(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171104
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータ
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20221104BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077523
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 健司
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】 自治体の二酸化炭素排出削減に関する取組が促進されるような、二酸化炭素クレジット取引の仕組みを構築すること。
【解決手段】 管理サーバ21は、自治体内で創出された売却予定の二酸化炭素クレジットの購入を希望する複数の購入希望企業のそれぞれから、経営状況に関する情報のデータである経営情報データ及び二酸化炭素排出削減実績に関する情報のデータである実績情報データを取得する企業情報取得処理(S52)と、経営情報データ及び実績情報データに基づいて、購入希望企業のそれぞれについて、二酸化炭素排出削減の目標を達成するための困難度を示す困難度スコアαを算出する困難度指標算出処理(S53)と、を実行可能に構成される。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自治体内で創出された二酸化炭素クレジットを取引する際に用いられる二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータであって、
前記自治体内で設立された自治体内企業のうち前記自治体内で創出された売却予定の二酸化炭素クレジットの購入を希望する複数の購入希望企業のそれぞれから、経営状況に関する情報のデータである経営情報データ及び二酸化炭素排出削減実績に関する情報のデータである実績情報データを取得する企業情報取得処理と、
前記経営情報データ及び前記実績情報データに基づいて、前記購入希望企業のそれぞれについて、二酸化炭素排出削減の目標を達成するための困難度を表す困難度指標を算出する困難度指標算出処理と
を実行可能に構成される、二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータ。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータであって、
前記困難度指標により表される困難度が大きい順に、前記購入希望企業を前記売却予定の二酸化炭素クレジットの売却先として抽出する売却先抽出処理を実行可能に構成される、二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータ。
【請求項3】
請求項2に記載の二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータであって、
前記売却先抽出処理は、前記売却予定の二酸化炭素クレジットの創出量によって前記購入希望企業の購入希望量を充当することができる範囲において、前記困難度指標により表される困難度が大きい順に、前記購入希望企業を売却先として抽出する、二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータであって、
前記売却予定の二酸化炭素クレジット及びその二酸化炭素クレジットの創出量を公開する公開処理を実行可能に構成される、二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータ。
【請求項5】
請求項4に記載の二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータであって、
前記売却予定の二酸化炭素クレジットが、創出中の二酸化炭素クレジットである場合、前記公開処理にて、二酸化炭素クレジットの創出履歴及び、予想される創出量を公開する、二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素クレジットを取引する際に用いられる二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量の削減に向けた取り組みが行われている。例えば日本国では、J-クレジット制度を活用して、温室効果ガスの排出量の削減に寄与する取り組みがなされている。J-クレジット制度とは、省エネルギー機器の導入や森林経営等の取り組みによる、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット(排出権)」として国が認証する制度である。この制度は、国内クレジット制度とオフセット・クレジット制度が発展的に統合した制度で、認証(認可)されたクレジットは、低炭素社会実行計画の目標達成やカーボン・オフセット等、様々な用途に活用できる。
【0003】
家庭向け省エネルギー機器の使用によっても二酸化炭素の排出量が削減されるので、その削減量に対してJ-クレジット制度に基づいて手続きを行うことにより、二酸化炭素クレジットの認証を受けることができる。しかしながら、この場合、クレジットの認証を受けるための手続きが煩雑であるわりには、認証されるクレジットの規模が小さい。従って、各家庭が個々に手続きを行うことはしていない。
【0004】
このような、二酸化炭素クレジットの規模が小さい家庭向け省エネルギー機器の使用により削減される二酸化炭素に対しても、有効に二酸化炭素クレジットの認証を受けることができるように、国が運営するグリーン・リンケージ倶楽部が創設されている。このグリーン・リンケージ倶楽部では、各家庭(個人)が所有する省エネルギー機器の使用により削減された二酸化炭素排出量、すなわち省エネルギー機器の使用により創出された二酸化炭素排出削減量を取りまとめて一括して手続きを行う。したがって二酸化炭素クレジットの規模が大きくなり、カーボン・オフセット等に有効に活用され得る。
【0005】
また、特許文献1は、小規模な事業体若しくは個人住宅を対象に、二酸化炭素クレジットを簡易に取引することができる仕組みを開示する。特許文献1によれば、二酸化炭素排出権管理手段を介して、小規模設備において発電された電力に付随する二酸化炭素排出権が売買される。これにより、需要者においては、二酸化炭素排出クレジットの売元を自ら探し出す必要がなく、簡易に二酸化炭素クレジットを購入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
(発明が解決しようとする課題)
【0008】
二酸化炭素クレジットの運営(具体的には二酸化炭素クレジットの認可申請)は、各自治体や民間企業等でも行うことができ、実際に神戸市(こうべCO2バンク)が二酸化炭素クレジットを運営している。
【0009】
一方、自治体レベルで西暦2050年のカーボンニュートラルを表明する動きも出ており、その動きは環境省によりとりまとめがなされている。従って、各自治体でも、今後、二酸化炭素クレジットの運営に乗り出すことが予測される。
【0010】
自治体内でカーボンニュートラルを実現するためには、自治体内に設立された企業(自治体内企業)から排出される二酸化炭素の削減を進めることが必要であり、それを実現するために、自治体内での二酸化炭素クレジットの売買が有効な手段である。
【0011】
しかしながら、二酸化炭素クレジットの取引方法は、国が運営する入札販売による取引、仲介業者との相対取引など、限られており、自治体内で創出した二酸化炭素クレジットを自治体内企業に活用できていないという問題がある。また、経営体力の弱い企業では、入札制度により二酸化炭素クレジットを買い取ることが難しい。従って、そのような自治体内企業が二酸化炭素の排出削減を十分に進めることができない結果、自治体としての二酸化炭素排出削減に関する取組に遅れが生じる虞がある。
【0012】
本発明は、自治体の二酸化炭素排出削減に関する取組が促進されるような二酸化炭素クレジットの取引の仕組みを構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、自治体内で創出された二酸化炭素クレジットを取引する際に用いられる二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータであって、自治体内で設立された自治体内企業のうち自治体内で創出された売却予定の二酸化炭素クレジットの購入を希望する複数の購入希望企業のそれぞれから、経営状況に関する情報のデータである経営情報データ及び二酸化炭素排出削減実績に関する情報のデータである実績情報データを取得する企業情報取得処理と、経営情報データ及び実績情報データに基づいて、購入希望企業のそれぞれについて、二酸化炭素排出削減の目標を達成するための困難度を表す困難度指標を算出する困難度指標算出処理と、を実行可能に構成される、二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータを提供する。
【0014】
本発明によれば、二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータによって、自治体内で創出された二酸化炭素クレジットの購入を希望する自治体内の購入希望企業のそれぞれに対して、二酸化炭素排出削減の目標を達成するための困難度を表す困難度指標が算出される。このため、困難度指標に基づいて、二酸化炭素排出削減の目標を達成することが困難である企業に優先的に二酸化炭素クレジットを売却することができる。これにより、その企業における二酸化炭素排出削減への取り組みの遅れを取り戻すことができ、その結果、自治体としての二酸化炭素排出削減に関する取組が促進される。よって、本発明に係る二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータを用いることで、自治体の二酸化炭素排出削減に関する取り組みが促進されるような二酸化炭素クレジットの取引の仕組みを構築することができる。
【0015】
この場合、二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータは、困難度指標により表される困難度が大きい順に、購入希望企業を売却予定の二酸化炭素クレジットの売却先として抽出する売却先抽出処理を実行可能に構成されているとよい。これによれば、二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータによって、自動的に、二酸化炭素クレジットの売却先として、二酸化炭素排出削減の目標を達成するための困難度が大きい購入希望企業を抽出することができる。
【0016】
さらにこの場合、上記売却先抽出処理は、売却予定の二酸化炭素クレジットの創出量によって購入希望企業の購入希望量を充当することができる範囲において、困難度指標により表される困難度が大きい順に、購入希望企業を売却先として抽出するとよい。例えば、売却予定の二酸化炭素クレジットの創出量が100であり、困難度が最も大きい購入希望企業X1の購入希望量が50、困難度が次に大きい購入希望企業X2の購入希望量が40、困難度がその次に大きい購入希望企業X3の購入希望量が30である場合、売却予定の二酸化炭素クレジットの創出量(100)によって、購入希望企業X1の購入希望量(50)及び購入希望企業X2の購入希望量(40)を充当することができる。よって、購入希望企業X1とX2が売却先として抽出される。これによれば、売却手続きが効率的かつ自治体の二酸化炭素排出削減へ効果的に、売却予定の二酸化炭素クレジットを売却することができる。なお、二酸化炭素クレジットの創出量とは、創出された二酸化炭素排出削減量である。
【0017】
また、二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータは、売却予定の二酸化炭素クレジット及びその二酸化炭素クレジットの創出量を公開する公開処理を実行可能に構成されるとよい。これによれば、自治体内企業が公開された売却予定の二酸化炭素クレジット及びその創出量を確認することができる。
【0018】
また、売却予定の二酸化炭素クレジットは、創出中の二酸化炭素クレジットであってもよい。この場合、二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータは、公開処理にて、二酸化炭素クレジットの創出履歴及び、予想される創出量を公開するとよい。これによれば、二酸化炭素クレジットの購入を希望する自治体内企業が、自助努力により二酸化炭素の排出量を削減してもなお不足する部分を、将来的に売却される予定の二酸化炭素クレジットの購入によって賄うことができるか否かを事前に検討することができる。なお、上記発明において、創出中の二酸化炭素クレジットとは、二酸化炭素排出削減量を計測中(創出中)の二酸化炭素クレジットである。また、二酸化炭素クレジットの創出履歴とは、二酸化炭素排出削減量の創出開始(計測開始)から現時点までに創出した(蓄積した)二酸化炭素排出削減量の累計の履歴である。また、予想される創出量とは、二酸化炭素排出削減量の創出開始(計測開始)から創出終了(計測終了)までの間に創出される二酸化炭素排出削減量の見込み量、すなわち二酸化炭素クレジットの見込み創出量である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る二酸化炭素クレジットの取引システムの概要を示す。
【
図2】
図2は、複数の燃料電池コージェネレーション装置と、支援サーバと、管理サーバとの接続状態を示す概略図である。
【
図3】
図3は、支援サーバの演算部が実行する機器製造番号取得処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、支援サーバの演算部が実行するエビデンスデータ蓄積処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、機器別エビデンスデータベースの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、支援サーバの演算部が実行する中間データ送信処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、支援サーバの演算部が実行する集計処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、クレジット売却ウェブサイトに表示される認可済クレジットと認可予定クレジットの表示態様の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、クレジット売却ウェブサイトに表示される創出中クレジットの表示態様の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、購入希望企業リストの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、管理サーバの演算部が実行する困難度スコア算出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、管理サーバの演算部が実行する売却先抽出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、各購入希望企業の購入希望量と困難度スコアの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る二酸化炭素クレジットの取引システムの概要を示す。
図1に示すように、このシステムは、複数のユーザが有する省エネルギー機器からなる機器群10と、自治体等のクレジット運営機関(自治体20)と、クレジット認証機関30と、企業等のクレジット売却先40と、支援サーバ50とにより構成される。なお、機器群10を構成する複数の省エネルギー機器は、一般家庭に設置されるような、家庭向けの省エネルギー機器である。本実施形態では、省エネルギー機器として燃料電池コージェネレーション装置11を例示するが、それ以外の家庭向けの省エネルギー機器、例えば太陽光発電装置、或いは、省エネルギー製品として推奨されている電気製品等でも良い。
【0021】
燃料電池コージェネレーション装置11は、燃料及び酸素を用いて発電するとともに、発電に伴い熱を発生する。この燃料電池コージェネレーション装置11を用いて発電した場合に単位発電量当たりに排出される二酸化炭素の量は、商用電源等の系統電源が発電する場合に単位発電量当たりに排出される二酸化炭素の量よりも少ない。従って、燃料電池コージェネレーション装置11の発電電力を系統電源に替えて使用すればするほど、すなわち自家消費電力として使用すればするほど、削減される二酸化炭素排出量、すなわち創出される二酸化炭素排出削減量を増加させることができる。
【0022】
燃料電池コージェネレーション装置11は、発電電力が一定の定格運転か、発電電力が宅内使用電力(ユーザの自宅で使用する電力)に追従する負荷追従運転かのいずれかの運転方式により運転される。定格運転の場合、メンテナンス時を除き常に燃料電池コージェネレーション装置11が定格電力(例えば700W)で発電している。一方、負荷追従運転の場合、定格電力(例えば700W)以下の宅内使用電力に対して系統電源から電力を購入しないように、発電する。いずれの運転方式であっても、宅内使用電力が定格電力を超えると、超えた分は系統電源から購入することになる。また、定格運転時に、宅内使用電力が定格電力未満の場合、発電電力(定格電力)と宅内使用電力との差分が余剰電力として売電される。この場合、売電電力は、系統電源を逆潮流する。一方、負荷追従運転の場合には余剰電力が生じないので、発電電力が逆潮流することはない。
【0023】
燃料電池コージェネレーション装置11の発電電力のうち、二酸化炭素の排出削減に寄与する電力は、宅内で消費される電力、すなわち自家消費発電電力である。従って、燃料電池コージェネレーション装置11が定格運転している場合、自家消費発電電力は、発電電力から売電される電力(すなわち逆潮流電力)を差し引いた電力である。一方、燃料電池コージェネレーション装置11が負荷追従運転している場合、逆潮流電力は0であるので、発電電力の全てが自家消費発電電力である。
【0024】
各機器群10を構成する燃料電池コージェネレーション装置11を有する各ユーザは、本実施形態では、自治体20内に居住する者である。また、各ユーザが燃料電池コージェネレーション装置11を購入し、所定の手続きを自治体20に対して行うことにより、補助金が自治体20から給付される。各ユーザは、自治体20から補助金を受け取る見返りとして、燃料電池コージェネレーション装置11の使用により創出される二酸化炭素排出削減量に基づく権利、すなわち二酸化炭素クレジットを自治体20に譲渡する。そして、自治体20は、各ユーザの燃料電池コージェネレーション装置11の使用により創出される二酸化炭素排出削減量に基づいて、二酸化炭素クレジットの認可申請を、クレジット認証機関30に対して行う。クレジット認証機関30は、認可申請に係る書類を検証し、審議した上で、二酸化炭素クレジットを認可し、自治体20に認可した二酸化炭素クレジットを付与する。
【0025】
自治体20は、クレジット認証機関30から付与された二酸化炭素クレジットを、カーボン・オフセット等によりクレジット売却先40に売却する。クレジット売却先40は、本実施形態では自治体20内に設立された企業である。これにより、自治体20は二酸化炭素クレジットの売却益を得る。こうして得た売却益をユーザへの補助金に使うことにより、燃料電池コージェネレーション装置11の普及及びそれに伴う二酸化炭素排出削減を継続的に促進することができる。また、自治体20内に設立された企業に二酸化炭素クレジットを売却することにより、自治体20内での二酸化炭素の排出削減を促進することができる。なお、自治体20から委託を受けたガス事業者などがクレジット運営機関の業務を代行してもよい。
【0026】
自治体20は管理サーバ21を備える。管理サーバ21が本発明の二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータに相当する。管理サーバ21は、自治体20内で創出された二酸化炭素クレジットを取引する際に用いられる。この管理サーバ21は管理データベースを有しており、この管理データベースには、補助金の給付対象とされた全ての燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号が各燃料電池コージェネレーション装置11のユーザの情報と対応付けられた状態で記憶されている。管理データベースにこれらの情報が記憶されることにより、自治体20内のユーザの各燃料電池コージェネレーション装置11(
図1では機器群10を構成する燃料電池コージェネレーション装置11)が管理サーバ21に登録される。
【0027】
支援サーバ50は、自治体20が機器群10を構成する燃料電池コージェネレーション装置11の使用により創出された二酸化炭素排出削減量に基づいてクレジット認証機関30に二酸化炭素クレジットを申請する際に必要なデータを収集するとともに、収集したデータを集計し、集計したデータを管理サーバ21に送信するために設けられる。支援サーバ50は、例えば燃料電池コージェネレーション装置11の製造メーカが所持するコンピュータであっても良い。
【0028】
支援サーバ50は、演算部51、記憶部52、通信部53を備える。演算部51は、後述する各処理を実行することにより各種機能を実現するように構成される。記憶部52は、演算部51にて実行する各処理や、演算部51が各処理を実行する際に必要なデータベース等の情報、各処理の実行により算出された値等を記憶する。また、この記憶部52には、燃料電池コージェネレーション装置11を有するユーザの連絡先が記憶(登録)されている。ユーザの連絡先は、例えば、ユーザが有するパソコンやスマートフォン等のユーザ端末のメールアドレスである。通信部53は、外部通信する機能を有する。
【0029】
支援サーバ50は、複数の燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれ、及び、自治体20の管理サーバ21と通信可能に接続されている。
図2は、複数の燃料電池コージェネレーション装置と、支援サーバ50と、管理サーバ21との接続状態を示す概略図である。
図2に示すように、燃料電池コージェネレーション装置11は通信機能を備えており、それが設置されている宅内のリモコン装置12及び無線ルータ13を介してインターネットに接続可能に構成されている。また、支援サーバ50は、その通信部53を介してインターネットに接続可能に構成されている。したがって、複数の燃料電池コージェネレーション装置11と支援サーバ50は、インターネットを介して通信可能に構成される。なお、本実施形態では、燃料電池コージェネレーション装置11は、リモコン装置12及び無線ルータ13を介してインターネットに接続しているが、燃料電池コージェネレーション装置11に搭載された通信装置から、支援サーバ50にインターネット接続する方法も実施可能である。また、支援サーバ50は、機器群10を構成する燃料電池コージェネレーション装置11及び、機器群10を構成する燃料電池コージェネレーション装置11以外の燃料電池コージェネレーション装置11にも通信可能に接続されている。説明の便宜上、支援サーバ50に接続されたすべての燃料電池コージェネレーション装置11のうち機器群10を構成する燃料電池コージェネレーション装置11、すなわち管理サーバ21に登録されている燃料電池コージェネレーション装置を、特定燃料電池コージェネレーション装置11と呼ぶ。
【0030】
燃料電池コージェネレーション装置11の作動状態に関連する情報のデータは、通信機能を介して機器製造番号とともに、常時、支援サーバ50に入力される。これにより、それぞれの燃料電池コージェネレーション装置11は支援サーバ50に監視される。したがって、支援サーバ50は、各燃料電池コージェネレーション装置11の発電状態を、常時把握している。
【0031】
また、各ユーザの宅内のリモコン装置12には、宅内で使用する電力量も入力されるように構成される。従って、支援サーバ50は、各宅内のリモコン装置12から各ユーザの宅内の使用電力量及び電力使用状況(例えば時間帯ごとの使用電力量等)を取得することができる。
【0032】
また、管理サーバ21も支援サーバ50と同様に、演算部21a、記憶部21b、及び通信部21cを有する。演算部21aは、後述する各処理を実行することにより各種機能を実現するように構成される。記憶部21bは、演算部21aにて実行する各処理や、演算部21aが各処理を実行する際に必要なデータベース等の情報、各処理の実行により算出された値等を記憶する。この記憶部21bに、上記した管理データベースが記憶されている。通信部21cは、外部通信する機能を有する。通信部21cを介して管理サーバ21がインターネットに接続される。
【0033】
支援サーバ50と管理サーバ21は、API(Application Programming Interface)連携されている。このAPI連携により、支援サーバ50は、管理サーバ21の管理データベースに記憶されている各特定燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号を取得することができる。
図3は、支援サーバ50が各燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号を取得するために演算部51が実行する機器製造番号取得処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、所定の間隔ごとに定期的に実行される。このルーチンが起動すると、演算部51は、
図3のステップ(以下、ステップをSと略記する)11にて、通信部53を介して管理サーバ21の管理データベースにアクセスする。次いで、管理データベース中の機器製造番号を全て取得し(S12)、取得した機器製造番号を、記憶部52の機器製造番号データベースに記憶させる。その後、演算部51はこのルーチンを終了する。演算部51が上記した機器製造番号取得処理を定期的に実行することにより、記憶部52の機器製造番号データベースに特定燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号が記憶される。なお、支援サーバ50が自治体20に登録されている特定燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号を取得することにより、支援サーバ50は、それに通信可能に接続されているすべての燃料電池コージェネレーション装置11の中から、自治体20に登録された特定燃料電池コージェネレーション装置11を特定することができる。言い換えれば、特定燃料電池コージェネレーション装置11は、機器製造番号取得処理により取得された機器製造番号により、特定される。なお、支援サーバ50と管理サーバ21がAPI連携できない場合は、自治体20が特定燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号のリストを作成し、支援サーバ50にメール送信し、支援サーバ50に記憶させることもできる
【0034】
また、支援サーバ50は、特定燃料電池コージェネレーション装置11を含めた複数の燃料電池コージェネレーション装置11の1日間の使用量である日間発電量及び日間逆潮流量のデータ(個別使用量データ)を取得し、取得したこれらのデータを記憶部52の機器別エビデンスデータベースに記憶する。この目的のため、支援サーバ50の演算部51はエビデンスデータ記憶処理を実行する。
図4は、演算部51が実行するエビデンスデータ記憶処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、演算部51は、まず
図4のS21にて、現在時刻が所定時刻(例えば午前0時0分)であるか否かを判断する。現在時刻が所定時刻でない場合(S21:No)、演算部51はこのルーチンを終了する。一方、現在日時が所定時刻である場合(S21:Yes)、演算部はS22に処理を進める。
【0035】
S22では、演算部51は、前日の午前0時0分から23時59分までの間に、燃料電池コージェネレーション装置11が発電した電力量である日間発電量E1と、燃料電池コージェネレーション装置11から系統電源に逆潮流した電力量である日間逆潮流量F1を、機器ごとに、すなわち燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれから、取得する。この場合において、各燃料電池コージェネレーション装置11内の制御部は、S21の所定時刻或いは所定時刻前に、前日の日間発電量E1及び日間逆潮流量F1のデータを機器製造番号とともに支援サーバ50に送信するように構成されている。従って、支援サーバ50は、S22では、上記のようにして送信されたデータを受信し、受信したデータに基づいて、機器製造番号を特定するとともに、特定した機器製造番号の燃料電池コージェネレーション装置11の日間発電量E1のデータ及び日間逆潮流量F1のデータを取得する。
【0036】
次いで、演算部51は、S23に処理を進め、S22にて取得した日間発電量E1のデータ及び日間逆潮流量F1のデータを、機器別エビデンスデータベースに記憶する。
図5は、機器別エビデンスデータベースの一例を示す図である。
図5に示すように、機器別エビデンスデータベースには、機器製造番号ごとに、燃料電池コージェネレーション装置11の日間発電量E1のデータ及び日間逆潮流量F1のデータが、毎日、継続的に記憶される。S23では、演算部51は、S22にて取得した前日の日間発電量E1のデータ及び日間逆潮流量F1のデータを、該当する機器製造番号及び該当する日付に対応させて記憶する。その後、演算部51はこのルーチンを終了する。演算部51が
図4に示すエビデンスデータ記憶処理を実行することにより、機器製造番号取得処理にて取得された機器製造番号により特定される複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれから、所定期間内(1日)における特定燃料電池コージェネレーション装置11の使用量(発電量、逆潮流量)を表す個別使用量データ(日間発電量E1のデータ及び日間逆潮流量F1のデータ)を取得するとともに、取得した個別使用量データが機器製造番号のデータと対応付けられて1日ごとに機器別エビデンスデータベースに記憶される。
【0037】
また、演算部51は、所定の計測開始日から所定の計測終了日までの間に、定期的に中間データ送信処理を実行することにより、二酸化炭素排出削減量の中間データおよびそのエビデンスデータを定期的に送信する。
図6は、演算部51が実行する中間データ送信処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、演算部51は、まず
図6のS31にて、現在日時が週初の所定時刻(例えば午前0時0分)であるか否かを判断する。現在日時が週初の所定時刻ではない場合(S31:No)、演算部51はこのルーチンを終了する。一方、現在日時が週初の所定時刻である場合(S31:Yes)、演算部51はS32に処理を進める。
【0038】
S32では、演算部51は、機器製造番号取得処理にて取得した機器製造番号により特定される(すなわち機器製造番号データベースに記憶されている機器製造番号により特定される)複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて、所定の計測開始日から現時点までにエビデンスデータ記憶処理にて記憶された日間発電量E1のデータ、すなわち計測開始日から前週の末日までの日間発電量E1のデータ、を合算して累積中間発電量E2を算出する。さらに、演算部51は、S32にて、複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて、所定の計測開始日から現時点(前週の末日)までに機器別エビデンスデータベースに記憶された日間逆潮流量F1のデータを合算して累積中間逆潮流量F2を算出する。
【0039】
次いで、演算部51は、S33に処理を進める。S33では、演算部51は、複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて、S32にて算出した累積中間発電量E2のデータ及び累積中間逆潮流量F2のデータに基づいて、その特定燃料電池コージェネレーション装置11が計測開始日から現時点までに創出した二酸化炭素排出削減量である累積中間二酸化炭素排出削減量C2を算出する。この場合、累積中間二酸化炭素排出削減量C2は、累積中間発電量E2から累積中間逆潮流量F2を差し引いて求めた累積中間自家消費発電量G2を所定の換算式に代入することによって算出することができる。
【0040】
続いて、演算部51は、S34に処理を進める。S34では、演算部51は、S33にて特定燃料電池コージェネレーション装置11ごとに算出した累積中間二酸化炭素排出削減量C2のデータを合算して、二酸化炭素排出削減中間総量C3を算出する。
【0041】
次に、演算部51は、S35に処理を進め、S32、S33にて算出した各特定燃料電池コージェネレーション装置11についての累積中間発電量E2のデータ及び累積中間逆潮流量F2のデータ並びに累積中間二酸化炭素排出削減量C2のデータを、対応する特定燃料電池コージェネレーション装置11のユーザに送信する。この場合、演算部51は、支援サーバ50に登録されている各ユーザのユーザ端末のメールアドレス宛に、これらのデータを送信することができる。
【0042】
さらに、演算部51は、S36に処理を進め、S34にて算出した二酸化炭素排出削減中間総量C3を、管理サーバ21に送信する。その後、演算部51はこのルーチンを終了する。
【0043】
演算部51が上記した中間データ送信処理を実行することにより、週ごとに、計測開始日から現時点まで(本実施形態では前週の末日まで)の特定燃料電池コージェネレーション装置11の個別使用量データ(日間発電量E1のデータ及び日間逆潮流量F1のデータ)の累積値を表す使用量中間データ(累積中間発電量E2のデータ及び累積中間逆潮流量F2のデータ)が、複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて算出される(S32)。また、算出されたそれぞれの特定燃料電池コージェネレーション装置11の使用量中間データに基づいて、計測開始日から現時点まで(本実施形態では前週の末日まで)の間に複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11の使用により創出した二酸化炭素排出削減量の総量の中間データ(二酸化炭素排出削減中間総量C3のデータ)が算出される(S34)。そして、算出された二酸化炭素排出削減中間総量C3のデータが週ごとに管理サーバ21に送信され(S36)、そのエビデンスデータである使用量中間データが各特定燃料電池コージェネレーション装置11のユーザに週ごとに送信される(S36)。この中間データ送信処理は、上述のように週ごとに実行されてもよいし、月ごとに実行されてもよいし、毎日実行されてもよい。
【0044】
また、支援サーバ50の演算部51は、集計処理を実行することにより、所定の計測開始日から所定の計測終了日までの間に創出された二酸化炭素排出削減量のデータを集計して、集計データを管理サーバ21に送信することができるように構成されている。
図7は、演算部51が実行する集計処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、演算部51は、
図7のS41にて、所定の計測終了日以降に管理サーバ21からデータ要求信号が入力されているか否かを判断する。このデータ要求信号は、自治体20が二酸化炭素排出削減量の集計データを要求するときに、例えば管理サーバ21のオペレータが所定のコマンドを管理サーバ21に入力することにより、管理サーバ21から支援サーバ50に送信される。
【0045】
演算部51は、S41にて、データ要求信号が入力されていないと判断した場合(S41:No)、このルーチンを終了する。一方、データ要求信号が入力されたと判断した場合(S41:Yes)、演算部51はS42に処理を進める。
【0046】
S42では、演算部51は、機器別エビデンスデータベースを参照して、特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて、所定の計測開始日から所定の計測終了日までの日間発電量E1を合算して累積発電量E3を算出する。次に、演算部51は、S43にて、機器別エビデンスデータベースを参照して、特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて、所定の計測開始日から所定の計測終了日までの日間逆潮流量F1を合算して累積逆潮流量F3を算出する。
【0047】
次いで、演算部51は、S44に処理を進めて、各特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて算出した累積発電量E3を合算して、計測開始日から計測終了日までの総発電量E4を算出し、さらに、各特定燃料電池コージェネレーション装置11のそれぞれについて算出した累積逆潮流量F3を合算して、計測開始日から計測終了日までの総逆潮流量F4を算出する。
【0048】
続いて、演算部51は、S45に処理を進めて、総発電量E4から総逆潮流量F4を差し引いて総自家消費発電量G4を算出する。さらに、演算部51は、S46に処理を進めて、総自家消費発電量G4に基づいて、所定の計測開始日から所定の計測終了日までに創出した二酸化炭素排出削減量の総量である二酸化炭素排出削減総量C4を算出する。
【0049】
次に、演算部51は、S47に処理を進めて、二酸化炭素排出削減総量C4のデータ及びそのエビデンスデータを、管理サーバ21に送信する。ここで、S47にて管理サーバ21に送信するエビデンスデータは、S42及びS43にてそれぞれの特定燃料電池コージェネレーション装置11について算出した累積発電量E3のデータ及び累積逆潮流量F3のデータと、そのデータの算出対象となる特定燃料電池コージェネレーション装置11の機器製造番号とを対応付けたデータである。その後、演算部51はこのルーチンを終了する。
【0050】
演算部51が上記した集計処理を実行することにより、エビデンスデータ記憶処理にて記憶された各特定燃料電池コージェネレーション装置11の個別使用量データ(日間発電量E1及び日間逆潮流量F1)に基づいて、計測開始日から計測終了日までの間に、複数の特定燃料電池コージェネレーション装置11の使用により創出された二酸化炭素排出削減量の総量のデータ(二酸化炭素排出削減総量C4のデータ)が算出される。そして、算出された二酸化炭素排出削減量の総量のデータが、そのエビデンスデータとともに、支援サーバ50から管理サーバ21に自動的に送信される。自治体20は管理サーバ21に送信されたデータに基づいて、二酸化炭素クレジットの認証に必要な書類を作成することができる。このように、支援サーバ50から二酸化炭素クレジットの認証に必要なデータが自動送信されるので、これらのデータの収集及び集計に手間がかからない。つまり、データの収集を簡素化することができる。また、特定燃料電池コージェネレーション装置11の全数のデータを集計して二酸化炭素排出削減総量C4のデータを算出することができ、且つそのデータはエビデンスデータにより裏付けられる。つまり、算出された二酸化炭素排出削減総量C4のデータは信頼でき、不確実性は含まない。よって、算出した二酸化炭素排出削減総量C4の全てを二酸化炭素クレジットとして申請することができ、二酸化炭素クレジットの価値が棄損することはない。
【0051】
また、本実施形態によれば、演算部51は、中間データ送信処理を実行することにより、定期的に、累積中間発電量E2のデータ、累積中間逆潮流量F2のデータ、累積中間二酸化炭素排出削減量C2のデータを各特定燃料電池コージェネレーション装置11のユーザのユーザ端末に送信するとともに、二酸化炭素排出削減中間総量C3のデータを管理サーバ21に送信する。これにより、各データの送信履歴がユーザ端末及び管理サーバ21にバックアップデータとして保存される。よって、それ以降に例えば何らかの通信障害により支援サーバ50と各特定燃料電池コージェネレーション装置11との通信が遮断されて特定燃料電池コージェネレーション装置11の発電状態が支援サーバ50側で把握できなくなった場合に、それまでに送信された二酸化炭素排出削減中間総量C3のデータ及びそのエビデンスデータ(累積中間発電量E2のデータ及び累積中間逆潮流量F2のデータ)を用いて二酸化炭素クレジットを申請することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、管理サーバ21から送信要求信号が入力された場合に、集計処理を実行して、二酸化炭素排出削減総量C4のデータをエビデンスデータとともに管理サーバ21に送信するように構成されている。よって、自治体20の要求に応じてタイムリーにこれらのデータを送信することができる。
【0053】
ところで、自治体20は、上記のようにして創出した二酸化炭素クレジットを含め、様々な方法により自治体20内で創出した二酸化炭素クレジットを売却するために、二酸化炭素クレジットの売却に関するコンテンツを含むウェブサイト(以下、クレジット売却ウェブサイト)を管理サーバ21を通じてインターネット上のウェブサーバにアップロードしている。このためインターネットを利用して、自治体20が運営するクレジット売却ウェブサイトを閲覧することができる
【0054】
このクレジット売却ウェブサイトには、自治体20が売却予定の二酸化炭素クレジットが表示される。表示される売却予定の二酸化炭素クレジットには、既にクレジット認証機関30にて認証(認可)された認可済クレジット、認証(認可)予定の二酸化炭素クレジット(認可予定クレジット)、現在創出中(すなわち二酸化炭素排出削減量のデータを収集(計測)中)の二酸化炭素クレジットが含まれる。現在創出中の二酸化炭素クレジットを、創出中クレジットと呼ぶ。
【0055】
図8は、クレジット売却ウェブサイトに表示される認可済クレジットと認可予定クレジットの表示態様の一例を示す図である。
図8に示すように、クレジット売却ウェブサイトには、認可済クレジットと認可予定クレジットが一覧表にまとめられた状態で表示される。この表には、売却予定の二酸化炭素クレジットの整理番号の欄、その二酸化炭素クレジットの創出プロジェクトの概要欄、クレジット認証機関による認可の有無(認可済若しくは認可予定)を示す欄、創出量(二酸化炭素クレジット(二酸化炭素排出削減量)の創出量)を示す欄、二酸化炭素クレジットの販売単価(1トン当たりの単価)を示す欄が、設けられる。また、二酸化炭素クレジットの販売単価は、本実施形態では、自治体20が設定する。
【0056】
図9は、クレジット売却ウェブサイトに表示される創出中クレジットの表示態様の一例を示す図である。
図9に示すように、クレジット売却ウェブサイトには、創出中クレジットが一覧表にまとめられた状態で表示される。この表には、売却予定の創出中クレジットの整理番号の欄、その創出中クレジットの創出プロジェクトの概要欄、創出中クレジットの創出期間を示す欄、創出中クレジットの創出履歴を示す欄、予想創出量(予想される二酸化炭素クレジットの創出量)を示す欄、二酸化炭素クレジットの販売単価を示す欄が、設けられる。この創出中クレジットの販売単価も本実施形態では自治体20が設定する。
【0057】
また、
図9に示されるように、創出履歴の欄には、二酸化炭素クレジットの創出量(創出された二酸化炭素排出削減量の累計)の推移を表す創出量推移グラフが掲載される。この創出量推移グラフの実線部分は、二酸化炭素クレジットの創出開始(計測開始:start)から現時点までに創出された二酸化炭素クレジットの創出量の推移(創出履歴)、すなわち創出開始から現時点までに創出した二酸化炭素排出削減量の累計の履歴を示し、破線部分は、今後に創出される二酸化炭素クレジットの創出量の予想推移を示す。そして、創出終了(計測終了:goal)時点にて予想される創出量、すなわち二酸化炭素クレジットの見込み創出量が、予想創出量の欄に記載される。この創出量推移グラフの実線部分は、上記した中間データ送信処理にて支援サーバ50から管理サーバ21に定期的に送信される二酸化炭素排出削減中間総量C3に基づいて作成することができる。また、この創出量推移グラフの破線部分及び予想創出量は、実線部分のグラフの傾きから推定することができる。なお、
図8及び
図9に示す表に加え、クレジット売却ウェブサイトの表示画面には、各売却予定の二酸化炭素クレジットの購入期限、及び、自治体20内に設立されている企業のみが購入することができる旨の内容が明記されている。
【0058】
図8及び
図9に示すような売却予定の二酸化炭素クレジット及びその創出量又は予想創出量の一覧表は、管理サーバ21が、インターネット上のウェブサーバにこれらのデータをアップロードすることにより公開される。つまり、管理サーバ21は、売却予定の二酸化炭素クレジット及び二酸化炭素クレジットの創出量を公開する公開処理を実行可能に構成される。また、
図9に示すように、売却予定の二酸化炭素クレジットが創出中の二酸化炭素クレジットである場合、管理サーバ21は、創出中の各二酸化炭素クレジットについて、その創出履歴及び予想創出量をも公開する。
【0059】
自治体20内に設立されている企業(自治体内企業)は、クレジット売却ウェブサイトに公開されている
図8及び
図9に示される売却予定の二酸化炭素クレジットの一覧を、パソコン等から確認することができる。そして、自治体内企業は、これらの二酸化炭素クレジットの購入希望の有無を検討し、購入すると決定した場合には、その旨を、購入期限までに自治体20に連絡する。その際、二酸化炭素クレジットの購入を希望する企業(購入希望企業)は、企業名、購入を希望する二酸化炭素クレジットの整理番号、購入希望量(購入を希望する二酸化炭素クレジット量(二酸化炭素排出削減量))、企業の経営状況、及び、二酸化炭素排出削減実績を、自治体20に連絡する。この連絡方法としては種々の方法が考えられる。例えば、二酸化炭素クレジット購入申込書に必要事項を記入して自治体20に郵送する方法、電話連絡により自治体20に二酸化炭素クレジットの購入を申し出る方法、クレジット売却ウェブサイトを通じて二酸化炭素クレジットの購入の申込を自治体20に行う方法、等が、連絡方法として例示できる。
【0060】
また、購入希望企業が自治体20に連絡する内容のうち、企業の経営状況は、企業の経営体力を表す情報であり、例えば、資本金、直近数年間の売上高の平均値及び経常利益の平均値、等である。また、二酸化炭素排出削減実績は、例えば今までに創出した二酸化炭素排出削減量である。
【0061】
また、自治体20は、購入期限が徒過した売却予定の二酸化炭素クレジットを、表8又は表9から削除する。そして、購入期限が徒過した売却予定の二酸化炭素クレジットのそれぞれに対して、購入希望企業リストを作成する。
【0062】
図10は、購入希望企業リストの一例を示す図である。
図10に示すように、このリストには、購入希望企業の整理番号欄、企業名欄、資本金欄、売上高欄、経常利益欄、二酸化炭素排出削減実績欄、購入希望量欄、売却額欄が、設けられる。資本金欄には資本金の額が、売上高欄には直近数年間の売上高の平均額が、経常利益欄には直近数年間の経常利益の平均額が、二酸化炭素排出削減実績欄には今までに創出した二酸化炭素排出削減量が、購入希望量欄には購入を希望する二酸化炭素クレジット量(二酸化炭素排出削減量)が、売却額欄には、購入希望量欄に示される二酸化炭素クレジット量の売却額が、それぞれ表示される。このような購入希望企業リストは、管理サーバ21の演算部21aが自動的に作成してもよいし、自治体20の職員が管理サーバ21上で作成してもよい。そして、作成された購入希望企業リストが、管理サーバ21の記憶部21bに記憶される。
【0063】
管理サーバ21の演算部21aは、記憶部21bに記憶された購入希望企業リストに基づいて、二酸化炭素排出削減の目標を達成するための困難度を示す指標である困難度スコアを各購入希望企業のそれぞれについて算出することができるように構成される。
図11は、困難度スコアを算出するために管理サーバ21の演算部21aが実行する困難度スコア算出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、管理サーバ21のオペレータが、困難度スコアの算出に用いる購入希望企業リストを特定した上で、所定のコマンドを管理サーバ21に入力することにより起動する。
【0064】
このルーチンが起動すると、管理サーバ21の演算部21aは、まず、
図11のS51にて、購入希望企業リストに示された購入希望企業のうち、未だ選択されていない一つの購入希望企業を選択する。次いで、演算部21aは、選択した購入希望企業の経営情報データ及び実績情報データを、購入希望企業リストから取得する(S52)。ここで、経営情報データとは、購入希望企業リストの資本金欄に示された資本金の額の数値データ、売上高欄に示された売上高の数値データ、経常利益欄に示された経常利益額の数値データである。また、実績情報データとは、購入希望企業リストの二酸化炭素排出削減実績欄に示された二酸化炭素排出削減量の数値データである。従って、S52では、演算部21aは、記憶部21bに記憶されている購入希望企業リストから、対象とされている購入希望企業の資本金欄、売上高欄、経常利益欄、二酸化炭素排出削減実績欄の各欄に記憶されている数値データを取得することにより、その購入希望企業についての経営情報データ及び実績情報データを取得する。このS52の処理が、本発明の企業情報取得処理に相当する。
【0065】
次に、演算部21aは、S52にて取得した経営情報データ及び実績情報データに基づいて、困難度スコアαを演算する(S53)。ここで、困難度スコアαは、本発明の困難度指標に相当し、S52にて取得したそれぞれのデータに所定の重み付けして得た値に基づいて演算される。具体的には、S52にて取得した資本金の数値データをa(円)、売上高の数値データをb(円)、経常利益の数値データをc(円)、二酸化炭素排出削減実績の数値データをd(ton-CO2)とすると、困難度スコアαは、以下の式により算出される。
α=1/(a×x1+b×x2+c×x3+d×x4)
ここで、x1はa(資本金)の重み係数、x2はb(売上高)の重み係数、c3はc(経常利益)の重み係数、x4はd(二酸化炭素排出削減量)の重み係数である。各重み係数x1~x4は正数である。S53の処理が、本発明の困難度指標算出処理に相当する。
【0066】
この困難度スコアαは、二酸化炭素排出削減の目標を達成するためにどの程度の困難性を伴うかを表すように、すなわち二酸化炭素排出削減の目標達成のための困難度を表すように、算出される。本実施形態では、困難度スコアαは、大きければ大きいほど、二酸化炭素排出削減の目標を達成するための困難度が高く(ハードルが高く)なるように、算出される。ここで、二酸化炭素排出削減目標を達成するための困難度の考え方について、以下に説明する。
【0067】
ある企業が二酸化炭素排出削減の目標を達成することができるか否かは、その企業の経営体力及び過去における二酸化炭素排出削減量の実績に影響する。企業の経営体力が高ければ、資金面で余裕があるため多くの二酸化炭素クレジットを購入することができ、これにより二酸化炭素排出削減目標を達成することができる。一方、企業の経営体力が弱いと、二酸化炭素クレジットを購入する資金が不足するため、自助努力により二酸化炭素排出削減量を増加しなければならないが、そのためには省エネルギー設備を導入しなければならない。しかし、経営体力が弱いとその省エネルギー設備の導入費用のための資金も不足するため、結局二酸化炭素排出削減量を増やすことができない。従って、企業の経営体力は、その企業が二酸化炭素排出削減目標を達成できるか否かに影響し、経営体力が高ければ目標の達成が容易であり、低ければ目標の達成が困難である。
【0068】
また、過去に創出した二酸化炭素排出削減量が多ければ、二酸化炭素排出削減目標の達成まであと少しと推定でき、この場合には目標の達成が容易である。一方、過去に創出した二酸化炭素排出削減量が少なければ、二酸化炭素排出削減目標の達成までに多くの二酸化炭素の排出削減を行わなければならず、この場合には目標の達成が困難である。従って、二酸化炭素排出削減実績は、その企業が二酸化炭素排出削減目標を達成できるか否かに影響し、二酸化炭素排出削減実績(過去に創出した二酸化炭素排出削減量)が多ければ目標の達成が容易であり、少なければ目標の達成が困難である。
【0069】
本実施形態では、上記の考え方に基づいて、困難度スコアαが算出される。具体的には、困難度スコアαは、経営体力を表す指標(資本金の数値データ、売上高の数値データ、経常利益の数値データ)が大きいほど小さくなり、二酸化炭素排出削減実績を表す指標(二酸化炭素排出削減実績の数値データ)が大きいほど小さくなるように、算出される。
【0070】
また、経営体力を表す指標(資本金、売上高、経常利益)及び二酸化炭素排出削減実績を表す指標が困難度スコアαに与える影響のバランスを調整するために、各重み係数x1~x4が設定される。この重み係数x1~x4は、管理サーバ21に任意に入力することができるようにされている。従って、困難度スコアαを算出する前に、管理サーバ21のオペレータは、各重み係数x1~x4の値をキーボード等の入力手段から管理サーバ21に予め入力する。なお、各重み係数x1~x4の入力がなかった場合、予め設定されている重み係数x1~x4を用いて困難度スコアαが算出されるように構成されていてもよい。
【0071】
上述のようにして困難度スコアαを演算した後に、演算部21aは、S54に処理を進める。S54では、演算部21aは、S53にて演算した困難度スコアαを購入希望企業に対応付けて記憶部21bに記憶させる。なお、演算部21aは、S53にて困難度スコアαを記憶部21bに記憶させるとともに、各困難度スコアαを管理サーバ21のディスプレイに表示させても良い。次いで、演算部21aは、未だ選択していない購入希望企業が無いか否かを判断する(S55)。未だ選択していない企業が有る場合(S55:No)、演算部21aはS51に戻ってS51以降の処理を繰り返す。未だ選択していない企業が無い場合(S55:Yes)、演算部21aはこのルーチンを終了する。
【0072】
管理サーバ21の演算部21aが上記した困難度スコア算出処理を実行することにより、売却予定の二酸化炭素クレジットのそれぞれについて、各購入希望企業の困難度スコアαが算出される。このため、困難度スコアαに基づいて、二酸化炭素排出削減の目標を達成することが困難な企業に優先的に二酸化炭素クレジットを売却することができる。これにより、その企業における二酸化炭素排出削減の取り組みの遅れを取り戻すことができ、その結果、自治体としての二酸化炭素排出削減に関する取組を促進することができる。
【0073】
また、管理サーバ21の演算部21aは、困難度スコア算出処理にて算出した各購入希望企業の困難度スコアαに基づいて、二酸化炭素クレジットの売却先を抽出することができるように構成される。
図12は、演算部21aが二酸化炭素クレジットの売却先を抽出するために実行する売却先抽出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、対象となる二酸化炭素クレジットについての困難度スコア算出処理の実行が終了した後に、管理サーバ21のオペレータが所定のコマンドを管理サーバ21に入力することにより起動する。このルーチンが起動すると、演算部21aは、
図12のS61にて、売却対象の二酸化炭素クレジットの購入希望企業であって、未だ選択されていない購入希望企業のうち、前述の困難度スコア算出処理の実行により算出された困難度スコアαが最も高い購入希望企業を選択する。
【0074】
次に、演算部21aは、選択した購入希望企業の購入希望量を、購入希望企業リストより取得し(S62)、取得した購入希望量が残創出量以下であるか否かを判断する(S63)。ここで、残創出量とは、売却予定の二酸化炭素クレジットの創出量から、既に後述するS64にて売却先に抽出された購入希望企業の購入希望量を差し引いた残りの二酸化炭素クレジットの量である。従って、演算部21aがS61にて初めて購入希望企業を選択した場合、このS63の処理における残創出量は、売却予定の二酸化炭素クレジットの創出量である。
【0075】
S63にて、購入希望量が残創出量以下であると判断した場合(S63:Yes)、演算部21aはS64に処理を進めて、選択した購入希望企業を売却先に抽出する。次いで、演算部21aは、残創出量からS62にて取得した購入希望量を差し引いて、残創出量を更新する(S65)。その後、演算部21aはS61に処理を戻し、S61以降の処理を繰り返す。
【0076】
また、S63にて、購入希望量が残創出量よりも大きいと判断した場合(S63:No)、二酸化炭素クレジットの売却量が不足するので、それ以上二酸化炭素クレジットを売却することはできない。この場合、演算部21aはS66に処理を進めて、それまでにS64にて売却先として抽出した購入希望企業を管理サーバ21のディスプレイに表示する。その後、演算部21aはこのルーチンを終了する。
【0077】
演算部21aが上記した売却先抽出処理を実行することにより、売却予定の二酸化炭素クレジットの創出量によって購入希望企業の購入希望量を充当することができる範囲において、困難度スコアαにより表される困難度が大きい順に、購入希望企業が売却先として抽出される。例えば、
図13に示すように、購入希望企業Aの困難度スコアαが80、購入希望量が100であり、購入希望企業Bの困難度スコアαが62、購入希望量が150であり、購入希望企業Cの困難度スコアαが95、購入希望量が50であり、購入希望企業Dの困難度スコアαが30、購入希望量が100であると仮定する。また、売却予定の二酸化炭素クレジットの創出量が、350であるとする。この場合、まず、困難度スコアαが最も高い購入希望企業Cが売却候補に選択される。この購入希望企業Cの購入希望量(50)は残創出量(350)以下であるので、購入希望企業Cは売却先に抽出される。その後、残創出量が300にされる。次いで、困難度スコアαが次に高い購入希望企業Aが売却候補に選択される。この購入希望企業Aの購入希望量(100)は残創出量(300)以下であるので、購入希望企業Aは売却先に抽出される。その後、残創出量が200にされる。次に、困難度スコアαが次に高い購入希望企業Bが売却候補に選択される。この購入希望企業Bの購入希望量(150)は残創出量(200)以下であるので、購入希望企業Bは売却先に抽出される。その後、残創出量が50にされる。続いて、次に困難度スコアαが高い購入希望企業Dが売却候補に選択される。この購入希望企業Dの購入希望量(100)は残創出量(50)よりも大きいので、購入希望企業Dは売却先に抽出されない。従って、この例によれば、二酸化炭素クレジットの売却先として、購入希望企業A,B,Cが抽出される。こうして抽出された購入希望企業、すなわち二酸化炭素排出削減目標を達成することに対する困難度が大きい(ハードルが高い)購入希望企業に優先的に二酸化炭素クレジットを売却することにより、これらの購入希望企業の二酸化炭素排出削減を促進させることができる。
【0078】
以上説明したように、管理サーバ21は、自治体内で創出された売却予定の二酸化炭素クレジットの購入を希望する複数の購入希望企業のそれぞれから、経営状況に関する情報のデータである経営情報データ及び二酸化炭素排出削減実績に関する情報のデータである実績情報データを取得する企業情報取得処理(S52)と、経営情報データ及び実績情報データに基づいて、購入希望企業のそれぞれについて、二酸化炭素排出削減の目標を達成するための困難度を表す困難度スコアαを算出する困難度指標算出処理(S53)と、を実行可能に構成される。このため、困難度スコアαに基づいて、二酸化炭素排出削減の目標を達成することが困難な自治体内企業に優先的に二酸化炭素クレジットを売却することができる。これにより、その自治体内企業における二酸化炭素排出削減の取り組みの遅れを取り戻すことができ、その結果、自治体としての二酸化炭素排出削減に関する取組を促進することができる。つまり、本実施形態に係る管理サーバ21を用いることで、自治体の二酸化炭素排出削減に関する取り組みが促進されるような二酸化炭素クレジットの取引の仕組みを構築することができる。
【0079】
また、管理サーバ21は、売却予定の二酸化炭素クレジットの創出量により購入希望企業の購入希望量を充当することができる範囲において、困難度スコアαにより表される困難度が大きい順に、購入希望企業を売却先として抽出する売却先抽出処理を実行可能に構成される。これよれば、自動的に二酸化炭素クレジットの売却先として二酸化炭素排出削減の目標を達成するための困難度が大きい購入希望企業を抽出することができる。また、効率的に売却予定の二酸化炭素クレジットを売却することができる。
【0080】
また、
図8及び
図9に示すように、管理サーバ21は、売却予定の二酸化炭素クレジット及びその二酸化炭素クレジットの創出量を公開することができるように構成される。これによれば、自治体内企業が公開された売却予定の二酸化炭素クレジット及びその創出量を確認することができる。
【0081】
また、管理サーバ21は、
図9に示すように、創出中の二酸化炭素クレジットを売却予定の二酸化炭素クレジットとして公開する場合、二酸化炭素クレジットの創出履歴及び、予想される創出量を公開する。これによれば、二酸化炭素クレジットの購入を希望する自治体内企業が、自助努力により二酸化炭素の排出量を削減してもなお不足する部分を、将来的に売却される予定の二酸化炭素クレジットの購入によって賄うことができるか否かを事前に検討することができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態では、困難度スコアαを算出するために、資本金、売上高、経常利益、二酸化炭素排出削減実績の数値データを用いたが、それ以外の二酸化炭素排出削減の目標達成に対する困難度を表す情報のデータを加味して困難度スコアαを算出しても良い。また、困難度スコアαは、その値から上記困難度の大きさが判断できるように算出されればよく、上記の困難度スコアαの算出式とは異なる式により困難度スコアαを算出しても良い。また、困難度が大きいほど困難度スコアαの値が小さくなるように、困難度スコアαが算出されても良い。また、上記実施形態では、売却予定の創出中クレジットの創出履歴を創出量推移グラフにより表した例を示したが、創出量を時系列的に表した表等によって創出履歴を示しても良い。また、各自治体の管理サーバを通信可能に接続させておき、購入希望企業が現れなかった二酸化炭素クレジット、あるいは売却により生じた端数の二酸化炭素クレジットを、他の自治体に販売することも可能である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【符号の説明】
【0083】
10…機器群、11…燃料電池コージェネレーション装置,特定燃料電池コージェネレーション装置、12…リモコン装置、13…無線ルータ、20…自治体、21…管理サーバ(二酸化炭素クレジット取引用管理コンピュータ)、21a…演算部、21b…記憶部、21c…通信部、30…クレジット認証機関、40…クレジット売却先、50…支援サーバ、α…困難度スコア(困難度指標)