営機関)、21…管理サーバ、30…クレジット認証機関、40…クレジット売却先、50…支援サーバ(コンピュータ)、51…演算部、52…記憶部、53…通信部、C2…累積中間二酸化炭素排出削減量、C3…二酸化炭素排出削減中間総量、C4…二酸化炭素排出削減総量、E1…日間発電量(個別使用量)、E2…累積中間発電量、E3…累積発電量、E4…総発電量、F1…日間逆潮流量(個別使用量)、F2…累積中間逆潮流量、F3…累積逆潮流量、F4…総逆潮流量、G1…累積中間自家消費発電量、G4…総自家消費発電量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9