(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171164
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】電池および電池製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/469 20210101AFI20221104BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20221104BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20221104BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20221104BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20221104BHJP
【FI】
H01M50/469
H01M10/04 Z
H01M50/403 C
H01M50/489
H01M50/414
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077635
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】都築 秀典
(72)【発明者】
【氏名】國谷 繁之
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
【Fターム(参考)】
5H021BB02
5H021CC05
5H021EE02
5H021EE03
5H021EE11
5H021HH03
5H028AA07
5H028AA08
5H028BB04
5H028HH05
(57)【要約】
【課題】放電性能を向上させる。
【解決手段】電池1は、正極缶11と、管状に形成されて正極缶11の内部に配置される正極3と、正極3の内部に配置される負極5と、セパレータ7とを備えている。セパレータ7は、不織布から形成されている側面部材25と、不織布よりイオンが透過しにくいホットメルト樹脂から形成されている底面部材26とを備えている。側面部材25は、負極5と正極3とに挟まれている。底面部材26は、負極5と正極缶11とに挟まれている。底面部材26は、不織布が負極5と正極缶11とに挟まれないように、かつ、ホットメルト樹脂が負極5と正極3とに挟まれないように、側面部材25に接合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極缶と、
管状に形成され、前記正極缶の内部に配置される正極と、
前記正極の内部に配置される負極と、
セパレータとを備え、
前記セパレータは、
第1材料から形成されている側面部材と、
絶縁性の第2材料から形成されている底面部材とを有し、
前記側面部材は、前記負極と前記正極とに挟まれ、
前記底面部材は、前記負極と前記正極缶とに挟まれ、
前記底面部材は、前記第1材料が前記負極と前記正極缶とに挟まれないように、かつ、前記第2材料が前記負極と前記正極とに挟まれないように、前記側面部材に接合される
電池。
【請求項2】
前記底面部材は、前記正極缶に密着している
請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記底面部材の厚さは、0.1mm以上であり、かつ、1mm以下である
請求項1または請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記底面部材の厚さは、0.1mm以上であり、かつ、0.3mm以下である
請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記第2材料は、加熱されることにより液状になるホットメルト樹脂である
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
前記側面部材のうちの前記底面部材に近い側の端は、前記端に近付くにつれ細くなるように形成される
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
正極缶と、
管状に形成され、前記正極缶の内部に配置される正極と、
前記正極の内部に配置される負極と、
セパレータとを備え、
前記セパレータは、
第1材料から形成されている側面部材と、
前記第1材料よりイオンが透過しにくい第2材料から形成されている底面部材とを有し、
前記側面部材は、前記負極と前記正極とに挟まれ、
前記底面部材は、前記負極と前記正極缶とに挟まれる
電池
を製造する電池製造方法であり、
前記側面部材を作製することと、
前記側面部材が作製された後に、前記側面部材に接合された前記底面部材を作製して、前記セパレータを作製することと、
前記セパレータが作製された後に、前記セパレータを前記正極の内側に挿入すること
とを備える電池製造方法。
【請求項8】
前記底面部材は、液状のホットメルト樹脂に前記側面部材の一端を接触させることにより、作製される
請求項7に記載の電池製造方法。
【請求項9】
前記セパレータが前記正極の内側に挿入された後で、前記底面部材を前記正極缶に向かって加圧することと、
前記底面部材が加圧された後に、前記セパレータの内部に前記負極を充填すること
とをさらに備える請求項7または請求項8に記載の電池製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、電池および電池製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
正極缶の内部に格納される正極と負極とが有底円筒形のセパレータにより隔てられているアルカリ乾電池が知られている。セパレータのうちの負極と正極缶とを隔てている底部は、負極から成長するデンドライトにより貫通されないように、ホットメルト樹脂を含んでいることがある(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-067878号公報
【特許文献2】特開平10-040927号公報
【特許文献3】特開平11-102687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ホットメルト樹脂の注入精度が悪いときに、セパレータの底面に閉鎖不良が発生しないように、ホットメルト樹脂を多めに注入する必要がある。アルカリ乾電池は、ホットメルト樹脂が多めに注入されることにより、セパレータのうちの負極と正極とを隔てている側面部にホットメルト樹脂が含侵したり、負極の内容積が低減したりして、放電性能が低下することがある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、放電性能を向上させる電池および電池製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による電池は、正極缶と、管状に形成され、前記正極缶の内部に配置される正極と、前記正極の内部に配置される負極と、セパレータとを備えている。前記セパレータは、第1材料から形成されている側面部材と、絶縁性の第2材料から形成されている底面部材とを有している。前記側面部材は、前記負極と前記正極とに挟まれている。前記底面部材は、前記負極と前記正極缶とに挟まれている。前記底面部材は、前記第1材料が前記負極と前記正極缶とに挟まれないように、かつ、前記第2材料が前記負極と前記正極とに挟まれないように、前記側面部材に接合されている。
【発明の効果】
【0007】
開示の電池および電池製造方法は、放電性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の電池を示す断面図である。
【
図2】
図2は、底面部材が接合されていない側面部材を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、セパレータに形成される途中の側面部材を示す側面図である。
【
図5】
図5は、正極の内側に挿入されたセパレータを示す断面図である。
【
図6】
図6は、空気がセパレータの内側に入れられたときの底面部材を示す断面図である。
【
図7】
図7は、比較例1の電池のセパレータを示す概略断面図である。
【
図8】
図8は、比較例3の電池のセパレータを示す概略断面図である。
【
図9】
図9は、変形例の電池のセパレータを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる電池および電池製造方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0010】
[実施形態の電池1]
実施形態の電池1は、
図1に示されているように、いわゆるアルカリ乾電池であり、電池ケース2と正極3と負極5と集電棒6とセパレータ7とを備えている。
図1は、実施形態の電池1を示す断面図である。電池ケース2は、正極缶11と負極端子板12と封口ガスケット14とを備えている。正極缶11は、金属に例示される導体から形成されている。正極缶11は、有底円筒形に形成され、側面部分15と底面部分16とを備えている。側面部分15は、円柱の側面に沿うように、屈曲した板から形成されている。底面部分16は、円柱の一方の底面に沿うように配置されている。底面部分16は、底面部分16の縁が底面部分16の一方の端に隣接するように、側面部分15に一体に繋がっている。
【0011】
底面部分16には、凹凸が形成され、底面部分16の中央には、正極端子部分17が形成されている。正極端子部分17は、正極缶11の内側から外側に向かって突出するように形成されている。正極缶11には、開口部18が形成されている。開口部18は、側面部分15のうちの円柱の他方の底面に対応する部位に形成されている。正極缶11の内部は、開口部18を介して正極缶11の外部に繋がっている。側面部分15には、ビーディング部21が形成されている。ビーディング部21は、側面部分15のうちの開口部18の近傍に形成されている。ビーディング部21は、側面部分15のうちの開口部18の近傍の一部の内径が小さくなるように、形成されている。
【0012】
負極端子板12は、金属に例示される導体から形成され、概ね円板状に形成されている。負極端子板12は、正極缶11の開口部18を閉鎖するように、円柱の他方の底面に沿うように配置されている。電池ケース2の内部には、負極端子板12が開口部18を閉鎖することにより、正極缶11と負極端子板12とに囲まれる内部空間23が形成されている。
【0013】
封口ガスケット14は、樹脂に例示される絶縁体から形成され、概ねリング状に形成されている。封口ガスケット14は、負極端子板12の縁を取り囲み、正極缶11の開口部18に配置されている。封口ガスケット14は、負極端子板12の縁と正極缶11とに挟まれ、負極端子板12の縁と正極缶11との間に形成される隙間を塞いでいる。負極端子板12は、封口ガスケット14が負極端子板12の縁と正極缶11とに挟まれることにより、封口ガスケット14を介して正極缶11に固定されている。負極端子板12は、封口ガスケット14が負極端子板12の縁と正極缶11とに挟まれることにより、封口ガスケット14を介して正極缶11から電気的に絶縁されている。
【0014】
正極3は、正極作用物質とバインダーと水酸化カリウム水溶液とから形成されている。正極作用物質は、二酸化マンガンMnO2と黒鉛Cとを含んでいる。バインダーは、たとえば、高分子化合物を含有し、正極作用物質から形成される粉体を互いに接着させて固形物に形成する。正極3は、管状に形成され、電池ケース2の内部空間23に配置されている。正極3は、正極作用物質が正極缶11に電気的に接続されるように、正極缶11の側面部分15の内周面に密着している。負極5は、負極作用物質から形成され、ゲル状に形成されている。負極作用物質は、亜鉛合金粉と水酸化カリウム水溶液とを含んでいる。負極5は、電池ケース2の内部空間23のうちの正極3の内側に配置されている。
【0015】
集電棒6は、導体から形成され、棒状に形成されている。集電棒6は、側面部分15が沿う円柱の中心軸に沿うように内部空間23に配置されている。集電棒6は、さらに、負極5の負極作用物質に電気的に接続されるように、負極5に埋設されている。集電棒6は、さらに、封口ガスケット14の中央を貫通している。集電棒6の一端は、集電棒6が負極端子板12に電気的に接続されるように、負極端子板12に接合されている。
【0016】
セパレータ7は、中空である円柱状に形成され、側面部材25と底面部材26とを備えている。側面部材25は、ビニロンやパルプ等に例示される絶縁体から形成されている不織布から形成されている。なお、側面部材25は、イオン伝導性が良好である他の絶縁体から形成されてもよい。側面部材25は、管状に形成され、セパレータ7が形成する円柱の側面に対応する部分を形成している。側面部材25は、内部空間23のうちの正極3と負極5との間に配置され、正極3と負極5とを隔てている。
【0017】
底面部材26は、ホットメルト樹脂から形成されている。ホットメルト樹脂は、主に、常温で固形となり加熱により液状となる熱可塑性樹脂から形成されている。ホットメルト樹脂は、アルカリに対して耐性を有している。ホットメルト樹脂は、さらに、側面部材25が形成される材料に比較して、イオンが透過しにくく、すなわち、固形のホットメルト樹脂のイオン伝導性は、側面部材25が形成される材料のイオン伝導性より悪い。なお、底面部材26は、ホットメルト樹脂と異なる他の材料から形成されることもできる。その材料は、アルカリに対して耐性を有し、側面部材25が形成される材料に比較して、イオンが透過しにくく、すなわち、その材料のイオン伝導性は、側面部材25が形成される材料のイオン伝導性より悪い。このような材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル等が例示される。底面部材26は、円いシート状に形成され、セパレータ7が形成する円柱の一方の底面に対応する部分を形成している。底面部材26は、内部空間23のうちの負極5と正極缶11の底面部分16との間に配置され、正極缶11の底部と負極5とを隔てている。底面部材26は、側面部材25と底面部材26との間に隙間が形成されないように、側面部材25に接合されている。なお、
図1では、底面部材26は、平坦に形成され、セパレータ7の底面部材26と正極缶11の底面部分16との間に隙間が形成されているが、底面部材26と底面部分16との間に隙間が形成されないように、屈曲し、底面部分16に密着していてもよい。
【0018】
電池1は、電解液をさらに備えている。電解液は、水酸化カリウムKOHを含有する水溶液から形成されている。電解液は、正極3と負極5とが電解液に浸漬されるように、内部空間23に配置され、セパレータ7に染み込み、正極3に染み込んでいる。
【0019】
[実施形態の電池製造方法]
実施形態の電池製造方法は、セパレータの作製と電池の組立とを備えている。セパレータの作製では、底面部材26が接合されていない側面部材25が準備される。
図2は、底面部材26が接合されていない側面部材25を示す斜視図である。側面部材25の一端31には、開口部32が形成され、端面33が形成されている。側面部材25の内部は、開口部32を介して側面部材25の外部に接続されている。端面33は、概ね平坦に形成され、1つの平面に沿っている。
【0020】
セパレータの作製では、さらに、
図3に示されているように、ホットメルト樹脂34が準備される。
図3は、セパレータ7に形成される途中の側面部材25を示す側面図である。ホットメルト樹脂34は、加熱されて液状に形成され、容器35に貯留されている。側面部材25は、端面33の全部がホットメルト樹脂34に接触するように、かつ、側面部材25のうちの端面33と異なる表面がホットメルト樹脂34になるべく接触しないように、ホットメルト樹脂34の上に配置される。
【0021】
側面部材25は、端面33の全部がホットメルト樹脂34に接触した後に、ホットメルト樹脂34から離される。ホットメルト樹脂34の一部は、側面部材25がホットメルト樹脂34から離されることにより、側面部材25の開口部32を塞ぐ膜に形成される。その膜は、側面部材25がホットメルト樹脂34から離されることにより、冷却され、固化し、
図4に示されているように、底面部材26に形成される。
図4は、セパレータ7を示す斜視図である。
【0022】
なお、セパレータ7は、ホットメルト樹脂と異なる他の絶縁体を用いて底面部材26が形成されるときに、他の工程により底面部材26が作製される。その工程では、たとえば、絶縁体から形成されているシートから円板状の底紙が切り取られ、その底紙が開口部32を塞ぐように、その底紙が側面部材25に接着されて、セパレータ7が作製される。
【0023】
電池の組立では、正極3と、ビーディング部21が形成される前の正極缶11とが準備される。正極3は、正極3の外周面が正極缶11に内周面に接触するように、正極缶11の内部に挿入される。正極缶11は、正極3が正極缶11に挿入された後に、正極缶11の開口部18にビーディング部21が形成されるように、加工される。正極3は、正極缶11にビーディング部21が形成されることにより、正極缶11から抜け出ることが防止される。正極缶11にビーディング部21が形成された後に、
図5に示されているように、セパレータ7が正極3の内側に挿入される。
図5は、正極3の内側に挿入されたセパレータ7を示す断面図である。
【0024】
セパレータ7が正極3の内側に挿入された後に、予め定められた圧力で空気がセパレータ7の内側に注入される。底面部材26は、空気がセパレータ7の内側に注入されることにより、正極缶11の底面部分16に向かって加圧され、
図6に示されているように、屈曲し、底面部分16に密着する。
図6は、空気がセパレータ7の内側に入れられたときの底面部材26を示す断面図である。なお、電池の組立では、底面部材26を底面部分16に向けて加圧する工程が省略されてもよい。
【0025】
セパレータ7が正極3の内側に挿入された後に、電解液が正極3の内側に注入されてセパレータ7に染み込ませられる。このとき、電解液は、正極3にも染み込む。電池の組立では、さらに、亜鉛合金粉と水酸化カリウム水溶液とを用いてゲル状の負極5が調製され、集電棒6と負極端子板12と封口ガスケット14とが準備される。負極5は、セパレータ7と正極3とに電解液が染み込んだ後に、予め定められた高さまでセパレータ7の内側に注入される。負極5が注入された後に、負極端子板12に接合された集電棒6が負極5に埋め込まれるように、かつ、負極端子板12と封口ガスケット14とが開口部18を閉鎖するように、集電棒6と負極端子板12と封口ガスケット14とが正極缶11に取り付けられる。集電棒6と負極端子板12と封口ガスケット14とが正極缶11に取り付けられた後に、負極端子板12の縁と正極缶11との間に形成される隙間が封口ガスケット14により封止されるように、正極缶11の開口部18の近傍の部分がかしめられる。正極缶11がかしめられることにより、封口ガスケット14が変形し、集電棒6と負極端子板12と封口ガスケット14とが正極缶11に固定され、内部空間23が外部から密閉され、電池1が作製される。
【0026】
このような電池製造方法によれば、セパレータ7は、予め定められた値に底面部材26の厚さが等しくなるように、かつ、底面部材26が側面部材25に適切に接合されるように、容易に、かつ、適切に作製されることができる。
【0027】
[電池1の評価試験]
実施形態の電池1の効果を確認するために、複数の電池試料が作製され、複数の電池試料の各々に複数の評価試験が実行されている。表1は、複数の電池試料に対応する複数の作製条件と複数の評価結果とを示している。
【表1】
【0028】
複数の電池試料は、比較例1の電池と比較例2の電池と比較例3の電池と比較例4の電池と実施例1の電池と実施例2の電池と実施例3の電池と実施例4の電池と実施例5の電池と実施例6の電池と実施例7の電池とを含んでいる。複数の電池試料の各々は、既述の電池製造方法に基づいて作製された複数の電池を含んでいる。
【0029】
複数の電池試料は、作製条件が互いに異なるように、作製されている。作製条件は、セパレータ作製方法と底厚さとにより示される。ある電池試料に対応するセパレータ作製方法は、その電池試料に設けられているセパレータを作製する方法を示している。ある電池試料に対応する底厚さは、その電池試料のうちの底面部材26に対応する部分の厚さを示している。
【0030】
複数の電池試料は、その作製条件が互いに異なること以外は、互いに同様に作製されている。すなわち、複数の電池試料は、電池サイズがLR6になるように、正極3と集電棒6と正極缶11と負極端子板12と封口ガスケット14とが作製されている。電池の組立では、さらに、負極5は、負極5がセパレータ7の内部に注入可能である量だけ注入されている。
【0031】
比較例1の電池は、
図7に示されているように、既述の電池1のセパレータ7が他のセパレータ101に置換されている。
図7は、比較例1の電池のセパレータ101を示す概略断面図である。セパレータ101は、既述の電池製造方法のセパレータの作製と異なる方法で作製され、側面部材102と底面部分103とを備えている。側面部材102は、ビニロン、パルプ、ビニロンバインダー繊維製の厚さ120μmの不織布を2重巻することにより作製された管状の不織布部材の一部から形成されている。底面部分103は、不織布部材の残部とホットメルト樹脂とから形成され、円板状に形成され、側面部材102の一端の開口部を塞いでいる。すなわち、底面部分103は、不織布部材の一端が内側に折り曲げられ、その折り曲げられた部分がホットメルト樹脂を用いて熱融着されて形成されている。底面部分103は、不織布部材の一部が熱融着されて形成されていることにより、比較的厚く形成されている。比較例1の電池の底厚さは、底面部分103の厚さを示し、1.0mmを示している。
【0032】
比較例2の電池は、既述の電池1のセパレータ7が他のセパレータに置換されている。そのセパレータは、既述の電池製造方法のセパレータの作製と異なる方法で作製され、2つの短冊状の不織布を用いて作製されている。2つの短冊状の不織布は、2つの短冊状の不織布が直交する2直線に沿うように、2つの短冊状の不織布の中央同士が重ねられている。比較例2の電池のセパレータのうちの底面部材26に対応する部分は、2つの短冊状の不織布のうちの重ねられた部分から形成されている。比較例2の電池のセパレータのうちの側面部材25に対応する部分は、2つの短冊状の不織布のうちの重ねられていない部分から形成されている。比較例2の電池のセパレータのうちの側面部材25に対応する部分は、不織布が重なっている部分を含んでいる。不織布が重なっている部分のイオン伝導性は、不織布が重なっていない部分のイオン伝導性より悪く、不織布が重なっている部分は、不織布が重なっていない部分に比較してイオンが通過し難い。比較例2の電池のセパレータのうちの既述の側面部材25に対応する部分は、不織布が重なっている部分を含んでいる。比較例2の電池の底厚さは、2つの短冊状の不織布が重なっている部分の厚さを示し、0.24mmを示している。
【0033】
比較例3の電池は、
図8に示されているように、既述の電池1のセパレータ7が他のセパレータ111に置換されている。
図8は、比較例3の電池のセパレータ111を示す概略断面図である。セパレータ111は、側面部材25と底面部材113とを備えている。すなわち、セパレータ111は、既述の電池製造方法のセパレータの作製と異なる方法で作製され、既述のセパレータ7の底面部材26が他の底面部材113に置換され、他の部分が既述のセパレータ7と同じである。底面部材113は、側面部材25が形成される不織布と同じ不織布から形成されている底紙から形成されている。底面部材113の一部は、側面部材25の開口部32を塞いでいる。底面部材113の残部は、側面部材25の一部114に重なっている。比較例3の電池の底厚さは、底面部材113のうちの側面部材25の開口部32を塞いでいる部分の厚さを示し、0.12mmを示している。
【0034】
比較例4の電池は、既述の電池1のセパレータ7が他のセパレータに置換されている。そのセパレータは、既述の比較例3の電池のセパレータ111の底面部材113が他の底面部材に置換され、他の部分は、既述の比較例3の電池のセパレータ111と同じである。その置換された底面部材は、厚さ120μmのポリエチレンフィルム製の底紙から形成されている。底面部材の一部は、側面部材25の開口部32を塞いでいる。底面部材の残部は、側面部材25の一部114に重なっている。比較例4の電池の底厚さは、ポリエチレンフィルム製の底紙のうちの側面部材25の開口部32を塞いでいる部分の厚さを示し、0.12mmを示している。
【0035】
実施例1の電池のセパレータ7は、既述の電池製造方法のセパレータの作製に基づいて作製されている。実施例1の電池のセパレータ7の側面部材25は、ビニロン、パルプ、ビニロンバインダー繊維製の厚さ120μmの不織布を2重巻することにより作製された管状の不織布から形成されている。実施例1の電池のセパレータ7の底面部材26は、ホットメルト樹脂から形成されている。実施例1の電池のセパレータ7は、さらに、底面部材26を底面部分16に向けて加圧する工程が省略されて作製されている。実施例1の電池の底厚さは、底面部材26の厚さを示し、1.2mmを示している。
【0036】
実施例2の電池のセパレータは、既述の電池製造方法のセパレータの作製に基づいて作製されている。実施例2の電池のセパレータ7の側面部材25は、ビニロン、パルプ、ビニロンバインダー繊維製の厚さ120μmの不織布を2重巻することにより作製された管状の不織布から形成されている。実施例2の電池のセパレータ7の底面部材26は、ホットメルト樹脂から形成されている。実施例2の電池のセパレータ7は、さらに、底面部材26を底面部分16に向けて加圧する工程が省略されて作製されている。実施例2の電池の底厚さは、底面部材26の厚さを示し、1.0mmを示している。
【0037】
実施例3の電池のセパレータは、既述の電池製造方法のセパレータの作製に基づいて作製されている。実施例3の電池のセパレータ7の側面部材25は、ビニロン、パルプ、ビニロンバインダー繊維製の厚さ120μmの不織布を2重巻することにより作製された管状の不織布から形成されている。実施例3の電池のセパレータ7の底面部材26は、ホットメルト樹脂から形成されている。実施例3の電池のセパレータ7は、さらに、底面部材26を底面部分16に向けて加圧する工程が省略されて作製されている。実施例3の電池の底厚さは、底面部材26の厚さを示し、0.3mmを示している。
【0038】
実施例4の電池のセパレータは、既述の電池製造方法のセパレータの作製に基づいて作製されている。実施例4の電池のセパレータ7の側面部材25は、ビニロン、パルプ、ビニロンバインダー繊維製の厚さ120μmの不織布を2重巻することにより作製された管状の不織布から形成されている。実施例4の電池のセパレータ7の底面部材26は、ホットメルト樹脂から形成されている。実施例4の電池のセパレータ7は、さらに、底面部材26を底面部分16に向けて加圧する工程が省略されて作製されている。実施例4の電池の底厚さは、底面部材26の厚さを示し、0.1mmを示している。
【0039】
実施例5の電池のセパレータは、既述の電池製造方法のセパレータの作製に基づいて作製されている。実施例5の電池のセパレータ7の側面部材25は、ビニロン、パルプ、ビニロンバインダー繊維製の厚さ120μmの不織布を2重巻することにより作製された管状の不織布から形成されている。実施例5の電池のセパレータ7の底面部材26は、ホットメルト樹脂から形成されている。実施例5の電池のセパレータ7は、さらに、底面部材26を底面部分16に向けて加圧する工程が省略されて作製されている。実施例5の電池の底厚さは、底面部材26の厚さを示し、0.05mmを示している。
【0040】
実施例6の電池のセパレータは、既述の電池製造方法のセパレータの作製に基づいて作製されている。実施例6の電池のセパレータ7の側面部材25は、ビニロン、パルプ、ビニロンバインダー繊維製の厚さ120μmの不織布を2重巻することにより作製された管状の不織布から形成されている。実施例6の電池のセパレータ7の底面部材26は、ホットメルト樹脂から形成されている。実施例6の電池のセパレータ7は、さらに、底面部材26を底面部分16に向けて加圧する工程が実行されて作製されている。実施例6の電池の底厚さは、底面部材26の厚さを示し、0.1mmを示している。
【0041】
実施例7の電池のセパレータは、既述の電池製造方法のセパレータの作製に基づいて作製されている。実施例7の電池のセパレータ7の側面部材25は、ビニロン、パルプ、ビニロンバインダー繊維製の厚さ120μmの不織布を2重巻することにより作製された管状の不織布から形成されている。実施例7の電池のセパレータ7の底面部材26は、ポリエチレンから形成されている。実施例7の電池のセパレータ7は、さらに、底面部材26を底面部分16に向けて加圧する工程が省略されて作製されている。実施例7の電池の底厚さは、底面部材26の厚さを示し、0.3mmを示している。
【0042】
複数の評価結果は、複数の負極有効容積と複数の第1放電試験結果と複数の第2放電試験結果と複数のセパレータ貫通評価結果とを含んでいる。複数の負極有効容積は、複数の電池試料に対応している。複数の負極有効容積のうちのある電池試料に対応する負極有効容積は、その電池試料に注入された負極5の量を示し、その電池試料の負極5の量を比較例1の電池の負極5の量で除算した値に100を乗算した値を示している。
【0043】
複数の負極有効容積は、実施例1~7の電池に関して、底厚さが薄い電池ほど負極有効容積が大きいことを示している。複数の負極有効容積は、さらに、実施例6の電池の負極有効容積が実施例4の電池の負極有効容積より大きいことを示し、底面部材26が正極缶11に密着することにより、負極有効容積が大きくなることを示している。
【0044】
複数の第1放電試験結果は、複数の電池試料に対応している。複数の第1放電試験結果のうちのある電池試料に対応する第1放電試験結果は、その電池試料に対して第1放電試験が実行されることにより導出された結果を示している。ある電池試料に対して実行される第1放電試験では、その電池試料の電池電圧が終止電圧1.05Vより小さくなるまで5分間の放電パターンが1時間毎に繰り返し実行され、放電時間が導出される。5分間の放電パターンでは、30秒の放電パターンが10回繰り返し実行されている。30秒の放電パターンは、2秒の放電期間と28秒の放電期間とから形成されている。2秒の放電期間では、その電池試料が1500mWの負荷に電気的に接続され、その電池試料がパルス放電される。28秒の放電期間は、2秒の放電期間が終了した直後に開始される。28秒の放電期間では、その電池試料が750mWの負荷に28秒間電気的に接続され、その電池試料がパルス放電される。1時間のうちの5分間の放電パターンを除く期間では、その電池試料が放電されないように、その電池試料が負荷から電気的に絶縁される。
【0045】
放電時間は、その電池試料の電池電圧が終止電圧1.05Vより小さくなる前に、その電池試料が放電していた時間を示している。複数の第1放電試験結果のうちのある電池試料に対応する第1放電試験結果は、その電池試料として作製された8つの電池の放電時間の平均を、比較例1の電池として作製された8つの電池の放電時間の平均で除算した値に100を乗算した値を示している。複数の第1放電試験結果は、第1放電試験結果が大きい電池試料ほど重負荷での放電性能が良好であることを示している。
【0046】
複数の第1放電試験結果は、比較例2の電池の第1放電試験結果が比較例1の電池の第1放電試験結果より小さいことを示し、比較例2の電池の重負荷での放電性能が比較例1の電池の重負荷での放電性能より悪いことを示している。複数の第1放電試験結果は、さらに、比較例4の電池の第1放電試験結果が比較例1の電池の第1放電試験結果より小さいことを示し、比較例4の電池の重負荷での放電性能が比較例1の電池の重負荷での放電性能より悪いことを示している。すなわち、複数の第1放電試験結果は、セパレータのうちの側面部材25に対応する部分にイオン伝導性が良好でない部分が含まれているときに、電池の重負荷での放電性能が悪くなることを示している。
【0047】
複数の第1放電試験結果は、さらに、実施例1~7の電池の第1放電試験結果が比較例1、2、4の電池の第1放電試験結果より大きく、実施例1~7の電池の重負荷での放電性能が比較例1、2、4の電池の重負荷での放電性能より良好であることを示している。
【0048】
複数の第1放電試験結果は、さらに、実施例3~7の電池の第1放電試験結果が実施例1、2の電池の第1放電試験結果より大きく、実施例3~7の電池の重負荷での放電性能が実施例1、2の電池の重負荷での放電性能より良好であることを示している。すなわち、複数の第1放電試験結果は、底厚さが0.3mm以下である電池の重負荷での放電性能が、底厚さが0.3mmより大きい電池の重負荷での放電性能より良好であることを示している。
【0049】
複数の第2放電試験結果は、複数の電池試料に対応している。複数の第2放電試験結果のうちのある電池試料に対応する第2放電試験結果は、その電池試料に対して第2放電試験が実行されることにより導出された結果を示している。ある電池試料に対して実行される第2放電試験では、その電池試料の電池電圧が終止電圧1.0Vより小さくなるまで8時間の放電パターンが繰り返し実行され、放電時間が導出される。8時間の放電パターンは、1時間の放電期間と7時間の休止時間とから形成されている。1時間の放電期間では、その電池試料が50mAの負荷に電気的に接続される。7時間の休止時間では、その電池試料が放電されないように、その電池試料が負荷から電気的に絶縁される。放電時間は、その電池試料の電池電圧が終止電圧1.0Vより小さくなる前に、その電池試料が放電していた時間を示している。
【0050】
複数の第2放電試験結果のうちのある電池試料に対応する第1放電試験結果は、その電池試料として作製された8つの電池の放電時間の平均を、比較例1の電池として作製された8つの電池の放電時間の平均で除算した値に100を乗算した値を示している。複数の第2放電試験結果は、第2放電試験結果が大きい電池試料ほど中軽負荷での放電性能が良好であることを示している。
【0051】
複数の第2放電試験結果は、実施例2~7の電池の第2放電試験結果が実施例1の電池の第2放電試験結果より大きく、実施例2~7の電池の重負荷での放電性能が実施例1の電池の重負荷での放電性能より良好であることを示している。すなわち、複数の第2放電試験結果は、底厚さが1.0mm以下である電池の重負荷での放電性能が、底厚さが1.0mmより大きい電池の重負荷での放電性能より良好であることを示している。
【0052】
複数の第2放電試験結果は、さらに、実施例3~7の電池の第2放電試験結果が実施例2の電池の第2放電試験結果より大きく、実施例3~7の電池の重負荷での放電性能が実施例2の電池の重負荷での放電性能より良好であることを示している。すなわち、複数の第2放電試験結果は、底厚さが0.3mm以下である電池の重負荷での放電性能が、底厚さが0.3mmより大きい電池の重負荷での放電性能より良好であることを示している。
【0053】
複数の負極有効容積と複数の第2放電試験結果とは、負極有効容積が大きい電池ほど第2放電試験結果が大きいことを示し、すなわち、負極有効容積が大きい電池ほど中軽負荷の放電性能が良好であることを示している。
【0054】
複数のセパレータ貫通評価結果は、複数の電池試料に対応している。複数のセパレータ貫通評価結果のうちのある電池試料に対応するセパレータ貫通評価結果は、その電池試料に対してセパレータ貫通評価試験が実行されることにより導出された結果を示している。ある電池試料に対して実行されるセパレータ貫通評価試験では、その電池試料の電池電圧が予め定められた終止電圧より小さくなるまで5分間の放電が毎日繰り返し実行され、負極5から成長するデンドライトが底面部材を貫通したか否かが確認される。5分間の放電では、その電池試料が3.9Ωの負荷に電気的に接続される。1日のうちの5分間の放電と異なる休止時間では、その電池試料が放電されないように、その電池試料が負荷から電気的に絶縁される。複数のセパレータ貫通評価結果のうちのある電池試料に対応するセパレータ貫通評価結果は、その電池試料として作製された10個の電池のうちのデンドライトが底面部材を貫通した電池の個数を示している。複数のセパレータ貫通評価結果は、セパレータ貫通評価結果が大きい電池試料ほど、負極5から成長するデンドライトが底面部材を貫通しやすいことを示している。
【0055】
複数のセパレータ貫通評価結果は、比較例1、4の電池と実施例1~7の電池とに底面部材を貫通したデンドライトが形成されなかったことを示し、比較例2、3の電池に底面部材を貫通したデンドライトが形成されたことを示している。すなわち、複数のセパレータ貫通評価結果は、底面部材にホットメルト樹脂またはポリエチレンが使用されている電池が、底面部材が不織布のみから形成されている電池に比較して、負極5から成長するデンドライトが底面部材を貫通し難いことを示している。複数のセパレータ貫通評価結果は、さらに、実施例1~7の電池が、比較例1~4の電池に比較して、負極5から成長するデンドライトが底面部材を貫通し難いことを示している。
【0056】
[実施形態の電池1の効果]
実施形態の電池1は、正極缶11と、管状に形成されて正極缶11の内部に配置される正極3と、正極3の内部に配置される負極5と、セパレータ7とを備えている。セパレータ7は、不織布から形成されている側面部材25と、不織布よりイオンが透過しにくいホットメルト樹脂から形成されている底面部材26とを備えている。側面部材25は、負極5と正極3とに挟まれている。底面部材26は、負極5と正極缶11とに挟まれている。底面部材26は、不織布が負極5と正極缶11とに挟まれないように、かつ、ホットメルト樹脂が負極5と正極3とに挟まれないように、側面部材25に接合されている。
【0057】
電池1は、側面部材25の不織布が負極5と正極缶11とに挟まれていないことにより、底面部材26を薄くすることができる。電池1は、底面部材26が薄いことにより、負極5の容量を増加させることができ、中軽負荷の放電性能を向上させることができる。電池1は、底面部材26のホットメルト樹脂が負極5と正極3とに挟まれないことにより、負極5と正極3との間の領域のうちのイオンが透過しにくい部分の面積を低減することができる。電池1は、負極5と正極3との間のうちのイオンが透過しにくい部分の面積が低減することにより、負極5と正極3との間のイオン伝導を向上させることができ、重負荷の放電性能を向上させることができる。
【0058】
また、実施形態の電池1の底面部材26は、正極缶11に密着している。電池1は、底面部材26が正極缶11に密着していることにより、負極5の容量を増加させることができ、中軽負荷の放電性能を向上させることができる。
【0059】
また、実施形態の電池1の底面部材26の厚さは、0.1mm以上であり、かつ、1mm以下である。電池1は、底面部材26の厚さが1mm以下であることにより、負極5の容量を増加させることができ、中軽負荷の放電性能を向上させることができる。電池1は、底面部材26の厚さが0.1mm以上であることにより、底面部材26が正極缶11に密着して屈曲する場合でも、底面部材26が破損することを防止することができる。電池1は、さらに、底面部材26の厚さが0.3mm以下であることにより、負極5の容量をより増加させることができ、中軽負荷の放電性能をより向上させることができる。
【0060】
また、実施形態の電池1の底面部材26は、加熱されることにより液状になるホットメルト樹脂から形成されている。この場合、電池1は、液状であるホットメルト樹脂に側面部材25の一端を接触させることにより、側面部材25に接合された底面部材26が容易に作製され、製造を容易にすることができる。
【0061】
実施形態の電池製造方法は、側面部材25を作製することと、側面部材25が作製された後に、側面部材25に接合された底面部材26を作製して、セパレータ7を作製することと、セパレータ7が作製された後に、セパレータ7を正極3の内側に挿入することとを備えている。このような電池製造方法によれば、負極5と正極缶11との間に不織布が挟まれないように、かつ、負極5と正極3との間にホットメルト樹脂が挟まれないように、セパレータ7を適切に、かつ、容易に作製することができる。
【0062】
また、実施形態の電池製造方法では、底面部材26は、液状のホットメルト樹脂に側面部材25の一端を接触させることにより、作製される。このような電池製造方法は、底面部材26を適切に、かつ、容易に形成することができ、セパレータ7を適切に、かつ、容易に適切に作製することができ、電池1を適切に、かつ、容易に作製することができる。
【0063】
また、実施形態の電池製造方法は、セパレータ7が正極3の内側に挿入された後で、底面部材26を正極缶11に向かって加圧することと、底面部材26が加圧された後に、セパレータ7の内部に負極5を充填することとをさらに備えている。このような電池製造方法は、正極缶11に凹凸が形成されている場合でも、セパレータ7の底面部材26を正極缶11に適切に密着させることができる。
【0064】
[変形例の電池]
変形例の電池は、
図9に示されているように、既述の電池1のセパレータ7が他のセパレータ41に置換され、他の部分は、既述の電池1と同じである。
図9は、変形例の電池のセパレータ41を示す斜視図である。セパレータ41は、側面部材42と底面部材26とを備え、すなわち、既述のセパレータ7の側面部材25が側面部材42に置換され、他の部分は、既述のセパレータ7と同じである。側面部材42は、既述の側面部材25と同様に、ビニロンやパルプ等に例示される絶縁体から形成されている不織布から形成されている。
【0065】
側面部材42は、本体部分43と先端部分44とを備えている。本体部分43は、円柱の側面に沿うように形成されている。先端部分44は、円錐台の側面に沿うように形成されている。先端部分44は、先端部分44のうちの円錐台の大きい方の底面に対応する端が本体部分43の一端に対向するように、本体部分43に繋がっている。底面部材26は、先端部分44のうちの円錐台の小さい方の底面に対応する端を塞ぐように、先端部分44に接合されている。すなわち、セパレータ41は、底面部材26が形成される先端に向かって先細に形成されている。
【0066】
変形例の電池は、既述の電池1と同様に、既述の実施形態の電池製造方法に基づいて作製される。変形例の電池は、側面部材42の不織布が負極5と正極缶11とに挟まれていないことにより、既述の電池1と同様に、底面部材26を薄くすることができ、負極5の容量を増加させることができ、中軽負荷の放電性能を向上させることができる。変形例の電池は、底面部材26のホットメルト樹脂が負極5と正極3とに挟まれないことにより、既述の電池1と同様に、負極5と正極3との間の領域のうちのイオンが透過しにくい部分の面積を低減することができ、重負荷の放電性能を向上させることができる。
【0067】
変形例の電池のセパレータ41は、側面部材25のうちの底面部材26に近い側の端が先細に形成されていることにより、既述の電池1のセパレータ7に比較して、正極3の内部に挿入されやすい。このため、変形例の電池は、セパレータ41を正極3の内部に挿入する作業を容易化することができる。変形例の電池は、さらに、側面部材25のうちの底面部材26に近い側の端が先細に形成されていることにより、底面部材26の大きさを低減することができ、底面部材26に用いられる材料の量を低減することができる。
【0068】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
1 :電池
3 :正極
5 :負極
7 :セパレータ
11:正極缶
25:側面部材
26:底面部材