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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171135
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ステータコアの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
H02K15/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077579
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】岡田 一晃
(72)【発明者】
【氏名】北林 哲弥
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP06
5H615SS03
5H615SS05
5H615SS31
(57)【要約】
【課題】製造設備が全体的に複雑化するのを防止しながら、積層コアの残留応力を除去することが可能で、かつ、積層コアとスロット内に挿入されるコイル部との絶縁を確保することが可能なステータコアの製造方法を提供する。
【解決手段】このステータコア100の製造方法では、積層コア10aの残留応力層19を除去するように、積層コア10aのうちのスパッタエッチング用治具200に対向する部分OSをスパッタエッチングするスパッタエッチング工程(S3)が行われる。また、積層コア10bに絶縁被膜18が形成されるように、スパッタリング用治具400のうちのスパッタエッチングされたエッチング面ESに対向する部分400aをスパッタリングして、スパッタリングされたスパッタ粒子430をエッチング面ESに付着させるスパッタリング工程(S7)が行われる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁鋼板が積層されるとともに径方向に突出する複数のティースと前記複数のティース同士の間に形成される複数のスロットとを含む積層コアを形成するコア形成工程と、
前記コア形成工程の後に、前記積層コアの軸方向に見て、スパッタエッチング用治具の少なくとも一部を、前記積層コアに対向するように配置するスパッタエッチング用治具配置工程と、
前記スパッタエッチング用治具配置工程の後に、不活性ガスの雰囲気中で、前記積層コアおよび前記スパッタエッチング用治具を、それぞれ、陰極および陽極として、前記積層コアの残留応力層を除去するように、前記積層コアのうちの前記スパッタエッチング用治具に対向する部分をスパッタエッチングするスパッタエッチング工程と、
前記スパッタエッチング工程の後に、前記軸方向に見て、スパッタエッチングされたエッチング面に対向する部分が絶縁性を有する材料から形成されたスパッタリング用治具を、前記エッチング面に対向するように配置するスパッタリング用治具配置工程と、
前記スパッタリング用治具配置工程の後に、前記不活性ガスの雰囲気中で、前記積層コアおよび前記スパッタリング用治具を、それぞれ、陽極および陰極として、前記積層コアに絶縁被膜が形成されるように、前記スパッタリング用治具のうちの前記エッチング面に対向する部分をスパッタリングして、スパッタリングされたスパッタ粒子を前記エッチング面に付着させるスパッタリング工程と、を備える、ステータコアの製造方法。
【請求項2】
前記スパッタリング工程は、前記スパッタリング工程と同一の真空チャンバ内において行われる、請求項1に記載のステータコアの製造方法。
【請求項3】
前記スパッタリング工程は、前記スパッタエッチング工程と同一の真空チャンバ内において、前記積層コアが、前記スパッタエッチング工程における陰極から前記スパッタリング工程における陽極に変わるように、前記スパッタエッチング工程における印加電圧を逆転した状態で行われる、請求項2に記載のステータコアの製造方法。
【請求項4】
前記スパッタエッチング工程の後に、かつ、前記スパッタリング用治具配置工程の前に、前記スパッタエッチング用治具を前記軸方向における一方側に退避させるスパッタリング用治具退避工程をさらに備え、
前記スパッタリング用治具配置工程は、前記スパッタリング用治具を前記軸方向における他方側から移動させることにより、前記軸方向に見て、前記スパッタリング用治具を前記エッチング面に対向するように配置する工程である、請求項1~3のいずれか1項に記載のステータコアの製造方法。
【請求項5】
前記スパッタリング用治具配置工程は、前記複数のスロット内にそれぞれ挿入される複数の挿入部分を含む前記スパッタリング用治具の前記挿入部分を、前記エッチング面としての前記複数のスロットの内側面に対向するように配置する工程である、請求項1~4のいずれか1項に記載のステータコアの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータコアの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層コアの残留応力を除去する工程を備えるステータコアの製造方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、電気機器鉄心(ステータコア)の製造方法が開示されている。上記特許文献1に記載の電気機器鉄心の製造方法では、まず、電磁鋼板に対して所定の形状となるように打ち抜き加工が行われる。そして、複数の電磁鋼板を積層して積層鉄心(積層コア)が形成される。そして、積層鉄心を焼鈍することにより、打ち抜き加工時にせん断切り口部に生じる残留応力が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58-63119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には記載されていないが、上記特許文献1に記載されているような従来の電気機器鉄心(ステータコア)の製造方法では、積層鉄心(積層コア)を焼鈍(熱処理)した後に、積層鉄心と積層鉄心のスロット内に挿入されるコイル部との絶縁を確保する(短絡を防止する)ための絶縁工程が行われる。絶縁工程は、たとえば、スロット内への絶縁紙の配置(挿入)、スロットの内側面への絶縁膜の被覆、スロットに挿入されるコイル部への絶縁膜の被覆などである。
【0006】
しかしながら、積層鉄心を焼鈍する工程と、上記の絶縁工程とは、作業内容が互いに全く異なっているので、それぞれの工程を行うための専用の設備が必要となり、製造設備が全体的に複雑化してしまう。このため、製造設備が全体的に複雑化するのを防止しながら、積層鉄心(積層コア)の残留応力を除去することが可能で、かつ、積層鉄心とスロット内に挿入されるコイル部との絶縁を確保することが可能なステータコアの製造方法が望まれている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、製造設備が全体的に複雑化するのを防止しながら、積層コアの残留応力を除去することが可能で、かつ、積層コアとスロット内に挿入されるコイル部との絶縁を確保することが可能なステータコアの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるステータコアの製造方法は、
電磁鋼板が積層されるとともに径方向に突出する複数のティースと複数のティース同士の間に形成される複数のスロットとを含む積層コアを形成するコア形成工程と、コア形成工程の後に、積層コアの軸方向に見て、スパッタエッチング用治具の少なくとも一部を、積層コアに対向するように配置するスパッタエッチング用治具配置工程と、スパッタエッチング用治具配置工程の後に、不活性ガスの雰囲気中で、積層コアおよびスパッタエッチング用治具を、それぞれ、陰極および陽極として、積層コアの残留応力層を除去するように、積層コアのうちのスパッタエッチング用治具に対向する部分をスパッタエッチングするスパッタエッチング工程と、スパッタエッチング工程の後に、軸方向に見て、スパッタエッチングされたエッチング面に対向する部分が絶縁性を有する材料から形成されたスパッタリング用治具を、エッチング面に対向するように配置するスパッタリング用治具配置工程と、スパッタリング用治具配置工程の後に、不活性ガスの雰囲気中で、積層コアおよびスパッタリング用治具を、それぞれ、陽極および陰極として、積層コアに絶縁被膜が形成されるように、スパッタリング用治具のうちのエッチング面に対向する部分をスパッタリングして、スパッタリングされたスパッタ粒子をエッチング面に付着させるスパッタリング工程と、を備える。
【0009】
この発明の一の局面におけるステータコアの製造方法では、上記のように、不活性ガスの雰囲気中で、積層コアおよびスパッタエッチング治具を、それぞれ、陰極および陽極として、積層コアの残留応力層を除去するように、積層コアのうちのスパッタエッチング用治具に対向する部分をスパッタエッチングするスパッタエッチング工程が行われる。これにより、積層コアのうちのスパッタエッチング用治具に対向する部分の残留応力層をスパッタエッチングにより除去することができる。また、上記一の局面におけるステータコアの製造方法では、上記のように、不活性ガスの雰囲気中で、積層コアおよびスパッタリング用治具を、それぞれ、陽極および陰極として、積層コアに絶縁被膜が形成されるように、スパッタリング用治具のうちのエッチング面(積層コアのうちのスパッタエッチングされた面)に対向する部分(絶縁性を有する材料から形成された部分)をスパッタリングして、スパッタリングされたスパッタ粒子をエッチング面に付着させるスパッタリング工程が行われる。これにより、エッチング面に対向する絶縁性を有する材料から形成された部分のスパッタリングにより、エッチング面に絶縁被膜を形成することができる。また、スパッタエッチング工程におけるスパッタエッチングと、スパッタリング工程におけるスパッタリングとは、同一の原理が用いられるので、それぞれの工程が行われる設備を容易に共通化することができる。これらの結果、製造設備が全体的に複雑化するのを防止しながら、積層コアの残留応力を除去することができるとともに、積層コアとスロット内に挿入されるコイル部との絶縁を確保することができる。また、スパッタエッチングにより残留応力層が除去されたエッチング面は、清浄度が上昇してスパッタ粒子の付着力が向上しているので、スパッタリングにより、絶縁被膜を高い付着力で剥離しにくい状態でエッチング面に形成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記のように、製造設備が全体的に複雑化するのを防止しながら、積層コアの残留応力を除去することが可能で、かつ、積層コアとスロット内に挿入されるコイル部との絶縁を確保することが可能なステータコアの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態によるステータの構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるステータの構成を示す拡大平面図である。
図3】本発明の一実施形態によるステータの製造フローを示す図である。
図4】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるコア形成工程を示す図である。
図5】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるスパッタエッチング用治具配置工程を示す1つ目の図である。
図6】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるスパッタエッチング用治具配置工程を示す2つ目の図である。
図7】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるスパッタエッチング工程を示す1つ目の図である。
図8】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるスパッタエッチング工程を示す2つ目の図である。
図9】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるスパッタエッチング工程を示す3つ目の図である。
図10】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるスパッタエッチング工程後の積層コアを示す図である。
図11】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるスパッタエッチング用治具退避工程を示す図である。
図12】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるスパッタリング用治具配置工程を示す1つ目の図である。
図13】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるスパッタリング用治具配置工程を示す2つ目の図である。
図14】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるスパッタリング工程を示す1つ目の図である。
図15】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるスパッタリング工程を示す2つ目の図である。
図16】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるスパッタリング工程を示す3つ目の図である。
図17】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるスパッタリング工程後の積層コアを示す図である。
図18】本発明の一実施形態によるステータの製造フローにおけるスパッタリング用治具退避工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
[ステータの構成]
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態によるステータコア10を備えるステータ100の構成について説明する。
【0014】
以下の説明では、ステータコア10(積層コア10a(図5参照)、積層コア10b(図12参照))の軸方向、径方向および周方向を、それぞれ、Z方向、R方向およびC方向とする。また、Z方向の一方側および他方側を、それぞれ、Z1側およびZ2側とする。また、R方向の一方側(内径側)および他方側(外径側)を、それぞれ、R1側およびR2側とする。
【0015】
図1に示すように、ステータ100は、ステータ100に対向するようにステータ100のR1側に配置されるロータ(図示しない)と共に、インナーロータ型の回転電機(図示しない)の一部を構成する。回転電機は、たとえば、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータである。
【0016】
図2に示すように、ステータ100は、ステータコア10と、コイル部20と、を備える。なお、図1では、コイル部20の図示を省略している。
【0017】
(ステータコアの構成)
図1に示すように、ステータコア10は、Z方向に沿った中心軸線90を中心軸とした円筒形状を有する。ステータコア10は、複数の電磁鋼板(たとえば、珪素鋼板)がZ方向に積層されることにより形成されている。複数の電磁鋼板の厚み(Z方向における大きさ)は、数百μm(たとえば、略300μm)である。
【0018】
ステータコア10は、円環状のバックヨーク11と、バックヨーク11からR1側に突出する複数のティース12と、を含む。そして、C方向に隣接するティース12同士の間には、各々、スロット13が形成されている。すなわち、ステータコア10は、複数のスロット13を含む。
【0019】
複数のスロット13の各々は、Z方向に延びるように設けられている。そして、複数のスロット13の各々は、ステータコア10において、Z方向の両側が開口するように形成されている。また、複数のスロット13の各々は、ステータコア10において、R1側が開口するように形成されている。
【0020】
Z方向に見て、ステータコア10の輪郭を構成する面のうちのR1側の面S(スロット13の内側面13a、および、ティース12のR方向における先端部12aのR1側の面)には、後述する絶縁被膜18(図17参照)が形成されている。絶縁被膜18の厚みは、要求される絶縁性能に応じて異なり、数μm~数百μmである。
【0021】
(コイル部の構成)
図2に示すように、コイル部20は、複数のスロット13の各々に収容される複数のスロット収容部を含む。また、図示しないが、コイル部20は、互いに異なるスロット13に収容されるスロット収容部同士を接続する複数のコイルエンド部を含む。コイル部20は、銅線から構成されている。コイル部20は、電源部(図示せず)から3相交流の電力が供給されることにより、磁束を発生させるように構成されている。
【0022】
[ステータの製造方法]
図2図18を参照して、本発明の一実施形態によるステータ100の製造方法について説明する。
【0023】
(コア形成工程)
まず、図3に示すように、ステップS1において、コア形成工程が行われる。図4に示すように、コア形成工程(S1)は、電磁鋼板が積層されるとともにR1側(内径側)に突出する複数のティース12と複数のティース12同士の間に形成される複数のスロット13とを含む積層コア10aを形成する工程である。
【0024】
コア形成工程(S1)では、電磁鋼板に対して打ち抜き加工が行われることによって、積層コア10aが形成される。このため、コア形成工程(S1)において、積層コア10aのせん断切り口部(バックヨーク11のR2側の端部11a、スロット13の近傍、および、ティース12の先端部12a)には残留応力層19(図9参照)が形成される。残留応力層19は、電磁鋼板の厚みの略1/2(たとえば、電磁鋼板の厚みが略300μmの場合は、略150μm)の厚みで等方的に形成される。
【0025】
コア形成工程(S1)におけるせん断切り口部のうち、スロット13の近傍、および、ティース12の先端部12aは、ステータコア10(ステータ100)が回転電機の一部として使用される際に磁束が多く流れる部分となる。このため、スロット13の近傍のおよびティース12の先端部12aの残留応力層19(図9参照)は、後述するスパッタエッチング工程(S3)(図3参照)における除去が要求される。
【0026】
(スパッタエッチング用治具配置工程)
次に、図3に示すように、ステップS2において、スパッタエッチング用治具配置工程が行われる。図5に示すように、スパッタエッチング用治具配置工程(S2)は、Z方向(軸方向)に見て、スパッタエッチング用治具200の少なくとも一部を、積層コア10aに対向するように配置する工程である。詳細には、スパッタエッチング用治具配置工程(S2)は、スパッタエッチング用治具200のうちの、複数の挿入部分210と、複数のティース12のR方向における先端部12aにそれぞれ対向する積層コア10aの(C方向に隣り合う挿入部分210同士を接続するように)C方向に延びる周方向延長部分220とを、それぞれ、複数のスロット13の内側面13aと、複数のティース12の先端部12aとに対向するように配置する工程である。
【0027】
具体的には、Z方向に見て、ティース12およびスロット13に沿った形状を有するスパッタエッチング用治具200が積層コア10aに対して配置される。そして、スパッタエッチング用治具200が積層コア10aに対して配置されると、スパッタエッチング用治具200の複数の挿入部分210および複数の周方向延長部分220は、それぞれ、積層コア10aの複数のスロット13の内側面13aおよび複数のティース12の先端部12aに対向した状態となる。なお、スパッタエッチング用治具200は、金属製である。
【0028】
また、スパッタエッチング用治具配置工程(S2)は、積層コア10aのスパッタエッチング用治具200に対向する部分OPとスパッタエッチング用治具200との距離D10が積層コア10aとスパッタエッチング用治具200とが対向する部分の全体に亘って同等になるようにスパッタエッチング用治具200を配置する工程である。具体的には、複数の挿入部分210と複数のスロット13の内側面13aとの距離D11が全体に亘って略同等になるようにスパッタエッチング用治具200の複数の挿入部分210が配置される。また、複数のティース12の先端部12aと複数の周方向延長部分220との距離D12が全体に亘って略同等になるようにスパッタエッチング用治具200の複数の周方向延長部分220が配置される。また、距離D11と距離D12とが略同等になるようにスパッタエッチング用治具200が配置される。
【0029】
また、スパッタエッチング用治具配置工程(S2)は、全周に亘ってR方向(径方向)に突出する複数の挿入部分210を含む櫛歯状のスパッタエッチング用治具200の全ての挿入部分210を、積層コア10aの全てのスロット13に一度に配置する工程である。具体的には、図6に示すように、真空チャンバ300内において、櫛歯状のスパッタエッチング用治具200が、Z方向に見て、複数の挿入部分210の全てが複数のスロット13内にオーバラップするように積層コア10aのZ1側に配置される。そして、櫛歯状のスパッタエッチング用治具200が、積層コア10aに対してZ2側に移動されることにより、複数の挿入部分210の各々が複数のスロット13に同時に挿入される。
【0030】
(スパッタエッチング工程)
次に、図3に示すように、ステップS3において、スパッタエッチング工程が行われる。図7図10に示すように、スパッタエッチング工程(S3)は、不活性ガスの雰囲気中で、積層コア10aおよびスパッタエッチング用治具200を、それぞれ、陰極および陽極として、積層コア10aの残留応力層19を除去するように、積層コア10aのうちのスパッタエッチング用治具200に対向する部分OP(複数のスロット13の内側面13a、および、複数のティース12の先端部12a)をスパッタエッチングする工程である。
【0031】
具体的には、図7に示すように、真空チャンバ300内に(積層コア10aの部分OPとスパッタエッチング用治具200とが対向するように)積層コア10aおよびスパッタエッチング用治具200が配置された状態で、真空ポンプにより、真空チャンバ300内の気体が排出(排気)されるとともに、Arガス供給部により、真空チャンバ300内にArガスが供給される。これにより、真空チャンバ300内が減圧された状態かつArガスで満たされた状態となる。そして、積層コア10aおよびスパッタエッチング用治具200を、それぞれ、陰極および陽極として、積層コア10aとスパッタエッチング用治具200との間に電圧が印加される。これにより、図8に示すように、積層コア10aとスパッタエッチング用治具200との間において生じた放電現象により、Arガスがイオン化される(Arイオン310となる)。そして、Arイオン310(陽イオン)は、加速しながら積層コア10aのスパッタエッチング用治具200に対向する部分OP(陰極)に向かう。
【0032】
そして、図9に示すように、Arイオン310は、積層コア10aのスパッタエッチング用治具200に対向する部分OPの残留応力層19の原子または分子に衝突する。これにより、Arイオン310による運動エネルギーにより、残留応力層19の原子または分子が、弾き出される(放出される)。これにより、図10に示すように、残留応力層19が除去された(スパッタエッチングされた)エッチング面ESを有する積層コア10bが形成される。なお、弾き出された原子または分子(スパッタエッチングされたスパッタ粒子19a(図9参照))は、スパッタエッチング用治具200(図8参照)に向かった後、スパッタエッチング用治具200のうちのエッチング面ESに対向する部分200a(図8参照)に付着する。
【0033】
これにより、積層コア10aのうちのスパッタエッチング用治具200に対向する部分OPの残留応力層19をスパッタエッチングにより除去することができる(効果1)。また、スパッタエッチングにより残留応力層19が除去されたエッチング面ESは、清浄度が上昇して後述するスパッタ粒子430(図17参照)の付着力が向上しているので、後述するスパッタリング工程(S7)(図3参照)において、スパッタリングにより、絶縁被膜18(図17参照)を高い付着力で剥離しにくい状態でエッチング面ESに形成することができる。
【0034】
また、図8に示すように、スパッタエッチング工程(S3)は、残留応力層19(図9参照)を除去するように、積層コア10aとスパッタエッチング用治具200との間で放電される時間(条件1)、積層コア10aとスパッタエッチング用治具200との間に印加される電圧(条件2)、不活性ガス(Arガス)の雰囲気中の不活性ガス(Arガス)の密度(条件3)、および、積層コア10aのスパッタエッチング用治具200に対向する部分OPとスパッタエッチング用治具200との距離D10(条件4)のうちの少なくとも1つが調整された状態で、積層コア10aのうちのスパッタエッチング用治具200に対向する部分OPをスパッタエッチングする工程である。たとえば、上記の条件1、条件2、条件3および条件4が調整されることにより、それぞれ、スパッタエッチングが行われる時間、Arイオン310の運動エネルギー、放電によるArイオン310の生成数、および、Arイオン310の残留応力層19への衝突速度が調整される。これにより、積層コア10aのうちのスパッタエッチング用治具200に対向する部分OPにおける残留応力層19の状態(たとえば、厚み)に応じて、上記の4つの条件(条件1~4)のうちの任意の幾つかが調整されることにより、積層コア10aのうちのスパッタエッチング用治具200に対向する部分OPに対して、残留応力層19が過不足なく除去されるように適切にスパッタエッチングを行うことができる。
【0035】
また、上記の4つの条件(条件1~4)のうちの任意の幾つかが調整されることにより、エッチング面ESの粗さも調整することができる。エッチング面ESを粗く(凹凸形状に)した場合は、後述するスパッタリング工程(S7)(図3参照)において、スパッタ粒子430(図16参照)がエッチング面ES(図16参照)へ付着する際のアンカー効果を向上させることができる。また、エッチング面ESを平坦にした場合は、後述するスパッタリング工程(S7)(図3参照)後の絶縁被膜18(図17参照)も平坦になる。したがって、後述するコイル部配置工程(S10)(図3参照)において、コイル部20(図2参照)をスロット13(図2参照)内に配置(挿入)する際に、絶縁被膜18がコイル部20の被膜を傷付けるのを防止することができる。
【0036】
(スパッタエッチング用治具退避工程)
次に、図3に示すように、ステップS4において、スパッタエッチング用治具退避工程が行われる。図11に示すように、スパッタエッチング用治具退避工程(S4)は、スパッタエッチング用治具200をZ1側(軸方向における一方側)に退避させる工程である。具体的には、真空チャンバ300内において、積層コア10bのエッチング面ESと櫛歯状のスパッタエッチング用治具200とが対向した状態から、積層コア10bのエッチング面ESと櫛歯状のスパッタエッチング用治具200とが対向しない状態となるまで、スパッタエッチング用治具200がZ1側に移動される。
【0037】
(スパッタエッチング用治具メンテナンス工程)
次に、図3に示すように、ステップS5において、スパッタエッチング用治具メンテナンス工程が行われる。スパッタエッチング用治具メンテナンス工程(S5)は、所定の回数のスパッタエッチング工程(S3)の後に、積層コア10a(図9参照)のスパッタエッチングされたスパッタ粒子19a(図9参照)が付着したスパッタエッチング用治具200(図8参照)の表面のクリーニングまたはスパッタエッチング用治具200の交換を行う工程である。なお、スパッタエッチング用治具メンテナンス工程(S5)は、1回のスパッタエッチング工程(S3)毎に毎回行ってもよいし、複数回(2回以上)のスパッタエッチング工程(S3)毎に行ってもよい(スパッタエッチング工程(S3)毎に毎回行なわなくてもよい)。
【0038】
(スパッタリング用治具配置工程)
次に、ステップS6において、スパッタリング用治具配置工程が行われる。図12に示すように、スパッタリング用治具配置工程(S6)は、Z方向(軸方向)に見て、スパッタエッチングされたエッチング面ESに対向する部分400aが絶縁性を有する材料から形成されたスパッタリング用治具400を、エッチング面ESに対向するように配置する工程である。なお、スパッタリング用治具400は、金属製であり、スパッタリング用治具400のうちの少なくともエッチング面ESと対向する部分400aは、絶縁性(電気抵抗値)が高い金属(Ta、Al等)から構成されている。
【0039】
また、スパッタリング用治具配置工程(S6)は、複数のスロット13内にそれぞれ挿入される複数の挿入部分410を含むスパッタリング用治具400の挿入部分410を、エッチング面ESとしての複数のスロット13の内側面13aに対向するように配置する工程である。また、スパッタリング用治具配置工程(S6)は、スパッタリング用治具400のうちの、複数の挿入部分410と、複数のティース12のR方向(径方向)における先端部12aにそれぞれ対向する積層コア10bの(C方向に隣り合う挿入部分410同士を接続するように)C方向(周方向)に延びる周方向延長部分420とを、それぞれ、複数のスロット13の内側面13aと、複数のティース12の先端部12aとに対向するように配置する工程である。
【0040】
具体的には、Z方向に見て、ティース12およびスロット13に沿った形状を有するスパッタリング用治具400が積層コア10bに対して配置される。そして、スパッタリング用治具400が積層コア10bに対して配置されると、スパッタリング用治具400の複数の挿入部分410および複数の周方向延長部分420は、それぞれ、積層コア10bの複数のスロット13の内側面13aおよび複数のティース12の先端部12aに対向した状態となる。これにより、スパッタリング用治具400を、積層コア10bのうちの複数のスロット13の内側面13aおよび複数のティース12の先端部12aに確実に対向させた状態で、後述するスパッタリング工程(S7)(図3参照)を行うことができる。
【0041】
また、図13に示すように、スパッタリング用治具配置工程(S6)は、スパッタリング用治具400をZ2側(軸方向における他方側)から移動させることにより、Z方向(軸方向)に見て、スパッタリング用治具400をエッチング面ES(図12参照)に対向するように配置する工程である。具体的には、真空チャンバ300内において、櫛歯状のスパッタリング用治具400が、Z方向に見て、複数の挿入部分410の全てが複数のスロット13内にオーバラップするように積層コア10bのZ2側に配置される。そして、櫛歯状のスパッタリング用治具400が、積層コア10bに対してZ1側に移動されることにより、複数の挿入部分410の各々が複数のスロット13に同時に挿入される。これにより、スパッタリング用治具400が、スパッタエッチング用治具退避工程(S4)におけるスパッタエッチング用治具200(図11参照)の退避方向(Z1側)とは逆方向(Z2側)から移動されるので、スパッタリング用治具400を、スパッタリング用治具400と干渉することなく、エッチング面ES(図12参照)に対向するように容易にかつ比較的短時間で配置することができる。
【0042】
また、図12に示すように、スパッタリング用治具配置工程(S6)は、エッチング面ESとスパッタリング用治具400との距離D20がエッチング面ESとスパッタリング用治具400とが対向する部分の全体に亘って略等しくなるようにスパッタリング用治具400を配置する工程である。具体的には、複数の挿入部分410と複数のスロット13の内側面13aとの距離D21が全体に亘って略同等になるようにスパッタリング用治具400の複数の挿入部分410が配置される。また、複数のティース12の先端部12aと複数の周方向延長部分420との距離D22が全体に亘って略同等になるようにスパッタリング用治具400の複数の周方向延長部分420が配置される。また、距離D21と距離D22とが略同等になるようにスパッタリング用治具400が配置される。これにより、後述するスパッタリング工程(S7)(図3参照)において、スパッタリング用治具400のうちのエッチング面ESに対向する(絶縁性を有する材料から形成された)部分400aの全体に亘って均一にスパッタリングすることができるので、エッチング面ESに対向する部分400aの全体に亘って均一なスパッタリングにより、エッチング面ESの全体に亘って均一に絶縁被膜18(図17参照)を形成することができる。
【0043】
(スパッタリング工程)
次に、図3に示すように、ステップS7においてスパッタリング工程が行われる。図14図17に示すように、スパッタリング工程(S7)は、不活性ガスの雰囲気中で、積層コア10bおよびスパッタリング用治具400を、それぞれ、陽極および陰極として、積層コア10bに絶縁被膜18が形成されるように、スパッタリング用治具400のうちのエッチング面ESに対向する部分400aをスパッタリングして、スパッタリングされたスパッタ粒子430をエッチング面ESに付着させる工程である。
【0044】
具体的には、図14に示すように、真空チャンバ300内に(積層コア10bのエッチング面ESとスパッタリング用治具400とが対向するように)積層コア10bおよびスパッタリング用治具400が配置された状態で、真空ポンプにより、真空チャンバ300内の気体が排出(排気)されるとともに、Arガス供給部により、真空チャンバ300内にArガスが供給される。これにより、真空チャンバ300内が減圧された状態かつArガスで満たされた状態となる。そして、積層コア10bおよびスパッタリング用治具400を、それぞれ、陽極および陰極として、積層コア10bとスパッタリング用治具400との間に電圧が印加される。これにより、図15に示すように、積層コア10bとスパッタリング用治具400との間において生じた放電現象により、Arガスがイオン化される(Arイオン310となる)。そして、Arイオン310(陽イオン)は、加速しながらスパッタリング用治具400のうちのエッチング面ESに対向する部分400a(陰極)に向かう。
【0045】
そして、図16に示すように、Arイオン310は、スパッタリング用治具400のうちのエッチング面ESに対向する部分400aの(表面の)原子または分子に衝突する。これにより、Arイオン310による運動エネルギーにより、部分400aの(表面の)原子または分子が、弾き出される(放出される)。そして、弾き出された原子または分子(スパッタリングされたスパッタ粒子430)は、積層コア10bに向かった後、積層コア10bのうちのエッチング面ESに付着する。これにより、図17に示すように、所定量のスパッタ粒子430が付着して絶縁被膜18が形成された面S(複数のスロット13(図2参照)の内側面13a(図2参照)、および、複数のティース12(図2参照)の先端部12a(図2参照)のR1側の面)を有するステータコア10(図2参照)が形成される。
【0046】
これにより、エッチング面ES(図16参照)に対向する絶縁性を有する材料から形成された部分400a(図16参照)のスパッタリングにより、エッチング面ESに絶縁被膜18を形成することができる(効果2)。また、スパッタエッチング工程(S3)(図3参照)におけるスパッタエッチングと、スパッタリング工程(S7)におけるスパッタリングとは、同一の原理が用いられるので、それぞれの工程が行われる設備を容易に共通化することができる(効果3)。これら(上記の効果1~3)の結果、製造設備が全体的に複雑化するのを防止しながら、図9に示すように、積層コア10aの残留応力を除去することができるとともに、図2に示すように、積層コア10b(ステータコア10)とスロット13内に挿入されるコイル部20との絶縁を確保することができる。
【0047】
また、図7および図14に示すように、スパッタリング工程(S7)は、スパッタリング工程(S3)と同一の真空チャンバ300内において行われる。これにより、スパッタエッチング工程(S3)とスパッタリング工程(S7)とが、共通の設備(真空チャンバ300)で行われるので、製造設備が全体的に複雑化するのを確実に防止することができる。また、スパッタエッチング工程(S3)とスパッタリング工程(S7)とが、各々、専用の設備で行われる場合と比較して、複数の設備間で積層コア10bを移動する必要がないので、製造工程の全体的な時間を短縮することができる。
【0048】
また、スパッタリング工程(S7)は、スパッタエッチング工程(S3)と同一の真空チャンバ300内において、積層コア10bが、スパッタエッチング工程(S3)における陰極からスパッタリング工程(S7)における陽極に変わるように、スパッタエッチング工程(S3)における印加電圧を逆転した状態で行われる。これにより、スパッタリング工程(S7)がスパッタリング工程(S3)と同一の真空チャンバ300内において行われる場合でも、スパッタエッチング工程(S3)におけるスパッタエッチングを、積層コア10aおよびスパッタエッチング用治具200を、それぞれ、陰極および陽極として行った後、スパッタリング工程(S7)におけるスパッタリングを、積層コア10bおよびスパッタリング用治具400を、それぞれ、陽極および陰極として容易に行うことができる。
【0049】
また、図15に示すように、スパッタリング工程(S7)は、積層コア10bに絶縁被膜18(図17参照)が形成されるように、積層コア10bとスパッタリング用治具400との間で放電される時間(条件1)、積層コア10bとスパッタリング用治具400との間に印加される電圧(条件2)、不活性ガス(Arガス)の雰囲気中の不活性ガス(Arガス)の密度、および、エッチング面ESとスパッタリング用治具400との距離D20(条件4)のうちの少なくとも1つが調整された状態で、エッチング面ESに対向する部分400aをスパッタリングして、スパッタ粒子430(図17参照)をエッチング面ESに付着させる工程である。たとえば、上記の条件1、条件2、条件3および条件4が調整されることにより、それぞれ、スパッタエッチングが行われる時間、Arイオン310の運動エネルギー、放電によるArイオン310の生成数、および、Arイオン310のエッチング面ESに対向する部分400aへの衝突速度が調整される。これにより、ステータコア10の面S(図17参照)(スロット13(図2参照)の内側面13a(図2参照)、および、ティース12(図2参照)の先端部12a(図2参照)のR1側の面)に要求される絶縁被膜18の厚みに応じて、上記の4つの条件(条件1~4)のうちの任意の幾つかが調整されることにより、エッチング面ESに対して、絶縁被膜18が過不足なく形成されるように適切にスパッタリングを行うことができる。
【0050】
(スパッタリング用治具退避工程)
次に、図3に示すように、ステップS8において、スパッタリング用治具退避工程が行われる。図18に示すように、スパッタリング用治具退避工程(S8)は、スパッタリング用治具400をZ2側(軸方向における他方側)に退避させる工程である。具体的には、真空チャンバ300内において、ステータコア10の面S(複数のスロット13の内側面13a、および、複数のティース12の先端部12a)と櫛歯状のスパッタリング用治具400とが対向した状態から、ステータコア10の面Sと櫛歯状のスパッタリング用治具400とが対向しない状態となるまで、スパッタリング用治具400がZ2側に移動される。
【0051】
(スパッタリング用治具メンテナンス工程)
次に、図3に示すように、ステップS9において、スパッタリング用治具メンテナンス工程が行われる。スパッタリング用治具メンテナンス工程(S9)は、所定の回数のスパッタリング工程(S7)の後に、積層コア10b(図16参照)に対向する部分400a(図16参照)がスパッタリングされたスパッタリング用治具400(図16参照)の交換を行う工程である。なお、スパッタリング用治具メンテナンス工程(S9)は、1回のスパッタリング工程(S7)毎に毎回行ってもよいし、複数回(2回以上)のスパッタリング工程(S7)毎に行ってもよい(スパッタリング工程(S7)毎に毎回行なわなくてもよい)。
【0052】
(コイル部配置工程)
次に、図3に示すように、ステップS10において、コイル部配置工程が行われる。図2に示すように、コイル部配置工程(S10)は、ステータコア10のスロット13内にコイル部20が配置される工程である。
【0053】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0054】
たとえば、上記実施形態では、スパッタリング用治具配置工程(S6)において、複数の挿入部分410の各々が複数のスロット13に同時に挿入される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタリング用治具配置工程において、複数の挿入部分が、複数のスロットに、それぞれの挿入部分毎に異なるタイミングで個別に挿入されてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、スパッタリング用治具配置工程(S6)において、複数の挿入部分410と複数のスロット13の内側面13aとの距離D21が全体に亘って略同等になるようにスパッタリング用治具400の複数の挿入部分410が配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタリング用治具配置工程において、複数の挿入部分と複数のスロットの内側面との距離が全体に亘って略同等にならない(互いに異なる部分を含む)ようにスパッタリング用治具の複数の挿入部分が配置されてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、スパッタリング用治具配置工程(S6)において、複数のティース12の先端部12aと複数の周方向延長部分420との距離D22が全体に亘って略同等になるようにスパッタリング用治具400の複数の周方向延長部分420が配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタリング用治具配置工程において、複数のティースの先端部と複数の周方向延長部分との距離が全体に亘って略同等にならない(互いに異なる部分を含む)ようにスパッタリング用治具の複数の周方向延長部分が配置されてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、スパッタリング用治具配置工程(S6)において、複数の挿入部分410と複数のスロット13の内側面13aとの距離D21と、複数のティース12の先端部12aと複数の周方向延長部分420との距離D22とが略同等になるようにスパッタリング用治具400が配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタリング用治具配置工程において、複数の挿入部分と複数のスロットの内側面との距離と、複数のティースの先端部と複数の周方向延長部分との距離とが異なるようにスパッタリング用治具が配置されてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、スパッタリング用治具配置工程(S6)が、エッチング面ESとスパッタリング用治具400との距離D20がエッチング面ESとスパッタリング用治具400とが対向する部分の全体に亘って等しくなるようにスパッタリング用治具400を配置する工程である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタリング用治具配置工程が、エッチング面とスパッタリング用治具との距離がエッチング面とスパッタリング用治具とが対向する部分の全体に亘って同等にならない(互いに異なる部分を含む)ようにスパッタリング用治具を配置する工程であってもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、スパッタリング用治具配置工程(S6)が、スパッタリング用治具400のうちの、複数の挿入部分410と、複数のティース12のR方向(径方向)における先端部12aにそれぞれ対向する積層コア10bのC方向(周方向)に延びる周方向延長部分420とを、それぞれ、複数のスロット13の内側面13aと、複数のティース12の先端部12aとに対向するように配置する工程である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタリング用治具配置工程が、複数のスロットの内側面に対向する複数の挿入部分を含み、複数のティースの先端部に対向する周方向延長部分を含まないスパッタリング用治具を積層コアに対向するように配置する工程であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、スパッタエッチング用治具退避工程(S4)が、スパッタエッチング用治具200をZ1側(軸方向における一方側)に退避させる工程であり、スパッタリング用治具配置工程(S6)が、スパッタリング用治具400をZ2側(軸方向における他方側)から移動させることにより、Z方向(軸方向)に見て、スパッタリング用治具400をエッチング面ESに対向するように配置する工程である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタエッチング用治具退避工程が、スパッタエッチング用治具を軸方向における他方側に退避させる工程であり、スパッタリング用治具配置工程が、スパッタリング用治具を軸方向における一方側から移動させることにより、軸方向に見て、スパッタリング用治具をエッチング面に対向するように配置する工程であってもよい。また、スパッタエッチング用治具退避工程が、スパッタエッチング用治具に対して積層コアを軸方向における一方側または他方側に退避させる工程であり、スパッタリング用治具配置工程が、スパッタリング用治具に対して積層コアを軸方向における他方側または一方側から移動させることにより、軸方向に見て、スパッタリング用治具をエッチング面に対向するように配置する工程であってもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、スパッタリング工程(S7)が、スパッタリング工程(S3)と同一の真空チャンバ300内において行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタリング工程が、スパッタリング工程とは別個の真空チャンバ内において行われてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、スパッタエッチング用治具配置工程(S2)が、全周に亘ってR方向(径方向)に突出する複数の挿入部分210を含む櫛歯状のスパッタエッチング用治具200の全ての挿入部分210を、積層コア10aの全てのスロット13に一度に配置する工程である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタエッチング用治具配置工程が、櫛歯状のスパッタエッチング用治具の複数の挿入部分を、積層コアの複数のスロットに、それぞれの挿入部分毎に異なるタイミングで個別に配置する工程であってもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、スパッタエッチング用治具配置工程(S2)において、複数の挿入部分210と複数のスロット13の内側面13aとの距離D11が全体に亘って略同等になるようにスパッタエッチング用治具200の複数の挿入部分210が配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタエッチング用治具配置工程において、複数の挿入部分と複数のスロットの内側面との距離が全体に亘って略同等にならない(互いに異なる部分を含む)ようにスパッタエッチング用治具の複数の挿入部分が配置されてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、スパッタエッチング用治具配置工程(S2)において、複数のティース12の先端部12aと複数の周方向延長部分220との距離D12が全体に亘って略同等になるようにスパッタエッチング用治具200の複数の周方向延長部分220が配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタエッチング用治具配置工程において、複数のティースの先端部と複数の周方向延長部分との距離が全体に亘って略同等にならない(互いに異なる部分を含む)ようにスパッタエッチング用治具の複数の周方向延長部分が配置されてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、スパッタエッチング用治具配置工程(S2)において、複数の挿入部分210と複数のスロット13の内側面13aとの距離D11と、複数のティース12の先端部12aと複数の周方向延長部分220との距離D12とが略同等になるようにスパッタエッチング用治具200が配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタエッチング用治具配置工程において、複数の挿入部分と複数のスロットの内側面との距離と、複数のティースの先端部と複数の周方向延長部分との距離とが異なるようにスパッタエッチング用治具が配置されてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、スパッタエッチング用治具配置工程(S2)が、積層コア10aのスパッタエッチング用治具200に対向する部分OPとスパッタエッチング用治具200との距離D10が積層コア10aとスパッタエッチング用治具200とが対向する部分の全体に亘って同等になるようにスパッタエッチング用治具200を配置する工程である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタエッチング用治具配置工程が、積層コアのスパッタエッチング用治具に対向する部分とスパッタエッチング用治具との距離が積層コアとスパッタエッチング用治具とが対向する部分の全体に亘って同等にならない(互いに異なる部分を含む)ようにスパッタエッチング用治具を配置する工程であってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、スパッタエッチング用治具配置工程(S2)が、スパッタエッチング用治具200のうちの、複数の挿入部分210と、複数のティース12のR方向(径方向)における先端部12aにそれぞれ対向する積層コア10aのC方向(周方向)に延びる周方向延長部分220とを、それぞれ、複数のスロット13の内側面13aと、複数のティース12の先端部12aとに対向するように配置する工程である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタエッチング用治具配置工程が、複数のスロットの内側面に対向する複数の挿入部分を含み、複数のティースの先端部に対向する部分を含まないスパッタエッチング用治具を積層コアに対向するように配置する工程であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、スパッタエッチング用治具メンテナンス工程(S5)が、スパッタエッチング用治具退避工程(S4)の後に、かつ、スパッタリング用治具配置工程(S6)の前に行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタエッチング用治具メンテナンス工程が、スパッタエッチング用治具退避工程の後のいずれのタイミングで行われてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、スパッタリング用治具メンテナンス工程(S9)が、スパッタリング用治具退避工程(S8)の後に、かつ、コイル部配置工程(S10)の前に行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スパッタリング用治具メンテナンス工程が、スパッタリング用治具退避工程の後のいずれのタイミングで行われてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、特許請求の範囲の「不活性ガス」として、Arガスを適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、特許請求の範囲の「不活性ガス」として、Arガス以外の不活性ガス(たとえば、He、Ne、N、CO等)を適用してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、特許請求の範囲の「ステータコア」を、インナーロータ型の回転電機の一部を構成するステータ100が備えるステータコア10に対して適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、特許請求の範囲の「ステータコア」を、アウターロータ型の回転電機の一部を構成するステータが備えるステータコアに対して適用してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10a、10b…積層コア、12…ティース、13…スロット、13a…(スロットの)内側面、18…絶縁被膜、19…(積層コアの)残留応力層、100…ステータコア、300…真空チャンバ、200…スパッタエッチング用治具、400…スパッタリング用治具、400a…(スパッタリング用治具のうちの)エッチング面に対向する部分、410…(スパッタリング用治具の)挿入部分、430…スパッタ粒子、ES…エッチング面,OS…(積層コアのうちのスパッタエッチング用治具に対向する)部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17
図18