(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171137
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】無線電力伝送システム、及び無線電力伝送方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20221104BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20221104BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20221104BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221104BHJP
H04B 5/02 20060101ALI20221104BHJP
H04B 7/06 20060101ALN20221104BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/80
H02J50/20
H02J7/00 301D
H04B5/02
H04B7/06 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077582
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 あや
(72)【発明者】
【氏名】谷 博之
(72)【発明者】
【氏名】田中 勇気
【テーマコード(参考)】
5G503
5K012
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB09
5K012AC08
5K012AC10
5K012AE13
(57)【要約】
【課題】送電機が通信機能を有していない場合でも、送電機から送信される電力波の伝送効率を向上させることができる無線電力伝送システム、及び無線電力伝送方法を提供する。
【解決手段】無線電力伝送システムは、電力波を送信する送電機と、前記電力波を受信する1又は複数の受電機と、を備え、前記送電機は、前記送電機の位置と、前記受電機から送信された電力波を受信するアンテナの向きとの少なくとも一方を調整しながら、前記受電機から送信される電力波の強度を測定し、測定した電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で電力波を前記受電機に送信する制御部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力波を送信する送電機と、
前記電力波を受信する1又は複数の受電機と、
を備え、
前記送電機は、前記送電機の位置と、前記受電機から送信された電力波を受信するアンテナの向きとの少なくとも一方を調整しながら、前記受電機から送信される電力波の強度を測定し、測定した電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で電力波を前記受電機に送信する制御部を備える、
無線電力伝送システム。
【請求項2】
前記送電機は、前記受電機から送信される電力波を受信する第1状態と、測定した電力波の強度が所定の値を超えた場合、前記受電機に電力波を送信する第2状態とを切り替える第1スイッチ部をさらに備える、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項3】
前記受電機は、前記送電機に電力波を送信する第3状態と、前記送電機から送信される電力波を受信する第4状態とを切り替える第2スイッチ部をさらに備える、請求項1又は2に記載の無線電力伝送システム。
【請求項4】
複数の前記受電機の1つである第1受電機と、複数の前記受電機の他の1つである第2受電機とが、予め設定された順に従い一定時間ごとに電力波を送信する場合、
前記制御部は、
前記第1受電機から送信される電力波の強度を一定時間に測定して、測定した当該電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で、電力波を前記第1受電機に送信し、
前記第1受電機から送信される電力波の強度の測定が完了した後、前記第2受電機から送信される電力波の強度を一定時間に測定して、測定した当該電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で、電力波を前記第2受電機に送信する、請求項1から3の何れか一項に記載の無線電力伝送システム。
【請求項5】
複数の前記受電機の1つである第1受電機が前記送電機に電力波を送信する場合、複数の前記受電機の他の1つである第2受電機は、前記送電機から送信される電力波を受信し、
前記第2受電機が前記送電機に電力波を送信する場合、前記第1受電機は、前記送電機から送信される電力波を受信する、請求項1から3の何れか一項に記載の無線電力伝送システム。
【請求項6】
1又は複数の受電機から送信される電力波を受信する送電機が、前記送電機の位置と、前記受電機から送信された電力波を受信するアンテナの向きとの少なくとも一方を調整しながら、前記受電機から送信される電力波の強度を測定するステップと、
前記電力波の強度を測定した前記送電機が、測定した電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で電力波を前記受電機に送信するステップと、
を含む無線電力伝送方法。
【請求項7】
複数の前記受電機の1つである第1受電機と、複数の前記受電機の他の1つである第2受電機とが、予め設定された順に従い一定時間ごとに電力波を送信する場合、
前記第1受電機から送信される電力波の強度を一定時間に測定して、測定した当該電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で、電力波を前記第1受電機に送信するステップと、
前記第1受電機から送信される電力波の強度の測定が完了した後、前記第2受電機から送信される電力波の強度を一定時間に測定して、測定した当該電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で、電力波を前記第2受電機に送信するステップと、
をさらに含む、請求項6に記載の無線電力伝送方法。
【請求項8】
複数の前記受電機の1つである第1受電機が前記送電機に電力波を送信する場合、複数の前記受電機の他の1つである第2受電機が前記送電機から送信される電力波を受信し、前記第2受電機が前記送電機に電力波を送信する場合、前記第1受電機は、前記送電機から送信される電力波を受信するステップをさらに含む、請求項6に記載の無線電力伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線電力伝送システム、及び無線電力伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無線端末との通信機能を有する基地局が、所定の送信強度を満たすようにアンテナの指向性を制御することにより、基地局の無線端末に対する送信電力の伝送効率を向上させる技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されている基地局は通信機能を有し、当該通信機能により無線端末から送信されたアップリンク信号を受信し、当該アップリンク信号の受信強度に基づき、無線端末との伝送喪失が最小となる方向を特定する。さらに、当該基地局は、特定した伝搬損失に所定のSNR(Signal to Noise Ratio)を加算することで算出した値に基づき、当該方向に対する電波の送信強度を設定し、設定した送信強度に基づいて基地局が備えているアンテナの指向性を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1の従来技術では、送電機である基地局に通信機能が必要なため、送電機が通信機能を有していない場合、送電機から送信される電力波の伝送効率を向上させるという要望に対応することができないという課題がある。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、送電機が通信機能を有していない場合でも送電機から送信される電力波の伝送効率を向上させることができる無線電力伝送システム、及び無線電力伝送方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施例に係る無線電力伝送システムは、電力波を送信する送電機と、前記電力波を受信する1又は複数の受電機と、を備え、前記送電機は、前記送電機の位置と、前記受電機から送信された電力波を受信するアンテナの向きとの少なくとも一方を調整しながら、前記受電機から送信される電力波の強度を測定し、測定した電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で電力波を前記受電機に送信する制御部を備える。
【0008】
本開示の一実施例に係る無線電力伝送方法は、1又は複数の受電機から送信される電力波を受信する送電機が、前記送電機の位置と、前記受電機から送信された電力波を受信するアンテナの向きとの少なくとも一方を調整しながら、前記受電機から送信される電力波の強度を測定するステップと、前記電力波の強度を測定した前記送電機が、測定した電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で電力波を前記受電機に送信するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施例によれば、送電機が通信機能を有していない場合でも、送電機から送信される電力波の伝送効率を向上させることができる無線電力伝送システム、及び無線電力伝送方法を提供できる。
【0010】
本開示の一実施例における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/又は効果は、いくつかの実施の形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つ又はそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態に係る無線電力伝送システム100の構成例を示す図
【
図4】無線電力伝送システム100の動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
(実施の形態)
まず、本開示に係る実施の形態を創作するに至った背景について説明する。
【0014】
特許文献1には、無線端末との通信機能を有する基地局が、所定の送信強度を満たすようにアンテナの指向性を制御することにより、基地局の無線端末に対する送信電力の伝送効率を向上させる技術が開示されている。
【0015】
特許文献1に開示されている基地局は通信機能を有し、当該通信機能により無線端末から送信されたアップリンク信号を受信し、当該アップリンク信号の受信強度に基づき、無線端末との伝送喪失が最小となる方向を特定する。さらに、当該基地局は、特定した伝搬損失に所定のSNR(Signal to Noise Ratio)を加算することで算出した値に基づき、当該方向に対する電波の送信強度を設定し、設定した送信強度に基づいて基地局が備えているアンテナの指向性を制御する。
【0016】
しかしながら特許文献1の従来技術では、送電機である基地局に通信機能が必要なため、送電機が通信機能を有していない場合、送電機から送信される電力波の伝送効率を向上させるという要望に対応することができないという課題がある。
【0017】
このようなことから、送電機が通信機能を有していない場合でも送電機から送信される電力波の伝送効率を向上させることが望まれる。以下、本開示に係る実施の形態について説明する。
【0018】
[実施の形態]
(無線電力伝送システム100の構成例)
図1は本開示の実施の形態に係る無線電力伝送システム100の構成例を示す図である。無線電力伝送システム100は、複数の受電機202に電力波201aを送信する送電機201と、それぞれが電力波201aを受信する複数の受電機202とを備える。無線電力伝送システム100は、送電モード及び調整モードを有する。
【0019】
なお、無線電力伝送システム100は、複数の受電機202に代えて、1つの受電機202を備えるものでもよい。
【0020】
(送電モード)
送電モードは、送電機201から受電機202に電力波201aを送信するモードである。送電モードでは、例えば、電力波201aを受信した1又は複数の受電機202が、不図示の負荷へ電力の供給を行う。負荷は、例えばIoT(Internet of Things)で活用されるセンサなどである。
【0021】
(調整モード)
調整モードは、送電機201から1又は複数の受電機202に送信される電力波201aの伝送効率が高くなるように、送電機201の位置と送電機201から放射される電力波の送信方向とを調整するモードである。
【0022】
調整モードでは、受電機202から放射された電力波202aが送電機201で受信され、送電機201がこの電力波202aの強度を測定して、測定した電力波202aの強度が高くなるように、送電機201の位置と電力波201aの送信方向とが調整される。なお、送電機201の位置と電力波201aの送信方向との調整方法に詳細に関しては後述する。
【0023】
(送電機201)
次に
図2を参照して送電機201の構成例について説明する。
図2は送電機201の構成例を示す図である。
【0024】
送電機201は、アンテナ301、発振部302、制御部303、電源部304、アンテナ305、受信部306、及び制御部307を備えている。
【0025】
(アンテナ301)
アンテナ301は、送電モードの場合、発振部302で生成された高周波電力を電力波201aとして放射する。
【0026】
アンテナ301の種類は、例えば、指向性アンテナ、無指向性アンテナなどである。特定の方向へ長距離送電したい場合には指向性アンテナが使用され、近距離で広い範囲に送電したい場合には無指向性アンテナが使用される。
【0027】
指向性アンテナには、例えば、誘電体基板をGND板とアンテナで挟んだ平面形状のパッチアンテナが使用される。無指向性アンテナには、電気を流す導線などを直線状に伸ばした線形状のダイポールアンテナ、モノポールアンテナが使用される。
【0028】
(発振部302)
発振部302は、例えば、水晶振動子、位相同期回路、増幅回路などで構成される電気回路を備え、当該電気回路により高周波電力を生成する。高周波電力の周波数帯は、例えば900MHz帯、2.45GHz帯、5.8GHz帯などのマイクロ波帯である。これらの周波数帯は、送電機201から、
図1に示す受電機202までの距離、送電機201のサイズなどに応じて選択される。
【0029】
(制御部303)
制御部303は、例えば、メモリ、CPU(Central Processing Unit)、通信デバイスなどの電気回路を備えており、当該電気回路により、送電モード時の高周波電力の送電量の制御、送電モード時の高周波電力の周波数帯の切り替えなどを行う。
【0030】
(電源部304)
電源部304は、例えば商用交流電源に基づき直流電力を生成する電力変換回路を備え、当該電力変換回路により、送電機201を動作させるための電力を供給する。
【0031】
(アンテナ305)
アンテナ305は、調整モードの場合、
図1に示す受電機202から送信される電力波202aを受信し、高周波電力として受信部306へ伝送する。アンテナ305の種類は、例えば、指向性アンテナ、無指向性アンテナなどである。
【0032】
(受信部306)
受信部306は、例えばインピーダンス整合回路、フィルタ回路などの回路を備え、当該回路により、アンテナ305のインピーダンスと制御部307のインピーダンスとを整合させる。また受信部306は、アンテナ305から伝送される高周波電力に含まれているノイズを除去し、ノイズを除去した高周波電力を制御部307へ伝送する。
【0033】
(制御部307)
制御部307は、例えば、メモリ、CPU、通信デバイスなどの電気回路を備えている。制御部307は、調整モードの場合、当該電気回路により、受信部306から伝送された高周波電力に基づき、電力波202aの強度を測定する。
【0034】
(第1調整方法)
制御部307は、調整モードの場合、送電機201を所定位置aから所定位置bまで移動させながら、所定値を超える電力波202aの強度の極大点を1又は複数測定する。
【0035】
送電機201の移動は、例えば、制御部307が不図示の3軸ステージを制御することにより実行される。3軸ステージによる送電機201の移動速度、移動量などは任意に設定可能である。
【0036】
制御部307は、送電機201が移動するとき、所定値を超える電力波202aの強度の極大点が測定された場合、複数のそれぞれの極大点に対して、電力波202aの受信時刻から近い順に「1」、「2」などの番号を付与する。当該番号は、送電機201の移動位置を識別するために付与される。
【0037】
制御部307は、当該番号が付与されたときの3軸ステージ上における送電機201の位置を示すデータと、電力波202aの強度を示すデータとを、当該番号に対応付け、対応情報として制御部303に送信する。なお、送電機201の位置を示すデータは、例えば、3軸ステージをPWM制御で駆動するモータのPWM信号に基づき算出される。
【0038】
(送電モード時)
制御部307から送信された対応情報を受信した制御部303は、送電モードの場合、当該対応情報に基づき、所定値を超える電力波202aの強度の極大点の内、例えば、強度が最も高い値を示したときの送電機201の位置を設定する。
【0039】
その後、制御部303は、3軸ステージのモータを制御することにより、送電機201の位置を、上記の設定された位置に移動した後、発振部302を制御することによって電力波201aを放射させる。
【0040】
これにより、送電機201が受電機202との無線通信機能を有していない場合でも、送電機201から送信される電力波201aの受電機202への伝送効率を向上させることができる。
【0041】
(第2調整方法)
制御部307は、調整モードの場合、送電機201を移動させる代わりに、例えば、アンテナ305の向きを変化させながら、所定値を超える電力波202aの強度の極大点を測定してもよい。
【0042】
この場合、例えば、制御部307が不図示のボール機構を制御することにより、アンテナ305の向きが変化する。ボール機構によるアンテナ305の回転方向、回転量などは任意に設定可能である。
【0043】
制御部307は、アンテナ305の向きを変化させるとき、所定値を超える電力波202aの強度の極大点が測定された場合、複数のそれぞれの極大点に対して、電力波202aの受信時刻から近い順に「1」、「2」などの番号を付与する。当該番号は、アンテナ305の向きを識別するために付与される。
【0044】
制御部307は、当該番号が付与されたときアンテナ305の向きを示すデータと、電力波202aの強度を示すデータとを、当該番号に対応付け、対応情報として制御部303に送信する。アンテナ305の向きを示すデータは、例えば、ボール機構をPWM制御で駆動するモータのPWM信号に基づき算出される。
【0045】
(送電モード時)
当該対応情報を受信した制御部303は、送電モードの場合、当該対応情報に基づき、所定値を超える電力波202aの強度の極大点の内、例えば、強度が最も高い値を示したときのアンテナ301の向きを設定する。
【0046】
その後、制御部303は、ボール機構のモータを制御することにより、アンテナ301の向きを、上記の設定された向きに調整した後、発振部302を制御することによって電力波201aを放射させる。
【0047】
これにより、送電機201が受電機202との無線通信機能を有していない場合でも、送電機201から送信される電力波201aの受電機202への伝送効率を向上させることができる。
【0048】
(第3調整方法)
なお、制御部307は、調整モードの場合、送電機201を移動させながらアンテナ305の向きを変化させることにより、所定値を超える電力波202aの強度の極大点を測定してもよい。
【0049】
これにより、送電機201が受電機202との無線通信機能を有していない場合でも、受電機202から送信される電力波202aの強度をより精度よく測定することができる。従って、送電機201から送信される電力波201aの受電機202への伝送効率をより一層向上させることができる。
【0050】
(受電機202)
次に
図3を参照して受電機202の構成例について説明する。
図3は受電機202の構成例を示す図である。
【0051】
受電機202は、アンテナ401、整流部402、制御部403、負荷404、アンテナ405、発振部406、電源部407、及び制御部408を備えている。
【0052】
(アンテナ401)
アンテナ401は、送電モードの場合、
図1に示す送電機201から送信される電力波201aを受信し、高周波電力として整流部402へ伝送する。アンテナ401の種類は、例えば、指向性アンテナ、無指向性アンテナなどである。
【0053】
(整流部402)
整流部402は、例えば、整流ダイオード、インピーダンス整合回路、フィルタ回路などによって構成され、アンテナ401が伝送された高周波電力を直流電力へ変換する。
【0054】
(制御部403)
制御部403は、送電モードの場合、整流部402から出力される直流電力の負荷404への供給制御を行う。
【0055】
(負荷404)
負荷404は、例えばIoTで活用されるセンサなどである。なお、負荷404はこれに限定されるものではない。
【0056】
(アンテナ405)
アンテナ405は、調整モードの場合、発振部403で生成された高周波電力を電力波202aとして放射する。アンテナ405の種類は、例えば、指向性アンテナ、無指向性アンテナなどである。
【0057】
(発振部406)
発振部406は、水晶振動子、位相同期回路、増幅回路などで構成される電気回路を備え、当該電気回路により高周波電力を生成する。高周波電力の周波数帯は、例えば900MHz帯、2.45GHz帯、5.8GHz帯などのマイクロ波帯である。これらの周波数帯は、受電機202から、
図1に示す送電機201までの距離、受電機202のサイズなどに応じて選択される。
【0058】
(電源部407)
電源部407は、受電機202を動作させるための電力を供給する蓄電池である。なお、電源部407は、蓄電池に限定されず、商用交流電源に基づき直流電力を生成する電力変換回路でもよいし、蓄電池と電力変換回路を組み合わせたものでもよい。
【0059】
(制御部408)
制御部408は、メモリ、CPU、通信デバイスなどの電気回路を備えており、当該電気回路により、調整モード時の高周波電力の送電量の制御、調整モード時の高周波電力の周波数帯の切り替えなどを行う。
【0060】
(無線電力伝送システム100の動作)
次に
図4を参照して無線電力伝送システム100の動作を説明する。
図4は無線電力伝送システム100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0061】
送電機201及び受電機202のそれぞれの電源がオンされたとき、
図4に示す処理が開始される。
【0062】
ステップS1において、無線電力伝送システム100は、送電機201及び受電機202の動作モードを調整モードに設定する。例えば、受電機202の電源がオンされた時点から一定時間経過するまで、送電機201及び受電機202の動作モードが調整モードに設定される。
【0063】
次にステップS2において、受電機202は、電力波202aの送信を開始し、ステップS3において、送電機201は、受電機202から送信された電力波202aの強度の測定を開始する。
【0064】
次にステップS4において、送電機201の所定範囲内での移動、アンテナ305の向きの変更などが実行されるとともに、前述した対応情報が生成される。
【0065】
次にステップS5において、送電機201の移動などが完了していない場合(ステップS5,NO)、送電機201の移動などが完了するまでステップS3以降の処理が繰り返される。
【0066】
送電機201の移動などが完了した場合(ステップS5,YES)、ステップS6において、無線電力伝送システム100は、送電機201及び受電機202のそれぞれの動作モードを調整モードから送電モードに切り替える。これにより受電機202の負荷への給電が行われる。
【0067】
次にステップS7において、無線電力伝送システム100は、送電機201及び受電機202のそれぞれ電源がオフされたか否かを判定する。
【0068】
送電機201及び受電機202のそれぞれの電源がオフされていない場合(ステップS7,NO)、ステップS2以降の処理が繰り返される。
【0069】
送電機201及び受電機202のそれぞれの電源がオフされた場合(ステップS7,YES)、無線電力伝送システム100は、一連の処理を終了する。
【0070】
なお、
図2に示す送電機201は以下のように構成してもよい。
図5及び
図6を参照して送電機201の他の構成例について説明する。
【0071】
(送電機201の他の構成例1)
図5は送電機201Aの構成例を示す図である。送電機201Aは、アンテナ301、発振部302、電源部304、アンテナ305、及び受信部306を備えている。
【0072】
また送電機201Aは、
図2に示す制御部303及び制御部307に代えて、第1スイッチ部309及び制御部308を備えている。
【0073】
(第1スイッチ部309)
第1スイッチ部309は、制御部308から送信される切替信号に基づき、制御部308の接続先を切り替える。第1スイッチ部309は、調整モードの場合、受電機202から送信される電力波202aを受信する第1状態と、送電機201Aが測定した電力波の強度が所定の値を超えた場合、受電機202に電力波201aを送信する第2状態とを切り替えるスイッチ部である。
【0074】
切替信号は、制御部308の接続先を受信部306から発振部302に切り替え、又は制御部308の接続先を発振部302から受信部306に切り替える信号である。切替信号は、例えば、制御部308によって生成される。
【0075】
例えば、調整モードの場合、制御部308の接続先を発振部302から受信部306に切り替える信号がされる。これにより、制御部308が第1スイッチ部309を介して受信部306に接続される。送電モードの場合、制御部308の接続先を受信部306から発振部302に切り替える信号が生成される。これにより、制御部308が第1スイッチ部309を介して発振部302に接続される。
【0076】
(制御部308)
制御部308は、メモリ、CPU、通信デバイスなどの電気回路を備えている。制御部308は、送電モード及び調整モードの何れかのモードに対応した切替信号を生成し、生成した切替信号を第1スイッチ部309に送信する。
【0077】
制御部308は、調整モードの場合、
図2に示す制御部307と同様に対応情報を生成する。制御部308は、送電モードの場合、
図2に示す制御部303と同様に、送電機201Aの位置、アンテナ301の向きなどを調整しながら電力波201aを放射させる。
【0078】
図5に示す送電機201Aによれば、メモリ、CPU、通信デバイスなどの数を削減しながら、調整モード及び送電モードのそれぞれのモードに対応した制御が可能である。
【0079】
(送電機の他の構成例2)
図6は送電機201Bの構成例を示す図である。送電機201Bは、発振部302、電源部304、及び受信部306を備えている。
【0080】
また送電機201Bは、
図2に示すアンテナ301、制御部303、アンテナ305、及び制御部307に代えて、アンテナ310、第1スイッチ部309A及び制御部308Aを備えている。
【0081】
(アンテナ310)
アンテナ310は、電力波201aの送信と電力波202aの受信とを行う送受信アンテナである。アンテナ310の種類は、例えば、指向性アンテナ、無指向性アンテナなどである。
【0082】
送電モードの場合、発振部302で生成された高周波電力が電力波201aとしてアンテナ310から放射され、調整モードの場合、アンテナ310で受信された電力波202aが高周波電力として受信部306へ伝送される。
【0083】
(第1スイッチ部309A)
第1スイッチ部309Aは、制御部308Aから送信される切替信号に基づき、アンテナ310の接続先を切り替える。第1スイッチ部309Aは、調整モードの場合、受電機202から送信される電力波202aを受信する第1状態と、送電機201Bが測定した電力波の強度が所定の値を超えた場合、受電機202に電力波201aを送信する第2状態とを切り替えるスイッチ部である。切替信号は、アンテナ310の接続先を受信部306から発振部302に切り替え、又はアンテナ310の接続先を発振部302から受信部306に切り替える信号である。
【0084】
例えば、送電モードの場合、アンテナ310の接続先を受信部306から発振部302に切り替える信号が生成される。これにより、アンテナ310が第1スイッチ部309Aを介して発振部302に接続される。調整モードの場合、アンテナ310の接続先を発振部302から受信部306に切り替える信号が生成される。これにより、アンテナ310が第1スイッチ部309Aを介して受信部306に接続される。
【0085】
(制御部308A)
制御部308Aは、メモリ、CPU、通信デバイスなどの電気回路を備えている。制御部308Aは、送電モード及び調整モードの何れかのモードに対応した切替信号を生成し、生成した切替信号を第1スイッチ部309Aに送信する。
【0086】
制御部308Aは、調整モードの場合、
図2に示す制御部307と同様に対応情報を生成する。制御部308Aは、送電モードの場合、
図2に示す制御部303と同様に、送電機201Bの位置、アンテナ310の向きなどを調整しながら電力波201aを放射させる。
【0087】
図6に示す送電機201Bによれば、メモリ、CPU、通信デバイスなどの数を削減しながら、調整モード及び送電モードのそれぞれのモードに対応した制御が可能である。また、送電機201Bは、1つのアンテナ310を備えているため、送電機201Bの構成が簡素化され、送電機201Bの信頼性を向上させることができる。
【0088】
なお、
図3に示す受電機202は以下のように構成してもよい。
図7及び
図8を参照して受電機202の他の構成例について説明する。
【0089】
(受電機202の他の構成例1)
図7は受電機202Aの構成例を示す図である。受電機202Aは、アンテナ401、整流部402、負荷404、アンテナ405、発振部406、及び電源部407を備えている。
【0090】
また送電機201Aは、
図3に示す制御部403及び制御部408に代えて、第2スイッチ部410及び制御部409を備えている。
【0091】
(第2スイッチ部410)
第2スイッチ部410は、制御部409から送信される切替信号に基づき、制御部409の接続先を切り替える。第2スイッチ部410は、調整モードの場合、送電機201に電力波202aを送信する第3状態と、送電機201から送信される電力波201aを受信する第4状態とを切り替えるスイッチ部である。切替信号は、制御部409の接続先を整流部402から発振部406に切り替え、又は制御部409の接続先を発振部406から整流部402に切り替える信号である。切替信号は、例えば、制御部409によって生成される。
【0092】
例えば、調整モードの場合、制御部409の接続先を整流部402から発振部406に切り替える信号が生成される。これにより、制御部409が第2スイッチ部410を介して発振部406に接続される。送電モードの場合、制御部409の接続先を発振部406から整流部402に切り替える信号が生成される。これにより、制御部409が第2スイッチ部410を介して整流部402に接続される。
【0093】
(制御部409)
制御部409は、メモリ、CPU、通信デバイスなどの電気回路を備えている。制御部409は、送電モード及び調整モードの何れかのモードに対応した切替信号を生成し、生成した切替信号を第2スイッチ部410に送信する。
【0094】
制御部409は、調整モードの場合、高周波電力の送電量の制御、高周波電力の周波数帯の切り替えなどを行うことにより、電力波202aを放射させる。制御部409は、送電モードの場合、整流部402から出力される直流電力の負荷404への供給制御を行う。
【0095】
図7に示す受電機202Aによれば、メモリ、CPU、通信デバイスなどの数を削減しながら、調整モード及び送電モードのそれぞれのモードに対応した制御が可能である。
【0096】
(受電機202の他の構成例2)
図8は受電機202Bの構成例を示す図である。受電機202Bは、整流部402、負荷404、発振部406、及び電源部407を備えている。
【0097】
また受電機202Bは、
図3に示すアンテナ401、アンテナ405、及び制御部408に代えて、制御部409A、第2スイッチ部410A及びアンテナ411を備えている。
【0098】
(アンテナ411)
アンテナ411は、電力波202aの送信と電力波201aの受信とを行う送受信アンテナである。アンテナ411の種類は、例えば、指向性アンテナ、無指向性アンテナなどである。
【0099】
送電モードの場合、アンテナ411で受信された電力波201aが高周波電力として整流部402へ伝送される。調整モードの場合、発振部406で生成された高周波電力が電力波202aとしてアンテナ411から放射される。
【0100】
(第2スイッチ部410A)
第2スイッチ部410Aは、制御部409Aから送信される切替信号に基づき、アンテナ411の接続先を切り替える。第2スイッチ部410Aは、調整モードの場合、送電機201に電力波202aを送信する第3状態と、送電機201から送信される電力波201aを受信する第4状態とを切り替えるスイッチ部である。切替信号は、アンテナ411の接続先を整流部402から発振部406に切り替え、又はアンテナ411の接続先を発振部406から整流部402に切り替える信号である。切替信号は、例えば、制御部409Aによって生成される。
【0101】
例えば、調整モードの場合、アンテナ411の接続先を整流部402から発振部406に切り替える信号が生成される。これにより、アンテナ411が第2スイッチ部410Aを介して発振部406に接続される。送電モードの場合、アンテナ411の接続先を発振部406から整流部402に切り替える信号が生成される。これにより、アンテナ411が第2スイッチ部410Aを介して整流部402に接続される。
【0102】
(制御部409A)
制御部409Aは、メモリ、CPU、通信デバイスなどの電気回路を備えている。制御部409Aは、送電モード及び調整モードの何れかのモードに対応した切替信号を生成し、生成した切替信号を第2スイッチ部410Aに送信する。
【0103】
制御部409Aは、調整モードの場合、高周波電力の送電量の制御、高周波電力の周波数帯の切り替えなどを行うことにより、電力波202aを放射させる。制御部409Aは、送電モードの場合、整流部402から出力される直流電力の負荷404への供給制御を行う。
【0104】
図8に示す受電機202Bによれば、メモリ、CPU、通信デバイスなどの数を削減しながら、調整モード及び送電モードのそれぞれのモードに対応した制御が可能である。また、受電機202Bは、1つのアンテナ411を備えているため、受電機202Bの構成が簡素化され、受電機202Bの信頼性を向上させることができる。
【0105】
なお、無線電力伝送システム100は、送電機201と複数の受電機202との間で上記の第1調整方法、第2調整方法又は第3調整方法による電力波202aの強度測定を実行する場合、以下のように構成してもよい。
【0106】
(無線電力伝送システム100の他の構成例1)
無線電力伝送システム100は、調整モードの場合、複数の受電機202のそれぞれが予め設定された順に従い、一定時間ごとに電力波202aを送信し、送電機201が当該設定された順に従って一定時間ごとに電力波202aの強度を測定するように構成してもよい。
【0107】
具体的には、複数の受電機202の内、第1受電機は、調整モードの場合、第1時刻から一定時間経過後の第2時刻まで電力波202aを送信する。この場合、第1受電機以外の他の受電機は、電力波202aの送信を停止している。第1受電機は、複数の受電機202の内の任意の1つの受電機202である。
【0108】
第2時刻が経過した場合、複数の受電機202の内、第2受電機は、調整モードの場合、第2時刻から一定時間経過後の第3時刻まで電力波202aを送信する。この場合、第2受電機以外の他の受電機は電力波202aの送信を停止している。第2受電機は、複数の受電機202の内、第1受電機以外の任意の1つの受電機202である。
【0109】
送電機201は、調整モードの場合、送電機の位置と、第1受電機から送信された電力波を受信するアンテナの向きとの少なくとも一方を調整しながら、第1受電機から送信される電力波の強度を測定する。
【0110】
そして、送電機201は、測定した電力波の強度が所定の値を超えたときの送電機201の位置とアンテナの向きとを示すデータを記憶する。
【0111】
また送電機201は、調整モードの場合、送電機の位置と、第2受電機から送信された電力波を受信するアンテナの向きとの少なくとも一方を調整しながら、第2受電機から送信される電力波の強度を測定する。
【0112】
そして、送電機201は、測定した電力波の強度が所定の値を超えたときの送電機201の位置とアンテナの向きとを示すデータを記憶する。
【0113】
送電機201は、送電モードの場合、記憶したデータに基づき、第1受電機から送信された電力波の強度が所定の値を超えたときの送電機201の位置とアンテナの向きとの少なくとも一方で電力波を第1受電機に一定時間送信する。
【0114】
また、送電機201は、送電モードの場合、記憶したデータに基づき、第2受電機から送信された電力波の強度が所定の値を超えたときの送電機201の位置とアンテナの向きとの少なくとも一方で電力波を第2受電機に一定時間送信する。
【0115】
他の構成例1に係る無線電力伝送システム100は、調整モードの場合、複数の受電機のそれぞれが、予め設定された順に従い一定時間ごとに電力波を送信し、制御部は、複数の受電機のそれぞれから送信される電力波の強度を一定時間ごとに測定し、複数の受電機のそれぞれに対応して測定した電力波の強度が所定の値を超えたときの送電機の位置とアンテナの向きとの少なくとも一方で、電力波を受電機に送信する。
【0116】
この構成により、無線電力伝送システム100が複数の受電機202を備えている場合でも、1つの送電機201から複数の受電機202のそれぞれに向けて送信される電力波201aの伝送効率を向上させることができる。
【0117】
(無線電力伝送システム100の他の構成例2)
無線電力伝送システム100は、複数の受電機202の内、第1受電機が調整モードによって電力波202aを送信する場合、送電機201が当該電力波202aの強度測定を実行しながら、送電モードによって電力波201aを送信するように構成してもよい。
【0118】
この場合、複数の受電機202の内、第1受電機以外の第2受電機が送電モードによって動作することにより負荷への電力供給が実行される。
【0119】
他の構成例2に係る無線電力伝送システム100は、複数の受電機の内、第1受電機が送電機に電力波を送信する場合、第1受電機以外の第2受電機は、送電機から送信される電力波を受信し、第2受電機が送電機に電力波を送信する場合、第1受電機は送電機から送信される電力波を受信する。
【0120】
この構成により、他の構成例1に係る無線電力伝送システム100と同様の効果が得られる。また、調整モードと送電モードを平行して実行できるため、受電機202が蓄電容量が少ない蓄電池を電源部407として備えている場合でも、負荷への電力供給を継続させることができる。
【0121】
以上に説明したように本開示の実施の形態に係る無線電力伝送システム100は、電力波を送信する送電機と、電力波を受信する1又は複数の受電機と、を備え、送電機は、送電機の位置と、受電機から送信された電力波を受信するアンテナの向きとの少なくとも一方を調整しながら、受電機から送信される電力波の強度を測定し、測定した電力波の強度が所定の値を超えたときの送電機の位置とアンテナの向きとの少なくとも一方で電力波を受電機に送信する制御部を備える。
【0122】
この構成により、送電機が通信機能を有していない場合でも送電機から送信される電力波の伝送効率を向上させることが可能である。
【0123】
また、受電機202が追加された場合でも、複数の受電機202のそれぞれに向けて送信される電力波201aの伝送効率が向上するように、送電機201の位置、アンテナの方向などを自動的に調整することができる。
【0124】
また、1又は複数の受電機202の設置位置が変更された場合でも、送電機201から当該受電機202に向けて送信される電力波201aの伝送効率が向上するように、送電機201の位置、アンテナの方向などを自動的に調整することができる。
【0125】
従って、受電機202の追加、設置位置変更などの度に、送電機201を位置などの調整を行う手間を省くことができる。また、送電機201が備えているアンテナ301などの仕様を変更する必要がないため、送電機201の仕様変更に伴う設計コスト、製造コストなどを削減することができる。
【0126】
また、電力波202aの電力強度を高めることなく電力波201aの伝送効率を向上させることができるため、送電機201の仕様を簡素化できるとともに、送電機201の周囲に存在する機器、人などへの影響を軽減することができる。
【0127】
なお、以下のような態様も本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0128】
(1)無線電力伝送システムは、電力波を送信する送電機と、前記電力波を受信する1又は複数の受電機と、を備え、前記送電機は、前記送電機の位置と、前記受電機から送信された電力波を受信するアンテナの向きとの少なくとも一方を調整しながら、前記受電機から送信される電力波の強度を測定し、測定した電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で電力波を前記受電機に送信する制御部を備える。
【0129】
(2)前記送電機は、前記受電機から送信される電力波を受信する第1状態と、測定した電力波の強度が所定の値を超えた場合、前記受電機に電力波を送信する第2状態とを切り替える第1スイッチ部をさらに備える。
【0130】
(3)前記受電機は、前記送電機に電力波を送信する第3状態と、前記送電機から送信される電力波を受信する第4状態とを切り替える第2スイッチ部をさらに備える。
【0131】
(4)複数の前記受電機の1つである第1受電機と、複数の前記受電機の他の1つである第2受電機とが、予め設定された順に従い一定時間ごとに電力波を送信する場合、前記制御部は、前記第1受電機から送信される電力波の強度を一定時間に測定して、測定した当該電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で、電力波を前記第1受電機に送信し、前記第1受電機から送信される電力波の強度の測定が完了した後、前記第2受電機から送信される電力波の強度を一定時間に測定して、測定した当該電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で、電力波を前記第2受電機に送信する。
【0132】
(5)複数の前記受電機の1つである第1受電機が前記送電機に電力波を送信する場合、複数の前記受電機の他の1つである第2受電機は、前記送電機から送信される電力波を受信し、前記第2受電機が前記送電機に電力波を送信する場合、前記第1受電機は、前記送電機から送信される電力波を受信する。
【0133】
(6)無線電力伝送方法は、1又は複数の受電機から送信される電力波を受信する送電機が、前記送電機の位置と、前記受電機から送信された電力波を受信するアンテナの向きとの少なくとも一方を調整しながら、前記受電機から送信される電力波の強度を測定するステップと、前記電力波の強度を測定した前記送電機が、測定した電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で電力波を前記受電機に送信するステップと、を含む。
【0134】
(7)無線電力伝送方法は、複数の前記受電機の1つである第1受電機と、複数の前記受電機の他の1つである第2受電機とが、予め設定された順に従い一定時間ごとに電力波を送信する場合、前記第1受電機から送信される電力波の強度を一定時間に測定して、測定した当該電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で、電力波を前記第1受電機に送信するステップと、前記第1受電機から送信される電力波の強度の測定が完了した後、前記第2受電機から送信される電力波の強度を一定時間に測定して、測定した当該電力波の強度が所定の値を超えたときの前記送電機の位置と前記アンテナの向きとの少なくとも一方で、電力波を前記第2受電機に送信するステップと、をさらに含む。
【0135】
(8)無線電力伝送方法は、複数の前記受電機の1つである第1受電機が前記送電機に電力波を送信する場合、複数の前記受電機の他の1つである第2受電機が前記送電機から送信される電力波を受信し、前記第2受電機が前記送電機に電力波を送信する場合、前記第1受電機は、前記送電機から送信される電力波を受信するステップをさらに含む。
【0136】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、本開示に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0137】
以上、本開示の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術は、本開示において例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれ得る。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本開示の一実施例は、無線電力伝送システム、及び無線電力伝送方法に好適である。
【符号の説明】
【0139】
100 無線電力伝送システム
201 送電機
201a 電力波
201A 送電機
201B 送電機
202 受電機
202a 電力波
202A 受電機
202B 受電機
301 アンテナ
302 発振部
303 制御部
304 電源部
305 アンテナ
306 受信部
307 制御部
308 制御部
308A 制御部
309 第1スイッチ部
309A 第1スイッチ部
310 アンテナ
401 アンテナ
402 整流部
403 発振部
403 制御部
404 負荷
405 アンテナ
406 発振部
407 電源部
408 制御部
409 制御部
409A 制御部
410 第2スイッチ部
410A 第2スイッチ部
411 アンテナ