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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171143
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】収納什器
(51)【国際特許分類】
   A47B 81/00 20060101AFI20221104BHJP
   A47B 97/00 20060101ALI20221104BHJP
   A47B 96/02 20060101ALI20221104BHJP
   A47B 96/04 20060101ALI20221104BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
A47B81/00 F
A47B97/00 M
A47B96/02 D
A47B96/04 C
H05K7/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077594
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】松岡 善弘
(72)【発明者】
【氏名】野嵜 治
(72)【発明者】
【氏名】永石 昇
(57)【要約】
【課題】簡素化や低コスト化を図ることができる収納什器を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る収納什器1は、携帯可能な複数の電子機器E、及び電子機器Eに接続される充電ケーブル45を収納する収納空間S1を形成するとともに、収納空間S1から電子機器Eを出し入れする前端開口部31aが前方に向けて開口する筐体31を備えている。筐体31の後壁部31eには、充電ケーブル45が電気的に接続されるテーブルタップ11が収納空間S1内に露呈した状態で取り付けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な複数の電子機器、及び前記電子機器に接続される配線を収納する収納空間を形成するとともに、前記収納空間から前記電子機器を出し入れする開口部が前方に向けて開口する筐体を備え、
前記筐体のうち前記開口部に前後方向で向かい合うとともに、前記筐体の背面を構成する後壁部には、前記配線が電気的に接続される配線接続部が前記収納空間内に露呈した状態で取り付けられる収納什器。
【請求項2】
前記配線接続部は、前記配線が差し込まれる差込口を前方に向けた状態で前記後壁部に取り付けられる請求項1に記載の収納什器。
【請求項3】
前記後壁部は、磁性を有する材料により形成され、
前記配線接続部は、マグネットを介して前記後壁部に着脱可能に取り付けられ、
前記後壁部には、前記後壁部から前方に突出して、前記後壁部上での前記配線接続部の移動を規制する規制部が設けられている請求項1又は請求項2に記載の収納什器。
【請求項4】
前記筐体には、床面上を走行可能な転動部材が設けられている請求項3に記載の収納什器。
【請求項5】
前記配線接続部は、前記後壁部に複数取り付けられ、
複数の前記配線接続部には、複数の前記電子機器から引き回される複数の前記配線がグループ化されてそれぞれ接続され、
複数の前記配線接続部毎にグループ化された前記電子機器に対して輪番で充電処理を行う充電器を備えている請求項1から請求項4の何れか1項に記載の収納什器。
【請求項6】
前記筐体には、前記収納空間を上下方向に区画するとともに、前記電子機器が載置可能な複数の載置部が設けられ、
前記充電器は、複数の前記載置部のうち、何れかの前記載置部に載置されている請求項5に記載の収納什器。
【請求項7】
前記収納空間において、前記載置部の上方に位置する部分には、配線ガイドが設けられ、
前記配線ガイドは、
前記筐体に支持されたガイド本体と、
前記ガイド本体に支持されて前記配線を前後方向に案内するとともに、前記ガイド本体よりも摩擦係数の大きい滑り止め部材と、を備えている請求項6に記載の収納什器。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納什器に関する。
【背景技術】
【0002】
学校等では、生徒それぞれに割り当てられた電子機器(ノートパソコンやタブレット端末等)を利用して授業が行われる場合がある。そこで、電子機器の未使用時には電子機器を一括で収納しておき、使用時には生徒が電子機器を各自取り出すことができる収納什器の開発が進められている。
【0003】
この種の収納什器として、例えば下記特許文献1には、両開き状の前側板と着脱状の後側板を有する保管庫体の内部に、電子機器が載置される棚板体が設けられた構成が開示されている。下記特許文献1の構成において、棚板体の後方であって、後側板の前方に位置する部分には、電源コンセントが取り付けられるコンセントパネルが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6095418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術にあっては、保管庫体の内部に別途のコンセントパネルが設けられているため、構成の簡素化や低コスト化を図る点で未だ改善の余地があった。
【0006】
本発明は、簡素化や低コスト化を図ることができる収納什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る収納什器は、携帯可能な複数の電子機器、及び前記電子機器に接続される配線を収納する収納空間を形成するとともに、前記収納空間から前記電子機器を出し入れする開口部が前方に向けて開口する筐体を備え、前記筐体のうち前記開口部に前後方向で向かい合うとともに、前記筐体の背面を構成する後壁部には、前記配線が電気的に接続される配線接続部が前記収納空間内に露呈した状態で取り付けられる。
【0008】
本態様によれば、筐体の背面を構成する後壁部自体に配線接続部を取り付けることで、従来のように筐体の内部に別途のコンセントパネル等を設ける場合に比べ、構成の簡素化や低コスト化を図ることができる。
【0009】
上記態様の収納什器において、前記配線接続部は、前記配線が差し込まれる差込口を前方に向けた状態で前記後壁部に取り付けられることが好ましい。
本態様によれば、配線の抜き差し方向が前後方向に設定されるので、開口部を通じて配線接続部に対して配線を抜き差しする際の操作性を向上させることができる。また、配線接続部から前方に向けて配線が引き回される場合には、配線における配線接続部との接続端部が折れ曲がるのを抑制できる。
【0010】
上記態様の収納什器において、前記後壁部は、磁性を有する材料により形成され、前記配線接続部は、マグネットを介して前記後壁部に着脱可能に取り付けられ、前記後壁部には、前記後壁部から前方に突出して、前記後壁部上での前記配線接続部の移動を規制する規制部が設けられていることが好ましい。
本態様によれば、例えば開口部を通じて配線接続部を後壁部に取り付けるにあたって、マグネットを後方に向けた状態で配線接続部を後壁部に接近させる。これにより、配線接続部を簡単に後壁部に取り付けることができる。
また、規制部によって配線接続部の後壁部上での移動を規制することで、後壁部からの配線接続部のがたつきや脱落を抑制できる。したがって、配線接続部と配線との接続状態を良好に維持できる。
【0011】
上記態様の収納什器において、前記筐体には、床面上を走行可能な転動部材が設けられていることが好ましい。
本態様によれば、収納什器の可搬性を向上させることができるため、使い勝手を向上させることができる。
しかも、本態様の収納什器は、配線接続部の後壁部上での移動が規制部によって規制されているため、転動部材を介して収納什器が床面上を走行する場合であっても、配線接続部の脱落やがたつきを抑制できる。
【0012】
上記態様の収納什器において、前記配線接続部は、前記後壁部に複数取り付けられ、複数の前記配線接続部には、複数の前記電子機器から引き回される複数の前記配線がグループ化されてそれぞれ接続され、複数の前記配線接続部毎にグループ化された前記電子機器に対して輪番で充電処理を行う充電器を備えていることが好ましい。
本態様によれば、収納什器内に保管された各電子機器の充電状態を均一に保ちやすい。
しかも、テーブルタップ毎にグループ化することで、配線毎にグループ化する場合に比べて輪番充電の管理が行い易い。
【0013】
上記態様の収納什器において、前記筐体には、前記収納空間を上下方向に区画するとともに、前記電子機器が載置可能な複数の載置部が設けられ、前記充電器は、複数の前記載置部のうち、何れかの前記載置部に載置されていることが好ましい。
本態様によれば、電子機器が載置される場所と同じ場所に充電器を載置することで、充電器の設置場所を載置部と別に設ける場合に比べ、収納什器の小型化及び簡素化が可能になる。
【0014】
上記態様の収納什器において、前記収納空間において、前記載置部の上方に位置する部分には、配線ガイドが設けられ、前記配線ガイドは、前記筐体に支持されたガイド本体と、前記ガイド本体に支持されて前記配線を前後方向に案内するとともに、前記ガイド本体よりも摩擦係数の大きい滑り止め部材と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、電子機器及び配線間の着脱時において、配線の前後動を少なくすることができる。これにより、配線が配線接続部から抜けるのを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
上記各態様によれば、簡素化や低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る収納什器の斜視図である。
図2】扉が開位置の状態を示す収納什器の正面図である。
図3】収納什器の側面図である。
図4】配線ガイドの斜視図である。
図5図2のV-V線に対応する断面図である。
図6】変形例に係る配線ガイドの正面図である。
図7】変形例に係る配線ガイドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。また、本実施形態において、「向かい合う」とは、2つの面それぞれの直交方向(法線方向)が互いに一致している場合に限らず、直交方向同士が交差している場合も含んでいる。
【0018】
[収納什器1]
図1は収納什器1の斜視図である。図2は、扉32が開位置の状態を示す収納什器1の正面図である。以下の各図において、電子機器Eや充電ケーブル45、タップケーブル11c等は適宜省略して示している。
図1図2に示す収納什器1は、什器本体10と、テーブルタップ(配線接続部)11と、充電器12と、を備えている。収納什器1は、例えば教室等の各種施設に設置される。収納什器1は、携帯可能な複数の電子機器Eを一括して収納できるとともに、保管した電子機器Eに対して充電等が行えるものである。電子機器Eは、例えば充電可能なものとして、ノートPCやタブレットPC等の操作端末に限らず、バッテリ自体であってもよい。なお、以下の説明において、収納什器1が設置された床面Fに直交する方向を上下方向(矢印UPが上方)とし、上下方向に直交する方向をそれぞれ前後方向(矢印FRが前方)及び左右方向(矢印LHが左側)とする。
【0019】
<什器本体10>
図3は、収納什器1の側面図である。図3では、左側の側壁部31cを便宜上省略している。
図1図3に示すように、什器本体10は、複数の電子機器Eが出し入れ可能に構成されている。什器本体10は、筐体31と、扉32と、棚板(載置部)33と、規制バー34と、仕切部35と、配線ガイド36と、を備えている。
【0020】
筐体31は、前方に向けて開口する前端開口部31aを有する箱型に形成されている。すなわち、筐体31は、底壁部31b、側壁部31c、天壁部31d及び後壁部31eを備えている。各壁部31b~31eは、磁性を有する板材(例えば、鉄等)がビス等によって組み合わされて構成されている。
底壁部31bは、平面視において、左右方向を長手方向とし、前後方向を短手方向とする長方形状に形成されている。底壁部(載置部)31bには、キャスタ(転動部材)37が取り付けられている。キャスタ37は、例えば底壁部31bの各角部に対応して設けられている。キャスタ37が床面F上を転動することで、収納什器1が床面F上を走行可能に構成されている。
【0021】
側壁部31cは、底壁部31bにおける左右方向の両端縁から上方に向けて延びている。
天壁部31dは、底壁部31bに上下方向で向かい合う。天壁部31dは、一対の側壁部31cの上端部同士を架け渡している。底壁部31b、側壁部31c及び天壁部31dの前端縁同士で囲まれた部分は、前端開口部31aを形成している。
【0022】
図1に示すように、天壁部31dにおける左右方向の第1端部(図示の例では、右側)には、取っ手38が設けられている。取っ手38は、前後方向に並んで複数(例えば、2つ)設けられている。各取っ手38は、天壁部31dに設けられた貫通孔(不図示)にそれぞれ嵌め込まれている。取っ手38は、上方に向けて開口する凹部38aを有している。収納什器1は、凹部38a内に指を挿し入れた状態で、収納什器1を押したり引いたりすることで、床面F上を移動する。本実施形態のように、取っ手38を天壁部31dに設けることで、側壁部31cを平滑に形成することができる。但し、取っ手38は、天壁部31dの両端部に設けたり、側壁部31cに設けたりしてもよい。
【0023】
図2図3に示すように、後壁部31eは、筐体31の背面(最外面)を構成する。後壁部31eは、前端開口部31aに対して前後方向で向かい合っている。後壁部31eは、筐体31の後端開口部(底壁部31b、側壁部31c及び天壁部31dの後端縁同士で囲まれた部分)を閉塞している。後壁部31eは、側壁部31c等に対してビス等により固定されている。底壁部31b、側壁部31c、天壁部31d及び後壁部31eにより囲まれた空間は、前端開口部31aを通じて外部に連通する収納空間S1を形成する。なお、後壁部31eは、例えば爪等による係止によって着脱可能に設けられていてもよい。
【0024】
図1に示すように、扉32は、筐体31の前端開口部31aを開閉することで、筐体31とともに収納什器1の外装を構成する。扉32は、例えば両開き(観音開き)の開き戸である。具体的に、扉32は、一方の扉パネル32aが一方の側壁部31cに回動可能に取り付けられ、他方の扉パネル32bが他方の側壁部31cに回動可能に取り付けられている。なお、各パネル32a,32bには、扉32を開閉操作するための把持部や、収納空間S1内の熱を放出させるための放熱孔等が設けられている。なお、扉32は、スライド扉等であってもよい。
【0025】
図3に示すように、棚板33は、収納空間S1を上下方向に仕切っている。棚板33は、棚本体33aと、棚後壁33bと、を備えている。
棚本体33aは、上下方向を厚さ方向とし、左右方向に延びる板状である。棚本体33aは、各側壁部31c間に架け渡されている。棚本体33aの後端縁は、後壁部31eから前方に離反している。したがって、棚本体33aの後端縁と後壁部31eとの間には、隙間S2が形成されている。
【0026】
棚後壁33bは、棚本体33aの後端縁から上方に延びている。本実施形態において、底壁部31b及び棚板33は、それぞれ電子機器Eが載置可能な載置部を構成する。したがって、以下の説明では、底壁部31b及び棚板33を区別する必要がない場合は、まとめて載置部30として説明する場合がある。
【0027】
規制バー34は、各載置部30の上方において、各載置部30の後部に対応する位置に設けられている。規制バー34は、左右方向に延びる角筒状の部材である。規制バー34は、各載置部30の上方空間を左右方向に横断し、側壁部31c同士の間を架け渡している。規制バー34は、載置部30に載置される電子機器Eが前方から当接することで、電子機器Eの後方移動を規制する。
【0028】
仕切部35は、載置部30に複数ずつ取り付けられ、載置部30の上方空間を左右方向に仕切っている。仕切部35は、例えば左右方向を厚さ方向とし、上下方向に延びる板状に形成されている。仕切部35は、例えば係止爪等を介して載置部30や規制バー34に着脱可能に取り付けられている。なお、仕切部35は、ビス等によって載置部30に固定してもよい。仕切部35は、樹脂材料等により形成しても、金属材料等により形成してもよい。
【0029】
図2に示すように、底壁部31b上において、仕切部35は、左右方向の全体に亘って等間隔に配置されている。
棚板33上において、仕切部35は、左右方向の中心に対して右側に位置する部分のみに等間隔に配置されている。したがって、棚板33上において、左側に位置する部分は、仕切部35が配置されないブランク領域となっている。
【0030】
什器本体10では、各載置部30において、左右方向で隣り合う仕切部35同士の間に電子機器Eを各別に出し入れ可能に構成されている。これにより、電子機器Eは、載置部30に下方から支持され、かつ仕切部35に立て掛けられた状態で収納空間S1に収納される。なお、仕切部35は、電子機器Eを複数ずつ仕切るものであってもよい。また、仕切部35は、電子機器Eを複数ずつ収容可能なトレー等であってもよい。この場合、トレーは、例えば前端開口部31aを通じて出し入れ可能に構成されていてもよい。
【0031】
図2図3に示すように、配線ガイド36は、収納空間S1において、各載置部30の上方空間にそれぞれ設けられている。配線ガイド36は、前側ガイド(ガイド本体)41及び後側ガイド(ガイド本体)42と、介在部材(滑り止め部材)43と、を備えている。
前側ガイド41は、金属材料等の板材により、左右方向から見た断面視で上方に向けて開口するC字状に形成されている。前側ガイド41は、各載置部30の上方空間において、前端部に設けられている。前側ガイド41は、載置部30の上方空間を左右方向に横断し、側壁部31c同士の間を架け渡している。
【0032】
後側ガイド42は、金属材料等の板材により形成されている。後側ガイド42は、各載置部30の上方空間において、前側ガイド41の後方に設けられている。後側ガイド42は、載置部30の上方空間を左右方向に横断し、側壁部31c同士の間を架け渡している。図示の例において、前側ガイド41及び後側ガイド42は、同じ高さに位置している。なお、配線ガイド36は、載置部30の上方空間を上下に仕切るトレー状であってもよい。
【0033】
図4は、配線ガイド36を示す斜視図である。
図3図4に示すように、介在部材43は、前側ガイド41上に取り付けられている。介在部材43は、電子機器Eに着脱される充電ケーブル(配線)45と前側ガイド41との間で緩衝材及び滑り止め部材として機能するものであって、前側ガイド41よりも摩擦係数が大きい軟材質により形成されている。このような材料として、例えばポリウレタンの多孔質材(スポンジ)等、弾性変形可能な軟材質が用いられている。なお、介在部材43としては、例えばゴムや樹脂材料、不織布等を用いることも可能である。
【0034】
介在部材43は、前側ガイド41に沿って左右方向に帯状に形成されている。介在部材43は、前側ガイド41に対して上方から嵌め込まれている。介在部材43は、前側ガイド41に対して上方に突出した状態で、前側ガイド41上を左右方向に亘って延びている。なお、介在部材43は、前側ガイド41に接着等により取り付けられていてもよい。介在部材43は、前側ガイド41及び後側ガイド42の双方に設けられていてもよく、後側ガイド42のみに設けられていてもよい。
【0035】
図4に示すように、介在部材43には、複数の縦スリット43aが形成されている。縦スリット43aには、複数の充電ケーブル45が各別に差し込まれる。縦スリット43aは、載置部30に載置される電子機器Eに対応して、左右方向に間隔をあけて形成されている。
【0036】
縦スリット43aは、介在部材43を前後方向に貫通するとともに、上下方向に延びている。縦スリット43aの上端は、介在部材43の上面で開口している。縦スリット43aの下端は、介在部材43の下面よりも上方に位置していることが好ましく、本実施形態では前側ガイド41よりも上方に位置している。
【0037】
図2に示すように、充電器12は、例えば什器本体10内に収納される複数の電子機器Eをグループ化して、グループ毎に輪番に電子機器Eの充電を行う。充電器12は、棚板33上におけるブランク領域(左側)に載置されている。充電器12の電源ケーブルは、隙間S2を通じて什器本体10内を下方に引き回された後、側壁部31cの下部に形成された引出口(不図示)を通じて什器本体10の外部に引き出されている。電源ケーブルは、什器本体10の外部において、外部電源に接続される。なお、充電器12は、複数の電子機器Eをグループ化せずに、全ての電子機器Eに対して一括で充電してもよい。
【0038】
テーブルタップ11は、複数の電子機器Eと充電器12との間で上述したグループ毎に電子機器Eの充電ケーブル45を集合させつつ、複数の電子機器Eと充電器12との間を中継する。テーブルタップ11の一面(前面)には、複数の差込口11aが形成されている。テーブルタップ11において、一面に向かい合う対向面(後面)には、マグネット11bが設けられている。テーブルタップ11は、一面を前方に向けた状態でマグネット11bを介して後壁部31eに着脱可能に取り付けられることで、収納什器1(収納空間S1)内に露呈している。
【0039】
本実施形態において、テーブルタップ11は、各載置部30毎に複数ずつ割り振られている。複数のテーブルタップ11のうち、底壁部31bに割り当てられたテーブルタップ11は第1タップ群50Aを構成する。一方、複数のテーブルタップ11のうち、棚板33に割り当てられたテーブルタップ11は第2タップ群50Bを構成する。
【0040】
第1タップ群50Aは、後壁部31eの下部(底壁部31bと棚板33との間に位置する部分)に設けられている。第1タップ群50Aは、例えば3つのテーブルタップ11により構成されている。各テーブルタップ11は、上下方向に間隔をあけ、かつ左右方向に互いにずらされた状態で配置されている。具体的に、第1タップ群50Aを構成するテーブルタップ11は、左右方向で隣り合うテーブルタップ11のうち、左側に位置するテーブルタップ11が下方に位置し、右側に位置するテーブルタップ11が上方に位置するように階段状に配置されている。
【0041】
第2タップ群50Bは、後壁部31eの上部(棚板33と天壁部31dとの間に位置する部分)に設けられている。第2タップ群50Bは、例えば2つのテーブルタップ11により構成されている。各テーブルタップ11は、上下方向に間隔をあけ、かつ左右方向に互いにずらされた状態で配置されている。具体的に、第2タップ群50Bを構成するテーブルタップ11は、左右方向で隣り合うテーブルタップ11のうち、左側に位置するテーブルタップ11が上方に位置し、右側に位置するテーブルタップ11が下方に位置するように階段状に配置されている。なお、図示の例において、左右方向で隣り合うテーブルタップ11同士は、平面視で一部が重なり合っている。但し、左右方向で隣り合うテーブルタップ11は、平面視で互いに重なり合わない位置に配置されていてもよい。
【0042】
各タップ群50A,50Bにおいて、最も右側に位置するテーブルタップ11は、充電器12との上下方向の距離が最も近く、左右方向の距離が最も遠くなっている。一方、各タップ群50A,50Bにおいて、最も左側に位置するテーブルタップ11は、充電器12との上下方向の距離が最も遠く、左右方向の距離が最も近くなっている。したがって、各テーブルタップ11は、充電器12からの左右方向の距離が近いものほど、上下方向の距離が遠い位置に配置され、充電器12からの上下方向の距離が近いものほど、左右方向の距離が遠い位置に配置されている。但し、テーブルタップ11のレイアウトは適宜変更が可能である。また、テーブルタップ11は、各載置部30に対して1つであっても、3つ以上の複数であってもよい。
【0043】
各テーブルタップ11から延びるタップケーブル11cは、後壁部31eに沿って引き回された後、棚板33のブランク領域まで配索されている。タップケーブル11cは、ブランク領域において、充電器12にそれぞれ接続されている。
【0044】
充電ケーブル45は、テーブルタップ11と各電子機器Eとの間を各別に接続する。以下、複数の充電ケーブル45のうち、一の充電ケーブル45の引き回しについて説明する。
図3に示すように、充電ケーブル45の第1端部(後端部)には、プラグ45aが設けられている。プラグ45aは、テーブルタップ11の差込口11aに前方から差し込まれている。充電ケーブル45は、テーブルタップ11から前方に引き回された後、配線ガイド36に支持された状態で、収納空間S1内を前方に向けて延びている。
【0045】
充電ケーブル45は、図4に示すように、配線ガイド36上において、介在部材43の縦スリット43a内に保持されている。例えば、充電ケーブル45は、縦スリット43aの上端開口部を通じて縦スリット43a内に差し込まれている。これにより、介在部材43に対する充電ケーブル45の移動が制限されている。
【0046】
図3に示すように、充電ケーブル45は、介在部材43の前方で下方に垂れ下がった後、電子機器Eに接続されている。具体的に、充電ケーブル45の第2端部には、コネクタ45bが設けられている。コネクタ45bは、電子機器Eに設けられたコネクタ受(不図示)に対して前方から差し込まれている。これにより、外部電源からの電力が充電器12及び充電ケーブル45を介して電子機器Eに供給されることで、電子機器Eが充電される。なお、棚板33上において、規制バー34の後方に位置する部分には、充電ケーブル45の中間部に設けられたACアダプタ45cや充電ケーブル45の余剰部分が配置される。一方、底壁部31b上において、規制バー34の後方に位置する部分には、ACアダプタ45cや充電ケーブル45の余剰部分が配置される。
【0047】
複数の充電ケーブル45は、第1端部において、複数個ずつが一つのテーブルタップ11にまとめて接続されている。複数の充電ケーブル45は、第2端部において、各電子機器Eに対して個別に接続されている。複数の充電ケーブル45は、テーブルタップ11と電子機器Eとの間で、縦スリット43a内に各別に収容されることで、左右方向に間隔をあけて配列されている。
【0048】
図5は、図2のV-V線に対応する断面図である。
図5に示すように、後壁部31eには、各テーブルタップ11の下方移動を規制する規制部60が設けられている。規制部60は、後壁部31eのうちテーブルタップ11の取付箇所に対して下方に位置する部分が、プレス等によって前方に膨出して形成されたものである。具体的に、規制部60は、後壁部31eの前面に対して半球状に膨出している。
【0049】
図2に示すように、規制部60は、正面視において、一のテーブルタップ11に対して左右方向に間隔をあけて複数(例えば、2つ)設けられている。規制部60は、テーブルタップ11の下端縁が上方から当接することで、後壁部31e上でのテーブルタップ11の下方移動を規制する。なお、規制部60は、テーブルタップ11の上方や側方に設けてもよい。また、規制部60は、左右方向に沿って直線状に延びていてもよい。後壁部31eにおいて、規制部60と重ならない位置に放熱孔等を適宜設けてもよい。
【0050】
[収納什器1の使用方法]
次に、上述した収納什器1の使用方法について説明する。以下の説明では、収納什器1内に電子機器Eが保管(充電)されている状態を初期状態とし、取出時及び収納時について説明する。
収納什器1から電子機器Eを取り出すにあたっては、まず扉32を開き、前端開口部31aを開放する。続いて、電子機器Eに差し込まれたコネクタ45bを抜き、前端開口部31aを通じて電子機器Eを取り出す。これにより、使用者は、施設内の各机上等で電子機器Eを使用することができる。
【0051】
電子機器Eの使用後は、電子機器Eを収納什器1内に保管する。具体的には、載置部30において、隣り合う仕切部35間に電子機器Eを収納した後、充電ケーブル45を電子機器Eに接続する。その後、扉32を閉じることで、電子機器Eが収納什器1内に保管される。
【0052】
電子機器Eは、収納什器1内に保管されている間、充電器12を通じて充電される。具体的に、充電器12は、例えば複数の電子機器Eをテーブルタップ11毎にグループ化して、各グループに属する電子機器E毎に輪番で充電を行う。
【0053】
このように、本実施形態では、筐体31の後壁部31eには、テーブルタップ11が収納空間S1内に露呈した状態で取り付けられる構成とした。
この構成によれば、筐体31の背面を構成する後壁部31e自体にテーブルタップ11を取り付けることで、従来のように筐体の内部に別途のコンセントパネル等を設ける場合に比べ、構成の簡素化や低コスト化を図ることができる。
【0054】
本実施形態では、テーブルタップ11は、差込口11aを前方に向けた状態で後壁部31eに取り付けられる構成とした。
この構成によれば、充電ケーブル45の抜き差し方向が前後方向に設定されるので、前端開口部31aを通じてテーブルタップ11に対して充電ケーブル45を抜き差しする際の操作性を向上させることができる。また、テーブルタップ11から前方に向けて充電ケーブル45が引き回される場合には、充電ケーブル45におけるテーブルタップ11との接続端部(プラグ45a周辺部分)が折れ曲がるのを抑制できる。
【0055】
本実施形態では、テーブルタップ11は、マグネット11bを介して後壁部31eに着脱可能に取り付けられ、後壁部31eには、後壁部31eから前方に突出して、後壁部31eに対する下方への移動を規制する規制部60が設けられている構成とした。
この構成によれば、例えば前端開口部31aを通じてテーブルタップ11を後壁部31eに取り付けるにあたって、マグネット11bを後方に向けた状態でテーブルタップ11を後壁部31eに接近させる。これにより、テーブルタップ11を簡単に後壁部31eに取り付けることができる。
また、規制部60によってテーブルタップ11の下方への移動を規制することで、後壁部31eからのテーブルタップ11のがたつきや脱落を抑制できる。したがって、テーブルタップ11と充電ケーブル45との接続状態を良好に維持できる。
特に、規制部60として、後壁部31eの一部を膨出させて後壁部31eと一体で形成することで、規制部を後壁部31eと別部材で設ける場合に比べ、軽量化や部品点数の削減等、環境を配慮した構造となる。
【0056】
本実施形態では、筐体31には、床面F上を走行可能なキャスタ37が設けられた構成とした。
この構成によれば、収納什器1の可搬性を向上させることができるため、使い勝手を向上させることができる。
しかも、本実施形態の収納什器1は、テーブルタップ11の後壁部31e上での移動が規制部60によって規制されているため、キャスタ37を介して収納什器1が床面F上を走行する場合であっても、テーブルタップ11の脱落やがたつきを抑制できる。
【0057】
本実施形態では、複数のテーブルタップ11毎にグループ化された電子機器Eに対して輪番で充電処理を行う充電器12を備えている構成とした。
この構成によれば、収納什器1内に保管された各電子機器Eの充電状態を均一に保ちやすい。
しかも、テーブルタップ11毎にグループ化することで、充電ケーブル45毎にグループ化する場合に比べて輪番充電の管理が行い易い。
【0058】
本実施形態において、各テーブルタップ11は、充電器12からの左右方向の距離が近いものほど、上下方向の距離が遠い位置に配置され、充電器12からの上下方向の距離が近いものほど、左右方向の距離が遠い位置に配置されている構成とした。
この構成によれば、テーブルタップ11を複数設けた場合であっても、各テーブルタップ11と充電器12との距離が各テーブルタップ11間で均等になるようにレイアウトできる。これにより、各テーブルタップ11と充電器12との間でタップケーブル11cの余剰分を、各テーブルタップ11間で均等にし易くなる。その結果、収納什器1内での体裁を向上できる。
【0059】
本実施形態では、充電器12が何れかの載置部30に載置される構成とした。
この構成によれば、電子機器Eが載置される場所と同じ場所に充電器12を載置することで、充電器12の設置場所を載置部30と別に設ける場合に比べ、収納什器1の小型化及び簡素化が可能になる。
【0060】
本実施形態では、配線ガイド36が、前側ガイド41と、前側ガイド41よりも摩擦係数の大きい介在部材43と、を備えている構成とした。
この構成によれば、電子機器E及び充電ケーブル45間の着脱時において、充電ケーブル45の前後動を少なくすることができる。これにより、充電ケーブル45がテーブルタップ11から抜けるのを抑制できる。
【0061】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、テーブルタップ11が後壁部31eに一体形成された規制部60によって支持される構成について説明したが、この構成に限られない。テーブルタップ11は、マグネット11bのみで後壁部31eに取り付けられていてもよい。また、テーブルタップ11は、ねじやクリップ、フック等、テーブルタップ11又は後壁部31eとは別の部材を介して後壁部31eに取り付けられていてもよい。
【0062】
上述した実施形態では、収納什器1がキャスタ37を介して床面F上を走行可能な構成について説明したが、この構成に限られない。収納什器1は、床面Fや各種壁面に固定されていてもよい。
上述した実施形態では、テーブルタップ11が差込口11aを前方に向けた状態で後壁部31eに取り付けられる構成について説明したが、この構成に限られない。テーブルタップ11は、差込口11aを上下方向に向けた状態で後壁部31eに取り付けられる構成等であってもよい。
上述した実施形態では、充電ケーブル45が充電器12を介して外部電源に接続される構成について説明したが、この構成に限られない。充電ケーブル45は、テーブルタップ11を介して外部電源に直接接続される構成であってもよい。
上述した実施形態では、充電ケーブル45のコネクタ45bを介して電子機器Eに給電される構成について説明したが、この構成に限られない。充電ケーブル45と電子機器Eとは、非接触により給電される構成であってもよい。すなわち、充電ケーブル45は、電子機器Eに対して少なくとも電気的に接続される構成であればよい。なお、非接触による給電を採用する場合、複数の電子機器Eに対して一つの充電ケーブル45が設けられる構成であってもよい。
【0063】
上述した実施形態では、介在部材43のうち、充電ケーブル45を保持する保持孔として、縦スリット43aのみを有する構成について説明したが、この構成に限られない。保持孔は、例えば図6に示すように、縦スリット43aの下端に連なる丸孔43bを備える構成であってもよい。また、保持孔は、図7に示すように、縦スリット43aの下端から左右方向の両側に延びる横スリット43cを備えるT字状に形成されていてもよい。
この構成によれば、丸穴43b又は横スリット43cによって介在部材43の変形量を許容できるので、充電ケーブル45を保持した状態において、縦スリット43aの上端開口部が開き過ぎるのを抑制できる。そのため、例えば縦スリット43aと丸孔43b(又は横スリット43c)との境界部分で充電ケーブル45を安定して保持することができる。
上述した実施形態では、充電ケーブル45が介在部材43(滑り止め部材)を介して前側ガイド41(ガイド本体)に支持される構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、ガイド本体と滑り止め部材との間に充電ケーブル45が挟まれる構成であってもよい。また、ガイド本体にクリップ等を介して充電ケーブル45が保持される構成であってもよい。
【0064】
上述した実施形態では、電子機器Eに着脱される配線として充電ケーブル45を例にした場合について説明したが、この構成に限られない。配線は、情報線等であってもよい。この場合、配線接続部は、ルーター等であってもよい。
【0065】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1:収納什器
11:テーブルタップ(配線接続部)
11a:差込口
11b:マグネット
12:充電器
30:載置部
31:筐体
31a:前端開口部(開口部)
31b:底壁部(載置部)
31e:後壁部
36:配線ガイド
41:前側ガイド(ガイド本体)
43:介在部材(滑り止め部材)
45:充電ケーブル(配線)
60:規制部
E:電子機器
F:床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7