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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171154
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ワイヤレス給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/80 20160101AFI20221104BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20221104BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20221104BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/12
H02J50/90
H04M1/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077616
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】518198484
【氏名又は名称】株式会社エレクトロンヴェクシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】池内 智彦
(72)【発明者】
【氏名】冨家 裕久
(72)【発明者】
【氏名】本田 博宣
【テーマコード(参考)】
5K127
【Fターム(参考)】
5K127AA14
5K127AA36
5K127BA03
5K127BB12
5K127CB06
5K127CB42
5K127DA14
5K127HA11
5K127HA26
5K127JA23
5K127JA24
(57)【要約】
【課題】 簡易な構成でありながら、ワイヤレス受電装置を適切な位置に載置することのできるシステムを提供する。
【解決手段】 ワイヤレス送電装置6には、送信側コイル8が設けられている。送信側コイル8の中心線上に、位置表示灯であるLED10a、10bが設けられ、常時点灯している。LED10a、10bは、送信側コイル8の両側に、送信側コイル8に対して対照な位置に設けられている。LED10a、10bの外側に、給電表示灯としてLED12a、12bが設けられている。LED12a、12bは、通常の状態では消灯している。ユーザがワイヤレス受電装置であるスマートフォン20を、送信側コイル8の上に置くと、ワイヤレス送電装置6が給電可能な状態であると判断し、LED12a、12bを点灯する。これにより、ユーザは、給電がなされることを確認することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス受電装置の受信側コイルとの間でワイヤレス送電を行うための送信側コイルと、
当該送信側コイルの上に設けられ、ワイヤレス受電装置を載置するための載置面であって、前記送信側コイルの中心近傍を通る線上であって当該送信側コイルの両側に、ワイヤレス受電装置を載置する位置を示すための位置マークを有する載置面と、
前記送信側コイルを介して、前記ワイヤレス受電装置からの情報データを取得し、送信側コイルに対する電力供給を制御する制御部と、
を備えたワイヤレス送電装置において、
前記載置面には給電表示灯が設けられており、
前記制御部は、ワイヤレス受電装置からの情報データに直接的または間接的に基づいて、前記送信側コイルから前記受信側コイルに向けて給電ができるかどうかを判断し、給電できないと判断すれば給電表示灯を第1状態にし、給電できると判断すれば給電表示灯を第2状態にすることを特徴とするワイヤレス送電装置。
【請求項2】
請求項1のワイヤレス送電装置において、
前記給電表示灯は、前記送電側コイルの中心近傍を通る線上であって、前記位置マークの外側に設けられていることを特徴とするワイヤレス送電装置。
【請求項3】
請求項1または2のワイヤレス送電装置において、
前記位置マークは、当該ワイヤレス給電装置に電源が供給されている間、常時点灯する発光器であることを特徴とするワイヤレス送電装置。
【請求項4】
請求項1のワイヤレス送電装置において、
前記給電表示灯を、前記位置マークとして用いることを特徴とするワイヤレス送電装置。
【請求項5】
請求項4のワイヤレス送電装置において、
前記給電表示灯は、前記送電側コイルの中心近傍を通る線上に沿って配置された線状光源を備えていることを特徴とするワイヤレス送電装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかのワイヤレス送電装置において、
前記給電表示灯の第1状態は消灯であり、
前記給電表示灯の第2状態は点灯であることを特徴とするワイヤレス送電装置。
【請求項7】
請求項1~5のいずれかのワイヤレス送電装置において、
前記給電表示灯の第1状態は第1色による点灯であり、
前記給電表示灯の第2状態は第2色による点灯であることを特徴とするワイヤレス送電装置。
【請求項8】
スマートフォンの受信側コイルとの間でワイヤレス送電を行うための送信側コイルと、
当該送信側コイルの上に設けられ、スマートフォンを載置するための載置面であって、前記送信側コイルの中心近傍を通る線上であって当該送信側コイルの両側に、スマートフォンを載置する位置を示すため、常時点灯している位置表示灯を有する載置面と、
前記送信側コイルを介して、前記スマートフォンからの情報データを取得し、送信側コイルに対する電力供給を制御する制御部と、
を備えたワイヤレス送電装置において、
前記載置面には給電表示灯が設けられており、
前記給電表示灯の少なくともその一部は、スマートフォンの受信側コイルに対して送信側コイルから給電できる位置にスマートフォンが載置された時に、スマートフォンの短い幅の両側において見えるように配置されており、
前記制御部は、スマートフォンからの情報データに直接的または間接的に基づいて、前記送信側コイルから前記スマートフォンの受信側コイルに向けて給電ができるかどうかを判断し、給電できないと判断すれば給電表示灯を第1状態にし、給電できると判断すれば給電表示灯を第2状態にすることを特徴とするワイヤレス送電装置。
【請求項9】
ワイヤレス送電装置と平板状ディスプレイを有するワイヤレス受電装置を備えたワイヤレス給電システムであって、
前記ワイヤレス送電装置は、
ワイヤレス受電装置の受信側コイルとの間でワイヤレス送電を行うための送信側コイルと、
当該送信側コイルの上に設けられ、ワイヤレス受電装置を載置するための載置面であって、前記送信側コイルの中心近傍を通る線上であって当該送信側コイルの両側に、ワイヤレス受電装置を載置する位置を示すための位置マークを有する載置面と、
前記送信側コイルを介して、前記ワイヤレス受電装置からの情報データを取得し、送信側コイルに対する電力供給を制御する制御部と、
を備え、
前記ワイヤレス受電装置は、
当該ワイヤレス受電装置の受信側コイルの位置を記録する記録部と、
ワイヤレス送電装置からの電力を受信可能な状態になると、記録されている前記受信側コイルの位置に対応する平板状ディスプレイの位置に受電側コイルの位置を示す受信側コイル位置表示を行う受信側コイル位置表示手段と、
を備えたことを特徴とするワイヤレス給電システム。
【請求項10】
請求項9のワイヤレス給電システムにおいて、
前記位置マークは、少なくとも横に配置された位置マークを備えており、
前記受信側コイル位置表示は、受電側コイルの縦方向の中心線に対応する表示と、受電側コイルの横方向の中心線に対応する表示とを備えていることを特徴とするワイヤレス給電システム。
【請求項11】
ワイヤレス送電装置から給電を受けることのできるワイヤレス受電装置であって、
ワイヤレス送電装置の送信側コイルから給電を受けるための受信側コイルと、
当該ワイヤレス受電装置の受信側コイルの位置を記録する記録部と、
ワイヤレス送電装置からの電力を受信可能な状態になると、
記録されている前記受信側コイルの位置に対応する平板状ディスプレイの位置に受電側コイルの位置を示す受信側コイル位置表示を行う給電表示制御手段と、
を備えたワイヤレス受電装置。
【請求項12】
請求項9~11のいずれかのシステムまたは装置において、
前記ワイヤレス受電装置は、スマートフォンまたはタブレットコンピュータであることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかのシステムまたは装置において、
前記ワイヤレス送電装置は、載置面を机面とした机であることを特徴とするシステムまたは装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤレス給電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンや制御機器などにおいて、ワイヤレス給電が用いられている。たとえば、ワイヤレス送電装置に設けられた送信側コイルと、ワイヤレス受電装置に設けられた受信側コイルとの電磁誘導により、ワイヤレス送電装置からワイヤレス受電装置に対して給電を行うように構成されている。
【0003】
この時、ワイヤレス受電装置の受信側コイルと、ワイヤレス送電装置の送信側コイルが適切に電磁誘導にて磁界結合されていないと、給電電力が小さくなったり、給電ができなくなったりすることがあった。
【0004】
このため、たとえば、特許文献1のように、ワイヤレス送電装置の送信側コイルを移動可能に構成し、受信側コイルに対して適切な位置となるように駆動制御するようにしたものもある。この技術によれば、受信側コイルと送信側コイルとの相対的位置関係がずれていたとしても、両コイルの位置関係を給電のために適切な位置にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-170135
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来の技術では、送信側コイルを駆動させる必要があり、装置の構造を複雑化するという問題があった。また、駆動音が生じる場合もあり、使用上耳障りでもあった。
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解決して、簡易な構成でありながら、ワイヤレス受電装置を適切な位置に載置することのできるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の独立して適用可能ないくつかの特徴を以下に列挙する。
【0009】
(1)この発明に係るワイヤレス送電装置は、ワイヤレス受電装置の受信側コイルとの間でワイヤレス送電を行うための送信側コイルと、当該送信側コイルの上に設けられ、ワイヤレス受電装置を載置するための載置面であって、前記送信側コイルの中心近傍を通る線上であって当該送信側コイルの両側に、ワイヤレス受電装置を載置する位置を示すための位置マークを有する載置面と、前記送信側コイルを介して、前記ワイヤレス受電装置からの情報データを取得し、送信側コイルに対する電力供給を制御する制御部とを備えたワイヤレス送電装置において、前記載置面には給電表示灯が設けられており、前記制御部は、ワイヤレス受電装置からの情報データに直接的または間接的に基づいて、前記送信側コイルから前記受信側コイルに向けて給電ができるかどうかを判断し、給電できないと判断すれば給電表示灯を第1状態にし、給電できると判断すれば給電表示灯を第2状態にすることを特徴としている。
【0010】
したがって、位置マークがワイヤレス受電装置を載置する位置の目安となり、給電表示灯によって確実な位置を知ることができる。
【0011】
(2)この発明に係るワイヤレス送電装置は、給電表示灯が、前記送電側コイルの中心近傍を通る線上であって、前記位置マークの外側に設けられていることを特徴としている。
【0012】
したがって、給電状態にあることを容易に確認することができる。
【0013】
(3)この発明に係るワイヤレス送電装置は、位置マークが、当該ワイヤレス給電装置に電源が供給されている間、常時点灯する発光器であることを特徴としている。
【0014】
したがって、視認性がよく、ワイヤレス受電装置を載置する際の位置合わせが容易である。
【0015】
(4)この発明に係るワイヤレス送電装置は、給電表示灯を、前記位置マークとして用いることを特徴としている。
【0016】
したがって、構成を簡素化することができる。
【0017】
(5)この発明に係るワイヤレス送電装置は、給電表示灯が、前記送電側コイルの中心近傍を通る線上に沿って配置された線状光源を備えていることを特徴としている。
【0018】
したがって、視認性がよく位置合わせが容易である。
【0019】
(6)この発明に係るワイヤレス送電装置は、給電表示灯の第1状態は消灯であり、給電表示灯の第2状態は点灯であることを特徴としている。
【0020】
したがって、消灯と点灯とによって状態を区別することができる。
【0021】
(7)この発明に係るワイヤレス送電装置は、給電表示灯の第1状態は第1色による点灯であり、給電表示灯の第2状態は第2色による点灯であることを特徴としている。
【0022】
したがって、色によって状態を区別することができる。
【0023】
(8)この発明に係るワイヤレス送電装置は、スマートフォンの受信側コイルとの間でワイヤレス送電を行うための送信側コイルと、当該送信側コイルの上に設けられ、スマートフォンを載置するための載置面であって、前記送信側コイルの中心近傍を通る線上であって当該送信側コイルの両側に、スマートフォンを載置する位置を示すため、常時点灯している位置表示灯を有する載置面と、前記送信側コイルを介して、前記スマートフォンからの情報データを取得し、送信側コイルに対する電力供給を制御する制御部とを備えたワイヤレス送電装置において、前記載置面には給電表示灯が設けられており、前記給電表示灯の少なくともその一部は、スマートフォンの受信側コイルに対して送信側コイルから給電できる位置にスマートフォンが載置された時に、スマートフォンの短い幅の両側において見えるように配置されており、前記制御部は、スマートフォンからの情報データに直接的または間接的に基づいて、前記送信側コイルから前記スマートフォンの受信側コイルに向けて給電ができるかどうかを判断し、給電できないと判断すれば給電表示灯を第1状態にし、給電できると判断すれば給電表示灯を第2状態にすることを特徴としている。
【0024】
したがって、位置表示灯がスマートフォンを載置する位置の目安となり、給電表示灯によって確実な位置を知ることができる。
【0025】
(9)この発明に係るワイヤレス給電システムは、ワイヤレス送電装置と平板状ディスプレイを有するワイヤレス受電装置を備えたワイヤレス給電システムであって、前記ワイヤレス送電装置は、ワイヤレス受電装置の受信側コイルとの間でワイヤレス送電を行うための送信側コイルと、当該送信側コイルの上に設けられ、ワイヤレス受電装置を載置するための載置面であって、前記送信側コイルの中心近傍を通る線上であって当該送信側コイルの両側に、ワイヤレス受電装置を載置する位置を示すための位置マークを有する載置面と、前記送信側コイルを介して、前記ワイヤレス受電装置からの情報データを取得し、送信側コイルに対する電力供給を制御する制御部とを備え、前記ワイヤレス受電装置は、当該ワイヤレス受電装置の受信側コイルの位置を記録する記録部と、ワイヤレス送電装置からの電力を受信可能な状態になると、記録されている前記受信側コイルの位置に対応する平板状ディスプレイの位置に受電側コイルの位置を示す受信側コイル位置表示を行う受信側コイル位置表示手段とを備えたことを特徴としている。
【0026】
したがって、受信側コイル位置表示により、より適切な位置合わせを可能としている。
【0027】
(10)この発明に係るワイヤレス給電システムは、位置マークは、少なくとも横に配置された位置マークを備えており、受信側コイル位置表示は、受電側コイルの縦方向の中心線に対応する表示と、受電側コイルの横方向の中心線に対応する表示とを備えていることを特徴としている。
【0028】
したがって、縦横方向の位置合わせが容易である。
【0029】
(11)この発明に係るワイヤレス受電装置は、ワイヤレス送電装置から給電を受けることのできるワイヤレス受電装置であって、ワイヤレス送電装置の送信側コイルから給電を受けるための受信側コイルと、当該ワイヤレス受電装置の受信側コイルの位置を記録する記録部と、ワイヤレス送電装置からの電力を受信可能な状態になると、録されている前記受信側コイルの位置に対応する平板状ディスプレイの位置に受電側コイルの位置を示す受信側コイル位置表示を行う給電表示制御手段とを備えている。
【0030】
したがって、ワイヤレス受電装置の位置合わせが容易である。
【0031】
(12)この発明に係るワイヤレス送電装置は、ワイヤレス受電装置が、スマートフォンまたはタブレットコンピュータであることを特徴としている。
【0032】
したがって、スマートフォンやタブレットコンピュータの位置合わせが容易となる。
【0033】
(13)この発明に係るワイヤレス送電装置は、ワイヤレス送電装置が、載置面を机面とした机であることを特徴としている。
【0034】
したがって、机にワイヤレス受電装置を置くだけで充電を行うことができる。
【0035】
「受信側コイル位置表示手段」は、実施形態においては、ステップS35がこれに対応する。
【0036】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】この発明の一実施形態によるワイヤレス送電装置6を埋め込んだ机2を示す図である。
図2】ワイヤレス送電装置6近傍の拡大断面図である。
図3】ワイヤレス送電装置6の斜視図である。
図4】ワイヤレス送電装置6およびスマートフォン20の制御部のハードウエア構成である。
図5】給電処理のフローチャートである。
図6】位置マークであるLED10a、10bと、給電表示灯であるLED12a、12bの動作を示す図である。
図7】他の例による、位置マーク、給電表示等を示す図である。
図8】受信側コイル位置表示の例である。
図9】位置マークとしてのLEDと、給電表示灯としてのLEDを共用化した場合の例である。
図10】第2の実施形態によるワイヤレス送電装置6を埋め込んだ机2を示す図である。
図11】ワイヤレス送電装置6およびスマートフォン20のハードウエア構成である。
図12】給電処理のフローチャートである。
図13】給電処理のフローチャートである。
図14】充電のリコメンドおよび受信側コイル位置表示の例である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
1.第1の実施形態
1.1概要
図1A、Bに、この発明の一実施形態によるワイヤレス送電装置6の外観を示す。この実施形態では、ワイヤレス送電装置を埋め込んだ机として構築している。図1A、Bは、机2の上面図である。机2の上板4の裏側の一部に、ワイヤレス送電装置6が埋め込まれている。
【0039】
図1Aに示すように、ワイヤレス送電装置6には、送信側コイル8が設けられている。送信側コイル8の中心線上に、位置表示灯であるLED10a、10bが設けられている。LED10a、10bは、ワイヤレス送電装置6に供給されている電力によって、常時点灯している。LED10a、10bは、送信側コイル8の両側に、送信側コイル8に対して対照な位置に設けられている。したがって、ユーザは送信コイル8の位置を、推定することが容易となる。
【0040】
LED10a、10bの外側に、給電表示灯としてLED12a、12bが設けられている。LED12a、12bは、通常の状態では消灯している。
【0041】
ユーザがワイヤレス受電装置であるスマートフォン20を、送信側コイル8の上に置くと、ワイヤレス送電装置6が給電可能な状態であると判断し、LED12a、12bを点灯する。これにより、ユーザは、給電がなされることを確認することができる。
【0042】
また、LED10a、10bが点灯しているので、面積の広い机2のどの位置に送信側コイル8があるかを容易に知ることができる。また、送信側コイル8に対して対照な位置に、LED10a、10bが設けられているので、その間にスマートフォン20を置くことで、適切な位置に載置することが容易となる。また、受信側コイルはスマートフォン20の長手方向の中央付近に設けられることが多く、送信側コイル8の中心線上にLED10a、10bが設けられているので、スマートフォンを適切な位置に置くことが容易である。
【0043】
1.2ワイヤレス送電装置の構造
図2Aに、机2の天板4に設けられたワイヤレス送電装置6近傍の断面図を示す。天板4には、凹部が設けられており、凹部の中にワイヤレス送電装置6が収納されている。ワイヤレス送電装置6の上面には、送信側コイル8が設けられており、その両側にはLED10a、10b、LED12a、12bが設けられている。
【0044】
天板4の上には、透光性を有するメラニン板4a(その他の透光性部材でもよい)が設けられており、ワイヤレス送電装置6を覆っている。メラニン板4aの上面は、載置面18となっている。LED10a、10b、LED12a、12bが点灯すると、その光はメラニン板4aを通過して、ユーザが確認することができる。一方、この実施形態では、メラニン板4aは透明部材としていないので、LED10a、10b、LED12a、12bが消灯していると、その存在を認識することはできなくなっている。
【0045】
図2Bに、ワイヤレス送電装置6の断面図を示す。送信側コイル8の下には、磁束を制御するための磁束制御板3が設けられている。その下には、放熱板5が設けられている。
【0046】
最下部にはベース板(図示せず)が設けられ、その上には放熱ファン13が設けられている。放熱ファン13と放熱板5の間には、スペーサ11が配置され空間が形成されている。その空間内に、制御部60が収納されている。
【0047】
図3に、ワイヤレス送電装置6の斜視図を示す。上部には送信用コイル8が設けられている。
【0048】
1.3ハードウエア構成
図4に、ワイヤレス送電装置6の制御部と、スマートフォン20の制御部を示す。ワイヤレス送電装置6のCPU30には、I/Oポート32、復調回路34、不揮発性メモリ36、ドライバ38が接続されている。I/Oポート32には、LED10a、10b、12a、12b、冷却ファン13のモータ15が接続されている。LED10a、10bは、常時点灯するように制御されている。なお、LED10a、10bは、電源回路に直接接続して常時点灯となるようにしてもよい。
【0049】
ドライバ38は、送信側コイル8に与える交流信号の周波数やデューティ比を制御するものである。このような制御により、送信する電力を制御することができる。
【0050】
不揮発性メモリ36には、オペレーティングシステム40(たとえば、TRONなど)、制御プログラム42が記録されている。制御プログラム42は、オペレーティングシステム40と協働してその機能を発揮するものである。
【0051】
スマートフォン20のCPU50には、変調回路52、充電回路56が接続されている。CPU50は、ワイヤレス充電を制御するためのCPUであり、スマートフォン20全体を制御するCPUは別途設けられている。なお、CPU50は、スマートフォン全体を制御するCPUとの間でデータのやり取りが可能となっている。CPU50は、不揮発性メモリ(図示せず)に記録されたオペレーティングシステム、制御プログラムによって各部の制御を行う。
【0052】
整流回路54は、受信側コイル58にて受信した高周波信号を整流して直流に変換する。充電回路56は、昇圧、降圧などを行って整流回路54の出力を所望の電圧にして、スマートフォン20の二次電池を充電する。
【0053】
また、この実施形態では、Qi規格に基づき後方錯乱変調により、スマートフォン20の側から、ワイヤレス送電装置6に向けてデータを送信することができるように構成されている。スマートフォン20のCPU50は、次のようにしてデータ通信を行う。CPU50は、送信すべきデータを変調回路52に与える。変調回路52は、受信側コイル58の電圧を、当該データによって振幅変調する。この振幅の変化は電磁誘導によって送信側コイル8に伝達される。復調回路34は、この振幅の変化を検出して、データを復調する。CPU30は、これを取得する。
【0054】
以上のようにして、スマートフォン20からワイヤレス送電装置6に向けてデータを送信することができる。
【0055】
1.4給電処理
図5に、給電処理のフローチャートを示す。左側がワイヤレス送電装置6の制御プログラム42であり、右側がスマートフォン20の制御プログラムである。
【0056】
ワイヤレス送電装置6のCPU30(以下、ワイヤレス送電装置6と省略することがある)は、ドライバ38を制御して、所定時間間隔(たとえば、600msecごと)で送信用コイル8に所定周波数の電圧を印加する(ステップS1)。この時、載置面18にスマートフォン20が置かれていないと、スマートフォン20からの通信はない。したがって、ワイヤレス送電装置6は、所定時間間隔での電圧印加を繰り返す。
【0057】
図6Aに、載置面18にスマートフォン20が置かれていない時の、ワイヤレス送電装置6近傍の状態を示す。円状に巻回された送信用コイル8の中心点9(もしくはその近傍)を通る直線7上に配置されたLED10a、10bは、点灯した状態にある。LED10a、10bは、送信用コイル8を挟んで、対象となる位置に設けられているので、ユーザが容易に送信用コイル8の位置を推定することができる。したがって、LED10a、10bの間隔は、スマートフォン20の幅よりも広いことが好ましい。
【0058】
LED10a、10bの外側には、やはり直線7上に、LED12a、12bが設けられている。図6Aの状態では、LED12a、12bは消灯している。
【0059】
載置面18にスマートフォン20が置かれると、電磁誘導により、送信用コイル8に印加された交流電圧が、受信用コイル18に送信される。スマートフォン20のCPU50(以下、スマートフォン20と省略することがある)は、受信用コイル18に交流電圧が生じたか否かを判断している(ステップS21)。ワイヤレス送電装置6からの交流電圧を受信すると、ステップS22を実行する。
【0060】
ステップS22において、スマートフォン20は、変調回路52を用いて、当該スマートフォンの個体識別情報および送電条件(何Wでの受信ができるかなどの条件)等を示すデータによって、交流電圧を振幅変調する。この振幅変調の変化は、送信側コイル8にも生じる。ワイヤレス送電装置6の復調回路34は、振幅変調された交流電圧を復調し、前記個体識別情報および送電条件等を得る。ワイヤレス送電装置6のCPU30は、これを取得する(ステップS2)。
【0061】
ワイヤレス給電装置6は、スマートフォン20からの個体識別情報および送電条件等を取得し、相手方のスマートフォン20が自らの使用するワイヤレス給電規格に合致するものであれば、LED12a、12bを点灯するよう制御する(ステップS3)。このとき、ワイヤレス給電装置6は、モータ15を駆動させて、冷却ファン13を作動させる。
【0062】
図6に、スマートフォン20を載置面18に置いたときの状態を示す。LED12a、12bも点灯し、スマートフォン20が適切に置かれて、給電が開始されることが示される。
【0063】
次に、ワイヤレス送電装置6は、受信した送電条件に基づいて、送信用コイル8に交流電圧を印加して送電を開始する(ステップS4)。スマートフォン20は、受信側コイル58によって交流電圧を受信し、整流回路54を経て、充電回路56によって、スマートフォン20の二次電池(バッテリー)を充電する。
【0064】
スマートフォン20は、充電回路58の電圧などを検出し、これを受電状態データとして、変調回路52を用いて、ワイヤレス送電装置60に送信する(ステップS23)。
【0065】
ワイヤレス送電装置6は、復調回路34を介して受電状態データを取得する(ステップS5)。続いて、ワイヤレス送電装置6は、この受電状態データに基づいて、送電量をフィードバック制御する(ステップS6)。たとえば、受電量が小さい場合には送電量を大きくし、受電量が大きい場合には送電量を小さくするように制御する。なお、ワイヤレス送電装置6は、送信用コイル8に印加する交流電圧の周波数やデューティ比を変えることで、送電量を制御するようにしている。
【0066】
以上のようにしてワイヤレス給電による充電が行われる。スマートフォン20は、充電回路56の制御状態を監視し、充電が完了したか否かを判断する(ステップS24)。充電が完了していなければ、ステップS23を繰り返し実行する。
【0067】
充電が完了すると、スマートフォン20は、充電完了を変調回路52を介して送信する(ステップS25)。ワイヤレス送電装置6は、復調回路34を介して充電完了を受け取ると(ステップS7)、処理を終了する。
【0068】
なお、ワイヤレス送電装置6は、スマートフォン20が載置面18から移動され、所定時間継続してスマートフォン20からのデータ通信がなくなった場合も、処理を終了する。この場合、ワイヤレス送電装置6は、LED12a、12bを消灯し、充電が行われていないことをユーザに知らせることができる。
【0069】
上記のようにして、スマートフォン20を充電するために所定の位置に置く際、LED10a、10bによっておおよその位置を確認することができ、さらに、スマートフォン20を適切な位置に置くと、LED12a、12bが点灯し、充電が適切に行われることを確認することができる。
【0070】
なお、図4に示すワイヤレス給電装置6の構成は、Kington社のKT-CG10W3やTexas社のbp500211などのワイヤレス給電のためのカスタムICを用いるようにしてもよい。この場合、充電開始を示す信号端子がONになれば、LED12a、12bを点灯するようにすればよい。
【0071】
1.5その他
(1)上記実施形態においては、位置マークであるLED10a、10bおよび給電表示灯であるLED12a、12bを、送信側コイル8の中心線上(もしくは中心線から10mm以下離れた線上)に配置している。しかし、送信側コイル8の中心線にこれらを配置しなくともよい。
【0072】
ただし、少なくとも位置マークは、当該中心線上に設けることが、位置確認を容易にするために好ましい。たとえば、図7Aに示すように、給電表示灯であるLED12を左上に一つだけ設けるようにしてもよい。
【0073】
(2)上記実施形態においては、位置マークであるLED10a、10bおよび給電表示灯であるLED12a、12bを、点状の光源としている。しかし、図7Bに示すように、線状のLED10、12を用いるようにしてもよい。位置マークであるLED10は常時点灯させ、給電表示灯であるLED12は給電時に点灯するように制御する。この場合、LED10、12の長さは、スマートフォン20の幅よりも大きいことが好ましい。
【0074】
また、線状LEDと点状LEDを組み合わせて用いるようにしてもよい。さらに、位置マークとして文字(「充電位置」などの文字)や符号などを、表示光源によって表示するようにしてもよい。同様に、給電表示灯として文字(「充電中」などの文字)や符号などを表示する表示光源を用いてもよい。
【0075】
(3)上記実施形態では、LEDを用いている。しかし、有機EL、液晶など他の表示器を用いるようにしてもよい。
【0076】
さらに、ワイヤレス送電装置6の上にディスプレイを設け、このディスプレイ上に、位置マークと給電表示を行うようにしてもよい。
【0077】
(4)上記実施形態では、位置マークを光源であるLED10a、10bによって構成している。しかし、載置面18に施された印刷や、凹部や凸部などを設けて位置マークとしてもよい。また、色彩などの異なる部材を埋め込んで位置マークとしてもよい。図7Cに、位置マークを印刷マーク70a、70bとした場合の例を示す。印刷などの位置マークにおいても、点ではなく線としてもよい。さらに、文字や符号などとしてもよい。
【0078】
(5)上記実施形態では、位置マークであるLED10a、10b、給電表示灯であるLED12a、12bを、横方向の中心線7の上に配置している。しかし、図7Dに示すように、縦方向の中心線17の上にも位置マークであるLED10c、10d、給電表示灯であるLED12c、12dを配置するようにしてもよい。また、縦方向の中心線17の上のみに位置マークであるLED10c、10d、給電表示灯であるLED12c、12dを配置するようにしてもよい。
【0079】
(6)上記実施形態に加えて、スマートフォン20の側において受電開始を検知すると(ステップS22、S23)、スマートフォン20の全体を制御するCPUがこれを得て、次のような処理を行ってもよい。CPUは、予め記録されている自機の受信側コイルの位置を読み出す。その位置に対応するディスプレイ上の位置に、位置決めのための受信側コイル位置を表示させる。
【0080】
図8に、ディスプレイに表示された受信側コイル位置表示の例を示す。送信側コイル8と受信側コイル18との位置はずれていないことが送電のためには好ましい。少しずれていても、送電は可能であるが、効率が落ちることになる。
【0081】
図8の例の場合、受信側コイル18の位置を示すマーク80は、送信側コイル8の位置を示す位置マークのLED10a、10bからわずかに下方向にずれている。ユーザは、スマートフォン20を動かして、両者を合致させることができる。この際、ディスプレイに表示された横中心線82が合致の目安となる。
【0082】
なお、横方向に位置がずれている場合(タブレットの場合などに特に有効である)には、縦中心線84を合致の目安とすることができる。
【0083】
また、図8においては、LED12a、12bを給電表示灯として設けているが、受信側コイル位置表示80を給電表示として用い、LED12a、12bを設けないようにしてもよい。
【0084】
(7)上記実施形態では、位置マークとしてのLED10a、10b、給電表示灯としてのLED12a、12bを設けている。しかし、図9に示すように、これらを共通のLED11a、11bによって構成するようにしてもよい。
【0085】
図9Aに示すように、スマートフォン20が載置されていない間は、LED11a、11bは、第1色(たとえばオレンジ)にて発光するようCPU30によって制御される。図9Bに示すように、スマートフォン20が載置されると、LED11a、11bは、第2色(たとえば青色)にて発光するようCPU30によって制御される。
【0086】
なお、同じ色で発光させ、その発光態様(点灯間隔など)を変えて区別できるようにしてもよい。
【0087】
(8)上記実施形態では、非透明で透光性のあるメラニン板4aの下にLED10a、10b、LED12a、12bを設けている。しかし、透明な薄板の下にLED10a、10b、LED12a、12bを設け、消灯時にもその存在を確認できるようにしてもよい。あるいは、LED10a、10b、LED12a、12bをメラニン板4aにて覆うことなく、消灯時もその存在を確認できるようにしてもよい。
【0088】
この場合、スマートフォン20が載置される前には、消灯させておき、載置されると点灯するようにしてもよい。点灯していないLED11a、11bが位置マークとしての役割を果たすことになる。光源は、点状ではなく線状や、文字や符号を表示するもとしてもよい。
【0089】
(8)上記実施形態では、ワイヤレス受電装置としてスマートフォン20を例にとって説明した。しかし、タブレットコンピュータ、パソコン、ノートパソコン、卓上ファン、タスクライトなどの小型照明器具、Wifi等の送信機、GPS受信機を装着した靴など、給電が必要な機器一般に適用することができる。また、上記実施形態では充電を行う場合について説明したが、充電せずにワイヤレス給電によって動作する機器についても同様に適用することができる。
【0090】
(9)上記実施形態では、ワイヤレス送電装置6を机に埋め込んだ場合について説明した。しかし、スマートフォン20などのワイヤレス受電装置を載置することのできるものであれば、テーブル、シューズボックスなどその他の家具や、床面、壁面(スマートフォン20を保持する機構が必要となる)などに埋め込むようにしてもよい。
【0091】
また、ワイヤレス受電装置6を埋め込むことなく、単独で充電装置や給電装置として用いるようにしてもよい。
【0092】
(10)上記実施形態では、Qi規格に基づく無線給電について説明したが、PMA規格、Rezence規格など他の方式に基づく無線給電においても適用することができる。
【0093】
(11)上記実施形態及びその変形例は、その本質に反しない限り、他の実施形態及びその変形例と組み合わせて実施可能である。
【0094】
2.第2の実施形態
2.1概要
図10に、第2の実施形態によるワイヤレス送電システムの概要を示す。この実施形態では、ワイヤレス送電装置6にNFC送受信機25を設けるようにしている。
【0095】
スマートフォン20のNFC送受信機(図示せず)は、ワイヤレス送電装置6に近づくと、NFC送受信機25からの信号を受信し、ワイヤレス送電装置6が近くにいることを検出することができる。
【0096】
スマートフォン20は、自機の残バッテリー量を取得し、残量が所定値より下回っていれば、ディスプレイに充電をした方が好ましい旨の表示を行う。さらに、自機に記録されているワイヤレス給電のための受信側コイルの位置を読み出して、ディスプレイ上の対応する位置に受信側コイル位置表示80を表示する。
【0097】
充電を行おうとするユーザは、位置マークとしてのLED10a、10bを目安にして、スマートフォン20をその間に載置する。この時、スマートフォン20のディスプレイに表示されている受信側コイル位置表示80により、正確に位置決めを行うことができる。
【0098】
スマートフォン20が載置されると、第1の実施形態と同じように、給電表示灯であるLED12a、12bが点灯する。
【0099】
この実施形態によれば、スマートフォン20などの電池残量が少なくなっているとき、近くにワイヤレス送電装置6があれば、充電を行うように促すメッセージをスマートフォン20に表示させることができる。
【0100】
さらに、受信側コイルの位置をディスプレイ上に表示するようにしているので、位置合わせが容易である。
【0101】
2.2ワイヤレス送電装置の構造
ワイヤレス送電装置6の基本的構造は第1の実施形態と同じである。ただし、NFC送受信機25が設けられている点が異なっている。NFC送受信機25は、ワイヤレス送電装置6と一体として設けてよいが、別途設けるようにしてもよい。
【0102】
2.3ハードウエア構成
図11に、ワイヤレス送電装置6とスマートフォン20のハードウエア構成を示す。ワイヤレス送電装置6の構成は、第1の実施形態と同様であるが、NFC送受信機25がCPU30に接続され、CPU30から制御可能になっている点が異なっている。
【0103】
図11においては、スマートフォン20全体を制御するCPU90が示されている。CPU90には、タッチディスプレイ92、NFC送受信機95、通信回路97、不揮発性メモリ94が接続されている。通信回路97は、インターネットに接続するためのものである。図において、通話回路などは省略している。また、CPU90は、ワイヤレス給電を制御するためのCPU50ともデータ交換が可能に構成されている。
【0104】
不揮発性メモリ94には、オペレーティングシステム96、制御プログラム98が記録されている。制御プログラム98は、オペレーティングシステム96と協働してその機能を発揮するものである。
【0105】
2.4給電処理
図12図13に、給電処理のフローチャートを示す。図12において、左側はワイヤレス送電装置6の制御プログラム42の処理であり、右側はスマートフォン20の制御プログラム98の処理である。
【0106】
ワイヤレス送電装置6のCPU30(以下、ワイヤレス送電装置6と省略することがある)は、所定時間間隔にて送信用コイル8に交流電圧を印加する(ステップS1)。この処理は、第1の実施形態と同じである。
【0107】
また、ワイヤレス送信装置6は、NFC送受信機25を制御して(あるいは自律的に)、ポーリング信号を送信する(ステップS11)。図10に示すように、ワイヤレス送電装置6の近傍にスマートフォン20があると、スマートフォン20のNFC送受信機95は、このポーリング信号を受信し、NFC送受信機25との間で、通信方式の確認、相手方の確認などを行って通信を確立する(ステップS12、S32)。
【0108】
スマートフォン20のCPU90(以下、スマートフォン90と省略することがある)は、ワイヤレス送電装置6のNFC送受信機25と通信が確立したことにより、ワイヤレス送電装置6が近傍に存在することを知る。スマートフォン20は、自らのバッテリー残量が所定値以下(たとえば、30%以下)となっているかどうかを判断する(ステップS33)。所定値以下となっておらず十分な残量が残っていれば、図13のステップS21を実行する。
【0109】
所定値以下となっており十分な残量が残っていなければ、スマートフォン20は、充電をすることが好ましい旨のリコメンドを、タッチディスプレイ92に表示する(ステップS34)。表示されたリコメンドの例を、図14に示す。
【0110】
続いて、スマートフォン20は、不揮発性メモリ94に記録されている自機の受信用コイル58の位置情報を読み出す。受信用コイル58の位置は、スマートフォン20の機種ごとに定まっている。これを予め、不揮発性メモリ94に記録しておく。
【0111】
なお、予め各メーカの各機種の受信用コイル58の位置を調査し、機種番号と対応付けて記録したサーバ装置(図示せず)を用意しておき、これに対して機種番号を送信して、受信用コイル58の位置を取得するようにしてもよい。
【0112】
なお、この実施形態では、タッチディスプレイ92の左下を原点とした、横方向(Y)、縦方向(X)によるXY座標によって、受信用コイル58の中心点の位置を示すことで、受信用コイル58の位置を表現したDBをサーバ装置に記録するようにしている。
【0113】
また、受信用コイル58の大きさも機種によって変わってくるが、この実施形態では、同一の大きさであるものとしている。中心点がわかればよいからである。もちろん、受信用コイル58の大きさについてもDBに登録するようにしてもよい。
【0114】
スマートフォン20は、取得した受信用コイル58の位置に対応するタッチディスプレイ92上の位置に、受信側コイル位置表示80を行う(ステップS35)。図14に、受信側コイル位置表示80の例を示す。
【0115】
ユーザは、この位置に受信側コイル58があることがわかるので、机2の位置マーク10a、10bを結ぶ線と、受信側コイル位置表示80の中心線99とを合致させることにより、容易に位置合わせを確実にすることができる。
【0116】
なお、受信側コイル位置表示80は、図8に示すようなものを表示するようにしてもよい。
【0117】
スマートフォン20が、図10Bの位置に置かれた後の処理は、第1の実施形態と同様である(図13参照)。
【0118】
以上のように、この実施形態によれば、電池残量が少ないときに、近くにワイヤレス送電装置6があることを示すことができ、しかも、位置合わせが容易となる表示を行うことができる。
【0119】
2.5その他
(1)上記実施形態では、充電のリコメンドと、受信側コイル位置表示の双方を行うようにしている。しかし、いずれか一方のみを行うようにしてもよい。
【0120】
また、電池残量が所定値以下の場合のみ上記の処理(充電のリコメンドや受信側コイル位置表示)を行っているが、電池残量に関係なく、これらの処理を行うようにしてもよい。
【0121】
(2)上記実施形態では、充電のリコメンドをタッチディスプレイ92への表示にて行っている。しかし、音声や振動(CPU90によって振動子を動作させるように制御する)によって出力するようにしてもよい。
【0122】
(3)上記実施形態及びその変形例は、その本質に反しない限り、他の実施形態及びその変形例と組み合わせて実施可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14